「怪説・世界のクワガタ」 第12回 (2)

A.CHIBA

         Cyclommatus elaphus Gestro,1881

   分布  スマトラ
  体長  ♂ 35−102mm
      ♀ 35mm
 
   Cyclommatus属の最大種で100mmを越える。体色に
   はやはり変化が多く茶系統のものから全身が金属緑
   色になる綺麗な個体もいる。大顎のカタチは個体の
   大きさの違いなどで著しく変化し別種と思えるほど
   変わってしまう個体もある。スマトラ島に広く分布
   すると言うが南部の多産地(Mt.Dempo)が知られる
   以前は殆ど日本に入って来ないクワガタだった。北
   部では現在も少数しか採集されない。南部の多産地
   では主にライトトラップで採集されると言うが、90
   mmを越える大型はやはり何百頭中の少数しかいない
   と聞く。この種の100mm近い大型個体を初めて見た
   時にその金属緑色に輝く豪華さと大きさに感激した。

   標本 Mt.Dempo S.SUMATRA
        April/1992
        ♂ 97mm


      Cyclommatus imperator Boileau,1905

   分布 パプアニュ−ギニア
   体長 ♂ 30−90mm
        ♀ 25mm

   大顎が長大になるキクロマトスの中では一番おなじ
   みの種。C.elaphus があれほど大きくなると一般
   に知られる以前はこの種がキクロマトス属の代表的
   な大型種であった。体色には変化が有り、茶系(赤っ
   ぽい)の個体と写真のような金属光沢をもつものと
   がいる。西イリアンには Cyclommatus imperator 
   monguilloniとされる亜種がいる。
  



   

   標本 JIMMI VALLEY WHP P.N.G.
        October/1996
        ♂ 82mm


      Cyclommatus tarandus Thunberg,1806

   分布  ボルネオ南部
   体長 ♂ 30−68mm
        ♀  22mm
 
   この種も大顎が長くなる種だが、ここまで紹介して
   きた中では体色が地味で大きさも一番小振り。産地
   ではそれほど少ない種とも思えないのだが、採集者
   がいないのか現在あまり入らないようである。最大
   体長は大きくても70mm前後のようだが大顎は良く
   発達する。マレ−半島にはC.tarandus stenosomus
   と言う亜種がいるが、こちらの方が更に希種。
   大顎の著しく発達する種はここまで書いた以外にも
   C.metalliferなどの有名種がいる。この種は何種
   類かの亜種が記録されておりブルーメタリック個体
   の存在など話題も多い種だが又の機会に譲りたい。
   
   標本 Pontianak KALIMANTAN S.BORNEO
       March/1988
       ♂ 62mm
 


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