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ジェームズ・ボンドシリーズのパロディ映画ですが、ジェームズ・ボンドシリーズ自体がスパイもの映画のパロディであるとも見なせるので、「サイレンサー/沈黙部隊」はいわばパロディのパロディ、すなわちパロパロであることになります。当作品から始まるディーン・マーティン主演のマット・ヘルムシリーズは全部で4作ありますが、さすがにこの手の作品は、一作見れば全作品見たにほぼ等しく、またこのトップバッターが他と比べて格段優れているわけでもありません。他の作品ではなく「サイレンサー/沈黙部隊」を取り上げた特別な理由はなく、長くVHSが品切れになっていたこの作品のDVDバージョンが最近発売されたからです。マット・ヘルムシリーズ全作品に共通して当て嵌まることは、娯楽性をマキシマイズしようとする努力が見られることで、たとえばこの作品でも冒頭のシド・チャリースのダンスなど歌や踊りのシーンが多いことは特筆できます。またボンドガールならぬヘルムガールもふんだんに登場します。その中でも目立っているのは、ステラ・スティーブンスであり、「三半規管がいかれてるの」的な彼女のパフォーマンスには笑えます。殊に、どしゃ振りの雨の中で一人で泥だらけになりながら一種のパントマイムを繰り広げるのは傑作です。演技がどうこういうよりも、泥水の中に顔面から突っ伏していくそのド根性に失礼ながら笑ってしまうのです。それから、ジェームズ・ボンドシリーズ同様秘密兵器も登場し、殊に引き金を普通の拳銃同様に引くと弾丸が後方に発射され、前方にプッシュすると弾丸が前方に発射されるリバースガンは、最後に重要な役割を果たします。でも、こんな銃を持っていたら危なくて仕方がないでしょうね。小生ならば、間違いなく操作を間違えて自分がお陀仏でしょう。ということで、何も考えなければ、そこそこ楽しめる作品です。