takako(KAZの妻)



「また原稿書いてよ、前のやつが意外と好評やねん」

…って「おだてりゃいいってもんじゃないよ!」

「今月締め切りやで」「原稿書いた?」

仕事から帰ってくるたびに催促しちゃってさ、今月いっぱいって言ったじゃない。

もう、仕方ないなあ、そんなに言うなら書くよ。だいたいこの夏は大変だったんだ。

おっと、読んでくださる方、ほぼ100%呆れ口調で書くと思いますが何卒ご了承いただき、しばらくお付き合い願いたい。

 去年の今ごろは、「きっと来年の夏は、今年以上に“クワガタな夏”になってるんだろうな」と予想していた。

その通りである!! ついでにもう来年の予想もしておこう。

「きっと来年の夏は、今年以上に“超クワな夏”になっているであろう」

これは、我が家だけが確信している大きな理由によるものである。

数人の仲良くしていただいている人達は知っているのだろうか?この大きな理由…(^^;;

まあどちらでもよい、春になればわかること。そのときまでお楽しみに!

“クワガタな夏”はカブトムシの配布から始まった。

長男の学校の友達、近所の友達、最後にはクラスのペットとして我が家から旅立っていった。

毎日のようにマニュアルどおりのクワガタ、カブト用のセッティングをしたケースを持って現れる子供たち。

いつか主人が言っていた.「生き物を飼って初めてわかる飼育の仕方、失敗したときの反省、次回への意欲、命の大切さがわかればそれでいい。そんなもんや!」と格好つけていたが、本当にその通りになった。

配布期間中はもちろん、カブトの季節が終わった今も親御さんからのお礼の手紙や品物を頂戴し、非常にありがたく思っている。

今もまた、来年の旅立ちに向け、幼虫たちがすくすくと育っている。

 一方のクワガタだが、たかが主人の趣味に今年は一家が巻き込まれてしまった。

まあ、こんな家庭はどこにでもあるかもしれないし、今読んでくださっているあなたのお宅もきっとそうかもしれない。・・?

巻き込まれたと嘆いている奥さん、最初は嫌がっていたのにいつのまにか自分もはまってしまっている奥さん、どうしてもクワガタには近づけない奥さん、いろいろあると思うが、我が家はこうである。

 ぶちぶち文句を言いながらも、夫の口車に乗せられ、子供の情操教育にもいいし…なんて考えながら虫とりのドライブにはまったが、結局いつも肉体的にとても疲れ、今年は金銭的にもダメージを受け、やはりタダごとではないとあらためて感じている奥さんである。

肉体的疲労は、主人の田舎へ帰省したときから始まっている。

“虫採り専属運転手”である。

免許を持っていない奥様方がうらやましいなどと文句を言いながらも、運転するのは好きなほうで、そこそこ自信もあるもんだから、これまた困りもんである。

結局、自分が車に乗りたくてドライブしに行っているようなもの。

しかし、主人が車から降りた後の車内の私は異様である。

田舎で山の中だと、当然街灯なんてない。そう、あるわけない!!

私は暗闇の恐怖心をまぎらわす為、大声で歌いながらルームミラー→ドアミラー→目視という教習所で習った目の動きを絶えずしているのである。そんな恐怖心を抱かされたのに、主人は“ぼーす”で帰ってくる。なんということか。恐怖心抱き損ではないか。

さらに次の恐怖心は、この夏最大のイベント“氷ノ山へ通う”である。

何度も通った氷ノ山のヒメオオ,じゃなくってアカアシ(^^;;;

私もバカな女…・・一度だけならまだしも4〜5回も行ってしまった。

当然おかかえ運転手となり、いつ崩落事故の犠牲になってもおかしくないような林道を行くのである。

しかもそのうち3回は子供も、うち1回は私の母までがこの山に連れ込まれている。母いわく「こんなガタガタ道は30年ぶりくらいだよ〜」ってのんきなもの(^^;;

長男は、“ピクニック”とだまされ、テーブルを広げて、弁当食べたさだけにこんな氷ノ山くんだりまでついてきている。

ピクニックなら近場で十分なのに…・けなげである。

1歳になったばかりの長女は、わけもわからすカーシートにくくりつけられている。

彼女は、石がごろごろしているから自分の体が揺れているということすらまだ学習していないのだ。

それなのに心地よさそうに眠っている。これまたけなげである。

何も知らない?けなげな娘(^^)

そしてついに、こんなけなげな集団を引き連れてまで、自らの欲求を満たそうとしている主人にバチがあたった。(結局、私と長男もそのバチの犠牲となる)延々と続く、人・車通りのない林道でなんとパンクしてしまったのだ!!

プシューッ!!その音は熊の潜むうっそうとした林に鳴り響いた。

神様の声が聞こえた。「さあ、どうする、こんなところで、無事帰れるかな?

主人にバチか?それとも奥さんのほうかな?」私は、ドキッとした。さかのぼること数時間前、家をでてからいつも寄るコンビ二がある。ジュースやらコーヒーやらを仕入れるために寄るのだが、いつものように買い物をして店をでると、500円玉が落ちているではないか! 500円よ!500円っっ!!

私はすかさず、さも自分が落としたかのように何のためらいもなく拾った。

『やった〜、今買った分、492円が浮いたぞ〜』

車に戻って早速主人にそのことを話し、「今日はついているわよ、ヒメオオゲットも夢じゃないよ」とクワガタ理解度を前面に出しつつもタダのコーヒーを飲み干した。「あ〜おいしい(^^)…・・」なんて浮かれていた自分を今は恥じるばかりだ。

パンクを修理しようとしたときに、誰も通らないとかえって不安、でも車が通らないから心置きなく修理が出来ていいかな。なんて思っていたら、すぐに後続車がきてしまった(^^;;

仕方なく、おじさんを待たせたまま、あせって修理をしたのだが、待ってくれていたおじさんを無視するわけにもいかず、待ち時間代ということでコンビニで買ったタダの缶コーヒーを差し上げた。我ながら、すばらしい気配りだ。

いわくつきのコーヒーを飲んで、おじさん、事故にでも遭ってなければいいが…・

山を降り(注、ヒメオオは?採れるわきゃないでしょ!)

新しいタイヤに履き替えるため、店を探して散々走り回ったが、ついにタイヤは見つからず(同じサイズがない)高速にも乗らずに家に帰り着いたのは、予定帰宅時間より4時間オーバーの午後10時過ぎだった…

不幸中の幸い、この日だけ長女を残していったので、この珍道中に彼女は巻き込まれずにすんだ。

しかし、ものは考えよう、主人が言った「こいつを連れて行っていれば,こういう目に遭わなかったかもよ!」

そうだよねえ、きっと…

そして3日後、新しいタイヤに替えた。 ¥12,000なり!! ああ恐怖…・・

前回は、初めてということで、おとなしめに書いたが、今回は少しパワーアップしたつもりだ。

“原稿”と聞けば、えらい先生方が書く小説や、エッセイを思い出すが、私の原稿は単なる「大変だった体験談」に過ぎない。

夫のくわ馬鹿ぶりを書くつもりが、あまりにも夫に振り回されたので、これも馬鹿の一種とくくって書いてみた。

でも、意外と不思議、「また行く?」と聞かれたら「行く!」と答えるであろう。

なぜだか自分でもわからないが、別にクワガタに魅力を感じてついて行っているわけではない。

そこには、家族愛、夫婦愛があるのかーーーーーっっ!!

その謎を解くべく次回は挑戦してみよう。

今度は、子供をまたあんな目に遭わせる訳にはいかないので、置いて行くだろうが、そんな時いつも悩むことがある。

家族で出かけると、万が一事故にでも遭ったとき、一緒に死ぬかもしれない。

全滅ならまだいいが、一人だけ生き残ったりしたらそれはそれでつらいし、

子供だけ置いていって、親が事故に遭い先立つのも子供が不憫だ。

でも彼らには、先があるのだから何とかなるか…とかたかがクワガタ採りのためにこんなことまで考えて出発しなければならない。悩みの一つだ。

あーだこーだと書いてきたが、我が家の虫採り夏休みは幕を閉じた。

これからは成虫、幼虫を育てる生活が待っている…・ということは、家=ベランダが汚れるということだ。次から次へと飼育用品を買い、隣の奥さんはさぞ『物好きなやつだ』と思っているだろう。

口では、「マメでいいわね!」なんて言っているが…・・

それにしても、何故、奈良オオからの荷物はいつも白菜のダンボールに入っているのだろうか?この謎も解かなければならない。

夫がクワに入り込めば込むほど妻の仕事が増えることだけは、忘れないでほしい。

クワ関係のTV(最近増えた?)があれば頼まれなくても録画してあげるなんて夫婦愛のほかの何者でもない。

おかげで、寺門ジモンがクワガタを飼っていることも知ってしまった。

でも、ペニシリンのHAKUEIも飼っているって知ってた?

この、ペニシリンのHAKUEIってわかったら、あなたのおじさん度は少し減るだろう。(^^;;

ああ、キリがないが今回はこの辺で終わるとしよう。

次回登場する時は、いっそうパワーアップしてお届けすることにしよう。

その代わり「意外と好評だったらしい」という、おだての言葉がなけりゃダメだということは言うまでもない。


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