拐取・拘禁犯罪における説得交渉
「成功率100%」 宣言

被拐取者・被拘禁者の奪還率 100% 
(過去10年間/重傷者・死者なし)

  早いもので、犯罪交渉の実務業務を始めて10年間、一般からの受件としてHPを開設して5年間の歳月が経ってしまいました。これまで、私自身が大怪我をすることはあっても、対象者および依頼者が重傷や死傷することがなかったことは、私の「誇り」とともに「自信」を裏付けるものとなりました。

 そこで今後は、現役として仕事を続ける上で、これら特定犯罪交渉において1度でも失敗し、一人でも死傷者を出してしまったら、「ネゴシエーター(犯罪交渉人)」という仕事を廃業する決心を致しましたので、ここで宣言させて頂きます。

 


 誘拐・監禁事件の現場担当者に教える
「数に関するタブー(厳禁事項)」

 

 悲しい事に、戦後の日本人は、与えられることを待つ「不作為」の説得を美徳とし、戦略的な「作為」の交渉は野暮としてきた結果、“人の命”を守る外交や治安を担当する者の交渉能力も極めて低いものとなってしまいました。
 最近の誘拐監禁事件においても、現場の交渉担当者の能力不足から、最悪の結果を生じさせているのは、余りにも悲しく不幸な事です。
 もし、不幸にも、三浦功龍に相談することもなく、拐取・拘禁事件の交渉を担当してしまった外交官や警察官に、最悪の結果を抑止する「数のマジック」を教授しておきます。

1、交渉担当者は、最初から最後まで一人。 
(交渉環境の流動と交渉情報の錯誤は、二人目と交代から起こる。)

2、人質の数は、犯人の数より減らしてはならない。 
(絶対的支配環境での対抗調和は、頭数と総年齢により保つ。)

3、一人でも危害が加わったのなら、一切の交渉を直ちに打ち切れ。
(後は、人質と犯人に距離を持たせる一方的情報を与えるだけ。)


 


 立て籠もり事件の現場担当者に教える
「擬似英雄的確信犯に対する交渉手法」

 

 不景気とはいえ、また不幸な事件が起こっています。誰一人として、死傷者がでないことを切に期待し、その交渉手法として、留意すべき点を特別に公開しておきます。

<厳禁タブー事項>

1、犯人の要求する人物を「直接」引き合わせてはならない。

・大義名文を自己実現する危険性(直接加害の危険性)

2、大儀名目活動や自尊心を軽視する言動(方言)や態度(タメ口)による「和ませ説得」をしてはならない。

・自己の大儀=大価値を理解されないことによる自虐行為の危険性(自殺の危険性)

※ また、既に大儀の価値を理解している被疑者の部下や友人等を説得に当たらせても意味がないから、消耗的時間調整の手段や効果(ストックホルム・リマ症候の錯誤)以外では利用しないようにする。

<交渉の手法>

1、権限のある担当官が、格式のある言動のもと、被疑者の大儀の理解を示した上で、「現場にて」犯人要求事項の捜査開始を約束する。

・第二次的要求の満足により、第一次的要求の欲求ストレスを減少させる。

2、その後に、暖房用品や軽食とともに、犯人と人質の人数分の「防弾チョッキ」を無理矢理に差し入れる。

・銃器による実力行使の準備と犯人自身の身柄の安全を望む交渉担当官のジレンマを示して、期間を区切った自発的投降の機会をつくる。

※ 但し、危機管理のプロなら、当然留意できることだが、この手法は、銃器による制圧の必要性が高い案件では使うことはできません。なぜなら、制圧班が、強行突入の際の爆音と怒声に対して、人質とされている者が、恐怖のあまり床に小さく丸く伏せるのに、犯人は立ったまま対峙して、反撃しようと頭を上げて正面を向くことの態動から判断し、人質と犯人を瞬時に見分けて、狙撃し制圧しようとするが、現場の隊員全員の訓練が不十分だと、突入の興奮と緊張のため、狙撃する場所は、無意識に的の大きな胴体部分になってしまい、そこに「防弾チョッキ」などされていたら、制圧できずに後で反撃される危険性が増し、予想外に被害を拡大させてしまうからである。

3、期間経過後にもなお、第一次的要求である人物との面談を要求してきたのなら、テレビ機能付き携帯による「直接対話」と限定して、その要求の一部を受諾してあげる。
・この電話での直接会話におけるバックグランドミュージック(BGM)では、正月のテーマなどのゆっくりとした明るい曲を流すことにより、正月を家族と迎えるというような明るい未来の暗示をかける。

4、そして、この時の会話で重要な点は、要求人物が人質を罵倒して、その言葉を犯人に聞かせることである。

・これで、人質の安全を確認すると同時に、その担保価値を下げる言動を示すことにより、犯人の偶発的な加害衝動を減殺するストッピングを掛けることができる。(逆三角管理化)

5、最後に突入のタイミングに合わせて、その直前に、要求人物に「全面謝罪」をさせる。

・形式上であれ、一時的にであれ、すべての要求を満たされた犯人は、自己や他者に危害を加える衝動は起こり難くなり、外的刺激からの反応も鈍くなる。
(アドレナリンの一過減少時を逃すな。)

※ 但し、他者への加害可能性が低い擬似英雄的犯人の取り押えは、もっぱら自己への加害(自殺)の防止を目的としたものでなければならず、銃器による制圧はしてはならない。

 


 立て籠もり事件の交渉班に教える
「金に関するタブー(厳禁事項)」


 既に警察大学校において人質交渉班の育成プログラムが始まっているはずなのに、また不幸な結果が起こっている。科警研の心理担当者は何を教え指導しているのかを疑問に感じてしまう。

 今回の名古屋の件に関して、犯人が「人」の面談ではなく、「金」の要求をしている。それも、持ち運びのできる些細な金額の要求である。なのに、どうして「現金」ではなく「送金」にしたのか?現金を犯人に持ち帰らせるリスクを負わせることにより、同時に自殺を防止することができたのに、いったい何をしているのか!結果である人質の解放にばかり注視して、犯人の本当の目的を特定する洞察力と交渉力を欠いていたと言わざるを得ません。

1、立て籠もり犯人も、人質被害者の一人。
殺させないための質物として要求物(現金)を与える。
 

 各県警に1名の交渉班(ネゴシエーター)を設置しているとの事だが、現場担当者の選定には、十分に注意してほしい。おしゃべりが交渉能力に長けているわけではないし、聞き上手だけでは、犯人の行動をコントロールすることはできない。一つの判断要素として、現場で「そんなことやめろ!」と、抽象的な指示語を用いる者は、ネゴシエーターとしての資質がないので、直ぐに交渉班から解くこと。さもないと、突入班の被害も拡大してしまう。

2、犯人との信頼関係は、現場での具体的な「掛け合い」
でのみ形成できる。

3、情報を得るためのオープンクエスチョンは、最小限にとどめる。 

 

 

 


 「説得学」 概論

 説得学とは、学問領域では心理学と法律学の学際に位置づけられる独自の学問ですが、人間関係のあらゆる場面において必要とされる汎用な学問とも云えます。したがって、この学問における理論や技術は、共同生活を行う万人に対して、有効に機能するでしょう。
 しかし留意すべきは、ビジネス交渉学では、影響効果理論での“賞罰”を重要なプラス要因にしていますが、真の信頼を得ることを目的とする表の説得学においては、それらはマイナス要因にしかならないなど、概念・定義で異なる点も多く、この説得学が、近年の心理学ブームで多く見受けられるビジネス上の処世術=〔商品や能力を売り込むための部分的一時的説得術(自己に有利な交換価値を決定するための交渉術)〕に限定されるものではないということです

 それは、説得の本質が、人間の共同生活体たる社会が円満に存続するための潤滑油として、また、人間が個としての尊厳を守るための無形の盾として、必要・不可欠なコミュニケーションの道具・技術であることから、その学問的体系としては、共生(限られた空間・条件の中で共に生きる)に必要な対外的“信頼”を得て、これを大きく育て、“愛情(自己犠牲の覚悟)”として固めるために、全人格をもって誠実に言葉や行動を尽くす(相手に“得を説く”のだから自己保身では成功しない)という『表の説得学』と、既に結ばれていて悪性化してしまった縁=人間関係を解き切ることを目的に、“愛情”が歪み変質し“憎悪(自己犠牲の代償要求)”に変わってしまった人の心の鬼を「言葉の魔術」により静め、さらに自分との関係性が相手にとって価値のない無価値なものと認識させる『裏の説得学』との二つの柱を中核として成っています。その手法としては、小手先の心理操作技術ではなく、全人格形成への彫刻技術を内容としています。

 また、臨床心理士やカウンセラー等と対比するならば、心理療法士を含めた此等は、相談者や対象者の心理状態やその関係性の現況分析のみを行い、相談者の自己改善や自己誘発を専らの処方箋としますが、説得学においては「成長とは変化することであり、人の心・人格は死ぬまで成長する」ということを基底にしており、相談者だけでなくその対象者をも、説得の対象として人格的成長(善行への変化)を果たしてもらうことにあります。

 このように『説得学』は、心理学における現況分析に止まらない「将来の得を説く」という哲学的テーゼを含む極めて深淵なる学問として位置づけられ、現代の複雑な人間関係においては、必須の理論体系であると云えるでしょう。


 「交渉」と「説得」の理論関係

T.『交渉』negotiation, bargaining

α.統合型[非零和(ノン・ゼロサム)]・協調的交渉(All Win)

返報性(Give and Take)/ダンス理論認知的一貫性(Cognitive consistency)の原理

[目的] 双方の要求を満たし、双方に最大の配分利益と満足感(価値評価の修正)を得る
 ↓
[分析] 相互依存関係(客観と主観)の有無、全選択肢の抽出・発見(各項目ごとに相互損益による共通利益と対立利益を計上)、相互の協力可能割合とBATNA(Best Alternative To No Agreement)を予測計上
 ↓
[計画] より優位な妥協点に結実するための手段選択----ex.譲歩的承諾法(Door in the face)、情報交換としての両面提示法(正直と信頼の窮地ジレンマ)
 ↓
[実行] 双方の提案と譲歩による一つの合意形成(決定結果)
↑↓
※[再分析と再計画] 譲歩によるBATNAの範囲限定化と交渉過程での柔軟な公平かつ正当なコミットメント(=結果の満足感)
  (ア) 結果の合意----無形を含めた最良の利益(最小の費用と危険)での相互納得の取得=蒸し返し(条件変更)の禁止

β.競争分配型[零和(ゼロサム)]・相互排他的交渉(Only Win)

脅し(thread)の理論挙動的一貫性(Attitudinal consistency)の原理
不安(anxiety)の理論社会的証明(常識)/好意/権威の原理

[目的] 一方のみの要求を満たし、他方に最大の不利益と屈辱感(錯誤による満足感)を与える
 ↓
[分析] 独立・従属関係の有無(相互依存の不存在)、対象の最大動機要因の発見、動機要因の排除行動と能力の推測
 ↓
[計画] 最大影響効果の手段選択(条件設定と態度変容の必然的因果性)----ex.情報偏頗による片面提示法
 ↓
[実行] 一方の提案と他方の譲渡による二つの合意形成(決定結果と決定結果)
  (ア) 手段の合意----既知数の費用と危険を甘受する立場固定の納得----ex.条件成就、多数決、第三者仲裁
  (イ) 結果の合意----最大の費用と危険での納得(錯誤)取得=蒸し返し(報復)の抑止

 

U.『説得』persuade

破壊創造の理論(Crush and build)人格的一貫性(Identity consistency)の原理
親和化の理論(We Feeling)/希少性の原理

[目的] 他方の幸福を追求し、自己を含めた最大の将来利益と充実感(価値評価の変更と自己実現)を得る
 ↓
[分析] 信頼関係の有無、対象の真=客観的利益の探求発見、主観的最大価値(欲求利益)の認知
 ↓
[計画] 伝達の手法・タイミングの選択----人格変容(成長)のための役割提示法(懐疑と信頼の共生)、ブーメラン効果による抵抗と効用
 ↓
[実行] ひとつの合意形成(決定方法)と信頼醸成の環境整備
  (ア) 手段の一時合意----未知数の費用と危険を甘受する納得の取得=蒸し返し(再考)の機会提供
  (イ) 結果への相互努力


 表裏の「説得交渉学」理論要諦


一、説得交渉の因果律

 「説得交渉」の"原因"行為によって生まれる"結果"は、「態度変容」である。
ある一つの「態度変容」の"目的"を果たす為に行われる「説得交渉」の"手段"は、一つではない。

 説得とは、自己および他者の価値観に影響を与える原因コミュニケーション (心理的行動様式)である。

 交渉とは、他者と関係を構築しようとするコミュニケーション結果(社会的行動様式)である。ゆえに、関係のフレーミング(枠組み化=情報と利益の固定コントロール化)により、ゲーム理論での管理が可能となり、その交渉の成否は、7割の準備(内部説得)と3割の実行(外部説得)で決まることになる。

〔説得→交渉〕+〔説得→交渉〕+〔説得→交渉〕⇒ 態度変容


二、説得交渉の対象

 原因を与える対象は、「人」/被説得者の動機づけ機能(Incentive)

@ 自然(個体)的存在としての人
 a. 本能的欲求(利益・知識の獲得本能)→接近行動〔同価値化〕 
 b. 自己防衛(外的危険・内的葛藤)→回避行動〔無価値化〕

A 社会的存在としての人→個人の性格や集団の位置づけ
 a. 自己実現欲求(自己価値の他者評価)→接近行動〔同価値化〕
 b. 適応防衛(功利集団への帰属欲求)→接近行動〔同価値化〕


三、説得交渉の基本要素

【その1】一個人の内的要素/心的説得要因の分析-------------

1、態度(attitude)の3要素と心理的相関サイクル

 A.既知・固定の態度=認知(cognition)+感情(affect)+行動(behavior)

 B.変容する態度と連動する3要素
   @プラス価値(value)のサイクル⇒インフレ・スパイラル
    =認知(良い)→感情(好き)⇒行動(接近)
    =感情(好き)→認知(良い)⇒行動(接近)
    =行動(接近)→感情(好き)⇒認知(良い)
    =行動(接近)→認知(良い)⇒感情(好き)
   Aマイナス価値(value)のサイクル⇒デフレ・スパイラル/囚人のジレンマ 
    =認知(悪い)→感情(嫌い)⇒行動(回避)
    =感情(嫌い)→認知(悪い)⇒行動(回避)
    =行動(回避)→感情(嫌い)⇒認知(悪い)
    =行動(回避)→認知(悪い)⇒感情(嫌い)

2、説得の質と交渉の環境

  理(言語)の説得  情(非言語)の説得   交渉の関係(立場)
     ▽         ▽         ▽
〔認知(悪い→良い〕+〔感情(嫌い→好き〕+〔行動(回避→接近〕 ⇒ 同価値化の態度変容
〔認知(良い→悪い〕+〔感情(好き→嫌い〕+〔行動(接近→回避〕 ⇒ 無価値化の態度変容
      ※ 行動(接近)固定による強制的自己承諾

【その2】対個人との外的要素/二者間の説得要因と交渉関係-------------

1、態度・価値の可変性と時間(time)・間隔(distance)の融通性

 ※ 無理な融通は、努力の正当化という価値変容が生じてしまう。

→回復不可能な価値損失の時点経過による"損切り(隔離凍結化)"
→段階交渉(交互ルール)における低条件予告(脅し)
→勝ち逃げの鉄則=最後は引き分け(後手同調)

イ)態度変容の可変性の判断と対策/社会判断理論とアンカー効果≒期待値

    感情(大好き⇔大嫌い)刺激と認知(確定評価⇔不確定評価)刺激
       弱い刺激から標準点を探る

→説得価値のギャップを計算してアンカー係留点を槌つ。

〔★感情(大好き)〕+〔認知(未評価) 〕→アンカーギャップ(大) ⇒ 同価値化の態度変容
〔感情(普通)〕+〔★認知(不確定評価) 〕→アンカーギャップ(大) ⇒ 同価値化の態度変容
〔感情(普通)〕+〔★認知(確定評価) 〕→アンカーギャップ(少) ⇒ 無価値化の態度固定
〔★感情(大嫌い)〕+〔認知(未評価) 〕→アンカーギャップ(少) ⇒ 無価値化の態度固定

 ※ 説得の三大テクニックと言われているもの
   @ Foot in the door
   A Door in the face
   B Low ball

ロ)各要素の可変性と動機づけ機能
   @〔感情(好嫌)〕a本能的欲求やb自己防衛 /内向(個人)的一貫性
   A〔認知(善悪)〕=a自己実現欲求やb適応防衛/外向(社会)的一貫性

ハ)典型的な交渉スタイルとの関係

〔 損失の予防費用 > 損失の回復費用 〕
  →損失は、絶対値(数量)ではなく、相対値(割合)で判断する。
  →初期印象(3分ニュートラル時間)の重要性
  →リスク分散(=ポートフォリオ戦略)

<ミニマックス鞍形曲線>
   @ 相手が、最大のa欲求[利益]と最小のb防衛[損失]をもって、 最良を尽くす前提条件
    ⇒ ミニマックス戦略(Strategy)/最大(mini)の損失を最小(max)にする。
   A 自分も、最大のa欲求[利益]と最小のb防衛[損失]をもって、 最良を尽くす前提条件
    ⇒ マキシミン戦略(Strategy)/利益の最小値(mini)を最大(max)にする。

 A.分配型交渉(Win-Lose)の目的と手段
    → ゼロ・サム・ゲーム(ブロック相場)
       /ミニマックス戦略での鞍の"据わり"と"落とし"処
       /囚人のジレンマと裏切り(再ルール化のレトリック"メンツ")
    =基本協調と即しっぺ返し(ミラー戦術)

  ※ 利己的行動を利他的結果に導く⇒問題の分解
     フレーミング(Framing)と脅し(Threat & Penalty)

       /囚人のジレンマ(同時チキンゲーム)を脱出する
       /再ルール(交互ゲーム)化の後手と脅しの先手ルール(交互ゲーム)化
 
 B.統合的交渉(Win-Win)の目的と手段
    → ナッシュ均衡とパレート最適値(BATNA)
       /倫理と心理による価値の変更
  ※ ポジュショニング(Positioning)の準備できての返報性(Give and Take)

 A.既知・固定の価値での交渉手段=分配型交渉(Win-Lose)
   @態度変容(堅固)+準備の時間(少ない)+実行の間隔(短い)
    →交渉目的(同一の価値物・事象を奪い合う)

 B.変動する価値での交渉手段=統合的交渉(Win-Win)
   @態度変容(堅固)+準備の時間(多い)+実行の間隔(長い)
   A態度変容(柔軟)+準備の時間(少ない)+実行の間隔(短い)
    →交渉目的(異なる価値物・事象を発見する)

2、本人の態度変容(=自己説得)と相手の態度変容(=他者説得)

 A.一方の最大価値を奪うための自己説得と他者説得

 =分配型交渉(Win-Lose)
  ※ 〔手段〕損失のミニマックス(最小化)=〔結果〕利得のポシィビルマックス(最大化)
    /一方の絶対劣位条件(手段)を双方の無価値条件化(フレームアウト)
      =Nash均衡点の発見
 →需給バランス化(希少化=生産調整)による価値の対等
  ※ 混合ミニマックス戦術における優位条件の希少化と失敗の効用

 B.相互の最大価値を発見するための自己説得と他者説得

 =統合的交渉(Win-Win)
  ※ 立場表明(Release)と立場固定(Persist)/一貫性原理

3、二者間の継続的関係を維持する事前説得(Commitment)と事後説得(Re-commitment)

 A.分配型交渉(Win-Lose)
  ※ 一部完済免除のガス抜き効果/報復の予防
  ※ 非協力による理想妥結点(Nash均衡点=抜け出せない利己点)の維持

 B.統合的交渉(Win-Win)
  ※ 協力による限界貢献度(Shapley平均値=非協力順による損失平均)と
     理想妥結点(Nash均衡点)による結託(接近)行動の期限設定
  ※ 期限設定ができない場合、繰り返しのフォーク定理による
     修正された結託(接近)行動

▼▼ 吟味可能性モデル(elaboration likelihood model)
 態度変容の原因要素として、受け手の受容要素を加味して、説得効果の強度や継続性を判断する理論。

<受け手側>

T.情報の深い吟味・精緻化の"必要性"の有無/動機づけ[認知欲求]の強度/既努力[無成果の正当化]の程度
 (有)→Door in the face テクニック/アンカー係留ギャップの許容範囲(広)
 (無)→Foot in the door テクニック/アンカー係留ギャップの許容範囲(狭)
 (有)→論拠提示法/認知の変容
 (無)→抒情提示法/感情の変容

U.情報を深く吟味・精緻化する"能力"の有無
 (有)→両面提示法
 (無)→片面提示法

<説き手側>

V.情報発信者の外見的魅力や信憑性(ラベリング)・返報性の有無[peripheral cue]

▽中心ルート[central route]

 @T(有)+U(有)⇒情報の吟味・精緻化の実行
  =態度変容・唱導固定化/持続性(高)=逆説得の抵抗力(大)

▽周辺ルート[peripheral route]

 AT(無)+U(無)⇒情報の吟味・精緻化の不実行
  T(無)+U(無)+V(有)⇒情報の吟味・精緻化の実行
  =態度変容・唱導固定化/持続性(低)=逆説得の抵抗力(小)

 BT(有)+U(無)⇒情報の吟味・精緻化の不実行
  T(有)+U(無)+V(有)⇒情報の吟味・精緻化の実行
  =態度変容・唱導固定化/持続性(中低)=逆説得の抵抗力(小)

 CT(無)+U(有)⇒情報の吟味・精緻化の不実行
  T(無)+U(有)+V(有)⇒情報の吟味・精緻化の実行
  =態度変容・唱導固定化/持続性(低)=逆説得の抵抗力(中小)

▼▼ 心理的リアクタンス理論(psychological reactance theory)
 自分が全く自由な態度決定をできる状態にあると信じている者は、外部から自由な[認知・行動]決定を制限する刺激を受けると、実際に侵害を受ける前から、自由な心的状態を固持・回復しようと動機づけられる態度変容[感情]の障害機能を分析した理論。

 ※ 心的抵抗ができないと自覚した環境で、強制的自己承諾効果が生じる。

T.制限される認知・行動⇒補強同価値化(a.自我防衛機能 + c.価値表現機能の欲求)
 @直接的自由回復行動→指定行動・類似行動の積極的認知・行動
 A間接的自由回復行動[代役同調]→指定行動・類似行動の積極的認知・行動
 B送り手に対する感情[反感]→認知・感情・行動の低減

U.強制される認知・行動⇒無価値化(d.知識[確度情報取得欲求]機能の放棄)
  →反価値化=ブーメラン効果
 @直接的自由回復行動→指定行動・類似行動の消極的認知・行動
 A間接的自由回復行動[代役同調]→指定行動・類似行動の消極的認知・行動
 B送り手に対する感情[反感]→認知(情報の悪)・感情(嫌)・行動(回避)の低減

<影響要因の強度>
 @侵害される自由の重要度[質]/認知・行動
 A侵害される自由の割合[量]/認知・行動
 B加害脅威の大きさ[質・量]/認知(情報の悪)・感情(嫌)・行動(回避)の低減

【その3】対第三者(社会)との外的要素/三者間の説得要因と交渉関係-------------

1、 バランス(balance theory)と適合(congruity model)の理論

〔交渉環境の三角管理〕

丙(第三者・社会)
/     \
甲(本人) ―――― 乙(相手)

イ)動機づけ機能と一貫性の回復をする態度変容

 @〔認知(善・悪)〕=a自己実現欲求やb適応防衛/外向(社会)的一貫性
      →バランス理論による三角管理
 A〔感情(好・嫌)〕=a本能的欲求やb自己防衛 /内向(個人)的一貫性
      →適合理論による三角管理

▼▼ バランス理論(balance theory)認知的不協和理論
 三者関係での対立の積がインバランス(奇数)状態だと、緊張や不快感のストレスを経験するので、これを解消して「認知的協和のバランス(偶数=対称symmetry)」を回復しようと、最もストレスの強い者が、最も変化させやすい箇所に向かって態度変容を働き掛ける。

▽ バランス状態(態度変容の起こらない状態)
   =全部が味方
   =相手が味方で、第三者が敵方・相手と第三者は敵対
   =相手が敵方で、第三者が味方・相手と第三者は敵対
   =相手と第三者が敵方・相手と第三者は友好

▽ インバランス状態(態度変容の起こる状態)
   =相手と第三者とも味方なのに、その両者が敵対している。
   =第三者と敵対しているのに、味方の相手と第三者が友好。
   =相手と敵対しているのに、味方の第三者と相手が友好。
   =全部が敵対している。★

★ たとえば、敵である相手の敵(第三者)は味方なのに、敢えて本人が第三者と敵対すると、個人的一貫性や社会的一貫性(協和=対称「シンメトリー」の秩序)を回復するために、相手は、本人か第三者のどちらか容易な方へ態度変容を起こす。
▼▼ 適合性理論(congruity model)
 本人の第三者への態度固定[感情]を知ることにより、三者間の「感情的適合性(役割同調による価値の非希少化と再希少化)」をはかるために、相手は本人と第三者に対する態度変容[感情]を同時に相反するベクトルで起こす。

▽ 適合状態(態度変容の起こらない状態)
   本人→第三者(普通)☆
    =相手→本人(嫌い)
    =相手→第三者(好き)

▽ 不適合状態(態度変容の起こる状態) /無価値化
   本人→第三者(好き)★
    =相手→本人(普通)
    =相手→第三者(普通)

▽ 不適合状態(態度変容の起こる状態) /同価値化
   本人→第三者(嫌い)★
    =相手→本人(大嫌い)
    =相手→第三者(大好き)
★ たとえば、相手が自分を嫌っている場合に、好意を持つまでの態度変容を起こさせるには、相手が大好きな第三者(事象)を自分も大好きであることを伝え続ければ、相手の第三者への感情(好意)を薄くさせる事を犠牲に、自分への好意に換えることができる。/復縁の技術として応用
2、交渉における第三者の介在
 → 公正さの担保/後光効果(Hallo effect)と認知的均衡の維持

 



 「説得の実践トレーニング(交渉の実践ディベーティング)」の新設

 いくら真摯に相談を受けても、実際に説得や交渉を行う相談者が、私のアドバイスやレクチャーを実践できる技能がなければ、予定する結果を出すことはできません。そこで、実践する現場担当者や相談者自身の説得交渉能力を高めるために、ワンツーマンの役割ロールプレイによる「言葉を選び、間を計る」ためのトレーニング・サービスを新設しました。

説得のトレーニング(対個人)
 3万円 /30分〜50分(1名につき)
交渉のディベーティング(対会社)
 5万円 /30分〜50分(1名につき)


 「説得交渉の相談・代行」の料金定額化

 今まで、依頼事案の難易度や、対象者との接触回数などで、料金内容を設定していましたが、これを時間で一律化し、料金内容を明確に計ることにしました。

説得交渉の相談
 5万円 /30分〜50分(都内なら交通費不要)
説得交渉の代行
 50万円 /6時間〜10時間(調査費用等を含む)


 「顧問契約」の新規募集

 制御不可能な異文化の流入により、複雑に多様化する現代日本社会は、一個人から集団体たる会社組織まで、予測できないような対人的な危機管理や、人事問題を常に内包しながら、人格的な発育や、企業収益の発展を果たさなければならない時代になってしまいました。
 そこで、断片的な説得交渉の相談業務を、継続的な顧問(コンサルティング)業務に拡張いたします。具体的な業務内容としては、24時間の無料電話相談や、格安での交渉代行や、定期的なアドバイスをするための無料面談などが、新設のサポート内容となります。
 但し、契約締結までの面談料は別途必要となりますので、留意しておいてください。

個人との顧問契約
 30万円 /1ヶ月
(隔週の面談料は無料で、電話による即時相談も無料)
会社との顧問契約
 50万円 /1ヶ月
(週一回の面談料は無料で、電話による即時相談も無料)
メール文書のみの顧問契約
 10万円 /1ヶ月
(受信後2〜3日後の期間付き返信相談)


 「監禁・誘拐事件」の犯罪交渉(裏の説得)を無料

 高度交通化・情報技術の発展とともに、国境を越えた人・物・情報の流動が激しくなりました。日本においても例外ではなく、それは、正の面の流通だけでなく、負の面である犯罪傾向も国際化し、異常性・短絡性・大量無差別性・残虐性を帯びるようになりました。犯罪という不幸は一旦発生すると、多くの人の幸せを一方的に奪い、その痕跡は被害者を中心に関係者の記憶に深く刻まれ消えることはありません。それは犯罪行為によって、傷つけられ奪われた“体・心・財産”の被害が、回復の極めて困難なものであるという犯罪被害の深刻性を意味しています。
 しかし、無償の公的機関である警察は、具体的な法益侵害が認められ、かつ、その犯罪を裏付ける確たる証拠がある場合でなければ“事件化していない”として、捜査を開始することはなく、また、積極的に犯罪発生の予防策を講じることもありません。このような日本の現状において、経済的に貧困な人が、偶発的に犯罪被害を抱えることにより、より不幸な境遇を強いられることを防止し、社会的弱者ともいえる犯罪被害者の救済を目的に、特に急迫性を要する「監禁・誘拐事件」での犯罪者との交渉に関しては、相談・代行とも無料とさせていただきます。
 ただし、交渉に際しての諸経費(情報収集のための経費、および交通等の実費)については、御負担して頂きますので了承ください。


 公演・相談・代行」の地方出向を開始

 講師業務の地方出向が隔週化するにともない、これまで東京近郊に限定していた説得・交渉業務の範囲を「大阪・名古屋・仙台・福岡・札幌」にまで拡張いたします。自己努力だけでは問題解決に窮鼠してしまい、専門家の知恵と技術を必要としている“地方在住の方”には朗報です。日程調整に約1ヶ月ほど係りますが、方言や県民性の相違によるコミュニケーション・ギャップ(文化障害)を卓越した、私の『説得学』と『交渉力』を楽しみにしていてください。
 なお、依頼を御考えの方は、事案のアウトライン(関係性の時系的変遷と対人・対事的相関性)と緊迫性の有無、所在地を明記の上、メールにて御連絡ください。


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