3.2日目夕刻(満を持して樹液採集へ)午前中は、パラレリ♂に巡り会えたものの、採集面では具体的な成果は出せずに終わった。しかし、パラレリは黒色のクワガタで あることから、おそらく夜行性に間違いなく、樹液で成虫採集をするとすれば、夕刻以降が適しているであろうことは容易に 想像がつく。そこで、午前中に樹液を確認できたポイントへ、夕刻に再トライしてみる。 ところが、この時期のパリは暗くなるのが22時過ぎという遅さである。ペンライト以外の懐中電灯も車もない身にとっては、 リスクを犯すことはできず、昨日と同じく19時を過ぎたところで出撃した。暑い日だったが、その暑さもいく分か和らぎ始めていた。 しかし、まだ昼間の明るさで、ブローニュの森はいまだにローラースケートや犬の散歩の人たちで賑わいを見せていた。 とにかく、樹液を出していることが確認された木の再チェックに向かってずんずんと歩いて行く。ホテルから小一時間かけて、 Bポイントに着いた。ここまで森の中に来れば、この時間ではさすがに人影は薄い。 早速、樹液の出ている幹の上を見てみる。残念ながら、期待していたパラレリや他の甲虫の姿はそこにはなかった。 森の中はだいぶ暗くなってきているものの、空には明るさが残っている。まだ時間が早過ぎたのか。 ![]() 樹液にはめぼしいものは何も来ていなかった
![]() 樹皮の下の黒い影(ピントが合わない)
![]() 待望の♂が採れた
さらにポイントAへ。この辺りは野バラのトゲが足に痛いが、それを避けながら樹液の滲む箇所にそっと近づいてみる。 すると、ちょうどパラレリ♀がその樹液に向かって幹の上を歩いているではないか! そしてカメラを構えている間に、 樹液が滲む樹皮の隙間に頭を突っ込み始めた。パラレリが樹液に来ることが確認された瞬間であった。 ![]() 樹液につくパラレリ♀ 2日目を終えて、パラレリの生態に関するとりあえずの観察結果は、次のとおりである。 パラレリは、日中は洞などに深く潜み、その姿を容易に現わさず、樹皮捲れの下にも見つかることはなかなかない。 夕刻になると、洞の入り口近辺や樹皮捲れの下で、樹液の場所への待機を始める。そして(おそらく) 十分に暗くなってから樹液に集まる(のだろう)。 ナラの樹液さえ見つかれば、採集自体は難しくないように思える。おそらくはパリ周辺でも普通種なのであろう。 しかし、樹液を出すナラを探し当てることが一苦労のようである。ポイント探しは、まさに足を棒にするまで歩くか、 幸運に当たるかしかないかもしれない。樹液ポイントさえ見つかれば、あとは十分に暗くなるのを待てば良い。
やはり、パラレリは小型のコクワではないか。材の中の幼虫を観察したときにもそう思ったが、成虫を樹液採集してその思いを
一層強くした。洞の中や樹上での姿は、小型のコクワと言っても、ほとんど違和感はない。鞘羽が艶消しであることも、
「コクワらしさ」を大いに高めている。ただし、コクワのように灯火に集まるかどうかについては、今後の宿題として残されているが。
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