かつて、淀川長治さんであったか、かくも奇麗な女優さんは見たことがないなどとのたまっていましたが、彼女の場合、多少中性的な雰囲気があるように思われます。オーストリア出身であり、最初は自国の作品に出演し、60年代前半から70年代初頭にかけて英米の作品への出演が中心になります。しかし、それ以後は、オードリー・ヘップバーンの主演した「華麗なる相続人」(1979)を除けば、独仏の作品にしか出演しなくなってしまったのが何とも残念なところです。いずれにしても、主演格で出演した英米の作品はほとんどなく、英語圏では不完全燃焼に終わったヨーロッパ出身の女優さんの一人になってしまいました。確かに、イタリアやスウェーデン出身の女優さんたちと比べると、ビューティでは負けずとも、やや個性に欠けるきらいがあるようにも見えます。ただ、これは、個性を発揮できるような作品に恵まれていなかったからこそ、そのような印象を受けるのかもしれず、これといって当たりのなかった英米作品では、やはり不運であったと見なすべきかもしれません。不運といえば、40才代前半に、若くして心臓麻痺により亡くなったことも不運でした。 |
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