タンパク質は簡単に言うとアミノ酸のポリマーであり、生体における構成としては酵素、
組織、栄養等あらゆる構成を担う重要な物質であるが、添加剤として利用されるのは
栄養(植物組織における貯蔵蛋白)が主体である。栄養吸収上のメカニズムでは体内
摂取時にはタンパク質ではなくアミノ酸で吸収される必要がある。この時摂取される
アミノ酸は必須アミノ酸に注目されがちであるが、実際には体合成可能なアミノ酸を含
めて全てがあればそれに越した事はなく、体内合成分は足りない分の補足分と捉える
べきである。すなわち、完全に近い補給を目指すならば、穀物の蛋白ではなく、肉を
主体とした蛋白の補給が望ましい事になる。
従来の発酵マットでは添加されたタンパク質及びアミノ酸は微生物に利用され、
その
構成物質となるか、アンモニアや硝酸イオンとなってしまう。つまりそのま
までは吸収
できない形に姿を変える。本来クワガタはどういう形でアミノ酸の摂取を行っているの
だろうか?もともと朽ち木に含まれるタンパク質やアミノ酸を消化吸収し、不足分は共生
菌の生成する過剰排出されるアミノ酸に頼っていると思われる。アミノ酸合成に関して
は体内共生菌の働きによるものと思われ、腐食度の進んだ餌を摂取可能な種程この
能力は高くいと思われる。従って、腐食度の低い餌を主体とするオオクワガタでは体内
共生菌によるアミノ酸の供給能力の上限はそれほど高いレベルに無い事が想像される。
フスマ(専増フスマ=全粒の40%程、普通のフスマ=20%程、このほかに精製フスマ
=小麦成分ほとんど無しで場合によっては加熱加工、とあるがここでは 専増フスマ、
普通のフスマを対象として記述する。)は小麦成分を結構含んでいる。
この小麦成分は従来の小麦粉添加発酵マットと同じ様な効果があると考えていいと
思われます。発酵が終了した後、フスママットでは小麦粉成分は分解されてしまいます
が、フスマ自体は分解されずに残ります。これには蛋白質を始め各種成分が分解され
ずにそのまま残っています。結果、幼虫はそれを直接経口摂取する事になり、体内で
適度に分解され、栄養素として吸収されます。つまり、体内共生菌の生産するアミノ酸
+直接経口摂取分のアミノ酸の効果が期待できる訳です。