日本鉄道模型ショー
今年で30回を迎える日本鉄道模型ショーは日本鉄道模型連合会JMRAの主催で東京、蒲田にある大田区産業プラザで開催され、毎年2日間で3万5千人の来場者があるこの展示会を見学しました。展示即売会場は多くの来場者で賑わっており、日本の鉄道模型ファンが熱心に買い物を楽しんでいました。展示コーナーではNゲージやHOゲージの大きなレイアウトのジオラマでたくさんの列車が走行していましたが、信号機などはあまり配置されていませんでした。踏切は遮断機が動かない物ばかりで、ちょっと意外でした。北米で規格されたDCCというデジタル制御方式が日本でも商品化されているそうですが、普及はこれからのようです。従来方式は電車の運転主、DCCは鉄道管制官というイメージでしょうか。そこでDC(直流)方式でもDCC方式でも動作する鉄道信号を製作して見る事にしました。
鉄道模型信号機の概要
【DC方式とDCC方式】
DC(直流)方式は二本の線路からモーターに電流が流れる構造になっており、線路にかける電圧の極性を変えることで進行方向を制御します。速度は線路にかける電圧で制御し、最大電圧は12Vとなっています。
DCC(デジタルコマンドコントロール)方式は7.1kHz(標準)の矩形波を±7〜22Vで線路に供給します。列車側で整流してモーター動力電源に利用します。制御信号はパルス幅変調(PWM)方式、幅の狭いパルスを”1”、幅の広いパルスを”0”として各列車を制御します。列車にはデコーダと呼ばれる非常に小型の制御回路基板が内蔵され、制御信号をデコードして列車を制御します。列車のデコーダにはアドレスが割り当てられて、1つの線路に複数の列車を走行させて制御する事が出来ます。
【市販の信号機】
Nゲージは1/150スケールの鉄道模型で線路の幅が9mm(内側)です。市販されている信号機は2灯式、3灯式、4灯式と種類も豊富です。市販の物は線路の電圧を検出して進行方向と信号機の通過検出を行い、LEDを点灯制御しています。主な仕様は次の通りです。
【信号機の仕様】
列車の進行方向は線路にかかる電圧の極性で判断するので、DCC方式では使用できません。また、通過センサーも線路に接点を設けて車輪で接点をON/OFFしているので、DCCでは使用できません。以上の事から直流方式とDCC方式共通で動作する信号機の仕様は次のようになります。
信号機その物は市販品を流用して電子回路部分を改造し、通過センサーには村田製作所の磁気センサーを使用します。制御はフリースケール社のMC9S08SH8CPJで行います。動力車のモーターには強い磁石が使われているので、モーターの磁石だけで磁気センサーに反応する物もありますが、全ての動力車が有効というわけではありません。磁気センサーに反応しない動力車には別途、強力磁石を搭載して磁気センサーに反応させます。更に将来、信号官制区間内に設置した踏切の遮断機を制御する事が出来るように考慮します。製作した基板の設置場所はジオラマのレイアウトを阻害しないように建物の模型内に設置します。