『キャプテンKen』のある小さな変更

佐藤和美

 『キャプテンKen』講談社全集1巻P55を開いていただきたい。水上ケンとマモルの家族との朝の食卓の場面である。このページが『少年サンデー』ではどうなっていただろうか。実は左側の縦4コマは『0マン』の単行本のコマーシャルがあるため存在しなかったのである。講談社全集と『少年サンデー』を比較してみよう。

コマ 全集 サンデー
 1 「あら地球のくだものとおんなじだわ」 「あら地球のくだものとおんなじだわ」
 2 「ハハハ ところが大ちがいだ こっちの皮のほうをたべるのさ」 「ハハハ ところが大ちがいだ こっちの皮のほうをたべるのさ」
 3 「それからこっちのくだものはタネの皮むいてたべるの」
「まあ」
存在しない。
 4 「こうやってるとちっとも火星って感じがしませんわ」
「ええそうでしょう 地球のあなたのうちにいるものと思ってくらしてね」
「こうやってるとちっとも火星って感じがしませんわ」
「ええそうでしょう 地球のあなたのうちにいるものと思ってくらしてね」
 5 「あなたにゆっくり地球のお話聞きたいわ」 存在しない。
 6 「チェッ ふたことめには地球地球だ 地球ってそんなにいいとこなのかい」 「チェッ ふたことめには地球地球だ 地球ってそんなにいいとこなのかい」
 7 「マモル どうしたのよ」
「ごちそうさまッ」
「マモル どうしたのよ」
「どうせぼくは火星人ですよ」
 8 「地球の話聞かないの?」
「どうせぼかあ火星人ですよっ」
存在しない。
 9 「おい どこへ行くんだ」
「ウマの手入れしてきます」
「おい どこへ行くんだ」
「馬の手入れをしてきます ごちそうさま」
10 「あいつはいい子だがおこりっぽいのとケンカっぱやいのが玉にキズだ」 「あいつはいい子だがおこりっぽいのとケンカっぱやいのが玉にキズだ」
11 「どうして地球のこというとおこるんでしょう」 存在しない。

 左側の縦4コマが存在しなかったということを信じられるだろうか。後で追加したのに違和感なくコマ、セリフが流れていくのには驚くほかない。小さいことだがこういうところにも手塚治虫のすごさを感じる。

(2001・5・19)


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