その日その時 ★☆☆
(Moment to Moment)

1966 US
監督:マービン・ルロイ
出演:ジーン・セバーグオナー・ブラックマン、ショーン・ギャリソン、アーサー・ヒル

左:オナー・ブラックマン、右:ジーン・セバーグ

マービン・ルロイが監督した恐らく最後の作品だと思われます。ルロイは様々なタイプの作品を監督していますが、最後に行き着いたところがテレビの昼メロ番組のような「その日その時」であったとは、人生の一種の皮肉かもしれません。昼メロソープオペラに必須のキーワード「不倫」がピタリと当て嵌まるような題材が臆面もなく取り上げられ、それにややミステリーサスペンスタッチが加えられ、辛うじて映画である体面を保っています。同年に公開された「母の旅路」(1966)を筆頭に、当時はこのタイプのテレビ放映のメロドラマに近い作品がかなりありました。主人公(ジーン・セバーグ)は不倫相手を殺したと思い込むけれども、実は記憶喪失状態で生きており、彼が記憶を取戻すと事件の真相が当局や旦那に知れてしまうという「その日その時」のミステリーサスペンス調のストーリー展開はそれなりに楽しめますが、あまりにも都合の良いラストシーンが結局全てを台無しにしているところが、もともとチープなメロドラマ作品に更にチープな印象を与えています。それではなぜそのような作品をわざわざここに取上げたかというと、実は「その日その時」には素晴らしいアセットが1つ存在するからです。それはヘンリー・マンシーニの音楽です。全篇に渡って彼の音楽が彩りを加えており、それがチープなメロドラマをチープななりに引立てているのです。いわばメロドラマの付随音楽とはこうあるべきというような音楽であり、メロドラマの感傷性を嫌味なく盛り立てているところは、さすがマンシーニと言わざるを得ないでしょう。マービン・ルロイのラストフィルム(違っていたら御免なさい)でもあり、いずれにせよ昼メロソープオペラが好きな人にはかえって面白い作品かもしれません。また、長髪のジーン・セバーグもなかなか魅力的ですし・・・。


2001/07/14 by 雷小僧
(2008/11/02 revised by Hiroshi Iruma)
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