研究テーマ->音楽とロボット->オリジナル制作のロボット->太鼓演奏ロボット〜こさん君->CADデータの制作とCNCによるアルミ切削
  ここでは、ドラムや太鼓などの打楽器を演奏する二足歩行ロボット、こさん君の制作について紹介します。  
 

 
   
 

文字の切削については、こちらの覚書で。

 
CADデータの制作
CADソフトでパーツの図面を作成します。(こさんくん1号機図面


見通せる形であれば立体的なパーツを作成することも可能ですが、通常の切削では、平面図を作成します。

切削はCNCという機械で行いますが、この機械ではスピンドルと呼ばれるドリルで、すこしずつアルミを削っていきます。ドリルの直径は通常1mm〜3mm程度です。
ネジ穴もこのスピンドルで開けますので、ネジ穴の大きさは、スピンドルの直径より大きくする必要があります。たとえば、1.5mmのスピンドルを使用する場合、1.8mmのネジ穴はあけられますが、1.2mmのネジ穴はあけることができません。
同様に、溝をつくる場合も、スピンドルの直径より小さい幅の溝は作ることができません、

重量が大きくなると、ロボットの動きが悪くなるため、できるだけ軽量化をはかります。たとえば、ある程度の強度がたもてるように工夫して、円形の中抜きなどをします。

あとで切り出した部品を曲げる場合は、その部分に小さな穴を開けておくと曲げやすくなります。
 
アルミフレームの切削
アルミフレームを切削します。


CNC


Desk drill



Handsaw

CADで設計したパーツをCNCという切削機にかけます。左はBLACK IIというCNCです。ネジ穴まで正確な位置にあけることができます。CNCはパソコンにつながっていて、パソコンにデータを読み込み、ソフトでCNCを制御しながら切削を行うというのが一般的です。CADでDXFなどの形式でデータを書き出し、それをCNCで読み込めるGコードという形式に変換します。そのデータを切削用のソフトに読み込みます。
ファイルとソフトの流れは、CADソフト→CADデータ (拡張子DXF)→コンバートソフト→Gコードデータ(拡張子NCD)→切削ソフトとなります。

アルミ板はホームセンターでも売っていますが、強度が弱いので、ロボットパーツの専門店から購入することをお勧めします。
アルミ板は硬さにより型番がついています。ロボットのパーツ店では、A5052とかA2017というのが売られています。通常は、ほどほどの硬さのA5052を使用します。あとで曲げの機械をつかって、途中で直角とかに曲げることができます。A2017はだいぶ硬いアルミで、これを使用すると曲げ加工ができません。無理に曲げようとすると、折れてしまいます。硬い素材を使用すると、切削に時間がかかります。切削のスピードは設定で変えられますが、硬い素材を速い速度で切削しようとするとスピンドルが折れる可能性が高まります。
通常、1.5mmの厚さのアルミ板を使用することができますが、1mmのものや2mmのものも使われています。1mmのものは速く切削できますし、曲げやすいですが、強度が弱いです。2mmのものは、重くなりますし、切削に時間がかかります。太鼓演奏ロボットの足裏や足などは2mmで制作しています。それ以外は1.5mmです。サーボモータの配線カバーは1mmで制作しています。


まずCNCに設置できるようにアルミ板をハンドソーで適当な大きさに切ります。

CNCではドリルでアルミを切削し、パーツを切り出します。小さいパーツでも切削には数時間かかります。 アルミの厚みや硬さ、パーツの大きさや穴などの数やラインの細かさにより切削時間が変わります。

ドリルがアルミにあたる場所に、切削オイルを塗っておく必要があります。(塗っておかなくても動きますが、すごい音がしますし、機械の寿命が短くなったり、スピンドルが折れたりすると思います。)手間なので最初に全体に塗っておくようにしていますが、できれば、すこしずつ切削しているポイントに塗るほうがいいとは思います。

切削に失敗する場合は、次のようなことが原因です。
(1)素材の位置がズレた(両面テープで貼り付けている素材がずれた) やりなおし不能
(2)切削の深さがたりない (スピンドルが上下にずれた場合) やりなおし可能
(3)電源が落ちた 原点に戻せない場合はやりなおし不能

スピンドルはある種、消耗品と言えますが、下記のようなことが要因で折れます。
(1)素材とスピンドルとの関係
1.素材が硬すぎる
2.スピンドルの直径が細すぎる
3.切削速度が速すぎる
(2)スピンドルの回転が切削中に止まってしまった場合(回転していない状態で切削が続くと素材の硬さにまけてスピンドルが折れます。木など柔らかいものを切削している場合は大丈夫な場合もあります。)
1.スピンドルモータの電源だけが切れた(CNC全体の電源が落ちた場合は大丈夫です。)
2.モータの回転を伝えるゴムが切れたり外れたりした
(3)素材の位置がズレた場合
素材は両面テープで固定しているため、CNCの台座から剥がれてしまうことがあります。

切削が終わったら、デスクドリスなどで後処理をします。私は、ネジ穴に再度、ドリルをあてて、穴の大きさを確保するなどのことをしています。

CNCを持っていない場合は、ホビー・ロボットのパーツなどを販売している店で、アルミ切削サービスを行っていることろがありますので、その ようなところに発注します。DXF形式などのCADのデータを送ると、アルミを切削して送り返してくれます。 発注先は大きな機械をもっているので、自分では切削できないような大きさのパーツを切削できることがあります。

CNCを購入する場合は、どれくらいの大きさまで切削できるかがポイントになります。たとえば、最大の切削面が20cm×15cmの場合、制作できる最大のパーツのサイズもこの大きさになります。
 
アクリルの切削
 

 

 

アクリルもアルミと同じ方法で切削することが可能です。
3mm〜5mmの厚さのものを使用することが多いため、スピンドルも長いものが必要になります。
切削中にアクリルがとけてスピンドルの周囲に付着することがあります。
下記の対処が考えられます。
(1)溶けない素材を使用する
(2)付着したものを取り除きながら切削する (手間が大きいです)
(3)切削オイルを使用する (多少、緩和されます)

市販のアクリルには、硬度が書かれているものやハードコーティング的なことが書かれているものがあります。硬いものは、切削時に溶けにくいです。また、ダイキャストやパラグラスなどの表示があるものは溶けにくいです。

さらに詳しくは、CNCによるアクリル切削のページをご覧ください。