赤外線リモコンのフォーマット

多くの家電製品で利用されている赤外線リモコンはPPM方式(パルス位置変調方式)で日本メーカーはNEC方式・家電製品協会方式とSONY方式が代表的ですがJVC専用方式などメーカー独自フォーマットもあり、海外メーカーも色々あるようで調べているとキリがありません。主な採用状況を以下に示しますが、テレビは家電方式でもミニコンポはNEC方式など社内でも統一されていないメーカーもあります。
【PPM方式】パルス位置変調方式
パルス位置変調方式の詳細を下図に示します。データが”1”の場合、ONの期間の後にOFF期間がONの期間の約3倍続きます。
データが”0”の場合は、ONの期間とOFFの期間はほぼ同じになります。受信側ではONの期間の後にOFFの期間がどれだけあるかで判断します。
データの中に”1”が多くなると送信時間も長くなる事になります。


【38kHz変調】
赤外線は自然界に溢れている光の波長の一つです。赤外線リモコンに使われている近赤外線は目に見える赤より少し波長の長い光で、性質は可視光とほぼ同じです。目に見えないが目にも安全な光です。デジカメやビデオカメラは近赤外線を映すことができます。監視用赤外線カメラはこの波長を利用しています。赤外線リモコンは波長940nmの赤外線LEDを使って送信します。リモコン信号として検出し易いように38kHz AM、変調度100%で変調しています。
変調波形を下図に示します。信号がONの期間、消費電力を抑えるためデューティー1/3で約38kHzのパルスが出力されます。
【NEC送信フォーマット】
NEC送信フォーマットは、下図に示すようにリーダ・コード(Leader Code)と16ビットのカスタム・コード(Custom Code)と16ビットのデータ・コード(Data Code, !Data Code)とストップビットで1フレームの送信を構成します。カスタムコードは16ビットですが8ビットに分けて表現されています。データーコードも8ビットデータと反転8ビットデータです。

リーダーコード カスタムコード データコード データコードの反転
9mS 4.5mS C0 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C'0 C'1 C'2 C'3 C'4 C'5 C'6 C'7 D0 D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7 D0 D1 D2 D3 D4 D5 D6 D7

連続してキーが押され続けた場合、リピートモードとして下図のようなタイミングで送信されます。(コマンド単発送信モード)
最初のフレーム(58.5mS〜76.5mS)以降はリーダー部とストップビットのみが108mS周期で繰り返されます。コマンド連続送信モードでは108mS周期で1フレーム送信が繰り返されます。
消費電力の観点から見れば単発送信モードが有利ですが、途中で障害物が横切るなど、一度途切れるとリピートと認識されません。

【リーダーコード】
リーダーコード部を下図に示します。ONの期間を9mS継続し、OFFの期間を4.5mS継続します(13.5mS)。
カスタムコードやデーターコードに対して明らかに違うパターンなので容易に検出できます。


リピートモードでは下図のようにOFFの期間が1/2となり、受信側で容易に認識できるようになっています(11.25mS)。

【カスタムコード】
カスタムコードはPPM方式のLSBファーストで16ビットになります。00xxhの256通りは自由に使えます。0000h〜00FFhは好きに使えることになります。これ以外のコードはNECがコードを管理して各社に割り当てていますので使用できません。他社の機器に思わぬ動作が起きる可能性もありますので使用しないでください。逆に割り当てのない自由なカスタムコードは他のリモコン送信機から混信を受ける可能性もあります。
【データコード】
データコードはPPM方式のLSBファーストで8ビットのデータとデータを反転させた8ビットを連続して送信します。受信側で最初の8ビットと反転した8ビットを比較して、同じ値であることを確認してから受信データとして受け入れるように工夫されています。正しく受信された場合、一方は反転していますので二つのデータをANDすれば00h、ORすればFFhとなり、判定が容易です。
【ストップビット】
カスタムコードとデータコード合わせて32ビットの後に33ビット目として送信されます。ストップビットは0.56mSのON期間の後はOFFのままとなります。
受信側はこのビットを受け取った時点で受信処理を終了して、他の処理に移る事が出来ます。

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