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My Favorite Songs 私が好きな日本の流行歌   茶文字はYouTubeに動画があります

                 池田博明    2016年4月10日

順位  歌    歌 手  作 詞 者  作 曲 者
なごり雪 イルカ 伊勢正三 伊勢正三
歌詞が美しい。語る言葉がのぼり調子に変わってゆく過程が見事である。“去年よりずっときれいになった”という繰り返しも美しい。 
夕 立 (1982年映像) 井上陽水 井上陽水 井上陽水
追い立てられるような切迫感がたまらない。「青空ひとりきり」など『二色の独楽』に納められたどの曲も好き。
綱 渡 り 山アハコ 山アハコ 山アハコ
LP『綱渡り』は名作だった。孤独な,孤立した心の歌。連帯?知らないよというパセティックな響きが心を打つ。
渡哲也が映画『無頼』シリーズの主題歌として歌った「無頼」(歌詞が問題になり発禁)や、 北海道大学でよく歌われていた「水産放浪歌」を高吟していたころ、もうひとつの心の歌だった。
舟 唄 八代亜紀 阿久 悠 浜圭介
「お酒はぬるめの癇がいい」という決め付けが素晴らしい。勝新も八代亜紀が大好きだったらしい。 勝新のカルトTVドラマ『警視K』には「雨の慕情」がBGMとしてしょっちゅう流れていた。「舟唄」は大傑作。
 阿久悠作詞は『ざんげの値打ちもない』(北原ミレイ歌)が鬼気迫る。なかにし礼作詞・浜圭介作曲の『石狩挽歌』(北原ミレイの歌唱のほか八代亜紀歌唱もある)も素晴らしい。
しあわせ芝居 (1980年映像) 桜田淳子 中島みゆき 中島みゆき
「わたし,みんな気付いてしまった。しあわせ芝居の舞台裏」という認識は,新しい哲学である。 中島みゆき=桜田淳子には「追いかけてヨコハマ」という佳曲もありました。みゆきは淳子に「20才になれば」「化粧」も提供している。中島みゆき自身の歌唱「しあわせ芝居」もある。 このときは桜田淳子の歌マネを披露している。そっくり! 中島みゆきは中学時代に隣りのクラスに転校してきました。3年生の途中に再び転校して去っていきました。「時代」は せつない佳曲です。
聖母たちのララバイ 岩崎宏美 山川啓介 木森敏之,John Scott
岩崎宏美ほど歌のうまい歌手は他にいない。「思秋期」「ロマンス(1975年紅白映像)」なども傑作。
愚 図 研 ナオコ 阿木耀子 宇崎竜童
阿木・宇崎コンビには『横須賀ストーリー』など山口百恵の歌った名曲があるが,女シラノを歌った研ナオコの「愚図」はせつない佳曲である。 研ナオコには「あばよ」(中島みゆき作詞作曲)もある。
石狩挽歌 なかにし礼 浜圭介 北原ミレイ
荒涼としたニシン御殿が眼前に浮かぶ。オンボロロ、オンボロボロロという歌詞が凄絶。北原ミレイでは「ざんげの値打もない」も凄絶な歌だが、「石狩挽歌」は歴史につながった。多くの女性歌手がカバーしている
シューベルツ 北山修 端田宣彦
北山修がビートルズのジョン・レノンのように見えていた時期があった。なぜなら彼の書く詩は時代を捉えていたからだ。「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもういちど」など。「風」はフォーク・クルセィダーズが解散した直後のヒットだったが,後ろをふりかえってもただ風が吹いているだけという虚無的な風景には真実があった。
聞き直してみると、二番を歌う井上博(1970年に逝去)の音程の微妙なハズレ方は真似できないほど味わい深い。その後、たまの「さよなら人類」まで、 個人的に注目したバンドはいない。 
10 浅草の唄  藤山一郎 サトウハチロー 万城目正
森崎東監督の傑作映画『喜劇・女売り出します』(松竹)で, 浅草を背景に流れる印象的な歌。昭和22年のヒット曲で,一節に「強いばかりが男じゃないと、いつか教えてくれた人」という歌詞がある。
11 ひこうき雲  1976年TVライブ  荒井由実 荒井由実 荒井由実
シンガー・ソング・ライターのファースト・アルバムにはそのひとの人生の思いのたけが表現される。 ユーミンの『ひこうき雲』は素晴らしいアルバムだ。NHKで「MASTER TAPE」と題したこのアルバムができるまでを振り返る番組があった。 バックに、はっぴい・えんどが協力している。ユーミンのこのアルバムは最初で最高。
ファーストアルバムとしては、山崎ハコの『飛びます』も中島みゆきの『私の声が聞こえますか』も素晴らしい。
12 ええねん ウルフルズ トータス松本 トータス松本
すべてを肯定する勢いのよさがある。ビートルズの『イエロー・サブマリン』では、「NO」の国が「YES」の国に変わることが主題だった。それと共通する精神がある。NHKの「サラリーマンNEO」のテーマソングに採用された。
13 ありがとう いきものがかり 水野良樹 水野良樹
NHKの朝の連続TVドラマ『ゲゲゲの女房』の主題歌。 ボーカリスト(吉岡聖恵)の声の伸びも詞と曲のセンスも突出して優れていた。2011年ウィーン少年合唱団の公演レパートリーに「YALLE」と共に取り込まれていた(公演は東日本大災害で中止)。さすがウィーン。
14 イジメ、ダメ、ゼッタイ BABYMETAL NAKAMETAL・TSUBOMETAL KxBxMETAL・TSUBOMETAL・TAKEMETAL
こんな歌詞が歌になるのかという驚き。歌詞に表現された精神性は斬新で本質的。「メギツネ」の日本音階との融合、「ギミチョコ!!」の日本語の響きなど既に現代音楽。ダンス・パフォーマンスは新鮮。

  


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 My Favorite Child's Songs 私が好きな童謡   茶文字はYou-Tubeに動画があります
                          池田博明    2008年5月5日

        原則的に、作者一篇として選出しました。各曲の解説は<池田小百合「なっとく童謡・唱歌>を参照して下さい。

順位  歌   <Singer>  歌いだし  作 詞 者  作 曲 者
かわいいかくれんぼ <安西愛子> ヒヨコがね、お庭で サトウハチロー 中田喜直
戦後日本の童謡の最高傑作。この童謡には,「情景」があり,「物語」があり,「変化」がある。このコンビには他にも「わらいかわせみにに話すなよ」「ちいさい秋みつけた」などの傑作がある。
サッちゃん  <真理ヨシコ 2000年> サッちゃんはね、サチコって 阪田寛夫 大中恩
この詩は話し言葉で書かれていて歌になりにくいリズムである。それを見事に歌にしてしまった大中恩,天才の仕事である。
あの町この町 あの町この町 日が暮れる 野口雨情 中山晋平
次第に日が暮れていく情景を描いた不思議な作品。野口雨情以外の誰が遊びから帰って星が出るほど暗くなるまでを童謡にしようと考えるだろうか。野口・中山コンビには名作「シャボン玉」「黄金虫(こがねむし)」もある。
おかあさん <映像なし> おかあさん、おかあさん 西條八十 中山晋平
ただ母親に呼びかけるだけの言葉が歌になっている信じられない傑作。西條・中山コンビには名作「肩たたき」(かあさん,お肩をたたきましょ)もある。結城よしを作詞・山口保治作曲の「ナイショ話」も同じ系統の傑作である。
夕 日 ぎんぎん ぎらぎら 葛原しげる 室崎琴月
夕日を「ぎんぎんぎらぎら」と表現した鮮やかさは比べものにならないほどの表現力である。
春よ来い  <伴久美子> 春よ来い、早く来い 相馬御風 弘田龍太郎
春が待ちきれない思いを歌った傑作。春を歌った童謡には「どこかで春が」「春の小川」など傑作が多い。
汽車ポッポ  <岩崎きよみ> お山のなかゆく 汽車ポッポ 本居長世 本居長世
歌詞が走り出したら止まらない汽車の疾走感をよく表現している。本居長世作詞・作曲の勢いのある大傑作。
おつかいありさん  <岡崎裕美> あんまりいそいで こっつんこ 関根栄一 団伊玖磨
団伊玖磨の童謡はまどみちお作詞の「ぞうさん」が有名で3拍子の異色童謡である。リズム感のある「おつかいありさん」も捨てがたい。
からすの赤ちゃん <小沼紀恵> からすの赤ちゃん なぜ泣くの 海沼実 海沼実
海沼実には優しい童謡が多い。「やさしいおかあさま」「里の秋」「夢のお馬車」「みかんの花咲く丘」「蛙の笛」、リズミックな名曲「おさるのかごや」「あの子はたあれ」「ちんから峠」「見てござる」など。
10 う み  <田中星児> 海は 広いな 大きいな 林柳波 井上武士
文部省唱歌には自然の情景を歌った傑作があった。他にも「月」(出た 出た 月が)がある。
11 さんぽ <英語版> 歩こう 歩こう わたしは元気 中川李枝子 久石譲
映画『となりのトトロ』のオープニング・テーマである。エンディング・テーマは「となりのトトロ」(宮崎駿作詞,久石譲作曲)。 どちらもリズムや音を取るのが難しいと思われるのだが、現代ッ子は耳から覚えて上手に歌うことができる。





 My Favorite Operas 私が好きな歌劇 ベスト3   
                          池田博明    2012年7月22日

        原則的に、作曲者一作品として選出しました。映像で見られる作品です。各曲の解説は『モーツアルトの歌劇』を参照。

順位  歌 劇 名  作 曲 者  作曲年  DVDの演出
コシ・ファン・トゥッテ モーツァルト  1790  ポネル演出
モーツァルトのオペラからひとつを選ぶとしたら、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』? あえて私は『コシ』を選ぶ。このオペラのポスト・モダンな感覚は突出していると思う。モーツァルトを複数選ぶことにしたらモーツァルトだらけになってしまう。『後宮からの誘拐』や『偽の女庭師』(モネ劇場)もいい。
ポッペアの戴冠 モンテヴェルディ  1642  ポネル演出
悪党が勝利してしまうという非倫理的なモンテヴェルディ晩年のオペラである。唖然としてあいた口がふさがらない。こんな終わり方があっていいの?という作品である。
リゴレット ヴェルディ  1851   ポネル演出
私が中学生のときに最初にLPを購入して聞いたオペラで、それからもう何回見聞きしたかわからないほど繰り返しスコアを見ながら聞いた。ヴェルディの劇的な作曲法が理解できたような気がする。ヴェルディの歌劇ではゼッフィレッリ演出の映画『椿姫』も素晴らしい。