オアシス人工蛹室

k-sugano


既にどちらかのHPで紹介されていると聞きましたが、まだご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので
オアシスを使った人工蛹室をご紹介します。
(折角html作ったので無駄にしたくないのが本音かも、、あいあんデスク原稿督促きびしいし、、、(^^;;)

オアシスは硬質ウレタンのような素材で出来ている商品です。
ほぼ体積分といっても良い位の水を吸収保持します。
また、ナイフで簡単にカットできますし、草花の茎を刺すこともできるため、
活花関係によく用いられています。

昆虫の世界では、蝶の飼育にかなり前から使われるようになっています。
わたしも、樹皮や芽に産卵するゼフィルスの飼育に用いております。
ホストの枝を刺しておけば、樹皮に産むものは樹皮へ、芽に産むものは芽に産むわけです。
また母蝶はオアシスから吸水しますし、湿度の保持に役立つため、オアシスは手放せません。

オアシスは大抵の花屋さんには置いてあります。花屋さん自体がお店でオアシスを使っています。
サイズは10cm×8cm×20cm程度のブロックで価格は400円前後です。
100円ショップにも置いてあるという情報もありますが確認できませんでした。

まずカットします。カッターや包丁が使えます。薄い刃の包丁が簡単でしょう。
カットする大きさは作ろうとする蛹室の大きさによってかわりますが70−80mm級の
ドルクスなどであれば写真のように切って、1個のオアシスブロックからおよそ5個作成する事が出来ます。
また♀や50mmまでの小型の虫であれば10個作成可能です。

カットしたら作りたい蛹室の大きさをマジックインキなどで描きます。
長楕円形を描きますが長辺方向はあるていど平行にしておきます。
 

描いた長楕円にそってカレースプーンなどで穴を掘っていきます。
非常になめらかにサクサク削れますので削り過ぎに注意してください。
ある程度掘ったら、スプーンはティースプーンに変えたほうが無難です。
ただ、スプーンで最期まで整形する必要はありません。

ある程度整形できたら、オアシスにタップリと水を含ませます。
そして今度は指の腹で表面をなでていきます。
このとき、でっぱった部分は指で軽く押せばよろしい。


 

完成したら、蛹を慎重に移します。
勿論、蛹化直後の蛹を移してはいけません。
蛹は、純白→飴色→粉を吹いたような状態→赤く色づいてくる 
という段階を経て羽化しますが、粉を吹いたような状態になって相当経ってからか、色づいてきた状態で
人工蛹室に移すのが安全です。
前蛹状態で人工蛹室に移すことについては、わたしは経験がないため、なんとも言えません。

上の画像の蛹はグランデスオオクワガタ(72mm程度の小型で羽化)です。雰囲気が分かるでしょうか?
さて、右上の画像でオアシスが濡れているのがわかりますか?オアシスには十分に水を含ませています。

なぜなら、充分に湿らせていても、オアシスは羽化時に排泄する水分を吸水してくれますし、
濡れてまだ伸びていない羽根が乾燥したオアシスにくっついて羽化不全になるかもしれないからです。

蛹を移したら、オアシスをタッパ―やプラケなどにいれて保管します。私は温室にいれました。
またオアシス人工蛹室を入れたタッパ―やプラケには、蒸れないように穴を多めにあけておきましょう。
新聞紙で蓋をする人もいますが良い考えだと思います。

また、セットから羽化までに時間がかかる場合は、ときどきオアシスが乾燥していないか注意しましょう。
乾燥する事はまずないと思いますが、乾燥している場合は湿らせておきましょう。
 

さて、上の2枚はオオクワガタの♀ですが、左は羽化中の、右は羽化後です。
綺麗に羽化していますね。
 


 

こちらは先ほどの♂蛹が羽化したものです。こちらも傷ひとつない成虫となりました。
 

なお、記事を参考にして万一羽化不全となっても、当局は一切関知しない。(^^;;


2000年春号目次へ戻る