ロンドン・パリ旅行(2005年7月)






7月21日

晴れ イギリスは25℃
花の都パリへ移動

いよいよ今日、ユーロスターでパリに移動します。
6時過ぎに起きて、7時過ぎにホテルを出ました。

この4日間毎日通った Earls Court の駅とも今日でお別れです。
チケット売り場で 1 day チケットを買うのに、毎回、列に並んで窓口にたどり着くのにもかかわらず、
なぜか奇遇にも、いつも同じ窓口で同じ人から買っていました。

初めての時は忙しそうで、強面で大柄で恐そうな感じの係の人に見えましたが、
さすがに3日目ともなった昨日は、あちらも覚えてくださって、
OH!と顔見知りのように大げさに挨拶してくれて、
「ありがとう」「こんにちわ」「さよなら」
「これが知っている日本語の全てだ」と言って親しげに送り出してくれたのが嬉しかったのに、
今日は自動販売機で 1 way チケットを買うのです。
せっかく顔見知りになれたのにさみしいです。

7時45分、ウオータールー駅(フランス読みはワーテルロー駅)のユーロスター乗り場に到着。

多くの人が何列も行列を作っています。
最後のイギリスなので、中の免税店を見るために早めに出てきました。
予約したのは9時発の便です。
とりあえず待合所の中のカフェで朝食です。

免税店はそこそこありましたが、期待していたほどではありませんでした。
日本人にはアメリカほどには物価が安くないのです。
日本の2倍くらいの物価に感じられました。
繰り返しますが、これはひとえに 1ポンド=210円だったせいです。

時速300qという新幹線の「のぞみ」と同じ速度のユーロスターに乗り込みました。
ユーロスターの中から撮った外の景色です。
窓の外はあっという間に景色が過ぎていきますが、
こんなに広い空や牧場や丘や畑を見られるなんてワクワクします。
ドイツでも列車で移動したときに同じような感動を味わいましたが、
飽きずに眺める私とは対照的に主人はぐっすり眠っていました。

ユーロスターの車窓から

イギリス
窓の向こうに広がるのは
茶色の枯れた草の野原です。
牛や馬があちこちに見えます。
ヒースロー空港に到着するときに
飛行機の中から見えたのは
牧草のようなこの枯れ草色でした。
ああ、この色だったのかと
妙に納得しました。
国境が近くなっています。
イギリス時間10時30分
フランス時間11時30分
ドーバー海峡の
トンネルに入りました。

フランス時間 11時55分

トンネルを抜けました。
そこはもうフランスです。
スピードが速くて
シャッターチャンスが間にあわないっ!

フランスに入りました。
枯れ草色の中に緑が増えました

遠くに見える家々の
色や形がおしゃれです。
フランスに入ってから、
木々の立つ様が
絵画のように美しく感じられます。


のどかな農家の牧場です。
牛が見えます。

国境を過ぎたあたりで、主人が売店で昼食を買ってきてくれました。
クロワッサンとサラダとリンゴのタルトとオレンジジュースとコーヒーです。
クロワッサンの薫りがとても良いことにも驚きましたが
一口食べて、あまりのおいしさにものすごく感動してしまいました!
フランスはおいしい!
こんなおいしいクロワッサンを食べたのは初めてです。
列車の中の売店だったので期待などしていなかったのですが、完全に参りました。
このとき、先にロンドンを旅して、パリを後にと計画したことを
心から喜びました。
ミッテランさんが自慢したくなるのも無理はないと思いました。


実は、私たちの移動中に、ロンドンでは第3の爆破テロが起こっていたのです。
パリのホテルでニュースを見て、本当に恐いと思いました。
どんな理由があっても他人を傷つける行為は絶対に許されることではありません。

それにこのテロのせいで、また、ロンドンだけでなく、世界中にいらっしゃる
テロとは無関係のイスラムの方達が
二重に悲しむことになるのかと思うとお気の毒で、仕方ありません。
イスラムの方でなくても、ロンドンではテロの防止対策のため
移民の方達が辛い思いをされていて、
善良な若い男性がテロ犯と間違われて犠牲になられた悲しい事件が起こってしまいました。




パリ北駅に到着

フランス映画「アメリ」に出てきた北駅です。
複数の証明写真を撮る謎の男が出てきて、アメリが恋人と運命的な出会いをするあの駅です。

初めてのパリです!
私たちはユーロスターではない普通の列車を見に行ったり、
ちょっと外に出て、パリの街角はどんなものか見たり
地下鉄の切符売り場を探したりと、構内をショートトリップしました。
チケット売り場は地下にあったので、長い列に並んで買いました。
ちなみに
ユーロスターの待合室も列車の中もずっと禁煙でした。
北駅に近くなると、たばこを手に持って待ちかまえている乗客もいて、大笑いでした。
ホームに降りるやいなやたくさんの人がダッシュして、一服していました。
(本当はここも禁煙です ^0^)

地下鉄に乗ってカルチェラタンにあるホテルまではすぐでした。
これまで旅行の候補にフランスが入っていなかったのは、
個人主義が徹底していて、他人に冷たいというイメージが強かったからでした。
それに、フランス語以外は、たとえわかっても答えてくれないというふうに思っていたからでした。
しかし、そんなことは全くありませんでした。(英語でもほとんどOKでした)

地下鉄の自動改札口から外へ出ようとした時に、
主人の旅行バッグの幅が改札口より広くて、挟まってしまい、
身動きできなくて困っていると、後から来た美しい女性がグッと前のガラスの扉を押して
にこやかに微笑んで助けてくれました。
フランス初日から、フランスが好きになりました。

2時30分、ホテルに着きました。
カルチェ・ラタンにあるサンジェルマンホテルです。

私が飼っていたプードルの名前がサンジェルだったので、
名前で選びました。もちろん治安と利便性も考慮した上です。

カルチェラタンはソルボンヌ(パリ大学)を擁するアカデミックな地域です。
さまざまな国から留学してきた学生のために
大学の講義がすべてラテン語で行われていたことから、
ラテン地区、つまり、カルチェ・ラタンとなったそうです。
カルチェラタンはかつて西欧の知識の中心と言われ、
その西にあるサンジェルマンデプレは知性の象徴とも言われる地区で、
サルトルやボーボワール達の闊歩した街です。

大きなモスクも近くにありました。

ホテルから歩いてサンジェルマン通りを散策に出かけました。

ホテルのあるモベール・ミュチュアリテ駅前の商店街では
新鮮な魚介類が豊富なお魚やさん(牡蠣がおいしそうでした)や
色とりどりのフルーツで美しい果物屋さん
サンドイッチやピザやサラダが並ぶお総菜屋さん
いつも通りまでお客でいっぱいのカフェなど、
そこに住む人々の暮らしがかいま見られて楽しいでした。
どのお店も何となくおしゃれです。
この商店街の前にはマルシェ(朝市)が開かれるようでした。

植物園

サンジェルマン通りをしばらく行くと、大きな公園のような木々の生い茂る場所にさしかかりました。
歩いている人達の多くが、細い入り口に入っていきます。
なんだかおもしろそうです。私たちもその後をついていくことにしました。
そこは歴史のある古い植物園でした。

1626年に、ブルボン王朝ルイ13世の王の主治医が薬草植物園として作ったものだそうです。
その後、大革命が起こり、王立薬草園から国立自然博物館と改称され、
動物園、植物園、博物館、植物学校、温室などがあります。

古い修道院跡です。

この前には、古い木の枝を植物のつるで巻いて作った囲いの中に
自然な趣に作られた小さな庭園があって、
植物の一つ一つに名札がついていました。

植物はハーブが多く、薬効のあるものが
自然に自生しているように植えられていました。
藤棚のような棚の下にベンチが置かれ、静かな休憩所になっています。
今にも崩れ落ちそうな古い壁です。

地下に入り口が見えます。
大きな木の葉の間からこぼれる木洩れ日です

この大きな木の下には長いベンチがあって
多くの老若男女がのんびりと休憩していました。

子供の公園も近くにあり、そこにはジャングルジムもありました。

パリでもテロ対策のため、警備をしている警察官がたくさんいました。
ロンドンと違うところは自転車に乗って、細い路地や公園の中まで警備していることです。
この植物園内でも、細い小径を自転車で颯爽とやってきて、
一見、テロとは全く無関係に見える若い学生らしい男の子達に
IDを提示するよう求めていました。


Odeon駅前のスターバックスでカフェラッテを飲みながら
通りを眺めたり、行き交う車や人々を眺めていました。
同じヨーロッパでも建物や街並みにはその国の特徴があります。
昨日までいたロンドンは、同じ高層アパートでも角張っていて厳かな感じが多かったのに比べ、
パリの建物はどこかに丸みを帯びて建てられている感じがします。
たとえビル全体が角張っていたとしても、ベランダのフェンスが曲線を描いていたり、
ビルの先端がドーム風に丸くなっていたりというふうに。

それと、パリの女性の美しいこと!
特にマダムと呼ばれる年齢層の方達の美しさに目をひかれました。
自分をとても上手にコーディネートしていて、
バッグや靴はもちろん、ピアスやネックレス、ブレスレットにいたるまで
色と素材と風合いを見事に調和させています。
ビビットな色使いも実に巧みに上品に取り入れています。
しかもかなりのご年令の方でもスラリと痩身で、風を切るように颯爽と歩いています。
ここで発見しました。
おしゃれな女性は太らない!ということです。
「フランス女性にデブはいない」という本は本当です。


地下鉄の入り口
アールデコ朝
サンジェルマンデプレ教会の
前の通りにある彫像

ロマネスク様式の
サンジェルマンデプレ教会の
ステンドグラス
建物はカメラに収まりきらず残念。
サンジェルマンデプレ教会の
右隣の街並み
このあたりはディオールなどの
高級ブランドのお店が並ぶ


カフェ・ドゥ・フロールと街並み


サルトルはこのカフェの2階を書斎にしていて、日常的に文学論議が交わされていたといいます。
ボーヴォワール、カミュ、またピカソも通ったという憧れのこのカフェで是非コーヒーを、と思ったのですが、
あまりの混雑振りに諦めざるを得ませんでした。残念!!

このすぐ近くにレ・デゥ・マゴというカフェがあり、この5階にサルトルが、2階にボーボワールが住んでいました。
このカフェにもバルザック、ヘミングウェイなどが通っていたといいます。
なんて贅沢な時代だったんでしょう!
もしも同じ空間で、同じ空気を味わえていたら・・・・・・!気絶しそうです。



セーヌ川からシテ島に建つノートルダム大聖堂を望む

歴史がかった美しい街並みを、心地よい風に吹かれて歩くのが気持ちよくて、
どんどん歩いているうちにシテ島のノートルダム寺院まで行ってしまいました。
歩きがてら、街のクレープ屋さんでクレープを買いましたが、
少しも甘くないのにとてもおいしくて、人だかりができていたはずだなあ、
と納得したのでした。

パリの街は山手線一周くらいの広さらしいので、
歩くとすぐに観光名所に突き当たるようです。
それにしても何とも華麗なパリです。



夕暮れともなるとあちこちのレストランやビストロからいい薫りが漂ってきます。
私たちも色々下見をして、シーフードのお店に入りました。
私はツナのパテにコキール、ツナの白魚の角切りのアボガドソース和え
主人は赤鯛と鯛の焼き物をいただきました。
さすがにフレンチは盛りつけも実にセンス良く、芸術的です。
生牡蠣も注文しましたが、ブルターニュ産より少し割高のノルマンディー産にしました。
ノルマンディー産の牡蠣は絶品で、何度でも食べたくなるほどでした。


おいしい食事に満足してホテルに帰りました。
ホテルの窓から見た外の様子です。

ホテルの窓から
ホテルの前の通りを左に歩いていくとパリ大学があります。
ホテルの後方にはモスクもありました。
近くにはパンテオンやアラブ世界研究所などもあります。



次は、オルセー美術館とチュイルリー公園と凱旋門です。