「雨に唄えば」(1952)や「バンド・ワゴン」(1953)などを見ていると、彼女は女優さんであるというよりもバレーダンサーであるような印象を受け、実際にバレーダンサーとしてのトレーニングを受けてきたようです。いずれにしても、均整のとれたボディ、日本人にはとてもあり得ない長い脚、ビューティフルな顔立ちなどの特徴は、どんな映画に出演していても目立ちます。とはいえ、下記の主要出演作品の一覧を見れば分かるように、ニコラス・レイのカルト的な作品「暗黒街の女」(1958)に出演後は傾向がかなり変わるとはいえ、それまでの出演作は、彼女の持つダンスの能力が最大に生かせるミュージカル作品がほとんどでした。因みに、左端の画像でも分かる「雨に唄えば」での彼女の奇妙なおかっぱ頭について付け加えておきましょう。Raymond
Knappの「The American Musical」(Princeton University Press)によれば、あの髪型は、1920年代に活躍した女優ルイーズ・ブルックスをイメージしたものだそうです。ミュージカルにおいてはそれが伝統になったのか、以後も「キャバレー」(1972)でライザ・ミネリが、また「シカゴ」(2002)でキャサリン・ゼタ−ジョーンズが、あの髪型で登場するのは皆さんご存知のところでしょう。Knappは「有名なページボーイ髪型(famous
page-boy hairdo)」と述べていますが、べっぴんさんがあのような髪型で登場すると確かに強烈なインパクトがあります。 |
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