デジタルで行こう!

サンケイリビング新聞社発行「シティリビング」連載

目次
デジタルって何だ? デジタルなものは安くなる デジタルテレビ放送
デジタルマネー 次世代・超CD インターネット電話
コンピュータのオセロ デジタル写真は嘘をつく 見えるラジオ、聞けるテレビ
デジタルで世界は狭くなる デジタル犯罪は怖くない デジタル図書館
デジタルカジノ デジタル携帯テレビ電話 PHS(ピッチ)とケータイ
デジタル情報は取扱注意! ナンバーディスプレイ 大統領の不倫疑惑
長野オリンピック デジタルは地方の時代 ぐわんばれ、PHS!
デジタル・ショッピング 小学校もデジタル 次世代ケータイに注目!
デジカメ時代がやってくる 地上波デジタルテレビ TVゲームが変わる!
エイリアンを探せ! ICカードとワールドカップ 2000年問題
未来のオーディオMP3 デジタルVHS フラッシュメモリー
ペットロボットでいこう! インターネット最新事情 未来のオーディオはどっち?
ポケベルがなくなる?! デジタルは漏れやすい 2000年問題どうする
2000年問題を楽しもう 地球にやさしい電子書籍 ダウンロードミュージック
プレステ2が時代を変える BSデジタル ヒトゲノム占い
低価格デジタルカメラに注目 ネットなら安くなる ネットオークション
ADSL IT革命、大丈夫? ウィルスこわい
最新の映画・音楽が無料? マイラインは……?

デジタルで行こう! 第1回 1997.4

デジタルって何だ?


 デジタルって聞くと、どんな感じがするだろう。何だか難しそー、と思うかもしれない。でも、身の回りにもデジタルなものはいっぱいある。携帯電話はデジタルのほうが雑音が少なくて性能がいい。
 レコードはCDというデジタル方式に変わって、雑音がなくて、ずっと小さくなった。アナログLP、特にクラシックは雑音が気になったけど、CDになってずっとクリアな音で聴けるようになった。
 デジタルカメラも売れている。画像のきれいさでは今までのカメラにはかなわないけど、フィルムがいらないし、現像なしですぐ見られて、手間がかからない。
 アニメの「101匹ワンちゃん大行進」の実写版「101」ができたのも、CG(コンピュータ・グラフィックス)というデジタル技術のおかげだ。いくら訓練された子犬たちでも、そんなに都合のいい動きはしてくれない。子豚が活躍した『ベイブ』もそうだけど、実写とCGをうまく組み合わせて、動物が人間みたいに演技できるようになった。
 でも、デジタルだと何でもよくなるわけでもない。CDより昔のアナログLPのほうが音がいいという人も多い。デジタルはすべてを0か1かで割り切ってしまうから、省略する部分も出てくる。そうすると、音の持っている情感がなくなくなってしまうのだ。
 こんなふうに、デジタルには魔法みたいにすごいところと、ちょっとごまかしちゃうズルいところがある。デジタルって何なんだろう。この連載では、そのへんの疑問を解決していきます。


デジタルで行こう! 第2回 1997.5

デジタルは安くなる


 PHSやパソコン、電卓などデジタル≠ネものには、便利というほかにもうひとつ、価格がどんどん下がるという特徴がある。たとえば、パソコン。以前は100万円以上していた高級機が、今では10数万円で手に入る。しかも、ずっと高性能という、早く買いすぎた人にはクヤシイ話だ。
 PHSも店によっては0円や1円で売られている。もちろん加入者を増やすために赤字覚悟だし、加入料や通話料で取り戻そうというわけだけど、それなりに複雑な「キカイ」が1円には驚いてしまう。
 こんなふうにデジタルな物がどんどん安くなってしまうのには、ヒミツがある。PHSやパソコンの心臓部のマイクロチップは、シリコンというもので作られている。シリコンは日本語で言えばケイ素。石英に含まれている地球上には酸素の次にたくさんある元素だ。こんなどこにでもあるものだから、材料費はほとんどからない、あとは生産費と技術費だけだから、作れば作るほど安くなる。
 チップの中の仕組みを作るには膨大なお金がかかるが、大量生産さえすれば、値段はどんどん下がる。こういうわけで、鉄やプラスチックを使う自動車に比べて、デジタル≠ネものは、ばかばかしいほど安くなってしまう。
 デジタルなものは待てば必ず安くなる。これは、化粧品でもファッションでも同じだけど、デジタルなものの価格の下がりかたは、もっとずっと過激だ。誰でも、人の持っていない新しいものがほしいものだけど、デジタルの場合は、ちょっとだけ我慢したほうがハッピーになれるかもしれない。


デジタルで行こう! 第3回 1997.5

デジタルテレビ放送


 テレビ朝日の株を買い占めたと思ったら、朝日新聞に買い戻させて、久米宏さんの目を白黒させた、世界のメディア王と呼ばれるルパート・マードック氏。今度は、彼が経営するJスカイBにソニーとフジテレビが経営参加するというニュースが流れた。JスカイBはCSデジタルテレビ放送の会社。同じ業界では、すでにパーフェクTVが放送を開始している。
 テレビには、地上波と呼ばれる放送の他に、衛星放送(BS)やCS(通信衛星)放送がある。それに新たに加わったのがCSデジタル放送。これもCSで電波を送るのだけど、デジタルというのがポイント。今までのアナログだと、そんなにたくさんのチャンネルは使えなかったのが、デジタルだとJスカイBだけでも150チャンネルの放送ができる。なぜかというと、デジタルだとデータの圧縮が簡単にできるから。画像を0と1の信号で表わしているので、画面の中で全部同じ色の空のところとか、視聴者が注目しないサッカーの観客席のようなところはうまくごまかしてデータを圧縮する。
 そんなにチャンネルがあったって、とても見きれないと思うかもしれないが、それだけ増えるとテレビが今までとは違ったものになる。あるチャンネルでは、映画ばかり流している。それも新作、名画、カルトと数10チャンネルもあれば、レンタルビデオで好きな映画を借りてくる感覚でチャンネルが選べる。テレビが登場して40年以上がたつが、今まさに、もう一度それと同じ(あるいはそれ以上)の変化がデジタルによって起きようとしているのだ。


デジタルで行こう! 第4回 1997.6

デジタルマネー


 クレジットカードを知らないという人はまずいないだろう。使いすぎにさえ注意すれば、財布の中身を心配しなくてもいいし、お釣りをもらう手間もない。最近は少額な買い物では、サインレスで手軽に使えるようになってきた。
 紙のお札やコインに比べれば、クレジットカードもデジタルなお金だ。何でサインなしで使えるかというと、スーパーでカードを渡して機械に通したあと、ちょっと待たされるのがポイント。この間に、電話線を使ってクレジット会社に確認している。このカードの持ち主は大丈夫とわかれば、サインレスでOKということになる。
 クレジットカードがさらに進んでデジタルマネーになると、買い物はもっと便利になる。クレジットカードの裏側の磁気テープに記録されている情報は、名前と番号程度。しかし、デジタルマネーのカードにはICチップが付いていて、ここにお金そのものを記録する。銀行に行ってそのデジタルマネーのカードに通帳からお金を移す。3万円入れておけば、その額まで買い物ができる。電話線で確認する必要はない。
 便利なのはそれだけじゃない。ブティックのお客様カードとか、ガソリンスタンドの特典カードなど、財布の中にプラスチックや紙のカードを何枚も入れている人は多いはず。デジタルマネーは情報がたくさん入るから、そうしたカードを1枚にまとめるのも簡単。電車の定期や健康保険証だって一緒にできる。デジタルカード1枚あれば、財布はらない。こんな便利なデジタルマネーが来年には実用化されるらしい。


デジタルで行こう! 第5回 1997.6

次世代・超CD


 アナログのレコードからCDに変わって、雑音がなくなって音がよくなったしことは、すでに誰でも知っていること。でも、それならレコードなんてなくなっても不思議じゃないのに、そんなことはない。のブームもあるけれど、実はアナログのレコードのほうが音がいい場合が多いのだ。
 CDの開発には、サイズを12センチにして74分の音を入れるという条件があった。デジタルというのは、音の高さや強さや音色を0か1の信号に変換して記録するから、レコードの音を全部そのまま変換して使うことはできない。ある程度以上の高さの音はカットして記録する。音の強弱も細かいところまではフォローできない。
 今のCDは、まあこの程度の音は人間の耳には聞こえないからいいか! ということで音の範囲を決めている。しかし、CDが広まると、音に表情がないなどいろいろと不満がでてきた。人間の耳というのは、聞こえない部分でも、そこに実際に音があるかないかで、音の質感が違ってくるのだ。
 そこで、今ソニーとフィリップスが共同開発中の次世代のCDは、CDの64倍の音の範囲を記録することができるものを目指している。これだと、スタジオのどの位置にどの楽器があるかわかるくらいの微妙な雰囲気まで伝わる。さらにうれしいのは、この超CDプレーヤーでは、今のCDも超CDのどちらも聴くことができる。今のCDも無駄にならない。アナログレコードからCDに切り替わったときのようなことは起きないのだ。そんないいものなら、早く発売してほしい。しかも思いっきり安く。


デジタルで行こう! 第6回 1997.7

インターネット電話


 インターネットで普通の電話をかける「インターネット電話」のサービスが始まっている。音質は今までの電話よりも多少落ちるが、6分の1程度と、とにかく料金が安い。乗り遅れてはいけないと、KDDが実験を始めたことからも、その将来性がわかる。
 インターネット電話と普通の電話は、どちらも電話線を使うけれど方式は全然違う。今までの電話はアナログ。電話をかけるときは自分から相手までの電話線をまるまる1本独占する。だから、混雑しているとかかりにくくて、チケットぴあにかける電話はいつも話し中になってしまう。インターネット電話はデジタル。パケットという小包のようなものに音声をデジタルにして詰めて、電気信号として送る。パケットは相手に次々と送り出される。相手からも同じように届く。パケットには行き先が書いてあるから、1本の電話線で同時に何組も電話ができる。アナログ電話のように1本を独占する必要はないから、安くなる。
 市内電話より市外電話、それよりも国際電話のほうがずっと高いのが、昔は当たり前だった。しかし、飛行機なら飛ぶたびに燃料が必要だが、電話は一度線を引いてしまえば、通話のたびにかかる電気代はほんの少しだ。10倍遠くへかけても、10倍の電気代はかからない。それなのに、1企業が独占していた市外・国際電話は法外に高い料金だった。通信自由化で料金はようやく安くなったが、実はまだまだ高い。インターネット電話が登場して、ようやくリーズナブルな料金になる。遠距離恋愛の人には、うれしいニュースだ。


デジタルで行こう! 第7回 1997.8

コンピュータのオセロ


 8月に行なわれた人間とのオセロ対決は、6戦全勝とコンピュータが圧勝。その間にはチェスでも人間に勝ったっけ。コンピュータは人間よりも頭が良くなったのかな? アナログよりもデジタルのほうが頭がいいのだろうか?
 人間は、自分にできないことや、自分のかわりを機械にやらせてきたが、それにはひとつのパターンがある。昔、鳥のように飛びたいと考えた人間は、腕に羽根をつけて空を飛ぼうとした。もちろんすべて失敗に終わり、結局プロペラという鳥とは全く違う原理を使って、空を飛ぶことを実現した。オセロの場合も同じで、人間は次の手を考えるとき、適切な手を数種類思い浮かべてその中から選択する。これが素早くできるのがプロ。しかし、コンピュータはこういうアナログ的な考え方はできない。
 コンピュータは次の手として考えられるすべての手について有効度を点数化して計算し、一番点の高いものを選ぶ。人間がこんな方法をとったら、何年もかかってしまうが、コンピュータは単純な計算が高速にできるのから、数秒で終えてしまう。勝負が、すべての指し手を計算するコンピュータに有利なことは明らかだ。
 でも、全部の指し手を計算するなんて何だかずるいと思いません? 自分だけ試験範囲を前もって教えられているみたいで。コンピュータだって、もっと複雑な将棋や囲碁では人間に勝てない。計算に時間がかかりすぎてしまうのだ。人間の脳は数百万年かけて進化してきた。コンピュータは生まれてから60年たっていない。実は比べるほうが無理かもしれない。


デジタルで行こう! 第8回 1997.9

デジタル写真は嘘をつく


 スクープ写真を撮ろうと追いかけ回すカメラマンたちを振り切るための自動車事故でダイアナ元皇太子妃が亡くなった。心からお悔やみ申し上げるが、実はダイアナさんをめぐる写真騒動には、デジタルもからんでいた。同じ事故で亡くなったファイエド氏とのツーショット写真が英国の大衆紙ミラーに掲載されたが、これが修整されていたのが論議になった。
 2人がヨットの上で今にもキスしそうに見つめ合っている写真だが、元の写真は男のほうがそっぽを向いていた。それをあたかも見つめ合っているようにコンピュータで修整して掲載したのだ。ミラー紙はほんの1ミリ修正しただけ、2人の仲は本物だから、と釈明しているが、やっぱりズルい。
 写真をコンピュータに取り込んでデジタルにすると、簡単に修正ができる。アナログ写真の修整は、細ーい筆で手を入れるという熟練作業だが、デジタル写真は、ピクセルという均一な大きさのマス目の集まりだから、拡大して1つ1つ修整して縮小するだけ。素人にも簡単に使えるソフトも各種そろっている。僕は、スタイルが悪いからと言って、インターネットのホームページにちょっと足を少し長くした自分の写真を載せている女性を知っている。
 デジタルが怖いのは、修整が簡単なだけではなく、修整したかどうかわからないことだ。1つ1つのピクセルを直してしまうから、アナログのように細かく見れば修整の跡がわかることはない。写真は文字通り「真実を写す」はずだったのに、デジタルなら簡単に完璧な嘘をつくことができる。


デジタルで行こう! 第9回 1997.9

見えるラジオ、聞けるテレビ


 300チャンネルもの番組が見られる衛星デジタル放送。今はパーフェクTV1社だが、年内にはディレクTV、来年4月にはJスカイBが開始。3ケタチャンネル時代がやってくる。アナログよりも電波を効率よく使えるデジタルになると、こんなふうに見られるチャンネル数がいっぺんに増える。
 そんなデジタル化は、ラジオでも始まろうとしている。衛星デジタルラジオ放送はすでに米国の会社が4年後の放送開始を目指していて、日本などアジア地域では、それより早く再来年には百チャンネル放送が実現するらしい。
 衛星デジタルラジオ放送は、チャンネル数が多いだけでなく音質もCD並み。日本のFM放送リスナーは、好きな曲が流れない、もっといい音で聞きたいのが不満だが、デジタルで一挙に解消される。CD並みの音がデジタルで流れるというのは、そのままデジタルで録音すれば、CD持っているのと同じことになってしまうのだ。
 数年後には、TBS、フジテレビなど既存のテレビ局もディジタルになる。これも、デジタルになると、今までと同じテレビ1局分の電波で、3チャンネルと音声(つまりラジオ)2チャンネルを流すことができる。テレビでラジオも聞けるようになるわけだ。「見えるラジオ」で、ラジオも便利になったと思ったら、今度は「聞けるテレビ」になるの?
 インターネットでのラジオ放送やテレビ放送もすでに始まっているし、デジタル時代のテレビとラジオ、数年先には区別がつかなくなって、テレビでもラジオでもない、全然別の呼び方になっているかもしれない。


デジタルで行こう! 第10回 1997.10

デジタルで世界は狭くなる


 実は今カナダに来ている。この原稿もホテルでノートパソコンに向かって書いて電子メールで編集部に送ったものだ。海外には年に1回ほど出かけるが、ここ数年、デジタルのおかげで旅行がずいぶん便利になった。必ず小型のノートパソコンを持って行くが、これでインターネットにつなげば、日本の情報が手に取るようにわかる。
 それまでは、海外に出れば、日本の情報はほとんど入ってこなかった。今はインターネットでワイドショー的な情報もスポーツ新聞でチェックできる。情報に関しては、日本にいるのと変わらない。
 読者のなかには、電子メールなんて関係ないと思う人が多いかもしれない。でも、最近の電子メールは契約をすれば、有料でいろんなジャンルのニュースが送られてくるサービスが流行り始めている。これを利用すれば、海外で日本の新聞も読まず、TVも見なくても、情報不足で困ることは全然ない。
 パソコンもどんどん小さく便利で使いやすくなっているから、そのうち携帯電話のように誰でも持ち歩くようになるに違いない。10数年前には海外に行けば、連絡が取れないのが当たり前だったのに、そのうち1台のデジタル携帯電話が日本国内だけでなく世界中で使えるようになってしまう。
 今、ホテルのTVでは鈴鹿のF1日本グランプリを生中継している。今回は見られないかと思っていたTV番組が、いとも簡単に海外のホテルで楽しむことができる。TVはアナログだが、これもデジタルになればチャンネル数がもっと増えて、世界中の番組がリアルタイムで見られるようになる。デジタルはとどまることなく世界を変え続けているようだ。


デジタルで行こう! 第11回 1997.10

デジタル犯罪は怖くない


 最近、インターネットやコンピュータがからんだデジタルな犯罪のニュースをよく聞く。オンラインショッピングで注文してお金を払ったけど、品物が届かない! とか、政府や企業のコンピュータに入り込んで、機密データを盗み出したとか、いろいろある。
 デジタル犯罪というと、訳の分からないうちにだまされそうだけど、そんなことはない。オンラインショッピングでも、商品の受取やお金のを振込はデジタルでも何でもない。普通の通信販売のように、品物を受け取ってから払うようにすれば詐欺の心配はない。
 それに、デジタル犯罪は証拠が残りやすい。今までの犯罪なら、指紋をふき取るとか、素人でも証拠隠滅のテクニックを知っているけど、デジタル犯罪では自分のやったことがそのまま記録される。消すには高度なテクニックが必要だ。ホームページの天気予報をエッチな写真に差し替えた犯人はすぐに捕まった。デジタルなら誰がやったか簡単に調べられたからだ。
 政府や企業のコンピュータへの侵入事件がひんぱんに起きるのはまだまだ犯罪防止にお金をかけていないから。警備システムにはつぎこんでも、コンピュータの防御にかけている費用はアメリカに比べれば全然少ない。それなりの対策をすれば、コンピュータ犯罪は確実に減らすことができる。
 新聞やテレビで新しいデジタル犯罪を防ぐ知識を身につけることは大切だけれど、必要以上に怖がることはない。インターネットやコンピュータは生活を便利にしてくれる。怖がってばかりでは、時代に乗り遅れてしまう。


デジタルで行こう! 第12回 1997.11

デジタル図書館


 日本で一番本のたくさんある図書館は「国立国会図書館」。何しろ、本を出版したらすべて国会図書館に収めること、と法律で決まっているから、日本中の本が集まっている。その国会図書館が今進めているのが電子図書館づくりだ。
 電子図書館というのは、デジタル化した本を収めた図書館のこと。タイトルや作者だけでなく、本文をそっくりデジタル化する。アメリカではかなり進んでいるが、日本はまだまだ。それで、関西にできる第二国会図書館で、本のデジタル化をすることになった。
 本をデジタル化するといろいろといいことがある。推理小説を読んでいて、怪しい登場人物がその前どんな行動をとったのか気になったとき、紙の本だと、前の方をページをめくって必死で探さなければならない。運良く見つかればいいが、下手すればかなりの時間をかけることになる。これが、デジタルなら、キーワード検索ができるから、その登場人物の名前を入れて、どこで出てきたか一発で探し出せる。推理小説だけでなく、辞書なら「あ、か、さ、……」と探していかなくても、一発で目的の言葉のところに飛んでいける。
 そんな便利なデジタル本が収められてたデジタル図書館には、インターネットを通じて自宅のパソコンをつなぐことができる。これで、とても自宅には置けないようなかさばって高い事典や辞書も自宅から簡単に利用できる。世界中どこからでも、ほしい本をその場で手に入れることができる。手にとって読むことのできる紙の本の魅力も捨てがたいけど、これは、やっぱりすごいことだ。


デジタルで行こう! 第13回 1997.11

デジタルカジノ


 インターネットでカジノが流行っている。以前からカードゲームやスロットマシーンが楽しめるところはあったけど、97年になって、クレジットカードでデジタルコインを購入してギャンブルを楽しむ、本格的なデジタルカジノがいくつも登場。一説によれば現在60以上のカジノがインターネット上に営業しているらしい。
 こうしたカジノは、カリブ海諸国などギャンブル規制がない国にある。でも、インターネットなら世界中どこからでもつなげるから、日本でも、ビザやマスターカードを使って、ギャンブルできちゃうわけだ。わざわざ飛行機でラスベガスまで行く手間もない。
 アメリカにはこうしたデジタルカジノを禁止する法律があって、たとえ外国でも、アメリカから利用するのは違法。日本にはまだ法律はないが、おそらく罪になるだろう。ただし、何人も集まっておおっぴらにやればまだしも、一人で自宅でやっている分には、警察も見つけだすのは難しい。
 アメリカでは、最高6か月の禁固刑と2500ドルの罰金を科す新しい法案を審議しているが、デジタルカジノのほうも、ラスベガス並みの50種類以上のゲームを1日30万人が利用できるなんて、大がかりなデジタルカジノも計画されている。
 デジタルカジノに手を出して、大損したり逮捕されるのは困るけど、自宅でちょっと楽しめて、少しは儲かる政府公認のデジタルパチンコやポーカー、麻雀なんかあったら楽しそう。サッカーくじより受けると思うけど、橋龍さん、どんなもんでしょう。


デジタルで行こう! 第14回 1997.12

デジタル携帯テレビ電話


 最近、中高校生、下手すりゃ小学生まで、携帯やPHS持つのが当たり前、みたいだけど、元祖携帯所持者のOLは、今の携帯をどー思っているだろう。例えば、海外旅行では、当然携帯は使えない。携帯生活が身についちゃうと、これがけっこう辛い。海外で思わずバッグから携帯を取りだそうとして、はっと気がついたことありません? 香港やNYとか、街行く人がみんな携帯使っているの見てると、余計くやしくなる。海外の空港でレンタルもできるけど、料金も高いし、人の使ってたのは何となく気が進まない。いっぱい登録してある電話番号も使えないし。
 海外で携帯が使えないのは、基本的には同じでも細かいところで方式が違うから、海外で使うなんて昔は全然考えなかったから、電話会社の人も方式の違いはあまり気にしなかった。しかし、世界の携帯人口が増えてきて、海外でも使いたいという声は大きくなっている。そこで、次世代の携帯は国際標準方式を使おうという話が進んでいる。今のところ有力なのは、NTTドコモが中心に開発中のW−CDMA方式。欧米のメーカー11社が共同開発を表明しているから、すんなり決まるかもしれない。2000年には登場するそうだ。
 次世代携帯は、海外で使えるだけでなく、画像が送れてテレビ電話にもなる。1台で、テレビ電話にも使えて、テレビも見られて、インターネットもできちゃうかもしれない。そんな、まさかー、と思うかもしれないけど、みんな子供の頃は、電話を外に持ち歩いてどこでも使えるようになるなんて、絶対思わなかったよね。


デジタルで行こう! 第15回 1997.12

PHS(ピッチ)とケータイ


 PHSと携帯電話のどっちを持ってます? 安いし小さいから、PHS? でも、走っている電車で使えないじゃ困るから携帯? いろんな理由があるだろうけど、実はPHSと携帯は、生まれも素性も違うもの。PHSや携帯は、基地局からの電波を受けて通信をする。携帯の基地局がカバーする範囲は1〜10km。PHSは100〜300m。PHSのほうが、電波が弱くても通信できる。だから機械も小さくできるし、連続通話時間も携帯が100分程度なのに、PHSは約8時間。料金も安くなる。
 ただし、携帯は複数の基地局が同時に電話機を追いかけているため、高速に移動していても次々に瞬時に基地局の切り替えが可能。中断せずに通話が続けられる。PHSの基地局がカバーする範囲は狭く、切り替えに1秒程度かかるので、高速移動していると、通話が途切れてばかりで使えなくなる。
 実は、元々PHSは、家ではデジタルコードレス電話の子機、外では料金の安い移動電話というコンセプトで開発された。出始めの頃はデジタルコードレス電話が一般的じゃなかったから、チープな携帯と思われたけど、自宅に親機があれば、1台のPHSだけで、家では普通の電話料金で、しかもデジタルの高品質の音声で話ができる。携帯ではこうはいかない。
 電車の中では迷惑も考えて携帯は使いづらいし、高速移動中はダメといっても、僕は新幹線でゆっくり走っている時に話したこともある。携帯も安く小さくなってきたから、PHSは人気薄のようだけど、これから買う人はどっちがトクかもう一度考えてみよう!


デジタルで行こう! 第16回 1998.1

デジタル情報は取扱注意!


 頼みもしないのに通販のカタログが届いて、あれっ?と思ったことのある人は多いはず。あれはアナタの名前や住所や電話が載った名簿が出回っているから。エッ、アタシ載せた覚えないよ! でも、クイズの応募やショップの会員になるときに、住所や電話や年齢や趣味を記入したことがあるハズ。
 昔は、ああした資料はファイルにとじられているだけで全然価値なかったけど、情報がデジタル化されて価値がぐーんと高くなった。アナタが書き込んだデータはコンピュータに入力され、都内に住む20代の未婚女性とか、横浜に住むロック好きの30代の既婚男性とか、一発でリストアップできてしまう。
 通販のカタログが届くのは別に困る話ではないし、思いがけずいい商品にめぐり合えるかもしれない。でも、取りあえず自分の住所や電話を記入するとき、これはどこかで名簿に載るかもしれないぞっと意識しておいたほうがいい。
 世の中にはマイナスの情報もある。ローンの支払いの遅れている人のリスト、いわゆるブラックリストに載ってしまったら……。そんなことあるハズない……。でも、同姓同名でミスで、ということもある。たとえ間違ってでもこのリストに載ってしまうと大変だ。クレジットカードは作れない、ローンは組めない。しかも修正は簡単じゃない。アメリカではリストに載せるとき本人に連絡することが法律で決まっているが、日本はそんな法律もない。こうした人権やプライバシー保護のための法律の整備は早く進めてほしい。デジタル情報は扱い方を間違えると、危険なモノにものなってしまうのだ。


デジタルで行こう! 第17回 1998.1

ナンバーディスプレイ


 かけてきた相手の電話番号が表示されるナンバーディスプレイっていうサービスが始まったけど、利用してる? 出る前に相手の番号が分かるから、イタ電に悩まされていた人にはとっても便利だよね。でも月400円かかるし、電話機も買い替えなきゃならないから面倒だとか、別に関係ないと思っている人もいるかもしれない。
 実は、ナンバーディスプレイには、もっと大きなメリットがある。電話番号が分かると、いろんなサービスが可能になる。ホテルに予約の電話をするとき、オペレーターの前のパソコンには、電話を受けると同時に、名前や住所、利用状況が即座に表示される。名乗る前から、「○○様、いつもご利用ありがとうございます」と言われて、「サービス行き届いているのね」と思う。チケット予約も通販もピザの宅配も、注文の度に住所や名前を言う手間が省ける。
 そのうち、銀行の振り込みも電話でできるようになるけど、口座番号と暗証番号のほかに電話番号でもチェックすれば、不正な利用が防げる。みんなナンバーディスプレイとコンピュータが結びついたデジタルならではの仕組みだ。
 ナンバーディスプレイでは、自分の電話番号の表示・非表示が選べるけど、非表示だとそうした便利なサービスが受けられない。相手の番号を知ることよりも、自分の番号を知らせる方が、実は重要なのだ。間違い電話をかけたときに、知らない相手に電話番号を知られたり、問合せだだけだったのに勧誘の電話がかかってきたり、気をつけて使った方がいいこともある。ナンバーディスレイは、気をつけてうまく使いこなそう。


デジタルで行こう! 第18回 1998.2

大統領の不倫疑惑


 クリントン大統領の不倫疑惑は、まだまだ余談を許さない状況だ。真実はともかく、大統領がさぞかし困っているのは間違いない。実は、この悩みの種を生み出したのは、流行のインターネットなのだ。
 独立検察官が疑惑の調査を始めたという情報と女性の会話テープは、まずニューズウィークが入手。しかし、同誌は証言の信頼性が少ないと、記事の掲載を見送った。
 これで終わっていれば、こんな騒ぎにはならなかったはずだ。しかし、ニューズウイークが掲載を見送ったという話が同じ日の深夜に、インターネットに掲載されてしまった。情報はネット上を駆けめぐり、新聞各紙が翌日の紙面に掲載。ニューズウィークの掲載見送りは意味がなくなってしまった。
 今まで大統領にまつわるニュース報道は、大手のテレビ局や新聞社が担ってきた。記者は大統領とは顔なじみだし、いい加減な情報で報道はできないというプライドもある。ズルではない範囲で、報道しないでくれというホワイトハウスの働きかけもあるだろう。
 以前は、多くの人に情報を伝えるのはテレビや新聞雑誌などのマスメディアだけだったが、インターネットなら、誰でもホームページから情報発信ができるし、しがらみにしばられることもない。
 今までならそこまで報道しなくてもと伏せられていたような記事が、インターネットで表に出てしまう。政府がマスコミを集めて、報道協定を結ぶようなことも難しくなってしまった。下手したら、大統領を辞職に追い込むかもしれない事件が、デジタルなインターネットが火付け役になったのだ。


デジタルで行こう! 第19回 1998.3

長野オリンピック


 長野オリンピックは、大人気のうちに終了。メダルを取るのが目的ではないと言うけど、やっぱ、たくさん取ったほうが盛り上がるよね。オリンピックの後のパラリンピックも終わって、気分はもうワールドカップだけど、今回は、デジタルに関わる話題をひとつ。長野オリンピックは、インターネットが活躍したイベントとして最大級のものだった。
 モーグルの上村愛子ちゃんなんかが出ていた日本IBMのCM、インターネットでファンメールを送ってねって内容だったけど、実際に届いたメールは約25万通。公式ホームページは、アトランタ五輪の4倍以上のべ6億件以上のアクセスがあった。特に多かったのは大会14日目の午後9時頃。女子フィギュアの決勝と、アイスホッケーの準決勝の結果を早く知りたいと世界中から1分間に10万件のアクセスが殺到。これまでのイベントでは最高を記録した。1人で何回もアクセスしてくる人がいるとしても、10万件はすごい。
 逆に長野五輪で象徴的だったのは、アメリカ国内で独占中継したCBSテレビの視聴率が平均で16・2%と低調だったこと。時差のため、ほとんどの競技が半日以上遅れて録画で放送されたためらしい。結果はリアルタイムで知りたいから、インターネットのほうに殺到、テレビは見なかったのだ。結果がわかっているスポーツ番組を見るのって、つまらないものね。そのうちインターネットでテレビ放送が本格的にできるようになったら、録画でダイジェストしか放送しないようなテレビは見向きされなくなるかもしれない。


デジタルで行こう! 第20回 1998.3

デジタルは地方の時代


 最近、東京から東北の福島市に引っ越しをした。といっても転職したわけではない。相変わらず、フリーライターとして東京中心に取材や打合せをしている。福島に移ることにしたのは、うちの奥さんが勤め先をかわることになったからだ。東京は物価が高い、特に家賃が高い。僕の仕事部屋はパソコンでいっぱいだし、資料や本はあふれかえっている。福島なら、同じ家賃で、たっぷりスペースのある家が借りられる。
 福島に移ったとしても、情報収集や連絡にはそれほど困らない。今パソコンで書いているこの原稿はインターネットの電子メールで編集部に送る。インターネットは、首都圏も地方もほとんど差はない。逆に、利用者が少ないから地方のほうがつなぎやすくて快適だ。
 でも、テレビ東京はないし、深夜も早くTVが終わっちゃうかなとも思った。しかし、今は衛星デジタルTVがある。パラボラアンテナを立てれば、数10チャンネルが全国どこでも見られる。
 買い物も、地方のほうがお店が近くて便利だ。車で10分ほどのところにディスカウントの店がいくつもあり、たいていのものは揃う。渋滞の中、車で1時間近くかけて買い物に行った東京とは大違いだ。洋服や食べ物、特に高級なものは東京にかなわないが、それなら、時々東京に出かけていけばいい。新幹線で1時間半なのだから。
 というわけで、広い家の中で、快適な生活が送れるようになった。若い頃なら、刺激や変化を求めて、繁華街へ出かけていきたいところだが、もうそんな歳でもない。これもデジタルのおかげだ。


デジタルで行こう! 第21回 1998.4

ぐわんばれ、PHS!


 「ドラえホン」って知っているよね。口が液晶になってる、まんま「ドラえもん」のPHS。しかも、カワイイだけじゃなくて、持ち主の今いる場所をファックスで教えてもらえる便利な「いまどこサービス」がある。
 こんなサービスが可能なのは、PHSのひとつの基地局がカバーする範囲が半径100〜300メートルと狭いから。今どの基地局にいるかを調べて、その範囲を円で表示してファックスで送ってくれる。携帯電話だとひとつの基地局がカバーする範囲は1〜10キロだから、範囲を円で示してもあまり役に立たない。実際にどの基地局にいるか調べるには、そのPHSに電話をかける。でも一瞬だからPHS側にはわからない。もしスイッチを切っていたとしても、一定時間ごとに場所を確認するオプションサービスなら、切る前の最新の位置をファックスしてもらえる。
 「どらえホン」を子供やお年寄りに持たせておけば、いつでも居場所がわかって安心。都会じゃなくても、子供を一人で歩かせるのは不安だし、高齢化も進んでいるから、これはうれしいサービスだ。でも、会社で持たされているPHSに、設定されたり、恋人のプレゼントのPHSがそうなっていたら、キュークツだよね。
 PHSは携帯に押されて台数が伸びず、ちょっと苦戦している。NTTの宮津社長が、「PHSをやめるかもしれない」と受け取られかねない発言をして(あとで否定したけど)騒ぎになった。でも、「いまどこサービス」みたいな利用法もあるし、デジタル携帯よりも通話品質がいい。高速なデータ通信もできるからインターネットにも向いている。PHSファンとしてはどんどん利用者を増やしてほしい。ぐわんばれ、PHS!


デジタルで行こう! 第22回 1998.5

デジタル・ショッピング


 インターネット上のショッピングモール「スーパーモール」で、クレジットカードや銀行口座引落で買い物ができるようになった。複数のカードや銀行が使えるのは世界初だ。インターネットでカード番号や口座番号の情報を送ると、誰かにのぞき見されてしまう心配がある。顔を見ながら販売するわけではないから、本人かどうか確認するためのID番号やパスワードも必要だ。これらを全部安全に送るためには、暗号化しなければならないが、方式の統一がけっこう難しい。技術的なこともあるし、たくさんある銀行やカード会社が足並みを揃えるのに手間がかかる。統一方式が決まらなくて、DVDがなかなか発売できなかったのと同じことだ。
 カードや口座引落が使えるようになると、消費者にとってはすごく便利だ。今までは、代金引換や口座振込が普通だったけど、これだと現金を用意したり、銀行や郵便局まで行ったり手間がかかった。でも新しい「スーパーモール」なら、ホームページで商品を選んで、そのまま支払の手続きまで済ませられる。
 それはわかったけど、「ディノス」とかのカタログショッピングと変わらないんじゃない?と思うかもしれない。でも、インターネットならマウスでクリックして選んでいくだけで注文の時に書き込む手間がいらない。2回目以降なら住所や氏名、電話番号を記入する手間もいらない。情報は毎日のように更新されるから、注文したけど品切れで悔しい思いをすることもない。
 スーパーモールを利用するには、インターネットを始めなきゃいけないけど、そのために始めてもいいくらいお店もアイテムも増えた。この機会にインターネットでオンラインショッピングを始めてみてはどうだろう。


デジタルで行こう! 第23回 1998.6

小学校もデジタル


 最近は小学校でも授業にインターネットをガンガン使っているらしい。先日見学に行った滋賀県の小学校では、特別教室に20台のパソコンが並んで、各教室にもマックが1台ずつある。もちろんどれからもインターネットにつながっている。
 この小学校では、1年生からパソコンの授業がある。授業といっても、最初はお絵かきをしたり、校内のホームページを見たり、パソコンで遊びながら慣れていく。1年生の子はみんなパソコンが好きだそうだ。4年生になってローマ字を覚えると、インターネットで資料を探して自由研究までできるようになる。電子メールを出して、全国や世界中の日本人小学生と文通したりもしている子もいる。小学生がインターネットを使うだけですごいけど、もっと面白いのはデジタルだから何でも保存できちゃうこと。自由研究はホームページにアップされるし、工作や絵もデジカメで写して残しておくことができる。
 小学校の頃の絵や工作をまだ持っているなんて物持ちのいい人はいないだろうけど、デジタルならみんなが小学校1年生からの作品を残しておくことができる。パソコンの中だから場所もとらないし、あとから見るのも簡単だ。「高学年になって、低学年の頃の自分を振り返るのは教育的にもいいこと」と、そこの先生も話していた。大人になって、昔、自分が作ったものがもういちど見られたら、きっと面白いよね。
 今はやりのデジカメも、気軽に撮ってすぐ見られるのに加えて、パソコンに保存してあとで取り出すのが便利なのも人気の秘密。アナログの写真はアルバムに貼ったり面倒だし場所もとるけど、デジタルならパソコンに入れておくだけで、あとで探すのも簡単だ。
 デジタルにはいろんなメリットがあるけど、保存しやすくあとで探しやすいのもそのひとつ。これをうまく使えば、もっといろんなことができるはず。


デジタルで行こう! 第24回 1998.7

次世代ケータイに注目!


 「次世代のデジタル携帯電話」と呼ばれている新方式が7月から関西、九州、沖縄でスタートした。始めたのは、DDIセルラーグループ。順に地域を増やして、来年4月には、IDOも始めて、全国的に使えるようになる。
 CDmaOne(シーディーエムエー・ワン)というちょっと言いにくい方式の新しいケータイ、一番のメリットは音質がぐっと良くなること。デジタル携帯は音声を圧縮してデジタル化して相手に送っているけど、その圧縮方式が新しくなり、技術の進歩で音質が良くなった。しかもバックの雑音が経るので、ずっと聞きやすい。普通の家庭の電話に迫るくらいの音質だ。もちろんインターネットも、今までの1.5倍のスピードで利用できる。99年末には、その6倍以上のISDNと同じスピードで使えるようになる予定だ。
 この新ケータイは、すでにアメリカ、韓国など10カ国で使われているグローバルな方式。ワールドカップの年、2002年には日本で使っているケータイが韓国でも使えるようになる。
 しかも、基本料金が200円高いだけで、通話料金は今までと同じ。セルラーグループとIDOがそこまでして次世代ケータイに力を入れるのは、NTTドコモに対抗するため。現在のデジタル携帯の方式はNTTが開発したものだから、料金を下げるくらいしか対抗手段はない。そこで早めにNTTに関係ない新方式を導入して、一発逆転しちゃおうというのだ。
 NTTドコモでは、さらに高性能で、映像も簡単に送れちゃう(ISDNの30倍以上)W−CDMA方式を開発中。でも、まだ世界的に認知されていないし、完成はいつになるかわからない。
 取りあえず、今と同じくらいの料金で、もっといい音で電話で話せて、インターネットにも困らないなら、乗り換えようかなって気がしてくる。現在発売中のモデルは、サービスの始まっていない地域では、アナログ携帯として使えるようになっている。新しもの好きの人は、手に入れてちょっと自慢してみてもいいかも。


デジタルで行こう! 第25回 1998.8

デジカメ時代がやってくる


 僕は写真を撮るのがけっこう好きだし、取材にも使うので、カメラは一眼レフからAFカメラまで何台か持っている。ところが、今年の初めにデジタルカメラを買ったら、それまでのアナログカメラはほとんど使わなくなってしまった。
 まず驚いたのは、画質がいいこと。150万画素の高級タイプを買ったが、これだと、AFカメラより画質は上。デジカメだと、プリントできないからつまんないと思うかもしれないけど、アナカメと同じように、写真屋さんでプリントもできる。デジタル特有の画像の周りのギザギザなんかもない。言われなきゃ、デジカメプリントだなんてわからない。今はプリントが出来上がるまでアナカメより時間がかかるし、お金も高いけど、デジカメ使っている人が増えれば、近所のお店で数分でOK。そのうち、自販機みたいな機械で、無人でのプリントも可能になるはずだ。撮ったその場で、ビデオみたいに液晶画面で見られるのも楽しい。パーティとかカラオケなら絶対盛り上がる。
 もうひとつデジカメのいいところは、アナカメみたいに、ネガフィルムの整理に困ったりしないところ。撮ったらパソコンに入れておけば、場所もとらないし大切な写真の行方がわからなくなることもない。僕なんかも、撮った写真は段ボールにまとめてつっこんでおいて、あとで探すのに苦労するほうだから、デジカメだと助かる。
 そんなこと言っても、パソコンなんて使い方もわからないという人には、近々、カメラやフィルムのメーカーが自分のところの大きなコンピュータにデジカメのデータを保存するサービスを始めるはず。これなら、パソコンがなくたって、デジカメの写真がたまるたびに写真屋さんに持っていって保存してもらえばいい。そのうち、電話で自宅からデータを保存するのもできるようになる。
 あと数年したら、CDが出たときのLPみたいに、アナカメなんてなくなっちゃうかもしれない。


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