母の旅路 ★☆☆
(Madame X)

1966 US
監督:デビッド・ローウェル・リッチ
出演:ラナ・ターナー、ジョン・フォーサイス、コンスタンス・ベネット、ケア・デュリア

左:コンスタンス・ベネット、右:ラナ・ターナー

原題の「Madame X」が安っぽくいまいち見る気を起こさせないのと、監督がテレビ出身のデビッド・ローウェル・リッチであることもあり、長らく見たことがありませんでしたが、掲示板などで話題になっていたこともあって、取り寄せてみました。説明は困難ながら、やはりテレビ的な印象を強く受けました。けれども、必ずしもテレビ的=映画としてXというわけではなく、テレビ的であることによってある種の安心感或いは親近性が感じられるのもまた確かです。殊に、落ちぶれた自分に関する真実を実の息子が知るのを防ぐ為に殺人を犯した母親を、そうとは知らない息子が弁護するという現実世界ではほとんど起こりえないストーリーは、過去何度か映画化されたことがあることからも分かるように、メロドラマには格好の素材であり、見ていてある種の親近感が湧くのではないかと考えられます。個人的にはあまり実際に見たことはありませんが、昼メロソープオペラとは、完璧に予測可能な親近性があるからこそ、すなわち、たとえばここで主人公は必ずこのような行動を取るであろうと期待するオーディエンスの願望が見事に充たされるからこそ、お涙頂戴的な共感を呼ぶのではないでしょうか。その点において、「母の旅路」は、わざわざテレビ的であることによって、メロドラマ効果が最大限に利用し尽くされているようにすら思われます。また、ラナ・ターナーがついにここまでやるようになったかと思わせるほど、アングラマラスな役を演じているのが実に印象的です。意地悪姑を演じるコンスタンス・ベネットも実に素晴らしい。いずれにしても、メロドラマとしてはよくできている作品であることは確かです。涙腺のゆるい人は、ハンカチをたくさん用意してから見ましょうね。


2001/05/26 by 雷小僧
(2008/11/03 revised by Hiroshi Iruma)
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