「カノン」

佐藤和美

 カノンは音楽用語である。

 「大辞林」には次のように書かれている。

カノン [canon]
対位法による多声音楽の作曲技法、またその技法による楽曲。主題となる旋律を奏する先行声部を、後続声部が一定の関係を厳格に保ちながら模倣し追行する。追復曲。

 カノンがどのようなものであるのか知りたければ、パッフェルベルの作曲した有名な「カノン」を聞くのが良いだろう。「主題となる旋律を奏する先行声部を、後続声部が一定の関係を厳格に保ちながら模倣し追行する。」というのがわかるだろう。

 手塚治虫の短編「カノン」は講談社全集版では「タイガーブックス3」に収録されている。ここで描かれるのは先行する過去と、後続し模倣する現在である。そのため「カノン」という題名が与えられたのではないだろうか。

(2000・12・26)


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