「怪説・世界のクワガタ」 第11回 ミヤマクワガタ (2)
A.CHIBA

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fig7 Lucanus parry Boileau, 1899
中華人民共和国福建省、江西省あたりに分布し、黒沢博士により次のミクラミヤマに近いとされた事で有名な種。30−40mm位のサイズでミクラミヤマよりは一回り大きく前バネは黄色のものが殆どだが中には黒い個体もいる。生態などの情報はまったく知らないのだが、やはりミクラミヤマの様な地上歩行性のクワガタなのだろうか ? 中国福建省 JUNE. 1987 採集。
fig8 Lucanus gamunus Sawada et Watanabe, 1960
次は虫好きならおそらく知らない人は居ないミクラミヤマクワガタ。伊豆諸島の御蔵島、神津島にのみ分布しているが、なぜこの2島だけに生き残ったのか論争の的にも成っているクワガタである。25−35mmの小型種で神津島のものが平均してすこしサイズが大きいと言うが個体数は少ないらしい。前バネに黄紋の出るものがいることも L. parry と近い種とされる根拠の一つとなっている。標本は1987年5月採集の神津島産。

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fig9 Lucanus pulchellus Didier 1925
北ベトナムの Sapa に産するが少ない種なのか、採集しにくいのかあまり標本も見かけず最大でどの位までに成るのかも解からない。今まで見た事のある最大サイズは50mmを少し超える程度である。頭部と前胸には微毛が有り、体色は黒から赤味がかるものまでいる。写真の標本は、Sapa(Chapa) Lao cai N.Vietnam MAY. 1995 採集。
fig10 Lucanus sp.
北ベトナムで採れるミヤマクワガタで L. fortuneiやL. swinhoei 等のヒメミヤマ系に似ていて、大顎のカタチが少し違う程度の違いしか無い。Tam Dao N.Vietnam JUL. 1996 採集。

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fig11 Lucanus fairmairei Planet, 1897
タイランド産は大顎から頭部、前胸にかけて金色の微毛が目立ち、♀も他の種より微毛があり区別しやすい。タイランド、ミヤンマー、中国雲南省、北ベトナムに分布。載せた写真は中型個体でさらに大型になると大顎は基部が横に張り出し迫力が有り、最大で50mmを超える。 Nan N.Thailand MAY. 1992 採集。
fig12 Lucanus sp.
この種は多くの標本は見た事が無くサイズ等も良く分からない。大顎は太く湾曲して頭部は非常に発達し特徴の有る外見をしているが、L. fortuneiやL. swinhoei に近い種に思える。この特徴のある外見で大型サイズでは他種との区別は容易につく。標本は Cao Bang N. Vietnam JUNE 1998 採集♂49mm。
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