言葉の世界・伝言板 2003年7月



台湾語

zo- (2003/07/31 22:30)

U+3002さん

>ただし、台湾語にはjo’[zo]があるようです。

これって、実際にはどの音のことなんでしょう?台湾ビン南語で[zo]というの、思い当たらないんですが。台湾で日本語を勉強している人でも「ぞ」はやや難しいらしく、初級者は「どうぞ」と「どうろ」がうまく区別できない場合もあります。

もしかして暑というjoah(教会ローマ字)の子音のことでしょうか?(たぶん、音節としてはjo’みないな感じの発音はないような気がするんですが)これは「熱」の音で別の下位方言ではroahとも言います。でも、もしこれなら、ちょっと音声学的なことはうまく説明できないのですが、日本語の「ぞ」が舌の先の部分全体が上顎に押し付けられているのに大して、台湾語のjoahは舌の先ではない部分がやや触れるくらい(日本語の「シ」という時に似ています)で、聞いた感じでは(私の主観ですが)、日本語の「ぞ」とはかなり違った音色です。
ご教示ください。



RE:ジプシー語

きしろふ (2003/07/31 19:42)

>massangeanaさん
ありがとうございます。
早速友人に報告です(^^)



re:発音

らにい (2003/07/31 19:39)

>U+3002さん
本当だったんですね。
そうなると「ぞ」ではなく「つぉ」になりますかね?
「どうぞ」ではなく「どうつぉ」??

「ぞ(zo)」の他にも発音がないものがあると聞きましたが、他には何があるのでしょうか?



Re: 発音

U+3002 (2003/07/31 16:04)

らにいさん
>中国語にはいわゆる日本語の「ぞ(zo)」という発音がないと聞いた事がありますが本当ですか?

本島です。

日本語の/zo/の発音は、[dzo](主に語頭)/[zo](主に語中)です。
しかし、普通話には、[z]も[dz]もありません。([‐o]に限らず)
綴り字zで表される発音は[ts]です。

ただし、台湾語にはjo’[zo]があるようです。



発音

らにい (2003/07/31 12:36)

いきなりで申し訳ありませんが、中国語にはいわゆる日本語での「ぞ(zo)」という発音がないと聞いた事がありますが本当ですか?
よろしければ教えてください。



唐詩の押韻と韻母

偽中国人 (2003/07/31 06:40)

唐詩に用いられる韻は読書音とよばれる古典を読むための発音に基づいています。漢詩、唐詩といわれるものの押韻は中国の官撰韻書の韻目(韻書により分類された韻のカテゴリー)が同じであればOKで、現代の口語(特に北京語)の発音の韻母とは直接関係ありません。
http://willnet.tv/kenitiro/insyo.html

韻書というのは方言の多い中国で科挙の試験科目の作詩のための統一基準(指導要領)と考えるのがよいと思います。

普通話の元となった北京語には口語音と読書音の差は少なく、福建語ではほとんどすべての漢字について白話音と読書音が存在しているようです。読書音については次のリンクの「『切韻』の漢字音は中国語ではない」をご覧ください。
http://village.infoweb.ne.jp/~fwhw2381/Ki010324.htm

現行漢語ピンインは漢語ピンイン方案制定以前の発音字典とくらべるとかなり簡略化されたものだということが判ります。漢語ピンイン方案に採用されなかった発音もあります。「辞海」という辞書の付録には趙元任考案の国語羅馬字で國音常用字讀音表というのがあります。辞海には末尾にp,t,kのある「入声」も載せています。

古典文語体の詩を口語体の普通話で読んでも、単に日本漢字音と異なった異国情緒を醸し出す程度の効果しかないと思います。

北京語で古典詩を朗読するのであれば「中原音韻」の音韻体系に従って発音するのが良いのではないでしょうか?ただし入声がありませんが....。京劇でも古典物は「中原音韻」に「下江官話」をミックスしたような発音をするそうです。(中国語学新辞典 昭和45年光生館)

普通話では声母が混同されている「煎、堅jian」も「煎tsien(尖音)」、「堅kien(団音)」と区別されています。

「黄鶴楼送孟浩然之廣陵」
           中原音韻   ビン南音   粤音
 起句末尾→「樓」: lou 陽平   loo 陽平   lau陰平
 承句末尾→「州」: tsiou陰平   tsiu陽平   zau陽平
 結句末尾→「流」: liou 陽平   liu 陽平   lau陰平



Re: ジプシー語

massangeana (2003/07/31 02:57)

私はよく知りませんが, Google で「romany language」「romani language」あたりを
検索してみるといろいろ参考になりそうなページがみつかるようです。
言語学大辞典の「ロマーニー語」のところにも何か書いてあったのでは。



放浪する人々?

きしろふ (2003/07/30 21:23)

唐突ですが、大学で言語学をやっている友人がジプシー語について知りたいというので、ジプシー語に関する資料(辞書など)があれば教えていただけませんでしょうか?
お願いします。

「ジプシー」の語源は「エジプシャン」であるといわれていますが、ドイツでは「チゴイネル」、フランスでは「ボヘミアン(他 マヌーシュ、ロマニシェル)」、スペインでは「ヒターノ」、アラブでは「ズット」、トルコでは「ファラウニ」と呼ばれていて、そして自分たちは「ロム」と呼んでいるそうで、一定していないとのことです。



「茶」 の語源/ロシア語資料より

にれのや (2003/07/30 17:53)

【いまごろになって 「茶」 の語源】
昨年暮れに、話題になっていた 「茶」 の語源ですが、先日、ロシアで刊行された馬鹿デカい語源辞典を購入しました。
     《Историко-этимологический словарь современного русского языка》
         1993/Павел Яковлевич Черных/モスクワ
本書より、【чай】 chaj [チャイ] の項目を抄訳してみます。すでに、ここに書かれたことと重複する点も多いのですが、スラヴ側からの資料で裏づけしてみるのも有意義であろうとて、引用するしだいであります。なお、「にれのや註」 には、< > を使用します。
【Чай】ウクライナ・ベラルーシ・ブルガリア чай、セルビア=クロアチア чаj、スロヴェニア・チェコ・ソルブ c{+v}aj。ただし、ポーランド語 herbata (<ラテン herba thea)。
 ロシア語では、чайは17世紀中葉より使われる。なお、初期には、おそらく、薬用植物の名称としてだった。たとえば、『ロシア医学史資料集』(1881-85) には、「煎じ汁には、茶 чаю <対格>・ラモノフの花(?) <ママ> を3つかみずつ」 (1665)、「汗の ханский 葉を煎じた茶 чаге <主格・中性あつかい> (おそらく、чаjе もしくは чаγе)」 (1665)。
 どうやら、中国語から直接に借用されたらしい。(17世紀後半には、モスクワ公国と中国との関係は確固として成立していた)。ロシア語の чай は、中国語の ча:чае にさかのぼる。(ча―飲料の茶、чае―茶の葉、чашу―茶の木)。チュルク諸語 [トルコ c{+セディーユ}ay、アゼルバイジャン чай (caj)、ウズベク чой、etc.] の仲介を推定する必要はまったくない。この語は、東方 (Восток) には広く行き渡っている。cf. ヒンディー ча:й、パシュトー ча:й、etc. 近東では、ペルシャ чай。他の国では、モンゴル цай、ブリャート сай、日本 (о)тя。
 ほぼ、同時期に、ロシア語と同じように、西欧でも (ロシア語とは異なった) 茶の名が使われ始めた。フランス語、(17世紀中葉より) the{+´}。[少し遅れて、18世紀後半には、フランスでは、茶は chia, tcha とも呼ばれた。(cf. ポルトガル cha{+´})。これらは、ロシア語 чай と同語源の語である]。英 tea (17世紀には cha とも)、独 Tee、蘭 thee、伊 t(h)e、西 te、etc. 西欧の茶の呼び名は、南部の中国語 [アモイ]、さらには、マレー語(インドネシア語) teh に起源を持つ。

【ラルース仏語語源辞典より】
【the{+´}】1563 "Dictionnaire general de la langue francaise" 初出。中国語 te{+´} よりオランダ語を通して。

■以上、茶ばなしでしたが、注目すべきは、1665年のロシア語の資料に чаге (辞典内では [チャイェ] or [チャげ] の発音を推測している) という語形があって、これが中性名詞扱いであることです。



Re:懐かしい

未菜実 (2003/07/30 13:01)

懐かしい:思い出に心がひかれる。ナツク(懐く)を形容詞化したもの。
中世以後、懐旧の思い出にいうようになったが、古くは身近に愛着をおぼえ慣れ親しむ気持ちを示した。    堀井令以知の語源大辞典(東京堂出版)

なつく【懐く】
(「なづく」とも。馴れ付くの意)馴れて付き従う。馴れ親しむ。親しみよる。慕う。     国語大辞典(小学館)



”懐かしい”の語源???

Mari (2003/07/30 10:01)

”懐かしい”の言葉の由来を教えてください。なぜ、昔のことを思い出すということを懐かしいというのですか?



国会図書館

顕正居士 (2003/07/29 22:25)

で今日は消閑しました。虚擬のほうです。いま明治期の図書3万冊の画像が
入力されているそうです。

http://kindai.ndl.go.jp/index.html
国会図書館らしく玉石混淆、空襲以前の神田を参観したかのようである。

平田篤胤の『印度蔵志』、井上円了の『外道哲学』おのおの巻頭に天竺印度
の呼称を辯じていた。平田氏は衆国にすぐれる義をあらわすなら月でなくて
日であろう、天〜は別の語源であろうという。井上氏はインド大陸の形態説
(三日月に似る、普通は空想上の別の大陸をいう)まで出し印度・月の国説
を弁護する。河口慧海師の『生死自在』なる随筆では転生がある証拠は卑近
にあり、同じ父と同じ母より生ぜし3人の子、長じては性を異にす、慧海師
にはいっぱんの兄弟も一卵性双生児も同じである、実説はギャグよりも奇也。

古人が今人と同程度に愚昧であったのが認証され興趣しばらく尽きなかった。



Re: 漢詩について

massangeana (2003/07/29 07:44)

>>楽府の1解(stanza)
>→ボンヤリとはわかるのですが、も少し解説を!
ここの「五言古詩換韻格」に実例がありました。stanza は「章」で, 「解」
はもっと小さい単位かもしれません。
 http://www.rihaku.jp/manabu/ma-text01.htm

>ところで、「解」は「ゲ」? やっぱり「カイ」?
カイでいいと思いますが, 中国畑の人は読み癖にあまりこだわらない(という
より積極的に衒学的な読みを排する)傾向があるので自信はありません。

>「近似韻」「不完全韻」
中国現代詩でも an と ian は(a の音色がかなり異なるにもかかわらず)平気
で押韻しますね。
ここにスペイン語の詩がありますが, momento -- viento -- movimiento で
押韻していました。-ou と -i(o)u の押韻もこれに近いかもしれません。
 http://www.coh.arizona.edu/spanish/comedia/misc/poetic1.html

>「蚯蚓」は mimizu
旧かなでは「みみづ」かと。



RE: 犬・猫・馬

ロスケ (2003/07/29 04:53)

Bene facis>Maniac C.

>馬肉を食べるという習慣と歴史ははっきりしない部分が少なくないが、主要国
>で馬肉を食する習慣がまったく見られないのはイギリスとドイツだけと言われて
>いる。そのドイツでも、近世に入るまでは盛んに食べていたという記録が残って
>いる。

ヨーロッパの狂牛病騒ぎで馬肉の需要は増加し、1999年には12,000頭の馬がイギリスからフランスとベルギーに輸出されたとか・・・・

http://www.student.city.ac.uk/~rc313/food2/livestock_breeding.html



見ました

zo- (2003/07/29 04:47)

Maniac C. さん
 見ました、韓国の。すごいですね。猫さん、「苦しませて殺す」って…。都会育ちの方は想像できないかもしれませんが、家の近所では鶏を買って、自分でしめて、ということもあるのですが。

中国、台湾ではよく、農民は牛を食べないといいます。(台湾では時々若いのに、おばあさんに言われているからといって守っている子もいる)



犬・猫・馬

Maniac C. (2003/07/29 03:44)

予告してあった報告です。

■まづは日本編
日本でも、江戸時代ぐらいまでは「くすりぐひ」と称して犬が食べられていました。
(本来は犬に限らず、獣肉食を広く言う言葉ですが。これは冬の風物詩のようです。)
猫は、独特の食文化を持つ沖縄では、現在でも密かに食べられているようです。
 生姜焼き
www5d.biglobe.ne.jp/~gtm/okinawanonekoryouri.htm
民話「猫汁」
www.okiu.ac.jp/minwa/onnavill/warai/ koukatsumono/nekojiur.htm
猫汁は喘息に効く?
home3.highway.ne.jp/ayame/okinawa/zakki/zakki02.html

■韓国編
心臓の弱い方や、犬・猫好きの方にはお勧めできません。魂消ます。
好奇心の強い方だけ、覗いてみてください。夢に出てきそうです。
「ようこそ”ミョンスの韓国情報”へ」(無残な写真付き)
ポシンタン(補身湯)
http://kankoku_02.tripod.com/Korea_cooking/Posintan/index.html
コヤンイ クッ(猫汁)
http://kankoku_02.tripod.com/Korea_cooking/Koyaniku/index.html

■中国編
先日書き込みした「虎」について触れているHPなど。
 龍虎鳳大会(広東)
www.ryukyushimpo.co.jp/hae/kaze11/h000422.html
 龍虎闘(広東)
www5.plala.or.jp/office_kh/chinese_cuisine.htm
 財記狗肉飯店(深圳)
www.nicchu.com/shenzhen/area/11.html
 写真(潮州)
yangchie.hp.infoseek.co.jp/ryokouki_southernchina.htm
 犬と猫と
members.aol.com/yshmuto/hoshizora/cat.htm

■アジア編
 フィリピン
www.vets.ne.jp/log/search/data/1200/199904/42.html
 ベトナム(THIT CHO)
village.infoweb.ne.jp/~tshiota/culture7J.htm
www.sanshinkoeki.co.jp/vnrepo01.htm
www.junmas.com/vietnam/messages/14.html

■ヨーロッパ編
 ドイツ・スイス
world-reader.ne.jp/renasci/another/ s-suzuki-020319.html
 スペイン
www005.upp.so-net.ne.jp/sigeki-spain/ANIMALES.htm
 フランス
「犬肉を食べるフランス人」
http://wolf.ok.ac.kr/~annyg/japan/j6.htm
1871年度のルモンド・イラストラシオン紙に載ったパリの犬肉精肉店の挿絵
“viande canine et fe´line”と書いてあります。
http://wolf.ok.ac.kr/~annyg/japan/image/pic_6.gif

■アフリカ
 ガーナ
www.ururun.com/bn/353.htm

■オセアニア
ニューギニア
www.biwa.ne.jp/~ohtani/tankajin/199801/nyu-ginia.html

■馬肉(こんな回答を見つけました)
Q10.馬肉を食する文化は世界中にあるの?
A10.馬肉を食べるという習慣と歴史ははっきりしない部分が少なくないが、主要国で馬肉を食する習慣がまったく見られないのはイギリスとドイツだけと言われている。そのドイツでも、近世に入るまでは盛んに食べていたという記録が残っている。だが、あらゆるものを材料にすると言われる中華料理でも、馬の肉を使った料理はあまり考えつかなかったらしく、その数は少ないようだ。
 石器時代の古代人が野生の馬を捕らえて食用にしていたのは確かである。しかし、古代ギリシャやローマ帝国から、さらに下がって中世の時代はどうであったのだろうか?そのへんの記録が残っていないのが残念である。また、馬の背にまたがってアジアから東ヨーロッパを席巻したジンギスカンとその部下達が替え馬として連れていった馬を食べていたのかどうかについても確固とした記録は残っていない。
 現在馬を食用としているのが、フランス、イタリア、スペイン、アルゼンチンなどラテン系の国ばかりであるというのも不思議な話であり、生肉を食するのが日本とモンゴルだけであるというのもその理由ははっきりしない。
 それにしても、上記の国に加え、日本やベルギーなどにアメリカから食用として毎年50万頭もの馬が輸出されている事実はあまり知られていない。アルゼンチンやブラジル、そして中国なども食用馬を輸出している。もしかしたら食用としての馬の品種が新たに開発されることもあるのかもしれない。
grasscube.atto-hiro.com/knowledge/question01.html



蝶兒蝶兒滿天飛

Koma高駒麗人 (2003/07/29 03:22)

「由」「油」youを音符とする形声文字で、「抽」chou、「軸」zhouの他に「袖」xiuもあり、これは siou のような発音です。「笛」「迪」が di なのは例外的です。何か *diok、*diogのような共通(類似)発音からyouとdi等に分化したのでしょう。
「秋」qiu[tc'iou]と「愁」chouの例もあります。
「周」「週」zhou、「綢」chouがあるのと同時に「調」tiao、diao、「鯛」diaoもありますから、巻舌子音が生じるとiは飲み込まれて消え失せたのでしょう。

ピンインのuiも実際はueiですから、「飛」feiと「灰」hui[xuei]([hwei]に近い)がfとhuの区別の教材に使われます。
実際、「花咲く旅路」(作詞作曲:桑田佳祐、歌:原由子)の北京語版「蝶儿蝶儿満天飛」Dier dier mantian feiをSammi Kao(カオションメイ Gao Shengmei 高勝美)が歌っていますが、この歌では「飛」fei、と「後悔」houhuiで韻を踏んでいます。

http://plaza8.mbn.or.jp/~sinchan/update01.htm



黄鶴楼送孟浩然之廣陵の韻

Koma高駒麗人 (2003/07/29 02:57)

「ペトロパブロススク」では9音節になり、長い地名のようですが、Petropavlovskは4音節で、Kanazawa(金澤)のような物です。

Sankt PETER-burgにPETERO-Pavlovskがあるのは
PЁTRにちなんだ名前というわけですね。

「黄鶴楼送孟浩然之廣陵」
 起句末尾→「楼」: 漢音ロウ,普通話 lou
 承句末尾→「州」: 呉音ス,漢音シウ,普通話 zhou
 結句末尾→「流」: 呉音ル,漢音リウ,普通話 liu
http://www.est.hi-ho.ne.jp/~akky7/j/diary/2002_3.html
http://www.rihaku.jp/yomi/yomi-C01.htm
黄huang2 鶴he4 楼lou2 送song4 孟meng4 浩hao4 然ran2 之zhi1 廣guang3 陵ling2
李li3 白bai2(英語名Li Po)
故gu4 人ren2 西xi2 辭ci2 黄huang2 鶴he4 楼lou2,
烟yan1 花hua1 三san1 月yue4 下xia4 揚yang2 州zhou1。
孤gu1 帆fan1 遠yuan3 景ying(jing)3 碧bi4 空kong1 盡jin4,
唯wai2 見jian4 長chang2 江jiang1 天tian1 際ji4 流iu2。

「流」はピンイン表記上liuでも発音がliouなので、「州」zhou、「楼」louと韻を踏んでいると言えます。
http://www.powersugoi.net/tingdong/chinese.php?song=67
周華健の「朋友」では「走」zou、「首」shou、「有」you、「酒」jiu(jiou)で韻を踏んでいます。

montagneとmontage、「いい加減」については後程調べます。
http://www.geocities.jp/wakin0319/newpage2.htm



アラビア語の mandarin(e)

にれのや (2003/07/29 01:15)

【アラビア語の mandarin(e)】
アラビア語で mandarin 系の柑橘類を指す単語をやっと見つけました。
その前に、Maniac.C 氏の柑橘語彙集のP群にイタリア語を追加します。大きな辞典でないと載っていないので、どういう語彙レベルの単語なのかわかりません。
     イタリア語 portogallo
■Oxford の Hindi-English で調べると、
     Santra: =Citrus aurantium に属する orange
となっていて、わたしがインドで出版された Hindi-English, English-Hindi で調べた
     Santra: = orange, mandarin
と一致しません。こういうのがいちばんやっかいですねえ。
 ただ、Oxford の Hindi-English には、Santra: の語源がペルシャ語だと記されていて、また、驚き。このあたりの柑橘類を指す単語の錯綜ぶりには……いやはや。
■Oxford の English-Arabic に mandarin の見出しがありました。次の3語が、次の順番で載っていました。
     fa:kihatu l-yu:suf(a) [ファーキハトゥる ユースフ] 「ユースフの果実」
     mandari:n(un) [マンダリーヌ]
     yu:suf(u) 'afandi:(yun) [ユースフ ?アファンディー] 「ユースフ旦那」
     ※[?] は声門閉鎖音
■裏を取るために、アラビア語辞典で調べてみました。2番目の mandari:n は、いかなる Arabic-English, Arabic-Japanese にも載っていません。臨時に使われる借用語のような地位でしょうか。興味深いのは 「ユースフ」 関係の語彙です。ユースフ yu:suf(u) というのは、Joseph ヨセフのアラビア語形で、アラブ人の名前としても、ひじょうによく使われます。1の 「ユースフの果実」 を載せているアラビア語辞典はありませんでしたが、いくつかの辞書から、次のような見出し語を見つけることができました。
     yu:suf(u) 'afandi:(yun) [エジプト・シリア/口語] 「ユースフ旦那」 の意
     yu:sufi:(yun) [エジプト] 「ユースフの」 という形容詞の名詞的用法
特に、「ユースフ旦那」 の方は、複数の辞書に掲載されています。どちらも、エジプトの口語という単語レベルのようです。では、他のアラブ圏ではどうなのだ?と問われると、はて?といっしょに首をかしげざるをえません。
 どうでしょうか? この 「ユースフ旦那」 という単語は、ひじょうに興味をそそられないでしょうか? どの辞書にも語源についての言及なし。こんなヘンな単語なのに? 「みかん」 のことを 「旦那」 呼ばわりしてるんですよぉ。

■それと、Maniac.C 氏には、hummer な話ですが、例の柑橘類語彙表のキリール系の原綴が判明したので、ここに記しておきます。[ ] 内はアクセントのある音節を示します。
     ウクライナ апельсин [-син]
     ベラルーシ апельсi н [-сi н]
     ブルガリア портокал [-кал]
     セルビア наранча [на`ра:-]
          наранца [на`ра:-]
          ※ただし、цは、下の突起が右端ではなく、中央に位置する
          セルビア語独自の文字。英語のjの音。
■以上、まだ、こだわってるアペリシーン関連の話でした。



Re: ありがたさもありがたし

にれのや (2003/07/29 00:39)

■こんにった、みなみなさまには、ありがたさもありがたし。
【こんにった】で辞典に出てるんですね。かたじけなさもかたじけなし。
■M.C.さん。確かに。小さん師が『笠碁(かさご)』の最後に、必ず、この川柳を言っていました。
    「碁敵(ごがたき)は、憎さも憎し、懐かしし」
最後は 「し」 ですが。



犬業2大人物

顕正居士 (2003/07/28 21:03)

韓國 ケコギ(犬肉)博士 安龍根さん
http://wolf.ok.ac.kr/~annyg/

忠清大学の食糧栄養学の教授安龍根さんは犬肉食文化確立のため気炎を吐く。
http://www.sankei.co.jp/databox/Wcup/html/0201/0111side003.html

中国 犬業大王 樊憲涛さん
http://www.fankuai.com/

江蘇省で肉狗養殖基地を経営する樊憲涛さんは狗肉将軍樊會より77代の子孫。
軍隊を退役の後に犬業へ入り、1998年農業部から全国犬業大王の称号を得た。
http://www.tzyz.com.cn/serve/hero/hero/dog01.htm
http://www.8181.com.cn/documents/1006/200112/20011208105146.htm



料理 追記

らにい (2003/07/28 12:46)

犬料理に出す犬の肉はそこらへんにいる犬をとってくるのではなく、きちんと食用のために育てられた犬(養「犬」場みたいなところがある)を使っています。



料理

らにい (2003/07/28 12:42)

「言葉」というよりかは「文化」のことですが、韓国では犬料理が一般にあるとのことです。
ソウルオリンピックの時、世界の国々から「犬を料理するなんて酷い」という意見が多く、(犬料理を出しているところでは)犬料理はださなかったそうですが、ワールドカップの時は逆に韓国の文化を知ってもらおうと(積極的かどうかは分かりませんが)だしたそうです。



反対言葉

みっひ (2003/07/28 11:41)

はじめまして。ところで「細い」の反対は「太い」なのに「心細い」の反対が「心強い」なのはどうしてですか?ご存知の方教えてください。



re おかふぐ

Maniac C. (2003/07/28 04:41)

>ロスケさん&管理人様
■「おかふぐ」は確かに在るようですが、まだ辞書等では見つかりません。
■広島県では、蒟蒻の刺身を「陸フグ」と言うようです。
■『にっこく』では、「おしゃます鍋」の項を御覧ください。
 日本国語大辞典第二版オフィシャルサイトには「問題179
 『おしゃます鍋』とは何を使った鍋料理なのでしょう?」
 と有り、「答えと解説」に
 「猫の肉です。「おしゃます」というのは、江戸時代の流行
  歌『猫じゃ猫じゃとおしゃます(「おっしゃいます」の意味)
  が、猫が下駄はいて杖をついて、絞りの浴衣で来るもの
  か』からきています。それで猫の意味に用いられるように
  なったわけです。」と有ります。
■後日、改めて投稿しますが、上記のように、日本でも犬・猫は
 食べましたし、他の国でも食べています。特に中国では「虎」
 とあれば、猫の料理です。「龍虎鳳大会」「龍虎闘」「青炒虎
 肉糸」などが検索で引っ掛かってきます。
■「さくら」については今後調査しますが、少なくとも韓国人は
 食べないようです。



re うれしさもうれし

Maniac C. (2003/07/28 04:20)

■こんにった
松茸さんに先を越されました。6月下旬にも投稿しましたが、中世の連声現象です。
kon-nit-wa>kon-nit-’a という変化です。「雪隠(せっちん)」や「仏恩(ぶっとん)」
と同じです。

■うれしさもうれし
『広辞苑』や『大辞林』には、「憎さも憎し」という項目が有ります。
『広辞苑』…甚だしく憎い。憎んでも憎んでも飽き足らない。狂、鞍馬参「―、ま一度おこさう」
『大辞林』…はなはだしく憎い。憎いといってこれ以上憎いことはない。
多分、どの辞書でも「憎さ」で引けば、この熟語は載っているのではないでしょうか。
『新明解国語辞典』には、「碁敵は憎さも憎し懐かしさ」という用例が挙げられています。



re 漢詩について

Maniac C. (2003/07/28 03:41)

■さぁすが、massangeanaさん。頼りになります。素早いレス、有難う存じます。
>音楽の方の律は「七律・七音」というのがふつうなので, 関係ない
→やはり、私の妄想でしたか。

>楽府の1解(stanza)
→ボンヤリとはわかるのですが、も少し解説を!
 ところで、「解」は「ゲ」? やっぱり「カイ」?

>いちおう切韻では「楼」は侯韻, それ以外は尤韻で別になっていますが, 侯韻に属する字が
>少ないこともあって「同用」(韻書では違う韻が押韻する)されることが多いです。
→確かに平水韻(詩韻)では侯韻・幽韻が尤韻に含まれていて、同用が許されることは
存じております。中国語的には納得行くのですが、どーしても日本語的には納得が
行かないのですよね、「ゆう」と「おう(よう)」が韻を踏むというのは。…現場の
先生方は、中学生にどー教えているのだろーか? 多分、理屈ぬきで、「日本語では
違った音だけど、中国語では韻を踏んでるんだ!」って教えてるんだろーなー。
英詩だったら、eye[visual] rhyme =「視覚韻」というのは時折目にしますが、
「近似韻」「不完全韻」は普通、避けられるので、見たことがありません。

■ところで、レスが浮いていた「原」関係も、失礼ながら、ついでに。
>>やっとー・やんない・やらった・た・だ・ます
>これらはいずれも用言の語尾であり, しかも「ら」が「る」になった例はひとつも
>ありませんね。
→ぐっ! 気付かなかった。言われてみればその通り。反例が「ヤンバル」のyama>
yam’ぐらいしか想い着かないのですが、これも逆に「もともとヤムであったのが,
本州方言で一音節めの a に同化してヤマになった」と説明されてしまうのでしょうか?

>「水」は「みっ」になりますが「みみず」はそうなりません。
→やっぱり、massangeanaさんは「四つ仮名」を無意識の裡に保存されていますね。
「水」は midu ですから、mid’>miQ となり、「蚯蚓」は mimizu ですから、mimiz’
となっても「みみず」なわけです。でも、そうすると、「屑」は「くっ」になって良さ
そうなんだけどなー。「葛」なら、どうです?

>だから「私自身のことばでは」ってことわったのに……
→ぐぐっ!! 確かに仰る通りでございます。失礼つかまつりました。



(無題)

松茸 (2003/07/28 03:32)

* 「こんにった」
 ご想像通り、「今日」+「は」です:
http://jiten.www.infoseek.co.jp/Kokugo?qt=%A4%B3%A4%F3%A4%CB%A4%C3%A4%BF&pg=result_k.html&col=KO

* 康居
 massangeanaさまのご指摘どおり、サマルカンド/ソグディアナの意味の「康居」は、魏代まで遡る可能性があります。
 ところで、やはり三国時代の康僧会について、『高僧伝』には
http://cbeta.twbbs.org/result/app/T50/2059_001.htm
| 康僧會。其先康居人。世居天竺。其父因商賈。移于交趾。……
とありますが、これは名前の「康」を説明する民間語源とも疑われますねぇ。(^^;
 詳しい方、ご教示願います。



うれしさもうれし

にれのや (2003/07/28 02:33)

【狂言についての質問】
■先日、また、野村万之丞師の狂言に 「いてまいった」。気がついたこと2点。
(1) 登場人物は、最初に自己紹介をしますが、その際、
     「こんにった」
が、頭につきます。この 「こんにった」 って何なんですか? 何となく 「こんにちは=今日は」 ととれるんですが。
(2) 「うれしさもうれし」 という台詞がありました。そこでピンときたのが、先に亡くなった五代目柳家小さん師匠の『うどん屋』の、地の文句の 「寒さも寒し」 というやつです。今ではこんな言い方をすれば、子供でも笑うでしょうが、かつてはよく使われた表現なんでしょうか? 他にどんな例がありますか。また、意味は、強調なのでしょうか? それとも、単に語調をよくするためなんでしょうか?



Re: おかふぐ

ロスケ (2003/07/27 21:49)

水木しげるの作品は全然読んだことないのでお役に立てませんが・・・代わりに余談で失礼。
「中国人は机以外の四足は何でも食べる」みたいな、大げさな比喩がありますね。
でも馬の肉を料理として食うというのはあまり聞かないんですが、どなたかご存知ですか?
確か孔子だったか(自信ない)が、馬は人間の役に立つ動物だから食べるな、と言った話があったような記憶が・・・。
英語でも「腹が減って何でも食える!」を
"I could eat a horse" とか "I could eat the hind legs off a donkey" という表現があります。日本人は馬を食べますが、世界的には珍しい風習なのでしょうか?



RE:おかふぐ

鴛鴦 (2003/07/27 17:02)

>管理人様
「おかふぐ」検索して見ましたが、まったく当たらず(全然ちがうものに当たっている)です(--;)



語源いろいろ

らにい (2003/07/27 16:27)

にれのやさんの書き込みをみて、読売新聞で木曜(7/24。朝刊か夕刊かは忘れました ^^;)と土曜(7/26)の夕刊の「よみうり寸評」(朝日新聞でいう「天声人語」みたいなもの)で「トランプ」と「マンモス」の語源について書いてありました。
・「トランプ」の語源は「勝利」。
・「マンモス」の語源の一つとしてタタール語で「大地に住むもの」を意味する「ママントゥ」から。
一応これだけのことが載っていました。

最近、友人がゴルフを始めて、いろいろとゴルフ用語を覚えてきて、それにともない用語のルーツも知り始めてきました。私も少し調べていました。
なぜ、「ドライバー」とか「スプーン」とか言うのかということが分かりました。
(下のリンクのサイトには載っていませんが)面白いことにバンカー(コース上の砂場)専用のアイアン(ポールを打つところが金属製のクラブ)の「サンドウェッジ(SW)」は「ダイナマイト」ともいうそうです。それはバンカーからボールを打ち出したとき、そのときあがった砂しぶきがまるでダイナマイトで発破をかけたように見えるからそう言われるそうです。

それでは失礼m(_ _)m

http://homepage2.nifty.com/YONE/coffee68.htm



Re: 漢詩について

massangeana (2003/07/27 16:10)

追加します。南北朝時代にも侯韻と尤韻の字はまったく区別されずに押韻している
そうです(王力「南北朝詩人用韻考」1936)。



Re: 月氏・天竺

massangeana (2003/07/27 15:45)

松茸さん, ありがとうございます。康僧鎧の場合は時代が魏なので, 意図としては
「康居」のつもりだったんでしょうねえ。



Re: 漢詩について

massangeana (2003/07/27 14:55)

Maniac C. さん, どうなさいましたか。
>「律詩」と「絶句」
「律詩」の意味はおっしゃるとおりと思います。音楽の方の律は「七律・七音」というのが
ふつうなので, 関係ないのではないでしょうか。
「絶句」についてはおっしゃるような解釈もあるようですが, 王力によるともともと唐
以前の楽府の1解(stanza)だけを取ったものを「絶句」といっていたのが近体詩に応用された
ものだとのこと。

>「楼」と「州・流」
唐代の音はおおむね日本漢音から想像されるような「ロウ・チウ・リウ」だったと思います。
(現代北京音で zhou が -iu でないのは子音がそり舌音化したことにともなう後世の変化の
結果です)
いちおう切韻では「楼」は侯韻, それ以外は尤韻で別になっていますが, 侯韻に属する字が
少ないこともあって「同用」(韻書では違う韻が押韻する)されることが多いです。
また切韻でも「庚」と「京」は同じ韻ということになっていて, -i- がつくと必ず違う韻に
分類されるというわけでもないようです。



漢詩について

Maniac C. (2003/07/27 12:10)

■えー。ここ数日,漢詩と挌闘しているのですが。
いくつか疑問に思うことが出てまいりましたので,識者の皆々様のお教えを賜りたく
お願い申し上げます。

■「律詩」と「絶句」
 言わずと知れた,近代詩の代表的詩型ですが,何故,このような名前が付いたので
しょうか。
 「律詩」というのは,文字通り,「韻律の有る詩」の意味で,「律語」即ち「韻文」
と同義だと思っていたのですが; 不図,律詩の八句と,呂律の八音(octaves)とは関係
有るのか知らん,という妄想が湧いて来ました。
 又,「絶句」というのは「句を絶やす」と訓めますが,これは,律詩の前半の韻律で
作品が終わるからでしょうか。

■「黄鶴楼送孟浩然之広陵」の押韻
 中学校の教科書に現在も載っている有名な七言絶句ですが,これの押韻がM.C.的に
は納得行きません。
 起句末尾→「楼」: 漢音ロウ,普通話 lou
 承句末尾→「州」: 呉音ス,漢音シウ,普通話 zhou
 結句末尾→「流」: 呉音ル,漢音リウ,普通話 liu
ですので,日本語化した音読みでは「州」と「流」は押韻していますが「楼」は合って
いません。普通話では「楼」と「州」は押韻していますが,「流」は合っていません。
(「流」の実際の発音は liou なのでしょうけども、字面――ピンイン――の上では。)
韻書に依れば,全て「尤」韻ですので,作詞法としては誤りではないと思うのですが,
納得できません。
 「楼」は昔,*li@u だったのを,日本語の側で「りょう」とせず「ろう」と受容し,
それが固定されてしまったのでしょうか。それとも,漢音の時代には介母が消滅して
普通話のような発音になっていたのでしょうか。
 …まさか,「ウ」だけで押韻,なんてことはありませんよね?
■宜しくお願い致します。



Re^4: 月氏・天竺

ロスケ (2003/07/27 02:22)

松茸さん、ありがとうございました。

>「康国」(サマルカンド)と「康居」(漢代の遊牧民族)とは、唐王朝が公式(?)
>に混同していたものです。

リンク先を読もうとしたのですが・・・えっ!こ、これは(笑)
漢文の素養が不足しているので、少し時間がかかりそうです。



ペトロパーヴロフスクささいな補遺

にれのや (2003/07/27 00:00)

■船の名前の原綴を示しませんでした。
  聖ペテロ号 Святой Петр [スヴャ'トーイ・'ピョートル]
  聖パウロ号 Святой Павел [スヴャ'トーイ・'パーヴィェる]
■そういえば、きょうの『ふしぎ発見』で、「バーベキュー」 と 「海賊」 の 「起源」 と 「語源」 の話をしていました。もちろん、TVのこととて、中途半端な説明なので、原綴がどうの、ということはわかりませんでした。
■佐藤さん、いつも、お世話さまです。



「言葉の世界」伝言板5月分

佐藤和美 (2003/07/26 10:04)

「言葉の世界」伝言板5月分」を追加しました。

丸付き数字はそのままとしました。

ロスケさん(2003/05/15 04:28)
>さすがに猫を食べるのはあまり聞いたことがありませんな

水木しげるの短編マンガで「猫又」っていうのがあるんですが、その中で「猫は「おかふぐ」っていってうまいんだ」みたいなセリフがあったと思うんですが、小学館のニッコクで調べても「おかふぐ」出てないなぁ? 水木しげるの創作? 方言? 死語? ……?



Re^3: 月氏・天竺

松茸 (2003/07/26 04:31)

 「康国」(サマルカンド)と「康居」(漢代の遊牧民族)とは、唐王朝が公式(?)に混同していたものです。

『旧唐書』西戎伝
http://www.cnread.net/cnread1/lszl/s/shenxu/jts/210.htm
『新唐書』西域伝下
http://www.cnread.net/cnread1/lszl/o/ouyangxiu/xts/238.htm



3つのペトロパヴロフスク―2

にれのや (2003/07/26 04:11)

【ペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイ】1924〜
1740年、ピョートル大帝の命を受けたベーリングは、「聖ペテロ号」、「聖パウロ号」 という2隻の船を率いて、現在のベーリング海域の探検に出て、カムチャッカ半島のアヴァチャ湾にたどり着きました。ベーリングは、この地を太平洋探検の基地とし、その時からペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイの歴史が始まります。この地は、当初、Петропавловский 「ペトロパーヴロフスキイ」 と名付けられました。2隻の探検船 「聖ペテロ号」、「聖パウロ号」 にちなんだものです。ただし、これは、形容詞の名詞的用法で、あとに何らかの男性名詞が略されているのですが、それに触れている資料は見つかりませんでした。たとえば、залив とか порт とかでしょう。のちに、この地は2回改名されます。
     1740〜1822 Петропавловский ペトロパーヴロフスキイ
     1822〜1924 Петропавловский Порт
              ペトロパーヴロフスキイ・ポルト
     1924〜現在 Петропавловск-Камчатский
              ペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイ
「聖ペテロ号と聖パウロ号の(……)」→「聖ペテロ号と聖パウロ号の港」→「聖ペテロ号と聖パウロ号の町、カムチャッカの」 と、まあ、こういう変化です。

■以上、ペトロパーヴロフスクばなしでした。



3つのペトロパヴロフスク―1

にれのや (2003/07/26 04:10)

【ペトロパーヴロフスクばなし】
■Koma さんへ。ペトロパーヴロフスクは、どちらも、まだ、改名されずに残っていました。この他に、サンクトペテルブルクに 「ペトロパヴロフスク要塞」 という観光の名所があるのをご存知でしょうか? ペトロパーヴロフスクが、なぜに、かくも方々に顔を出すのか疑問に思ったので調べてみました。

【ペトロパーヴロフスキイ要塞】1703〜
 まず、「ペトロパーヴロフスキイ」 という単語について説明します。
     【петропавловский】 [ピェトラ'パーヴらヴスキイ]
     「ペトロパーヴロフスキイ」=聖ペテロと聖パウロの。
ペテロとパウロというのは、キリストの使徒のペテロとパウロです。ロシア語では、中世ギリシャ語から入りました。
     Πε´τροs ['petros] → Петръ → Пётр ['ピョートル]
     Παυ~λοs ['pavlos] → Павлъ → Павел ['パーヴィェる]
この2つの名前を結合して、なおかつ、形容詞にするというアラワザをやってみます。
     петр+о (ёにアクセントがなくなり е になり、接合母音 -о-を入れます)
     павл-ов (-овを付け、物主形容詞にします。出没母音 е が落ちます)
     -ский (形容詞をつくる語尾をつけます)
    →петропавловский のできあがり。
 なぜ、聖ペテロと聖パウロかと言うと、ロシア軍の守護聖人がこの2人だからなのです。そう考えれば、このような特別な形容詞があるのもうなずけます。
 1703年、ピョートル大帝は、サンクトペテルブルク建設に先立ち、対スウェーデン戦にそなえた要塞をネヴァ川の河口に建設します。それが、
     Петропавловская крепость
     [ピェトラ'パーヴらフスカヤ ク'リェーパスチ]
     ペトロパーヴロフスカヤ・クレーポスチ=【ペトロパーヴロフスク要塞】
です。要塞を守るために、守護聖人2人の名前を冠したわけです。

【ペトロパーヴロフスク】1823〜
ペトロパーヴロフスクは、現在は、カザフスタンに属する都市 (ソ連時代はカザフ・ソヴィエト社会主義共和国、北カザフスタン州の州都でした) ですが、通過している鉄道は、ロシアのオムスクからやって来て、ロシアのチェリャービンスクに抜けています。つまり、鉄道では、カザフスタンの首都にさえ直接行けない都市なのです。居住しているのも、おそらく、ロシア人が主だと思われます。
 1752年、対イスラム勢力の防衛線の要衝として、現在のペトロパーヴロフスクの地に 「聖ペテロ要塞」 が築かれました。のちに、この要塞は、ロシア軍の守護聖人である聖ペテロ・聖パウロ両方の名の入った名称に改められ、さらに、要塞が都市となるにつれ名称が変わりました。
     1752〜1807 крепость Святого Петра
              [ク'リェーパスチ スヴャ'トーヴァ ピェト'ラー]
              「クレーポスチ・スヴャトーヴァ・ペトラー」=「聖ペテロの要塞」
     1807〜1823 Петропавловская крепость
              「ペトロパーヴロフスカヤ・クレーポスチ」=「聖ペテロと聖パウロの要塞」
              ※この時点では、ペテルブルクの要塞と同じ名前です。
     1823〜現在 Петропавловск
現在の語形は、形容詞の -ий をとっぱらった語形です。このような地名の場合、あとに、「-ий город」 が略されていると考えるとわかりやすいです。

■つづく。



Re: 月氏・天竺

ロスケ (2003/07/26 03:37)

massangeanaさん、いろいろありがとうございました。

>「康」は康居出身者のことだといいます。康居は国名でサマルカンドは都市名
>なのでおかしくないでしょうか。
なるほど・・・・そうですか。
陳舜臣さんの本には「サマルカンド」と書いてあり、もちろん私にはどちらが正しいか判断できないので、一応参考資料として「中国の歴史」からその部分を引用しておきます。
講談社文庫「中国の歴史(三)」322ページ
『安姓は安息、支姓は月氏、竺姓は天竺ですからインド、康姓は康国(サマルカンド)の出身であることがわかります。』

>>支婁迦讖の原名はローカクシェーマLokaksema
>サンスクリットで, 「世の平安」のような意味だろうと思います。ローカラクシャだ
>という説もあって, こちらだと「世の護り」のような意味になります。
大変興味深いです。
支婁迦讖という名前のほうが残っていて、これからサンスクリットによる元の名前を推測しているわけですね。サンスクリット大乗仏典を漢訳した人ですから、月氏国語(何語?)の本名とは関係ないサンスクリットペンネームを名乗った可能性もありそうですね。



NHK アラビア語講座

にれのや (2003/07/26 01:18)

■NHK TVも、ようやく 「アラビア語講座」 を始めます。
来週より、NHK教育で。
     月・火・水の午後10:25〜50の25分間
再放送は、翌週の同じ曜日の日中にあります。



適当

zo- (2003/07/25 19:43)

きしろふさんの質問に便乗

次の括弧に「適当な」言葉を入れなさい
次の括弧に「適当に」言葉をいれなさい

なども面白いですよね。



Re:mountain

きしろふ (2003/07/25 18:42)

>高駒麗人Komaさん
そうでふぇすか(笑)
ところで「montagne」と「montage(モンタージュ)」は一字違いですが、関連はありますか?

あと、友人と話をしていた中の一部のことだったんですが、「いい加減」の意味には、
 1.何かをするのにちょうどよい状態。
 2.うそ、ごまかし、でまかせ、行き当たりばったりなこと。
 3.限度を超えて、そろそろ何とかしてもらいたい感じなこと。
とありますが、「いい加減」は「好い加減」で、字からいっても1の意味は納得しますが、なぜ2や3のようなマイナスな意味もでてきたのでしょうか?

上記のこと、お願い致します。



Re: 月氏・天竺

massangeana (2003/07/25 17:01)

ロスケさん:
>その「読み」はどのようにして後世に伝わったのでしょうか
「氏」を「支」と読む, としているのは唐代の注釈なので, ほんとうに漢代にそう読んだか
どうかは実は不明です。ただ史記はともかく漢書の学問は漢代以来伝統が絶えなかったので,
古くからの読みを伝えている可能性も高いと思います。

>「康kang」はサマル「カン」ド

「康」は康居出身者のことだといいます。康居は国名でサマルカンドは都市名なので
おかしくないでしょうか。

>支婁迦讖の原名はローカクシェーマLokaksema
サンスクリットで, 「世の平安」のような意味だろうと思います。ローカラクシャだという
説もあって, こちらだと「世の護り」のような意味になります。



ドンガン語

辻本裕幸 (2003/07/25 11:39)

Uさんドンガン語について本当にありがとうございました。最大の疑問は漢語のngはどう表記するのか?でしたが、文字に加工を加えるのですね。



Re: 月氏・天竺

ロスケ (2003/07/25 04:37)

massangeanaさん、レスありがとうございます。再び教えてください。
> 匈奴伝にも変わった読みが多いですね。「閼氏」の「氏」も「支」と読むようですし。

新たな初歩的疑問ですみません、その「読み」はどのようにして後世に伝わったのでしょうか?
許慎の「説文解字(西暦100年)」あたりが該当しそうな雰囲気ですが・・・

> 竺法護が「竺」なのに大月氏の人だったりするのでけっこう混乱します。
はい、そのようですね。陳舜臣「中国の歴史」にも、大無量寿経を再訳した康僧鎧は天竺の人と書かれています・・・通常「康kang」はサマル「カン」ド出身者の姓だった。
#月氏国出身の支婁迦讖の原名はローカクシェーマLokaksema(sの下にヒゲあり)、これはイラン系の名前?



Новоград など

高駒麗人Koma (2003/07/25 00:41)

にれのやさんへ
Новоград ノヴォグラードについて、非常に参考になりました。
Novogradという地名は、半ば即興のあてずっぽで思い付いたのですが実際にあったとは驚きです。
Peter&Paul'sに当たる“Petro-Pavlovsk”についても、昔は Kamchatkaの近くとKazakhstanにあったようです。「ペトロパブロスクク」では9小間で駒名は地名ks家気で生活していたようです



mountain

高駒麗人Koma (2003/07/25 00:28)

きしろふさんへ
フランスの某会社ではE-mailを言い換える気はないようです。
>「mountain」がフランス由来だったとは・・・
mountain、montagne、mont(Mont Blanc白山)、monte(Monte Negro黒山)はロマンス語ふぇす。ゲルマン語では、icebergやHaidelbergのような berg が「山」を現します。



デンスケスイカ/ケンペルと銀杏とゲーテ/について

にれのや (2003/07/25 00:27)

■【デンスケスイカ/でんすけすいか/田助西瓜】の語源について。(どの表記がオリジナルなのか?)
デンスケスイカという西瓜をごぞんじでしょうか? 昨今、スーパーにも並ぶようになった、真っ黒でツヤツヤした異様な西瓜のことです。きょうの『どっちの料理ショー』で、「デンスケスイカ」 の語源を知りました。デンスケは、喜劇役者の大宮デン助(おおみや・でんすけ)のことで、
     (1) スイカの外見が、大宮デン助の頭を連想させるから。
     (2) スイカの色(真っ黒)が、黒く塗ったデン助のヒゲを連想させるから。
という理由だそうです。
 また、減反で苦しむ農家を救う作物であるということから
     (3) 田を助ける→田助(でんすけ)
という意味も含んでいるそうです。
 名付けたのは、北海道当麻町(とうまちょう)の農業生産法人 (有)当麻グリーンライフの瀬川守さんという人らしいです。

■【ケンペルと銀杏とゲーテ】
報告するのを忘れていました。以下が、ケンペル (エンゲルベルト・ケンプファー) と銀杏とゲーテの関係です。

 ケンペルは、日本から銀杏を持ち帰り、ドイツ各地に植えたということです。半世紀以上のちのこと、66歳のゲーテは、フランクフルトでその銀杏に出会い、その葉の形に感銘を受けました。そして、彼が、当時、横恋慕していた(!)銀行家の若き人妻、マリアンネ・フォン・ヴィレマー (Marianne von Willemer) に、2枚の銀杏の葉を添えて、"Ginkgo biloba" と題した詩を贈ったのだそうです。そのゲーテ直筆の "Ginkgo biloba" は、日本でケンペル展があったときに、日本に来ているそうです。マリアンネ・フォン・ヴィレマーの肖像は↓です。
http://www.sino.uni-heidelberg.de/students/tjuelch/Dichtung/Willemer.htm

■以上、デンスケスイカと銀杏のおうわさでした。



Новоград ノヴォグラードについて

にれのや (2003/07/25 00:26)

【Новоград について】
■Koma さんの一言には妙なサジェスチョンの含まれていることがあります。なるほど、ノヴォグラードという地名があってもいいはずだ、と思い、СССРの地図帳で調べてみたらありましたぁ! これぞまさに 「瓢箪からKoma」 です。(Entschuldigung!)  Новоград (Novograd) [ナヴァグ'ラート] 「ノヴォグラード」。ウクライナのジトーミル州の西部に
     Новоград-Волынский ノヴォグラード=ヴォルインスキイ
という町があります。ビンゴです。
 何だ、後ろにナニかくっついているじゃないか、と思われるかもしれません。これは、形容詞で、「ヴォルイニ公国の」 という意味です。ヴォルイニ公国 (Волынь Volyn' [ヴァ'るイニ]) というのは、キエフ=ルーシの衰退期にキエフの西方に存在した公国です。この公国の中に、「новый+град」 の名を持つ町がつくられたのであろうと思われます。その際、キエフ=ルーシの古都 Новгород 「ノーヴゴロド」 に遠慮して、「ヴォルイニ公国の」 ノヴォグラードと名乗ったのだと思われます。このことから、当時の人は、
     Новгород=Новоград
     ノーヴゴロド=ノヴォグラード
と認識していたことがわかります。
■ロシア人、というか東スラヴ族は、地名に関しては義理堅いらしく、すでに存在するのと同じ地名を名乗る際は、その地名のあとに識別するための語句を加えます。アメリカのように "Paris, Texas" などという地名がゴロゴロしてるなんてことはないのです。
 たとえば、ブレスト=リトフスク講和条約の締結で有名な
     Брест-Литовск Brest-Litovsk [ブ'リェスト り'トーフスク]
は、フランス、ブルターニュの港湾都市 Brest と同名なので、この名前を名乗っていました。Литовск というのは、литовский [り'トーフスキイ] 「リトアニアの」 という形容詞の語尾をとっぱらった語形で 「リトアニアの都市」 литовский город ほどの意味です。この都市は、現在、ベラルーシ(ベロルシア) の帰属ですが、かつては、リトアニア領でした。
 他にも、
     Ростов-на-Дону Rostov-na-Donu [ラス'トーフ ナダ'ヌー]
などという大都市もあります。これは、モスクワ―ヤロスラヴリ間に小さな古都 Ростов があるために、大都市にもかかわらず、このような冗長な名前になっています。на Дону というのは、英語に写せば on Don で 「ドン川の河畔に」 という副詞句です。このように、地名のあとにつけるのは、名詞、形容詞、副詞句、何でもいいのです。ただし、必ずハイフンでつなぎます。
■以上、ノヴォグラードについてでした。



Re:トリビア(笑)

鴛鴦 (2003/07/24 18:56)

>にれのやさん
>「実にツマらん話ですね。」
実際「12へぇ〜」でしたから・・・(--;)
>高駒麗人Komaさん
「十分」は「じゅっぷん」「じっぷん」両方読めますか。
いやはや・・・(--;;)



RE:長い發

らにい (2003/07/24 18:49)

>高駒麗人Komaさん
>「つまり中国で『理發』『長い發の少女』と書くのは、理髪店やカラオケの経営者が、中国人客の為に書いている事になります。まず、日本人がみたら、『發型』等と窓に書かれた店を見ても床屋だとはわからないでしょうし、『長い發の少女』を見ても『ながいカミの…』だとは思えないわけです。」
日本人にはちっときついです・・・(^^;)



Re:フランス語

きしろふ (2003/07/24 18:43)

>高駒麗人Komaさん
さて、フランスの一般市民の反応はどうでしょうか?
またここでひとつ勉強になったことがあります。
「mountain」がフランス由来だったとは・・・



Re: 月氏・天竺

massangeana (2003/07/24 17:51)

>氏
匈奴伝にも変わった読みが多いですね。「閼氏」の「氏」も「支」と読むようですし。

ロスケさん:
>月氏だけは何故か敬称
周辺民族の名前にかならずしも卑称的な字をつけるわけではなかったように思います。
また文献的には「月支」が「月氏」より古いということはないようです。

>月氏出身の人は「支」という姓を名乗る
竺法護が「竺」なのに大月氏の人だったりするのでけっこう混乱します。

高駒麗人さん:
>Thendhu
そんな語はないと思います。サンスクリットには th- で始まる語がほとんどありません。



弁当

zo- (2003/07/24 11:47)

弁当は宋元あたりの中国語の便利なというような意味の「便当」が日本語に入って、「弁当」とかかれるようになったという説もあります。

月氏の「氏」は氏族の意味だと認識されていたんでしょうか?



月氏

ロスケ (2003/07/24 05:32)

高駒麗人さん、まいどです!
>「氏」shiにはzhiという読み方もあるとは初めて知りました。道理で「紙」zhiや
>「祇(只)」zhiで「氏」が音符になってるわけですね。

貧弱な知識をただ並べるだけですみません、以下は陳舜臣著「中国の歴史」から得た情報です。
月氏は月支(-zhi)とも書かれたそうです。後漢時代、月氏出身の人は「支」という姓を名乗るのが常で、大乗経典を漢訳した支婁迦讖(しるかせん)という有名人がいます。
実は今まで、中華思想では自分たち以外は夷なのに、月氏だけは何故か敬称?「氏」がつくのが不思議でした。以下は乱暴な想像・・・・すると、月氏はもともと月支だった?と考えるのはどうでしょう。張騫が月氏に軍事同盟締結のために赴いた時、月氏は匈奴に王を殺され、未亡人が女王となっていたそうです。あの頃の中国では皇后は○○氏と呼ばれますね。それで月支が「月氏国」となったのでは?(笑)
#ツッコミはご容赦!



MY BIG FAT GRΣΣK WEDDING 続き

高駒麗人Koμα (2003/07/24 04:07)

MY BIG FAT GRΣΣK WEDDING のサイトがリンクされなかったのでもう一度。

今の日本語では「パンツ」は「高低低」だと下着で、「低高高」だとズボン。
「クラブ」も「高低低」と「低高高」で意味が変わり、酒を飲む店だったり、大学等の部活をやる人たちだったり、ゴルフでつかう物だったりするようです。これは日本全国でそうなのでしょうか?
http://www.coda21.net/eiga3mai/text_review/MY_BIG_FAT_GREEK_WEDDING.htm



MY BIG FAT GRΣΣK WEDDING & JΛL

高駒麗人Koμα (2003/07/24 04:00)

>>昔、あるロシア人がRossiyaを発音あいたとき、>発音したとき

http://hpmboard1.nifty.com/cgi-bin/thread.cgi?user_id=ANA15167&disp_no=4555&log_no=4555&msg_per_page=10&def=10

“My Big Fat Greek Wedding”は、今の日本の慣用にしたがってカナで書けば「マイ・ビッグ・ファット・グイリーク・ウェディング」ですが、日本で「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」というタイトルでも紹介されています。“Greek”が抜けています。
これでは主人公の家がギリシャ系である事がわからなくなります。なぜ、省かれたのでしょう?
シナ語名は「我的盛大希臘婚礼」Wode Shengda Xila Hunliですが、「希臘」抜きのシナ語題名もあるようです。
http://www.coda21.net/eiga3mai/text_review/MY_BIG_FAT_GREEK_WEDDING.htm
↑タイトルは
MY BIG FAT GRΣΣK WEDDING
という物です。
製作者は、GREEKをGRΣΣKと書いて、ギリシャの雰囲気を出すつもりでしょうか。
Σはeでなくs音を現す筈ですが、要は形が似ているからこれでいいのでしょうか、
GRΣΣKに続くWEDDINGのEはこのままです。
それでは、こういう洒落た書き方をする人はRussiaを
ЯUSSIAと書くつもりでしょうか。

昔、新聞の投書ページで、日本航空の飛行機に書いてあるロゴマーク
JΛL
について、「Λはギリシャ文字でLを意味する」から間違いだという意見がありますた。
しかしJとLはローマ字ですからそれに挟まれたΛはAだと考えるのが普通であり、故に
JΛLでも問題はないと思います。
http://www.jal.co.jp/

Daredevil「デアデビル」主演のベンアフレックBen Affleckは「班艾佛列克」Ban Aifuleke.です。
「グリークウェディング」主演ニア・ヴァルダロスNia Vardalosは「[女尼]雅維載露絲」Niya Weidailusiになります。

英和辞典では Greekの所で、“It's all Greek to me!”が「それは私にはチンプンカンプンだ」という意味だとあり、英語圏では“Greek”は「意味のわからぬ言葉」の代名詞のようです。
だから、GRΣΣKと書いても皆平気なのでしょう。

中国では日本的雰囲気を出すため、商品名で「的」deの代わりに平假名の「の」を使ってzhi(“之”の讀音/語音)と読む事をやっています。
“盒飯”hefanつまり弁当の店で「[イ尓]の便當」というのがあります。
「弁当」が中国両岸(大陸と台湾)で「便当」になっているのは不思議ですが、そもそも盒飯が「弁当」である事がもっと不思議です。



危機一髪 フランス語と英語 漢字辞典

高駒麗人Koma (2003/07/24 02:15)

http://homepage1.nifty.com/~petronius/kana/zitaiiziri.html(字体弄りの変遷)
http://member.nifty.ne.jp/shikeda/kt9803.pdf(新旧分離字と新旧包摂字)

日本人は漢字原産国の人が忘れた(捨てた)漢字の区別を大事に守っています。
日本では「危機一髪」を「危機一発」と書くと誤りだと言われます。
中国の看護では危機一髪を「千鈞一髪」qianjunyifaと言いますが、「頭髪」を「頭發」と書く現代中国漢字が正しいなら、「千鈞一髪」は「千鈞一發」でもOKということになります。では「危機一髪」は「危機一發」でもいいのでしょうか?

「クエン酸」は「枸櫞酸」ですか。西洋語でなく漢語詞だという事ですね。

顕正居士さん&ZO-さんへ
「氏」shiにはzhiという読み方もあるとは初めて知りました。道理で「紙」zhiや「祇(只)」zhiで「氏」が音符になってるわけですね。

ドンガン語については以前も話題になったと思います。

きしろふさんへ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030722-00000005-wir-sci
フランスでE-Mailを courriel に言い換えるわけですか。フランス人も可哀相です。昔、Norman Frenchが英語に大量に入り込んだとき、フランス人は得意だったでしょう。今では立場が逆ということですか。
もし英国人が逆に英語内のフランス語系の外来語を英語固有語に言い換えようとしたら、フランス人はどう思うでしょうか。例えば、pret-a-porterと言うのを禁止してready to wearと言おうとか、Bon voyageと言うのはやめて Have a nice tripと言おうとか、mountainをbergと言い換えようとか…。英語もフランス語からの外来語だらけなのにそういう運動は起きているのでしょうか。ドイツ人がtelephoneという「欧州共通語」を捨ててFernsprecher(遠くへ話す物)等と言い換えようとした時、Antoine Meilletは「ヨーロッパ文化のつながりに反する行為」として批判したようですが、今はフランスがそれをやる立場になりました。

鴛鴦さんへ
「十分」は「じふふん」から「じっぷん」になり、「十」が「じふ」>「じう」>「じゅう」となったので類推で「十分」が「じゅっぷん」になりました。それで「十分」は「じゅっぷん」とも「じっぷん」とも読めますし、「10分」もまた「十分」の「十」を「10」にしただけで、やはり「じっぷん」「じゅっぷん」両方慣用だと思います。
ただ、「十分」は「じゅうぶん」と読めますが、「10分」はそうは読まないと思います。「じゅうぶん」の場合、「充分」と書けば「10分」と区別できます。

北京語では「10分」はshi2fen1、「充分」chongfenと同じ意味の「十分」もshi2fen1です。
中国人にとって日本語の漢字は単語ごとに読みを覚えねばならず、法外に難しい。多くの日漢詞典(或いは日中辞典)は日本の国語辞典の習慣に合わせてアイウエオ順ですが、中国の日本語学習者にとっては「十分」「合同」「合作」の意味はわかっても読みがわからず、「合図」「合同」「合作」でも「あい」「ごう」「がっ」のどれで引いていいかわからない。「国土」「国元」を見ても「こく」で引くのか「くに」で引くのかわからない。

そこで、曲广田Qu Guangtianと王Wang Biが「日語漢字辞典」(1999、吉林Jilin大学出版)を作りました。これは漢語ピンインの順に漢字を並べて、「合」ならばHの項目のhe2の所に載っていて、其処には
「合[ごう]@合、結合、共同…合(容積単位。即1升的1/10)」「合う[あう](五自<五段活用自動詞)@合適、適合 服が体に〜 衣服正合身」「合体[がったい](名サ自)1合成一体」「合同[ごうどう](名サ他自)@合而為一、合并、聯合」
のように「合」で始まる日本語と、その読みとシナ語譯が書いてあります。

「生きる」と「生活」は SHENG(生)の所にいっしょに出ています。こういう辞書の方がわかりやすいわけです。



Novgorod 玉国國域 長い發

高駒麗人Koma (2003/07/24 01:23)

にれのやさんへ
ご説明ありがとうございます。Novgorodは教会Slav語式に言うとNovogradというわけでしょうか。
ManiacCさんへ
>高駒麗人さんはいつもいっぱい投稿なさるのでレスをする間もなく、いつの間にか小ネタが溜まってしまいました。あまり古くなっても時機を逸してしまうので、ここらでちょっとまとめて放出しておきます。連続投稿で失礼します。
たくさん書いてすみません。こちらも近々、食う寝る所に住む所を移す関係でしばらく投稿はお預けになると思いますが、また次の機会に色々書かせて頂きます。
湿音が「湿って軟らかくなる」>軟音だとわかり納得しました。

>木星の衛星は、順行衛星には –a, 逆行衛星には -e で終わる名前を付ける規則が有りますので、羅語形のエウローパが採用されたようです。
それは知りませんでした。

中国としては「葉」でも「叶」でもYe4なので「紅葉」hongyeは「紅叶」でもいいのですが「千葉」は「ちば」と読めても「千叶」は「ちば」にはなりません。

>高駒麗人Komaさんにとっては「国」「國」「圀」のどれが正字/本字なのでしょうか?
どれでも構いません。日本語音では「国(國)」はkokuで、「玉」はgyokuなので、「玉」を「國」の音符にするのはまあ納得いきます。一方、現代北京語で「或」「惑」がhuo、「國」がguoで近似音なのに「域」がyuであり、「玉」がyuである事から考えて、大陸中国で「國」を「国」にしている方が發音との関連が分かり難くなるように思えます。大陸中国では寧ろ「國」guoの内部の「或」huoを保持して、「域」yuの旁の方を「玉」にしてyu音を現した方が良かったと思います。

massangeanaさんへ
国名は India、Russia、China、Grecia(Greece)、Czeck、Serbia
連結形は Indo-、Russo-、Sino-(Chino-)、Grecoー、Czecho-、Serbo-
そうなると日本で「インディア」を「インド」と呼ぶのは「ギリシャ」を「グレコ」と呼んでいるような物だとも言えます。
しかし「インド」がIndusその他と同系でそれが「インド」indoになったと考えると連結形と同形なのは偶然かもしれません。シナ語でも南亜細亜の國名「インディア」を「印度」Yinduと呼びます。「インドネシア」は「印度尼西亜」yindunixiyaなので、Indiaは「印地亜」Yindiyaでもよさそうですがそうではないようです。
中国で出版された何かの辞書で、「天竺」Tianzhuは古代印度の自称 Thendhuからだと書いてありました。thがsになったり、hになったりしたんでしょう。

らにいさんへ
>やっぱり、地元の言葉をそのまま使った方がまず間違われることはないですからねぇ。
つまり中国で「理發」「長い發の少女」と書くのは、理髪店やカラオケの経営者が、中国人客の為に書いている事になります。まず、日本人がみたら、「發型」等と窓に書かれた店を見ても床屋だとはわからないでしょうし、「長い發の少女」を見ても「ながいカミの…」だとは思えないわけです。



ペルシャ語の zadeh について/アゼルバイジャン人について

にれのや (2003/07/24 00:58)

■そうだ、忘れてた。ペルシャ語の zadeh をいろいろな辞書で調べてみました。
【日本語―ペルシャ語辞典】で調べますと
「子供」、「息子」 いずれで引いても、訳語には zadeh の z の字も出てきません。いっぽう、
【ペルシャ語―日本語辞典】で調べますと
zadeh の訳語は、「子供」、「子孫(のひとり)」 となっています。

つまり、推測するに、zadeh という語は、古語・雅語・廃語のたぐいではないかと。ペルシャ語のたぐいの辞典は、いずれにせよ、完成度が低く、「語の使用レベル」、たとえば、口語・俗語・卑語・文語というような点についての言及がなく、なかなか、語の含意をつかみにくいです。

■それと、アゼルバイジャン人について。
イランには、アゼルバイジャンに住むアゼルバイジャン人の数倍の人口のアゼルバイジャン人が住んでいます。(ヘンな文章ですいません)。居住地域は、イラン北西部で、カスピ海=アゼルバイジャン=アルメニア=トルコ=イラクに囲まれた地域です。この地域に 「タブリーズ」 という大都市がありますが、これが、イランのアゼルバイジャン人地域の中心地です。
 王政時代は、アゼルバイジャン語の使用は抑圧されていました。現在は、その使用に圧力はないものの、公用語はペルシャ語のままです。アゼルバイジャンでは、ソ連時代に、アラビア文字を廃して、ラテン文字→キリール文字という正書法が確立され、教育・出版なども、アゼルバイジャン語で行なわれてきましたが、イラン国内のアゼルバイジャン地域では、アゼルバイジャン語は、今でもアラビア文字で書かれ、正書法も確立しておらず、もっぱら、口語として使われるのみ、とのことです。
 実は、イランでは、アゼルバイジャン人は、「トルキー(=トルコ人)」 と呼ばれています。これは、ある意味で正しい認識です。アゼルバイジャン語は、トルコ語のアゼルバイジャン方言なので、イランでは、彼らは 「トルコ人」 である、という認識のようです。そう考えると、トルコと国境を接するイランのトルコ語使用地域で、トルコ語の使用を優遇しない、というイラン政府の地政学的な戦略が見えてきます。ソ連の場合を考えると、カフカース地方に居住するトルコ人に、とっととアゼルバイジャン人という民族名をつけて、アラビア文字でない正書法を確立してしまう、というのも、地政学的な戦略だったと考えられます。さらには、スターリン自身が、「少数民族の言語が、文化的な大言語に吸収されるべきではない」 という、まったく、スターリンとも思えないような考え方の持ち主だったことも、原因と考えられます。
 いずれにせよ、イラン国内のアゼルバイジャン人は、トルコ人という扱いなのです。アッバース・キアロスタミ (キーヤロスタミー) というイランの映画監督の映画に 『桜桃の味』 という作品があります。映画のなかで、自殺しようとした男に延々と人生について語る老人が出てくるんですが、この人のしゃべっているのがペルシャ語ではないんです。パンフレットには、この老人はトルコ人である、という、はなはだ不親切な説明がついていました。今思うと、あの老人は、アゼルバイジャン人だったわけです。老人で、ちゃんとペルシャ語が話せない、ということなんですね。
 現在、教育は、ペルシャ語で行なわれているようです。また、テヘランに働きに出るアゼルバイジャン人も多く、2世以下では、アゼルバイジャン語を話せない者もいるそうです。



Re: サンスクリットのオレンジ

にれのや (2003/07/24 00:25)

■massangeana さん、ありがとう。
na:gara:nga あたりがいちばん古い語形なのかしらん。やっぱり、辞書はデカくないと。なんであたしの辞書は na:ryanga だけ載せてたのかな。不思議だ。
 いずれも 「オレンジの木」 というところが引っかかります。つまり、オレンジの実を食用にしていたのなら、「主たる語」 は、「オレンジの実」 を意味する語で、「木」 はその派生形になるのが自然じゃないでしょうか。
 これだけたくさんの語形、たがいにどういう関係なのか、知りたいもんですね。

■鴛鴦さん。
あたしも 「トリビア」 で見ました。あきれました。「10分」 は 「じゅっぷん」、「じっぷん」 どちらでもいいが、「十分」 は 「じっぷん」 としか読めない……という、実にツマらん話ですね。
 「言語にこだわる」 というのは、「言語の現状について、なぜそうなのかを考えるから面白い」 と思うんです。この手の杓子定規は、「言語好きというより、政治好きの考えること」 ですね。



へぇ〜(爆笑)

鴛鴦 (2003/07/23 21:39)

基本的なことかもしれませんが、「10分」は「じゅっぷん」「じっぷん」どちらでもいいんですが、「十分」は「じっぷん」としか読めないとのことです。
「十」は「じっ」という読みはありますが、「じゅっ」という読みはないとのことです。

「トリビアの泉」でやっていました。(^^)
「12へぇ〜」でしたけど・・・(汗)



読書音

zo- (2003/07/23 18:16)

>今日では北京語が読書音であるのが実際だからzo- さんのおっしゃるようかと
かんがえます。音韻の体系を異にする読書音は漢文訓読(漢音)と仏典音読
(呉音)として日本にのみ残るんでないでしょうか?

台湾では、文言文を読むときは読書音(文言音)を使います。日本統治時代に出された『大学』などは、文言音(教会ローマ字)で注音し、白話(教会ローマ字)などで注釈、翻訳しています。今でも、台湾語で文言を読む人は少ないですが、読む場合にはそうすることが原則のようです。



天竺、読書音

顕正居士 (2003/07/23 16:11)

「古来インドにおいては"Arya‐deZa、BhArata‐varSa"、中国では"身毒、賢豆、
天篤、天竺、印度"、ヨーロッパ世界では"India<Indus、Sindhu"、"Hindu<Hendu、
Hindu"等と称され、現代に至っている」
http://www.classics.jp/Contents/Assets/publication/NLpdf/NL03/NL03Ejim.pdf

今でもひとつ曖昧なのが比較的古い「天竺」の語源と玄奘の"indu"説です。
天の音に 顕があったなら簡単であります。玄奘の説は、"indu"は別の語だから
はなはだ疑問です。

"Apte Sanskrit Dictionary"
http://www3.aa.tufs.ac.jp/%7Etjun/sktdic/

>単なる日本でいう、読み癖(公羊伝、くようでん、とか)のような気がするんですが
>どうでしょうか。

今日では北京語が読書音であるのが実際だからzo- さんのおっしゃるようかと
かんがえます。音韻の体系を異にする読書音は漢文訓読(漢音)と仏典音読
(呉音)として日本にのみ残るんでないでしょうか?

なんで「月氏」の氏だけをzhiと読むんでしょうね?李白はLipoが正しいともいう。



Re: インド→ペルシャ間のオレンジ

massangeana (2003/07/23 16:00)

にれのやさん:
うちの辞書だと na:garanga, na:garangaka, na:ranga, na:ringa, na:ringi:, na:ryanga
があります。意味はいずれもオレンジの木です。na:ranga はグプタ時代からあるようですが
na:garanga は出所が s.ri:kant.ha-carita とありこれは 12世紀の本のようです。na:ryanga は
実際の用例がないようです。
ra:nga はわかりません。ranga は ranj- (染まる・赤くなる・興奮する・喜ぶ) と関連し,
色彩・娯楽施設などの意味があります。「象の好物だから」という語源説をみたことが
あります。



Re: 天竺

massangeana (2003/07/23 14:42)

顕正居士さん:
>shindhu-tianduであり、後者はビルマ経由という。
インドの形は sindhu- ですが, これは「川」を意味し, インドを意味しません。
この語でインドを意味したのはインダス川の西にすんでいたイラン系の言葉です。
だからビルマ系の言語が出てくることはないと思います。

それより魅力的な説は, 「天」自体が古く h- で始まっていたという考えです。
(Pulleyblank がこの説を唱えていたと思います)
『釈名』の冒頭に:
 「天」豫・司・[亠/兌]・冀, 以舌腹言之。天, 顕也; 在上高顕也。
    青・徐, 以舌頭言之。天, 坦也; 坦然高而遠也。
という有名なくだりがあり, 「天」の声母が西の方言では「顕(h-)」に近かった
ことがわかります。



木星の衛星

U+3002 (2003/07/23 13:59)

Maniac C.さん
>天王星の衛星以外は希臘・羅馬神話に関する名前
>を付けるのが慣習ですので、希臘・羅馬の長音を落とした読み方をすることになって
>います。エウロパはご存じの通り、原語の希臘語ではエウローペーですが; 木星の衛星
>は、順行衛星には –a, 逆行衛星には -e で終わる名前を付ける規則が有りますので、
>羅語形のエウローパが採用されたようです。

衛星の名前(地球・天王星以外)は、2〜3の例外を除き、ラテン語か、ギリシア語‐ラテン語同形です。
古来より、天体の名前は(ギリシア語ではなく)ラテン語で名づけられており、同形の名も、ラテン語とみなすべきだと思います。
つまり、‐eで終わる名前も、ラテン語であって、ギリシア語とすべきではないでしょう。
いくつかの衛星名は、同形でなく、ラテン語と確認できます。
たとえば、Iocasteという衛星がありますが、ギリシア語ならIokasteであるべきです。

厳密には、巡行のばあい、語尾は‐aとは限りません。
‐aは、Himalia群の衛星の語尾です。
Himalia群以外は、近年命名された巡行衛星でも、必ずしも‐aでは終わりません(Metis, Thebe)
とくに、Themisto群の衛星は、‐oで終わることになっています。
(現在のところ、Themisto群に属するのは、Themistoだけですが)

最後に、松茸さんもご指摘されていますが、
>……〈ガリレオ衛星〉に、これはないと思いますが? (^^;

語尾ルールは、1970年代に定められたもので、第5衛星Amalthea以降に適用されます。



インド→ペルシャ間のオレンジ

にれのや (2003/07/23 00:23)

【インド―ペルシャ間のオレンジ】
■インドとペルシャ間のいくつかの言語で 「オレンジ」 を何と言うか調べて見ました。
以下、(1) は Citrus aurantium、(2) は Citrus sinensis、(3) は、mandarin(e) 類、という分類です。

【サンスクリット】 わたしの手元のサンスクリット辞典は小さいもので、「オレンジの木」 という単語しか載っていませんでした。
     na:ryanga オレンジの木
なぜ、na:ranga ではなく 「ナーリャンガ」 なのか? ラテン文字転写のない辞典なので、転写法がちがってるかなあ。それと、例のトゥーサン・サマ女史の言う na:ga ra:nga も調べてみましたが、na:ga=象、であること以外わかりませんでした。

【ヒンディー語】
     (2) santra: ,  na:rangi:
     (3) santra:
"santra:" [サントラー] という語が、sweet orange も mandarine も含めて指すようです。サンスクリットの na:ranga (?) に由来すると思われる na:rangi: は sweet orange のみを指すのか、sour (bitter) orange も指すのか不明です。(Hindi-English の訳語が orange のみだったので)

【ウルドゥー語】
     (2) na:ranj
     (3) na:rangi:
不思議な現象は、ウルドゥー語で起こっていました。つまり、インドのサンスクリット起源とされる na:ranga が、ウルドゥー語で二重に借用されているわけです。(こういうのをナンとか言いましたよね……)。しかも、ヒンディー語あたりから入ったと思われる na:rangi: は、mandarin(e) の意味になっています。na:ranj は、たぶん、アラブ世界から逆流してきたんですね。
 ここで、気がついたことが1つ。それは、サンスクリット na:ranga とか、ペルシャ語 na:rang が、アラビア語の na(:)ranj になったのではなく、いずれかの言語の na:rangi: が、アラビア語の na:ranj になったんではないかと考えたのです。アラビア語には g という子音がありません。つまり、-gi: という語末の軟らかい g 音を写すために -j が使われたのではないか、と考えたのです。アラビア語にある g 系の音 gh は、かなり硬い音です。
 na:ranj は、sweet orange のみを指すのか、bitter orange も指すのかは不明です。(Urdu-English の訳語が orange のみだったので)。

【ペルシャ語】
     (2) portogha:l
     (3) na:rangi:
mandarin(e) 系を指す na:rangi: がインド方面から伝わってきたとすれば、ウルドゥー語の影響があるのではないかという仮説が立てられます。portogha:l は以前に説明したとおりです。

【アラビア語】
     (1) na(:)ranj(un)
     (2) burtuqa:l(un)
mandarin(e) 系を指す単語がどうしてもみつかりません。手当たりしだいに調べた English-Arabic に mandarin という見出しがどうしてもないんですねえ。
■以上、インド―アラビア間、オレンジの不思議でした。

■先日、東京、神田神保町のナウカというロシア書の専門店で『中国の象形文字(=漢字)の音声辞典』なる、興味深〜い書物を発見しました。著者は、セルゲイ・フョードロヴィチ・キム氏という人で(著者紹介なし)、1983年モスクワ刊。20年間、書棚に眠っていたわけです。この辞典のすごいのは、3333文字の漢字について、(1)中古音 (2)現代普通話音 (3)現代広州音 (4)現代蘇州音 (5)現代ベトナム音 (6)現代朝鮮音 (7)現代日本漢音、現代日本呉音、現代日本慣用音、という、9つの音声をひたすら収録していることです。頭の下がる労作です。しかも、売れ残りということで2千円ポッキリでした。
■「とっさのひとことシリーズ」 という会話本が出ていますね。ロシア語に関して言えば、今まで出ているどんな会話本よりも、ずっと実用的です。星3つ!
■最近、Howard has been absent ですね。おおいに miss him です。お〜い、ハワードく〜ん!



いろいろ

zo- (2003/07/23 00:10)

massangeana さん、顕正居士さん、松茸さん
 月氏についてのご教示ありがとうございます。

顕正居士さん
 北京語の読書音(7月18日)に関することなんですが、地名人名の特別な読み方を含めて、文言文を読むとき、わたしも気になっていました。李白については、li boと読むのが正しいと思われているが、それは別に根拠のないことだという説明を読んだことがあります。他に幾つかの意味の違いによる破音をなくしてしまったのはちょっと困るような気もするのですが、それ以外は単なる日本でいう、読み癖(公羊伝、くようでん、とか)のような気がするんですがどうでしょうか。



いろいろ

松茸 (2003/07/22 23:35)

> [前略] 木星の衛星
> は、順行衛星には -a, 逆行衛星には -e で終わる名前を付ける規則が有りますので、
> 羅語形のエウローパが採用されたようです。
……〈ガリレオ衛星〉に、これはないと思いますが? (^^;

* "horde"
 たとえば、en-ligne のアカデミー辞書には
| 1. Forme d'organisation sociale et politique des anciens peuples de l'Asie centrale.
とありました。「遊牧民」で切ってしまうと問題でしょう。

> それなのに現代ペルシャ語で na:rangi: が、mandarine を意味するとは……。
……〈参照もとの間違い〉の可能性もありますが、〈よりポピュラーなものを指すように変わった〉(日本語でも「かまぼこ」「いちご」など結構あります)と考えても不自然ではないでしょう。

* 大月氏
 トハロイ説とアシオイ説があり、日本の学界では後者が優勢、ということらしいです。



フランス語が危ない?

きしろふ (2003/07/22 20:41)

「Yahoo!」のニュースにてこんな記事を見つけました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030722-00000005-wir-sci

本当に一般に「courriel」は浸透している(浸透する)のだろうか?
ちょいものでした(^^)



月氏、印度

顕正居士 (2003/07/22 20:38)

massangeanaさん。

>トカラ
トハラ族は大夏を建国した後、大月氏に制服された民族です。
クシャーン朝を建国した民族については大月氏支分説と土豪説があります。
http://www.tcat.ne.jp/~eden/Hst/dic/
>索隱
史記卷一百一十六西南夷列傳第五十六の注
http://www.yasue888.net/si_gei116.html
に「索隱身音捐、毒音篤。一本作乾毒」とあります。
『索隱』の著者司馬貞の唐代には、玄奘のいうように「天竺之稱。異議糾紛」し、
「身毒」のよみにケントク、エントクがあり、字は賢豆、天豆、天篤などと書いた。
今日整理すればshindhu-hindu、shindhu-tianduであり、後者はビルマ経由という。
>賢豆
google検索に出る書名からはそれほど古くない印象がします。



Re: ドンガン語の正書法

U+3002 (2003/07/22 16:26)

どんなものが必要なのかによりますが、Webにあるのはこんなもんでしょうか。

ドンガン語アルファベット
http://www.writingsystems.net/languages/dungan/
ドンガン語転記法
http://ee.www.ee/transliteration/pdf/Dungan.pdf
ドンガン・スクリプトの概要
http://www.paratype.com/library/languag/Dungan.htm



Re: 月氏・身毒

massangeana (2003/07/22 16:23)

zo- さん:
>月氏語
月氏はクシャン王朝以前には何も言語資料を残していないと思います。
大月氏はふつうギリシャの史書にいう tokharoi (インドの tukha:ra)と同一と考えられている
ようです。(なお最も東の印欧語として有名なトカラ語はここから名前を取っていますが
どうも関係はなさそうです)

顕正居士さん:
>身毒・賢豆
これらが sindhu- ないし hindu- を写したものである可能性はあるかもしれませんが,
史記索引に身毒を「乾篤」と読むと書いてあるのがちと気になります。
「賢豆」は縁生論(隋)にでてくるようですがどのくらいまでさかのぼれるものでしょうか。
http://ccbs.ntu.edu.tw/cbeta/result/app/T32/1652_001.htm



ドンガン語

辻本裕幸 (2003/07/22 14:29)

中央アジア ドンガン語の正書法について知りたいのですが、なにか良いページは無いでしょうか?



massangeanaさんへ

てるちゃん (2003/07/22 02:25)

インディアンの言葉への回答をありがとうございました。
早速、本を探してみようと思っています。私の探していたものに出会えそうな気がします。今から、ワクワクしています。ありがとうございました。



ペルシャ語のオレンジ

にれのや (2003/07/22 02:14)

■きゃはは、ペルシャ語でオレンジが困ったことになっています。
【Citrus sinensis】sweet orange は、アラビア語と同じく
     Portogha:l [ポルト'がーる]
です。綴りは、アラビア語と見た目はほとんど同じ。ただ、語頭の b の文字は、アラビア語では、下に点が1つですが、ペルシャ語では、アラビア語にない p 音を表すために、下の点を3つにしています。
 アラビア語の q は、ペルシャ語では、ほとんどの場合、gh で発音します。ペルシャ語には、母音 u が無いかわりに、o があります。よって、portogha:l です。

【mandarine】問題は、ペルシャ語で mandarine (みかん) のたぐいを、
     na:rangi: [ナーラン'ギー]
ということなのです。サンスクリット naranga に由来するペルシャ語の na:rangi:。これは、このあと、アラビア語に入って na(:)ranj(un) "Citrus aurantium" オレンジになるはずです。それなのに現代ペルシャ語で na:rangi: が、mandarine を意味するとは……。いったい、どこでどうなっちゃってるのか?



月氏

zo- (2003/07/21 23:30)

顕正居士さん
  ありがとうございました。他の民族の記録には出てこないということなんでしょうか。ご紹介のものは、たぶん、中国語読みのピンインとウェード式ですね。「氏」をどうして「zhi」と読むのか不思議に思っていたんですが。



>月氏

顕正居士 (2003/07/21 19:56)

月氏。ローマ字はyuezhiかyueh-chih。
この民族の別の呼び方はないようです。



月氏

zo- (2003/07/21 17:16)

したの顕正居士さんの投稿にある、「月氏国」は月氏の言葉(月氏語?)、或いは他の表音文字の言葉ではどう呼んでいるのでしょうか。ご存知の方、いらっしゃいましたらよろしくお願いします。



RE:「被ばく」

鴛鴦 (2003/07/21 16:17)

>高駒麗人Komaさん
返答忝いです。
新聞等でも漢字で書けるところは書いて、そこにルビをふれば(また、常用漢字であっても常用漢字表外の音訓がある場合、常用漢字表外の熟字訓・当て字である場合でも)「水星」の「すい」をカナ書きしたような、「別称」の「別」をカナ書きしたような誤解はまずないと思われます。
でも、新聞社・出版社等としては正直言って面倒くさいのか?

誤解の例の一つとして、「クエン酸」があります。
「クエン酸」は栄養摂取ではかかせないものですが、この類の世界では「ポリ・・・」とか「イソ・・・」という言葉が多方面で使われているため、「クエン」もそれと同じものかと思いますが、実は「クエン」は日本語なんです。
「クエン」は「枸櫞(「櫞」は左から「木」+「糸」+「彖」)」と書き、酸味の多いレモン類またはレモンそのものを指します。
ですから、「クエン(枸櫞)酸」は「レモン(檸檬)類の酸味のある果実のすっぱいもと」ということになります。
まぁ、これはちょっと難しいですね・・・



Bharat Ganarajya

顕正居士 (2003/07/21 14:44)

「舊に身毒と云ひ、或は賢豆と曰ふ」

後漢書西域傳に「天竺國一名身毒、在月氏之東南數千里」とある。
「身毒」は"sindhu"(インダス河)が転じ、インドを外から呼ぶ語になった。
"hindu"(ペルシャ語)、"india"(ギリシア語)も同様である。
「身毒」はケンドク、エンドクともよみ、また賢豆、天豆とも書く。

「今は正音に從ひ、印度と云ふべし」

"indu"はソーマ酒の意義が転じ、月神、月、月の盈虧をいう別の語である。
魏の太和3年(229年)にクシャン朝のヴァースデーヴァ王(波調)が朝貢し、
「親魏大月氏王」に封じられ、さらに玄奘の説があって、インドと月氏の
同一視が進んだように思う。



Re:發 髪

らにい (2003/07/21 12:48)

>高駒麗人Komaさん
>「日本語を知らない中国人が現代中国語の感覚で日本語の漢字を書いたせいでしょう。」
にゃるほど(笑)
やっぱり、地元の言葉をそのまま使った方がまず間違われることはないですからねぇ。



Re: インド

massangeana (2003/07/21 10:43)

>日本でいう「インド」「チェコ」は Indo-(china)、 Czecho-(Slovakia)のような
>連結形が国名になった
おっしゃる意味がよくわかりません。「インド(印度)」は近代以前から日本では盛んに
使われており, ギリシャ語の indo- (「川」を意味する sindhu- に由来するといわれる)に一致
したのは偶然ではないでしょうか。
玄奘「大唐西域記」2巻に「印度」とは月の別名のひとつであると書いてあります。サンスクリット
の indu- に由来するようです。

http://ccbs.ntu.edu.tw/cbeta/result/app/T51/2087_002.htm



Re: インディアンの言葉

massangeana (2003/07/21 09:13)

>インディアンについて
私の住んでいる所にも Ohlone (Costanoan) というインディアンが暮らしていて, 1930年代までは
固有の言語の話者もいたはずなのですが, 自分が何も知らないことに気づいてショックでした。
カリフォルニアは「目もくらむほどの」と評されるいろいろな言語が話されていたそうなので,
今からでも少しずつ勉強していきたいと思います。

日本語で読める本としては
青木晴夫「滅びゆくことばを追って」岩波 同時代ライブラリー 1998
 http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/26/8/2603310.html
「消滅の危機に瀕した世界の言語 : ことばと文化の多様性を守るために」明石書店 2002
 http://www.hanmoto.com/bd/ISBN4-7503-1601-6.html
もっと言語学的なものとしては三省堂「言語学大辞典」の「北米インディアン諸語」の項目
があります。
 http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gengogaku.html

オンラインではやはり英語のものが圧倒的です。
Native Languages of the Americas
 http://www.native-languages.org/
Encyclopedia of North American Indians
 http://college.hmco.com/history/readerscomp/naind/html/na_000107_entries.htm



小ネタ大ホウシュツ!! (3)

Maniac C. (2003/07/21 03:38)

>高駒麗人Komaさん(7/13, 22:07:29)
> Kindergartenは、英語式にするとchildren's garden(子供達の庭)でげすか。
→そうでげす。独語 Kind の複数形は、die Kinder, der Kinder, den Kindern, die
Kinder と変化しますので、無冠詞の場合、3格以外は何格か判別できませんが、
2格と考えて良いでしょう。
>高駒麗人Komaさん(7/13, 22:36:46)
> Kinki Kids は Kinki Children、Kinki Kinder と呼んでも良い事になりますか?
→イヤア、駄目でしょう。まづ、折角の押韻が Kinki Children では失われてしまうし、
音節数が増えてしまいます。略して「キンキ」と言えず、「キンチル」になってしまう
と、お金が散逸してしまうみたいで、商売人は嫌がると思います。又、Kinki Kinder
だと、対象である中高生に馴染みが無く、下手すると「キンキ・カインダー」と読まれ
兼ねません。さらには日本語としての「キッヅ」には、何か“可愛らしさ”“腕白さ”
が含まれているような気がします。これも彼らの性格付けと言うか、商品としての印象
付けに一役買っていると思います。没になった「関西坊や」の「坊や」の心象ですね。

>韓国では“disk”とは「椎間板ヘルニア」の事だそうです。
→disk herniation ですね。

>高駒麗人Komaさん(7/17)
> Gdje(何処)が Gdiに聞こえた事があります。
→なるほど。情報提供、有難う存じます。読みは「グディ」ではなく「グヂ」ですよね?

>{・}がただの点に見えます。
→2回も書き込みいただき済みません。「ただの点」なんです。

>これほど徹底して入力なさるのは見事です。
→中学生の頃から両様書いておりますので、簡体字だろうが繁体字だろうが、旧仮名だ
ろうが新仮名だろうが、maniac なC.にとっては造作も無いことなのですが、一往、
高駒麗人Komaさんへの応援のつもりで書き込みました。どっちで書いても、要は
通じさえすれば良いのですが、やるなら徹底的におやンなさい、ということです。
中途半端はいけません。マ、電脳上では限界は有りますが。

>「後」を「后」にしている中国大陸人から見ると「後藤」「紅葉」は旧字使用です。
→簡体字を知らない方には「葉」が大陸では「叶」になっていることも説明するべき
でしょうね。簡体字を知らない日本人が「紅叶」を見ても、やはり意味不明でしょう。

>「國」を「国」と書いている他者から見て「國」が旧に見えるだけの話
→高駒麗人Komaさんの今までの投稿では「中国」など、日本的表記の方が多いよう
ですが、高駒麗人Komaさんにとっては「国」「國」「圀」のどれが正字/本字なの
でしょうか?

えー、とりあえずこれでひと段落なのですが、松茸さんやmassangeanaさんへのレス
や、これ以外のネタも有るのですが、滞っております。追ってそのうち投稿します
ので、済みませんが、首を長くしてお待ちになっていてください。



小ネタ大ホウシュツ!! (2)

Maniac C. (2003/07/21 03:32)

>Koma高句麗人さん(7/12, 00:07:28)
>日本語の「ヨーロッパ」はなぜ「ヨー」で始まるか。
>おそらく西班牙語か葡萄牙語でEuropaのような語のEuが「エウ」だったのを、室町〜江戸時代の日本人が「えうろっぱ」として取り入れ、この当時は「今日」は「けふ」と書いて「けう」keu、「蝶」は「てふ」と書いて「てう」teuだったのが、直後に母音融合が起きて「エウロッパ」>「ヨーロッパ」という発音になったのでしょう。
→室町〜江戸時代の日本語は「エウローパ」が正式(?)だったようです。天草版『平家
物語』には「エウローパ」と有り、新井白石の『西洋紀聞』にも「エウロパ 漢に欧羅
巴(エウローパ)と訳す。むかし、我俗ヨウロウハといひしは、漢音の転じ訛れるなり。
…」と、「エウロパ」「エウローパ」と長短両様の表記が為されていますが、共に促音は
無く、「ヨー」の読みは訛音であるとも書かれています。ま、当時はこの地名を知って
いる人はそう多くはなかったでしょうから、お上が決めたような語感の有る「正式」と
言うよりは、雅俗の問題と言う方がより適切かと思いますが。
 1916年刊の『西洋中毒』には「欧羅巴(ヨーロッパ)と書く三字でさえも支那人が
支那語の発音から割り出した文字で、日本の発音から出たのでない」と有りますから、
大正時代(多くの外来語の語形はここが転換期)には促音になっていたようです。
 「エウ」が「ヨウ」になったのは御高察のとおり、母音融合の余波です。
 一方「ユー」形の方ですが、「欧亜大陸(ユーレージア)」という語形が『愛蘭自由国
の成立』と題する書物や、「ユーラフリカ」という語形が中日新聞の米副大統領の発言
に見えることから、英語からの借入と判明します。
 尚、「木衛ニ」のエウロパですが、天王星の衛星以外は希臘・羅馬神話に関する名前
を付けるのが慣習ですので、希臘・羅馬の長音を落とした読み方をすることになって
います。エウロパはご存じの通り、原語の希臘語ではエウローペーですが; 木星の衛星
は、順行衛星には –a, 逆行衛星には -e で終わる名前を付ける規則が有りますので、
羅語形のエウローパが採用されたようです。

>高駒麗人Komaさん(7/12, 04:40:07)
>rの前後に母音がないのは多くの英語母語話者には発音しづらいのでしょう。
→これは英語の中の子音結合の問題です。母音の後の子音群(consonant cluster)で、
母音直後の子音が/v/の場合、それに続く子音は、接辞の/z//d/に限られることと、
/r/が子音群の第1要素より後に現れない(つまり、母音+子音+r(+子音)という
組み合わせが無い)こととの、両方が原因です。知識層であれば、[d@:vr]と、仏語風
に発音するのでしょうが、非知識層は、自分が発音しやすいように[d@rv]とか[d@:vr@]
と英語的に発音するのでしょう。
> hord'œuvreと書きましたが、現行のつづりはhorsd'œuvreのようです。
しかし言い訳のようですが発音にないsを書くフランス語の綴りは覚えにくい。
ordœvrまたは ordövrで充分です。
→仏語は、日本語同様「目で見る言語」です。hors de 〜 で、英語の outside of 〜
に当たる表現ですから、それを hord’〜 とやってしまうと、「強盗などの一団」
「中央アジアの遊牧民」と間違えられてしまいますし、or d’〜 とやると、今度は
gold of 〜 の意味になってしまいます。eu, oeu の綴りも、仏語の中では「お約束」
ですので、uを省いてoe と書かれたり、独語でもないのにoにトレマ(仏語の中では
普通、分音符としてだけ使われます)を付けて表したりすることは、無いでしょう。
念の為申し添えておきますが、「レントゲン」は仏語でもちゃんと röntgen と表記
されます。
> disk=圓盤、disc=<英>(=disk)。 discは英国式綴りみたい。.
discoではcを使いますね。
→そうですね。disco は仏語の discothe`que(=record library) の省略形ですから
ね。



小ネタ大ホウシュツ!! (1)

Maniac C. (2003/07/21 03:30)

えー。夏休みを目前に控えまして、最近はまた忙しく、物理的・肉体的余裕が乏しい
のですが、高駒麗人さんはいつもいっぱい投稿なさるのでレスをする間もなく、いつ
の間にか小ネタが溜まってしまいました。あまり古くなっても時機を逸してしまうので、
ここらでちょっとまとめて放出しておきます。連続投稿で失礼します。

>高駒麗人Komaさん(7/10, 02:09:25)
>湿音(しつおん)の l
→原語は‘l mouille´’。‘mouiller’は「液体をしみ込ませて柔らかくする」が原-
義で、lやnの口蓋化して柔らかくなった音を‘mouillure(湿音)’と言います。

>ecripture(sic.), script, Schreib-は同系でしょう。
→御明察。全て羅語の scri¯bere(書く)に由来します。

>Koma高句麗人さん(7/11)
>アメリカ英語の「音節の終りのrを発音する」特徴は、17〜18世紀頃のイングランドの発音が起源でしょうか。
→西洋人によるアメリカ開拓の歴史は、ヴァジーニヤ州にヂェイムズタウンを建設し
た1607年から始まります。このヴァジーニヤ植民地にはイングランド南部の出身者が
多く、マーサチューセツ湾周辺に入植した人達の大半は東部の出身者でした。更に、
フィーラデールフィヤを中心とする中部大西洋岸植民地には北部(および西部)からの
出身者が多数を占めました。階級的には中流の下、下層の上程度だったようで、若干、
地方色を帯びた当時の標準イギリス英語を、新大陸に持ち込んだことになります。
 この当時の英語は「初期近代英語」とも「エリーザベス朝英語」とも呼ばれ、かの
シェークスピーアが活躍した時代でもあります。所謂“米音”には当時の発音形式が
多く残存しており: ask, dance などのaを[α:]ではなく[{ae}]と発音する; learn,
brother などの母音後(音節末だけでなく子音前も)のrを発音する; hot, college
などのoを[ω]ではなく[α]と発音する; old, home などのoを[@u]ではなく[o:]と
発音する; hate, page などの[ei]を[e:]と発音する; which, whale などの語頭を[w]
ではなく[hw]と発音する; ne´cessa`ry, te´rrito`ry などの第2強勢を保存する、
といった中西部での発音の特徴は、全てこの時代に由来するものです。

>ソーンとは昔の英語でthを現した♭みたい(みた様な)な文字ですか。
そうです。文字化けを恐れずに投稿しますと、「þ」です。羅甸字母ではなく、ルーン
に由来します。
 dに横棒を引いた edh という、北欧語や現在の発音記号に採用されている文字が
有声音を表し、thorn は本来は無声音の担当でしたが、この使い分けは13c.末には
廃れました。
 古期英語ではこの外に、ash(=ae), wyn(=uu), yogh(=g/子音としてのy)が有り、
逆にk, q, z は殆ど使われず、当然、j, v, w は存在しませんでした。
 羅語から引きずる c, k, q の使い分けは実はエトルリア語に淵源が有るのですが、
それは又後日、請求(request)が有ったときにでも…。

>日本人がロシアをオロシヤにしたのは蒙古とは事情が違うのでしょうか。
→未だにアルタイ語としての特徴(r音が語頭に来ない)を有している蒙古語とは明らかに
事情が違うと思います。先日書き込みしたように、現代の日本語ではナ行・ヤ行音よりも
ラ行音で始まる単語が多いぐらいなのですから。
>昔、あるロシア人がRossiyaを発音あいたとき、発声を初めてから舌先が歯茎を叩き始めるまでの短い間を日本人が母音「オ」として聞き取ったのでしょーか?
→私は、rの顫動音(スペイン語ならrr)が「オロ」と聞こえたのだと思いますが。



ノヴゴロドがノヴォゴロドにならないのはなぜか?

にれのや (2003/07/21 01:26)

【Новгород に、なぜ、-о- がないのか?】
■Koma さん、わかりません。説明している文章に出会った覚えがありません。ただ、考えるヒントはあります。
 Новгород ['ノーヴガラット] (Novgorod) 「ノーヴゴロド」 は、859年に初めて記録に現れます。つまり、古ロシア語の地名です。この系統の名前に、Белгород 「ベルゴロド」 があります。これらは、
     новый(新しい) +город (町)
     белый(白い)  +город (町)
と考えられます。いずれも、第1要素は、「裸の語根」 です。
 これとは、別の系統に、
     Болгоград 「ヴォルゴグラード」
       →Болга(ヴォルガ川) +град (町)
     Петроград 「ペトログラード」
       →Пётр(聖ペテロ) +град (町)
があります。現代では、むしろ、こちらの系統のほうが多いです。Новосибирск 「ノヴォシビルスク」 もこちらに属します。こちらでは、-о- が入っています。(ただし、ソ連時代につくられた地名で、Ленинград, Сталинград などは除く)
 「前者のグループ」 と 「後者のグループ」 では何が違うのか、というと、第2要素の 「町」 にあたる単語です。これらは、
     город ['ゴーラット] 本来のロシア語。普通名詞としても使う。
     град  [グ'ラート] 教会スラヴ語から入り込んだ語。単独の名詞としては使われない。
この2語は、起源は同じ、スラヴ基語 grodu* (гродъ) にさかのぼります。スラヴ語が、東―西―南に分裂したのち、南スラヴ語(ブルガリア語・セルビア語)では、gradu (градъ) となりました。ロシア語を含む東スラヴ語では、「語頭の子音群を嫌ったため」 語頭の2つの子音間に第1音節の母音を繰り返して挿入し、gorodu (городъ) に変化させました。つまり、город は、ロシア語がスラヴ語から分裂して、古ロシア語の時期に生まれた語形といえます。
     【古ロシア語期につくられた地名では、複合語に -о- が挿入されていない】
ということになります。
 中世に、ロシアがギリシャ正教を導入したとき、教会スラヴ語として、南スラヴ語がもちこまれました。これは、どういうことかというと、バルカン半島の南スラヴ人は、すでにギリシャ正教を採り入れていて、「キリール文字」 で、南スラヴ語による聖書などを完成していたからです。つまり、ビザンチン帝国からギリシャ正教を採り入れたといっても、具体的には、バルカン半島の南スラヴ人のギリシャ正教を経由しているわけです。
 この段階で、ロシアでは、世俗ではロシア語を使い、教会では教会スラヴ語を使う、という二重言語状態になるわけです。たとえ話で言えば、ありえないことではありますが、「江戸っ子が寺に行くと坊主は上代の京都の言葉を使っている」 というような状態ではないか、と思います。教会に力がなければ、なんてことはありませんが、教会は、ロシア人の生活のあらゆる面で絶大なる権威を持つようになります。そのようななかで、教会スラヴ語の語彙が、ロシア語の語彙の中に入り込んでゆくわけです。град というのは、そのような経緯でロシア語の地名の一部にのみ使われる語彙として、город を駆逐したわけです。
     【教会スラヴ語 град を使った地名では、-о- が挿入されている】
 こう考えると、古ロシア語では、複合語をつくる際に、-о- を挿入していなかったが、教会スラヴ語と接するようになって、-о- を挿入するようになった、という仮説が立てられるように思います。あくまで仮説ですけど。



發 髪(髮) 「被ばく」

高駒麗人Koma (2003/07/21 01:02)

しかし、一般の日本人知りませんし、→しかし、一般の日本人は(「髪、髮」と「發」が同系だとは)知りませんし、「長い發の少女」は「ながいカミのしょうじょ」とは読めません。
「長い發の少女」は「ながいカミのしょうじょ」とは読めません。

「髮」という字で「髟」の下にあるのは厳密には「友」でなく「ナ」の右下に「メ」を書いて右上に点をつけた物です。

似た例として中国人が「酒井」を「井」と書く例があります。北京語では「酒井」でも「九井」でも Jiujing だからです。しかし「井」「九井」では「さかい」とは読めません。
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/bbs/bbs0304.htm
↑「」については4月分にありますね。

日本語音ですと「佛」「弗」は「ブツ」「フツ」、古代漢語ではput類似音、「不」は「フ」ですが、廣東語で batなのでやはりt入声でしょう。「弗」は「不」と同系でしょうか?

以前、某週刊誌で「大新聞よ『は虫類』って何ですか」という記事がありました。「爬虫類」を「は虫類」と書くと「何の虫か」と思えるという事でしょう。これに習うと「大新聞よ『被ばく』『すい星』『べっ称』って何ですか」になります。

今の日本の新聞社等では、原爆のヒバクを「被爆」にし、原發のヒバクを「被曝」としながら、「曝」が常用漢字外という事で、原爆で「被爆」、原發で「被ばく」という表記になっています。これでは書き手が「被爆」の「爆」を書くのを怠けたように思えます。
同様の例で「水星」と「彗星」があり、新聞等でMercuryは「水星」、cometは「すい星」、これでは「水星」の「すい」をカナ書きしたように誤解されるかもしれません。
「別称」と「蔑称」があり、大新聞で「『支那』は中国へのべっ称」「“Jap”は日本へのべっ称」、これでは「別称」の「別」をカナ書きしたような感じになります。
「曝」を新聞紙上で書かないなら、喩えチェルノブイリ被曝でも「爆」を採用して「被爆」と確報がいいかも知れません。
『空想科学読本』シリーズでは「被曝」となっています。
「ひとごと」が「他人事」と書かれるのは「人事」だと「じんじ」だと誤解されるからでしょう。「たにんごと」の方が「他の人の事」という意味が明確になります。「たにんごと」を誤りとし、「ひとごと」と読んでほしかったら、感じでなくカナで「ひとごと」と書くべきです。



Re: zadeh Iranian

にれのや (2003/07/21 00:38)

■Maniac.C さま。
なるほど、zadeh のつくイラン人の姓は多いようですね。次に知りたいのは、
   (1)ペルシャ人とアゼルバイジャン人の比率はどれくらいなのか? (どちらも、アラブ系の名前に zadeh がつくので区別ができない)
   (2)zadeh のつく姓には、地域的なかたよりなどがあるのか?
   (3)zadeh は分綴するのか? (検索結果では Zadeh を大文字で分綴しているものが多いですね)
■M.C.Hummer はダジャレが書きたかっただけです。他意はありません。M.C.Hammer と書こうとしたところ、鉄槌よりも、「頭の上をブンブン飛び回る虫 (大いに失礼!)」 のほうが、おちゃめかな、と…… 佐藤さん、すみません。
■"psilosis" の言語学的な語義が載っている辞書があったんですか。わたしの手元の辞書にはいっさい載っていません。ギリシャ語史の本にイタリックで so-called psilosis となっていたので、ギリシャ語学者のあいだで、慣用的に使われている述語と思っていたんですが…… 他の 「頭音消失」 にも使うのだろうか?



弗素 曽

高駒麗人Koma (2003/07/21 00:30)

http://www.bitex-cn.com/
(↑朝鮮文字も中国大陸文字も表示できるBBSがあります。色々な質問をしている人が多いので読んでみましょう)

「弗素」についてですが、中国大陸では「气」の中に「弗」を書いて弗素を現します。
>圖書寮本『類聚名義抄』では「怒」を{イ+左上・}{カ+左上・}{ル+左下・}
「左上」の次が「・」(ただの点)に見えます。すみませんが、何の文字でしょう?

「曾」は「曾経」cengjingでは ceng ですが、「曾石」Zengshiというマッサージ店名や
曾仲鳴(Zeng ZhongMing)、「曾慶紅」(Qinghong)、曾培炎(Zeng Peiyan)のような人名では zengのようです。日本人名「曽我」Sogaは北京語では Zeng-woでしょうか?

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%c1%bd+ZENg&hc=0&hs=0
http://yongdai.peko.li/jin8.htm
『水滸傳』人物事典8... 曾弄 (そう・ろう/Zeng Nong) (60、68) [曽長者 曽長官]. ... 曾家五虎曾塗 (そう・と/Zeng Tu) (60、68).

「増」zeng、「僧」seng、「層」cengと比べるとわかります。中国大陸で「層」の中の「曽」を「云」にしているのは残念です。「云」yunとは関係ない筈です。日本で「傳」を「伝」にしたのと似ています。



發 髪

高駒麗人Koma (2003/07/21 00:10)

らにいさんへ
>「長い發の少女」・・・なにがなんだか(^^;)ごく単純で稚拙な質問ですが、「發」なのは「髪」と同じ音だからでしょうか?

そのとおりです。北京語では「發」はfa(高く平ら)、「髪」はfa(下がり調子)で、声調shengdiao(高低Accent)の違いを無視すると同じ音です。中国大陸では漢字を簡略化し、「發」と「髮」を「友」の左上に/、右上に\をつけた文字にしています。
藤堂明保編『学研漢和大字典』によると「發」「髪」「八」「別」は同系の詞のようですから、「頭髪」toufaを「頭發」と書くのは一理あります。どちらも「別れて廣がる」意味があります。
しかし、一般の日本人知りませんし、「長い發の少女」は「ながいカミのしょうじょ」とは読めません。「發」と「髪」は音読みではどちらも「ハツ」ですが、訓読みでは「髪」は「カミ」と読めても「發」は「カミ」にはなりません。「横暴」というより、日本語を知らない中国人が現代中国語の感覚で日本語の漢字を書いたせいでしょう。
ちなみに「発」は「癸」gui(「葵」kui等の音符)と紛らわしい字体です。

日中の漢字の違いについては両国であまり知られていないので追加します。
同様の例で、JAS(日本エアシステム)の「城田史生」氏が中国の新聞紙上で「成田史生」と誤記された事があります。北京語では「城田」も「成田」も Chengtian で同音なのでこれでOKですが、日本語としては「城田」では「しろた」、「成田」では「なりた」で全く違う。中国の報紙編輯者が日本語を知らないせいです。

「裏」と「里」も同音でliなので、大陸では「那裏」nali(そこ、あそこ)を「那里」と書きます。日本の茶道の「裏千家」は「里千家」になります。日本語では「裏千家」は「うらせんけ」ですが、「里千家」では「さとせんけ」になるので「裏千家」を「里千家」と書くのは誤りになりますが、日本語を知らない人はそういう事が理解できないわけです。
中国の某地下商店街で「弗克納街」というような廊下があり、現地の日本語誌で「仏克納」と紹介されましたが、これはFalkner Streetのような西洋語を音譯した物のようで、日本人が「弗」を
「佛」と誤認し、「佛」を「仏」にする日本の習慣に基づいて書き換えたのでしょう。
日本人が中国人に「仏克納」という字を見せて何処か聞いても中国人は「そんな名前の道はない」というでしょう。
この付近で絵画展覧会を開いていた画家「陳藝」Chen Yi氏は日本の新聞紙上で「陳芸」氏として紹介されました。(会場にその記事の切り抜きがあった)
「陳芸」では Chen Yunとなり違う名前になります。「藝術」の「藝」はyiであり、「芸」はyunであって「芸豆」yundouは「云豆」とも書かれ、「藝」とは別の字です。「華藝大廈」Huayi Dashaが日本語誌で「華芸大廈」と書かれ、其処に行こうとタクシーに乗った中国人が「芸」をyunと読んで Huayun Dashaと發音し、運転手が「そんなビルはない」と言ったというエピソードもあります。
「許茹芸」はXu Ruyunであり、この「芸」は日本語音では「ウン」になります。「我想洗頭髪」(歌詞カードで「我想洗頭發」)という歌詞の歌を歌っていたのは彼女です。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%e8%a7%b7%dd&hc=0&hs=0



佐藤さんへ

KEI (2003/07/20 22:57)

ホントにありがとうございます。とても助かりました。ありがとうございました!!



和人は舟を食う

佐藤和美 (2003/07/20 15:51)

知里真志保の本は北海道出版企画センターからは『アイヌ語入門』、『地名アイヌ語小辞典』ともう一冊『和人は舟を食う』っていうのが出てます。

この「和人は舟を食う」っていうのは和人が「チェプ」(cep・魚)を「チプ」(cip・舟)と訛る(間違える)のを皮肉ったものです。

ところで『広辞苑』のわけのわからないアイヌ語の一つですが「あきあじ」の項に「アイヌ語アキアチップの転という」などと書いてあります。この語尾の「チップ」っていうのも「和人は舟を食う」のたぐいですかね。



イヨマンテ

佐藤和美 (2003/07/20 15:01)

これはどうでしょうか。

アイヌ民族博物館
http://www.ainu-museum.or.jp/

http://www.ainu-museum.or.jp/iyomante/index.html



「言葉の世界」伝言板4月分

佐藤和美 (2003/07/20 14:56)

「言葉の世界」伝言板4月分」を追加しました。

この掲示板の過去ログは手作業で作成しています。そのため「&#8211;」、「&macr;」などのような文字入力はひろいこぼす可能性があります。(今回も大分ひろいこぼしてます)この入力方法は必要最小限にお願いします。



失礼します

KEI (2003/07/20 11:17)

アイヌの熊送り祭りについて詳しく知りたいのですが、良いHPあれば教えて下さい。いきなり勝手な事言ってごめんなさい。



言葉の差

鴛鴦 (2003/07/20 10:40)

映画『タイタニック』は単なる長編ラブストーリーと思いますが、実はこの映画、言語学的にも非常に示唆に富んでいるのです。というのは、ジャックやローズをはじめとしたキャストの話すことばの隅々まで、言語学や音声学の専門家がチェックし、語彙やアクセントに至るまで、忠実に1912年当時を再現するよう努めているからです。三等船客のジャックと上流階層のローズの会話から、当時の社会方言を感じることができますし、歴史言語学に関心のある人なら、84年前の言語事実を目の当たりにできるのですから、こんな機会はないようです。
だいたい日本でいうならば標準語と各地の方言との差といったところでしょうか?



漢字

らにい (2003/07/20 10:31)

>高駒麗人Komaさん
「長い發の少女」・・・
なにがなんだか(^^;)
ごく単純で稚拙な質問ですが、「發」なのは「髪」と同じ音だからでしょうか?
それとも、「發」にも「髪」と同じ意味があるのでしょうか?
それにしても、たとえ当て字だとしても「髪」を「發」とするのはちっと横暴では・・・?



布基礎

栗田一也 (2003/07/20 08:48)

布基礎の語源はなんでしょうか?



訂正(三件)

Maniac C. Hammer (2003/07/20 08:16)

1. 同形→同系
2. 「ブンブンうなる人」→「ブンブンうなる物」or「モグモグ言う(口篭る)人」
3. Zadeh+Iranian → zadeh+Iranian



re テーマ母音 Zadeh

Maniac C. Hammer (2003/07/20 08:06)

>にれのや師匠
>M.C.Hummer よく効きます。
→私は「ブンブンうなる人」or「鼻歌を歌う人」でしょうか? 個人的には「金槌」の
方が好きです。「こきおろす人」の意味も有りますし、私にピッタリでは? :-P

>「テーマ母音」
→そういう訳も在るのですか、初めて見ました。確かに Thema と同形の語なのですが、
そして元の意味も「置く→前提→主題」「置く→語幹を形成する」と根は同じなのですが、
何か違和感が有ります。

>Zadeh
→Zadeh+Iranian で検索してみてください。英語のHPで、Zadeh そのものを姓として
いるイラン系の方や、連結符で結ばれた姓がたくさん当たります。



ザデについて

にれのや (2003/07/20 02:05)

【ザデについて】
探している本はすぐに見つかりました。調べてみてちょっとやっかいな事態になりました。
■-заде のつく名前は、旧ソ連領内では、アゼルバイジャン人とタジク人に多く見られる名前である。
旧ソ連邦領内、中央アジアのチュルク系民族には、他のイスラーム圏と同様、「姓」 というものがなく、アラブに倣ったクンヤというものが使われていました。クンヤのパターンはあまりにも複雑なので、ちょいと説明できません。アブーなんとか、とか、イブンなんとかイブンなんとか……というたぐいのものです。そのなかでももっとも簡単なパターンが、ちょうど、父称と同じ構成になっていました。アゼルバイジャン人の場合は、
     「個人の名前  父親の名前  оглу (oglu)」 もしくは
     「個人の名前  父親の名前-заде (-zade)」
でした。оглу は、トルコ人の姓によく見られる語尾 -oglu (gの上にUのごとき皿がつく) と同じものです。(トルコ語で 「息子」 は、ogul)。他の中央アジアのチュルク系民族では оглы という語形も見かけます。ところが、-заде は、アゼルバイジャン人とタジク人に特有のものなのです。というのは、заде というのは、ペルシャ語からの借用語だからです。実は、タジク人というのは、ペルシャ人なのですが、ロシアの国境の北側に囲い込まれたペルシャ人が、政治的な理由で 「タジク人」 というラベルを貼られたにすぎません。ところが、アゼルバイジャン人はれっきとしたチュルク系の民族なのですが、ペルシャと隣接しているうえに、イラン領内に同胞のアゼルバイジャン人が居住していることから、ペルシャ語を借用したものかもしれません。
     Гасанзаде [гасанза'дэ] ガサヌザ'デー
のように、必ず、最後の音節にアクセントが置かれ、дは軟化しません。つねに不変化です。タジク人の場合、-зода [зо'да] (ザ'ダー) という語形もあり、こちらは、まったくタジク人特有のものです。このザデ系の父称が、ソ連時代に姓に固定化されたわけです。
■заде は、ペルシャ語からの借用語である。
заде は、上にも書いたように、ペルシャ語からの借用語で、「息子、子孫」 を意味します。アゼルバイジャン語では、人名の一部としてのみ用いられ、独立した単語としては使われません。ただし、現代ペルシャ語では、「息子」 は pesar [ペ'サル]、「子供」 は bachche [バッ'チェ] で、za:de は使われないようです。(この点は、のちに、「どこかで」 ペルシャ語辞典を参照して調べてきます)。「王子」 という単語が sha:hza:de [シャーフザー'デ] で、sha:h (王)+za:de になっています。この -zade は、-zadeh と綴られることが多いですが、これは、原綴の黙字の h を反映したものです。現代ペルシャ語では、語末の -eh の h は発音されません。アラビア文字で言うと、ちょうど 「点々をはぶいたターマルブータ」 に当たります。
■ここで問題が発生しました。
つまり、ペルシャ人、狭義のイラン人の姓にも -za:de (転写綴りでは、-zadeh) に終わるものがあるのではないか、ということなのです。わたしのところでは調査資料は調べつくしましたが不明です。そこで massangeana さんにお願いがあります。もし、可能でしたら Ehteshamzadeh さんに、尋ねていただけないでしょうか。ペルシャ人(いや、イラン人というべきか)にも、-zadeh に終わる姓があるのか。いや、Ehteshamzadeh さん自身がペルシャ人(いや、イラン人というべきか)かもしれません。できれば、-zadeh の語尾をもつ姓には、イラン人とアゼルバイジャン人とどちらが多いのか、も、教えていただけるとありがたいです。
■以上、ザデについてでした。



細かい訂正

高駒麗人Koma (2003/07/20 01:33)

シナ語ではYuzhno-sakhalinsk>「南薩哈林斯克」Nan-sahalinsike(南のサハリンスク)、Yugo-slavia>「南斯拉夫」Nan-silafu(南のスラヴ)で、YuznoとYugoが「南」Nanになっています。
「、」の直前で改行したのはまずかった。

スペイン語圏では「ジョー」Joは「ホー」と發音されるそうですが、では矢吹丈とホセの対決はメキシコでは「ホー対ホセ」になり、英国では Jo vs Josephで「ジョー対ジョセフ」だったのpでしょうか?



連結形

高駒麗人Koma (2003/07/20 01:27)

にれのやさんへ
>Южно-Сахалинск(южный + Сахалинск より)
Юго-Славия(юг + Слав)の例もありますね。
シナ語ではYuzhno-sakhalinsk>「南薩哈林斯克」Nan-sahalinsike(南のサハリンスク)
、Yugo-slavia>「南斯拉夫」Nan-silafu(南のスラヴ)で、YuznoとYugoが「南」Nanになっています。
Ново-Сибирск(Новый+Сибирь)
Novo-Sibirsk(ノヴォシビルスク)>「新西柏利亞」Xin Xiboliya(新しいシベリア)は判じ物に近いでしょう。
Новгород Novgorodのように母音oが入らない例もありますね。
日本でいう「インド」「チェコ」は Indo-(china)、 Czecho-(Slovakia)のような連結形が国名になったと言えます。
Sina、Chinaは連結形でSino-、Chino-です。
「新浪網」は http://sina.com/、「中国石油」はPetroChina、「中国石化(石油化学?)」はSinopecです。
sino-logyに対して sin-antholopsがあるように、連結母音oは後続するのが子音である時に入り、母音後続の場合は不要でしょうか。
Euro-に対してEurasiaがあり、これはEuro-Asiaでもよさそうですが、Asiaが母音で始まるのでEuroでなくEur'を前につけたのでしょう。
ではNovgorodはNovogorodの筈。
印欧語族の名について、Indo-Europeanは母音の連続があり、発音しにくいので Indo-germanicにしようという意見もあたようですが、それでは Ind'Europeanにすればよかったと想います。



ジャック・タチ +Re: ヘレネー

にれのや (2003/07/20 01:21)

■Maniac.C どの。
失敬失敬。ヘレネーとヘッレーンの混同です。みなさんにもごめんなさいい。Елена (Elena) に関するわたしの書き込みの神名のところを 「伝説の美女」 と読み替えてください。どうにもお詫びが言ハレネー。
う〜ん、M.C.Hummer よく効きます。
■そうですか。あの -o- は、「テーマ母音」 というヤツなんですね。「取り合えず知ってる言葉」 と 「具体的な例」 が結びつくと、すっきりしますねえ。
■きょう、フランスの喜劇役者 ジャック・タチ (Jacques Tati) の『プレイタイム』(復元版) という映画を見てきました。六本木ヒルズですよ。実によかった。笑った。でも、ここは映画について書くところではないですね。名前です。
 パンフレットを見て驚いた。ジャック・タチは、生まれたときはロシア人だったようなのです。パンフによると、「1907年10月9日、パリ郊外のセーヌ=エ=オワーズ県ペックに生まれる。本名はジャック・タチシェフ。祖父はパリのロシア大使館付の陸軍武官で、伯爵の称号をもつ帝政ロシアの名門貴族ディミトリ・タチシェフ」 とのこと。つまり、ロシア革命の10年前に生まれているわけですから、生まれたときは、明らかに国籍はロシアですね。パンフには書いてありませんが、彼が10歳のときに、一族は揃ってフランスに亡命したということでしょう。問題は、名前です。
 ジャック・タチシェフ。フランス語綴りは、Jacques Tatischeff。発音は、[tatichef] 相当でしょう。確かに、これは本名かもしれませんが、生まれたときの名前ではありません。では、と、ロシアのエンジンで調べると、彼のロシア語の本名を載せているページがたった1つありました。Яков Татищев (Jakov Tatishchev) 「ヤーコフ・タチシシェフ」 でした。つまり、フランスで彼の本名と言われているものは、生まれたときのロシア洗礼名 Jakov をフランス語に訳したものであると言えます。
 Tatischeff という綴りにも、ひとクセがあります。つまり、щ (シシャー) の文字を -sch- で転写していることです。以前、フィギュアスケートのプルシェンコのときにも、щ を -sch- で転写している、ということを書きましたが、どうやら、俗綴の世界では、延々と使われ続けている綴りなのかもしれません。同じく、щ の文字を姓に含むフルシチョフの場合、英語では、次のような割合でした。(Yahoo! で)
     Khrushchev   83,700件
     Khruschev    8,350件
-shch- と -sch- の割合が、ほぼ、10:1です。フランス語の場合、Yahoo! France で検索したら
     Khrushchev   159件
     Khruschev   13件
     Khrouschev   1件
でした。つまり、щ を -sch- で写しているページが14件あったわけです。これらの数字は、わたしには意外でした。なぜなら、ロシア語の転写で щ を -sch- にする、というような指針を示している書物に出会ったことがないからです。
 以上、ジャック・タチの名前考でした。



日本の漢字の由来

高駒麗人Koma (2003/07/20 01:20)

らにいさんへ
>今の日本の漢字はホント新旧ごっちゃになってますなぁ・・・
中国製のカラオケの字幕がそうです。
中国大陸では理髪店で「理髪」「美髪」を「理發」「美發」と書いたり、歌詞カードやカラオケの歌詞で「我想洗頭發」「長い發の少女」等と書いてあったりします。

massangeanaさんへ
>唐の高宗の書にしばしば「仏」が見えるそうです。日本では法隆寺甲寅年銘釈迦像光背銘(594 または 654)にこの字が見えるとのことで, 「新」字どころかきわめて古い字であることがわかります。
>右側のフレームで「金石文字辨異」「精嚴新集大藏音」「四聲篇海」「正字通」「字彙補」などをみてください。
http://140.111.1.40/yitia/fra/fra00110.htm

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%c0%b5%bb%fa+%ca%a9+%d0%c7+%ca%a8&hc=0&hs=0
zoさんへ
>「仏」は敦煌出土文書ではかなり大量に用いられています。確か『敦煌変文集』などでも、「仏」がそのまま使われていたと思います。「圀」は則天文字だそうです。

御教授有り難う御座います。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%c0%b5%bb%fa+%ca%a9+%d0%c7+%ca%a8&hc=0&hs=0
↑この検索で出てくるサイトで戦後の日本の漢字簡略化で「弗佛拂沸→弗仏払沸」、「黄横廣擴鑛→黄横広拡鉱」のように音符「弗」「黄」が一部の字で「ム」となり、「私」「仏」「広」では由来の異なる「ム」が用いられ、却って漢字の字体と音の関係が覚えにくくなっている点が批判されています。

「ム」は日本ではmuを現しますが、台湾注音ではsを現すようで、「私」si音符です。
昔の唐土でも「仏」を使っていたとはいえ、両岸で「仏」を採用しなかったのは賢明でした。
西尾幹ニ氏は「国民の歴史」で「佛教の佛を何故『仏』と書くのか。『沸』と音が近いから『佛』の方がいいと思う。佛教徒がしぶしぶ從っているのか」と書いています。ある漢和字典では「仏」と宋、元代から使われた俗字」としています。しかし、今では「仏」を使っているのは日本だけで、中国両岸では「佛」です。
「國」は「域」と同系ですが、漢和字典によると則天武后は「國」が「惑」と似ているので良くないと考え、「或」を「八方」にしたようです。
http://homepage1.nifty.com/~petronius/kana/sokutenmozi.html
「佛」「國」「廣」という正字を使う人々の意見を読むと、あたかも戦後の日本人が勝手に「仏」のような「新字」を發明したかのような印象を受けますが、古代シナの文献でも使われていたわけですね。それでも私はやはり「佛」「廣」の方がいいと想います。

弗素fluoridesを「弗」で現すのも、ブッダBuddhaを「佛」であらわすのも、本来は音を当てた物で、本来は「弗」「佛」は別の意味(「不」と同じ否定の意味?)だったようです。



U+3002 さんへ

てるちゃん (2003/07/20 00:21)

インディアンの言葉への回答をありがとうございました。
とても参考になりました。まだ、まだ勉強不足です。
皆さんの投稿の内容を興味深く、読ませていただいております。
また質問したくなったら、投稿します。
ありがとうございました。



-o-補足

polyglot Maniac C. (2003/07/19 08:38)

 おおもとは、名詞類の「語幹形成母音(thematic vowel)」というヤツで、語根に付随して
語幹を形成し、屈折語尾につながる前の部分になる母音です。
 したがって、Anglo- とか、Graeco- というのは、性も数も格も表していない、正に裸の
形なわけで、合成語を作るには適切な形だったのです。この、言い差し的な語感が伝わるで
しょうか?
 speed はゲルマン共通基語にまで遡ると*spo¯-δ-iz という非語幹形成名詞なのですが、
ウムラウトが起きて屈折語尾が消失し、spe¯d で一体のように感じられたということも、
speedo- の語形成に一役買っているでしょう。けれども、ルネサンス期に、この希臘語起源
の連接辞が羅語系のものにも科学用語の造語要素として使われるようになると、広く一般に
連結要素として使われるようになったのが、この語の場合の歴史的理由でしよう。



re speedometer ヘレン Zadeh

polyglot Maniac C. (2003/07/19 02:23)

>にれのや師匠
>■インド=ヨーロッパ語族では、もともと、複合語をつくる際に、あいだに接合母音 -o- を入れていたのではないでしょうか? この辺は Maniac.C さんが詳しいですね。
→はいな。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン(古っ!)てな感じですかね。
-o- は希臘語系の合成語連接辞です。ですから、露語にも入っているのでしょう。
本来は Anglo-French とか Graeco-Roman とかの合成人種名の連接辞でした。
羅語系では –i- になります。

それにしてもmassangeanaさん、いっぱい「〜計」を集めましたね。

■ちと古い話になりますが。
>にれのや師匠(7/10)
>古典ギリシャ語の神名‘Ελ{ε+´}νη helene: ヘレネー
→おっと、師匠、日本語ではどちらも「ヘレン」ですが、
神名「ヘレン」(Δευκαλι´ωνとΠυ´ρραの息子で全希臘人の祖)は
‛´Ελληνで、トロイの「ヘレン」(Ζευ´sとΛη´δα¯の娘で絶世の美女)
は‛Ελε´νηで、人間では??

> psilosis といって、古典時代からイオーニア方言などでは、語頭の h を落とす発音がありました。
→ご承知かと存じますが、psilosis の原義は‘becoming bare’であることから、
2つの意味が有って: 第一義は、病理学用語で“loss of hair”即ち「脱毛症」
「禿頭病」を意味します(^Δ^)。古語としては腸の上皮組織の損失による吸収不全症
を意味することも有りますが。第二義が音声学用語で、“loss of initial aspira-
tion”又は“deaspiration”で、「非帯気音化」「無気音化」を意味します。私は第一
義しか存じませんでしたので、思わず笑ってしまいました。

■Zadeh に関しては下記HPに以下の記述が有ります。
Mirza
(Mir"za) n. [Per. mirza, abbrev. fr. mirzadeh son of the prince; mir prince (Ar. amir, emir) + zadeh son.] The common title of honor in Persia, prefixed to the surname of an individual. When appended to the surname, it signifies Prince.

http://www.bootlegbooks.com/Reference/Webster/data/988.html



Re: speedometer

にれのや (2003/07/19 00:39)

■インド=ヨーロッパ語族では、もともと、複合語をつくる際に、あいだに接合母音 -o- を入れていたのではないでしょうか? この辺は Maniac.C さんが詳しいですね。
■ロシア語でも、複合語をつくる際に、-о- を挿入するので。ただし、難子音のあとでは -e- になりますが、古ロシア語では、「о―е が硬軟の対立の対になっていた」 ので、実質は -о- です。
     【例】
     Южно-Сахалинск
     (южный + Сахалинск より)



Re: ザデ と シーン

にれのや (2003/07/19 00:30)

■ Shukran, massangeana!
よくもまあ、こんな情報を海のかなたから。いつもながら、massangeana さんの調査力には恐れ入谷の鬼子母神です。
 なるほど。まったく、なるほどです。筋の通った説明ですね。そういえば、アラビア語史というのも日本語で読めるものはありませんね。おそらく英語で読めるものはあるんでしょうが、洋書屋では見かけたことないなあ。語学書をネットで買うというのは、当たりハズレが大きすぎますし……。
■エフテシャムザデさんのザデについては、ちょっと時間を。確か、ソ連邦内の各民族の名前の構成について書かれた本があったはずなので。「捜索に時間が……」
ロシア語で綴ると Эхтешам-Заде かな?



Re: インディアンの言葉

U+3002 (2003/07/18 17:34)

てるちゃんさん
>インディアンの言葉で「太陽」「照る」「ありがとう」の表現方法を

その質問は「アジアの言葉で〜」と同じくらいあいまいですよ。

>インディアンと一言で言っても、その生活域によって言葉も文化も違うことを知りました。
とおっしゃっているので、お気づきでしょうが。

「ありがとう」は、ここを見るといいでしょう。
「こんにちは」「はい/いいえ」「英語を話せますか?」とかもここからリンクしています。
⟨"Thank you" in over 465 languages⟩
http://www.elite.net/~runner/jennifers/thankyou.htm

いわゆる“インディアン”の言語のごく一部を抜粋すると、こんなかんじです:
Abenaki (Maine USA, Montreal Canada)    Wliwni ni
Abenaki (Maine USA, Montreal Canada)    Wliwni
Abenaki (Maine USA, Montreal Canada)    Oliwni
Alabamu (Texas USA)            Alíila
Alabamu (Texas USA)            Kano
Alabamu (Texas USA)            Kanobi
Alabamu (Texas USA) [informal]       Tá
Alabamu (Texas USA) [very much]      Alíilamoolo
Alabamu (Texas USA) [very much]      Kanoomoolo
Alabamu (Texas USA) [very much]      Kanopalammoolo
:



北京語の読書音

顕正居士 (2003/07/18 16:56)

北京官話に口語音と音韻の体系を異にする文言音という観念ははなくても、
文言(書面語)と白話は全然ことなり、詩は中古の韻で作るのだから、読音
と語音の別が一定生じたと想像できる。
李白をローマ字で書くとLIBAI、LIBO、LIPO3種ある。WEB上の『中文字譜』、
『當代漢英詞典』、『國語辭典』いづれも「白」はBAI、BO両音とし、『漢英詞典』
は各音でよむ語を区別し、『國語辭典』はBOが読音、BAIが語音と説明する。

北京官話が標準として全国に受容されるまで時間を要したのであり、確立
するのは現代である。『國語一字多音審訂表』(「白」はBAIに統一)の『序』
http://www.edu.tw/mandr/allbook/kyjd/shi.html
に一字多音の由来を列挙するが、要するにいろいろであり、韻書は山の
ようにあって、多音の各音のもとを推定するのは難しそうであります。

文言音は経書を音読する際の音であり、そういう場所は今日では大学の
中国哲学科などであるが、すでに北京語で音読しており、一字多音の一種
として単語に残るのみといえる。しかし同時に北京官話以外の白話が字で
書かれるようにもなっている。

清代官話の資料について
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~takata/Mandarin.pdf
現代中国語の成立小史
http://www.pacific-en.co.jp/x260-1-1.html#A-1
韻書
http://willnet.tv/kenitiro/insyo.html



Re: as.-s.i:n

massangeana (2003/07/18 10:54)

こんな記事がありました(メッセージ #14 以降を見てください)。
現在のアラビヤ語では ch を sh にしますが, ふるくは s. にするものがあった
とのこと。理由は古い方言の発音によるという説と, アラム語の影響とする説が出て
います。
理由はともかくアラビヤ語のスィーンがインドからペルシャ語にはいったチーンに由来
するのはたぶん問題ないと思います。
http://groups.google.com/groups?th=2bccc3a80a3dc2e0&seekm=20020910212214.05161.00002931%40mb-mk.aol.com#link14



Re: speedometer

massangeana (2003/07/18 09:44)

たぶん barometer, chronometer, hygrometer, thermometer, anemometer, magnetometer,
seismometer, pedometer, manometer, dynamometer, sphygmometer, photometer のように
-ometer となる語が多いのでそれにならったものでしょう。



Re: ザデ

massangeana (2003/07/18 09:42)

知人に Ehteshamzadeh という人がいます。
ザデが「息子」という意味だと聞いたことがありますがこれは正しいでしょうか。



インディアンの言葉

てるちゃん (2003/07/18 00:51)

ある占いで、私の前世が「インディアン」であったと言われました。
それからなんとなく気になって、インディアンについての本を探して読み始めました。
インディアンと一言で言っても、その生活域によって言葉も文化も違うことを知りました。もっといろいろなことが知りたくなってきました。お勧めの本などありましたら、
教えてください。
インディアンの言葉で「太陽」「照る」「ありがとう」の表現方法をご存知の方がいらっしゃったら、是非、是非、教えてください。宜しくお願い致します。



なんで?

早送り (2003/07/17 23:06)

はじめまして。ふと疑問に思ってしまいました。スピードメーターはspeedとmeterのくっついたものだと思うのですが、辞書で引いてみたらspeedometerになっているんです。この間の(o)はなんなのでしょうか?誰か教えてください、お願いします。



Re: もろもろ

にれのや (2003/07/17 23:04)

■日本語の話になると、ついていけませんねえ。両三年修行して出直してまいります。
■ロシア語の [e] は、軟子音に挟まれると、特に狭いですねえ。
■アラビア語の as.-s.i:n(u) の語源というのは興味ある問題ですね。アラビア語の語源辞典というようなものは、いっさい、見かけたことがない。
■Conde Koma さんというのは、洒落のつもりだったんですが……
■先日、やっと、『ペルシャ語四週間』を購入いたしまして、読んでおります。(ふつうの人が聞いたら、ヘンな表現だと思うだろうな) ひとつ、ほお、と思ったことが。「〜人」 という出身地を表す単語が、地名に -i: をつけたものである、ということです。これは、アラビア語とまったく同じ造語法であります。
 それとともに、ああなるほど、と思ったことが。アラブ社会では未だに 「姓」 というものがありませんが、イランでは、王政時代に 「姓」 の導入が法制化されました。よって、現在のイラン人の名前は、すべて、「名―姓」 から成ります。以前から、不思議に思っていたことに、イラン人の姓が、多くの場合 -i: で終わる、ということがありました。たとえば、
     アッバス・キアロスタミ (Abba:s Kia:rostami:)
     アボルファズル・ジャリリ
     マジッド・マジディ (Maji:d Maji:di:)
     ジャファール・パナヒ
     マルズィエ・メシュキニ
       【例外】
     モフセン・マフマルバフ (Mohsen Makhmalba:f)
どうやら、これでなぞが1つ解けました。イラン人の姓は、おそらく、出身地や部族名に -i: をつけたものなのだろうと思います。
 ちなみに、-zade (ザデ)で終わるイラン人の姓は、アゼルバイジャン人の姓です。となりは、もとソ連のアゼルバイジャンですから。ロシア語では -заде [-ザ'デ-]。もちろん、現在のロシアにもアゼルバイジャン出身の人はたくさんいますから、「-ザデー」 で、すぐに出身地がわかります。



re かつての日本語のアクセント(京言葉)

あお (2003/07/17 21:52)

Maniac C.さま いろいろお調べ頂き恐縮です。関西弁と東京弁を素人衆なら100%騙せる程度には使える私の実感としては、両者は少しも隣接しておらず、音の高低差も英国人の英語と東京弁の中間あたりに関西弁があり、関西弁の音階で東京弁を喋るとたとえ高低の別が合っていてもかなりおおげさな感じになります。逆に私の知り合いの江戸っ子に関西弁で喋る人がいてその人の高低は合っているのですが異様におとなしい腑抜けな感じに聞こえます。つまり「派生」したとしてもそれは多分異民族が真似をしたとかのかなりの飛躍があったのではないかなーなどと勝手にまだ思っております。それにしても関西弁地域の中にも奈良南部や四国の宇和島のような飛び地がありそこの方々は高低差は東京とは違っていることがありますが、東京弁の音階を使っているのがとても不思議です。



間違いだらけ? その2

鴛鴦 (2003/07/17 20:38)

追記ですが、「犀を投げる」「掻き入れ時」「危機迫る」「厄病神」「牛汁」と、よく間違われるそうです。

次の読みも全て間違っているそうです。(明らかに間違っているものもありますが)
 「凡例」→「ぼんれい」
 「間髪をいれず」→「かんぱつをいれず」
 「順風満帆」→「じゅんぷうまんぽ」
 「拱く」→「こまねく」
 「舌鼓」→「したづつみ」
 「独壇場」→「どくだんば」
 「床しい」→「とこしい」
 「頌春」→「こうしゅん」
 「横柄な人」→「よこがらなひと」
 「(死ぬ)入水」→「にゅうすい」
 「素封家」→「す(そ)ふうか」
 「秋田犬」→「あきたけん」
 「意気地」→「いきじ」
 「一段落」→「ひとだんらく」
 「既存」→「きぞん」
 「代替」→「だいがえ」
 「続柄」→「ぞくがら」
 「他人事」→「たにんごと」
 「目途」→「めど」
 「竹馬の友」→「たけうまのとも」

本当にしつこくてすいません・・・m(_ _;;)m



間違いだらけ?

鴛鴦 (2003/07/17 20:12)

最近、日本語を見直すというブームがあるようですが、多くの日本人が間違って使っているというのも多くあるようです。

「一つ返事」「押しも押されぬ」「とんでもございません」「いまだかってない」「「上へ下へ」「寸暇を惜しまず働く」「有望学生を青田刈り」「名作をものにした宿」「お求めやすい」「幻滅する」「ひょうたんから独楽」「薀蓄をたれる」「二の舞を踏む」「珠玉の長編」「ロバに鞭打つ」「吻頸の交わり」「画竜点晴を欠く」「藤家具」「絶対絶命」「人情沙汰の事件」「原発事故で被爆する」

勝手にクイズをだしているみたいで失礼ですが、上に出した言葉は全て言い間違い(文章なら書き間違い)があるんです。わかりますか?
私もよく多くの言葉を言い間違えますが・・・(--;)



Re:『弗』

らにい (2003/07/17 18:20)

>massangeanaさん
>「『弗』の字の形がもともと何を意図していたのかは現在からは知り得ないというのが
正直な所ではないかと思います。」
そういう意図でおっしゃっていたのですね。申し訳ありません。
あと、ご丁寧な訂正・返答ありがとうございます。





zo- (2003/07/17 18:15)

そういえば、前massangeanaさんに教えていただいた規則的ではない北京語音に不も入っていましたが、いろいろな資料によると、確か唐代までは入声音は出てこないそうです。不の入声音は弗の影響の可能性もあるのではないかと書いてあったような気がします。(これもどこで読んだか忘れてしまいました…とほほ。)



弗と不

zo- (2003/07/17 18:05)

弗と不の使いわけは、massangeanaさんの仰るとおりですが、自動詞、他動詞の区別の他に、弗が強調に使われるという説もあるようです。

伝世文献では後世に書き換えがされていて、先秦本来の区別が分かりにくかったようですが、最近の竹簡等出土文献が現れ、弗と不の区別がかなりはっきりしている資料もあるそうです。(どこかで読んだんですが、忘れてしまいました。)



Re:圀

zo- (2003/07/17 17:46)

massangeanaさん、どうもありがとうございました。 『大広益会玉篇』は宋でしたっけ?じゃあ、則天文字で作られたものと思ってもいいのかもしれませんね。



Re: 「弗」

massangeana (2003/07/17 16:42)

らにいさん:
「弗」の字の形がもともと何を意図していたのかは現在からは知り得ないというのが
正直な所ではないかと思います。甲骨文字ではさかんに否定に用いられていますが,
>1.・・・ず。・・・ない。打消しの助詞。(「不」より強い)
ではなくて, 「不」は自動詞, 「弗」は他動詞を否定するのに使われています。
また先秦の文献では「弗」が「不+目的語代名詞」の意味になる場合が多いです。

>2.去る。払い去る。
これはたぶん否定の「弗」と同音だったために仮借しただけで, 無関係なのだと
思います。

>「弗素」
fluorine の「f」だろうと思います。



Re: 日本語関係

massangeana (2003/07/17 16:18)

Maniac C. さん:
「原」
>やっとー・やんない・やらった・た・だ・ます
これらはいずれも用言の語尾であり, しかも「ら」が「る」になった例はひとつも
ありませんね。
いちおう, 「もともとハルであったのが, 本州方言で一音節めの a に同化してハラ
になった」という対案を出しておきます。
なお「ハラ・ハル」の両形あるものとしてはほかに欽明天皇の名前の「天国オシハ
ラキ(書紀)・オシハルキ(古事記)…」があります。

>薩隈方言
薩「隅」ですね :-)

「屑」
>kudu<kud’で、理論的には kuti<kut’や kutu<kut’と同じはずなのですが。
「水」は「みっ」になりますが「みみず」はそうなりません。

>少なくともmassangeanaさん個人は、そう言わない、と。そう理解しておきます。
だから「私自身のことばでは」ってことわったのに……



Re: 圀

massangeana (2003/07/17 16:17)

zo- さん:
>すでに『玉篇』に出ている
ここでいう『玉篇』は原本ではなく『大広益会玉篇』のようです。
http://140.111.1.40/yitibook/cap4/fanli/f8.htm



漢字

らにい (2003/07/17 16:14)

>高駒麗人Komaさん
>「フォロー有り難う御座います。」
いえいえ、お役に立てて光栄です(?)(笑)
今の日本の漢字はホント新旧ごっちゃになってますなぁ・・・
>「また採用した『略字』が『正字』より古い場合もあり」
また勉強になります。そうなんですか。

>massangeanaさん
>「ちなみに私は『弗』の字は『弓』と何の関係もないのに弓に従っているのが不満です。むしろ『$』の方が甲骨文字の形に近いんですが :-)」
たぶんフォローにならんと(それよりも大きなお世話になると^^;)おもいますが、「弗」は会意文字で縦二本の線と弓[ひも(紐)を表している]を合わせたもので、逆らうものを矯めるという意味を表し、そこから、
 1.・・・ず。・・・ない。打消しの助詞。(「不」より強い)
 2.去る。払い去る。
という意味になったのです。
「弗」を「ドル」と呼ばせるのは当て字にしか過ぎません。
ちなみに、「フッ素」の「フッ」は「弗」です。なぜ「弗素」かは分かりませんが・・・





zo- (2003/07/17 15:50)

先ほど、圀は則天文字と書きましたが、massangeanaさんご紹介のところでみるとすでに『玉篇』に出ているんですね。それを則天文字に採用したってことでしょうか。





zo- (2003/07/17 15:45)

台湾などでは今でも見かけるのですが、語音(白話音)、語訳(現代語訳)など語はmassangeanaさんの仰るように口語のことを表わします。

台湾でどのように読んでいるかはわたしも気になって注音符号つきの本を読んだことがありますが、”阿房宮”の”阿”はピンインでいうeで注音してありましたが、”曾不知人之将至”の”曾”などはzengではなく、cengと注音してありました。後者はただ単に間違えているだけかもしれません。文言音のあるものでも使っていない場合もあると思います。(『我』にeという注音はされていませんでした)台湾に限らず、大陸でも大体同じではないでしょうか。

台湾語だと、四書などを読むときは文言音です。台湾語の中では、例えば大家娘(老板娘)の娘は白話音で、幹汝娘の娘は文言音だったりします。



仏圀

zo- (2003/07/17 15:25)

「仏」は敦煌出土文書ではかなり大量に用いられています。確か『敦煌変文集』などでも、「仏」がそのまま使われていたと思います。

「圀」は則天文字だそうです。



北京語の語音と読音

中国語独習者 (2003/07/17 14:32)

massangeana様、顕正居士様、ふたたびの御教示感謝いたします。

>官話系統のほかの方言(どこかはわかりませんが)から借用したけ
>っかであろうと思います。

しかし、たとえば、
「液(ye/yi)」「虹(gang/hong)」「賜(ci/si)」「誰(shei/shui)」
「蹲(dun/cun)」「我(wo/e)」
などの字は読音のほうが北京音系としてよほど本来的であって、語音
のほうがむしろ変則的な感じがします。

http://140.111.1.22/clc/dict/
うえによると、
読音=国字在文言詞裡的読法
語音=字在口語中所念的音
とあって、台湾などではいまでも文語文は一律に「読音」で読み、
口語文は「語音」で読んでいると思っていたのですが、
これも日本の呉音漢音とおなじくごちゃまぜなのでしょうか。



Re: 「語音」

massangeana (2003/07/17 09:55)

>「語音」yuyinは言葉の音で
そういう意味もありますが, 「讀音」に対して使われる場合は白話音のことです。
現在の中国(大陸)ではこの語はあまり使わなくなっていると思います。



Re: 「仏」つづき

massangeana (2003/07/17 09:51)

こんなすばらしいものがありました。
右側のフレームで「金石文字辨異」「精嚴新集大藏音」「四聲篇海」「正字通」
「字彙補」などをみてください。
http://140.111.1.40/yitia/fra/fra00110.htm



Re: 伊呂波の「せ」

massangeana (2003/07/17 09:43)

うーん, si ではなくてなんか下の方に書いてあるようにもみえますが。そのうしろの「千」に
つけたハングルは syeon にみえますし, 3丁裏-4丁表にも「せ」の別字にハングルで音がついて
いますが, ちと判然としませんね。
いずれにせよ, 当時の eo の発音自体が正確にわからないので, これを日本語のエ段が
ye のような音であったことの根拠にするのはかなり危険だろうと思います。



Re: 「仏」

massangeana (2003/07/17 09:25)

>「仏」「伝」「売」「沢」「糸」は日本だけで使われる文字で、中国では通用
>しません
日本の新字体はそれまで使われていた俗字・略字を正字に格上げしたものですが,
そのほとんどは中国から伝わったもので, 日本独自の字はきわめて少数です。
「仏」も現在の中国で正字になっていないだけで, もちろん中国で使われていた
ものです。杉本つとむ氏の本によると唐の高宗の書にしばしば「仏」が見えるそ
うです。日本では法隆寺甲寅年銘釈迦像光背銘(594 または 654)にこの字が見え
るとのことで, 「新」字どころかきわめて古い字であることがわかります。

ちなみに私は「弗」の字は「弓」と何の関係もないのに弓に従っているのが不満です。
むしろ「$」の方が甲骨文字の形に近いんですが :-)



「北京語の語音・読音」について

高駒麗人Koma (2003/07/17 04:52)

中国語独習者さま、massangeanaさま
横から口だしします。
「語音」yuyinは言葉の音で、「讀音」duyinは文字を読む發音ですから、「讀音」は全て「語音」だと思いますが如何でしょう。音声学phoneticsは中国で「語音学」yuyinxueです(「語言学」yuyanxue=linguisticsと紛らわしい)

「脚」jiao/jue、「却」qiao/que、「学」xiao/xueは北方方言で2音ずつあり、普通話では1つづつ採用されたようです。文語と口語で音が違うのは「血」xue/xieもあります。これは歴史的にどうなのでしょう。
「白」bai/bo、李白Li Baiの英語名として英和辞典にLi Boがあるのもこれで納得できました。
「百」もbai/bo(地名“百色”Bose)ですし「柏林」Bolin(<Berlin)の「柏」がboである例もあります。
人名の「濱」「邊」は繁体字でも異体字が複数あるようですね。



↑「吉」の上が「士」でなく「土」である字を見かけて、それを電脳上でも「吉」でなく


↑土が上の字のまま再現するのはもはや無意味です。
「勇」は日本では上から[マ/田/力]ですが、中国の新聞では[マ/用/力]です。しかし、日本のホーウムペイヂで「勇」はこの「中央が田」のままで充分です。



as-si:n(u)等

高駒麗人Koma (2003/07/17 04:17)

ManiacCさんへ
>ロシヤ語のje (е)も、日本語の「エ」よりは「イ」に近い(日本語の「エ」よりも舌の位置が高い)音なわけですね。
Gdje(何処)が Gdiに聞こえた事があります。

re かつての日本語のアクセント 投稿者:Maniac C.  投稿日: 7月16日(水)08時34分49秒
(今回は舊字體・舊假名遣ひで行きたいと存じます。文字化けしてゐたら御勘辧!)
■圖書寮本『類聚名義抄』では「怒」を{イ+左上・}{カ+左上・}{ル+左下・}と
{・}がただの点に見えます。「舊字體」は今の台湾文字ですが、これほど徹底して入力なさるのは見事です。「後」を「后」にしている中国大陸人から見ると「後藤」「紅葉」は旧字使用です。「後」を今でも使っている日本人にとって「後」は舊でも何でもなく、今の字体です。ある人が「國」という字をつかっていても、それは本人にとって「旧字」使用ではなく、「國」を「国」と書いている他者から見て「國」が旧に見えるだけの話です。
漢字について疎い(というか学ぼうともしない)人とは漢字について議論しても無駄ですし、こちらの提起した論点について一切答えず、相手の意見の提示自体を拒絶する人とは話になりません。

訂正
ある新聞の1つの記事で「長島茂雄」と「長嶋三奈」の「島」が別の字になっていました。

盡享古老中國借款客之道
古典藝術與現代建築的完美結合
豪華典雅的總統套房、寛敞明亮。國際標准的會見廳、會議廳使[イ尓/心]的要求無一不足

↑これは台湾ではなく中国大陸にあるホテルの册子にあった繁體字の文章です。

[]内は
nin2
イ尓

という字です。

にれのやさんへ
Conde Komaとは私の事ですか。
>as.-s.i:n(u) [アッ・すィーヌ(ゥ)]中国、
>china という単語をアラビア語に写したら shina となるはずです。が、こんな単語もアラビア語辞典には載っていませんでした。
sina、sinicaはラテン語だそうで、するとas.-s.i:n(u)はラテン語からでしょうか。
sinanthoropusはラテン語とギリシア語混成語でしょうか。
as.-s.i:n(u)が、フランス語La Chineのセイシェル版Lasinnと似ているのは、「秦」を起源とするsin(u)とChin(a)が再び近い姿となったようで単語の歴史の面白さを感じます。



日本の漢字、新旧、正誤の混乱

高駒麗人Koma (2003/07/17 03:25)

らにいさんへ
フォロー有り難う御座います。

>もし「旧字体は殆ど使っていないからやめろ」であるのでしたら、「朝青龍」は「朝青竜」でなければいけないことになりますが・・・
新聞で「川田龍平」のような人名の「龍」は残しつつ、「戦前」より古い幕末の「坂本龍馬」の名は「坂本竜馬」にしているのは不思議です。「麗澤大学」「宮澤喜一」の「澤」はそのままにするメディアで、「江澤民」「毛澤東」を「江沢民」「毛沢東」にして、「瀧澤馬琴」を「滝沢馬琴」にしているのは変です。中国では「澤」の略字として「沢」は使われません。
「日本語常識辞典」的な本で「國」「佛」「體」等を「旧字」として×印をつけているのは問題です。これで「体」と「體」の一方がが正しくて一方が誤りだと思う人が出てくる。
また、「この人名では『沢』は必ず『沢』、この人名では『澤』が正しい」という基準を信じている人もいます。ある「浜崎」さんの名が名刺で「濱崎」なので、ある日本人はその濱崎さんを「浜崎」と記した誌面を見て「間違いだ」と驚いていました。その人は某マッサージ店の「整體」の字について、「整体」という表記を「漢字が間違っている」と断言しました。この人は普段は「体」「浜」という字を使っていいます。

「紀伊國屋」では「國」を使いつつ、台湾の「國民黨」は「国民党」にして、「水戸光圀」では「圀」にするのは日本ならではでしょう。
ある新聞の1つの記事で「長島茂男」と「長嶋三奈」の「島」が別の字になっていました。

中国の簡体字の多くも手書き(草書)起源ですが日本の略字とは違うものも多い様です。
「門」を「[『冂』の上の線の真ん中に短く縦棒をクロスさせる]」と書くのは大陸簡体字と似ています。(横棒の左に「、」)
しかし大陸では「佛」は「佛」のままで、「傳」「轉」の旁は「專」の略字と同じ「『ち』の横棒を2本にして下を『マ』のようにした字」ですし、「賣」は「買」の略字の上に「十」であり、「澤」「擇」「驛」「譯」の旁(「睾」の上の点を排除)は、「又」の下に「キ」


のような文字で、「絲」は「幺」の右の「、」を省いて二つ並べて下に一本横棒を引いた

幺幺
――
のような文字になります。何れも草書でしょう。
「仏」「伝」「売」「沢」「糸」は日本だけで使われる文字で、中国では通用しません。
私が「佛」「傳」「賣」「澤」「絲」という字を使うのは漢字が中国文字であるという事によります。日本人は漢民族の言語「漢語」を「中国語」と呼ぶのに、日本語の中の漢語詞(「漢語」)
を「中国語」とは呼ばず、「漢字」を「中国字」とは言いません。

また採用した「略字」が「正字」より古い場合もあり、歴史的には「从」→「從」→「从」(中)/「従」(日)という変化のようで、「竜」も「龍」より古い字体の様です。
>新聞の方は「賣」の上が「士」ではなく「十」になっています。よくご覧下さい。
そうですか。気づいていませんでした。今後、讀賣を読むときは気をつけます。

>ちなみに中国ではこの漢字は(オコゼという意味のみならず)使っているのでしょうか?
オコゼ(stonefish)は「石頭魚」shitouyuですが、「"勝"という字の『力』が『魚』になったような字」はどうなのか、あとで調べます。

U+3002さん
>Childrenは単数です。
英語の文法の単数複数は複雑ですね。
言語学の本で、"Children display an amazing ability to become fluent speakers of any language consistently spoke around them"というのを読んだことがあります。
displayにsがなく、childrenをspeakers、themで現していました。



res: 伊呂波&原

Maniac C. (2003/07/17 02:28)

>massangeanaさん
>「伊路波」は Web 上で公開されている
→ご紹介有り難う存じます。

>残念ながら不鮮明でハングルをちゃんと読み取ることができませんが。
→残念ですが、「あさきゆめみしゑひもせす…」からの方は、ちゃんと読み取れますね。
でも、これで見ると「め」「ゑ」は몌(myei), 예(yei)ですが「せ」は시(si)と、「し」
同様、縦棒が1本になっていますね。誤記でしょうか??(って、訊かれてもmassangeana
さんが困りますよね。)

>九州ではなく鹿児島の方言
→済みません。九州には長期滞在したことが無く、各地の方言に関しては細かい知識が
殆ど無いものですから、一緒くたになってしまいました。massangeanaさんの御出身は、
鹿児島でしたよね? やはり豊日方言・肥筑方言・薩隈方言(東条操『日本方言学』に
依る)で、それなりの差が有るのでしょうね。

>「ハル(原)」の方は九州から沖縄にかけて広く分布しているので, 鹿児島の促音便
>と関係あるかどうかはちょっと疑問
→私は、根は同一だと考えています。詳しくは下述します。
>現在の鹿児島では「車」がクイマになるのと同様, 「原」は「ハイ」という
>のが普通です(柊原クヌッバイ・西都原セトバイ) 。
→なるほど。kuruma<kur’ma<kujma, kunugifara<kunug’βar’<kunuQbaj,
saitofara<s{ae}toβar’<setobaj という変化でしょうね。
 私の不確かな知識によれば、九州北部では、「やっとる」を「やっとー」という
ように、ru<r’<R(長音)と変化するはずですよね。
 東京語でも、「やらない」を「やんない」のように(後続のnの影響で)ra<r’<N と
撥音便化します。(あ、京都語でも同じようです。)
 仙台語では、「やられた」が「やらった」となり、福島語では更に後続の子音を擦音
化し、「やらっちゃ」と、後続のtの影響で、re<r’<Q と促音便化します。
 このように、ほぼ全国的にラ行の母音脱落は観察されるのです。ただ、九州(鹿児島?)
の場合は、後続子音とかの環境と関係無く、独立に語末で(クイマの例から判断すると
語中でも)脱落するのが特徴的ですが。
 古語から現代語の流れでも「たる」<「た」、「にてある」<「だ」、「まゐらする」<
「ます」と、語末の「る」が恐らく母音の脱落後、子音自体も脱落しています。
 全て、高駒麗人Komaさん(7/10)の仰るように「日本人は…rを発音するのが苦手」
と解釈するよりは、「日本人のrは弱い」と解釈するべきで、ここに由来する、同根の
現象だと考えます。現代日本語の五十音図ではヤ行とワ行の一部が欠けていますが、
未来の日本語の五十音図ではラ行が欠けるだろう、と私は予測しています。

>私自身のことばでは「屑」は「くず」にしかならないように思います。
→なるほど。当然かも知れませんが、massangeanaさんは四つ仮名を区別なさっておられ
ないのですね。kudu<kud’で、理論的には kuti<kut’や kutu<kut’と同じはずなの
ですが。いくつかのHPを見て、そこに載っていたものを書きましたので、別な年代・別な
地域の方は「屑」も「くっ」と言うけれど、少なくともmassangeanaさん個人は、そう
言わない、と。そう理解しておきます。



res: Re: 無声化

Maniac C. (2003/07/17 02:05)

>にれのや師匠
>ふうん、kap a nu などと書いてみると、なんだかハワイ語みたいですねえ。
→飽くまで印象のお話でしょうが、ハワイ語には閉音節は無いはずですよ。

>ヨーロッパの言語の本のほうが読みやすくて……
>日本語に関する本のいちばんの難関は、ページが一様に真っ黒に見えることですね。
→どちらも日本語で書かれてある書物のことだと拝察致しますが、私は最近、横文字の
方が読みづらいです。漢字仮名交じりですと、漢字が表語文字である特性を発揮して
知りたい情報が文字通り「一目で」飛び込んでくるのですが、アルファベットは一様に
のっぺりとしていて、一々の単語を読まないと内容が解らない、瞬間的に内容が判ら
ない、というのが辛く感じます。年齢でしょうかね…トホホ(・)。

>現代ロシア語について言えば、je―e は…母音の音色もちがいます。je (е) は [e] に近い音で、e (э) は [ε] に近い音です。
→なるほど。逆に分化しつつ(差が広がりつつ)ある、と言うわけですね。
そう言えば、私はドイツ語を中1のときに初めてラヂオ講座で聞いたのですが、よく
カタカナで見ていた「アー・ベー・ツェー・…」ではなく、どちらかと言えば「アー・
ビー・ツィー・…」に近く聞こえたのが、一種の文化衝撃として記憶に鮮明に残って
おります。ロシヤ語のje (е)も、日本語の「エ」よりは「イ」に近い(日本語の「エ」
よりも舌の位置が高い)音なわけですね。寒いから、口が段々開かなくなっているのか
知らん? 関係無いッすね。



Re: 北京語の語音・読音

massangeana (2003/07/17 02:02)

中国語独習者さま, 横から口だしします。
北京語ではだいたいひとつ文字はひとつの音であることが多いですが, いくつかの
文字(とくに入声に由来する字に多い)に複数の音があります。「白(bai/bo)」
「角(jiao/jue)」「瘧(yao/nue)」「肋(lei/le)」「露(lou/lu)」など。北京がもともとは文化的に
はずれた位置にあって, 官話系統のほかの方言(どこかはわかりませんが)から借用したけっか
であろうと思います。



re かつての日本語のアクセント(京言葉)

Maniac C. (2003/07/17 01:54)

>あおさま
■またまた御迷惑をお掛けしております。言い訳を先に述べさせていただきますと、
アクセントについて専門的に勉強したことが無い上に、出掛けの時間帯で慌てて
打ったことも有り、裏を取っていませんでした。私の京阪式アクセントに関する認識
は「東日本と西日本のアクセントは逆」程度でしたが、あおさんの投稿を読み、それ
は誤りであることが判明しました。いい加減なことを偉そうに書き込みしたことを
お詫び申し上げます。で、下記HP「京言葉」で勉強して、出直して参りました。
勉強してわかったことは:
1. 東京式アクセントには、「1拍目と2拍目の音程は必ず異なる」という暗黙の決ま
 りが有るが、京阪式にはそのような制限が無い。←あおさまの御指摘どおり。
2. 京阪式アクセントには平声・上声の他に、平声軽が保存されている。
3. 「東日本と西日本のアクセントは逆」なのではなく、「京都のアクセントと東京の
 アクセントとでは、高い拍が一拍ずれている」が正解。
4. 『類従名義抄』所収の中古語のアクセントと、現代京都語のアクセントはやはり
 違う。例えば、「言ふ」は、終止形で高低、連体形で低高でしたが、現代ではどちら
 も高高になっています。
5. 語尾が低い音で終わる単語についた助詞は、その助詞固有のアクセントを失い、
 低く平板に発音されるのが普通だが; 語尾が高い音で終わる単語についた助詞は、
 その助詞固有のアクセントが現れる。←多分、あおさまの御指摘と同じ。
■文字通り、「勉強になりました」。

>アクセントは時間の経過によって変化したというよりは、大昔から地域により異なっていて、標準語の意味するものが明治期に京都弁から東京弁に変化しただけと思っていましたが通説では時間の経過で変化したことになっているのでしょうか。
→同HPに回答となる文が在りますので、そのまま転載します。
「京阪式アクセントと東京式アクセントとの対立関係がいつ・どのようにして生まれたのかについては、古くから様々な説がありましたが、現代の国語学においては金田一春彦氏の『日本各地のアクセントはすべて平安時代の京都アクセントにルーツをたどれる』という説がほぼ定説となっているようです。
 そしてこの説によりますと、『東京式アクセントは中世前期頃、当時の京都アクセントから派生したもの』とされています。
 つまり前述の対応関係(一拍ずれ)というのは、この“中世前期に起こった派生”の痕跡を利用しているのです。そのため近代以降生まれた新しい言葉や外来語には、この対応関係は働いていません。」

■にれのや師匠が話題として挙げたyu→iの変化が京都弁にも見られるようです。
(以下、同HPより転載)
「ゆ」は訛ってよく「い」に変化します。
「ゆがむ」→「いがむ」
「おかゆ」→「おかい」
「おしょうゆ」→「おしょい」
「あゆ」→「あい」
「かゆい」→「かいい」
http://www.aurora.dti.ne.jp/~zom/Kyo-to/



物語

poronup (2003/07/17 01:31)

山崎佑希 様

その「物語」という言葉はどういったことに使われるのでしょうか?
それによってどの言葉が適切なのか違ってきます。
英語でもstoryとかtaleとかいくらかあります。

物語・話ということでよく使われるのは、オルシペ(oruspe)という言葉です。

yukarというのは、超能力を使う少年の英雄が主人公の物語の名前で、いろいろある口承文芸の一ジャンルです。英雄叙事詩とよく訳されます。
ほかには、ウウェペケレ(uwepeker)というような言葉が思いつきます。
これは日本語にすると「昔話」みたいな感じでしょうか。



(無題)

高駒麗人Koma (2003/07/16 23:35)

豊田 多香子さんへ
ご丁寧なご説明ありがとうございます。お氣に觸りました點、陳謝申し上げます。
必殺のペイヂは今後とも樂しく拜見させて頂きます。
「佛」「賣」等の字を今の日本で使う意味が少しでもご理解頂ければ幸いです。
中錠政秀(これがKomaと同一人物か否かは皆樣のご想像にお任せします)は「書籍どおりに書いてほしい」というご要望に同意しております。
誤解をされているようで誠に残念ですが、報告させて頂きました。それでは失禮します。



re かつての日本語のアクセント

あお (2003/07/16 22:39)

Maniac C.さんおおしえください。
>■圖書寮本『類聚名義抄』では「怒」を{イ+左上・}{カ+左上・}{ル+左下・}と
表し、高高低と發音せられたことが判ります。現代語では、第1音節と第2音節の高さ
は必ず異なることになってゐますので、これだけ見ても、現代語とは違ふことがお解り
いただけるでせう。
現代語を東京弁に限定するとそのとおりですが、その発声をしている人口は多分日本人の2割には達していないと思います。「怒る」は現在、京都では「高高高」、徳島で、母は「高高低」、私は「高低低」と発声していました。アクセントは時間の経過によって変化したというよりは、大昔から地域により異なっていて、標準語の意味するものが明治期に京都弁から東京弁に変化しただけと思っていましたが通説では時間の経過で変化したことになっているのでしょうか。

>■あと、現代語では「付属語」として、「自立語」と一體となって發音せられる助詞・助動
詞にも、獨立のアクセントが有りました。
これは関西アクセントにはそのまま残存しています。たとえば「とか」、「やら」、「だ」などを必ず低音で発声する類では。



文言音

顕正居士 (2003/07/16 22:18)

>「文言音=読冊音」「口語音=白話音」という定義

経書を読むときの音が文言音ですが、それが日常に入って、このよみは文言音
であるという。だから日本の漢音と同じであるといえます。

http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/goonkanon2.htm

>北京語

文言音は唐代の長安の音など、すなわちその時代の標準音が各地に伝承されて
古典を読むときに用いられた。だから北京が都になってからは北京の音が標準音
であり、北京語には文言音というものはないと思います。漢詩を作るときは別です。

>三国時引進孫呉

呉音の「呉」は地域を指し、王朝としては南北朝の宋であるといわれています。
三国時代は早すぎます。これは日本書紀の紀年による計算かも知れません。



アイヌ語で物語

U+3002 (2003/07/16 18:40)

山崎佑希さん
>アイヌ語で物語という意味の単語はどう書くのですか?

この語でいいですか?

カナ表記: ユカㇻ (ユ + カ + 小さいラ)
ラテン表記: yukar



(無題)

中国語独習者 (2003/07/16 16:12)

顕正居士様、御教示ありがとうございます。

私が勉強しているのは台湾語ではなく、台湾でいう国語ですが、
北京語でもびん南語と同様に新たに外から入ってきた漢字音が語
音に対する読音として定着したということでしょうか。

しかし、中国語の語音読音が日本の呉音漢音のような関係だとす
ると、その使い分けは、単語ごと、あるいは文脈上の習慣による
ということになると思いますが、
そうすると、「文言音=読冊音」「口語音=白話音」という定義
と矛盾してしまうようで、この点たいへん疑問が残ります。

蛇足ですが、顕正居士様の引用されたページ中に、
日本呉音について「三国時引進孫呉的南京音而模倣音読的字音」
とありますが、これは本当でしょうか?



(無題)

山崎佑希 (2003/07/16 13:55)

はじめまして。
アイヌ語で物語という意味の単語はどう書くのですか?



初めまして

豊田 多香子 (2003/07/16 12:49)

初めまして。
最近こちらで、話題となっている必殺シリーズファンサイト「必殺のページ」管理人です。
「念仏の鉄」「必殺商売人」などは、TVも関連書籍も全てこの表記なので、
私は高駒麗人Koma(私のサイトでは中錠政秀というHN)様に、この通り書いて下さい
とお願いしただけです。
『ネット上で「佛」「賣」などの文字を使うな』というようなことは
一言も言っていませんし、私自身、これらの文字を否定する気持ちは一切ありません。

皆様に誤解をされているようですので、報告させて頂きました。
それでは失礼します。
http://www.t-toyoda.com/hissatsu/



re かつての日本語のアクセント

Maniac C. (2003/07/16 08:34)

(今回は舊字體・舊假名遣ひで行きたいと存じます。文字化けしてゐたら御勘辧!)
>にれのや師匠
>日本語のアクセントというのも、かつては、違うシステムであったと?
→「日本語の音節とかモーラとかのシステム」といふのはアクセントのことでしたか。
■奈良時代にはどんなアクセントが行はれてゐたか、資料の關係から、殆ど不明です。
■平安時代は、後期から院政期ぐらゐになりますと、京都付近のアクセントを示す
資料が現れます。それは、主として「聲點」と呼ばれるアクセント符号を付した文献
であって、この「聲點」には色々な流派が在ります。
■圖書寮本『類聚名義抄』では「怒」を{イ+左上・}{カ+左上・}{ル+左下・}と
表し、高高低と發音せられたことが判ります。現代語では、第1音節と第2音節の高さ
は必ず異なることになってゐますので、これだけ見ても、現代語とは違ふことがお解り
いただけるでせう。
■平安後期の日本語の各音節は、主として、平聲(低平調)・上聲(高平調)・平聲輕 (下降
調)のいづれかに發音せられ、去聲(上昇調)もまれに現れます。院政期になると、平聲輕
(下降調)の音節は、上聲(高平調)に發音せられるやうになり、結局、下降調の音節は消滅
します。
■あと、現代語では「付属語」として、「自立語」と一體となって發音せられる助詞・助動
詞にも、獨立のアクセントが有りました。



Re: 原 (追記)

massangeana (2003/07/16 04:12)

>「茎」も「釘」も「屑」も「口」も「靴」も「首」も
私自身のことばでは「屑」は「くず」にしかならないように思います。ほかは「くっ」になります。



Re: 原

massangeana (2003/07/16 04:08)

>九州方言では語末の母音が脱落し、「茎」も「釘」も「屑」も「口」も「靴」も
>「首」もみーんな「くっ」になる
これは九州ではなく鹿児島の方言ですね。たぶんそれほど古くない変化だろうと
思います。ラ行の動詞が「っ」になるのはもっと広く分布しているようですが。

「ハル(原)」の方は九州から沖縄にかけて広く分布しているので, 鹿児島の促音便
と関係あるかどうかはちょっと疑問かと思いました。「皿」はサルになりませんし。
なお現在の鹿児島では「車」がクイマになるのと同様, 「原」は「ハイ」という
のが普通です(柊原クヌッバイ・西都原セトバイ) 。



Re: 伊路波

massangeana (2003/07/16 03:47)

「伊路波」は Web 上で公開されているのでいちおう紹介しておきます。残念ながら不鮮明で
ハングルをちゃんと読み取ることができませんが。
 http://www.lib.kagawa-u.ac.jp/www/kanbara/iroha.html



ソヴィエトとは何ぞや

にれのや (2003/07/16 01:34)

【as.-s.i:n(u)】
■Conde Koma さんへ。
ちょいと ":" が抜けておりました。
     as.-s.i:n(u) [アッ・すィーヌ(ゥ)] 中国
です。s. (軟口蓋化した s) は、太陽文字というもので、冠詞 al の l を同化させます。
 ちなみに、ch 音は、正則アラビア語では、sh で写しますので、china という単語をアラビア語に写したら
     shina
となるはずです。が、こんな単語もアラビア語辞典には載っていませんでした。

【ソヴィエトの用法】
イラクでは 「イラク統治評議会」 なるものが発足しましたね。NHK BSでロシアのニュースを見ていたら、この 「イラク統治評議会」 をこのように表現していました。
     политический совет Ирака
     politicheskij sovjet iraka
     [パり'チーチェスキイ サ'ヴィエト イ'ラーカ]
     adj. 政治的な+n. 評議会+n. イラク(の所有格)
へええ、と思ったのは、совет ソヴィエトが使われていたことです。大文字で始めて Совет と書けば、もちろん、ソヴィエト政府のことです。そこで、あらためて、ロシアのエンジンで検索して、совет という単語の使用状況を調べてみました。ここでまた、へええ。われわれ日本人からすると совет という単語は、タブーとまではいかなくても、使うことが敬遠されているのではないかと、考えますよね。ちがうんですね。ロシア人は何のためらいもなく、совет を使い続けているんです。
 そもそも、совет というのは、普通名詞で、大きく2通りの意味があります。
     (1)助言、アドバイス。
     (2)(a) (開かれるものとしての)会議。(b) (設置されるものとしての)協議会、評議会、理事会。
(1) は、特別な含みはありません。advice, counsel のアドバイスです。(2)も、本来は、何の含みもない、会議であり、評議会であったのです。
 この 「評議会=ソヴィエト」 に、不吉なコノテーション(含み)が加わってゆくのは、1905年の第一次ロシア革命以後です。ロシア各地の工場のストライキ委員会が 「ソヴィエト=評議会」 を結成し、それに、農地解放を求める農民が参加する。そうして生まれるのが、「労農ソヴィエト」 です。この時点では、政治的な組織ではありますが、われわれが知っている 「ソビエト」 とはまったく違うものです。純粋に社会変革を求める普通の人々による評議会=ソヴィエトであったわけです。
 1917年の2月革命以後、掲げられたスローガン 「全ての権力をソヴィエトへ!」 は、ロシア語で "Вся власть советам!" [フ'シャ ヴ'らースチ サ'ヴィエタム] です。英語に置き換えれば、"All power to soviets!" です。つまり、ソヴィエトは複数形になっているわけです。つまり、「振興ブルジョワ臨時政権の権力を→労働者、農民、兵士が組織する評議会に移譲せよ」 という意味だったのです。
 1917年10月25日(ロシア歴)未明、レーニンの率いるボリシェヴィキが、ケレンスキイ政権に対してクーデターを起こします。これが十月革命、いわゆるロシア革命です。翌10月26日(ロシア歴)、ボリシェヴィキが、レーニンを筆頭とする 「人民委員ソビエト」
     Совет Народных Комиссаров
     sovjet narodnykh komissarov
     [サ'ヴィエト ナ'ロードヌィふ カミッ'サーラフ]
を組織します。「人民委員」 というのは、レーニンを筆頭とする、わずか15名のボリシェヴィキを指しています。(このなかに、ジュガシヴィーリことスターリン、ブロンシテインことトローツキイも入っています)。そして、これこそが
     Советская власть=ソヴィエト政権
     sovjetskaja vlast'
     [サ'ヴィエツカヤ ヴ'らースチ]
の誕生の瞬間であり、これこそが、われわれの記憶に残る、忌まわしい 「ソビエト」 という言葉が生まれた瞬間でした。
■現在のロシアのエンジンで検索すると、ごく普通に、「アドバイス」 の意味や、インターネット上の 「会議」、あるいは、ごく普通に政治的な 「協議会」 の意味でもソヴィエトが使われているようです。ヒット数5千以上。
■それと、ロシア人の名前の順序に関する追加の情報。
ロシア人の墓石には 「姓―名前―父称」 の順に名前が彫られています。



讀音、語音

顕正居士 (2003/07/16 01:19)

はじめまして。以下のサイトに

http://www.edutech.org.tw/dict/Sutiern0.htm

文言音 = 漢 音 = 字 音 = 讀冊音
口語音 = 話 音 = 語 音 = 白話音

とあります。この別は台湾語にのみあるのではなく

http://www.ttv.com.tw/AIR_ART/PROGRAM90/200107/Q&A/20010721QA.htm

に「白話音和文言音有何差異?(白話音と文言音とに何の差異が有るか?)」
でいうように、日本語ならば

文言音 = 漢音
口語音 = 呉音

に大概該当します。「經文」を日常は「きょうもん(きやうもん)」と読みますが、
漢籍(聖賢ノ經典 ○せいけんのけいてん ×しょうげんのきょうでん)を読む
ときには「けいぶん」でなければならない。したがって現代の中国語を学ぶ際、
これらを気にする必要は格別にありません。

http://www.geocities.co.jp/Technopolis/3374/new.html



Re: 無声化

にれのや (2003/07/15 23:45)

■Maniac.C どの。
 ふうん、kap a nu などと書いてみると、なんだかハワイ語みたいですねえ。
 この方面は少し勉強してみましょう。だいぶ、日本語関係の本は買い込んで積んであるんですが、むしろ、ヨーロッパの言語の本のほうが読みやすくて……
 日本語に関する本のいちばんの難関は、ページが一様に真っ黒に見えることですね。
 日本語のアクセントというのも、かつては、違うシステムであったと?
■ロシア語の je―e について、日本語で読めるかぎりは、説明している本はないですねえ。ロシアで出版された論文のたぐいでもていねいにチェックしていれば、わかるんでしょうが……
 ただ、現代ロシア語について言えば、je―e は単に先行する子音の硬口蓋化があるかどうか、というだけでなく、母音の音色もちがいます。je (е) は [e] に近い音で、e (э) は [ε] に近い音です。это などは、アタと聞こえることがあります。
 いっぽうで、pjat' (пять=ピャーチ、5) の母音 a などは、前後の軟子音の影響を受けて、[a+e] になっています。そのあたりに原因がありそうな気がするんですが……
 まあ、推測です。
■いずれにしても、過去のことを証明するのは難しいですね。どうやって客観的に証明するのか。特に、音声言語の場合は。



新字体と旧字体 余談の余談

らにい (2003/07/15 23:13)

余計かもしれませんが、もし「旧字体は殆ど使っていないからやめろ」であるのでしたら、「朝青龍」は「朝青竜」でなければいけないことになりますが・・・

夜分失礼しました。



新字体と旧字体

らにい (2003/07/15 15:54)

>高駒麗人Komaさん
>「必殺のサイトの人から『誹謗中傷』だの『自己中な内容で怒った』等と感情的に叩かれております。」
ということは、必殺のサイトの人もこの掲示板を見ている(あるいは検索でヒットした)?
世界は広い・・・

いかんいかん、完全に脱線してしまった(^^;)

フォローのつもりではありませんが、われわれの世代はもちろん「当用漢字」と呼ばれる今の字体(新字体)の漢字を習いますが、だからといって旧字体が(読めない・書けないからという理由で)全く無いというわけではありません。一番身近なところでは卒業アルバムに載っている名簿でしょう。
苗字にある漢字は必ず「辺」は「邊」だし、「桜」は「櫻」、「沢」は「澤」等になっています。
また、「新字体の中に旧字体」とは逆に「旧字体の中に新字体」もあるんです。
今の「当用漢字」ができるまでは現在のいわゆる「旧字体」が一般に使われていましたが、中には現在のいわゆる「新字体」を使っているものもあったのです。ちなみにこの「新字体」は「旧字体」の「略字」でした。
下のリンクに詳しいことと実際の例が載っています。
「略字」はいまでも「点」を「[『点』の下が『大』](ホントは俗字)」と書いたり、「門」を「[『冂』の上の線の真ん中に短く縦棒をクロスさせる]」と書いたり、「国」を「囗(くにがまえ)」と書いたりすることと大体同じことです。ただし、注意したいのは「略字」は手書きでしか書かないということです。
雑誌等に使われる字体の「活字体」はもちろん一般で使う字体を使用しますが、手書きで(まあサラサラと)書く場合は「略字」を使うことがあります。
「佛」「傳」「賣」「澤」「絲」も手書きだったら「仏」「伝」「売」「沢」「糸」と書いていたのがあったかもしれません。

このように現在のいわゆる「新字体」と「旧字体」は今も昔もある(あった)ということです。

余談:新聞やテレビで有名な「よみうり」は「読売」ですが、新聞の一面に載っているロゴ、「よみうりテレビ」の「よみうり」は「讀賣」となっています。しかも、新聞の方は「賣」の上が「士」ではなく「十」になっています。よくご覧下さい。
(あのロゴができたときからそうなっているとのこと)
http://kan-chan.stbbs.net/word/ryakuji.html



読音って何でしょう

中国語独習者 (2003/07/15 15:52)

中国語漢字音に「読音」というものがありますが、
どういう由来のあるものなのでしょうか。
また、「語音」とどう使い分ければよいのですか?



ここでもいろいろと・・・

らにい (2003/07/15 15:17)

>高駒麗人Komaさん
>オコゼ
そうです。「"勝"という字の『力』が『魚』になったような字」です。
「・」になってしまいましたか。申し訳ありません。
ちなみに中国ではこの漢字は(オコゼという意味のみならず)使っているのでしょうか?
>SOS
>「TVではモールス信号だけ割愛されたのでしょーか?」
う〜ん、資料が見つからないので分かりません。また申し訳ない(^^;)

次は「漢字(特に新字体と旧字体について)」のことへのレスをしようと思いますが、長くなりそうなので改めて書き込みします。



Re: 普通話の隠れ子音

U+3002 (2003/07/15 13:44)

辻本裕幸さん
> 中国語普通話で、uiやunの間には、本当はeが隠れているということですが、そのeとuが融合して、ウムラウトoに成ってしまうということはないのでしょうか?

普通話ではないと思います。

ui[wei]の[e]はほんらい後舌中母音/@/で、ke/k@/などの母音と同じものが、/i/に同化して前舌化したものです。
それがさらに、/u/に前舌性を与えることは難しいです。

もしui/u@i/が同化するとしたら、
・/ku@ŋ/がkong[koŋ]となる
・日本語でuiを「オイ」と言う(例: 安徽 アンホイ・貴陽 コイヤン)
ことから、*[oi]が考えられる発音だと思います。

広東語で、相当する語が[y]・[ø]を含むことはあります。
例: 輪
普通話 lun[lun]
広東語 leun[løn]



チルドレン

U+3002 (2003/07/15 13:28)

高駒麗人Komaさん
>Evangelionでは碇シンジが「サード・チルドレン」Third Children、アスカが「セカンド・チルドレン」Second Childrenで、渚カヲルが「フィフス・チルドレン」Fifth Childrenであり、一人の人間を「チルドレン」と言うてます。皆変だとは思わないのでしょーか?

Childrenは単数です。
英語では単数形動詞で受けます。
“The First Children is …”

固有名詞には、「語形は複数形だけれど文法的には単数」という語は多いです。
“The States is …”
“General Motors is …”

なぜ「“Child”ではなく“Children”なのか」は定説はありませんが、固有名詞が「(いっけん)複数形」ということじたいは、とりたてて問題にするほどのことではないかと思います。



大丈夫 訂正

高駒麗人Koma (2003/07/15 06:10)

「差別語」とされている詞以外にも同様の例が有ります。
「大丈夫」
(1)「問題無い」の意味では「だいじょうぶ」、
(2)「亭主関白」の意味では「だいじょうふ」(中国漢語“大丈夫”dazhangfuと同義)

にれのやさんへ
>3) sweet orange (Citrus sinensis) は、ポルトガル人が中国からもたらしたもので、…アラビア語で burtuqa:l [プルトゥ'かーる]
>また、『世界食物百科』 には、アラビア語で、オレンジを中国という意味の "tchina" とも呼ぶ。ちなみに、正則アラビア語では、中国を as.-s.in(u) [アッすぃーヌ(ゥ)]と言います。as.- は冠詞です。

as.-はalの変化形でしょうか。勉強になりました。

「果実」の「果」は植物なので「菓子」のように草冠があるそうでないのですね。
as,s.in(u)(The China)では「芸豆」yundouが「云豆」に、「白雲」baiyunが「白云」になり、最初はびっくりしましたが、そういう言葉をやっていると、私も「果」guoと「菓」の区別を気にしなくなって来ました。



RE: 果と菓

ロスケ (2003/07/15 04:59)

未菜実さん、レスをありがとうございました!
つまらない疑問でお手数をおかけし、恐縮ですm(_ _)m



百姓「ひゃくしょう」「ひゃくせい」 大丈夫

高駒麗人Koma (2003/07/15 04:43)

らにいさんへ
>「オコゼ」「鰧」とも書くそうです。
「」内はただの点「・」に見えます。早速「オコゼ 漢字」で検索しました。「漢字名: 鬼虎魚」だそうです。「鰧」 は「"勝"という字の『力』が『魚』になったような字」でしょうか?
http://plaza.harmonix.ne.jp/~m_hirota/SeaFishes/darumaokoze.html

>知り合いの農家の人は「百姓」と言われてむしろ「嬉しい」とのこと。
そういう「お百姓さん」が’いるのは嬉しい事です。
中国では「老百姓」laobaixingは一般庶民を差す日常語です。小田空さんは「放送コードにひっかからんか?」と驚いています(『中国いかがですか?』)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4420220376/ref=pd_bxgy_img_2/249-8650282-7191533

「百姓」
(1)農民の意味では「ひゃくしょう」、
(2)庶民の意味では「ひゃくせい」(中国漢語“百姓”baixingと同義。)
呉音と漢音で意味が違うのか?中国大陸には「百姓村」Baixingcunという大きな中華料理店があります。

「差別語」とさらている詞以外にも同様の例が有ります。
「大丈夫」
(1)「問題無い」の意味では「だいしょうぶ」、
(2)「亭主関白」の意味では「だいじょうふ」(中国漢語“大丈夫”dazhangfuと同義)

「人間」
(1)「ひと」の意味では「にんげん」
(2)「世の中」の意味では「じんかん」(中国漢語“人間”renjianと同義)
だそうです。

国語便覧に載っていた事ですが、日本語の中の漢語詞は本場中国の漢語より複雑です。和製漢語が中国漢語と違う意味になり、本来の漢語詞と区別する為、昔の人が申し譯程度に苦し紛れにこしらえた区別のようにも思えます。

http://www.nishinippon.co.jp/media/A-3000/0003/china/kouza.html



res: 無声化(続)

Maniac C. (2003/07/15 02:16)

>にれのや師匠
>現在の日本語の母音の無声化は、そうとうの長き星霜にわたって、現状を維持してきたわけですね。
→うーん。とにかくハッキリしているのは、前述のように、江戸時代(近世)以降です
ので、この四百年を「そうとうの長き星霜」と申すには抵抗が有ります。撥音便や促
音便は無声化に近いものと思いますが、古語の例まで「母音の無声化」として良いか
どうかまでは判りません。単なる「母音の脱落」かも知れません。

>むしろ、日本語の音節とかモーラとかのシステムが崩壊しなかったほうが不思議ですね。
→私は、日本語に「音節とかモーラとかのシステム」が有る/有ったという意見には
懐疑的です。少し前に話題に上った動詞の活用を見てもお判りになるとおり、「音節
とかモーラとか」の単位では分析不可能です。また、恐らく、古語の由緒正しい発音
を保存している東北地方の方言がシラビームであることからも、「音節とかモーラとか
のシステム」が有る/有ったという意見は幻想ではなかろうかと愚考しています。確か
に仮名は音節文字ですが、偶々漢字が表語文字であり、日本語の活用しない単語も偶々
開音節だったため、仮名も「音節とかモーラとか」の単位になったのだと思います。
つまり、漢字では、日本語の「飼はぬ(kap-a n-u)」を「甲亜奴(kap a nu)」とか「甲
案宇(kap an u)」と表記するよりも「可波奴(ka pa nu)」とした方が良かったのでしょ
う。大体、中国語の末音は -k, -t, -n, -p, -m, (-ng)しか無く、サ行・ヤ行・ラ行・
ワ行・ザ行・ダ行・バ行の動詞語幹は表せなかったのですから。

>西洋人の記述以前に、無声化があったかどうか、知る方法というのは、ないのだろうか?
→朝鮮資料として『伊呂波』(1492年刊)という、日本の文字と朝鮮の文字とを対比した
ものが音韻資料として在るには在るのですが、飽くまで「文字」の資料なので、無声化
までは判りません。
 そう言えば、この『伊呂波』にはエ段の音節がそれぞれyei, kyei, syei, tyei, …の
如く、軟音のエで書かれています。先日のブイヨンのお話で、ロシヤ語では硬音と軟音の
エが合流して軟音になった、との御説明が有って大変興味深く拝読したのですが; 日本語
でも、平安時代に硬音と軟音のエが合流して軟音になり、江戸時代に硬音になった経緯が
有るのです。この原因は判っていないのですが、ロシヤ語では判っているのでしょうか?
又、ロシヤ語でも、将来、硬音になるとは予測できないでしょうか?

>九州の 「原」 が 「はる」 になる理由を初めて知りました。ずっと以前から、なぜ、hara→haru などというケッタイな変化が起こるのか不思議だったんです。
→師匠の抱える多くの謎の1つに貢献できて光栄です。
九州方言では語末の母音が脱落し、「茎」も「釘」も「屑」も「口」も「靴」も「首」も
みーんな「くっ」になるというのは、割と有名な話ですよね。
 最近、演歌で有名になったと思われる、「涙」を意味する「ナダ」は、namida<nam’da
<na~da<nada という変化だと考えられます(確か、沖縄だか奄美だかの方言)。こちらは
語中ですが、狭母音のiが脱落した例。
 九州出身のmassangeanaさんなら、このような母音が消失している例を、もっと御存じ
なのではないでしょうか。



アラビア語の sweet orange

にれのや (2003/07/15 01:15)

【オレンジふたたび】
先日、書店で 『世界食物百科』 という大冊を見つけました。著者はフランスの自然史家 Maguelonne Toussaint-Samat マグロンヌ・トゥーサン=サマ (女性)。Maguelonne というのは珍しい名前です。まあ、それはいいとして、この本は、オレンジに関する著述にかなりのページを費やしていて、いくつかおもしろい事実もわかりました。
  (1) パリで、オレンジの木を温室 (orangerie) 栽培したのは、大貴族とブルジョワだけで、それは富の象徴だったようです。北仏は、本来、オレンジの育つ環境ではないし、花粉を媒介する蜂などもいないので、温室内のオレンジは、実を結ぶことがなく、まれに実をつけたとしても、まずかったそうです。オレンジの木は、花の観賞用だったといいます。
  (2) サンスクリットの文法家、パーニニが、オレンジ (naranga) の語源について言及しているそうです。(自然史家なので、その点を念頭に……) なんでも、西マレーシアの言い伝えに、森の中にたわわに実ったオレンジの木があり、通りがかったゾウが、腹いっぱい食べてしまったそうです。そのゾウは、消化不良で死んでしまった。「ゾウが死ぬほどの消化不良」 をサンスクリットで na:ga ra:nga と言うんだそうで、そこから、オレンジが naranga になったんだと……。手前どもにはサンスクリットの辞典がないので。ほんとだったら傑作ですけど。
  (3) sweet orange (Citrus sinensis) は、ポルトガル人が中国からもたらしたもので、アラブ世界にもポルトガル人から広まったために、sweet orange は、アラビア語で
       burtuqa:l [プルトゥ'かーる]
と言うようになり、sour (bitter) orange を指していた naranj, na:ranj は、今では使われなくなったとのこと。これは、アラビア語辞典で確認しました。確かに、その通りのようです。今、アラビア語で 「オレンジ」 と言ったら、burtuqa:l が普通です。
 ただ、なぜ、ポルトガルがブルトゥカールに訛るのか? この点は、わたしが説明します。正則アラビア語で、国名のポルトガルは
       burtugha:l [ブルトゥ'がーる]
です。アラビア語には、p という子音がないので、外来語の p 音は b 音になります。もちろん、正則アラビア語には、a, u, i の3母音しかないので、o は u になります。これで、ポルトガルがブルトゥガールになることは了解してもらえますね。
 では、なぜ、オレンジのほうは、burtuqa:l と、gh が q になるのか? これも難しい問題ではありません。アラビア語の口語の方言(アーンミーヤ)では、文語の q を gh に発音するものがあります。わたしの知るかぎりでは、上エジプトの方言がそうです。ポルトガル人のオレンジをアラブ世界に流通させたのが、q を gh で発音するアラブ人だったとしたら、当人は burtugha:l のつもりで、burtuqa:l と綴ってしまったことは容易に想像できます。
 また、『世界食物百科』 には、アラビア語で、オレンジを中国という意味の "tchina" とも呼ぶ、と書かれています。フランス人の綴りですから "china" のことでしょう。しかし、正則アラビア語に ch 音はありません。ch 音を特徴として持つイラク・湾岸方言の言い方かも知れません。その場合は、t-sh という2文字で ch を表しますが、比較的大きなアラビア語辞典にも、この china なる単語は載っていませんでした。ちなみに、正則アラビア語では、中国を
       as.-s.in(u) [アッすぃーヌ(ゥ)]
と言います。as.- は冠詞です。アラビア語では、なぜか、国によって、冠詞のつく国名と、つかない国名があります。理由は不明。説明している文法書に出会ったことがありません。
■以上のことより。
(1) Citrus aurantium
     naranj, na:ranj
(2) Citrus sinensis
     burtuqa:l, burtuqa:n
となります。実は、burtuqa:l には、burtuqa:n という異形があるのですが、なぜ、l → n なのかは判然としません。それと、mandarin にあたるアラビア語は、まだ、不明です。



SOSの語呂合わせ CHILDRENの単数用法

高駒麗人Koma (2003/07/15 01:02)

「らにい」「きしろふ」さんへ
SOS<Save Our Shipはうまい語呂合わせですね。
ピンクレディのSOSのイントロでモールス信号のSOSがあったとは初めて知りました。そんな音ありましたっけ。私はレコードは聞いていない(買っていない)し、TVではモールス信号だけ割愛されたのでしょーか?

韓国で10年程前、SOSという女の子3人組がデビューしましたが、それが“Sensational Oriantal Sound”の略だそうです。
それで、その直後に台湾でSOSという女の子2人組がデビューしましたが、これは「徐」Xuという姓の双子で、Sisters Of Siuの略だそうで、Siuは「徐」です、Wade式で「徐」は Hsüの筈ですが…。このSOSの中文名は「徐氏姐妹」Xushi Jiemeiです。
まあ、これらも「始め“SOS”ありき」で、あとで意味を考えたのでしょう。
韓国でS.E.Sが出たときは「今度は何の略称だ?」と思いました。
http://search.yahoo.co.jp/bin/search?p=S.E.S

「鉄」は「金を失う」から演技が悪いという事で「鐵」を使う人が今もいるそうですね。
昔、某企業(鉄道か製鉄関連だったと思う)が同様の縁起担ぎにより、看板の廣告で「鉄」の右の「失」を「矢」にして
[金矢]
のように書いた所、市民から「子どもの教育によろしくない」と批判があった話を思い出しました。「鐵」が唯一正しいと信じる方々に言わせれば、
「鉄」も[金矢]も五十歩百歩でしょう。

Childrenは二重複数のようですね。Evangelionでは碇シンジが「サード・チルドレン」Third Children、アスカが「セカンド・チルドレン」Second Childrenで、渚カヲルが「フィフス・チルドレン」Fifth Childrenであり、一人の人間を「チルドレン」と言うてます。皆変だとは思わないのでしょーか?
綾波レイの場合は複製(クローン)がたくさんいたので「チルドレン」でもいいでしょうが。



漢字

高駒麗人Koma (2003/07/15 00:53)

「仏」「伝」「売」「沢」「糸」という字体を小〜中学校で習ったわしが今「佛」「傳」「賣」「澤」「絲 」等という台湾字体(「旧」字ではない)で打つのは、後に漢字の本場での現状を学んだから。現在の電脳で「佛」「傳」「賣」「澤」を打つのがどれほど手間の掛る事か。やった事のある人はわかる。
「形声文字の構造を生かした表記」「漢字がChinese Characters中国の文字である事を年頭に置いた表記」が大事なので敢えて手間をかけているわけです。この手間のわからない人に限って文句を言う。
(こういう事は「シナ」呼称問題でも同様なんだが)
呉智英氏や高島俊男氏の苦労が少しわかった気がします。
「国実有里」さんの藝名が「國實唯理」になった時、ファンから「勉強になりました」という声があった。しかし遺憾ながら「漢字の勉強をしたいわけじゃない」という人も一方でいるわけですね。
わしは極力アカデミックに文を書いています。専門外の人が見当違いな文句を付けてきたら私が受けてたちます。

もし大陸で「」が採用されていたら、今頃北京等では「酒井法子」が「井法子」と書かれている事でしょう。
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0045&rn=50



unohana kara

高駒麗人Koma (2003/07/15 00:52)

佐藤和美さんへ
>「商家ではオカラはカラ(空)に通じて縁起が悪いから、卯の花って言うんだよ」
落語「千早ふる」で「卯の花を頂かして下さい」>「カラくれない」という解釋について納得しました。
http://members.tripod.co.jp/sohoweb/itaiji.html



「佛」は何故「佛」か

Koma高駒麗人 (2003/07/15 00:03)

http://www.t-toyoda.com/hissatsu/
「Kindergarten 時代劇と漢字」(投稿者:高駒麗人Koma  投稿日: 7月13日(日)22時07分29秒)で書いた事について上記の必殺のサイトの人から「誹謗中傷」だの「自己中な内容で怒った」等と感情的に叩かれております。「佛」は「弗」を音符とし、中国では今でも「佛」であるという理論では勝てないので議論から逃げております。わしの文の何処が誹謗中傷で自己中なんだか?
なんならこの方々にも此処や別の言語関係の頁に来て「漢字の字体」をテーマに論議して頂き、「佛ではなく仏が正しい」事を見事立証して貰いたいが、それは無理のようです。
中国大陸では今でも使われる「佛」や台湾で今も健在の「佛」「賣」「絲」は彼の地では「旧字」ではなく、これを日本人が「旧」と思うのは日本で勝手に「佛」を「仏」にしているから。例えば「紅葉」を「紅叶」、「前後」を「前后」と書いている人(中国大陸人)から見ると「日本人は何故『紅叶』を旧字で『紅葉』と書くのか」という事になります。

「言葉の世界」の方々にご迷惑がかかってはいけませんが、語学の学習によって得た知識を日常の言語生活に持ち込むと、一般人から不当な反撥を食らうという事がご理解頂けたと思います。その意味では有意義なことをしたと思っており、反省はしません。
怒る人は無知故に怒っている分けで可哀相ですが、勝手に怒らせておきましょう。彼らは名前の基準をTV局の作ったテロップだと思っているようですが、TVファンはそうでしょう。文部省の方針を基準にする人、言葉の歴史と論理に基準を置き、「佛は佛と書くべし」と考える人は人それぞれ。この方が民主的だと思いますが。

此処や他の掲示板では私が「佛」や「賣」「澤」をこの「現代台湾字体」で書いても誰も「『仏』と書け」とは言って来ませんでした。その面では寛大さに感謝します。やはり言語や文字に関して「プロ」の集団ですね。
日本のメディアで所謂「歴史的假名遣い」や「正字」を守ろうとするとあらゆる方面で壁が立ちふさがる。今後はまた、この話のわかる(と言っても反論も来ていい意味での喧嘩になっているが「もう来ないで下さい」等という人はいない)この傳言板にお世話になります。打ち間違いや文字化けが多い点は反省してますので今後気をつけます。



Re: もろもろ

にれのや (2003/07/14 23:55)

■Maniac.C どの。
なるほど。現在の日本語の母音の無声化は、そうとうの長き星霜にわたって、現状を維持してきたわけですね。むしろ、日本語の音節とかモーラとかのシステムが崩壊しなかったほうが不思議ですね。西洋人の記述以前に、無声化があったかどうか、知る方法というのは、ないのだろうか?
 九州の 「原」 が 「はる」 になる理由を初゚て知りました。ずっと以前から、なぜ、hara→haru などというケッタイな変化が起こるのか不思議だったんです。そのまんま東さんの本名の姓は、「東国原」 (ひがしこくばる) です。出身は大分県。
■佐藤和美さん。
そうですか。あ、あ、あそこね。あの、狭い階段を上って行く。そうでしたか。あそこか。
 それと、「おから」 の件はそうです、そうです。特に芸人は、「おから」 という言葉を使うと、こっぴどく怒られるそうです。「小屋がカラ」 というのは縁起が悪い。米朝がマクラでよく使う言い様に 「卯の花を買うて来て、おおいり(=大入り)にせえ」 というのがあります。
■らにいさん。
そうですね。元吉原(もとよしわら)は、湿地を埋め立てて遊郭をつくったそうです。元和3年(1617)に、江戸市中に点在する遊郭を一箇所に集めて、治安を計った、とのこと。場所は、現在の日本橋人形町あたり、とのこと。
 明暦2年(1656)の火事をきっかけに、江戸の中心部に近い遊郭をかねてから追っ払いたいと考えていた幕府は、吉原の移転を命じました。それが、浅草寺の裏っ手、浅草山谷村(さんやむら)の新吉原(しんよしわら)ですね。ですから、いわゆる、「吉原」 は、葦原の上につくられたわけではないようです。
     「とむらいは 山谷と聞いて おやじ行き」
落語の廓噺(くるわばなし)のマクラで必ず使われる川柳です。



re:「SOS」

きしろふ (2003/07/14 23:17)

>高駒麗人Komaさん
色々なところで使われている「SOS」の提供、ありがとうございます。

>らにいさん
そのピンクレディーのネタは正直うけます(^^)



オカラと卯の花

佐藤和美 (2003/07/14 20:43)

忌言葉に関してはこれにまとめてあります。

忌言葉(いみことば)
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/nihongo/imikotoba.htm

一つネタ追加。
数ヶ月前にNHKで「おしん少女編」の再放送見てたんですが、
おしんが奉公先で、「商家ではオカラはカラ(空)に通じて縁起が悪いから、卯の花って言うんだよ」てなことを言われてました。



アイヌ語入門

佐藤和美 (2003/07/14 20:21)

にれのやさん
>きょう、ジュンクのアイヌ書のコーナーで、知里真志保の『アイヌ語入門』買おうかどうしようか考えたんですよね。『地名小辞典』のほうを買いました。次は『アイヌ語入門』買いましょう。東京で、この本を常備しているのは、池袋のジュンクだけですね。

私は神田神保町の地方小出版センターで買いました。
ここには全国の小出版社の本がそろってるのでたまに行ってます。
東京堂のある通りにあります。



「SOS」

らにい (2003/07/14 18:54)

>高駒麗人Komaさん
きしろふさんの書き込みを見て、「SOS」についてもう少し調べて見ました。
下の2つのリンクは「SOS」のことだけ載っているものです。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/1954/zatsu1_1.html
http://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/info/minitisiki/sos.html

次は「SOS」だけでなく、「SOS」以前に使われていた「CQD」についても載っているリンクです。

http://members.tripod.com/~sekky/vol2.html
http://www.toba-cmt.ac.jp/kouhou/katafuri/sos.htm
http://www.elrosa.com/tisen/82/82924.html

これらに載っている説明をまとめると、
 ・「SOS」は「Save Our Ship・我々の船を助けて」の事だと言われていたり、他の説では「Save Our Souls・我々の救助を求める」だとか「Stop Other Signals・他の通信を止めろ」などの略だというが、これは「CQD」が「Come Quick Danger(Distress)」とか「Call to quarters, distress」とかの略であるが、「SOS」にもいかにもそれらしい意味を持たせるための単なるこじつけで、答えは簡単。一番シンプルで慌てているときでも間違えそうに無いから。
 ・「CQD」が使われなくなったのは、「CQD」の「CQ」は元々「All Ship(Station)」という意味に使われており、「全船に達する」というときには、先ず「CQ」を発信してから本文を打電していたこともあり、従って遭難信号の「CQD」と間違い易いことと、当時の性能の良くない無線機では複雑なモールス符号は聞き取りにくかったから。そこで最も間違いなく聴きとることのできる簡明な符号として「SOS」が決まった。

そうなると海上保安庁の説明は間違っている?
ちなみに、1999年2月1日でモールス信号が廃止されたみたいで、もう「SOS」は受信できないとのこと。(普通の生活の中では受信しませんが・・・)

(上から)5番目のリンクに載っていること。
>「かつて一世を風靡していたピンクレディーの大ヒット曲「S・O・S」のイントロは放送禁止であった。それはモールス信号で始まるため、一度ラジオでオンエアされた時、船舶でトラブルがあったため。」
なかなかのボケです(笑い事ではありませんが・・・ ^^;;)
ラジオでオンエアされる度に(船舶の方に)慌てられては困りますからね。



最近の日本語

らにい (2003/07/14 18:18)

今日は連続になります。

この前メディアにも出ていましたが、最近の日本語の状況というものにお店の人(特に若い人の様)が使う言葉で「お会計のほう〜円になります」「〜円からお預かりします」ということばが非常に多いとのことです。(私もよく聞きます)
その人たちは「なんか丁寧っぽいから」と使っているようですが、「〜のほう」「〜から」は丁寧語でも何でもありません。「ほう」は名詞だし、「から」は(格or接)助詞です。
『トリビアの泉』のなかでタモリ氏が「『一万円からお預かりいたします』。俺は一万円か!?」なんてことを言っていました(笑)
「お会計のほう〜円になります」は「会計の他に幾つかもの(事)があるが、会計のほうは〜円になる」という意味にもなりますし、「〜円からお預かりします」だと「『〜円』という人からお金を預かる」という意味にもなってしまいます。
ですから正しくは「お会計〜円になります」「〜円お預かりします」です。
「〜のほう」とか「〜から」とかを使いたければ、「〜のほう」は「〜のところ」にするんです。「ところ」は接助詞にすると「後述の事実が前述の結果として行われたものであることを表す」という意味になりますから、「お会計のところ〜円になります」は「会計の結果、事実〜円になった」となり意味が通じます。
「〜から」も「お客様から〜円お預かりします」と言えばいいのです。
あと、チョイものですが、「役不足」の意味を多くの人が間違っているようです。
不足しているのは「役」であって、「力」ではありませんので。



川の名前

nobu3499 (2003/07/14 16:49)

はじめまして。
川の名前で”キリンペタム”・”キソンペタヌ”どちらが正式な名前か
分かりませんが、地図と現地の看板で違います。
どっちにせよ意味が分かりません。(いろいろと調べては見ましたが)
分かりましたら教えてください、宜しく御願いします。



縁起&差別用語?

らにい (2003/07/14 12:45)

>にれのやさん
上野の近くの昔は遊郭で有名だった吉原も「葭原」だったそうです。

>高駒麗人Komaさん
の『今年弥生(参月)過去ログ、子供達』のログつながりですが、「百姓」も自粛しているようですが、私の貼ったリンクの中でも書いてありますが、知り合いの農家の人は「百姓」と言われてむしろ「嬉しい」とのこと。
そうだとなぜ差別用語の分類になった?
あと「坊主刈り」もだめ!?(「坊主刈り」に対して)抗議したお坊さんがいたらしく・・・(^^;)



普通話の隠れ子音

辻本裕幸 (2003/07/14 12:22)

日本語の母音変化についてありがとうございました。
 中国語普通話で、uiやunの間には、本当はeが隠れているということですが、そのeとuが融合して、ウムラウトoに成ってしまうということはないのでしょうか?



果と菓

未菜実 (2003/07/14 11:37)

「果」の漢字は、木に実がなっている様子を表した象形文字です。
ところが、「果」には、他にも「はたす」などの意味もありますから、「果」に草冠をつけて「菓」と言う字をつくり、主に果物の意味を表すようにしたようです。
ただ、現在菓の字が使われない理由はよくわかりません。



「菓子狸」

Maniac C. (2003/07/14 07:57)

>ロスケさん
>「食肉目」とあるので、本来は果=フルーツを主食にしているわけでもないような印象を受けるので、「果子狸=養殖・食用」という可能性も…
→ハクビシンは雑食性です。小型哺乳類、鳥、蛙、昆虫、蟹といった小型動物の他、
野菜、果物、何でも食べます。
http://www.jhnews.com.cn/gb/content/2003-05/28/content_182518.htm「金華新聞」
には「因愛吃水果因此被称為果子狸;又咽頭部有7塊大小不等的白色斑塊,与棕黒色
被毛相同,構成一個黒白鮮明的特定臉譜,因此又称花面狸」と有ります。
ちなみに、中国では学名が「花面狸」らしいです。



RE: ハクビシン

ロスケ (2003/07/14 04:36)

未菜実 さん、ありがとうございます!

>現在の中国語では、菓は果になっていますから、果子狸で引く必要があります。
確かにgoogleで「果子狸」は中国語サイトをヒットしました。私は中国語の辞書は持っていますが(いるだけで)、文法とかは全然わかりません。その辞書を引くと「果」の項の中に、「菓」は「果」の特殊用法で(水果→菓、紅果→菓)の場合に使うとあります。それで、「果」と「菓」はどのような関係にあるのか少し興味が湧いてきました。これは簡単に説明できる歴史的な変遷なのでしょうか?。

Maniac C. さん
>和モ宸ノは仝惚徨占壓強麗蛍窃僥貧奉噐恩皮跨、奮扉朕、痩竪親、惚徨占奉。

おーこれは!・・polyglotのManiac C. さんが女真語で書かれたのかと思いましたよ(笑)
冗談はともかく、
>果子狸在動物分類学上属于哺乳綱、食肉目、霊猫科、果子狸属。果子狸的
>正式名称応該叫做“白鼻心”,常見的俗名也包括:花面狸、香狸、白額霊猫。

「菓子狸」という名前に最初に出会ったのは、書名は覚えていませんがたしか陳舜臣さんの本だったと思います。台湾を旅行した時に食堂に「菓子狸」と書いた看板が下がっているのを見て、これは日本ではハクビシンという動物で『味を良くするために果物だけを食べさせて養殖した』と解説があった(ようなおぼろげな記憶あり)。
ご紹介のサイトを見ると「食肉目」とあるので、本来は果=フルーツを主食にしているわけでもないような印象を受けるので、「果子狸=養殖・食用」という可能性もありそうな気がするのですが(自信=10%以下!)如何でしょう。



res: 無声化

Maniac C. (2003/07/14 03:21)

>にれのや師匠
>日本語の無声化と母音変化との関係について、系統立った理論のようなもの
→両者を関連付けた理論の存在は、寡聞にして存じません。しかし、九州の地名など
では、有名な「田原坂(Tabar’zaka)」や「山原(Yam’bar’)水鶏」のように、母音
の脱落形が散見されます。また、「いづる>でる」「いづく>どこ」「いや>や」のよう
な語頭の「い」の脱落や、「うだく>いだく>だく」「うばら>いばら>ばら」のような
「う>い」の変化は、古語と現代語の間にも見られます。

>母音の無声化はいつごろから始まったのか、わかっているのでしょうか?
→これも残念ながら、まだはっきりしていません。
ロドリゲスの『日本大文典』(1604-08年刊)には記述が有りません。
コリャードの『日本文典』(1623年刊)には「i又はvで終わる単語が日本人に依って
発音されるときには、最後の母音は諸学者には殆んど聞き取れない、例へば goza`ru
を聞く場合 goza`r と聞こえ、fito`tçu を聞く場合に単に fito`tç の如く聞こえ
るし、又、a`xino fa`ra を聞いても単にa`xno fa`ra と聞こえるのである」という
観察が有り、これが母音の無声化に関する一番早い記録とされています。



Gorgeous について

にれのや (2003/07/14 01:57)

■本日、アメリカの女性誌を見ていたら、
     "30 Days to Gorgeous Skin"
というタイトルの記事を見つけました。
     「30日でゴージャスな肌に」
ですね。以前、yukiko さんでしたか、gorgeous には 「光かがやくような」 というニュアンスがあるのでは、という書き込みがありましたね。(ちょいと確認できないので)
 これなんか、ぴったりなんではないかと……
     「30日で光り輝く肌に」
■Maniac.C さま。なるほど。日本語の無声化と母音変化との関係について、系統立った理論のようなものはあるんでしょうか。それと、母音の無声化はいつごろから始まったのか、わかっているのでしょうか?



res: 日本語における yu→i の変化

Maniac C. (2003/07/14 01:29)

>にれのや師匠
>なぜ、u と i が不安定になるんでしょう。
→どちらも狭い母音なので、母音の無声化あるいは音便と関係が有るのではないで
しょうか。つまり、
行く: yuku>y’ku, 指: oyobi>yobi>yubi>y’bi>y’b’(指宿),
六日: muyuka>muy’ka, 忌々し: yuyusi>>y’may’masi
可愛い: kafofayuki>kafafayuki>ka’fayuki>ka’fayu’i>kafay’’iなど。

でも、こんなのも在ります:
茹だる/茹でる: yudaru/yuderu>’udaru/’uderu
こちらは yu>y’>u と考えた方が良いのかも。



Re: いろいろ

にれのや (2003/07/14 00:31)

■佐藤和美さん。
お答えありがとうございます。う〜ん、偶然の一致。きょう、ジュンクのアイヌ書のコーナーで、知里真志保の『アイヌ語入門』買おうかどうしようか考えたんですよね。『地名小辞典』のほうを買いました。次は『アイヌ語入門』買いましょう。東京で、この本を常備しているのは、池袋のジュンクだけですね。
■massangeana さん。
なるほど、u のあとの k, g は関係ないようですね。偶然、k, g の例をつづけて思い浮かべたので。しかし、前後の子音・母音の影響を受けないのに、なぜ、u と i が不安定になるんでしょう。e と i とか、o と u とかなら、納得いくんですが……
■らにいさん。
わたしの子供のころ、足立区というところは、大きな水溜りと葦原がいっぱいありました。そんななかで、大人たちが 「葦」 を指して、「あし」 と言ったり、「よし」 と言ったりするのが不思議でした。
 それと、もと国鉄が分割民営化されてできたJRグループの会社は、社名のロゴの 「鉄」 の字を、すべて、「金+矢」 にしていますね。



白鼻心

Maniac C. (2003/07/14 00:30)

でも検索にかかります。
下記には「果子狸在動物分類学上属于哺乳綱、食肉目、霊猫科、果子狸属。果子狸的正式名称応該叫做“白鼻心”,常見的俗名也包括:花面狸、香狸、白額霊猫。」と有ります。
やっぱり簡体字のままでは文字化けした。
http://news.163.com/editor/030525/030525_712294.html



花面狸

未菜実 (2003/07/14 00:10)

現在の中国語では、菓は果になっていますから、果子狸で引く必要があります。
果子狸だと中国のサイトもひっかかります。
なお、辞書では、花面狸の方がメインになっているようです。



ハクビシン

ロスケ (2003/07/13 23:53)

SARSで一躍有名になった動物ハクビシンは、中国語で菓子狸だとさかんに説明されてました。
菓子はフルーツのことで・・・とか、でも「菓子狸」で検索すると日本のサイトしかヒットしないんですよね。おかしいと思っていろいろサイトを見たら「白鼻狗」という中国語はあるみたいです。
実際に中国のマスコミではハクビシンは何と呼ばれているのか、教えていただければ有り難し!



子供達 SOS 五一 Mayday

高駒麗人Koma (2003/07/13 22:36)

Kinki Kids は Kinki Children、Kinki Kinder と呼んでも良い事になりますか?

http://www006.upp.so-net.ne.jp/garumaru/SOS.htm
(子どもたちのSOS)

きしろふさんへ
美容院の廣告で「ヘアからのSOSに気づいていますか」というのがあります。
http://bellfine.com/haircheck.html
「疲れやイライラは体もSOS 毛髪もSOSを出し続けています」

ピンクレディーの「SOS」は少々古いですね。モールス信号で、「・・・(S)−−−(O)・・・(S)」(トトトツーツーツートトト)なので打ちやすいんだそうです。

>Mayday ←「m'aider(m'aidez)!」
中国大陸では「五一广(廣)場」Wuyi Guangchangが英語でMayday Square、「五一国際酒店」Wuyi Guoji Jiudianの英語名はMayday International Hotelになります。
「五一」がMaydayだとわからないとピンと来ませんね。



Kindergarten 時代劇と漢字

高駒麗人Koma (2003/07/13 22:07)

Kindergarten(幼稚園)のKinderはKindの複数形ですか?するとchildの古風な複数形childerに似ていますね。Kindergartenは、英語式にするとchildren's garden(子供達の庭)でげすか。

http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0035 必殺シリーズのページ「必殺のページ(http://www.t-toyoda.com/hissatsu/)>はぐれ掲示必殺派」で「念佛の鉄」「商賣人」「想い出の絲車」という表記に対して管理者の方(かた)が
「当掲示板に来られた当初から、『念佛の鉄』『商賣人』『想い出の絲車』などと旧字体を使われていますよね。…やはり、特に必殺初心者様に無用な混乱を招く恐れがありますので、作品名・キャラクター名などは正確(テロップ通り)に書いていただけないでしょうか?苦情のメールを何通か頂いていますので…。」
と注文をつけています。「念仏」「商売」という日本式カンジに慣れた人はそう考えるでしょう。
「念佛」でなく「念仏」が正確だそうです。
それは「正確」の基準がただひたすらTVのテロップという判断でしょう。
ちなみに「テロップ通り」では「助け人」に出演した田村氏は「高廣」で、「助け人」で宮内洋氏が演じたキャラは「龍」、但し京本政樹氏が「仕事人V」で演じた組み紐屋は「竜」です。中国両岸では「佛」foは「佛」であり、「弗」fuを音符とし、「仏」では中国人が見ると「私」siから類推してsiと読みかねない。「賣」mai4は「買」mai3と関係しており、大陸中国人は「売」を「殻」の略字と間違えて「売上額」を keshang'eと読みます。
「賣り上げ額」は中国漢語で「営業額」yingye'eですが、日本語の「賣上額」の漢字表記を北京語で読むなら maishang'e になる筈です。

中国人が「販売」という字を見て勘違いしたのか、大連にある某茶器販賣店の名刺には「販殻」と印刷してあります。
「絲」siを「糸」にするのは日本だけで、中国人が「糸」を見るとまず「系」xiと間違えます。
「糸井貢(絲井貢)」は中国人が見たら「系井貢」に見えるでしょう。中国では日本の「糸魚川」を「系魚川」と誤記した表記もあります。

江戸時代は「仏像」は「佛像」と書かれ、「滝沢馬琴」は「瀧澤馬琴」と書かれていたと思います。それとも「仏」「売」等は江戸時代から俗字として使われていたのでしょうか?
時代劇で牢屋の表札に「小伝馬町牢屋敷」とあると「江戸時代なら『小傳馬町』だろう」とツッコミを入れたくなります。中国の中文では大陸・台湾共「伝」等という字は使われません。

必殺のサイトで「大吉」という人物名(仕留人と渡し人に出てくる)について、「番組では『吉』の上は『土』だった」等と書いて[土の下に口]という字を作って、画像として文に嵌め込んでいます。此処までする必要が何処に有るのか甚だ疑問です。
大陸では「田村高廣」は「田村高广」、「萬屋錦之介」は「万屋錦之介」と書かれます。
「念仏の鉄」は、もし大陸で紹介されたら「念佛之鉄」、台湾でメディアに乗ったら「念佛之鐵」と書かれるでしょう。これを「日本のTVのテロップ通りにしろ」と言っても無駄です。

「時代劇の初心者」が「佛」「賣」等を見て混乱するのは、単に教養が無いからで、勉強すればいい事です。わからないなら「奉行」を「警視総監兼裁判官」、「奉行所」を「警視庁兼東京地裁」、「同心」を「刑事もしくは警察官」と言い換えないといけません。



5月1日 追加

きしろふ (2003/07/13 21:54)

下のリンクに「Mayday」についてのQ&Aがありました。

「SOS」ってもうないの!?
http://www.warbirds.jp/ansq/9/I2000458.html



5月1日

きしろふ (2003/07/13 21:42)

いつか思ったことです。
航空関係で使われている救難信号の「Mayday」についてですが、労争とか5月1日とかとは関係ないのになぜ?と思ったことがありました。
そこで調べて見ると、由来はフランス語「m'aider(m'aidez)!」の発音をまねたものだということが分かりました。
「m'aider(m'aidez)!」は「help me!」と同じ意味ということ。
「help me!」よりかは「m'aider(m'aidez)!」のほうが言いやすかった?

なにも知らない人が「Mayday」なんて信号受信すると、「メーデー?労争??5月1日???何だ????」ということになるでしょうなぁ。(なるか?)



今年弥生(参月)過去ログ、子供達

高駒麗人Koma (2003/07/13 21:34)

ManiacCさんへ
childrenの語源と「漢語詞を 漢字で かき、和語を カナがきして わかちがきした 日本語」についてご説明有り難うございます。
韓国人が 日本語を 分かち書きで 書いたのを 見たことが あります。

>遅くなりましたが、ログの追加を再開したいと思います。まずは3月分から。
謝謝。弥生は「灰かぶり(シンデレラ)」ネタで盛り上がりましたね。三月の拙文の誤りを早速発見致しました。

訂正&追加 砂漠砂漠 高駒麗人koma (2003/03/25 20:30)
「鴛鴦さんへ」 >「サハラ砂漠」を「砂漠砂漠」と言っているようなものですね。
Sahra自体が砂漠の意味ですか。「ゴビ砂漠」も砂漠砂漠ですね。蒙古語говь(gov')はговь(gobi)の訛りかと思いますが、これが「砂漠」ですから。
→ 蒙古語говь(gov')はгоби(gobi)の訛りかと思います
「エルマーの冒険」に「ゴビゴビさばく」が出てきたと思います。「砂漠砂漠砂漠」です。
http://www4.ocn.ne.jp/~yama-kei/3syouken/kouen/kawasaki.htm
「子どもの遊びと発達、エルマーになった子どもたち」
http://www.cinema-indies.co.jp/akane/panf02_2.html(エルマーの冒険)
エルマーの名は Elmer Elevatorのようですが、日本のサイトではerumaaやerumaになっています。

らにいさんへ
確かに「子供」でなく「子ども」ですね。↑
いろいろと (2003/03/26 12:54)
>ちなみに「国際連盟」は「The League of Nations」。
アメリカの野球の National League と紛らわしいですね。United States(合衆国、合州国)とUnited Nations(連合国、国際連合、多民族の連合)は名前を交換してもよさそうな物です。アメリカは他民族国家ですから。
http://kan-chan.stbbs.net/word/pc/index.html
(「子供」>「子ども」について 最近の事例から >“差別用語”と呼ばないで>えっ!「子供」って差別表現だったの!? )
そういえば「友達」を「トモダチ」と読むと「朋友」pengyou/friend、「トモタチ」だと「朋友們」pengyoumen/friendsですね。「北斗の拳」でケンシロウは「戦い散っていった強敵(振りがなは「とも」)たちがいる」と言ってましたが。実際は「一人の子供」「たくさんの子供たち」
とは言っても「たくさんの友達たち」とは言わず、複数でも「たくさんんの友達(トモダチ)」ですね。「友達供(トモダチドモ)」、「友供(トモドモ)」は変でしょうか。
(誰か朝鮮語のuriとurideulについて御存知ないですか)

http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0033&rs=12&re=12&rf=no&al=on



「をかし」「的を」

らにい (2003/07/13 21:13)

>管理人様
>「をかし」
またまた勉強になります。感謝です。
>「的を」
うっ、凡ミスでした(^^;)
返す言葉はございません(^^;;)



的を

佐藤和美 (2003/07/13 17:39)

的を得る→的を射る



をかし

佐藤和美 (2003/07/13 17:36)

山口佳紀編『暮らしのことば語源辞典』(講談社)にはこうありました。
「ヲカシの有力な語源説は二つあり、その一つは、「招き寄せる」意の動詞ヲク(招く)の形容詞形で、好意的に興味をもって迎えたい意からとする説。もう一つは名詞ヲコ(痴)の形容詞形で、「滑稽」から「微笑ましい」に転じて情趣の深いさまを表すようになったとする説である。また「滑稽」の意のヲカシと「風情がある」などの意のヲカシは、別々の語であるという考え方もある。」



まぁ、いろいろと・・・

らにい (2003/07/13 16:56)

>Maniac C.さん
>「children」
古期英語まで遡るんですね。
こういう繋がりがあったとは・・・。勉強になります。
>「オコゼ」
余談の方もお付き合いいただきありがとうございます。
「鰧」とも書くそうです。
>「平安中期以前の『をかし』の数多くの例には、『をこ(愚)』の持つ、道化て馬鹿馬鹿しく、あきれていやに思う気持の例はなく、むしろ好意的に興味を持って迎えたい気持で使うものが多い」
この「をかし」は「いとをかし」の「をかし」と同じでよろしいですか?
意味の発達というのは奥が深いです(^^;)

>高駒麗人Komaさん
「こ・ども・たち」とは少し違いますが、なぜ新聞等が「子供」を最近「子ども」と表記するようになったのかという理由とそのことについての批判が下のサイトに書かれています。
なかなか的を得ています。

>にれのやさん
商売人(や大工等)の縁起担ぎというのはいくつかあります。
 ・「梨(なし)」→「ありの実」
 ・「するめ」→「あたりめ」
 ・「病気」→「歓楽」
 ・「死ぬ」→「めでたくなる」
 ・「葦(あし)」→「葭(よし)」(一般でも使う?)
 ・「終わり」→「お開き」
 ・「割る」→「開く」(一般でも使う。例:鏡開き)
越後・赤谷地方では、七人で山に入ることを嫌っていたので(残念ながら理由は分かりませんが)、「七人」を「六人一人」と言い換えるようです。
また、漢字でも、「鉄」が「金を失う」と書くので、あえて旧字体の「鐵」を使っている製鉄所等もあります。
お葬式で「旦那さん、めでたくなっちまって・・・」と言うのでしょうか?
執念を感じます・・・(^^;)

http://kan-chan.stbbs.net/word/main.html



「言葉の世界」伝言板3月分

佐藤和美 (2003/07/13 16:44)

高駒麗人Komaさん
>「今までの伝言板」2003/03、04、05、06はまだですか?待ち遠しいです。

遅くなりましたが、ログの追加を再開したいと思います。
まずは3月分から。

「言葉の世界」伝言板3月分

レス、もれてるのがありました。

「Re: バチェラー辞書についての説明ありがとうございます」にれのやさん (2003/03/17 01:08) wrote
>■できれば、佐藤さんの率直な評価をうかがいたいのですが。

チョー低いです。詳しくは知里真志保『アイヌ語入門』(北海道出版企画センター)を読んでみてください。

「シンデレラ」ですが、『シャルル・ペロー童話集』の「サンドリヨン」でも意味がわかりますよね。



Re: 日本語における u→i の変化

massangeana (2003/07/13 11:58)

「ユ・イ」と「ウ・イ」の関係が同じかどうかわかりませんが, 「ユ・イ」についてはここの
掲示板の 2002/3 に少し例を出しています。ユワエル・イワエル, ユデル・イデル, ユワウ(硫黄),
ユメ・イメ。ほかにユビ・イビ, ユバリ・イバリとか。語中だとマユゲ・マイゲなど。時代も方言も
違うものをいっしょくたにしてはよくないかもしれませんし, 「いめ」が「寝ぬ+目」だという語源
説が正しいとすれば「ユ→イ」だけでなく逆の方向のものもあるわけでしょうが, たぶん「宿」が
シュク・シクでゆれるのと同様の原因で二重形が発生していたのが, のちにどちらか一方だけを使
うようになったのではないでしょうか。方言による違いが大きいのは, 二重形をどちらに統一する
かが方言ごとに異なったためではないでしょうか。



re 『オコゼ』

Maniac C. (2003/07/13 10:05)

■連続投稿、失礼します。自己突っ込みです。
■引用したHPの文では、「をかし」を「をこ」の形容詞化したものとしていますが、
『岩波古語辞典』には次の解説が有ります: 動詞ヲキ(招)の形容詞形。好意をもって
招き寄せたい気がするの意。ヲキ・ヲカシの関係は、ユキ(行)・ユカシ、ヨリ(寄)・
ヨラシ(宜、ヨロシとも)、ナゲキ(嘆)・ナゲカシの類。「をかし」を「をこ(愚)」の
形容詞化と見る説もあるが、平安中期以前の「をかし」の数多くの例には、「をこ(愚)」
の持つ、道化て馬鹿馬鹿しく、あきれていやに思う気持の例はなく、むしろ好意的に
興味を持って迎えたい気持で使うものが多い、と。
■同書での意味の発達は以下の通りです。
 「招き寄せたい。喜んで迎え入れたい。」→
 「興味がひかれる。面白い。」→
 「美しくて心がひかれる。魅力がある。」→
 「可愛らしい。」→
 「すばらしい趣がある。」→
 「面白くてつい笑いがこぼれる感じだ。」→
 「笑うべきである。変っている。変だ。」
■この記述を読むと、オコゼの容貌は、確かに「道化て馬鹿馬鹿しく、あきれていや
に思う気持」の方でしょうかね。
■ついでに、「をこ」は「尾籠」とも当てたので、後にこれを誤って「ビロウ」と
読み、新しい単語が生まれました。

■「『シ・ジ・セ・ゼ』は魚名語尾」と有るので、そんな魚名を探してみたのですが、
イワ・サゴ・ワカ・イナ・ハぐらいしか見当たりません。ジの付く魚名は
在るのでしょうか? アヂをアジと間違えているのでは?



res: 『children』

Maniac C. (2003/07/13 08:56)

>らにいさん
>「child」の複数形は「children」ということはご存知の通りですが、なぜ「childs」等にならずに「children」になるのでしょうか?

→OEDには以下の説明が有ります(括弧内は引用者の補足):
古期英語の複数形は、通常、cild であった。しかし、後期古期英語では、この単語
は、部分的に、同じ中性名詞の –os 語幹に同化され、複数主格は cildru, cildra
となり、特に複数属格は cildra となった。形は、初期のウェスパシアヌスの詩篇
にも、ノーサンブリア方言にも起こっていない。後期には cildcildo が有り、
時折、この単語は、cildas という複数形を持つ男性名詞になっている。中期英語では、
複数形として(cild, cildo の発展形である) chyld, childe という例はまれであり、
残存している型は古期英語の cildru, cildra (の発展形)で、これが中期英語では
childre, childer となっている。これが北部および北中部方言方言での規則形であっ
たし、シュロプシア、レスタ、リンカンシアのような南部の方言では今でも使われて
いる。しかし、南部では、他の –en を付ける複数形に合わせて、これが childer-en,
childre-n
とされた。BROTHER の複数形である brethre, brether, brethren を参照。
これが標準の書記形となっている。古いノーサンブリア方言の cildas は、15c.の
childes に相当するが、例外的である。しかし、スコットランドで分化した CHIELD
は、常に複数形が chields である。

上記の記述はかなり専門的なので、補足します。
■現在の規則変化である -s複数形は、本来、男性強変化名詞の主格語尾 –as
に由来します。
■cild 「チルド」は中性名詞でした。中性名詞の複数主格は、多くが単複同形か、
語尾 -u を付ける形であり、cild は前者でした。
■cildは、ゲルマン共通語まで遡ると *kilθam なので「a語幹」に分類されます。
これは他の母音語幹と共に「強変化」に属します。ゲルマン共通語には、この他に
「n語幹」の「弱変化」と、その他の子音またはゼロ(athematic)語幹の「小変化」
が有りました。r形は、この「小変化」に由来します。
■やはり単複同形では複数であることが明示できないので、本来は異なる活用系列の
語尾である-ru(主格), -ra(属格)を借りて、複数であることを明示することも、時折
行われていたようです。
■中期英語になると、強勢の無い母音は全て曖昧母音か無音となってしまい、綴りは
‘e’で表しました。そのため、綴り字上は‘er’=‘re’ということが起こるのです。
‘e’が書いてあるからといって、必ずしも発音されたとは限りません。特に語末の
‘e’が早くに脱落したのは、現代英語に残る語末の‘e’のほとんどが発音されない
ことからも解るでしょう。
■古期英語では名詞の性によって違った複数形が、中期英語では母音の曖昧化・脱落
に伴って再編を余儀なくされます。しかし、当時の公用語は仏語であり、英語は家庭
で話すだけの非公用語で、基準となる言葉が在りませんでしたから、各地域で方言が
発達し、種々の差異が生まれました。複数形の語尾もその一つで、北部では強変化の
-es 形を、南部では弱変化の –en 形を、他の語にも当てました。
■現代語では北部形が支配的で、南部形は oxen, brethren, children ぐらいしか残っ
ていませんが、南部では今でも –en 型の複数形を使っています。

>P.S. 魚の「オコゼ」の語源は「醜い姿」を意味する古語からきているといわれています。関係なくてスイマセンm(_ _)m
→硬骨魚綱カサゴ目に属するオコゼ類の総称であるが、一般に「オコゼ」と呼ばれて
いるのはオニオコゼのことである。オコゼの名は「オコシ・オコジ」として、『和名抄』
『新撰字鏡』に記録されている。「虎魚」とも書き、名前の由来は諸説在る。或るHP
によると:「オコ」とは「貌(かたち)の痴(おこ)なる意、笑いに価するほど愚かなる
こと、形の奇怪にして容貌醜きものをいう。また、『オコ』の音便によって『オコシ・
オカシ』と変化して用いられる」となっている。また、「シ・ジ・セ・ゼ」は魚名
語尾でもある。つまり、オニオコゼの語源は、“鬼のように醜い容貌の魚”ということ
であろう。
 更に、古語「をこ」は漢語「烏{シ許}(蕃)=ウコ(バン)」という、中国南方の異民族
に由来するようです。



「『漢字と日本人』を よんで」を読んで2

Maniac C. (2003/07/13 08:54)

■今度は仮名遣いに関して。
■まづ、「エール」「チューモン」「ヒョーバン」のように長音符を使った表記と、「ゆ
う」「おおく」「エッセイ」「おおい」「よう」のように母音を添えた表記と、2通りの
長音の表記法が在ります。この時点で既に不統一ですが、更に、同じオ段の長音に、
現行の仮名遣いどおり、「う」を添えるものと「お」を添えるものが在るのも問題です。
■もし私が長音符を使わずに発音どおりの表記法を工夫するとしたら、「王」と「追う」
の区別も付くように、前者は「おぅ」、後者は「おう」と書き分けます。一案として、
「覆い」と「多い」も「おぅい」と「おおい」と(一般的には「おお」の発音は、
一様に「オー」と発音する人と「オー」と「オオ」の2様有る人といますが、私は、
語の抑揚[「覆い」→低高高、「多い」→低高低]によって、2者の発音を「オーイ」
と「オヲイ」のように区別しています) 書き分ける方法も在ります。が、抑揚に
よって2者の発音を書き分けるとすると、同じ単語なのに、「多く」は低高高なので
「おぅく」と書き、「覆う」は低高低なので「おおう」と書く、逆転・不整合が出て
きてしまいます。この抑揚による区別は、耳の良い人・音声が受容できる人でないと
区別が付かず、又、方言による抑揚の違いも無視していますので、やはり単純な、
全てのオ段の長音は小書きの「ぅ」を添える、という規則の方が優れているでしょう。
「往々」も「覆おう」も等しく「おぅおぅ」と表記されるわけです。
■それから、パッと見て、「ゆう」「つずけ」という、現代仮名遣いと異なる、発音
どおりの表記が目に飛び込んできますが、そのわりには、助詞の「わ」「お」は発音
どおりに書かれていません(次の段落からは突然、「わ」だけは発音どおりになり
ますが)。
■総じて、この表記法は、深い考察や徹底さに欠け、突き詰めるところまで突き詰め
ていない、極めて一時的・実験的な、従って、今後の日本語の表記法としても定着する
見込みのないもの、と評せざるを得ません。



「『漢字と日本人』を よんで」を読んで1

Maniac C. (2003/07/13 08:53)

高駒麗人Komaさん(7/9)御紹介の「漢語詞だけを漢字で現し、和語を全てカナ書き
した文」、“「漢字と日本人」を よんで ―エールと チューモン―”(ワタナベ
サトシ)を読んでみました。私が懸念していた通り、冒頭の段落から早くも無理が
散見されました。引用文以下にそれを述べます。

>「漢字と日本人」 (文春新書) とゆう 本、いろいろな意味で おもしろく よみました。著者は 高島俊男さん。著書もおおく、また 週刊誌に かきつずけられている コトバに まつわる エッセイを ごぞんじの かたも おおいでしょう。この本も なかなかのヒョーバンのようで、新聞の書評にも ずいぶん とりあげられています。

■まづ、分かち書き。日本語を仮名書きしようとすると、避けては通れない関門で
しょうね。日本人はそれを、飛鳥〜平安の500年で、既に実験済みです。漢字・仮名
交じり文にすれば、漢字が実質内容(詞)の部分(=文節の始まり)を、仮名が文法機能
(辞)の部分(=文節の終わり)を分担して表すので、西洋語と違い、分かち書きをする
必要が無いのです。又、漢字は複数音節を1文字で表記しえるので、紙面の節約にも
一役買っています。ですから、9世紀末には既に中国との国交が途絶えたにも関わら
ず、それでも、日本人は漢字を捨てられなかった。カナモジカイの理念が一部の人の
間でとどまり、多くの人には普及しない理由もここに在ります。
■更に、分かち書きの方法も不徹底です。漢字廃止論では漢字の使い分けに要する
学習時間の膨大な量が1つの論点に挙げられますが、仮名書きにする場合は、今度は
分かち書きに関する規則を覚えねばならない、という反作用が有ります。悪名高き
学校文法で学習する「文節」の単位で区切ってはいない、というのは「とゆう」の
部分だけを見ても解ります。「いろいろな」「この」「なかなかの」という連体詞が
被修飾語と一体となるのは、多くの生徒が誤るところからも、一般の日本人の言語
感覚を反映しているものとして、多としますが;「新聞の書評にも」は一体として、
「ごぞんじの かたも」は一体としないのは何故なのか、不明です。一番解らないの
は、「著者は 高島俊男さん」と「著書もおおく」との差。どちらも同じ主語-述語の
関係なのですが、これは普通の言語感覚なら、誰もが分かつはずのところ。なのに、
一方は分かち、他方は分かたない、という原理は那辺に在るのでしょう。(中文好き
のアナタ! ここで「那辺」が「{口那}辺」ではないか、と突っ込まないように!
これは“日本語”で、「那辺」「奈辺」の表記が昔から在ります。)
■次に、「本」。これは日本語だけでの用法です。本来の中国語では「書」ですよね。
昔、印刷技術が無かった時代は、著者が書いた物を「お手本」として書き写してい
ました。ですから、「もとになるもの」の意味で「本」と言ったわけです。厳しい人
は、こういう日本語用法のものまで、「これは日本語読み、即ち訓であるから、漢語
ではない、和語だ」と主張します。ですから、どこで日和るか、が問題となるのです。
■それから、「ごぞんじ」「ずいぶん」「よう」。これは高駒麗人Komaさんの仰るところ
の「漢語詞」ですから、語源別に書き分ける、という書記方針ならば、「御存じ」「随
分」「様」と書かねばならないところです。
■また、「高島俊男」。固有名詞に関しては、誤読の虞も有り、仮名書きすると、普通-
名詞に紛れやすいので、中文のように、下線を引くなどの工夫が必要になるのですが、
語源別に書き分けるという書記方針ならば、この名前は全て和語要素ですから、「たか
しま としお」と書くべきでしょう。
■漢語詞・和語に関しては、最後に、「チューモン」「ヒョーバン」。何か付加的な意味
を持たせたくてこのような表記をしているのだと思われますが、本来は「漢語詞」
ですから、これも漢字で書かれるべきところです。和語の「コトバ」や外来語の
「エール」「エッセイ」もカタカナで書かれていますので、これでは和語・漢語・
外来語の違いが表記上で区別されず、語源という観点からは不徹底ということになり
ます。



猪木ボンバイエの由来―補遺

にれのや (2003/07/13 02:30)

【猪木ボンバイエの由来―補遺】
■なぜ、boma ye (ボマ・イェ) が、「ボンバイエ」 になってしまったか? b は、どこでまぎれ込んだのかという話。
アリの自伝的映画 (主演は当人!) 『アリ・ザ・グレーテスト』 "The Greatest" (1977) の中で使われた曲に "Ali Bombaye I", "Ali Bombaye II" というのがあります。1977年、マイケル・マッサー (Michael Masser) 作曲、マンドリル (Mandrill) 演奏で、同映画のサウンドトラック盤に収録されています。この曲が、いわゆる 「イノキ・ボンバイエ」 として知られている猪木の入場テーマのようです。マッサーの曲をマンドリルというファンクバンドが演奏して、それに、1974年のキンシャサでのタイトルマッチの観衆の喚声をかぶせてあるらしいです。つまり、原曲の題名にすでに余計な b が入っているわけです。
 ここで、あくまで推測ですが、この "Ali Bombaye" の b は、アメリカでは発音されていなかったのではないか、ということです。観客の "Boma ye!" という喚声を引用しつつ、綴りにパンチを効かせるために、"bomb" を引っかけたんではないか、と思うのです。もちろん、英語の bomb の最後の b は発音されませんね。だから、"bombaye" と綴ったものの、リリース側では "bomaye" のつもりだったのではないか……
 あるいは、こうも考えられます。"bomaye" では 「ボメイ」 と読まれるのではないか、とリリース側が懸念したという推測。つまり、英語でよく行なわれる、「外来語の発音を正しく誘導するためのトンチ綴り」 みたいなものではないか、と……
 これを、日本では 「イノキ・ボンバイエ」 にしてしまったんですね。もっとも、リリース当時は 「イノキ・ブンバイエ」 だったようです。
■モハメッド・アリの名前について、妙な発見をしました。アメリカのサイトをいろいろ渉猟してみますと、「モハメッド」 の綴りが一定していないんです。
     Muhammad
     Mohammad
     Mohammed
などなど。なんでだろう?



訂正

高駒麗人Koma (2003/07/13 00:59)

http://www.rxpe.com/
↑「魯」Luは中国では山東省の別名なので山東省の支社名としてはぴったりですね。合弁相手の「栄信」Rongxinはこれでしょうか?
「栄信」と「日栄」は別ですね。失礼しました。



ミックスサラダ 株式会社ニチロ(日魯)

高駒麗人Koma (2003/07/13 00:56)

日本人は英語を発音すると、2音節の children を4音節の chiludoren(トルドレン)にしてしまいますが、children の元が childeren だとするとdとrの間に母音を挟むのは強ち間違いとは言えないかも知れません。

「什錦色拉」shijin sela(ミックスサラダmixed salad?)のメニューで、「紫甘蘭」ziganlanが何だかわからず、検索したらなくえて、「紫甘藍」で検索したら「紫キャベツ、レッドキャベツ」とありました。「小柿子」xiaoshiziは小さい柿でなくてプチトマトpetit tomatoだそうです。shiだけだと「柿」で、トマトは「西紅柿」xihongshiだと思ったのですが意外です。
「芥豊醤」jiafengjiangは「スパイシーソース」spicy sauceでしょうか。
「黒橄欖」heiganlanは「黒オリーブ」でしょうか。検索しても、見つかりません。
「香芹」xiangqinも検索で見当たりませんが「セロリ」でいいでしょうか?

松茸さんへ
http://www.nichiro.co.jp/company_profile/comp02.html
「株式会社ニチロ」ですね。山東Shandong省の日照Rizhao地区に「日照日魯栄信有限会社」を設立したそうです。「日魯」「日露」は「日本とロシア」ですが、中国にはNISSIN(日清)社もあります。
http://www.rxpe.com/
http://www.rirong.com/
↑「魯」Luは中国では山東省の別名なので山東省の支社名としてはぴったりですね。合弁相手の「栄信」Rongxinはこれでしょうか?

>"The Naming of Russia"
http://www.hf.uio.no/east/Medd/PDF/Medd77.pdf
このサイトはクリックしても開けません。後程再チャレンジしてみます。



こ・ども・たち

高駒麗人Koma (2003/07/13 00:03)

http://www.yourdictionary.com/library/chicks.html
English Words "Child" and "Children"
Stage I child (sg) child-er (pl)
Stage II child (sg) child-er-en (pl)

http://100.1911encyclopedia.org/C/CH/CHILD.htm
the plural in A.S. was cild, and later cildru, which in northern M.E. became childre or childer, a form dialectically extant, and in southern English childeren or children

Japanese Words for "Child" and "Children"
Stage I ko (sg) ko-domo (pl)
Stage II kodomo (sg) kodomo-tachi (pl)

http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/WoDEtymology.htm
チャイルダアChilder (Vampire):
child の古風な複数形。children と同じ意味。

らにいさんの問題提起により小生も調べてみました。よくわかりませんが、childの複数としてchilderがあって、これに更にenをつけてchilderen>childrenにした物でしょうか。-enも複数語尾ならこれは日本語の「こ・ども・たち」のような二重複数形になります。「こ(子)」が単数で「こども(子供)」は複数なのに、これが単数の意味になって、さらに「たち」をつけて「こどもたち(子供達)」にするような。(金田一春彦氏はNHK「日本語再発見」で、複数の「〜たち」に「達」を使うのはよろしくないと言っていました。)
朝鮮語で、「私」が 나naまたは 저jeoで、「我等」は 우리uri ですが、우리들urideulという表現もあり、들deulが「〜たち」なので「我等達」という二重複数になります。
우리uri と 우리들urideul の違いがわかりません。
「我們」women と「[口自]們」zanmen みたいな物でしょうか?



おそくなりました

松茸 (2003/07/12 20:55)

-> m.A.N.iac C. さま:

 『通航一覧』の件、ご教示ありがとうございます。「沙爾馬斉亜」は“サルマティア”と同定してよさそうですね。
 なお、「面白そうな話題」の件ですが、以下のような〈近世ポーランドにおける「サルマティア」の観念〉です:
http://www.matsuzakaya.co.jp/museum/2001/davinci.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/9582/kanran020208.htm
http://gort.ucsd.edu/newjour/s/msg02397.html
 日本のロシア情報には、例のペニョフスキ(厳密にはポーランド人ではないようですが)などが関与しているので、そっち方面かな? と思ったのですが、当時の西欧の一般的な古典趣味の範囲内のようですね。空振りでした。(^^;

-> 高駒麗人Komaさま:
 ずばり「日魯漁業」という企業がありました:
http://www.nichiro.co.jp/company_profile/comp02.html
 「魯」には〈愚か〉の意味があり、異民族に対する蔑視をこめた表記と思われますので、使われなくなったのは自然でしょう。

* “ロシア”の命名および各種異称についての論文を発見しました:
 "The Naming of Russia"
http://www.hf.uio.no/east/Medd/PDF/Medd77.pdf



『children』

らにい (2003/07/12 19:11)

「child」の複数形は「children」ということはご存知の通りですが、なぜ「childs」等にならずに「children」になるのでしょうか?
検索してもなかなかいい答えがなかったものですから、大変単純で稚拙な質問ですが、もしお知りでしたらお願い致します。

P.S. 魚の「オコゼ」の語源は「醜い姿」を意味する古語からきているといわれています。関係なくてスイマセンm(_ _)m



disk disc

高駒麗人Koma (2003/07/12 04:40)

フランス語のhorsd'œuvre[эrdφ:vr](φは無音記号に使いたいのでdœ:vrと書きたい)は英語で
[э:dз:vr(з)](зは曖昧母音)
になります。rの前後に母音がないのは多くの英語母語話者には発音しづらいのでしょう。

hord'œuvreと書きましたが、現行のつづりはhorsd'œuvreのようです。
しかし言い訳のようですが発音にないsを書くフランス語の綴りは覚えにくい。
ordœvrまたは ordövrで充分です。

現代スペイン語の llはIPAでどうして「yの逆さ」なのか不思議です。λでいいと思います。

disc:レコード、音盤、音声を記録しておく丸い形状のもの
disk:圓盤(deskの言葉の起こり)、圓盤のように見える表面
IBMがDISKでSeagateはDISC
disk=圓盤、disc=<英>(=disk)。 discは英国式綴りみたい。.
discoではcを使いますね。

compact disk(disc)のことを「レコード」と言うのは篩化も知れんが本来「音を記録recordぢてある物」なんだから、CD店を「レコード屋」と言ってもいい筈。
CDだとcash dispenser(現金自動預け拂い機)なのかChristian Diorなのかわかりません。
韓国では“disk”とは「椎間板ヘルニア」の事だそうです。

http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/data/d/d267.htm
「ディスク. 圓盤型のものの総称。DiscまたはDiskと表記する。ラテン語のDiscus、ギリシャ語のDiskos、フランス語でDisque、ドイツ語でder Diskusまたはdas Diskという。英語的にはDisk が一般的とされている。しかし、CDやCD-ROMではDisc ... 」



猪木ボンバイエの由来

にれのや (2003/07/12 00:23)

【猪木ボンバイエの由来】
■「猪木ボンバイエ」 の 「ボンバイエ」 の起源が判明しました。
 1974年10月30日、ザイールの首都キンシャサで、世界へヴィ級タイトルマッチ、「ジョージ・フォアマン対モハメッド・アリ」 戦が行なわれました。なぜ、こんなところでボクシングのタイトルマッチが行なわれたかというと、プロモーターのドン・キングが、悪名高いザイールのモブツ大統領に1000万円のファイト・マネーで、この試合を売り込んだからです。モブツ大統領は、みずからの売名行為のために、国家予算でこの試合を買い取ったのでありました。
 当時、モハメッド・アリは、ベトナム戦争への徴兵忌避、ブラック・ムスリムへの改宗を始めとして、アメリカの黒人の地位向上のために白人社会と戦っていました。そのため、ザイールの一般市民はモハメッド・アリを熱狂的に支持していました。彼が入場してくるやいなや、会場の6万人(ということなのだが)ザイール人は、いっせいに "Ali, boma ye" と連呼を始めたということです。
 もとベルギー領だったザイール、現在のコンゴ民主共和国(ムルアカ氏の故国ですね)の首都キンシャサ、そこの言語は、国内5大言語のうちの一つ 「リンガラ語」 (Lingala) です。リンガラ語については、くわしい文法をネット上で知ることができます。↓
http://home.intercity.or.jp/users/JAKI/1congo/13congo_lingala/131lingala_intr.html
これによれば、リンガラ語の動詞 「殺す」 の不定形は koboma です。リンガラ語では、動詞の不定形の語頭の ko- を取ると、命令形になります。つまり、
     koboma (殺す) → boma (殺せ)
そして、代名詞の三人称単数は ye で、主格と目的格が同形だということです。つまり、
     Boma ye! = Kill him (or her)!
ということになります。つまり、キンシャサの観衆は、アリに 「フォアマンを殺しちまえ!」 と叫んでいたわけです。

 いっぽう、1976年、日本で異種格闘技戦 「モハメッド・アリ対アントニオ猪木」 が行なわれました。そのときの猪木のファイトに感動したアリが、友情の証として、自分の入場テーマであり、アリの自伝的映画 「アリ・ザ・グレーテスト」 のテーマ曲でもある 「アリ・ボマイエ」 を猪木に贈りました。翌年、この曲は 「イノキ・ボンバイエ」 としてリリースされます。ここから、「ボンバイエ」 というコトバが日本で一人歩きを始めた、というのが、顛末でありました。
 まずは、一席の終わり。わたしじしん確認しましたが、猪木ボンバイエの由来をちゃんと検証したページは1つもありませんでした。



えうろぱ 訂正

Koma高句麗人 (2003/07/12 00:22)

訂正
Aleksandr Solzhenitsynの名は英語ではAlexander…になるようですし。
Dnepr川も英語ではDnieperです。

>みな魯西亜乃轉訛なるよし、“魯西亜志”に見えたり。又“邊要分界圖考”には
魯西亞と載せ、或は俄羅斯と載する書あり。

昔は「日露」の他に「日魯」という表記もあったわけですね。今の日本のメディアで「日ロ」と書いてあると「ひぐち」と読みたくなります。確か「サンデーモーニング」で関口宏が「昔は『日露』だったのに今何で『日ロ』?」というような事をちらりと言っていたと私は記憶していますが如何でしょう。 「俄羅斯」という漢字表記は現代中国でも御馴染みです。日本でも使われていたのでしょうか。

以前、アジア系アメリカ人と韓国人が非常に下らない疑問を話していました。
「英語と中国語では北の言葉が良くて南が訛っているのに何故韓国(朝鮮半島)では南が良くて北の言葉が良くないのか」という物です。私は「北朝鮮の人は自分たちの言葉が標準だと思っている」と注意をしておきました。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%ca%d5%cd%d7%ca%ac%b3%a6%bf%de%b9%cd&hc=0&hs=0



えうろぱ

Koma高句麗人 (2003/07/12 00:07)

日本語の「ヨーロッパ」はなぜ「ヨー」で始まるか。
おそらく西班牙語か葡萄牙語でEuropaのような語のEuが「エウ」だったのを、室町〜江戸時代の日本人が「えうろっぱ」として取り入れ、この当時は「今日」は「けふ」と書いて「けう」keu、「蝶」は「てふ」と書いて「てう」teuだったのが、直後に母音融合が起きて「エウロッパ」>「ヨーロッパ」という発音になったのでしょう。
木星の衛星EUROPAは日本語で「エウロパ」Europa、“The Final Countdown”のロックバンドのEUROPEは日本で「ヨーロッパ」Yoroppaと紹介されました。
http://jvsc.jst.go.jp/universe/et/

以前、同僚の中国人が中文を日本語に訳した時、何度直しても「ユーロッパ」と書いてきましたが、何だか「ユーロッパ」でも良さそうな気がしてきました。
Sina語ではEuropeは「欧州」Ouzhou、Eurasiaは「欧亜」Ouya、Euroは「欧元」Ouyuanですから。
木星の第2衛星EuropaはSina語で「欧羅巴」Ouluobaですが、普通は番号で「木衛ニ」Muwei'Erと呼ぶようです。

Yahoo CHINA(雅虎中国)を見たら「Europe欧州合唱団 The Final Countdown 倒数計時」という文を見かけました。「欧州合唱団」Ouzhou Hechangtuanだと大勢の子供が讃美歌でも歌っていそうでMetal Bandとは程遠いimageでがす。

Englandでも西部ではcentre等のrを発音し、USでも南部ではcenter等のrを発音しないようです。フランス語のcentreではrが音節主音となるが、英語ではrが巻舌半母音になったため、rが音節主音となると必然的に巻舌母音となりcentreは/sentr/、carのrを省く方言では/sentr/のrが平舌曖昧母音になるという事でしょう。
フランス語のhord'œuvre[эrdφ:vr](φは無音記号に使いたいのでdœ:vrと書きたい)は英語で
[э:dз:vr(з)](зは曖昧母音)
になります。rの前後に母音がないのは多くの英語母語話者には発音しづらいのでしょう。
Alexandre Dumasの名Alexandreは英語では、Alexanderと同じように発音されるのでしょう。
Aleksandr Slzhenitsynの名は英語ではAlexander…になるようですし。
Dnepr川も英語ではDnieperです。

中国で子供向けらしい英語教育のテープがあるようでラップ形式で
「秋天(Qiutian)、秋天、autumn、冬天(Dongtian)、冬天、winter」と言っています。Fallでなくautumnを使うように中国では英国用法が教えられていますが、テープを聴くとこれを吹き込んだ中国人(女性の声)はwinterの最後をアメリカ式に巻舌母音にしていました。
中国北方人にはAmerica発音の邦画学びやすく、中国南方人にはBritishの発音が学びやすいのでしょう。



res: 「サルミシヤ」

m.A.N.iac C. (2003/07/11 23:19)

->松茸さま
「サルミシヤ」の出典は林い著『通航一覧』です:魯西亜国名往古は沙爾馬斉亜と称し、
千余年前開国の祖王ロシス其名を以国名となし、土俗はロスランドまたレウスランドと
称す。みな魯西亜乃転訛なるよし、“魯西亜志”に見えたり。又“辺要分界図考”には
魯西亜と載せ、或は俄羅斯と載する書あり。
と有ります。「面白そうな話題」、宜しくお願い申し上げます。
(人名の「い」がまづかったのでは。)



おろしや

Koma高句麗人 (2003/07/11 23:10)

U+3002さん
>最近、UNで食品のラベルにフランス語(と言うか英語以外の言葉)を表示するのを禁止したそうです。UN (United Nations) はそんなことをしないと思う(笑)UK (United Kingdom) かUS (United States) の間違いですかね。
失礼しました。EUの委員会の決定のようです。食品のラベルの表示で英語を使うように決めたようですが、勿論フランスでは大反撥。QuebecやMoroccoやMadagascarではどうするつもり?
EUは欧州以外の事は考えていなかったようです。
この記事を見たときは目を疑いました。英語の料理用語には、cuisineだのshashlickだのshish kebab、table d'hote、 Schnitzel、Pescatore、Borsch、Teppanyaki、bok choy、chef等の非英語語彙が並んでおり、「フランス語」表示と「フランス語から取り入れた単語の英語」表示を区別するのは不可能。フィレ肉filetとflletは両方とも英和辞典に載っているし、フランス語の料理用語辞書にも両方載っているという節操の無さ。
Howard氏が言うように英語からFRANCE語語彙を追放するのは日本語から漢字(というか漢語詞)を追放する位難しいでしょう。
日本や中国で作られている製品(MOやPrinter、電卓、髭剃り、菓子、飲み物)のPackageや使用説明書では英語、ドイツ語、フランス語、Thai語、朝鮮語、簡体中文、繁体中文、日本語、アラビア語、スペイン語等盛りだくさん。
青島大学の留学生用説明書は英語版、中文版、ドイツ語版、フランス語版等があり、大連フラマホテルではロシア語の中国案内書がありました。

ManiacCさんへ
>発音上は、仏語[sα~tχ]→米語[sεnt@r]→英語[sent@]という変化です。
詳しいご説明どうも。
アメリカ英語の「音節の終りのrを発音する」特徴は、17〜18世紀頃のイングランドの発音が起源でしょうか。イングランド西部方言では今のGeneral American同様、centerのrを巻き舌半母音で発音します。(「ぼいん」と打って変換するとまず「拇印」が出るから腹が立つなあ)
豪州英語の起源はロンドンのCokneyでしょう。
発音上は、FRANCE語[sα~tχ]→17−18cEngland語[sεnt@r]→今のEngland語(London等西部)[sent@]という変化。

>(θはソーンの代用)。
ソーンとは昔の英語でthを現した♭みたい(みた様な)な文字ですか。

「モンゴル語では本来rは語頭に立たないのでモンゴル人はロシアをOrosと呼び、ロシア国内のモンゴル系ブリヤートBuryat人もロシアをOrodと呼んでいる。日本人も昔はオロシヤと呼んでいた」という話を呼んだことがあります。
日本人がロシアをオロシヤにしたのは蒙古とは事情が違うのでしょうか。ハルビン師範大学の某先生は、「ロシア語のRossiyaは中国人が聴くと前に母音がついているように聞こえるので『俄羅斯』Eluosiと呼ぶようになった」と説明していました。
昔、あるロシア人がRossiyaを発音あいたとき、発声を初めてから舌先が歯茎を叩き始めるまでの短い間を日本人が母音「オ」として聞き取ったのでしょーか?

辻本裕幸さん
>日本語のオウはいつの時代まで文字通り【ou】と発音されていたのですか?
「太夫」は
taiΦu(タイフ)>taiwu=taiu(タイウ)>taju:(タユー)
と変化しました。母音融合はハ行子音Φが語中でwに変わった後でしょう。
戦国〜安土桃山時代に葡萄牙の宣教師が作った辞書では日本語の「羽」「葉」「派」がFaになっとります。今の日本語ではEurasia>Yurasia(ユーラシア)、Euro>Yuro(ユーロ)のようにEUをYuにしますが、Europe>Yoroppa(ヨーロッパ)ではYoです。
「けふ(今日)」keΦu>keu>kjo:
「てふ(蝶)」(唐代漢語dep>)teΦu>teu>tjo:>t∫o:
のように「フ」が「ウ」になってから「エウ」が「ヨー」になりました。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/tenkoon.htm

Φは江戸時代初期以前には存在し、それ以降は語頭でhになりました。
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/nihongo/kanji.htm
>日本語のハ行音の子音は現在では「h」だが、江戸時代初期以前は「f」だった。

すると母音の融合は安土桃山〜江戸時代でしょう。



「サルミシヤ」

松茸 (2003/07/11 22:40)

-> m.A.N.iac C. さま:
 古典古代の民族名"sauromatai"に由来する"サルマティア"に相当する語ではないでしょうか?
 これに関して面白そうな話題を検索しましたが、とりあえず確認のため、出典についてご教示願います。



挙げ足とり

U+3002 (2003/07/11 15:20)

高駒麗人Komaさん
>最近、UNで食品のラベルにフランス語(と言うか英語以外の言葉)を表示するのを禁止したそうです。

UN (United Nations) はそんなことをしないと思う(笑)

UK (United Kingdom) かUS (United States) の間違いですかね。



res: bouillon bota~o Turquoise土耳其石

m.A.N.iac C. (2003/07/11 04:48)

>高駒麗人Komaさん
centre>centerは表記上、rが前後の母音と位置を交換したわけで、patriot(愛国者)&paternity(父性)、alma mater(母性)&maternity(母性)、San Pietro&St.Peter、hros>hors(>horse)みたいな物と考えれば別に変ではありません。
→歴史的に異なるものが1つ所に入れられています。
■英綴りcentreと米綴りcenter
本途は‘r’の逆さになった発音記号なのですが、それを[@r]と表すことにします。
発音上は、仏語[sα~tχ]→米語[sεnt@r]→英語[sent@]という変化です。仏語の-re
[χ]<[R@]を、古い発音を残す米語では[@r]と発音し、他の[@r]と発音する単語と
同一の綴りにして-erと綴ります。それに対し、英語では母音が後続しない場合は
‘r’は発音しませんので、例えばare[α:]のように、-reという綴りは、日本語の
長音符に近い綴りであるはずなのですが、-treの場合に限って[t@]の発音になる
みたいです(今は他の例が思いつかないのですが、massangeanaさんから突っ込みが
入りそうな予感…)。Peterも中英語時代はPetreでした。
■patriotとpaternity
こちらは印欧祖語にまで遡るのですが、アプラウト(母音交替)の所謂「ゼロ階梯」と
いう現象です。印欧祖語では、アクセントの有無で母音が変化しました。強アクセン
トの有る場合は、「正常階梯」のeや「延長階梯」のe¯が、弱アクセントの有る場合は
oが、そしてアクセントの無い場合はゼロ母音になる、というものです。独逸語の
seinがist<est=語幹es-+3人称単数語尾-tと、sind=語幹’s-+3人称複数語尾
-ndから成っているのがその例です。仏語でも、e^treがestとsontになっていて、
単数と複数とで、語幹が「正常階梯」のes-と「ゼロ階梯」のs-になっていることが
お解りいただけるでしょう。
■hrosとhors
こちらは、ゲルマン語によく見られる、母音とrとの「音位転換」という現象です。
現代英語にも目に見える形で残っているのは、独立形threeと被覆形thir- や、
through<θruhとthorough<θurhぐらいでしょうか(θはソーンの代用)。

> bouillonのlを発音したりしなかったりするのは、CastellanoやDe Cuellarを「カステリャーノ」「デクエリャル」と呼ぶか「カステヤーノ」「デクエヤル」にするかという問題と似ていますね。
→同様な外来語で私が気になるのは「リャマ(llama)」、「リャノ (llano)」、そして
「パエーリャ(paella)」。日本語では「リヤ」と「ヤ」が大文字になったりするし、
本家本元のマドリーッ辺りでは擦音化して「ジャ」になるのに、などと思ったりする
ので。

>漢語詞だけを漢字で現し、和語を全てカナ書きした文
→これ、相当難しいです。突き詰めてゆくと、和語か漢語か不明な語が出てきてしま
うし、例えば助動詞の「〜みたい」は実は「見た様な」から来ていますから、試みに
和語を平仮名、漢語をカタカナで表記すると、「みたイな」となってしまい、非道く
みにくい表記になります。もし「みた様な」と書くと、「みたサマな」と誤読された
り、「みたヨウな」と現実の言葉から乖離した読み方をされてしまい、どこら辺で
日和るか、が重要な問題になってきます。

>日本人は語頭でrを発音するのが苦手なので
→これはウソだと思います。中国語を輸入して既に1千年紀以上経過しているのです。
国語辞典のサムネイルを見れば解ると思いますが、ラ行の項目数はナ行やヤ行の項目
数より多いのです。「rを発音するのが苦手」で母音を付けるのなら、nやyを発音
するときにも母音を付けなくてはならなくなると思いますが、如何でしょう。

>私は、「ロシヤ」はロシア語の自称“Rossiya”からで、「ロシア」は英語でロシアを呼ぶ名“Russia”からだと思っていました。
→耳から入ったらロシヤ語は「ルラスィーヤ」と聞こえ、英語は「ラッシャ」と
聞こえると思うのですが; 文献的には、ロシヤ語から来たと覚しい「オロス」「オロ
シャ」「ロシヤ」、蘭語から来たと覚しい「リュスランド」「ロスランド」「レウスラ
ンド」、私には語源不明な「サルミシヤ」、そして英語を目から見たと覚しい「ルシヤ」
が手許には有るのみです。

>「トルコ」はポルトガル語Turcoからでしょうか?
→新井白石の『西洋紀聞』には「トルカ イタリアの語にトルコといひ、他邦にはツル
コといふ」と有るようです。伊語では国はTurchia「トゥルキーア」ですが、人はturco/
turcaです。スペイン語・ポルトガル語も綴りは違いますが、こんな感じですね。交流の
無かった伊語が日本語に入るとは考えられませんので、仰るとおり葡語が語源でしょう。

> Turquoiseは…「テュルコワス」とは読まないのでしょうか?
→仏語では「チュルクワーズ」と読むようです(但し語頭は小文字)。

>disk
→私にはdiscの綴りの方が馴染み深いのですがdiskの方でしたか。



日本語における u→i の変化、は、なぜ?

にれのや (2003/07/11 00:09)

■日本語の音変化にくわしい方々に質問。

【-ug- → -ig- 系】
うごく→いごく
ゆがむ→いがむ
うぐち→いぐち

【-uk- → -ik-】
ゆく→いく

【その他】
うお→いお

上に示したような、文語から口語への音変化(でいいのかな)に、何か共通点があるような気がしているのですが、どうもわかりません。このような変化の起こる理由と、他の例をごぞんじでしたら、お教えを。



Jeanneke について

にれのや (2003/07/11 00:08)

■Maniac.C どの。
なるほど、Jeannette の 「翻訳」 ですね。それは、納得のゆく推理ですね。
これとは別に、Johannes から派生した、オランダ語圏の男子名・女子名のリストをざっと眺めてみて、おもしろい事実に気が付きました。
 Jean- に始まる語形を持つ地方が、1ヶ所だけあるのです。それが何と
       フリースランド
なんです。もちろん、Jean- という形態素がフランス語起源とは必ずしも言えませんが、フランスから離れた地方に、Jean- に始まる名前がたくさんある、というのが不思議です。
 もっとも、フリースランドには、Jeanneke という語形はないようです。しかし、女子名で Jeanke という語形はありました。

■商売人の縁起かつぎのコトバを、またいくつか思いつきました。
     ヒゲをする→ヒゲをあたる
     すずりばこ→あたりばこ



Re: オウについて

U+3002 (2003/07/10 16:11)

辻本裕幸さん
>日本語のオウはいつの時代まで文字通り【ou】と発音されていたのですか?

この種の現象は「連続母音の融合」と呼ばれ、室町時代末期から江戸時代初期にかけて起こりました。

まず、室町時代に、次の変化が起こりました:
[au]>[O:], [ou]>[o:], [eU]>[jo:]
(この時点では、広い[O(Ɔ)]と狭い[o]の区別がありました)

次に、江戸時代に、次の変化が起こりました:
[O:]>[o:], [ei]>[e:], [ai]>[e:], [oi]>[e:]
([ai]>[e:], [oi]>[e:]の変化は標準語には取り入れられませんでした)



オウについて

辻本裕幸 (2003/07/10 15:31)

日本語のオウはいつの時代まで文字通り【ou】と発音されていたのですか?私の勘ですが、多分日本語でも昔はオウは【ou】と発音されていて、【o:】と発音するオオと区別されていたと思う。というのは、漢語中古音ng鼻音尾−ngは旧仮名遣いのアウ【au】にも対応している。ということは同時期のオウも【ou】だったのではないか?と推測できる。エイも、昔は文字通り【ei】と発音されていたが、段々、口を動かすのがめんどくさくなって、【e:】になっちゃった。同様に、オウも段々唇を丸めるのがめんどくさくなってきて【o:】に、なっちゃったと思うのですが、そうでしょうか?



続・小便花子

m.A.N.iac C. (2003/07/10 07:34)

>にれのや師匠
>「Jeanneke は、ベルギー・オランダ語圏で、ごく普通に使われている女性の名前です」。おそらく、フランス女子名の Jeanne に、オランダ語の愛称語尾 -ke をつけたものだと思います。
→『オランダ語誌』を読み返していたら、p.28に次のような記述が在るのを発見し
ました: …オランダ語で大変しばしば用いられる指小辞の特有な形も南部方言である。
南部では名詞に –(p/t)je を加えるよりも huiske 「(小さな)家」、boomke「(小さな)
木」、slokske「少量の、一口の」のように、-(s)ke の方を使いがちである。…
(引用者註: 広義の「南オランダ語」には、フランドル語、ベルギーのブラバント語、
リムブルフ語を含む、との説明が直前に在り。)
 つまり、フランス語の女子名 Jeannette に付いているフランス語の指小辞–ette の
代わりに(部分訳して)、オランダ語南部方言(≒ベルギー語)の指小辞 -ke を付けた
もの、らしいです。
 標準オランダ語の指小辞 –je は、英語の愛称的指小辞 –ie, -y に相当し、これは
古仏語 –i, -e に由来するのではないかとされています。
 何故か、フランス語の影響の強いはずの南部でゲルマン系が古語として残り、フラ
ンス語の影響を南部ほどは強く受けていないはずの北部でフランス語形の語彙に替わ
られて逆転しているというのは、歴史の皮肉というか、不思議なものです。

>「ジャネケ or ヤネケ」 か?
→語中の -ea- という辺りがフランス語の綴りのままですので、発音もフランス語の
まま、「ジャネケ」だと思うのですが、私も確証は有りません。多分、強勢も第2音節
に有ると思われます。
 ちなみに manneken の方ですが、標準オランダ語では「nを落とす」のが普通の
習慣である、普通の滑らかな口調のときは発音されない、とも同書p.93に在ります。
確かに、オランダ語辞典を見ると発音記号も、[-(n)]と書かれています。これを忘れ
ていました。古い発音が残っている南部では実際にはどうかわかりませんが、多分、
「マネケ」に近く発音されていると思います。

>【マネキンの語源】
>フランス語の 「マヌカン」 は、「客を招かん」 に通ずるので、 「招金」 に通ずる 「マネキン」 に名前を変えた、という説がほうぼうに見られますが、どうでしょうか?
→済みません。そこまでは存じず、失礼いたしました。では「マネキン・ガール」は、
仏語+英語の和製混成語、ということになるのですね(仏語だったら“jeune fille au
mannequin”?)。発音や語構成からして「絶対英語だ!」と思い込んでいたのですが。

高駒麗人Komaさんへのお返事はまた今晩にでも。



訂正&返事 Елена/Yelena/

高駒麗人Koma (2003/07/10 04:59)

十年近く前、
Chinaに留学して娜(いたЕлена/Yelena/という女性は
→ Chinaに留学していたЕлена/Yelena/という女性は
Sina語で「叶蓮娜」Yeliannaと呼ばれていましたが、彼女は友人である英国人の男性からHelenと呼ばれていました。

にれのやさんへ
Heleneのhはギリシャ語の段階で脱落していたわけですか。フランス語のbouillonは、発音されているのを取り入れたわけですね。詳しいご説明ありがとうございます。



おろしや 光ディスク

高駒麗人Koma (2003/07/10 02:09)

にれのやさん、詳しいご説明、感謝します。
Ochen' sposibo.Merci.
フランス語のll[λ]をロシア語でльにしている理由がよくわかりました。
湿音(しつおん)の l という表現は始めて知りました。

昔、大河ドラマ「翔ぶが如く」で島津成昭
書いている途中で「投稿」してしまいました。

昔、大河ドラマ「翔ぶが如く」で島津斉彬(加山雄三)が地球儀を指差しながら「清国は…、朝鮮国は…」と言って、西郷隆盛(西田敏行)に世界の国々を説明したシーンがありました。
斉彬はロシアを指差して「これが、おろしやじゃ」と言っていましたが、私には「おーろしや」に聞こえ「大ロシア」かと思いました。後に「おろしや國醉夢譚」の映画を見て、「おろしや」が「ロシア」だと気づきました。

ロシア帝国では上流階級は皆、おふらんす語を喋って、おろしや語を話さなかったのに、ドイツからきたエカテリーナ(イェカチェリーナ)は、おろしや人よりも奇麗なおろしや語を話したそうです。
最近、UNで食品のラベルにフランス語(と言うか英語以外の言葉)を表示するのを禁止したそうです。日本のSONYが作っているComputer用の光diskの注意書きでは「使用上のご注意 この光ディスクカートリッジは…」が英語、フランス語、ドイツ語で書かれています。フランス人やドイツ人でも英語を理解できない人が多いからでしょう。SONYもなかなか親切です。
(PRECAUTIONS Avoid using this optical disk cartridge …)、(PRECAUTIONS Eviter d'utiliser cettle cartlouche de disque optique dans…)、(VORSICHTSMASSNAHMEN Die optische Disk-Cassette nicht an Orten mit hohen Tempera…)

Write protect tipe、Ergot de protection d'ecriture、Schreibschutzzunge、ライトプロテクトタイプ
ecripture,script,Schreib-は同系でしょう。

Writing possible、Ecuriture possible、Schreiben möglich、記録可
Writing impossible、Ecuriture impossible、Schreiben nicht möglich、記録不可
(SONY MAGNETO OPTICAL DISK PROOF OF PURCHASE)

商品のパックや説明書は捨てずにとっておくと便利です。

http://www.sony.net/Products/DataMedia/index.html

「今までの伝言板」2003/03、04、05、06はまだですか?待ち遠しいです。



ヘレネーからエレーナへ

にれのや (2003/07/10 01:37)

【ヘレネーからイェリェーナへ】
Koma さんへ。古典ギリシャ語の神名
     ‘Ελ{ε+´}νη helene: ヘレネー
が、現代ロシア女子名で
     Елена    yelyena エレーナ
になる際に、h が落ちて、y になったわけではありません。
 ギリシャ語では、psilosis といって、古典時代からイオーニア方言などでは、語頭の h を落とす発音がありました。ヘーロドトスのギリシャ語はこれらしいですから、ことによると 「エーロドトス」 だったかもしれません。コイネー(アッティカ方言、すなわち、アテーナイの方言を基礎としたギリシャ世界の 「普通話」) の時代に入って、語頭の h の脱落は漸進的に広がり、ビザンチン帝国後期には、「もっとも教養のある階級の人々」 でさえ、語頭の h を落としていたということです。
 ロシアがビザンチンからギリシャ正教を取り入れたときには、ギリシャ語の語頭の h はすでに脱落していました。つまり、Helene: は [e'leni] (エレニ) のごとく発音されていたのです。ロシア人は、語幹の Helen- を Елен- [e'len-] と転写し、曲用語尾の η を、ロシア語の変化語尾の -а に置き換え、Елена という名前を作りました。ただし、この時点での発音は [e'lena] (エレーナ) でした。
 こののち、ロシア語では、[je] 音と [e] 音の合流が始り、すべて軟音の [je] に統一されてゆきます。そのため、Елена は、[ィエ'りぇーナ] という発音になってしまったわけです。



五段と一段

高駒麗人Koma (2003/07/10 01:33)

「五段活用と一段活用を日本人がどう区別しているか」
日本人は一般的に「はいる」>「はいらない」(る>らない)、「たべる」>「たべない」(る>ない)という活用を習慣で覚えているので五段と一段の区別は意識していません。
日本の国語教師やプロの日本語教師は五段、一段、自動詞、他動詞の分類で日本語を外国人に教えます。しかしそれ以外の、大多数の日本人が中国人に日本語を教えるときは、ただ「はいらない」「たべない」という用法を教えるだけです。中国人が日本語を話すと「部屋に入らない」を「部屋に入るない」或いは「へやに、はいない」と言ったり、「食べるない」「食べらない」と言ったりします。こういう場合、プロの日本語きょうしではない素人の日本人は「『食べらない』じゃなくて『食べない』!」という訂正をするだけで、「『入る』はラ行五段なので『入らない』」「『食べる』は一段なので『食べない』になる」という説明はしません。
あと、中国人がよく間違うのが時制、自動詞と他動詞の区別で「昨日、皆で食事する時、楽しいです」と言ったり、「友達にメールを流れました」「金具を折れないで」「これを引き出しに入ってください」等といいます。
多くの日本人は何処が可笑しいか説明できません。
中国人が教科書の「入る」「入れる」「流れる」といった動詞を指差して「これは五段動詞ですか、一段動詞ですか」「自動詞ですか他動詞ですか」と日本人に質問する時、聞かれた日本人が「わかりません」と言い、中国人が驚いて「貴方は日本人なのに日本語の事、わからないんですか」と言う…こういう事はよくあります。

食べtabe+あないanai>食べ・あないtabeanai>食べないtabenai
読むYomu+あないanai>読む・あないyomuanai>読まないyomanai

このように動詞の否定語尾をanaiにして、母音連続による省略とする説明は日本語教育の現場でやっているようです。日本語教育関係の会社のパンフレット(pamphlet、brochure)にのっていた授業風景教室の写真の黒板に書いてありました。
一方、こういう解釈もありえます。
一段は母音語幹で、肯定の終止連帯形語尾はruであり、否定はnaiが直接つき、一方、五段は子音語幹で、肯定語尾は語幹末子音にuがつき、否定は語幹末子音と否定語尾naiの間に母音-a-が挿入される。
母音語幹
tabe+ru>食べるtaberu(語幹はtabeで、肯定語尾ru)
食べtabe+ないanai>食べないtabenai(語幹oki、否定語尾nai)

oki+ru>起きるokiru(語幹はokiで、肯定語尾ru)
起きoki+ないnai>起きないokinai(語幹oki、否定語尾nai)

子音語幹
yom+u>読むyomu(語幹はyomで肯定語尾u)
Yom+あa+ないnai>読まない yom-a-nai(語幹yom、中間母音a、否定語尾nai)

中国人が「飲むない?」と言うのを聞きましたがこれは
nom-a-nai を nom-u-nai にしたからです。この中間母音は非常に難しい。

生きる iki-ru、生きないiki-nai、生きれば iki-reba、生きよう iki-yo:
(母音語幹につく語尾、ru、nai、reba、yo:)
行く ik-u、行かない ik-a-nai、行けば ik-e-ba、行こう ik-o:
(子音語幹につく語尾、u、-a-nai、-e-ba、-o:)
来る k-u-ru、来ない k-o-nai、来れば k-u-reba、来よう k-o-yo:

「来る」は子音kだけが語幹の「カ行変革活用」で、中間母音もカ行五段と違います。
「行かない」ik-a-nai に対して「来(コ)ない」k-o-nai
私も、ほかの多くの日本人も、「来れば(クレバ)」を「キレバ」、「コレバ」と言ったり、「来よう(キヨー)」を「コヨー」と言ったりします。日本語を学んでいる外国人はなおさらです。

「話す」はサ行五段なので否定は「話さない」であって「話しない(はなしない)」ではない。
中国人は「はなしない」と言ってしまう可能性が高い。「話しない」であれば「はなし・しない」であり、「話す」の連用形が名詞化した「話(はなし)」にサ変動詞「する」の否定「しない」をつけた物。「話をしない」の「を」の省略。
私は日本語を学んでいる中国人に「〜する」は「サ変動詞」だと教えてそう書いたら、かれは「貴方は学校の先生をやったことがあるでしょ」と言ってきて、日本人の知人が私の書いた「サ変動詞」という字を見たら理解できず頭を抱え、中国人女性が「『話す』等はサ行五段で『する』はサ変」だと教えていました。日本人より中国人の方が日本語に詳しい。



ブイヨンが бульон になる理由、ほか

にれのや (2003/07/10 01:13)

【Jeanneke Pis】
Maniac.C 氏の言うとおり、Jeanneke Pis が正当です。うっかりして気が付きませんでした。「Jeanneke は、ベルギー・オランダ語圏で、ごく普通に使われている女性の名前です」。おそらく、フランス女子名の Jeanne に、オランダ語の愛称語尾 -ke をつけたものだと思います。ただ、発音はちょっとわかりませんね。「ジャヌケ? ジャネケ? ヤネケ? イェアネケ?」 はて? でも、Manneken と韻を踏んでいるわけですから、「ジャネケ or ヤネケ」 か?

【マネキンの語源】
日本で、人形のマネキンが初めて作られたのは、大正14年(1925)のことだそうですね。人間のマネキン (show girl, lay figure) が、初めて登場したのが昭和3年(1928)だそうで。高島屋呉服店が上野公園で開催されていた 「大礼記念 国産振興 東京 博覧会」 で日本発の 「マネキン・ガール」 を使ったのだそうです。この際に、フランス語の 「マヌカン」 は、「客を招かん」 に通ずるので、 「招金」 に通ずる 「マネキン」 に名前を変えた、という説がほうぼうに見られますが、どうでしょうか?
 商売人は、この手の言い換えをよくやりますね。「あしはら」→「よしわら」、「すりばち」→「あたりばち」、「するめ」→「あたりめ」、「なし」→「ありのみ」、「すりっぱ」→「あたりっぱ」、「シネラリア」→「サイネリア」。
 「マヌカン」→「マネキン」 も、この伝ということはないでしょうか。

【ブイヨンが бульон になる理由】
以前に、いちど、この件は discussion しましたね。けっきょく、理由は不明だったんですが、そのあと、いろいろ調べていて明確にわかりました。ただ、きちんと報告するには、いろいろ、固有名詞を集めたりしなければならないので、パワー不足でのびのびになっております。例証は、とりあえず、置いておいて理由だけ書いちゃいましょう。
 フランス語の -ill-, -ille-, -ilh- 表記に現れる [j] の音は、かつては

     「湿音(しつおん)の l 」
        (現代スペイン語の ll, イタリア語の gli の音)
        (IPAでは [y の逆さま] で表すが、ここではとりあえず [λ] を使う)

でしたが、14世紀くらいから、方言でヨッド化、すなわち、[j] への変化が起こり始めました。
 パリでは、17世紀後半に、イル・ド・フランス(パリ周辺)の方言から侵入し、18世紀の初頭には、パリの民衆の湿音のl [λ] は、すでにヨッド化 [j] していました。しかし、パリの知識階級は、この音をひどく嫌い、[λ] の音を使うようにキャンペーンを続けました。実際、上流階級、知識階級では、19世紀でも [λ] の音が使われ続け、[λ] 音が、パリから完全に消滅したのは、19世紀末だということです。
 いっぽう、ロシアでは、18世紀なかばから、エカチェリーナ大帝に代表される 「女帝の時代」 を迎えるとともに、宮廷では日ごとに舞踏会が開かれるようになり、ロシア貴族は、フランス流の貴族のマナーを身につけることが欠くべからざるものになります。そのため、ロシア貴族は、子供たちの教育のために、
     「フランスから家庭教師を招くこと」
が、流行しました。フランス人家庭教師は、ロシア貴族の子供たちに、フランス語とフランス流の貴族のマナーを教えました。18世紀のなかばに、フランスから招かれた 「教養ある家庭教師」 は、-ill-, ille-, -ilh- の音を、当然、[j] ではなく、[λ] で発音したと考えられます。つまり、ロシア貴族のフランス語では、湿音の l のヨッド化が起こっていなかったわけです。ですから、比較的古い時代にロシア語に入ったフランス語の単語は、-ill-, -ille-, -ilh- の音を -ль- を使って転写しているわけです。Corneille が Корнель となっていたのは、そういうわけだったのです。
 20世紀に入って、フランス人じしんが、[λ] の音にこだわるのをやめたあとで、ロシア語に入ってきたフランス語では、ヨッド化をそのまま転写しています。すでに、ロシア語に入っているフランス語彙については、コルネイユのように、つねに人口に膾炙するような名前、бульон のように頻用される単語は綴りが変わりませんでしたが、あまり、参照されることのない固有名詞については、ヨッド化を取り入れた綴りに変更されてゆきました。で、ここで、ズラズラズラと固有名詞を並べたかったのですが、まだ、まとめておりません。
 まあ、理屈はわかっていただけたと思います。



bouillon bota~o Turquoise土耳其石

高駒麗人Koma (2003/07/10 00:55)

bouillon bota~n>bouillon bota~o訂正

英語[Λ]が日本語でaだったりo脱足りすることは以前、大修館『言語』で言及されていたと思います。
button[bΛtn]は「バ」で始まるように聞こえます。
しかし英語のΛは、monkey>「モンキー」monkii、London>「ロンドン」rondonのようにオ段で取り入れた場合は、英語を聞いても「モンキ」、「ロンドン」のようにo音で聞こえますし、sun>サンsanのようにア段で取り入れたものは、「サン」のようにa音で聞こえます。
私のalma mater(母校)で、英語の先生
(女性учительн ица、eine Lehrerin)が「Londonは本当は『ロンドン』でなく『ランダン』という発音で、其処が難しい」と言っていました。でも私には英語のLondonは「ロンドン」に聞こえます。

音素がどう聞こえるかはある程度先入観もあるのでしょう。

Russia>「ロシア」はロシア語でしょうか。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=uchitel&hc=0&hs=0
「おろしや」Oroshiyaはロシア語のRossiyaの日本語訛りでしょう。日本人は語頭でrを発音するのが苦手なので「お」をつけたという事のようです。しかし、私は、「ロシヤ」はロシア語の自称“Rossiya”からで、「ロシア」は英語でロシアを呼ぶ名“Russia”からだと思っていました。
Sina語(Chinesische Sprache)の「俄羅斯」Eluosiはロシア語Rossiyaが蒙古語Orosを経由して入った物のようで、中国人が編集した外来語辞典に確かそう書いてありました。もしも、Rossiyaという語が直接Sina語に入ったら、「羅西亜」Luoxiya、「若西亜」Ruoxiyaにでもなっていた筈です。
昔、大河ドラマ「翔ぶが如く」で島津成昭

高麗語(Koreanische Sprache)の로씨야 /Rossiya/「ロッシヤ」と 러시아 /Reosia/「ロシア」の違いは、原語Rossiyaと英語形Russiaの違いでしょう。所謂「朝鮮語と韓国語の違い」(Pyongyang方言とSeoul方言の違い)がこれです。
http://www.uniedu.go.kr/school/con_01_14.htm
(高麗語、北と南の言葉の違いについて)
http://nkchosun.com/unification/northword/northword.html?ACT=list&cate_id=5
(南北の国名の違いについて)
ex.뛰르끼예 터키 「トルコ」Turco/Turkeyは、北高麗(朝鮮)では Ttwireukkiye「ットゥイルッキイェ」、南高麗(韓国)では Theokhi「トキ」。
これもTürkieというような詞を取り入れたのがTtwireukkiyeで、英語のTurkeyを取り入れたのがTheokhiでしょう。(朝鮮語위wiは方言的に ü[y]になります。debut[deby]>데뷔debwi[tebwi、teby]、日本語で「デビュー」[debju:])
日本語でも国名「トルコ」と語族名「チュルク」と七面鳥「ターキー」、トルコ石を指す「ターコイス」の対立があります。
Türkが「チュルク」と書かれると流石にトルコ関連だとはわかりません。「トルコ」はポルトガル語Turcoからでしょうか?「トルコ語」の自称は Türkçe (Turkce、uの上に‥、cの下にヒゲ)のようです。
Turquoiseは「ターコイス」より綴りどおりの「トゥルコイセ」のほうが「トルコイシ」という発音近くて覚えやすいです。「テュルコワス」とは読まないのでしょうか?
www.nlp.cs.bilkent.edu.tr/Sozluk/ - 9k -
http://www.foods.co.jp/cheers/thanks/turkey.html

http://plaza9.mbn.or.jp/~yonda_library/library/jidai/oroshiya.htm



bouillon bota~n

高駒麗人Koma (2003/07/09 23:54)

ManiacCさんへ
>まづ、フランス語の綴りは bouillon で、発音は[bujo~]です。
>「ボタン」bota~oは、ポルトガル語です。
フランス語では[u]の綴りはuでなく ou で、bota~oやpa~oはポルトガル語でしたね。初歩的なミスで失礼しました。
ロシア語でAugust>Avgust(ABΓUCT)なのにrestaurantはrestavrantにならずに
restoran(PECTOPAH)なのは、やはり原語が違うからでしょうか。
英国人にとってフランス語起源のcentre、cheque等の綴りを勝手に変えているAmerica方式は納得いかないという事でしょうが、ではロシア語のrestoran(PECTOPAH)に習って英語でrestoranと書くのはいかんのでしょーか?
rhythmやBhutanは英語に入る前の原語の気音rh、bhを現していますが、スペイン語では「旋律」は ritmo で、ポルトガル語では国名「ブータン」は Buta~oですね。
Seychelleでは La Chineが Lasinnと綴られ、Papua New Guineaでは one talk が wan tok、school boyが skul boi、enough が inafと書かれます。これなどは、cheque>check、centre>centerの比ではありません。

centre>centerは表記上、rが前後の母音と位置を交換したわけで、patriot(愛国者)&paternity(父性)、alma mater(母性)&maternity(母性)、San Pietro&St.Peter、hros>hors(>horse)みたいな物と考えれば別に変ではありません。
(此処まで書いて思い付いた。英語には外来語が多いが、maternityよりmotherhood、alma materよりもmother schoolの方がわかりやすい)
bouillonのlを発音したりしなかったりするのは、CastellanoやDe Cuellarを「カステリャーノ」「デクエリャル」と呼ぶか「カステヤーノ」「デクエヤル」にするかという問題と似ていますね。

セイシェルやニューギニアの例はPidgin、Creole英語です。しかし、日本でChinese Characters(漢字)をkanji等と表現するのは日本語の混ざったJapanese pidgin Englishです。中国では通用しない。中国大陸では英語の中でChinese Yuan(中国元)をRMB(人Ren民Min幣Bi)で現します。RMB=Chinese Yuanは英和辞典に載っていない。一種のChinese pidgin Englishです。
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/hikari896-0201et.html
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/hikari914-0213.html
(「漢字はChinese Charactersである。」漢語詞だけを漢字で現し、和語を全てカナ書きした文あり)

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%b4%c1%bb%fa%a4%cf+Chinese+Character&hc=0&hs=0



そうそう...

MadKod (2003/07/09 13:40)

連続投稿になってしまってスイマセン。
実は、先月の話になりますが、近所の大学で公開講座があり、そこで日本語に関する講義がありました。
いろんな話があった中で、一番印象深かったのは、日本語には「主語」というものはなくて、“題目”なんだという話でした。
これを聞いてから、なんとなく、日本語というものがとてもよくわかったというか、親近感が増したというのか、欧米語などとの違いがわかり、変な話ですが、英語も上達したような感覚すらおぼえました。
既出の話でしたら、すいません。また、話の流れにも無関係で、すいません。



しばらくぶりです

MadKod (2003/07/09 13:29)

…といっても、ほとんどの方はご存知ないでしょうけど・・・。
以前、半年くらい前に少しご質問をさせていただいた者です。
その後、少ししてから、動詞の音便形を「終止形+て/た」で入力するという方法を思いつき、しばらくは、いろんな研究と共に、それの試運転をしておりました。

これは、何が面白いかというと、音便形でなく終止形を使うことによって、ワ行五段、タ行五段、ラ行五段が打ち分けられるという利点が出てくるんですね。
また、もちろん、外国の方などにとっては、音便形を覚えなくて済みますし、かな入力の時に「っ」から解放されるという利点もあります。
(※やはり促音を子音の2度打ちで行なうのは、日本語としてオカシイです...^^;;;)

なので、これを本格的に辞書として作り上げて、試運転をしていたわけです。

で、このたび、機も熟したかなということで、Vectorのほうに辞書として登録しました。
さらにまた、上に述べた利点だけではなく、携帯電話のような連打式を用いた入力法なども含まれています。
ご関心のあられる方は、見てみてくださいませ。
http://www.vector.co.jp/soft/dl/mac/writing/se291543.html
です。
一応、ことえり用ではありますが、テキスト版も付属していますので、Windowsでも変換すれば使えるのではないかと思います。

ということで、とりあえず、話題には付いていけそうにないので、宣伝だけですが・・・。



小便花子 & That's it!

m.A.N.iac C. (2003/07/09 05:06)

■書き漏らしたことが有りました。
何故かは知りませんが、「女子便所」のことを Jane と言うのです。
これって、Jeanneke Pis と少しは関係有るのか知らん?
ついでに「男子便所」は、やっぱり頭韻を踏んでいるのか、「太郎と花子」なのか、John
と言います。

■That's it!
>ロスケさん
こんな時刻に早速の御返礼、痛み入ります。
>与太郎が南方熊楠にアドバイスしたようなもの
→全くそう思っておりませんので、また有用な情報が有りましたら、お願い致します。

>That's it!の例がわかりやすいですね。
→んー。その通りのような、ちょっと違うような。
 この場合の that は、「あなたの言ったこと」を指しており、相手の発言を承けている
のですから、「イキナリ」とは言えません。it は「何だか判らないもの」「言いたくても
うまく言えないもの」を指している、と考えられます。
 このような it は、鬼ごっこの「鬼」を it と言うのによく現れていると思います。
 私の言う「イキナリ」は、何の脈絡もなく、"Look at that!"とは言えても、"Look at
it!"とは言えない、もし言われたとしたら何に目を向ければ良いのか途方に暮れてしまう、
ということです。



Re: もろもろ

ロスケ (2003/07/09 04:40)

> >アメリカではFRUIT BASKETがよく知られています。
> →お礼を申し上げるのが遅くなりまして
いえいえ〜とんでもない!(^^;
与太郎が南方熊楠にアドバイスしたようなものですよ(笑)

> →あ、失礼ながらこれは簡単です。イキナリ言えるか(that)、言えないか(it)
That's it!の例がわかりやすいですね。



もろもろ2

m.A.N.iac C. (2003/07/09 03:35)

>高駒麗人KOMAさん(7/6)
>[女也]taと似ていますが、漢語では
>…で「彼女は」も「彼女を」も ta で其処が違います。
→中文は孤立語ですから、格変化の無いことには驚きません。西洋語に合わせて、
1920年ごろから、他(男性)・{女也}(女性)・它(中性)と書き分けている、と。
 最初に或る事物に言及するとき・物を指し示すときには「這/那」しか使えず、
ta1は使えない、というところも英語の this/that と he/she/it との使い分けと
酷似しています。

>高駒麗人Komaさん(7/8)
>軟音の次に硬母音が来る例として、「ブイヨン」buillonがロシア語で
>бульон /bul'on/になるというのがあります。
>なぜ、булйон やбулёнと書かないのか不思議に思っていました。フランス語起源だからでしょうか。буйонでもいいような気もしますが。
→ロシヤ語については師匠が詳説してくださると思いますが、フランス語・英語の
辺りを私めが。
 まづ、フランス語の綴りは bouillon で、発音は[bujo~]です。ほぼ日本語のカタ
カナどおり、「ブイヨーン」と聞こえます。フランス語を聞いていると、本途に、
[j]というのは半母音・半子音でj=iiなのだと思えてきます。
 英語でも bouillon と綴り、発音は[bu´:jαn, bu´ljαn]です。後者の発音に
フランス語の古い発音が化石化していますが、古くは「リョ」に近い軟音化したL
の音でした。
 ですから、бульон「ブリョン」が古いフランス語に最も近く、булйон
「ブリオン」 やбулён「ブリヨン」やбуйон「ブイオン」では駄目だと
推測するのですが。

>>FRUIT PUNCH
>日本人が英語のΛをオで取り入れたのは、昔の英国人の発音でuがΛになる途中の段階がoに近かったからでしょうか。Russia>ロシアRoshiaもそうですね。button>ボタンbotanもありますが、これはオランダ語bota~oでしょう。cup>コップkoppuもオランダ語でkopでしょうか。
→「昔」と言っても、多寡だか100年ほど前のことですので、現在の発音とほとんど
変わっていません。英語の方が米語よりも口の奥の方で発音するため、「オ」に近く
聞こえるだけです。音声学で使う「基本母音図」では、円唇の[ω]と非円唇の[Λ]は
同じ位置に書かれています。
 「ロシア」は、英語経由ではなく、ロシヤ語から直接来ていると思います。
 「ボタン」は、ポルトガル語です。オランダ語では knoop「クノープ」と言います。
英語もポルトガル語も、起源は古仏語 bo(u)ton または民衆羅語 *botto¯ne 「蕾」
であろう、とされています。
 「コップ」は、蘭語 kop と思われがちですが、実はポルトガル語 copo「コプ」です。
切札(骨牌)の模様として、室町時代には日本語に入っています。

>この人はSergeyの息女?
>Mikhail GorbachёvやNikolaj TrubetzkoyもSergeyの息子ですから奇遇ですね。
→西洋では名前の数が限られているので同名は珍しくなく、「奇遇」というより、
「頻遇」だと思います。

>Harmagedon>Armagedonは関係ないでしょうか・
→アルマゲドンは、希臘を経由したときにHが落ちたようです。

>ロシア語では、“Europe”という地名が Yevrop-のように変化するようで、此処が難しく、また面白い所です。
→以前(今年1−2月)、師匠が「ロシア語の転写形」と題する連載記事をお書きに
なっています。その中でも、希臘語u→露語vの変化については、初回(1/17)でガイ
シュツですよ。(^^)



もろもろ1

m.A.N.iac C. (2003/07/09 03:33)

>ロスケさん(7/6)
>アメリカではFRUIT BASKETがよく知られています。
→お礼を申し上げるのが遅くなりまして申し訳ございません。英語版の解説まで、
有難う存じました。…でも、音楽を流して人数より一脚分少ない椅子の周りをグル
グル回る、あの遊びの単純さとは少し違うかも。
 少女漫画の『フルーツバスケット』(白泉社・高屋奈月)は御存じですか? 果物
籠の中に入れられたオニギリ少女と、十二支憑きの一族とのお話(こう書くと無茶
苦茶 ^0^)です。面白いですよ。

>にれのや師匠さま
>【та と она】
та を彼女の意味で使うのは、文語で前出の女性を受けるような場合で、口語で使う場合は、「向こうに見えている女性」 を指して 「あの女性」 という場合に使います。она も、文語では та 同様、前出の女性を受けることができます。また、口語では、「目の前にいなくても、話題にあがっている女性」 を指して 「彼女」 と言うことができます。こんなところでどうでしょう。
→基本は英語と何ら変わるところは無い、と。また1つスッキリしました。

>英語の it と that の明確な違いはなんだろう?
→あ、失礼ながらこれは簡単です。イキナリ言えるか(that)、言えないか(it)、の
違いです。勿論、非人称は、文字通り何も指していないので、それ以前に指示する
名詞が出ているか出ていないかは不問ですが。

>ロシア語の 「ビジネスマン」 の綴り
→面白いですねえ。日本語と違って、原語の綴りより発音を優先するのですね。

>【英語をまじえるロシア人】
→なるほど。日本人が自らを「アイアム・ジャパニーズ・ビジネスマン!」と言う
ように、彼らは「ヤー・ルスキー・ビズニェスメン」と普通なら言うところを、
「アイム・ルシャン・ビズニスメン!」と言ったりするのでしょうか。

>【小便小僧と appelsien】
>日本語の 「マネキン」 はフランス語の mannequin [マヌ'カん] から来たもの
→違いますよ。「ハウス・マヌカン」の「マヌカン」はフランス語のmannequin
[mank{ae}~]に由来しますが、「マネキン」は英語の manikin, mannequin(どちら
も発音は[m{ae}nikin])に由来します。

>man に指小辞 -kijn がついたものと考えられますが、これは、どうも古語か方言のようです。 →そうですね。どうしてもベルギーにはオランダ語の古語が残るようですが、指小辞
-kijn, -ken は、中期低地独語のもので、英語の –kin, 独語の –chen に当たります。
mannequin は、古期英語の mancynn や現代独語の Maennchen が同系語です。monkey
とも関係が有るかも知れません。

>pis のほうは、現代標準オランダ語でも 「小便」 の意味です。
→英語でも piss, 独語でも Piss(e) と言います。

>「小便少女」
→初めて知りました。そんなもん、在ったんですね。

>『トリビアの泉』 で放送された
→私は見ていません。同様に見過ごしてしまった方は下記をどうぞ。
http://www20.tok2.com/home/inoueh/extphoto/net_photo/02d-647.jpg
…小僧と違って、愛らしくはないですね。食堂が開いていないときは柵を閉めて錠を
掛けるのだそうです。

>なお、「小便少女」 の名前は Jeanneken Pis だそうです。フランス女子名 Jeanne 「ジャンヌ」 とかけたんですね。
→Jeanneke Pis では? 網ではそのように書かれていますが(女性形??)。
 ちなみに Jean は、Johannes の女性形 Jo(h)anna に由来します。英語ではJoan
または Jane ですが、「太郎と花子」に当たる言い方は“Jack & Jill”で、Jack は
Jacob に由来するのですが John の愛称として用いられ、Jill は Juliana(Julianus
の女性形)に由来します。
 ゲルマン系ではなく、ラテン系の名前を使う辺り、フランス語の影響を強く受けて
いるベルギーらしいですね。

>massangeanaさん
情報を有難う存じます。態々調べてくだすったんですか。お手数お掛けしました。
>「[犬九][犬余]」は山海経に見える動物
→『山海経』!?  「[犬九][犬余]」はどんな化け物として説明されているのですか。
> lali は…台湾語
→でもやっぱ、台湾には穿山甲は棲んでいないですよね。東南亜系の言葉だと思うの
ですが。



ヨセフのギリシャ語つづり

にれのや (2003/07/09 01:45)

■「ヨセフ」 のギリシャ語表記がわかりました。ついでに、ロシア語で Iosif ←→英独仏で Joseph の理由もわかりました。理由は以下のとおりです。

        【ラテン語表記】 はギリシャ語表記の転写らしい
                 Joseph
                     ↑
               ’Ιωσ{η+´}φ
                [jo'sif] 中世ギリシャ(ビザンチン)音
                  ↓
                Иосиф
        【ロシア語表記】 は中世の発音に基づく転写

ヨセフのギリシャ語表記を仮に古典音で読むなら 「イオーセープ」 [io:se:ph] ですね。中世ギリシャ語音が [jo'sif] ならば、Йосиф とか Ёсиф とか綴ればよかったのに、とKomaさんあたりならツッコむところでしょうが、йとёの文字がつくられたのは、ロシア人のキリスト教受容のずっとのちのことなんです。つまり、この時点では [jo] は ио としか綴りようがなかったんですね。
■きのうの訂正。ёの¨は、誤読のおそれのある 「同綴=異音=異義語」 や外来語の場合をのぞいては省略される、と書きたかったのでした。たとえば、небо ['ニェーバ] と нёбо ['ニョーバ] のようなペアのことです。



Re: 十和田

massangeana (2003/07/08 09:49)

ここの掲示板過去ログ 2000/5/5 に話題がでています。
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/aynu/bbsaynu00a.htm



ロシア文字正書法について

高駒麗人Koma (2003/07/08 01:58)

Йосиф Сталинの字上符が省かれたのかとも覆いましたが。>思いましたが

にれのやさんへ くわしいご説明ありがとうございます。
ロシア人の名は欧州の宗教と絡んで奥が深いですね。
Ёёの上の‥はUmlaut記号と言っていいでしょうか。Manが何故Menになるか理解するにはUmlautの知識が必要でしょう。



RussiaとRossiya、YelenaとHelen

高駒麗人Koma (2003/07/08 01:50)

>Apfelsine<オランダ語 appelsien<Apel de Sina<フランス語 pomme de Sine
最近、日本でまた「シナ」故障問題が話題になっていますが、オランダ語でChinaが「シーナ」であり、そのオランダでSinaという綴りが使われている以上、事はそう簡単ではないようです。 (kan-chan氏と櫻井澄夫氏の相対する意見↓)
http://kan-chan.stbbs.net/word/pc/sina.html
http://www.age.ne.jp/x/commerse/kawara/kawarabn/9909/9909z.html

http://jeanluca.cool.ne.jp/tangocho/tng1_ru.htm
Йокосука,横須賀
Уаманаси(Яманаси?) 山梨,

Sapporo(札幌)はロシア語でСаппоро/sapporo/ですが、
語源的にはСатпоро/satporo/でしょう。
「十和田湖」は和語ではないという事ですか。アイヌ語「ト(湖)ワタラ(崖)」はローマ字ですと To-Wataraでしょうか、それともTu-Watar?倭人(大和民族)がアイヌ地名を漢字で、それも訓書きした例は多いですね。訓書きを音読みすると発音が大幅に変わり、Sina人(Chinese)が読むと札幌はZhahuang、十和田湖はShihetian-huになります。

もし倭人でなくSina人がアイヌモシリを先に支配していたら「サッポロ」は「薩波羅」Saboluo、「トワダ湖」は「托瓦大湖」Tuowada-huのようにアイヌ語音に忠実な名前になっていたでしょう。今のSinaでサッポロビールの「サッポロ」が「三宝楽」Sanbaoleであるようにです。
それは、台湾の原住民族語による地名TakaoをSina人が音書きして「打狗」Dagouにしていたのに、倭人が訓書きして「高雄」にし、これを漢人が北京語音読みで Kaohsiugと呼び、原音Takaoと大きく違った名になっている現象と似ています。

ロシア語の外来語表記は難しいですね。
子音>mjaγij znak>母音という組み合わせが厄介です。
-лья-、Ильичのように、軟音記号の次に軟母音が来たら軟音記号の前の子音は硬音なのか軟音なのか悩む所です。
軟音の次に硬母音が来る例として、「ブイヨン」buillonがロシア語で
бульон /bul'on/になるというのがあります。
なぜ、булйон やбулёнと書かないのか不思議に思っていました。フランス語起源だからでしょうか。буйонでもいいような気もしますが。

遠山の金さんの「入れ墨」は「彫り物」ですか。
中村梅之助→市川段四郎→橋幸夫→杉良太郎→高橋英樹→松方弘樹と続いたようで、西郷輝彦→里見浩太朗もありましたが、是非とも北大路欣也演じる遠山金四郎を見てみたいです。

>FRUIT PUNCH
日本人が英語のΛをオで取り入れたのは、昔の英国人の発音でuがΛになる途中の段階がoに近かったからでしょうか。Russia>ロシアRoshiaもそうですね。button>ボタンbotanもありますが、これはオランダ語bota~oでしょう。cup>コップkoppuもオランダ語でkopでしょうか。
高麗KOREAではΛを 0-I(口の大きいオ)で取り入れます。
北高麗North KOREAでロシアを 로씨야 /Rossiya/「ロッシヤ」というのはロシア語の自称Rossiyaからでしょう。Kazakhstanの高麗民族もこれを採用しています。
南高麗では、ロシアの国名は 러시아 /Reosia/「ロシア」で、これは英語のRussiaからでしょう。
http://www.uniedu.go.kr/school/con_01_14.htm
(高麗語、北と南の言葉の違いについて)
http://nkchosun.com/unification/northword/northword.html?ACT=list&cate_id=5
(南北の国名の違いについて)
ex.뛰르끼예 터키 「トルコ」Turco/Turkeyは、北高麗(朝鮮)では Ttwireukkiye「ットゥイルッキイェ」、南高麗(韓国)では Theokhi「トキ」。

>【レーナ】Елена Сергеевна Катина
Yelena Sergeyevna Katina
愛称は Елена から Лена/Lena/
※当人は、Леночка/Lenochka/とサインしている。
この人はSergeyの息女?
Mikhail GorbachёvやNikolaj TrubetzkoyもSergeyの息子ですから奇遇ですね。

十年近く前、Chinaに留学して娜(いたЕлена/Yelena/という女性はSina語で「叶蓮娜」Yeliannaと呼ばれていましたが、彼女は友人である英国人の男性からHelenと呼ばれていました。
するとHelenはRussiaでは愛称がLenaになるわけですか。

ロシア語ではhがなくなってyが生じるようですね。Hebraic、HebrewがYevreyskyになりますし。ギリシャ語でもHellenic Republicの自称Hellasが Ellasになっています。
Harmagedon>Armagedonは関係ないでしょうか・
ロシア語では、“Europe”という地名が Yevrop-のように変化するようで、此処が難しく、また面白い所です。

http://homepage1.nifty.com/mkm/kansatsu/sina.htm



Емельян について、訂正

にれのや (2003/07/08 01:26)

【エメリヤンについて訂正】
きのうの書き込み、「ロシア人の洗礼名 Емельянの変遷」 について訂正です。きのうのは、資料を見ずに記憶で書いてしまったので、微妙にまちがいっておりました。以下が正当です。
     (1) ’Αιμυλια´νοs [エミり'アノス] 中世ギリシャ音
     (2) Емилиан [エミり'アヌ] ギリシャ正教受容当時のロシア語音
     (3) Емилиан [ィエミり'アヌ] 現代ロシア語音
     (4) Емельян [ィエミェり'ヤヌ] 現代ロシア語音
     (5) Эмилиан [エミり'アヌ] もともとのギリシャ音を再構築した現代語形
1→5というのが、時代を追った語形の変化です。現代ロシア人の名前として、存在しうるのは、3、4、5ですが、通常は4の語形です。また、ロシア正教の教会暦に載っている語形、すなわち、ロシア革命まで教会が正当な洗礼名として認めていたのは、3、4です。
 2と3は、何がちがうのかと思われるかもしれません。ロシア人がギリシャ正教を受容したときには、ロシア語には、[e]―[je] という、e音の硬軟の対立が、まだ、ありました。ロシア語で、[e] 音が [je] 音に吸収されるという事態をむかえると、「エミリアン」 であったものが 「イェミリアン」 になってしまったわけです。5の語形は、これをもとに戻したものと考えられます。

■Koma さんへ。
Иосиф は、Йосиф の打ち間違いではありません。ロシア人の洗礼名は、基本的に、「聖書の人名・キリスト教の聖人の名前」 の 「中世ギリシャ語音(ビザンチン時代の音)」 にもとづいており、原綴を忠実に転写しています。(そのためにロシア語で発音しづらい名前が多いのですが)。ヨセフのギリシャ語綴りが ’Ιω´σιφ のようなものだったのでしょう。もし、正確な綴りがわかれば、のちほど報告します。ただし、Иосиф は発音しづらいために、教会では認めていないものの民間では使われる、といった民衆音が生まれています。Ёсип ['ヨーシップ]、Осип ['オーシップ] などという語形です。長いロシア正教の歴史のなかで、ある語形は暦に採り入れられ、ある語形は拒否される、といった運命をたどってきました。Ёсип は認められませんでしたし、今では使われない語形です。いっぽう、Осип は、現在、ロシア人の名前として使われています。
 Емилиан に対する Емельян も、そのような経過のなかで、正当な洗礼名として認められたものです。
■日本語の 「ヨ」 をロシア語で転写するさいに、現在では、語頭で Йо-、語中で -ё- と決められています。ロシア語では、通常、ёの¨は、学習書・辞書・百科辞典をのぞいては省略されます。ソヴィエト政権は、正書法を決定するさいに、[jo] はёと書くこと、と決めたのですが、定着しませんでした。ただし、誤読のおそれのある同音異義語や外来語の場合は別で、日本語を転写するさいのёの¨は省略されません。
 ところで、「ヨ」 の転写形ですが、かつては、Иокогама のように、Ио- を使っていました。
     Иокогама ヨコハマ
     Сигэру Иосида 吉田茂
       ただし、
     Акико Йосано 与謝野晶子



она と та のちがい

にれのや (2003/07/08 01:24)

【она と та のちがい】
■Maniac.C さま。она [ア'ナー] (彼女) と та ['ター] (あの女性、その女性) のちがいの指標らしきものをやっと見つけました。
     (a) 話している人
     (b) 話を聞いている人
     (c) 話の話題になっている人 (она もしくは та)
a と b が会話をしているとします。話題は、c という女性のことです。
     【c が、a, b にとって、「身内・仲間うち」 と感じられる場合は】
      → она しか使えない。
     【c が、a, b にとって、「身内・仲間うち」 ではない、と感じられる場合は】
      → она, та どちらも使える。
こういうことのようです。
 文語について考えてみると、小説にせよ、ノンフィクションにせよ、作者=語り手 (a) と読者=聞き手 (b) にとって、文中の登場人物 (c) は、共通の身内・仲間ではないですから、она, та のどちらを使って叙述することも可能です。
 口語について考えてみると、たとえば、
     【レーナちゃんのうちに、ユーリャちゃんが遊びに来たとして、対応に出たママが
      Лена は、まだ、帰ってこないのよ。
      Она は、まだ、帰ってこないのよ。
          とは言えますが、
      Та は、まだ、帰ってこないのよ。
          と言うのはヘンです】
■このあたりが、она と та の境界ではないでしょうか。こういうことを分析するのはヤッカイですねえ。たとえば、英語の it と that の明確な違いはなんだろう? ドイツ語の es と das の違いはなんだろう? と考えてみても、ちょいとすぐには思いつきませんね。



Joseph Jose iosif

高駒麗人Koma (2003/07/08 00:04)

にれのやさま
>スターリンの名前は
Иосиф Сталин [イ'ヨーシフ ス'ターりヌ]
ですね。
ご訂正ありがとうございます。ひょっとしたら
Йосиф Сталинの字上符が省かれたのかとも覆いましたが。

矢吹丈が最後に戦った相手ホセはJoseで、スペイン語圏の“Joseph”でしょう。ホセとイヨシフでは同じ名前とわかるのに苦労が要ります。
http://www2.ic-net.or.jp/~kenkichi/hose.htm

ヨコハマはロシア語でИокохамаあるいは
Иокогамаでしょうか?
初めて聞いたら分かり難いですが、Sina語のHengbinよりはRussia語の iokogamaの方がYokohamaに近いです。
http://jeanluca.cool.ne.jp/tangocho/tng1_ru.htm
http://homepage1.nifty.com/masha/tchaikovsky/urok/urok01_5.html
(日本の地名のロシア語表記)
東京Токио. 横浜, Иокогама.
大阪, Осака.京都, Киото.
Йокосука,横須賀 Уаманаси(Яманаси?) 山梨,
札幌 Саппоро
千島列島 Курильские острова
クナシリ、ハボマイ、シコタン、エトロフのロシア語表記については流石に紹介されていません。

考えてみたら Russiaに対してРоссия/russiya/、
Kievに対してКиев/kiyev/ですからJosephも
Иёсиф/iyosif/でないとおかしいですね。しかし字上符はしばしば省かれて
Иесифと書かれる恐れもあります。
英語でも、Gorbachёv、Khruschёvのёがeで書かかれていますし。



十和田

鴛鴦 (2003/07/07 23:11)

(すでに沈静化?)少し前、アイヌ語で盛り上がっていましたが、私も一つアイヌ語由来のものを。
題名にもある通り青森と秋田にまたがる十和田湖の「十和田」のことです。
「十和田(とわだ)」はアイヌ語の「トワタラ」に由来し、「ト」は湖、「ワタラ」は崖という意味で、崖に囲まれた湖ということになります。
これが次第になまって「十渡(とわたり)」となり、のちに「十和田」となったといわれています。
こうしてみるとアイヌ語は北海道だけかとばかり思っていたら、青森等のほうにもアイヌ語はあったということになる?



Re: アルマジロとセンザンコウ

massangeana (2003/07/07 09:41)

「[?九][?余]」は山海経に見える動物で, 近代になってアルマジロに結びつけられたもの
ではないでしょうか。
lali は検索したら一件だけみつかりました。ここをみるかぎりでは台湾語のようです。
 http://tw.groups.yahoo.com/group/twne/message/4042



小便小僧と appelsien

にれのや (2003/07/07 02:53)

【小便小僧と appelsien】
■ベルギーのオランダ語に、また、1つ不思議なコトバを見つけました。どうも、これが、いっとき、ここで問題となった appelsien と関係ありそうなんです。そのコトバとは
     Manneken Pis ['マネケヌ ピス]
です。ブリュッセルに建っている有名な 「小便小僧」 のことです。
【manneken】 は、man の指小形ですが、現代標準オランダ語の辞典を調べても載っていない単語です。
 日本語の 「マネキン」 はフランス語の mannequin [マヌ'カん] から来たものですが、この mannequin は、オランダ語の mannekijn から来たものだ、と、どんな仏語語源辞典にも載っています。ところが、この mannekijn というのが、やはり、現代標準オランダ語の辞典には載っていないのです。男を意味する man の指小形は、現代標準オランダ語では mannetje です。mannekijn というのは、やはり、man に指小辞 -kijn がついたものと考えられますが、これは、どうも古語か方言のようです。man が -n で終わるので、指小辞の前に-e-を挟まなければならないのですが、それでは、ma-が開音節になってしまうので、n を2つかさねます。それで、mannekijn となります。
 で、この mannekijn ですが、フランス語に mannequin として伝わったのとは別に、manneken という語形でベルギーに残ったのではないでしょうか。それで、小僧=manneken の謎が解けます。pis のほうは、現代標準オランダ語でも 「小便」 の意味です。

 この Manneken Pis の最大の問題は語順です。「小便の小僧」 ですから、あきらかに後ろから前を修飾しています。これで思い出すのが、例の appelsien なのです。appelsien は、Kluge のドイツ語語源辞典で、
     Apfelsine
     <オランダ語 appelsien
     <オランダ語 Apel de Sina
     <フランス語 pomme de Sine
とされてはいたのですが、どうも Apel de Sina → appelsien という変化が、わたしとしては、気に入りませんでした。そこに、Manneken Pis という、後ろから前に修飾する語例が見つかったわけで、appelsien というのも、実は appel sien なのではないか、と考えたわけです。「ベルギーのオランダ語に、過去、(たとえばフランス語の影響のもとに) そのような造語法があった」 としたら、一部の複合語に、その名残があったとしても不思議ではないように思ったのです。appel は pomme を訳したもので、sien は仏語の Sine の音訳だとしたら、apel sien でオレンジを指していた時期があったかもしれません。
■以上は、あくまで仮説です。書店に並ぶ全てのオランダ語関連の本を調べましたが、ベルギーの造語法に触れているものはありませんでした。
■これは、余談ですが、ブリュッセルの 「小便小僧」 Manneken Pis の近くには、「小便少女」 というのも建てられているそうです。『トリビアの泉』 で放送されたので見た方もいるでしょう。なお、「小便少女」 の名前は Jeanneken Pis だそうです。フランス女子名 Jeanne 「ジャンヌ」 とかけたんですね。



Re: もろもろ2

にれのや (2003/07/07 01:27)

■Koma どの。t.A.T.u.の件で、エメリヤーネンコを忘れてました。
【スターリンと Емельяненко】
スターリンの名前は
     Иосиф Сталин [イ'ヨーシフ ス'ターりヌ]
ですね。ио- の発音は、[иё-] でいいと思います。これをわざわざ [イ'オーシフ] と発音するロシア人はいないんじゃないかな。このたぐいに
     Иоффе [イ'ヨッフェ]
がありますね。ユダヤ系でイディッシュの姓です。日本語では 「ヨッフェ」 と書かれています。
 そもそも、ロシア語には、-ио-とか-иа- という綴りはないんですね。ロシア語は、[j] の渡り音を積極的に認めて、綴りに反映させてしまうので、-иё-とか-ия-になってしまうんです。では、-ио-とか-иа-は、どこから来るのか、というと、
     (1)ギリシャ語起源の洗礼名。
     (2)外来語。
(2)については説明はいりませんね。(1)は問題です。古い時代のロシア人の名前ほど、古い洗礼名を残しています。Иосиф [イ'ヨーシフ] も古い洗礼名です。グルジアもキリスト教なので、ロシア人の洗礼名とほとんど同じ発音のものや、少ししか違わないものがたくさんあります。イオーシフもその1つです。
 ロシア人の洗礼名で、ロシア語の発音として無理のあるものは、少しずつ変化を遂げてきました。エメリヤーネンコも、その結果として生まれた姓です。
     Эмелиан [エミェり'アヌ] エメリアン=ギリシャ語由来のもとの洗礼名
     Емелиян [ィエミェり'ヤヌ] エメリヤン=ロシア語化された、正統的な洗礼名
     Емельян [ィエミェり'ヤヌ] エメリヤン=ロシア語化された、卑俗とされる洗礼名
     Емельяненко エメリヤーネンコ=その卑俗な洗礼名から姓がつくられる
カタカナでは、-лия-と-лья-の発音の違いが表現できません。ロシア語では、英語の computer を компьютер [カンピ'ユーテル] と言います。ちょっと考えると、компютер でもよさそうなものに、と思えます。しかし、英語の [-pju-] を聞くと、ロシア人は -пью- と綴りたくなるらしいのです。ロシア人にとって、ロシア語の -пю- は、日本語の拗音の 「ピュ」 とは同じだが、英語の [-pju-] とは違うようです。その違いは、「イの響きの長さ」 によるようです。
     -лия- [-l^ji ja-]
     -лья- [-l^j ja-]
     -ля- [-l^ja-]
     ※ただし [ ^j ] は、硬口蓋化、つまり、スーパースクリプトの j を表す。
この3つの綴りは、「イの響きの長い順」 です。ですから、レーニンの父称の
     Ильич [イり'イーち]
は、本来、「イリイーチ」 とカナ転写するべきなのですが、なぜか、歴史書ではたいてい 「イリッチ」 となっています。



Re: もろもろ1

にれのや (2003/07/07 01:24)

■Maniac.C どの。
【英語をまじえるロシア人】
いま、ロシア社会のヒエラルキーのトップにいるのは 「ビジネスマン」 です。タトゥーのマネージャーのイヴァン・シャポヴァーロフのたぐいの人間です。どういうタイプの人間なのかは、だいたい想像がつくと思います。彼らのようなタイプのロシア人は、「資本主義的なもうけ仕事」 のやり方を知らない古いタイプのロシア人を馬鹿にしています。そういうタイプの人間が、ロシア語の тату [タ'トゥー] ではなく、татту [タッ'トゥー] を発音するときは、おそらく、発音そのものに、「発話者の立場や、物の考え方が反映されている」 と思います。
 わたしも、一度、ロシア号のなかで、みずから 「ビジネスマン」 を名乗る2人組みのロシア人に会ったことがありますが、具体的に何の商売をしているのか訊いても、明快な答えが返ってこないんですね。ゴルバチョフ時代に出現して、今に至る、ロシア人の 「ビジネスマン」 というのは、英語で言うところの "monkey business" をやっているたぐいの人間だと思います。
 ロシア語の 「ビジネスマン」 の綴りは、ちょっと変わっていて
     (1)бизнессмен
     (2)бизнисмен
     (3)бизнес(с)ман, бизнессмэн
などがあり、(1)がいちばん多く、次に(2)、他はいずれも稀です。語末が -мен となっていますが複数形ではありません。英語の [a+e] の反映です。本来なら -мэн と綴るべきところでしょうが、俗綴が定着したわけです。複数形は бизнессмены です。(笑い)

【ロシア人の刺青】
刺青の起源は、ひとまず置いておいて、ソ連邦時代も、ロシア人の男性の刺青というのは珍しくなかったようです。徴兵制のために、軍隊で刺青を入れて帰ってくる、というのが多いのではないかしら。海軍帰りが腕に錨の刺青を入れているとか。
 別の話になりますが、六代目の三遊亭圓生は、『火事息子』のように、刺青が出てくる噺のときには、マクラで、「いれずみ」 と 「ほりもの」 は違うという話を必ずしていました。罪人が、腕に入れられるのが 「いれずみ」 で、自分からすすんで体に 「くりからもんもん」 のような絵を彫ってもらうのは 「ほりもの」 と言わなければいけない、ということでした。

【та と она】
та を彼女の意味で使うのは、文語で前出の女性を受けるような場合で、口語で使う場合は、「向こうに見えている女性」 を指して 「あの女性」 という場合に使います。она も、文語では та 同様、前出の女性を受けることができます。また、口語では、「目の前にいなくても、話題にあがっている女性」 を指して 「彼女」 と言うことができます。こんなところでどうでしょう。



剛gang知道zhidao

高駒麗人KOMA (2003/07/06 15:08)

zo- さんへ
>北京語での「知る」と「知っている」の区別ですが、普通「知っている」という場合、「知道」でいいと思いますが、「知る」は意味が広くいろいろな表現が考えられます。特に「知っています」と対比して、動作の結果の持続ではなく、動詞の動作行為に焦点をあてた場合、「得知」「獲知」などと訳すことができますが、「知りたい」「さっき知りました」などの場合、「想知道」「gan才才知道」のようにやはり、「知道」で表わせます。

「gan才才知道」は「剛才gangcai才cai知道zhidao」でしょうか?
廣東語では「私は今になってやっと知りました」は「我Ngo而家yiga先sin知道zhidou」だったと思いますが違いますか?

massangeanaさんへ
身近にあるアイヌ語(中川裕氏)http://www.ainu-museum.or.jp/nyumon/nm15_ktb06.html
たとえば登別はもともとヌプル・ペッと いう発音で「濁った水」という意味とあります。「山」は関係ないようです。上の中川氏の文章はたいへんわかりやすい概説になっているので一読をおすすめします。
御解説いただき、いやいやいけれ。ヌプルは「濁った」、ヌプリは「山」ですか。勉強になりました。我剛知道了。

北京語aは閉音節の場合、廣東語でoやoe(eo、œ、ö)になる事が多いのですね。
香港Xianggang&Heonggong、長衫changshan&cheongsam、王菲Wang Fei&Wong Fei
英語のtong(党)も廣東語でしょう。(アメリカ音だと北京語dangに近くなります)
しかし「萬(万)」wanは廣東語でmonやmönでなくmanのようで、この辺が不思議でした。
朝鮮語では北京語angがangのままである事が多いのですが、「盲人」は、mang-inでなくmaeng-inのようです。

http://yulialena.fc2web.com/ho.html



res: あるまじろ ふるーつぽんち

m.A.N.iac C. (2003/07/06 14:39)

>高駒麗人KOMAさん
>>アルマヂロ 漢語では「{犭九}狳」>私の見ている画面で「{ 九}・」
>「[獣偏・九][獣偏・余]」の獣偏が空白になって「獣偏・余」が・(点)になっています。
→またやっちまいましたか。失礼しました。

>「」(三水に九)jiuはちゃんと見えますでしょうか?
→見えます。

>>センザンコウ漢名は「鯪鯉」
>第一文字が・(点)に見えます。できれば字を御解説頂けませんでしょうか?
→済みません(×2)。魚偏+「凌」「稜」「陵」「綾」の旁で ling2 です。

>ロシア人名を英語式に発音して日本語にするのは日本でロシア語を理解できる人が少ないからでしょうか。
→多分そうだと思います。

>woman[wuman]>women[wimin]についてですが、私が英語史の本を読んだ記憶ではこういうものです。
>wifは今は妻の意味だが昔は女の意味。manをつけてwifman。fがmに同化し、wの影響でiが圓唇化且つ奥舌化し、woman[wuman]。複数形では[wi]が残ったが単数形の綴りの影響でwifmen>wimenであるべき物がwomenになり、oを[i]と発音する例外的な単語となった
→表記上の細かい突っ込みは可能ですが、大筋、私の書き込みと同じですよね。

>>当時の単数形(主格)は「マンース」、複数形(同)は「マンニズ」。なっていました。
>manns、mannisでしょうか?mannis>menはMunich>Münchenと似ていますね。
→manns, mannizです。a>{ae}>e という変化です。Munich>München はu>y
(英語では更にy>i)の変化です。
>「ドイツ語 Mann」で検索したらAlemannischkurs(南西ドイツの方言「アレマニッシュ」の発音、文法、単語集。 )が出ました.
→ドイツ語では mann, maenner ですね。複数語尾-iz が -er に変化して残っています。

>FRUIT BASKETの他にFRUIT PONCHもあったと思いますが如何でしょう。
>FRUIT PUNCH ですね。「ポンチ」は明治初期にイギリス語の[Λ]音を「オ」と
して受容した(「グローヴ」「モンキー」「トンネル」「トロッコ」など)名残と、蘭語
「ポンス(PONS)」との混交と、2つの影響が有ります。



あるまじろ ふるーつぽんち

高駒麗人KOMA (2003/07/06 13:36)

re taty & armadillo 投稿者:m.AN.iac C.さんへ
>アルマヂロ 漢語では「{犭九}狳」>私の見ている画面で「{ 九}・」
「[獣偏・九][獣偏・余]」の獣偏が空白になって「獣偏・余」が・(点)になっています。あるまじき現象です。北京語ではqiuyuチウユ[tc'iu-y]という発音のようです。発音を調べるのに苦労しました。
「」(三水に九)jiuはちゃんと見えますでしょうか?
http://cn.websearch.yahoo.com/search/web_cn?p=armadillo&b=51

センザンコウ漢名は「鯪鯉」
第一文字が・(点)に見えます。できれば字を御解説頂けませんでしょうか?
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%a5%bb%a5%f3%a5%b6%a5%f3%a5%b3%a5%a6+%c3%e6%b9%f1%b8%ec&hc=0&hs=0
(センザンコウのことを中国語で龍鯉 longli とも呼ぶそうなので、やはり竜魚=龍鯉=センザンコウと考えてよさそう。)

にれのやさん&ManiacCさんへ
私には Ta ljubit tu.は可愛らしい言葉に思えます。Onaの他にTaがあるとは知りませんでした。
[女也]taと似ていますが、漢語では
[女也]愛[女也]。 Ta ai ta.
[女也]喜歡[女也]。 Ta xihuan ta.
で「彼女は」も「彼女を」も ta で其処が違います。
Juliaユリア/ジュリアですが「北斗の拳」のユリアは“Fist Of The North Star”では Julia([演]鷲尾いさ子)でした。スターリンは英和辞書でJoseph Stalin等と書かれていますが、ロシア語では iosef stalin、ロシア文字で
Иосеф Сталинですね。するとイオセフ、イオシェフでしょうか。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/dewaruss/kirirumoji_kyosei.htm

ロシア人名を英語式に発音して日本語にするのは日本でロシア語を理解できる人が少ないからでしょうか。

http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/bbs/bbs0107.htm(ロータシズムRhotacism)
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=rhotacism&hc=0&hs=0
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/2061/mekarauroko.html(目からウロコの言語学)

woman[wuman]>women[wimin]についてですが、私が英語史の本を読んだ記憶ではこういうものです。
wifは今は妻の意味だが昔は女の意味。manをつけてwifman。fがmに同化し、wの影響でiが圓唇化且つ奥舌化し、woman[wuman]。複数形では[wi]が残ったが単数形の綴りの影響でwifmen>wimenであるべき物がwomenになり、oを[i]と発音する例外的な単語となった

>当時の単数形(主格)は「マンース」、複数形(同)は「マンニズ」。なっていました。
manns、mannisでしょうか?mannis>menはMunich>Münchenと似ていますね。
「ドイツ語 Mann」で検索したらAlemannischkurs(南西ドイツの方言「アレマニッシュ」の発音、文法、単語集。 )が出ました.

ロスケさんへ
FRUIT BASKETの他にFRUIT PONCHもあったと思いますが如何でしょう。

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%a5%bb%a5%f3%a5%b6%a5%f3%a5%b3%a5%a6+%b1%d1%b8%ec&hc=0&hs=0



re taty & armadillo

ロスケ (2003/07/06 10:45)

横からちょっと失礼します。

>m.AN.iac C.さん
>(英語で「椅子取りゲーム」は何と言うのでしょう? >ハワードさん)
イギリスはハワードさんにお任せするとして、アメリカではFRUIT BASKETがよく知られています。

http://www.milk.com/wall-o-shame/nutrition/Fruit_Basket.html



re taty & armadillo

m.AN.iac C. (2003/07/06 09:56)

>Мастеру Нирэное
■「Татуの補遺」と「tatou の椅子取りゲーム」という非常に有意義な書き込み
を有難う存じました。レスが遅れて済みません。何かこの2件に見合うだけの情報を
探していたのですが見つからず、ズルズルと引き延ばしてしまいました。
(英語で「椅子取りゲーム」は何と言うのでしょう? >ハワードさん)
■>та は、она の代用として使えることから、特別な含みはないように思います。
→それをお聞きして、やっとこさ、1つスッキリ致しました。
重ねてお伺いしたいのですが、та とонаの間に nuance は有るのでしょうか。
語が違う限り、全くの同義語というのは在り得ないと思っているのですが。
■>「タトゥー」 というファッションの社会的位置は、日本とたいして変わらないと思います。
→この場合の「タトゥー」は、「ファッション」という言葉から拝察致しますに、
個人で装飾としてする「彫り物」「刺青」「紋々」のことですよね。私の推測ですが、西洋
(ロシヤ)には刑罰としてする「入れ墨」「黥」や、宗教儀礼としてする「文身」は無いの
ですよね。日本には埴輪や魏志倭人伝からも「文身」が在ったことが窺われますが、
やはり、タヒティなどの南方的な要素なのでしょうかね、アイヌの方々も明治くらい
まではしていたようですが。……あまり関係有りませんが、「タトゥー」つながりでの
連想で、“Tiger! Tiger!”(by Alfred Bester)というSFの名作を想起しました。
■>当人にとっては、「おれは、ロシア語ではなくて、英語を発音してるんだぞ」 という意識の現われ
→彼は日本語の質問にロシヤ語で答えていたのですが、ロシヤのинтелли−
гентは、日本のインテリがCを「シー」ではなく「スィー」と言うように、
英語風の発音を織り交ぜて言う、ということでしょうか?

■さて。ロシヤ語で言うармадиллですが、英語の armadillo はスペイン語
由来のようです。調べて驚いたのですが、オオアルマヂロ以外の種に関しては、
1語で表す別単語が在るようですので、以下に記します。
 ミツオビアルマヂロ apar/アパァ/[Port. or Am.Sp.]=mataco/マターコウ/[Am.Sp.]
 ムツオビアルマヂロ peludo/パルードウ/[Am.Sp.]
 ココノオビアルマヂロ peba/ペバ/[Port.<Tupi]
と、大体、ポルトガル語かスペイン語からの借用のようです。
 日本語(和語)では「よろいねずみ」と言い、漢語では「{犭九}狳」と言うようです
が、これを一部漢和辞典で調べると「穿山甲の類」と書いてあります。アルマヂロは
貧歯目でセンザンコウは有鱗目だし、後者の漢名は「鯪鯉(『広辞苑』の「センザン
コウ」の語釈に有る「ラーリー」と同一物だと思われますが、「ラーリー」って何語
だ? 立項されてないぢゃん!)」「石鯉」のはずです。
 「{犭九}狳」も外来語っぽいですね。語源が判ったら知りたいところです。
massangeanaさんなら御存じでしょうか?



re man

Maniac C. (2003/07/06 00:34)

>モモさん
> manが複数形になるとmenになるのはなぜですか?
→えーとー。一言で言ってしまえば「ウムラウト」のためなのですが…。どの程度
詳しく御説明したら宜しいのかが判りませんので、取り敢えず、中学生程度の説明を。
「ウムラウト」というのはドイツ語のaやoやuの上に¨が付いているアレが有名
ですね。日本語では「母音変異」と訳されているのですが、これが解ると英単語同士の
関係を理解する幅が広がる、とても重要な音声変化です。
 話は英語が「英語」になる以前に遡ります。当時の単数形(主格)は「マンース」と
言い、複数形(同)は「マンニズ」と言いました。この複数形を早口で言ってみると
お判りになると思うのですが、「マ」が後ろの「ニ」の影響を受けて、「メ」に近い
音になりますよね? これが「ウムラウト」の起源です。強勢が有るaやoやuが
主に次のi(j)を先取りして音がeやiに変わり、元は後ろに在ったi(j)が消えて
しまうのです。英語が「英語」になったときにはもう、「マン(ー)」と「メン(ー)」
になっていました。
 同じようなウムラウト複数形は foot-feet や mouse-mice が在ります。前者は
o→eのウムラウトで、後者はu→iのウムラウトです。
 a→eと変わるのが昔の「規則変化」だということが解ると、動詞 sell/tell と
名詞 sale/tale の関係とか、原形 brangjan>brengan>bringen>bring と過去形
braht>broht>brought の関係とか、自動詞 fall と他動詞 fell の関係とか、be
動詞の単数過去形 was と複数過去形 were の関係とか、一気に謎が氷解して色々と
面白くなります。(あと、sがrになる「ロータシズム」とか「音位転換」とかも
解ると、更に幅が広がるのですが。)

>英単語の歴史についてのなにかお薦めの本やホームページがあれば教えてください。
→「英単語」だけだと難しいのですが、高校レベルの知識があれば読めるのは
ちくま新書の『英語の不思議再発見』(佐久間治)です。
是非「英語」の歴史まで手を広げていただきたいのですが、入手しやすいのは
講談社現代新書の『英語の歴史』(中尾俊夫)で、比較的読みやすいと思います。
 HPはUEJさんの「コトバ雑記」が勉強になるでしょう。
http://wedder.net/kotoba/



woman

tanabe (2003/07/05 23:42)

>>モモさん
和書なら「英語語源辞典」研究社、
洋書ならOxford English Dictionaryで調べてみましょう。
公立の図書館に行けばだいたいあると思います。



英語

モモ (2003/07/05 20:49)

maniac.cさんwomanの複数形についての答え有り難うございました.もうひとつお聞きしたいのですが、manが複数形になるとmenになるのはなぜですか?あと、英単語の歴史についてのなにかお薦めの本やホームページがあれば教えてください。



Re: 広東語の母音

massangeana (2003/07/05 13:43)

>広東語でoなのに、普通話ではuoになっている場合、後に生じた合拗音のようです
そうとも限りません。「坐・堕・螺・騾」などのばあい -u- はもとからあったものです。
だいたいにおいて広東語では gw kw ngw w いがい -u- は主母音と融合してしまいましたが
北京音では区別がかなり保たれています。



re infant

Maniac C. (2003/07/05 03:44)

>悠人さん
少し間が空いてしまいましたが、御覧になっておられるでしょうか?

>私は過去イベリア半島と中南米を旅行したことがあるというだけで、言語については
>まったくの素人なのでManiac C.さんの説明もわかったような
>わからないようななのですが(笑&涙)
→もしかしたら、説明を端折った、形容詞の名詞的用法の部分が原因かも知れません
ね。済みません。説明を補足します。
 英語なら“young and old”、日本語なら「老いも若きも」のように、名詞を伴わず
に、形容詞だけで名詞のように使う用法が有りまして。当然、分詞は形容詞なので、
infa¯ns にもそのような用法が有り。主格は3性同形なので区別が付かないのですが、
対格には男・女性形(infantem)と中性形(infa¯ns)の区別が有るので、男・女性形の
ときには「〜の人」、中性形のときには「〜の物・事」という意味になります。
 そこで、fa¯ri¯「話す」(動詞)→fa¯ns「話す〜」(形容詞)→infa¯ns「話さない〜」
(形容詞)→infa¯ns「話さない人」(名詞)となるわけです。
 この補足説明では如何でしょうか。

>説明を読んでいるうちにポルトガル語の『話す』が『falar』であることを思い出しました。
>こちらは、もろに『fantem』と関係がありそうですね。
→関係有ります。ポルトガル語の falar は、スペイン語では hablar で、ラテン語の
f¯abula¯ri¯ に遡ります。この語は名詞の f¯abula を動詞にしたもので、f¯abula は
英語では fable「作り話・伝説・寓話」となっています。で、f¯abula は fa¯ri¯ に
由来しています。
 他にラテン語 fa¯ri¯ に由来する英単語には、fabulous, fame, famous, fate,
fatal, confess, preface, profess などが在ります。同系の語まで範囲を広げれば、
ギリシャ語系には anthem, antiphon, aphonia, blame, blaspheme, diaphony, eu-
phemism, phone, prophet, symphony などが、ゲルマン系には abandon, ban, bandit,
banish, contraband などが在ります。



re:「private」

きしろふ (2003/07/04 18:46)

>U+3002さん
なるほど、陸軍の兵を「private」というんですね。
ありがとうございました。



private

U+3002 (2003/07/04 14:06)

きしろふさん
>だったらなぜ「private」で「二等兵」という意味になるんでしょうか?

アメリカ陸軍の下のほうの階級は、次のようになっています。

伍長 corporal
上等兵 private first class
一等兵 private E‐2
二等兵 private E‐1

「private」は、このうち「上等兵・一等兵・二等兵」を指します。
通常は「兵」「兵士」「兵卒」などと訳します。

兵より上の軍人(士官・下士官)は、部下に命令する立場にありますが、兵はそうではありません。
これが「private」と呼ばれるゆえんだと思います。

ちなみに、「private」を使うのは、陸軍と海兵隊だけです。
同等の階級は、海軍では「seaman」、空軍では「airman」です。
いっぽう、陸軍なら、どこの国の陸軍でも「private」です。
(陸上自衛隊の「陸士」も英語は「private」です)



ケルト語

ようこ (2003/07/04 09:47)

maniac Cさん色々ありがとうございます。そうでした。三つ葉でしたね。まちがえました。。。とにかく語源がわかって嬉しいです。大学のレポートに現代に残るケルト語について書かなければいけないのがあって。ありがとうございました



re SHAMROCK

maniac C. (2003/07/04 08:19)

>ようこさん
>shamlockのケルト語の意味も四葉を示しているのですか?
→まづ、現代語の意味の確認から。『ジーニアス英和辞典』には以下のように有ります。
1. オランダゲンゲ、シロツメクサ(英 white clover)
 〈◆アイルランドの国章;花言葉は「忠節」〉.
 ※引用者註: the badge of Ireland の図(三つ葉)有り。
2.三つ葉植物の総称〈wood sorrel, clover を含む〉.

『英語語源辞典』の解説には以下の通りです。
 …St.Patrick が三位一体を説くのに用いたという. …本来の shamrock は「クスダマツメ
 クサ」「シロツメクサ」または「コメツブウマゴヤシ」であったと考えられている. 現在はう
 す黄色の「コメツブツメクサ」を指すのが普通で, St.Patrick's Day (3月17日)にはこれ
 を小さく束ねて胸や帽子を飾る.

というわけで、元から植物の名前であり、「4」とは関係無いようです。



Re: ハンガリー

ロスケ (2003/07/04 04:01)

tanabeさん、「目からウロコ」の情報をありがとうございます!

> 古い教科書などではそう書いてあることもありますが、
> それは間違いです。
> もともとオノグルという民族名が語源です。

参考サイトを読ませていただきました。
実は今まで、マジャル族がなぜ「フン族の地」という名称を受け継いだのか、と何となく疑問には思っていたのですが、これで納得ですね。
これからもよろしくお願いします!



映画

きしろふ (2003/07/03 23:23)

『プライベート・ライアン』という映画がありますが、この原題は『Saving Private Ryan』で、今まで『プライベート・ライアン』を「ライアンの日常」なのかなと思っていたら、実は「ライアン二等兵」という意味だということを恥ずかしながら先日知りました。
だったらなぜ「private」で「二等兵」という意味になるんでしょうか?
ちょっとしたことですがお教え下さい。



ケルト語

ようこ (2003/07/03 22:32)

返答いろいろありがとうございます。もう一つ聞きたいのですがshamlockのケルト語の意味も四葉を示しているのですか?



ハンガリー(追伸)

tanabe (2003/07/03 21:55)

>>ロスケさん

なお「マジャール」ではなく「マジャル」です。
長音記号ではないので。



ハンガリー

tanabe (2003/07/03 21:51)

> 東方からウラル語族系民族が侵入したと考えられます。

民族と言語は必ずしも同一ではないので、
安易には考えられないと思います。

> 「ハンガリー」は、いわゆるゲルマン民族の大移動を誘発した
> トルコ・モンゴル語系フン族の土地(フンガリア?)という意味
> (突っ込まれても困る!)だと聞いたことがあります。
> 今のハンガリーはフン族を征服した
> ウラル語族のマジャール人の国だそうですね。

古い教科書などではそう書いてあることもありますが、
それは間違いです。
もともとオノグルという民族名が語源です。
詳しくはこれをどうぞ。
http://bosei.cc.u-tokai.ac.jp/~hukaya_s/Pages/Japanese_Pages/TakatuSiminKan/%90%AC%90l-%93s%8Es%82%C6%95%B6%96%BE-2002-1.pdf



広東語の母音

辻本裕幸 (2003/07/03 12:42)

さらにお訪ねしたいのですが、広東語でoなのに、普通話ではuoになっている場合、後に生じた合拗音のようです。多、左 普通話duo,zuo  広東語do,zo 。しかし普通話介母音母音uがあって、広東語ではeuになっている例がありますよね。酸 普通話suan 広東語seun  。この場合、中古音の介母音uと主母音が合流して複合母音eu(ウムラウトo)になったと言うことでしょうか?



フィンランド語

ロスケ (2003/07/03 03:50)

tanabeさん、Maniac C. さん、フィンランド語の情報をありがとうございました。
「ハンガリー語・サーミ語・フィンランド語」がウラル語族ということは、東方からウラル語族系民族が侵入したと考え
られます。
「ハンガリー」は、いわゆるゲルマン民族の大移動を誘発したトルコ・モンゴル語系フン族の土地(フンガリア?)という意味(突っ込まれても困る!)だと聞いたことがあります。今のハンガリーはフン族を征服したウラル語族のマジャール人の国だそうですね。
#だから何なの?・・・と言われても・・・・・(^^;;



中国の本2冊

にれのや (2003/07/03 02:09)

■先日、東京・神田神保町の 「東方書店」 にて、興味深い本を2冊ほど入手しました。

【速記(学生用書)―剣橋秘書証書考試指定教材】范立栄 主編/中国人民大学出版社
へええ、と思うことしかりです。特に何の役に立つというわけでもありませんが、眺めていると面白いです。値段も安いし。千円ちょっとなのに260ページもあります。

【外語地名漢字訳写導則―応用指南】民政部地名研究所 編著/中国標準出版社
これも、へええ、と思うことしかりです。書名を読んで字のごとし、外国の地名を中国語に転写するときのガイドブックです。対象は、英語、仏語、独語、ロシア語、スペイン語、アラビア語で、それぞれの言語の音声の解説、転写の規則、主要な地名の転写形などが掲載されています。これは実用的です。値段も安い。1500円くらいでした。



太宰治の新作発見と歴史的仮名遣い

にれのや (2003/07/03 01:07)

■先だって、太宰治の未発見の短編小説が発見されたとのことです。彼が、旧制高校時代に、「比賀志英郎」 なる筆名で同人誌に執筆した『彼』という作品です。
■興味を引く点は、この作品が太宰の作品であると断定された証拠の1つに 「仮名遣い」 のクセがあげられていたことです。
     「かう」 (正) → 「こう」 (太宰)
     「じつと」 (正) → 「ぢつと」 (太宰)
いずれも、太宰特有の誤りだそうです。そういえば、あたしは、太宰の作品の多くを、筑摩書房の全集で読んだので、「じっと」 というのは、戦前は 「ぢつと」 と書いたものだとばかり思っていました。



仏語における tatou の椅子取りゲーム

にれのや (2003/07/03 00:56)

【フランス語における tatou [タトゥー] という単語のイス取りゲーム】
ラルースの語源辞典から、tatou という綴りが、アルマジロに先取りされたようすを引用してみます。
   1553 tatou   アルマジロ=tupi 語 (ブラジル) の tatu より。
   1769 tatouer  刺青を彫る=Hawkesworth よりの翻訳語。英語 to tattoo より。タヒチ語 tatau より。
   1778 tatouage 刺青   =Cook よりの翻訳語。
つまり、英語の tattoo がいちばん早く南太平洋のタトゥーの風習を伝えたようです。フランス語では、ブラジルの先住民の tupi 族のコトバとバッティングしてしまったんですね。
 ロシア語で外国語と言えば、だいたい、19世紀までは 「フランス語」 と考えておくと便利です。



t.A.T.u. 補遺

にれのや (2003/07/03 00:52)

■Тату 補遺。Маниак-Ц-доно。
Та любит ту.
についてですが、та は、она の代用として使えることから、特別な含みはないように思います。
http://tatulife.kulichki.com/history.html
のページを見ますと、Тату は、シャポヴァーロフのまったくの思いつき (原文で имидж という単語が使われていて、しばらく考えてから、ほお、と。もちろん、辞書には出ていないです) に過ぎず、Тату というコトバじたいに、最初は意味がなかった、ということが書かれているので、она でなく、та を使ったのは、理由をあとづけしたためでしょう。
 もちろん、ロシア語として無理な用法ではありませんが、Та любит ту. という文章じたいは、標準的な日常会話で使いうるものではないでしょうね。かなり、特殊な文脈にしか現れないでしょうから。でも、われわれ日本人も、芸名などの語呂合わせについては、「それはコトバづかいがおかしい」 などとはあまり言いませんよね。
 「タトゥー」 というファッションの社会的位置は、日本とたいして変わらないと思います。ロシア語版Vogueなどは、渋谷のブック・ファーストあたりで見ることができますが、フランス版、イタリア版のヴォーグとほとんど内容は変わりません。文字がキリール文字だというだけです。
■シャポヴァーロフが [tat'tu:] というような発音をしていたのなら、それは、当人にとっては、「おれは、ロシア語ではなくて、英語を発音してるんだぞ」 という意識の現われだと思います。それと、ロシアのサイトを検索していて、татушка [タ'トゥーしカ] という単語が大量に使われていたのが目を引きました。意味は 「t.A.T.u. のメンバーのひとり」 のようです。たとえば、"татушка лена" のように使います。「タトゥーのレーナ」 の意味です。ロシア語で、女性の愛称をつくる接尾辞に -ушка というのがあります。
     дева ['ヂェーヴァ] (乙女) → девушка ['ヂェーヴゥしカ] (少女)
Тату は、ロシア語の単語としては破格の -у で終わるので、不変化ですし、どこまでが語幹かはっきりしませんが、そのへんは適当ということで
     Тату → татушка
となるわけです。
■上の記したページを見てもらうとわかりますが、t.A.T.u. のメンバーやマネージャーの名前が 「姓―名―父称」 の順になっているのがわかると思います。ある人物を紹介するような場合にも、名前はこの順番に記します。また、口語でも、叙勲とか任命のような正式の場で名前を呼び上げるときは、やはり 「姓―名―父称」 の順になります。ついでですから、メンバーとマネージャーの名前と読みと転写形をまとめておきます。
    【マネージャー】
     Иван Николаевич Шаповалов
     [イ'ヴァヌ ニカ'らーイヴィち しゃパ'ヴァーらフ]
     イヴァン・ニコラーエヴィチ・シャポヴァーロフ
    【ユーリャ】
     Юлия Олеговна Волкова
     ['ユーりヤ ア'りぇーガヴナ 'ヴォーるカヴァ]
     ユーリヤ・オレーゴヴナ・ヴォールコヴァ
     愛称は Юлия から Юля ['ユーりゃ]
    【レーナ】
     Елена Сергеевна Катина
     [イ'りぇーナ シル'ギェーイヴナ 'カーチナ]
     エレーナ・セルゲーエヴナ・カーチナ
     愛称は Елена から Лена ['りぇーナ]
     ※当人は、Леночка ['りぇーナちカ] レーノチカとサインしている。
■以上。



ケルト語 歴史的仮名遣い women

maniac C. (2003/07/03 00:17)

>U+3002さん
>もとから「わ・い・う・え・お」の語も少数(とはいえ10や20ではない)あります。
>例: 泡(あわ) 刃(やいば)
→存じております。説明するお相手がハワードさんですので、単純化しました。
他にも色々な突っ込みが来ることを覚悟していたのですが、今のところ、U+3002さん
だけのようですね。
でも、「刃」は「焼き+刃」のイ音便で、「もとから」イというわけではありません。
敢えて挙げるとすれば「おい」「老い」「悔い」でしょう。「う」の例としては「植う」「飢う」
「据う」が在りますし、「え」の例は「消え」「越え」「肥え」「冴え」「栄え」「饐え」「聳え」「絶え」
「萎え」「煮え」「生え」「映え」「栄え」「稗」「冷え」「増え」「吠え」「見え」「燃え」「萌え」、「ゑ」
の例は「うゑ(飢ゑ・植ゑ)」「こゑ(声)」「すゑ(末・陶・据ゑ)」「つゑ(杖)」が在ります。

>ようこさん
 U+3002さんが挙げていない語を。
corgi, eisteddfod, flannel, flummery, (sea-)gull, bog, colleen, glen, shamrock,
cairn, clan, slogan, whisky などもケルト語起源です。

>モモさん
>英語のwomanはなぜ複数形になるとウィミンと発音されるのですか?
→歴史的に言えば、「ウィメン」が単数形になると、「ヲゥマン」と発音されるのです。
「女性」は、古くは「ウィーフ」と言いました。これに「人」を表す「マン」が付いて
「ウィーフマン」となり、「フ」が後ろの「マ」に同化して、「ウィンマン」となり、
やがて「ウィマン」と言う時代が暫く続きました。現代の「ヲゥマン」という発音は、
15Cまでは西部方言の語形でした。
 母音をはっきりと発音していた時代は「ウィマン」と「ウィメン」は意味のある違い
でしたが、弱い音節の母音が曖昧に発音されるようになると、区別が付かなくなりました。
そこで foot:feet の類推から、「ヲゥマン」と「ウィマン」となり、さらにその違いを
強調するために、複数形の第2音節の母音が、曖昧な発音から、第1音節に近い発音へと
変化しました。現代の複数形の綴りは、単数形の綴りに合わせて変えられたものです。



womanの複数形

モモ (2003/07/02 20:54)

英語のwomanはなぜ複数形になるとウィミンと発音されるのですか?



Re: 歴史的仮名遣い

U+3002 (2003/07/02 16:49)

Maniac C. さん
>■語頭以外の「わ」「い」「う」「え」「お」は、「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」と書く。

もとから「わ・い・う・え・お」の語も少数(とはいえ10や20ではない)あります。
例: 泡(あわ) 刃(やいば)

もちろん「ゐ・ゑ・を」だった語もあります。
例: 藍(あゐ) 青(あを)



Re: mについて

massangeana (2003/07/02 15:50)

>語頭の鼻音と語尾の鼻音が隣りあうのを避けたとか?
となりあっているのは鼻音でなくて唇音ですね。おっしゃるように異化作用によって
-m が -n になったものと考えられます。「法」が faat になるのも同じ理由です。



Re: 母音の対応関係

massangeana (2003/07/02 15:48)

「棒」が広東語で baang になる理由はよくわかりません。中古音で同じ韻の「江・講」などは -ong
ですが, いちぶ -aang になっているようです。
なお「盲」が maang になるのは規則的で, この字は「猛」と声調ちがいですので, 北京で mang
になる方が例外的な変化です。



Re: ケルト語

U+3002 (2003/07/02 14:44)

普通名詞: brock, cross, manger
地名: Dover, Kent, London, Thames
人名: Conan, Donald, Milligan

なんかがケルト語といわれています。
語源には詳しくないので、個々の語の信憑性は保証しません。



ケルト語

ようこ (2003/07/02 13:53)

現代英語に残っているケルト語はどのようなものがあるのですか?



母音の対応関係

辻本裕幸 (2003/07/02 12:33)

一例を出して言うなら、日本語漢字漢音旧仮名遣いでアウと発音する漢字の多くは、普通話の母音angに対応している。そのまた、angは広東語のongのほとんどに対応している。港カウ>gang>gong。しかしです。
 日本語カウ>普通話angまで同じなのに、広東語ではaangになってしまっている漢字がある。棒ハウ>bang>paangなど。なぜ日本語漢字音と普通話でほぼ一方通行アウ>angに対応しているのに、広東語に来るとong、aangと二股になってしまうのか?こういう例が他にもたくさん見つかりましたが、どうしてこのようなことが起こるのですか?



mについて

辻本裕幸 (2003/07/02 12:26)

広東語は結構、鼻音尾−mを保存しているでしょう?金gam 心samとか。しかし日本語漢字漢音旧仮名遣いでハムと書く漢字。犯、帆、範、凡はすべて、広東語ではfaanと発音する。ヒム品もbanになっている。他はだいたい日本語漢字旧仮名遣い−ムと広東語−mは対応しているのに、どうしてハ行の物だけは、広東語も−nになっているのか?語頭の鼻音と語尾の鼻音が隣りあうのを避けたとか?



re тату

m.A.N.niac C. (2003/07/02 04:47)

にれのや師匠、すばらしいコメントを有難う存じました。
■тату自体が登録されていない(公的には認められていない)単語なのですね。
彼女たちの社会的存在をも表しているようで、非常に興味深い事実です。
■プロデューサー兼マネージャーのイヴァン・シャポヴァーロフ氏の会見を聞いてい
ますと、彼は頻りに「タットゥ」と言っておりました。「へぇ、ロシア語にも『ッ』
があるんだー」と思いながら聞いていました。
■彼女たちは、日本語的に「ジュリア」「レナ」と紹介されていますが、やはり彼女
たちの行動を追った報道を見ていたら、短髪の方が長髪の方を「リェーナ!」と呼ん
でいる場面が在って、「おお、『レ』は軟子音であったか!」と認識を新たにしたり、
外国語講座でもなければ、生のロシヤ語に接する機会があまり無いので、なかなか
新鮮でした。「ジュリア」も、ロシヤ語的には「ユーリャ」ですよね?
■【Та が Ту を愛してるから】で質問なのですが。
тотは、этоに対して、「遠く」のものを指し示す代名詞ですよね。英語的に
考えると、that は、物理的・心理的に「遠く」のものを指し示すわけですが、ロシヤ
語でもそうでしょうか? だとすると、
>―あたしたちは、ただ愛し合ってるだけよ……
>―では、なぜ、Тату と?
>―Та が Ту を愛してるから。
という対話で、「あたしたち」=тотという転換が今一諒解できないのです。
日本語では、「あの子」と言うと、「物理的・心理的に遠い子」のほかに、わざと
特定の人をぼかした「君も私も知っている彼女」という用法も在りますから、そういう
用法がロシヤ語にも在るのなら、納得も出来るのですが。ここら辺はいかがでしょう?
■英語の t.A.T.u. という綴りは、なぜ?
 あまりにt.A.T.u.の方が検索に引っ掛かってきてしまって未確認なのですが、
オーストラリアに Tatu というアーティスト(個人か団体かも不明)がいて、それと
カブるから、という情報が在ります。



res: こてん&フィンランド人

Maniac C. (2003/07/02 03:44)

>ハワードさん
>英語を教えていた時私の生徒がこて?こてん??こうてん??何かそんなもので、何かわからないものを呼んでいましたが、すみません、これは漢字で何と書きますか??あと、これと昔のカナ振りは関係がありますか?
→「古典(こてん=classics)」ですね。関係あります! 日本では、第二次世界大戦
で連合国に負けるまで「古典仮名遣い」「歴史的仮名遣い」または「旧仮名遣い」と
呼ばれる表記法でした。これは先述のように、約1200年前の日本語の発音に基づいた
表記法ですので、現代の日本語とはいくつかの点で違っていました。
■語頭以外の「わ」「い」「う」「え」「お」は、「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」と書く。
 (「バイキンマンの法則」とか「和田アキ子の法則」と言うと受けるネタなのですが、
 ハワードさんは、両者ともご存じではないですよね?)
■現代では区別しない「い」「ひ」「ゐ」、「え」「へ」「ゑ」、「お」「ほ」「を」の区別が有る。
 「ゐ」「ゑ」は、それぞれ[wi][we]の発音を表した平仮名です。
■現代標準語では区別しない「じ」「ぢ」、「ず」「づ」の区別が有る。
 今から500年ぐらい前までは、「ぢ」「づ」は、[di][du]と発音されていました。
■小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」を書かない。
■「ん」や「っ」も書かないことがある。
■現代標準語では区別しない「おう」「おふ」と「わう」「あう」「あふ」の区別が有る。
 英語の no/know と gnaw の違いに近い、ΟとΩの区別です。
■現代標準語では区別しない「か」「くゎ」、「が」「ぐゎ」の区別が有る。
■現代ではあまり区別しない「ん」「む」「う」の区別が有る。
 例えば、「馬」「梅」は多くの人が文字通り[uma][ume]と発音しますが、伝統的な発音
 は[mma][mme]です。昔、「琴ヶ梅」という力士がいまして、NHKでは「コトガンメ」
 と言う人がいました。
実例を挙げると、いかに現代語と違うかが解るでしょう:
「こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか」=
「コイスチョー ワガナワマダキ タチニケリ ヒトシレズコソ オモイソメシカ」。
真ん中は今も昔も同じ書き方ですが、始まりの部分と終わりの部分が違います。これ
は百人一首(ひゃくにんし、the Hundred Poems by One Hundred Poets, the playing
cards of one hundred famous poems)中の一首ですが、もしこれを現代仮名遣いどおり
「コヒステフ ワガナハマダキ…」と読み上げたら、大混乱・大爆笑になるでしょう。
(意味: 私が恋をしているという噂が早くも立ってしまった。私は人知れず密かにあの
人を思い始めたのに。)

>フィンランド人が羨ましいです。。。彼らの英語は少し面白いですが。全て後ろ向きに放す人がいますよね。"With you go will I."とか。これは偏見かも知れませんが。
→フィンランド語は、文法面でも日本語と似た部分があります。格語尾が多いとか、
否定形の活用が別にあるとか、「〈所有者〉に〈所有物〉が存在する」と「〈場所〉に
〈物〉が存在する」を同じ構文で言うとか。親戚のモルドビン語やサモエード系ネネツ
語では、形容詞や名詞にも過去形があります。
 「後ろ向きに放す(sic)」には、いくつかの理由が考えられます。フィンランド語では、
語順は比較的自由ですが、普通は、英語と同じ、主語→動詞→目的語の順になります。
では、どういうときに語句の移動が起こるかと言いますと:
■相手に伝えたいと思う「新しい情報」は文末へ持って行く。
■話題化によって強調される語は文頭へ持って行く。
という規則があります。また、未来形の表現にも原因があり、フィンランド語では、tulla
(英語の to come に当たる語)+第3不定詞入格、または olla(英語の to be に当たる語)
+現在分詞で、未来を表す表現になるのですが、後者の場合、場所などを表す adjuncts
は文頭に置かれることが多いのです。ですから、フィンランド語を逐語訳すると、"With
you will go I."「あなたとは、私が一緒に行きたい。」という文が出来上がることも
あるのです(なるべく近い意味で英語にするとしたら”With you, it is I that shall
go.”となるでしょうか)。

動詞の区別に関しては、皆さんがほぼ余す所なく書き込みしてくださっていますので、
ひとまづは私の出る幕はなしですね。



日本語の動詞変化

U+3002 (2003/07/01 17:10)

ハワードさん
>昔、日本語の先生が語幹が何何・・・といっているのを思い出しますが、詳細を覚えていません。"行く"の語幹がik-と話していた気がしますが、彼はそうやって日本語の動詞変化を説明していました。誰かこれについて知っていますか?

一段動詞「食べる」の語幹は/tabe/、五段動詞「行く」の語幹は/ik/です。
一段動詞は、語幹が母音で終わり、五段動詞は語幹が子音で終わります。
日本語の動詞変化は、この語幹にさまざまな語尾がついて実現します。
そのさい、子音+子音または母音+母音となったばあい、あとの音が消えます。

「〜ない」語尾/anai/
*/tabeanai/ > /tabenai/
/ikanai/
「〜う」語尾/yoH/
/tabeyoH/
*/ikyoH/ > /ikoH/
「〜ます」語尾/imasu/
*/tabeimasu/ > /tabemasu/
/ikimasu/
「〜た」語尾/ita/
*/tabeita/ > /tabeta/
/ikita/ > /iQta/ (音便)
終始形語尾/ru/
/taberu/
*/ikru/ > /iku/
「〜れば」語尾/reba/
/tabereba/
*/ikreba/ > /ikeba/
命令形語尾/ro/・/re/
/tabero/
/ikre/ > /ike/

*は、(実在した古形ではなく)、推定上の、あるいは解釈上の語形であるという印です。
命令形は例外的に、一段動詞と五段動詞で語尾が少し違います。
/‐k/・/‐g/・/‐t/・/‐n/・/‐b/・/‐r/・/‐w/で終わる五段動詞語幹+/ita/は、最後にしょうしょう複雑な音韻変化をします。

ただし、このような活用表は、日本人向けの辞書や文法書には載っていません。
学校教育では、/ikanai/を語幹/ik/+語尾/anai/ではなく、語幹/i/+語尾/ka/+助動詞/nai/に分割します。
こうすることのメリットは、「子音+母音」を分割せずにすむこと以外に、あまりありません。



フィンランド語

tanabe (2003/07/01 13:38)

>>ロスケさん

同地域のサーミ語も同じウラル語族なので、
別に珍しいわけではないのでは?
むしろ、ハンガリー語のほうが
地理的に離れていて珍しいかと。

ネタとしては「指輪」という言葉で、
ゲルマン語の多くでは失われてしまった音が、
保存されているというものがあります。
(たぶん松村先生のwebサイトに載っています)



動詞の区別

zo- (2003/07/01 13:00)

ハワードさん

>ところで、ふとした(素朴な??)疑問ですが、日本語のネイティブスピーカーはどうやって一段動詞と五段動詞を区別していますか?昔、日本語の先生が語幹が何何・・・といっているのを思い出しますが、詳細を覚えていません。"行く"の語幹がik-と話していた気がしますが、彼はそうやって日本語の動詞変化を説明していました。誰かこれについて知っていますか?

国語の授業では、否定の「ない」をつけたとき、前の字の母音がアの時は五段動詞(「行かない」「書かない」「聞かない」等)、エの時は下一段動詞(「食べない」「出ない」等)、イの時は上一段動詞(「いない」「起きない」等)のように区別します。

日本語教育では、「○○ます」から辞書形(原形)に換えるには、「ます」の前がエだったら2類動詞(この場合は下一段活用)で、そのまま「ます」をとって「る」を付ける(「食べ『ます』」→「食べ『る』」等)、「ます」の前がイだったら、1類動詞(5段動詞)か、2類動詞(この場合は上一段動詞)の可能性があるが、「ます」の前が1文字なら必ず2類動詞(「見ます」「います」等)、そうでなければ単語を覚える時、これは1類(五段)、これは2類(上二)と覚えなければなりません、というような感じで区別してると思います。

Maniac C.さん、こんな感じでどうでしょうか?



フィンランド語

ロスケ (2003/07/01 04:51)

>ハワードさん
> 前大阪で落語を見ました。少し昔の表現を使っていますか?私にはあんまり
> わかりませんでした。

関西の落語家を代表するのは桂米朝(かつらべいちょう、1925年生まれの78歳)です。
米朝さんが復活させた古い落語に「地獄八景亡者戯(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)」という一時間を越える大作があり、その中にアメリカ人が取り上げられています。地獄に落ちた人が道を尋ねるシーンで、いろいろな宗教の特徴を一言でうまく表していて笑えるんです。雑駁(patchy)に書けば、「天理教教会はどこ?」と聞くと「門前で法被(はっぴ=happi coat)を着てお掃除をしている家がそうです」とか。アメリカ人が出てくるのは「自転車に乗って二人一組で回っているのがモルモン教の宣教師です」なんて面白いでしょう?。

> フィンランド人が羨ましいです。。。彼らの英語は少し面白いですが。全て後ろ向きに
> 放す人がいますよね。"With you go will I."とか。これは偏見かも知れませんが。

ははぁ、後ろから話しますか・・・それでFinnishという?(座布団取れっ!)←こういうのもあります。
フィンランド語はあの辺では珍しいウラル語族(アルタイ語族と似ている)なんですよね。この辺、どなたか面白い解説を聞かせてください。



t.A.T.u. の語源2

にれのや (2003/07/01 01:38)

■【t.A.T.u. の語源は何か?】
ロシアの検索エンジンに тату をかけたら、とてつもない数字があがってきました。膨大な t.A.T.u. のファンの書き込み、それに、「刺青」 に関する学術的なページ。こうなると、データがないのと同じです。Yahoo! で↓のページを見つけました。ここにすべて書いてあります。
http://tatulife.kulichki.com/history.html
要は、マネージャー、イヴァン・シャポヴァロフの思いつきにすぎない、ということです。初めに浮かんだ名前が Вирус [ヴィールス] (社会のヴィールスというコンセプトだったんでしょう)、それから ОРЗ [オエルゼー] (辞書にないんですが、「急性呼吸器不全」 というような意味だと思います)、そのあとで浮かんだのが Тату [タ'トゥー] で、ただの思いつきだということです。この名前に関する噂はここから始りました。↑のページに、t.A.T.u の最初の記者会見でのやりとりが載っています。
     ―きみたちはレズビアンなの?
     ―あたしたちは、ただ愛し合ってるだけよ……
     ―では、なぜ、Тату と?
     ―Та が Ту を愛してるから。
     ―では、なぜ、こんな騒ぎを起こすの?
     ―あたしたちは、若い人を感動させる歌を歌ってるの。みんなに自分の感情を表に出して欲しいのよ。
     ……
つまり、この時点ですでに、Тату の名の由来を設定して言っているわけです。それに、先日のTBSでのインタビューでは、背中にタトゥーを描いてあるようすが映っていました。「なぜ、こんな騒ぎを?」 というのは、日本のコギャルなみのことを、つい20年ほど前までは厳しいタガのはまっていた社会でやらかしていることを指しているんでしょう。実は、彼女たちの世代は、ソ連邦という国を実質的に知らないんですね。共産主義崩壊後の爆裂第一世代かもしれません。
■【Та が Ту を愛してるから】
ロシア語の
     Та любит ту.  [ター・'りゅービット・トゥー]
という文章は、英語の She loves her. に当たります。ただ、ロシア語の本来の 「彼女」 という単語は она [ア'ナー] であり、これを使うと
     Она любит ее.  [ア'ナー・'りゅービット・イ'ヨー]
になります。
 ロシア語には、тот [トット] という指示代名詞があり、(1)その・あの (2)その人・あの人;そのこと・あのこと、という意味です。ちょうど英語の that に当たりますが、ロシア語の場合は、「男性、女性、中性、複数」 の区別があり (тот、та、то、те)、格による変化もします。そのため、та というと、単なる that ではなく、"that girl", "that woman" の意味になるのです。そのため、та は она と同義に使いうるのです。そして、та の対格(直接目的語)が ту です。ですから、「彼女は彼女を愛してる」 は、
     Та любит ту.
になります。любит ['りゅービット] は、動詞 любить (to love) の三人称単数形です。ロシア語は、格変化語尾が、さほどスリ切れていないので、ラテン語のように、かなり語順は自由がききます。また、格が明示されることで、動詞を略しても意味が通じることがあります。実際、ロシア語のスローガンで、「〜に〜を」 式のものは、「与格―対格」 で表しうるので、動詞は略されることが多いようです。そういうわけで、
     Та ту
と言っただけでも、「彼女は彼女を」 という意味にも取り得るわけです。
■以上、t.A.T.u. に関する報告でした。ただ、1つ不思議なことが。英語の t.A.T.u. という綴りは、なぜ?



t.A.T.u. の語源1

にれのや (2003/07/01 01:37)

【t.A.T.u. [タトゥー] について ※ただし、中森明菜の歌ではありません】
t.A.T.u は、トレヴァー・ホーンのプロデュースになるもの、とFMなどで聞いていたので、てっきり、ロシア語は関係ないんだと思っていました。m.A.N.iac.C氏の指摘により、調べてみて、「ほう」 と思ったしだいです。
■【ロシア語に тату という単語がない!】
これは、驚きました。どんなに大きな辞書を調べても載っていません。では、使われていないかというとそうではありません。日本語で言えば、国語辞典に 「タトゥー」 は載っていないが、現実には使われている、というのと同じような状況です。英語の tattoo に対応するロシア語の綴りには、次のようなバリエーションがあります。
     тату [タ'トゥー]
     татту [おそらく、タッ'トゥー]
     тэту [テ'トゥー]  これは用例が少ない。
いずれも、「タトゥー」、「刺青」、「彫物(ほりもの)」 の意味です。тату-салон などという、日本人でも想像のつく語形で使われていたりします。
 なぜ、ロシア語の辞典に тату がないか、というのが少しおもしろいので。ロシア語の正式な語彙で 「刺青」 を表す単語は、татуировка [タトゥイ'ローフカ] です。そして、その派生元の動詞 「刺青を彫る」 は татуировать [タトゥ'イーロヴァチ] です。実は、これらは、フランス語の tatouage [タトゥアージュ]、tatouer [タトゥエ] の翻訳借入語なのです。実は、тату という語が正式語彙になれなかった理由がここにあります。フランス語では、「刺青」 を tatouage とは言いますが、tatou [タトゥー] とは言わないのです。なぜかと言うと、フランス語で tatou という単語は、「アルマジロ」 を表す語彙として、すでに使われていたからなのです。そんなフランス語のせいで、ロシア語には тату が生まれなかったのです。おそらく、ヨーロッパの探検家たちが南太平洋の島々を探検して、さまざまな動植物や風習など、博物学的な文物が紹介されたころの話だと思います。ソ連邦の崩壊後、西欧のファッションがドッと流れ込んでくるなかで、тату も入り込んで来たのですが、本来、英語の tattoo の転写ならば、тэтту となるべきところ、そのような語形にならなかったのは、すでにロシア語の語彙にあった татуировка の影響だと思います。



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