ポートランド日記                                     スズキメディア

11月16日(金)──108日目


 大学のスピーキングの授業は、説得のスピーチの第一回目。五人がスピーチしたが、テーマは、「自殺」「デジタルカメラ」「大学生の退学」「ホームレスの救済」「自動車免許」。説得のスピーチ自体がが難しいのか、十分のスピーチなのに、五分足らずで終わってしまう人も多く、あまり面白くなかった。デモンストレーションスピーチは、みんないろいろ趣向を凝らして面白かったのとは大違いだ(まだ五人だけなので、このあとどうなるかはわからないが)
 先生が、「前回のデモンストレーションスピーチで取った成績が中間評価になります。説得のスピーチでもっといい評価をとれば、それが中間評価になります」と言ったので、デモンストレーションスピーチでいい点を取った人は手を抜いたのかもしれない。
 僕は、デモンストレーションスピーチが「B+」なので、説得のスピーチで頑張って、できれば「A」を取りたい。

 五人のスピーチが終わったあと、先生が、授業の評価の用紙を配った。今回の授業について生徒が評価するもので、AからFまでにマルをつけ、他に意見があれば書き込む。
 書き込んだ用紙は、生徒のなかの一人が集めて、大学の事務局に届ける。先生は一切タッチしないようになっている。項目には、「先生はあなたに適切な指導をしたか」「教材は難しすぎなかったか」などのほか、「人種などによる差別はなかったか」という項目もある。アメリカの大学では、生徒が先生を評価するという話は聞いていたが、こういうものなんだなと思った。
 この授業では、先生に懇切丁寧に指導してもらったので、ほとんどの項目に「A」を付けて提出した。

 昼食はオールドタウンの「ダン&ルイスズ・オイスターバー」に行った。オールドタウンは、ポートランドのなかでも最初に開けたところで、ダウンタウンの北に隣接してウィラメット川のそばになる。狭い区域で昔からの建物がそのまま残っているという印象だ。
 メニューの裏に書かれていた説明によると、「ダン&ルイスズ・オイスターバー」は、1900年の初めにこの場所にできたらしい。創設者のダンさんは、一家がワシントン州で牡蠣の漁をしていて、その手伝いをしていたが、ポートランドに移ってきて、最初は牡蠣の商いをしていたが、そのうち店を開いたようだ。
 ルイスさんというのは、ダンさんの孫で、インフルエンザが流行したときになくなった。それ以来、「ダンズ・オイスターバー」から「ルイス」の名前が加わったのだそうだ。
 オイスターカクテルとクラムチャウダーを頼んだが、オイスターカクテルは、太った生ガキが七、八個入っていて、ソースもほどよくておいしかった。クラムチャウダーは、ベーコンは入っていなくて、クラムだけで味付けされている。とろっとしたのではなく、フッドリバーの「ビッグホース・ブリューパブ」と同じくさらっとしたスープだ。ベーコンがないとこくが足りない感じはするが、これはこれであっさりしてクラムの味がして、おいしかった。


次を読む前に戻る目次表紙