曲がるな!
=ヘラクレスオオカブトの角曲がりを減らせ=
by ピーコ



 ではまず前蛹の時点からオアシス人工蛹室に入れて蛹化をした個体の、脱皮開始時の画像を3枚ほどご覧頂こう。これら3頭はそれぞれ違う個体である。蛹化フェチ(っているのかなぁ...)にはたまらない画像であろう。(←ほんとか?って、こればっか。(^^;;)

♀♂♂

 一番左の個体は、以前くわ馬鹿2000年夏号に蛹化のアニメ画像を投稿した時の♀の画像の一部で、中央と右の個体は♂である。これらの画像からでもおわかり頂けると思うが、蛹化を観察してみて感じたことのひとつに、幼虫は蛹室のなだらかな丘?を登るような感じで蛹室の端の方で脱皮を開始することが挙げられる。人工蛹室から飛び出しそうになるほどであった。その後、登った丘を滑り降りながら角が伸び始めるといった感じであった。尚、♂の蛹室はなだらかな傾斜をしており、人工蛹室もなるべくそれに近いものを作成した。
 実は♀同様、♂の蛹化連続画像も撮影することが出来、前号のくわ馬鹿にて紹介させて頂こうと思ったのだが、コマ数や色数を減らしても1MBを超える大きさとなってしまい断念した。

 

 続いて、上の3枚の画像の内、中央の個体がその後どのようになったのかをご覧頂きたい。


 この画像のように、長い方の角である胸角が先に伸び、その後短い方の頭角が伸びる。また、蛹室のなだらかなカーブは、やはし角の形状を決めるのに大きな役割を果たしていることが推測できる。ちょいと試しに、このような蛹化中の個体を平らなところにおいてみたところ(画像がないのが残念)角は途中から下の方に「クニャ」っと曲がってしまった。つまり起き上がった状態では角は上方に曲がってしまうこととなる。その個体はすぐにカーブのついた場所に移動して事なきを得た。こりゃ余談だな。

 


 これは蛹化が始まってから約1時間半が経過した時点での画像である。90分近く経過しているにも関わらず、まだ頭角も伸びきっておらず、胸角もプニョプニョしていて、こんなにも曲がることが可能なのである。もしもこのまま固まってしまったらかなり角が曲がった個体になっていたことであろう。脱皮開始から角が伸びきるまでには約2時間を要した。
 本来この人工蛹室は、この個体のために作ったわけではなく、14cm程の成虫となった個体の蛹室をモデルにして作成したものであったため、この小さめな個体(と言っても成虫で125mm位)には幅が広過ぎたようで、このような状態が生じてしまったのだと思われる。

 

 以上のようなことから、前出の角が曲がってしまった成虫は、十分な長さの蛹室があったにも関わらず、脱皮直後に蛹室の丘を下ってくる途中で障害物(脱皮後の幼虫時の皮や頭部、蛹室の壁面の一部が崩れてしまったカス、プラケ内部中央にある出っ張り、蛹室の一部がケース底面を利用して作られていたわけだが、その面積が広すぎてそこでつかえてしまったなどが考えられる)により下りきることが出来ず、蛹室の頭部側の長さが不足してしまったか、蛹化後のまだ軟らかいうちに仰向けではなく変な格好で横たわってしまい、そのまま角が固まってしまったのではないかなどと推測することが出来る。

 

 参考までに、更に上の画像の個体がその後どうなったのかをご覧頂こう。


 これは上の画像の状態から更に約18時間が経過した時点での画像である。すっかし蛹らしい色となった。もしここまで来た時点で角が曲がっていたとしても修正は不可能であろう。やったことないけど。
 この画像からではわからないが、やはし角の途中からわずかに右に曲がってしまった。ま、あっしの許容範囲内ではあるが。

 


 それから52日が経過し無事に羽化をした。大きさにもよるとは思うがヘラクレス♂の場合、24〜25℃程度の飼育温度だと、蛹の期間は55日前後となった。上の画像の状態のままほったらかしであったため、当然ながら幼虫時の抜け殻もこの画像で確認することが出来る。
 この画像からは、角がわずかに右に曲がってしまっているのがおわかり頂けると思う。それにしても一番胸角が太くなると言われている原名亜種のヘラクレス(D.h.hercules)であるにも関わらず角が細いこと。例え原名亜種であっても角の太い個体は少ないようである。
 うーむ、細くて右曲がりとは、、、飼主に似たとか、、、、、(^^;;

 ヘラクレスは羽化してから活動を開始するまでに、だいたい2〜3ヶ月間を要する。その間もこのままほったらかしで問題はない。もちろん前蛹から活動開始までビニールに小さな穴を数個開けたものなどで人工蛹室を入れたケースを保湿しておいてやる必要はある。



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