1.ターゲットを知る

 ブトクワガタ Aegus laeuicollis

 ネブトクワガタは東北北部より以北の地域を除き、ほぼ日本全土に分布している。とは言え関東地方での採集は関西地方に比べ非常に困難なものとされている。事実、関東地方におけるその生息範囲は極めて局地的であり、発生圏をピンポイント的に探し当てなくては、採集することはかなり難しいと言えるだろう。
 しかし決して採集が不可能な訳ではない。そのためには最低限押さえて置かなくては成らない環境的要因がある。それはネブトクワガタの発生源であり、幼虫期の生息環境でもある赤松材についてである。というのもネブト採集においてもこの材と環境探しが、他のクワガタ同様大きなキーポイントとなるからなのである。

↑の画像を見て頂くと雑木と松が程よく混在しているのが解ると思う。この混在具合が大切で、松が多過ぎても雑木が多過ぎてもいけない。平たく言えば松林から雑木林に変わる境目と言える。つまり発生材となる赤松の倒木があり、尚且つ後食のためのクヌギが同じテーブルに乗っている様な環境をネブトは好むようで、どうやらなかなかの不精者の様である。


2.材を知る

 一般的なネブト材と言えば、土化した松材とされているが、実際はそうとも言い切れないのである。私が採集した限りでは土化した材やフレークには殆ど見られない。↑の画像は実際にネブトの幼虫を採集した材だが、まだ樹皮も残りシロアリが巣食っている状態の材である。土化した材やフレーク状の材を削ったところで、出てくるのはスズメバチかオサムシかコメツキの幼虫が殆どで、まずネブトクワガタにはありつけない。
 むやみに材割りなどしても無駄な犠牲を増やすだけで、環境にやさしくない採集になるのでやめておこう。