北西戦線 ★★☆
(Flame Over India)

1959 UK
監督:J・リー・トンプスン
出演:ケネス・モア、ローレン・バコール、ハーバート・ロム、ウィルフレッド・ハイド・ホワイト

左:ローレン・バコール、右:ケネス・モア

子供の頃TV放映で見たのを覚えていますが、以来30年近く見たことがなく、最近ようやくビデオを購入して再見できた作品です。なぜこのようなイギリス産のマイナー作品を覚えていたかと云うと、ムスリム教徒の攻撃をかわしながらオンボロ機関車に乗ってヒンズー教徒の王子様を無事に安全地帯に送り届けられるかという手に汗握るストーリー展開が当時ガキンチョであった小生のテーストによく合っていたからなのではないかと考えられます。加えて小生は、その昔鉄道と地名が3度のメシよりも好きで、東京から鹿児島までの駅名をそらで疾風の如く唱えることができた程ですが(昔万国ビックリショーというTV番組があり、似たような芸当を披露している人がいましたが、あれならオレサマでもできるぞなどと小生意気にも思っていたものです)、そのようなこともあり、機関車や電車の出てくる映画は、節操なく何であれ大好物だったのです。いずれにしても、再見してみるとやはり今でも結構楽しめます。監督のJ・リー・トンプスンは、70年代に入ってチャールズ・[マンダム・]ブロンソンにつかまってからは評判が急降下しますが、50年代や60年代の前半くらいまでは活劇調の実にサスペンスフルな佳作を監督していました。また、キャストが素晴らしく、主演のケネス・モア、ローレン・バコールは勿論、ジャーナリストを演ずるハーバート・ロムなど逃避行に参加する面々に独自の特徴があります。とりわけ、最大の発見は、逃亡する機関車の機関士を演じている(恐らく)インド人のI.S.Johar(すんましぇん発音がよく分かりましぇん)で、彼のコミカルな所作と英語の発音が、アクションと緊張感に溢れるストーリー展開に、実にバランスのよい軽妙なタッチを加えています。彼の存在によって、この作品の最大のセールスポイントである緊張感溢れるシーンと軽妙且つコミカルなシーンの共存が、見事に演出されていると言っても過言ではないほどです。このJoharという俳優さんは、他には「ナイル殺人事件」(1978)くらいでしか見かけたことがありませんが、そこでも「北西戦線」と全く同様なしゃべり方で絶妙なコミックタッチを加えていました(ナイル川を遡行する汽船の案内役が彼です)。というわけで、このイギリス産映画は昨今のハリウッド産のアクション映画のようなド派手さは全くありませんが、それでも活劇調の映画を見る楽しみは十分に味わえるのではないかと思います。


2001/09/09 by 雷小僧
(2008/10/14 revised by Hiroshi Iruma)
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