「怪説・世界のクワガタ」 第12回 (1)

A.CHIBA

今回は前回までの ミヤマと並んで人気の高い Cyclommatus 属を紹介してみたい。キクロマトス属(ホソアカクワガタ属)の仲間はインドから東南アジア、中国、台湾まで分布する。その形態は非常にバラエティにとみ大きさも30mmほどにしかならない小型種から大型種では100mmを越えるものもある。また、色彩的にも金属光沢を帯るすばらしく美しい種が多い事も、人気の高い理由だろう。

キクロマトス属は比較的特徴が多く他属とは区別しやすいのだがそのひとつとして触覚のカタチが上げられる。
先端の4節が開き体のサイズと比較して第1節は明らかに長く他種とは簡単に区別出来る。
載せた写真は左から
* Prosopocoilus astacoides ノコギリクワガタ属

* Lucanus cervus ミヤマクワガタ属 

* Cyclommatus elaphus キクロマトス属




次に♀だが体は細身で頭部は殆どの種に粗い点刻が有り艶消し
前胸の側縁も直線的で特徴が有り見慣れると他の属と間違う事はない。
左から
* Cyclommatus martinii Lacroix,1989

* Cyclommatus pasteuri Ritsema,1891

* Cyciommatu zuberi Waterhouse,1876



Cyclommatus chewi Mizunuma,1994           
                                  
  分布 北ボルネオ
  体長 ♂ 30−82mm 
     ♀ 24mm

  この種は近年になり北ボルネオから記載された種
  で、個体により多少の変化 はあるがオオ顎と頭
  部は金属光沢を帯びる綺麗な緑色で非常に美しい
  種である。採集される数は多くないのかあまり見
  かけず、売られている標本も結構高い値が付いて
  いる。サイズだが70mmを越える個体は少なく大
  型でも60mm後半位が多い。希に80mmを越える
  オバケサイズが採れる事が有ると言う。
 

 標本 Ranau SABAH (ボルネオ島)
 12/Oct/1998
 ♂ 72mm


  
 Cyclommatus montanellus Mollenkamp,1904

 分布 北ボルネオ
 体長 ♂ 30−78mm
 ♀ 25mm

  前種に似るがオオ顎の内歯の位置と出方が多少違う。
 写真の個体は頭部とオオ顎が茶系統の色だが、やは
 り前種と同じ様な金属光沢の緑色をしている個体も
 ありとても美しい。この種はそう少ない種ではない
 様で標本は良く売られている。またこの種の亜種と
 されている Cyclommatus montanellus magnificus
 がボルネオ南部に分布している。


  
 標本 Mt.Kinabalu SABAH MALAYSIA (ボルネオ島)
 April/1993
 ♂ 71mm

   


 Cyclommatus giraffa Mollenkamp,1904

 分布  ボルネオ
 体長  ♂ 35−80mm
 ♀ 28mm

  体は金属光沢を帯びる事は少なく体色も写真の様な
 茶色をしており変化(個体差)は少ない。キクロマト
 スの中では、以前より入って来ており一般に良く知
 られている種。 


 標本 Mt.Kinabalu 1500mm SABAH MALAYSIA
 (ボルネオ島)
 1/April/1985
 ♂ 71mm


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