映画のリスト−トップ200 No.1

トップ200のうち1位から30位の紹介です。


映画のリスト−トップ200
(1位〜10位) 
順位
タイトル
コメント
1 2001年宇宙の旅
(1968)
今まで見た映画の中で一番好きな映画です。これぞ「映画!」という感じです。映像、音楽、ストーリー、脚本、どれをとっても最高に洗練されていて、今まで20回以上見ましたが、何回見ても感動します。キューブリックの最高傑作です。
キューブリックの作品は、音楽に特徴があります。「時計仕掛けのオレンジ」での「雨に唄えば」とベートーベンの「交響曲9番」、「シャイニング」でのベルリオーズの「幻想交響曲」のフーガや一番最後に流れるオールディーズ風の音楽、「アイズワイドシャット」でのブルース(「バッド・バッド・シング」)や儀式の時の音楽など、映像と物語のムードや登場人物の心境に絶妙にマッチした曲を使います。そう言えば、「フルメタル・ジャケット」の最後にアメリカ兵士が高らかに歌う「ミッキーマウス」も最高でした。
この映画では、R.シュトラウスの「ツァラトッストラはかく語りき」が印象的に使われています。宇宙船が飛んでいるシーンで使われる「美しく青きドナウ」もたいへん映像にマッチしています。

映画はほぼ全編特撮で撮られていますが、1968年当時とても考えられなかった技術です。撮影に参加したメンバーが「まるで物理の実験室のようだった。」と回想しているのを読んだことがあります。宇宙船のシーンはもちろんですが、人間になる直前の猿のシーンなども初めて見た時は、とてもぬいぐるみと撮影セットに見えませんでした。また、無重力状態というものもこの時初めて見たと思います。

さて、物語ですが、モノリスと呼ばれる石板がキーになっています。はるか昔に猿の群の近くにモノリスが現れて、それをさわった猿たちが道具を使うことを覚えます。時代は、現代に飛び、月に、モノリスが埋まっているのが発見され、そこから木星に信号が発信されているのがわかります。で、宇宙船ディスカバリー号で2名の宇宙飛行士と3−4名の科学者が調査に向かいます。宇宙船には、HAL9000というコンピューターが積まれていて(当時最も有名だったコンピューターの一つ上を行く、という意味のようですね。)、宇宙船全体をコントロールしていますが、途中でおかしくなって乗組員を殺していきます。が、ボアマン船長は、かろうじて生き残りHAL9000を停止させ、木星へと向かいます・・・

2 ブルースブラザース
(1980)
この映画も最高です。二人の男が、出身の孤児院が税金を払えず閉鎖されそうになっている、ということを聞いて、ブルースバンドを結成し、コンサートを開いて締め切りぎりぎりに税金を払い、孤児院を救うという心温まる物語です。(まだ見ていない方は、見てのお楽しみ・・・)主演は、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド、監督は、ジョン・ランディスです。
昔の婚約者(結婚式の当日すっぽかした。)が出てきたり、ネオナチやカントリーバンドのメンバーに狙われたり、いろいろと複線がからみます。また、この映画は、音楽がすばらしい。全編リズム・アンド・ブルースやソウル系の曲がかかります。1曲目の"She caught the Katy"で、ぐっときますが、なんとジョン・ベルーシが歌っています。彼は、まん丸の体型でバクテンをしたり踊ったりと意外な動きをしますが、歌もうまい。他に、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズなども歌っています。
当時、スターウォーズのお姫様で有名だったキャリー・フィッシャーが謎の女性で出てきます。これがまた、なかなかすごい。ツィギー(昔ミニスカートで有名だった。)も出てきます。また、若き日のスピルバーグもちょこっと出てきます。
コンサートが終わって、納税事務所まで車でぶっ飛ばしますが、これが、痛快。シカゴの高架の下をすごいスピードでとばすシーンは、目が回りそうです。
3 アマデウス
(1984)
アマデウスというのは、モーツァルトのミドルネームです。レーザー・ディスクを持っていますが、最初は映画館で見ました。2時間40分くらいありますが、アッという間でした。
天才モーツァルトの話ですが、遊び好き、女好きで下品な笑いの粗野な人物として描かれています。(まじめなモーツァルトファンの間では、この映画の評価は低いようです。)が、天才というのは、常人の感覚から大きくずれているものであって、例えば、彼の手紙などを読むと、結構こんな人物だったのでは、と納得してしまいます。
サリエリという音楽家がいて、昔からモーツァルトは彼に毒殺された、という噂があったそうです。その話を映画化したものです。

全編にモーツァルトの音楽が流れます。以前は、モーツァルトはほとんど持っていませんでしたが、この映画でファンになり、いろいろと買い込みました。特に5枚のオペラのレーザー・ディスクは、我が家の家宝の一つです。最後のクレジットの時に流れる、ピアノ協奏曲20番の2楽章はいいですね。こんなメロディを作ることができるのは、彼だけですね。映画館で初めて聞いた時、感動してしまいました。
事実かどうか知りませんが、映画の中では、モーツァルトは作曲はすべて頭の中で終わらせて、単に譜面に清書するだけ、と描かれます。これもすごいですね。

4 潮風のいたずら
(1987)
ゴールディ・ホーンとカート・ラッセルの主演です。感動のラブ・ストーリーです。恋愛の話でもあるし、夫婦の話でもあるし、父親と子供、母親と子供の話でもあります。
ビデオで持っています。何度も見ていますが、いつ見ても涙ぐんでしまうシーンが二つあります。一つは、ゴールディ・ホーンが記憶を取り戻して去っていく時に、子供たちが、「お母さん!」と車を追いかけていくところ。もう一つは、やはり「キャロリーナ!」のシーンでしょう。最後にカート・ラッセルの「君は、多分なんでも持っているけど、プレゼントは、何がいいかな?」という質問のゴールディの答、映画の最後のせりふがオシャレです。
この映画で競演したせいかどうか知りませんが、二人は結婚して子供が二人いるそうです。が、最近知ったのですが、結婚はしていないようで、二人のプロフィールを見るとパートナーとなっています。
原題は、"Overboard"です。船から落ちて、というような感じでしょうか?実際彼女は2回落ちます。ちなみにWeb版の英辞郎でひくとなんと「潮風のいたずら」と出てきます。
5 愛と哀しみの果て
(1985)
原作は、デンマークの貴族カレン・ディクセンの実体験に基づく小説です。形ばかりの結婚をして、アフリカに渡りコーヒー園を経営します。が、夫は、農園には興味がなく、狩りや女遊びに明け暮れていて、ある時子供を作ろうとしますが、梅毒をうつされて、子供ができなくなってしまいます。そんなとき冒険家のデニスに出会います。二人は、一緒に旅行したり、セスナ機でアフリカの大地を眺めたりします。が、自由がほしいデニスは、結局去っていき、また、農園も火事で焼けてしまい、彼女は、デンマークに帰ります。
カレンをメリル・ストリープ、デニスをロバート・レッドフォード、監督は、シドニー・ポラックです。このころのメリル・ストリープが一番きれいだったかもしれません。原題は、"Out of Africa"です。邦題は、ちょっと意味不明です。"Out of Africa"というつもりで見た方がいいですね。

アフリカの風景がたいへん壮大で美しい。一番印象的なところは、カレンに物語を話してほしいと頼むところで、出だしをデニスが話します。「昔、チェン・ワンという流れ者の中国人がいた。ライム・ハウスに住み、シャーリーという娘を知っていた。」この話を受けて、カレンが物語を始めます。
デニスと旅行をしている時に、ライオンが襲ってくるシーンがあって、カレンはライフルで撃ちますが、そのあと、歯を食いしばったせいで、唇から血が出ています。別のライオンが牛を襲うシーンでは、鞭でひっぱたいて追い払います。牛を助けるために茨の中を進んでいったため、体中に切り傷ができてしまいます。こういう、知性があり強い女性に憧れます。
デンマークへ帰る時、召使いのチーフみたいな人に、「大きな火をたいてください、必ず見つけます。」と言われます。ここが一番ジーンときます。
一番好きなのは、やはり、シャンプーのシーンです。旅行の時カレンの髪がぼさぼさになって、デニスが洗ってあげます。最後に泡を流す時の目を閉じたカレンの表情にぐっと来ます。

6 パルプフィクション
(1994)
この映画は、素晴らしい。歴史に残る映画かもしれません。4つくらいの物語をバラバラにして、時系列を入れ替えて物語が進みます。ストーリーもかなり奇想天外です。意外な出来事がこれでもか、これでもか、と起こります。
タランティーノの作品です。当時30か31歳くらいです。こんな映画を作ったら、これ一本で彼の才能を使い尽くしたのでしょう。ジョン・トラボルタが出ています。彼は、この映画で復活したと思います。やくざのボスの愛人役でユマ・サーマンが出ています。彼女もたいへんいい感じです。髪型といい、目つきといい良い雰囲気です。ジョン・トラボルタの相棒にサミュエル・L・ジャクソン、八百長ボクサーにブルース・ウィルスが出ています。このような豪華な配役で、このような映画をやるというのも痛快です。
サミュエル・L・ジャクソンが、いろいろな場面で、エゼキエル25章17節を暗唱します。心悪しきもの、心正しきもの、羊飼いがこの映画のキーワードかもしれません。
映画は銃弾と血しぶきが飛び交い、4文字言葉連発のダーティで暴力的です。が、見終わると結構オシャレな印象が残ります。
7 マスク
(1985)
ライオン病と呼ばれる頭蓋骨が肥大し変形していく病気の子供ロッキーの物語です。(彼の顔は最後まで正面からは写りません。)お母さん役がシェールです。目の見えない少女ダイアナ役でローラ・ダーンが出ています。ロッキーとダイアナの淡い恋物語がいいですね。ダイアナは、生まれた時から目が見えないため、色がわかりません。ロッキーがダイアナを台所に連れて行って、色の説明をするシーン、これは感動します。(映画の一シーンで紹介しています。)
感動の名作です。
8 ストレンジャーザンパラダイス
(1984)
この映画を初めて見た時は、びっくりしました。すごい映画です。1分半のカットが60ヶつないであります。ただ、ゴダールの映画と一緒でどうすごいか、ちょっと説明しにくい。輝度の強いモノクロの映画で、物語が淡々と進みます。映像と音を受け入れながら感覚で楽しむ映画です。監督はジム・ジャームッシュで、彼もこの映画一本で才能を使い尽くしたかもしれません。
9 帰郷
(1978)
ベトナム戦争に関する映画です。戦争は、75年に終わっているので、その3年後の作品になります。ロバート・デニーロ主演の「ディア・ハンター」も同じ78年の作品です。

高校の時チア・リーダーをやっていて、卒業アルバムの「無人島に行く時に持っていくものは?」の答えが「夫」というサリーは、海兵隊の夫の従順な妻でした。夫がベトナムに行ったあと、傷病兵の病院でボランティアをやり、高校の同級生のルークに出会い、彼とのつきあいや友人の弟の自殺などを通して、変わっていきます。(見た感じも、スカーフを巻いた普通の髪からカーリーヘアになります。)最後の方で彼女は、車いすのルークの膝に乗って、「私は、変わったのではなく、自分を見つけた。」と言います。
サリーの友人、ヴァイの弟はベトナムに行って2週間で精神的な病になって帰ってきます。最後は、自殺してしまいます。
サリーの夫は、厳格な軍人で、サリーに対する思いやりもありました。出兵する前にトースターが壊れていて、「サリーがトーストを食べられないから」と言って修理していました。が、やはりベトナムに行って変わってしまいます。寝ている時に銃を握りしめているのが印象的です。(本で読んだか誰かに聞いた話ですが、妻が、ベトナムから帰ってきた夫を起こしに寝室に行き、起こそうと触れた途端、銃で撃たれた、という事件があったそうです。)
ルークもベトナムで負傷し、半身不随になってしまいました。最後にとある高校に呼ばれます。高校生は、まず軍隊のリクルートの説明を聞いて、次にルークが、「ベトナムへ行くと速く年をとる。あまりに多くの死を見るからだ・・・」と言って話し始めます。映画のクライマックスです。感動します。

サリーをジェーン・フォンダ、ルークをジョン・ヴォイトがやっています。映画の中で70年前後の当時はやっていた曲がたくさんかかります。ストーンズ、ビートルズ、サイモンとガーファンクルなど、懐かしい曲ばかりです。

10 追憶
(1973)
この映画も何回も見ました。ケイティとハベルの物語です。原題は、"The way we were"です。適切な訳語を思いつきませんが、この映画をぴったり表しています。好きなシーンは、ケイティと別れてからハベルが友人のJJとヨットに乗っていて、「人生で最良の年は?」と聞かれて、「1944年。いや、45年。・・・46年?」と考え込むところです。(映画の一シーンで紹介しています。)
また、バーブラ・ストライザンドは、「追憶」(The way we were)という曲を歌っています。これも名曲です。3分半の曲が2時間の映画を良く表しています。
映画の最後で二人はばったりニューヨークのプラザホテル(多分)の前で出会います。二人のさりげない会話がしんみり来ます。二人の会話、表情、仕草、間、全てがいいですね。最後にロバート・レッドフォードが「ケイティ、またね」("See, Katy.")と言って、道路を渡っていって、バーブラが「ハベル、またね」と後ろ姿にささやきます。(口を動かしているだけ?)で、ケイティは大声で「原爆を禁止しましょう!」と叫びながらビラを配り始めます。

(11位〜20位)
順位
タイトル
コメント
11 インドシナ
(1992)
カトリーヌ・ドヌーブ主演。彼女は、フランス領ベトナムで父親の跡を継いでゴム園を経営している。また、将来はベトナムの皇族に嫁がせようと、ベトナムの娘を養子にする。ところが、彼女の愛人であるフランス人将校と娘が恋に落ちて子供ができてしまう。戦火が激しくなる中、娘は共産党に入り、彼女はその子供を自分の子供として育てる。時は流れ、彼女は子供とともにフランスに住んでいて、パリでベトナムの和平会議か何かがあり、そこに養女が代表のひとりとして来ているらしい。彼女は、息子に、
「あなたの母親が来ているから会ってきなさい。」
息子は、人混みの中に消えるもすぐに帰ってくる。行ってみたけれどよくわからなかった、とか何とか答える息子に、彼女は、なぜ母親に会いに行かないのか、と聞く。
「私の母は、ずっとあなたです。」
カトリーヌ・ドヌーブは海の方へ歩いていき、後ろ姿を見せる。こんなすごい演技は、彼女でなければできないでしょう。感動的な大作です。
12 小さな恋のメロディー
(1971)
ダニエルメロディはイギリスのパブリックスクールに通う小学生。二人は、恋に落ちて、というかお互いに好きになって結婚宣言をします。クラスの友人達も初めからかいますが、最後は二人のために結婚式を開きます。そこへ先生達が、クラスへ連れ戻そうと大挙してやって来ますが、みんなで袖を引っ張ったりして抵抗します。その間に、二人は友人のオーンショーとともに逃げていきます。
たいへん良い映画です。全編にビージーズの曲が流れます。また、ダニエルの家庭は中流階級で、メロディの家庭は労働者階級、というようなことがさりげなく描かれます。それから、イギリスの小学生は元気いっぱいです。その中でもオーンショーの型破りなところは目立っています。

映画の中で一番好きなシーンは、結婚をみんなに反対されていつもデートをしていた墓地で雨に打たれながら二人で寄り添っているところです。この映画は、いつ見ても、いくつになっても、ジーンとなったり涙ぐんだりうれしくなったり、元気になったりするすごい映画です。ある意味この映画は私の原点の一つなのかもしれません。
最後のシーンは、クロスビー・スティルス&ナッシュの「ティーチ・ユア・チルドレン」が流れる中、ダニエルとメロディが手動のトロッコに乗って、野原を逃げていきます。感動的なエンディングです。

実はこの間イギリスに出張に行った時に、メロディが金魚を遊ばせたところとおとうさんを迎えに行ったパブを見つけました。

13 遠い夜明け
(1987)
南アフリカの黒人活動家スティーブン・ビーコと地方紙の編集者(白人)の交流を描いています。監督は、リチャード・アッテンボローで静かな怒りが全編を貫いています。(映画は静かな怒りではありません。)ビーコは、デンゼル・ワシントンが演じています。映画の終わりに画面に獄中でなくなった政治犯のリストが出てきます。名作です。
ピーター・ゲイブリエルが「Biko」という曲を歌っています。また、ジョーン・バエズも歌っています。これも名曲です。
14 今を生きる
(1989)
ロビン・ウィリアムス主演です。規律の厳しい高校へロビン・ウィリアムス扮する教師が赴任してきます。彼自身もその高校の出身で、昔あった「死せる詩人の会」を復活させます。また、「"O Captain, My Captain"というのをしっとるか?ホイットマンがリンカーンについてうたった詩にあって、僕のことをキーティングと呼んでもいいし、"O Captain, My Captain"と呼んでもいい。」などと言います。いろいろあって、結局ロビン・ウィリアムスは高校を辞めることになりますが、最後に受け持ちのクラスに挨拶に来て、帰ろうとすると、誰ともなく、机の上に立って、彼を"O Captain, My Captain !"と呼びます。
15 アンダーグラウンド
(1995)
旧ユーゴスラビアの物語です。2次大戦中にレジスタンス活動のために地下で武器を製造しているグループがいて、そこのリーダーが戦争が終わっても「まだ続いている」とみんなを騙して、武器商人として私腹を肥やしていきます。戦争が終わって共産主義の時代になっても地上に出るのはリーダーばかりでグループのメンバーは皆毎日地下で武器を作り続けていきます。終わり近くでリーダーが、空襲警報を鳴らして、するとみんなは地下室においてある戦車の中に隠れ、そしてリーダーは建物を爆破してしまいます。こんな風に死んでいくなんて、つらい気持ちになります。
結婚式のシーンがあって、そこで花嫁がふわっと空に浮かぶところは幻想的です。
16 イージーライダー
(1969)
ピーター・フォンダとデニス・ホッパー主演。たいへん若いジャック・ニコルソンも出ています。物語は、麻薬の運び屋か何かで一儲けしたキャプテン・アメリカとビリーが、ハーレーのバイクを手に入れてフロリダの謝肉祭を見に行こうとバイクで旅するものです。斬新な映像と映画の雰囲気をよく表している音楽が効果的に使われます。酔っぱらい弁護士役のジャック・ニコルソンが話す、「みんな自由についてはいくらでも語るけれど、自由を目の前にするととても怖いんだ。」というようなせりふがこの映画をよく表していると思います。
17 ロレンツォのオイル
(1992)
実話に基づいています。ニック・ノルティとスーザン・サランドンが両親の役で子ども(ロレンツォ)が不治の病にかかります。副腎白ジストロフィーという病気で、母方からの遺伝で5才から10才の男子しかかからない先天性の病気だそうです。二人は、医学については素人ですが、猛勉強の末、息子の病気を治すオイルを完成させます。ロレンツォは、病気が進行していて、完治はしませんでしたが、このオイルはロレンツォのオイルと呼ばれ、その後多くの子どもたちの命を救っています。
本物のお父さんは、ミエリン・プロジェクトで、今でもロレンツォのために奮闘しています。ミエリン・プロジェクトのページで、本物のロレンツォやお父さんに会えます。
18 キャバレー
(1972)
昔、ライザ・ミネリの大ファンでした。彼女の映画では、一番好きです。第2次大戦が始まる前のベルリンが舞台。ライザ・ミネリがキャバレーのスターとしていろいろ取り組む話と同じ館に下宿しているアメリカ人青年とのラブストーリーとじわじわと進むナチスの台頭が描かれています。ライザと青年に興味を持つ貴族のような人も出てくるため、話が複雑になります。郊外のレストランに出かけた時にナチスの青年が歌を歌い出して、最後は全員が合唱を始めるシーンが印象的です。
監督がフォッシーというミュージカル関係の人で、キャバレーの歌と踊りのシーンもたいへんよい。緻密に構成された良い映画です。
19 愛は静けさの中に
(1986)
ウィリアム・ハートとマーリー・マトリン主演。主人公の女性が耳の聞こえない方で、彼女と確か彼女がいた学校の先生(ウィリアム・ハート)とのラブストーリーです。純粋な感じがして、大変感動したことを覚えています。
原題は、より少ない神の子どもたち(Children of a lesser God)、ということでしょうか。
20 ベルリン天使の詩
(1987)
有楽町にあるミニシアターに見に行きました。ヴィム・ヴェンダースが「パリ・テキサス」の3年後に撮った映画です。ずっと長い間人間を人知れず癒してきた天使たち(主に中年以上のおじさんたちなのが、また良い)のうち、サーカスの踊り子に心惹かれた人がいて、人間の世界にやってくる、というような話です。モノクロームの映像で、全編、詩やいろいろな人の語りが入っています。たいへん不思議な映画ですが、見るほどにホッとした気分になります。
確かミニシアター系でかなりのロングラン記録を出したと思います。

(21位〜30位)
順位
タイトル
コメント
21 キリングフィールド
(1984)
これは、すごい映画です。クメール・ルージュがカンボジアを制圧する頃、1975年頃の物語です。ポル・ポト率いるクメール・ルージュは、カンボジアで特に大学教授・弁護士・医者などの知識人を中心に300万人以上殺害したと言われています。
ニューヨークタイムズの特派員だったシドニー・シャンバーグは、73年頃から現地に派遣され報道を続けていました。現地のディス・プランと活動を続けていて(なお、カメラマンは、あのマルコビッチです。)ポル・ポトが政権を取った頃、命からがらフランス大使館に逃げ込みます。シドニー達は無事国外へ脱出しますが、ディス・プランのパスポートの偽造に失敗し、ディス・プランは泣きながら大使館から出ていきます。彼は、カンボジアに残り、クメール・ルージュの収容所に入れられます。悲惨な日々を収容所で過ごしますが、脱走に成功し、白骨が転がる沼地を抜け、タイの難民キャンプへたどり着きます。そこで数年ぶりにシドニーと再会します。シドニーが「許してくれ」というと「許すことなんか、何もないよ。」と言って笑います。
ここで、ジョン・レノンの「イマジン」が流れます。確かに「イマジン」は名曲で、大変好きな曲ですが、このような重いテーマの映画では、あまりに軽すぎてがっくりきました。
22 インテリア
(1978)
ウディ・アレンらしからぬ重厚な映画です。3人の娘が「家」に帰ってきます。が、両親は離婚するところで、父親は現在つきあっている女性を「家」に連れてきます。その女性は酔って、いい気分になって踊り出し、うっかり花瓶を割ってしまいます。(この映画は、全く音楽がかかりませんが、このときだけ音楽が使われます。)「家」の中のきちんと整理されたインテリアは、彼女たちの厳格な母親の象徴として、使われていて、花瓶が割れることも象徴であり、その後を暗示しています。
ウディ・アレンの映画は、言葉の量という意味で「動」の映画ですが、この映画はあくまでも「静」です。映画のポスターに使われた3人の娘が並んでいるシーンもたいへん芸術的です。
23 ペイパームーン
(1973)
怪しげな聖書売りの男(ライアン・オニール)とひょんなことから一緒に旅することになった女の子(ライアン・オニールの娘のテータム・オニールで当時10歳くらい)のほのぼのとしたロード・ムービーです。二人の会話が何とも言えずおもしろいです。テータム・オニールはアカデミー賞の最年少の助演女優賞を受賞しました。
当時、ある友人がたばこを吸い出しましたが、なかなかうまく吸い込めずに、ふかすという程度でしたが、テータム・オニールの上手なたばこの吸い方を見て、喫煙をあきらめた、という逸話があります。彼は、今でも非喫煙者です。
24 ラストエンペラー
(1987)
清朝の最後の皇帝で、日本軍が設立した満州国の傀儡皇帝、溥儀の物語です。歴史に翻弄された彼の一生が描かれています。一番最後のコオロギのシーンが有名です。
監督はベルトリッチで、主演はジョン・ローン。坂本龍一も出ています。彼は、音楽も含めていろいろと才能があるのですね。
25 プラトーン
(1986)
ベトナム戦争は当時から反戦運動が盛り上がっていましたが、ハリウッド映画で真正面から取り上げたのは、この映画が初めてだったと思います。アメリカ映画では通常アメリカの兵士は正義の象徴のように描かれますが、ここでは、沼地が続くジャングルの中で泣き言を言って、農民にすらおびえている単なるごろつきのように描かれています。最後は仲間通しで殺し合いをします。
音楽は、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」が使われていて、もの悲しくこの映画に対する心情をよく表していると思います。
26 レナードの朝
(1990)
ロビン・ウィリアムスとロバート・デニーロの主演です。これも実話に基づいています。ロビン・ウィリアムスは、1920年代に流行した眠り病によって体が動かなくなった人たちを担当しています。彼らは植物人間であるという人もいますが、ある時患者の一人ロバート・デニーロに文字盤でレナードと綴らせようとした時、「リルケの豹」と綴ります。いろいろと調査するうちに薬を使って病気を治します。ハリウッド映画の脚本家であればここでハピー・エンディングですが、現実は厳しく徐々に薬が効かなくなり、全員もとに戻ってしまいます。
ロバート・デニーロというのはすごい役者で、役により体重を変えたり、アルカポネの役で髪を抜いたりというのを聞いたことがありますが、ここでは、体が徐々に麻痺していく様子の演技が、まるで本物です。また、ロビン・ウィリアムスも温かい人柄が良く出ています。
27 レッズ
(1981)
ウォーレン・ビーティとダイアン・キートン主演。ほかにジャック・ニコルソンやジーン・ハックマンも出ています。3時間以上の大作で、ウォーレン・ビーティが監督で脚本も書いています。
アメリカのジャーナリストがアメリカ共産党の設立を画策し、一人でロシア革命を取材して、モスクワで客死する、という話です。ダイアン・キートンとのラブストーリーも間に挟まっています。名作です。
28 チャイナシンドローム
(1979)
ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス主演。「チャイナシンドローム」とは原子炉の燃料がメルトダウンを起こし、地中に溶け出し、遙か地球の裏側の中国まで流れていく現象、というようなことだそうです。スリーマイル島の原発事故もちょうどこの作品の上映の頃起こったそうです。
スリリングな緊迫感にあふれた映画です。主演の3人がこれでもかという熱演です。「帰郷」と並ぶジェーン・フォンダの代表作でしょう。彼女のキャリアを考えると「バーバレラ」も代表作と考えるべきですが、これは違うジェーン・フォンダですね。
29 時計じかけのオレンジ
(1971)
キューブリックが「2001年宇宙の旅」の次に作った映画です。前半は、ヘルス・エンジェルスのような集団の信じられないような暴力が描かれていて、後半はその中のリーダーが病院で、非暴力的な人間になるための治療を受ける、ということが描かれています。ある友人は、この映画はきわめて政治的な映画である、と言っていました。キューブリックの作品は音楽に特徴がありますが、暴力のシーンではリーダーは「雨に唄えば」を口ずさみ、部屋でくつろぐ時は、ベートーベンの交響曲9番を聞きます。
30 シルクウッド
(1983)
これも実話に基づいています。プルトニウム燃料工場で働いていたカレン・シルクウッドの物語です。彼女は初めは普通の労働者でしたが、度重なる被爆事故が起こったり、被爆したトラックを解体しているところを目撃したり、燃料棒のX線写真を修正しているところを目撃したりで、会社の不正を告発していきます。また、一緒に働く友人達は、組合を存続させて賃上げ交渉をするところまでは協力的ですが、それ以上の活動で働く場が無くなることを恐れていて、だんだん彼女に距離を置くようになり、彼女は孤独感に打ちひしがれたりします。組合の集会が済んでから、検査結果を改ざんしているという証拠の文書を持って、ニューヨークタイムズの記者を迎えに行きます。
彼女が暗い夜道を運転している時に、彼女自身が歌う無伴奏での「アメイジング・グレース」が流れます。後ろを走っている車が近づいてきて、バックミラーに反射するライトが明るくなったところで、あと、事故を起こした車、牽引されているところ、彼女の墓、とたんたんと画面が流れます。
メリル・ストリープ主演で、彼女の恋人役でカート・ラッセル、同性愛主義者の同居人にシェール(3人で住んでいます。)、監督はマイク・ニコルズです。

 戻る