くわ馬鹿の妻よりV

takako(KAZの妻)

いつものポーズ!



 
 
 
 

「意外と好評だったらしい」
 
またもこんなお約束のおだて言葉に乗せられ、3度目の登場をしてしまっている私・・・・しばらくでしたね、愛読者の皆様。約1年ぶりだが、この1年我が家ではいろんなことが起きていたのだ! 
 
一昨年より昨年、昨年より今年、“超クワな夏”度はぐんぐん増してきた。 
昨年のこの場において“超クワな夏”になることを春になればわかると書いたのだが覚えてくれているだろうか? 

我が家のクワガタ君たちは、今まで狭い暗い納戸で掃除用洗剤やらトイレットペーパーやらいつ使うかわからないガラクタの中でひしめき合って生活していたのだが、今は広い納戸で本来なら胡蝶蘭などが入るであろうPica製(私はこの言葉に敏感だ、なぜなら私が見つけてあげたからだ!)の温室の中で悠々と暮らしている。 

そして、その大切にされてイイ気になっているクワガタをちまちまとお世話している“馬鹿”はというと今までは狭いベランダで作業していたのだが、今は自作のひろーいウッドデッキの上にどうだと言わんばかりの勢いで作業グッズを並べて日々楽しそうにやっている。 

そうなのだっっ!我が家は念願のマイホームを手に入れたのだ!! 

この人と一緒になった時点で将来家を持つなんて夢も破れたわ・・・・なんて陰で泣いていたのだが、どういうわけかあっという間にこんなことになってしまった。
 

“馬鹿”の妻だから“そこそこ馬鹿”で別に必死にマイホーム資金などを貯めていたわけではなく、どちらかといえば今が楽しければそれでいいじゃんタイプなのでこの事態を信じられないでいる。
もちろん人生設計なんてものはまったく考えておらず、何とかなるさと甘く見ている。
この甘くみていることが、将来甘やかされているクワガタ君達を再び狭い暗い納戸生活に突き落とすことになるかもしれない。 ま、そのときは人間のほうが先に首を吊っているだろうから、クワガタ君達の面倒は皆様方によろしく頼んでおくとしよう(^^;; 
ってなバカなことは言っていないで先へ進もう。

で、引越しする前から自分達のことはさておいて、クワガタくん達の家=温室を探すハメになった。 

またも“専属運転手”である。 

ここだけは声を大にして言いたいが、“すばらしい嫁”である。感謝してもらいたい・・すべきである。 

だいたい新築マイホームとなれば、世の奥様方は、「あの家具が欲しいわ」とか「あそこにはどんなものを置こうかしら?」などとインテリアのことで頭がいっぱいなのだ。

当然私も世の奥様方のうちの1人である。なのに何故、クワガタの家を一番に探さなくてはならない?!
何度も言うが、“できた嫁”である。
 
ホームセンターを数ヶ所回ったのだが納得するものがないらしい。
あきらめて帰路につこうとしていた時、視力の良い私の目にホームセンターの看板が飛び込んできた。
ダメ元で行こうという事になりふらふらと行ってみた。
 
バカは目的の売場へ一目散に走り「あっ、Picaが安い!」と叫んだ!
そのとき初めてPicaという存在を知ったのだ。
 
典型的な、皆と一緒じゃないと安心できないという日本人の性質を持ち合わせている彼は目を光らせて言った。
「このPicaがええらしいねん、みんな持ってるし」
ピカ、ピカと叫んでいるのは彼とピカチュウくらいなもんだ・・・情けない・・・
 
こうして私のおかげでPicaの温室を手に入れた彼は、人間が引越しする前に無事クワガタの引越しを済ませることができた。 しかし、以前より広くなったといえども、彼らの今度の同居者はトイレットペーパーではなく“服”である。我が家では寝室などが狭くなることを恐れてタンスというタンスはすべて納戸に入れている。

実はこちらのほうが私にとっては眉間のシワの原因だったりして・・・ 

結局マイホームマイホームと喜んでいてもどこかでシワ寄せがくるものだ。
 

この夏も我が家のオオクワは息子の学校のペットとして旅立っていった。他のクワガタも近所の子供達へ貰われていった。 

そんな中、ある日隣の若奥様が「家の庭にクワガタがいて○○君にあげてん」と言っていた。 

「あっ、それうちの――――。」○○君の家には我が家出身のクワガタが生息している。
同年代の人たちがご近所さんで、どうやらどこのご主人様もここへ引越してきて、都会の生活から離れたとたん(マイホームなどとかっこつけて言っているが、『山』の中の田舎暮らしである)「虫」に目覚めたらしい。
当然家の馬鹿ぶりはあっという間に広まってしまった。
 
隣の土地がまだ売れていなくて空き地のためクワ作業が丸見えなのである。
もうこうなったらどうとでもなれである。
 
クワガタ博士にでもなって近所の子供達を集めて講座でも開き、“クワガタの楽しい飼い方”などを堂々と語れればたいしたものだが・・・・・。
 
そんな心臓を彼は持ち合わせていない。さりげなく手にクワガタを持ち、子供のほうから「おっちゃん何持ってんねん?」と言わせ、増えてしまった手に負えないクワガタをさばくのが関の山である。 
 

この夏のほかのイベントとしては、「以前住んでいた所よりは近くなったぞ!」と喜んで氷ノ山へ通ったりもした。

どうもついていない、あそこへ行くと―――――。
 
昨年のパンク事件ほどではないが、昼食のお弁当をさあ食べようと思ったら突然雨が降ったり、最近急に車に酔うようになった息子が文句タラタラ言ったり、はっきり言って楽しくない!!
だいたいヒメオオだかなんだか知らないが、採れるわけないのよ。
 
このように、年間行事のひとつとして氷ノ山通いがあり、そのうち特筆すべき出来事も起きなくなり、特別な行事でもない限り毎年当たり前のように山に登るハメになるに決まっている。
 
しかし楽しみにしていることがある。娘が小学校へ行くようになれば時間的に余裕もできて夫婦で行けるかもしれない。そうなると自由がきいて面白いかも。
ただそれまでに4ー5年あるので今のラブラブ度を保っていられるかどうか・・・・ああ心配だわん
ラブラブ度は冗談にしても感謝度は今より増すはずだ。 
 
だいたい今までより通勤が遠くなるけど(片道1時間半)環境が良いこととクワガタ飼育が思う存分できるという理由で引越したのだが、実は通勤はさして遠くなってない。 
何故なら“専属運転手”がいるからだ。“馬鹿”は仕事が終わって本来ならば電車1時間バス30分のところを10分電車に乗るだけだ。 

私は30分もかけて峠越えをしてまで迎えに行くのだ。そうすると通常の半分の時間で済む。

遅く帰ってきてご飯も遅くなり片付けも遅くなることを考えればまあいいかと思う。
子供の起きている時間に帰ってこれるし。
 
マイホームを建ててくれたので送迎で感謝を表すとしよう。(KAZ:他にも方法があるだろが!!)
彼も運転好きな嫁を持って感謝すべきだ。なかなかいないよ、こんなに車であちこち行ってくれる嫁は。
 

 
話は戻るが、新居でのクワ馬鹿ぶりはあきれるを通り越して、Oh!NO!状態である。
 
一体何なんだ?!あの粘土のような土混じりのチーズのような直方体の物体は? 
 
「また送られてくるから」とひとこと言い残して出勤する後姿に、私は思わず「出かける挨拶は行ってきますだろが!!」と叫んでいる。 
そして言ったとおり変な直方体はダンボール箱2つに入ってやってくる。 

それから1週間ほど変な直方体は私の罵声を浴びながら我が家の中であっちへこっちへと移動するのである。 

最初は玄関先にあるのだが、やはり人の出入りするところ。みっともないし狭くなる。

2階へ持ってあがれと言っているのに「重たいから」と言って移動させない。“馬鹿”!! 

やっと動いたかと思うと、くつろぎの間リビングへ。なんでやねん!でかい箱2つ―――。とても鬱陶しい。 

ま、許せるとするなら、それを持ってきてくれる佐川急便のお兄ちゃんがいい男だという点だ。 

主人をご存知の人は分かると思うが、私は面食いではない。が、整った顔の男をみると、おおっ!とのけぞることがたまにある。でも根本的にハンサムは嫌いである。おっっと、私の好みのタイプを話している場合ではない。 

まだ馬鹿ぶりはある。 

私は「100均」が好きだが、うちのもどうやら好きのようだ。 

飼育グッズには欠かせないようだが、見るとつまらないものばかり買っている。 

ビンを移動させるのに便利だと言って取手付きのカゴを持っているが、別にダンボールでも良いわけで、何もわざわざ店でどっちがいっぱい入るかなんて長い間考えるほどのことでもない。

しかも、色が調ときたもんだ。
 
他には磁石つきのペン立て、ゼリー入れ用のこれまたカゴ、カニスプーン。 
カニスプーンはカニを食べるときに使うものだっっっ何に使っているのか・・・・?もしかして土に穴をあけるため?木を穿るため?幼虫を採りだす為?色々考えられるがとにかくカニスプーンは必死で探していたのでよほど欠かせないアイテムなのだろう。
きっと他にも私の知らない隠れアイテムがあるに違いない。
 

とまあ我が家とクワ達は新しい土地で生活していくことになった。 

良くも悪くも同居するのだから刺激し合えばええじゃないかというところだろうか。 

今のところ人間もクワも空気の美味しいところでのびのびとやっている。 

このまま平和にいけば申し分ないのだが・・・・・ 

きっと何かしでかすだろうな、うちの馬鹿は・・・ 

また2年め3年めと報告させていただくとしよう。 

今回はそろそろお開きとして、読者の皆々様、すばらしい21世紀をお迎えください。
 



 
 
 
 
 
<編集部からの注>

今回の原稿は下に示すように広告の裏に書かれている。
主婦感覚が出ていてすごく良いと思う

奥さんを大事にしろよー(^^)>KAZさん  


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