Bachelor in Paradise ★★★

1961 US
監督:ジャック・アーノルド
出演:ボブ・ホープ、ラナ・ターナージャニス・ペイジ、ジム・ハットン、ポーラ・プレンティス

左:ジャニス・ペイジ、右:ボブ・ホープ


1960年以後公開されたボブ・ホープ主演映画はほとんど見ていますが、その中のベスト作品は何かと問われれば、日本では劇場未公開の「Bachelor in Paradise」を挙げるでしょう。正直いえば、1960年以後の全盛期を過ぎたボブ・ホープが主演する映画の中で繰り返して見ている作品はこれのみです。リビエラ海岸でフランス美女を手玉にとる名うてのプレイボーイ作家(ボブ・ホープ)が、その名もパラダイス・ビレッジと称されるアメリカの郊外住宅地に家を借り、次のベストセラーのネタにするために身分を隠して現代アメリカにおける一般ピープルの暮らしを調査し始めたところ、旦那連中が仕事に出掛けた後は完全な女系社会と化す郊外住宅地に、流暢なフランス語を巧みに操るプレイボーイがやって来たということで次々にすったもんだが起きるという艶笑ネタストーリーが繰り広げられます。そのような他愛の無いストーリーを持つ作品が1960年代以降のボブ・ホープ映画のベストであると思う理由は、オーディエンスのタイミングを見事にはずしまくるボブ・ホープお得意のとぼけたコメントが絶好調である点は別としても、1960年代初頭のアメリカの郊外住宅地の様相が見事に捉えられているところが興味深いからです。アメリカの郊外住宅地の様相に関しては「必死の逃亡者」(1955)のレビューなどで述べたのでそちらを参考にして頂くとして、それらの作品では郊外住宅地の抱える問題がシリアスにハンドリングされているのに対して、「Bachelor in Paradise」ではコミカルに描かれている点が大きな特徴です。何しろ、「必死の逃亡者」で平和な郊外住宅地に乱入するよそ者が犯罪者達であったとすれば、「Bachelor in Paradise」ではそれはプレイボーイなのです。また、ラナ・ターナーのコメディ出演もこの頃は珍しく、この作品の他には、同様に個人的に大好きな「浮気の計算書」(1962)があるくらいです。それから脇役陣にジャニス・ペイジ、ポーラ・プレンティス、ジョン・マクギヴァー、アグネス・ムアヘッドなどの個性派俳優が揃っている点も見所です。


2001/02/25 by 雷小僧
(2009/02/02 revised by Hiroshi Iruma)
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