見た映画がたまたまそうであった可能性もありますが、彼女は、もしかするとアンドロイドではないかと思われるほどのコールドなイメージを持ち、ファムファタール役が似合いそうにも見えます。とはいえ、氷のような無機質さが際立ちすぎ、ファムファタールに必須の「骨の髄まで腐っている」という有機的なインパクトに欠けるきらいがあります。骨の髄まで凍っていては、腐ろうにも腐らないということです。能面のような表情をしている時が、最も彼女らしいと言ってしまえば、ファンに怒られるでしょうか?
そのようなイメージは、彼女の最後の出演作「First Monday in October」(1981)に至るまで消えませんでした。また、「紅の翼」(1954)では、その特異なパーソナリティを絶妙に活かしてアカデミー助演女優賞候補になりました。実は、彼女の能面のような表情の下には、ガラスのように壊れやすい内面が宿っており、それを悟られないよう、強がって無表情な顔付きをしていることが、この作品を見ればよく分かるはずです。男優でいえば、ローレンス・ハーヴェイの印象に極めて近いかもしれません。「紅の翼」では、現代のギャルギャルも顔負けするほど、飛行機の中で一生懸命にパタコパタコとお化粧に勤しんでいますが、実はこれは、自分の壊れやすい内面を防御する為に、既に十分に能面のような表情を、更に強化するための彼女一流の戦略だったのです。この戦略性が現代のギャルギャルとの大きな相違なのです。搭乗した飛行機が海中に墜落せんとする瀬戸際に、かくして折角パタコパタコと化粧した彼女の頬を伝って、隠し切れない恐怖の?涙がこぼれ落ちるシーンは、極めて印象的でした。と言いつつも、よく考えてみれば、ジョン・ウェインがドライバーシートに座っている(但し副操縦士ですが)飛行機が落ちるはずはないので、彼女の不安は取り越し苦労というものでしょう。 |
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1948 |
ジョニー・ベリンダ |
1954 |
紅の翼 |
1950 |
武装市街 |
1954 |
第三暗黒街 |
1951 |
対決 |
1955 |
街中の拳銃に狙われる男 |
1951 |
地獄の英雄 |
1956 |
殴られる男 |
1952 |
挑戦者 |
1956 |
1984 |
1953 |
非常線 |
1961 |
金魚鉢の中の恋 |
1953 |
ミズーリ大平原 |
1967
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ある戦慄 |
1954 |
北海の男 |
1981 |
First Monday in October |
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