「怪説・世界のクワガタ」 第11回 ミヤマクワガタ (3)
A.CHIBA

fig13 fig14
fig13 Lucanus kraatzi giangae, H. Ikeda 1997
月刊むし No. 316 クワガタ特集号で池田晴夫氏により記載された種で北ベトナム産。最大サイズは65mmとされている。中国の雲南省に産する原名亜種の Lucanus kraatzi kraatzi は DIDIERの図で見ると大型のものは大顎の基部が強く横に張り出した図が書いてあり更に迫力がある。この原名亜種は現在は採集されていないらしく古い標本しか無いようで数も少ない。載せた標本は Mt. Pia Oac. Caobang N. Vietnam MAY. 1997 採集。
fig14 Lucanus nobilis Didier, 1925
この種も北ベトナム産で近年になり入ってきた。載せた標本は Sapa N.Vietnam JUL. 1997 採集で60mmを少し超えている。この位になると小型のものとはだいぶ体型が変わるが、このサイズで中型個体だそうでかなり大型になる種らしい。ベトナムからは、ミヤマクワガタの類が多く記載されているが、L. janvoinei とされたのはこの種の大型個体だと言う。また写真は載せられなかったが L. cyclommatoides や L. femelle など良く似た種がいて同定しにくいものもある。

fig15
fig15 Lucanus elaphus Fabricius, 1775
北米大陸で一番大きなクワガタで合衆国東部に産し、大型になると頭部が発達し大顎は湾曲して先端は大きく開き、良いカタチのミヤマで人気も高い。この種の最大サイズがどの位にまでなるのか多くの標本を見ていないので良く解からないが、今まで日本に来るものは最大でも60mm程度しか見た事がない。北米には標本商も無いのか ? この地のクワガタは東南アジアのようにまとまった数が入ってくる事は望み薄である。載せた標本のラベルは E. America 1923 となっている 。
[参考文献]
世界のクワガタムシ大図鑑
日本の昆虫Gミヤマクワガタ
月刊むし No.316 1997
池田晴夫著・世のクワガタムシ
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