第48回黒鷲旗観戦記

大阪遠征
東洋紡対東芝(準々決勝第1試合)
日立対ヨーカドー(準々決勝第2試合)
オレンジ対デンソー(準々決勝第3試合)
NEC対ユニチカ(準々決勝第4試合)
サントリー対東レ(男子準決勝第1試合)
NEC対日立(女子準決勝第1試合)
東洋紡対オレンジ(女子準決勝第2試合)
松下対NEC(男子準決勝第2試合)
東洋紡対日立(女子3位決定戦)
松下対東レ(男子3位決定戦)
サントリー対NEC(男子決勝)
NEC対オレンジ(女子決勝)
おまけ


大阪遠征

次回Vリーグ以降、女子の外国籍選手は認めないことが決定されている。今回の黒鷲は、外国人選手を使えるまさに最後の大会ということになる。今回の黒鷲観戦の大きな目的ももちろんそこにある。それ以外には、バーバラ抜きでエアリービーズはどれくらいやっていけそうなのか、それ以外にも各チームが日本人選手だけでどの程度戦えるか見当をつけることも重要な目的である。
それと並ぶもう一つの重要な目的は、全セットラリーポイント制によって試合がどう変わるのか見ることである。この大会は、全国レベルの実業団の大会では初めて、全セットラリーポイント制が採用される大会である。

今回は3日連続の観戦だったけれども、大阪に宿泊したわけではない。名古屋の実家に泊まり、毎日大阪と名古屋を往復したのである。もちろんその往復に新幹線を使うくらいなら大阪に泊まってしまったほうが安いので、そんなことをするわけはない。近鉄を利用したのである。
今回の観戦は「近鉄遊レールパス」というものを利用した。連続3日間近鉄列車全線が自由に乗り降りできるという切符である。今回の観戦にはこれほど好都合なものはない。実は前回の世界選手権途中で名古屋と大阪を往復した際にもこれを使いたかった(名古屋と大阪の往復運賃よりも安い!)のだが、この切符は使用開始の前日までに購入しなければならず、近鉄の主な駅でしか売っていないため、そのときは使えなかった。しかし、今回は観戦の前日夜には名古屋に戻るのでばっちりである。
今回は異常な例としても、近鉄沿線には観光地も数多くあり、連休を利用して観光地を回るような場合には非常に有用な切符である。ただし、特急に乗る場合は特急券を別に買う必要があるので、乗車券は大安売りしても、特急をたくさん利用してもらえれば近鉄としても懐は痛まないわけである。

しかしこれは本当にきつかった。列車に乗ってしまえばほとんどその間は寝ていたわけだが、家で横になって寝られるのはいずれの日も2時間ほどだった。世界選手権の観戦ツアー、あるいは男子Vリーグ決勝ラウンド(+女子入れ替え戦)のときは、帰ってきてすぐに横になり翌朝出発時間ぎりぎりまで寝ていたけれども、実家ではこのようなまねはできない。

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東洋紡オーキス対東芝シーガルズ(準々決勝第1試合)

この日は朝7時に出発した。予定の列車にかろうじて間に合ったけれども、試合開始時間に10分ほど遅れてしまった。所要時間の計算を間違えていたのだ。しかもすでに立ち見の客も少なくない。えらいことになったものだ!いつもの女子の試合の感覚できたのが間違いのもとだった!ということで、初日の観戦はまさにパニック状態で始まった。

そのパニック状態に拍車をかけたのが、場内放送がないことと、試合と試合の間が異常に短いことである。場内放送がないので、選手交代の際に誰と誰が交代したのかわからない。特に東芝は、複雑な選手起用をするチームなので、これがわからないと非常に困る。また、新しい戦力の加入があったチームも少なくない。

会場に到着したら第1セットの中盤、東洋紡が4点くらいのリードを奪っていた。このセットはその差をそのままに東洋紡が奪った。しかし、このセットから試合内容としては東芝の健闘がむしろ目立った。東洋紡はアルと濱田のレフトエース2人のアタックでとにかく東芝をねじ伏せたという感じだった。

第2セットは序盤、兵田が森山をブロック、さらにセーンムアンのノータッチエース、この後西村が小田をブロックして、東芝が一時3点リード。しかし、東洋紡も中盤までに追いつく。18-18まではお互いに一歩も引かない攻防が続いたけれども、ここからアルが強打とフェイントで突き放す。23-19と東洋紡リード、このセットも東洋紡で決まりかと思われた。しかし、東芝サイドアウトの後、アルがバックアタックをミスしたあたりから流れが変わった。東芝はさらに1点返しそしてセーンムアンのサービスが濱田を襲いこのセット2発目のエース、ついに同点。さらに、濱田のアタックを野村が止めて逆転、逆にセットポイントを迎えた。このセットポイントでもラリーが続いた。しかし、このピンチで濱田が逆に兵田を止め返し、デュースへ。濱田のアタックで東洋紡が25-24と先行、しかし東芝もサイドアウトの後兵田のアタックで26-25と逆に先手。この次のプレーでもラリーが続くも、今度は村田が野村のフェイントを止める殊勲のブロック。さらに村田がライトから決めて東洋紡27-26。ピンチを二度ブロックで逃れた東洋紡が、最後はやはりアルタモノワで逃げ切った。

第3セット、序盤は東洋紡が2点のリードを奪うものの、東芝はセーンムアンのアタックで逆転する。さらに森のノータッチエースも出て、15-11まで東芝のリードが広がる。この後東洋紡はアルがバックから強打とフェイントを織り交ぜ反撃、一時は差を縮めた。しかし、終盤西村のノータッチエース、さらにサーブレシーブをミスしアルに持っていったがアタックミス、23-19と東芝が安全圏のリードを奪った。最後は東洋紡にネットタッチがあり、東芝25-20。

第4セットはこれまでの3セットとはうって変わって連続得点が両チームとも多くなる。序盤セーンムアンと森のアタックなどで東芝が7-4とリード。しかし、東洋紡サイドアウトの後、第3セット以降大活躍のセーンムアンを森山が止めて、流れは東洋紡へ。セーンムアンのアタックミス、濱田のアタック、アルがバックからフェイントで、9-7と東洋紡が逆転する。しかし、東芝もセーンムアンのサービスエースですぐに追いつく。さらに、11-11となり東芝サーブの場面から、森のブロック、西村のアタック2本、東洋紡にサーブレシーブのミスも出て、16-11と東芝がリード。東洋紡は村田のツー、ブロックなどで追い上げ、16-15とする。しかし、東芝はセーンムアンのアタックで差を3点に広げる。この後はサイドアウトの多い展開となったけれども、結局は東芝が25-23と逃げ切り、最終セットに突入した。

最終セット、東芝はサーブレシーブのミスから岡野がドリブルをとられ、東洋紡に2点リードを許した。しかし、サイドアウトを奪った直後に兵田が森山を止め、同点に。この後は両チーム一歩も譲らず、完全なサイドアウトの奪い合いとなった。8-7東洋紡リードの場面で、村田がアタックミス、東芝が先行する。しかしその後は再びサイドアウトが続く。いったいいつまでこの展開が続くのかと、場内は騒然した雰囲気になってきた。14-14東洋紡サーブの場面で、セーンムアンがアタックミス。東洋紡が先行。この後は、アルとセーンムアンが譲らず打ち合い、17-16東洋紡リード。ここで、東芝が一発で決められず、アルに完全な体制で打たれる絶体絶命のピンチ!しかしこれを何とか拾った。この後も長いラリーが続いたけれども、最後は野村が決めた。これで流れが変わるかと思われたところ、セーンムアンに痛恨のサーブミス。その直後、森山に決められ、ついに東芝としての最後の大会が終わった。

試合に敗れはしたものの、シーガルズの良さが存分に発揮された試合だった。Vリーグでは極度の決定力不足にあえいだけれども、この試合ではスピードのある攻撃で東洋紡を振り回していた。Vリーグでもう一つ致命傷となったのはサーブレシーブの悪さだが、この試合ではサーブレシーブが乱れる場面も少なかった。
この試合を通じて活躍が非常に目立ったのはセーンムアンである。セーンムアンはタイの選手で、まだ18歳の若さである。これまでVリーグに来日した外国人選手は、世界四強のレギュラーメンバーとか世界大会で大きな実績を上げた選手ばかりではない。バレーに関しては実績のない国から来日し、大きな足跡を残した先輩もいるのだ。外国人選手の締め出しによって、そのような道も閉ざされてしまうことになる。
一方東洋紡は、それほど見るべきものはなかったような気がする。アルタモノワは今ひとつ跳べていなかった。

東芝は女子バレー部の休部を決めており、この試合は東芝シーガルズとしての最後の試合となった。そのような特別なモチベーションがあったとはいえ、すばらしい試合内容だった。Vリーグ終了時点では圧倒的に強いと思われていたオレンジが来シーズンに向けて雲行きが怪しくなっており、この大会まで外国人エースを使い続けたチームはいずれも不安材料を残したまま終わっている。(その意味で、試合に敗れても収穫があったと言えるのは、このシーガルズと、デンソーエアリービーズである。)このチーム自体は関西・北陸の中小企業十数社の支援で存続する。このチームが解散にならなかったことは、日本の女子バレーにとって大きなプラスとなるだろう。このような試合ができれば、来シーズンには四強どころか優勝争いに絡む可能性も出てくる。

もう一つ特筆すべきは、大阪国際滝井高校の大応援団である。準々決勝ではいずれのチームもチームの応援団はきておらず、少人数の私設応援団が声援を送っている程度だった。しかし、東芝だけは全く事情が別だった。スタンドの4分の1を完全に占拠し、完璧に声を合わせていた。この応援はこの後見たどのチームにも勝っていた。
大会会場の大阪府立体育会館は、スタンドの上の天井が低い。特に、スタンド最後列(応援団が音響機器を置く場所)の床から天井は成人男性の手が軽く届くほどである。そのために、スタンドの音はアリーナに非常に届きやすい。(この会場で行われたVリーグの試合で、普段から音量が大きすぎると悪評の某チーム応援団が名指しで注意されたことがあるらしい。)この後試合をしたあるチームの関係者は、東洋紡の苦戦の一因として、「大阪国際滝井の応援で、ベンチからの声が聞こえなくなったのではないか」と話をしていた。それほどの大声援だった。

私のページでも紹介してきたブラジル・スーパーリーガは、すでに1シーズン25点ラリーポイント制で行っている。しかし、プレーオフまで合わせて約170試合行っても、女子でここまでもつれた試合は一度もない。スーパーリーガは上位と下位の力の差が大きいことを考慮しても、この試合は100試合に一度もないと思われるほどの熱戦である。このような試合を見ることができて、早朝に遠くから出てきた甲斐があった。それと同時に、欲を言えば、もっと落ち着いて見たかった、という無念も残った。

準々決勝の4試合については、サーバーの認識ができていない場面が多かったので、スタメンおよびサーブ順の記述は割愛します。

1999/5/3 11:00-
Osaka Prefectural Gym.

    Toyobo - Toshiba
         3 - 2
1st     25 - 21        17 min.      16-13 21-16
2nd     29 - 27        26 min.  5-8 16-15 21-18
3rd     20 - 25        18 min.  7-8 12-16 19-21
4th     23 - 25        21 min.  8-7 11-16 20-21
5th     19 - 17        15 min.  5-4  9-10 11-12
Total  116 - 115  1 h. 37 min.

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日立ベルフィーユ対イトーヨーカドープリオール(準々決勝第2試合)

考えてみれば、ペルー出身で現在はイタリア国籍のガビーは、この大会を最後に、生でも映像でも二度と見る機会はないかも知れない。

第1セットは島崎のトス回しが特に不安定で、ヨーカドーにブロックされる場面が非常に多くなる。12-12ヨーカドーサーブまでは接戦が続いたけれども、ここでソコロワがアタックミス、さらにソコロワが金田に、多治見が足立に相次いでブロックされ、ヨーカドーペースになる。日立はタイムアウトをとるものの、田巻のサービスエース、島崎についに(またやってくれた!)トスミスが出て5点差に。ここでたまらず、セッターを島崎から小玉に交代。しかしそれも追い上げにはつながらず、すぐに島崎を戻した。結局このセットはヨーカドーペースのまま、最後はガビーのバックアタックで25-18でヨーカドーがとった。

しかし、第2セットにはいると、リューバの強打が炸裂、次第にヨーカドーに差を付けていく。セットの中盤以降は多治見を中心にブロックも出て、一方的な日立ペースとなった。23-11まで日立のリードが広がった。最後もソコロワのアタックで25-15。

第3セットは序盤にヨーカドーにアタックのミスやサーブレシーブのミスが相次ぎ、日立が4点のリードを奪う。その後は両チームとも点を取ったり取られたりという展開が続き、結局は序盤の差をそのままに、最後はガビーのフェイントがブロックされ25-20で日立。

第4セットは6-4日立リードで日立サーブの場面からヨーカドーにアタックミス、サーブミス、反則などが相次ぎ、日立が5点のリードを奪う。19-14日立リードまではほぼこの差のまま展開するけれども、そこから島崎が金田を止め、ソコロワのアタック、金田のアタックミス、足立にサーブレシーブのミスが出て、日立が4点を追加。勝負を決めた。24-16となったところで日立は田中に代えて藤好を投入。いったんは藤好がブロックされたものの、二度目で決めて日立25-18。

この試合がガブリエラ・ペレスの日本での最後の試合となったわけだが、ヨーカドーはやはり来シーズンを意識して、ガビーを使う回数はもはやそれほど多くはなかった。前回Vリーグで正セッターをつとめた南井は、けがのため戦線離脱、休部となった小田急から移籍の永山がセッターとしてフル出場という緊急体勢で臨んだ。永山はミスらしいミスは見受けられなかったものの、準備不足もあり、コンビもあまりなかった。そのため、アタッカーの決定力不足がまともに露呈された。ガビーの対角のセンターには小谷と鈴木を交代で使い、レフトに田巻を使うなど、来シーズンに向けて新しい布陣を試したけれども、これといって目立った活躍をした選手はおらず、来シーズンに向けて不安を残した。永山のトス回し自体は安定していたので、来シーズンまでによりバリエーションのある攻撃ができるよう期待される。
一方、日立のほうも、試合には勝ったけれども目新しいものは見あたらなかったと思う。ソコロワのアタックと、多治見を中心としたブロックで勝ったという、Vリーグシーズン中と同じ印象だった。

1999/5/3 13:05-
Osaka Prefectural Gym.

   Hitachi - Yokado
         3 - 1
1st     18 - 25      16 min.  6-8 12-16 14-21
2nd     25 - 15      15 min.  8-6 16-9  21-11
3rd     25 - 20      16 min.  8-5 16-11 21-15
4th     25 - 18      16 min.  8-5 16-10 21-14
Total   93 - 78  1 h. 3 min.

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オレンジアタッカーズ対デンソーエアリービーズ(準々決勝第3試合)

準々決勝では、第2試合が終了した時点で男子と女子のコートを入れ替える。今回は女子の第1試合が非常にもつれたため、男子のほうが女子より速く進行している。つまり、女子の第2試合が終わらないうちに第3試合が始まってしまったのだ。もう勘弁してくれ!!

ということで、第1セットはヨーカドーと日立の試合の合間にちらちらと見ただけである。前半はやはり力の差というべきか、オレンジが15-7と大きくリードした。ここでデンソーは坂本を投入。これで流れが変わり、一気に2点差まで追い上げる。しかし、その後はまたもオレンジが着実に差を広げ、25-18で第1セットをとった。

第2セットはデンソーのサーブがオレンジをしばしば崩し、オレンジのミスもあって、予想以上の接戦が続く。11-11デンソーサーブの場面で、小野が大村を止める。さらに、斎藤のアタックミスで、デンソーが2点リード。しかし、15-14デンソーリード、オレンジサーブの場面で吉原が井上を止めると、流れはオレンジへ。吉原のアタックとフェイントで19-16とオレンジがリード、さらにデンソーにサーブレシーブのミスが出て21-17までオレンジのリードが広がった。デンソーはいったん追い上げるものの、オレンジも斎藤のアタックで突き放し、24-20でオレンジがセットポイントを迎えた。しかし、ここからデンソーが驚異の粘りを見せる。サイドアウトの後、濱野のアタック、さらにオレンジにドリブル。オレンジはタイムアウトをとるも、その後のセットポイントでも濱野がツーで打ったのが決まり、ついにデュースとなった。この後、濱野のアタックでいったんはデンソーが26-25とリードした。ひょっとするとこのセットをものにできるかも知れない、という雰囲気になってきたところで、小野がサーブミス。そして痛恨のサーブレシーブのミスが出て、結局ボールがオレンジのコートに返らず。相手のミスでもらったチャンスを、オレンジは逃さない。最後は佐々木のアタックが決まり28-26でオレンジがとった。

第3セットは、序盤からオレンジにサーブレシーブのミスが続出、さらにアタックのミスもあり、デンソーが8-3とリードを奪った。この後も井上・坂本の爆発、オレンジのアタックミスやサーブミスもあり、終始デンソーリードで展開。最後は坂本のアタックで25-17とデンソーが簡単に奪った。

第4セット中盤までは、オレンジのアタックが決まったと思われたところでオレンジが反則をとられるなど、デンソーに運もあり、ほとんどサイドアウトの繰り返しとなった。しかし、速攻で容易にサイドアウトをとられているようでは、デンソーに勝ち目はないと思われた。案の定、井上がブロックされついにオレンジが2点のリードを奪う。さらに、斎藤のフェイント、斎藤が小野を止めて4点差。この後濱野のアタックで追い上げる場面もあったけれども、最後は21-19オレンジリードからオレンジが4連続得点。最後はこの日の健闘の立て役者だった濱野がブロックで止められ決した。

第4セットは序盤競り合い終盤に突き放されるという形なのでこの点は異なるものの、この試合の展開は実に第5回Vリーグ・黒部のオレンジ対デンソー戦と酷似している。もちろん黒部での試合ではバーバラは健在だった。もちろんこの試合のオレンジは、ツーセッターの試験中ということもあり、この後の準決勝決勝、あるいは黒部で対戦したときのような完璧なチームではなかった。しかし、それにしても、オレンジ相手にバーバラがいた当時と大差ない内容の試合をしたことは実に驚くべきである。センター線の速攻も多く使っていたし、コンビもしばしば見ることができた。オールラウンダーで安定感が出てきた濱野(濱野はこの大会で若鷲賞(新人賞)を獲得、このチームからは昨シーズンの西美保に続き2年連続受賞となる)に加え、いかにリーグ中の出場がほとんどなく、相手にデータがないとはいえ、井上と坂本があれほど活躍するとは思わなかった。オレンジは特に第2,3セットにサーブレシーブのミスがしばしば出て、準決勝・決勝に向けて不安に思われた。しかし、逆に言えば、デンソーがサーブで崩すことに成功していたということである。しかもリーグ中に目立って多かったサーブミスも、この試合ではほとんどなかった。これで夏の間に若いアタッカーがもう一段底上げできれば、現時点では飛び抜けた戦力のチームはないと思われるだけに、上位争いに加わることも夢ではない。

なぜこれがもっと早くできなかったのか、と言いたくなるほどの試合内容であった。

1999/5/3 14:10-
Osaka Prefectural Gym.

    Orange - Denso
         3 - 1
1st     25 - 18       17 min.  8-5 16-13 21-15
2nd     28 - 26       25 min.  7-8 16-15 21-17
3rd     17 - 25       17 min.  3-8  9-16 14-21
4th     25 - 19       18 min.  7-8 16-14 21-18
Total   95 - 88  1 h. 17 min.

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NECレッドロケッツ対ユニチカフェニックス(準々決勝第4試合)

ユニチカの許春蓮は、初年度にはバーバラと並びVリーグを震撼させ、以降5シーズンにわたりセッター対角に勢力を張ってきた。その許にとっても、この大会はまさに総決算の大会となる。

しかし第1セットは、ユニチカはその許を使わず、セッター対角には内野を入れてきた。一方NECは、津雲をリベロに回し、津雲の入っていたライトには高橋、またセンターにはVリーグで新人賞を獲得した杉山に代わり美田を起用した。NECは6-5とリードでその美田のサーブで、2発のサービスエースを含む5点を得点、一気に11-5と突き放した。この後も攻撃力に勝るNECが徐々にリードを広げ、19-11までその差は広がった。ここからユニチカも追い上げを開始、一時は3点まで差を縮めた。しかし、NECサイドアウトの後、長いラリーの末熊前がブロックされ流れは再度NECへ。最後はユニチカにアタックミスが相次ぎ、25-19NEC。

第2セット、ユニチカはセッター対角に許を入れた。しかしその許のアタックミスなどで、序盤にNECが3点リード。この後しばらくはその差がそれほど広がりも縮まりもしなかったけれども、17-14でNECサーブの場面で、ユニチカにネットタッチ、大懸がブロックアウトをとり、さらに熊前のバックアタックがミス。この後もNECの勢いが止まらず、終盤一気に差を広げて25-16でNECがとった。

第3セットも磯辺に珍しくコンビミス、さらに大貫、大懸のアタックなどで中盤はNECが最大4点のリードを奪う。しかし、ゴディナが2度アタックミスするなどでユニチカが次第に追い上げ、熊前のサービスエースでついに同点。NECはこの後再度2点リードするものの、ユニチカがサイドアウトで1点差とした場面で磯辺→向井、許→中田(新人、No.12)の交代を敢行。その向井が大懸をブロック、さらに美田のアタックミスでユニチカついに逆転。しかし、この直後に、NECサイドアウトの後でユニチカにサーブレシーブのミス。ここで大懸に決められてNECが再び先行。この後はサイドアウトが続いたものの、25-24の場面で、許のアタックがミスして試合終了。

NECは、この試合を見ている分にはこれといった問題点は見あたらなかった。若手の美田、高橋とも、高さはないけれども、速い攻撃あるいは移動攻撃に威力を発揮する場面が多かった。サーブレシーブでのミスがほとんどなかっただけに、セッター大貫としても速い攻撃を使いやすかっただろう。
一方のユニチカは、やはり江越の抜けた打撃は大きい。アタックには問題があったとはいえ、Vリーグでは日本人唯一のブロック賞獲得者(しかも第1回と第5回の2度)の抜けた穴は埋め難く、ブロックについてはかなり落ちている。NECの攻撃を止めるのはもともと容易ではないけれども、この試合でNECの攻撃をブロックした場面は非常に少ない。
許はもはや目立った活躍はなく、アタックミスやブロックされる場面も多かった。実に静かな日本での最後の試合だった。

1999/5/3 15:50-
Osaka Prefectural Gym.

      NEC - Unitika
        3 - 0
1st    25 - 19  17 min.  8-5 16-9  21-17
2nd    25 - 16  16 min.  8-5 16-12 21-15
3rd    26 - 24  20 min.  8-7 16-12 20-21
Total  76 - 59  53 min.

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サントリーサンバーズ対東レアローズ(男子準決勝第1試合)

前日悔しい思いをしたため、この日はさらに早く出発して、ぬかりなく試合開始時間に間に合わせなければならないと思っていた。ところが、ダイヤを調べてみると、到着は10分程度の遅れだったのだがその10分を間に合わせるためには1時間早く出発しなければならないことが判明。厳しい!

男子の試合をアリーナで見るのは今回が初めてだけれども、何に驚いたといって、まず練習中にボールが次々飛び込んでくる。バレーのボールのスピードを初めて「体感」した。とても素人に受けられるような代物ではない。うかつに顔面や手に当たったらけがをするおそれもあるし、タラちゃんなど直撃されたら瞬時に昇天である。

第1セットは10-8とサントリー2点リード、怖いジルソンサーブの場面でサービスエース。さらに、その次も東レがサーブレシーブのミス、チャンスボールをジルソン自ら決めて12-8となった。この後も東レにサーブレシーブのミスが多く、サントリーが差を広げていった。最後も東レがサーブレシーブをミスして、ダイレクトでかえってしまいそれをブロックされた。

しかし、第2セットは逆に、序盤から中盤にかけてサントリーにサーブレシーブのミスやアタックミスが続出し、東レが大きくリードする。東レのリードは一時22-12まで広がった。この後サントリーはジルソンのサーブ順で反撃するものの、時すでに遅し。最後は泉川のアタックで25-17東レ。

第3セットはこれまでの2セットと違い、サイドアウトの応酬となり緊迫した展開となった。中盤加藤陽一のアタックがミス、さらに斎藤のアタックがブロックされ、サントリーがこのセット初めて2点差をつける。しかし、16-15サントリーリードで東レがサーブという場面で、東レがフェンス際で拾ってつなぐ好プレーが出る。これを最後泉川がフェイントで決めて、流れは東レへ。さらにサントリーの小坂、佐々木に相次いでアタックミス、逆に東レが2点リードする。この後サントリーはジルソンのアタック、佐々木のブロックで23-22と逆転した。しかし、東レサイドアウトで同点となった後、加藤にノータッチエース、再び東レが先行。25-24東レリードの場面で、ジルソンのバックアタックがアウトした。26-24でこのセットは東レがとった。

第4セットは序盤、東レのボールに珍しくコンビミス、さらにつなぎのミス、サーブレシーブのミスや反則もあり、中盤でサントリーが14-9とリードする。東レは泉川や斎藤のアタック、さらにサントリーのサーブレシーブが乱れたところを加藤が決めて1点差まで追い上げる。しかし、21-19サントリーリードの場面で、斎藤のバックアタックがアウト。さらに加藤がジルソンに止められ、このセットは勝負あり。最後は加藤のサーブミスで25-21サントリー。

最終セットは東レのサーブから。しかしそのサーブ順で、泉川のアタックで東レが先制。3-3の場面で、佐々木のノータッチエースでサントリーが先行。このあたりから、判定でもめる場面が続出し、場内は騒然とした雰囲気になってくる。6-6の場面で、サントリーは足でつなぐプレーが出るものの、ジルソンがブロックされて東レが先行。この後はサイドアウトの奪い合いが12-12まで続いた。しかしここで、ジルソンのアタックでサントリーが逆転。東レはタイムアウトをとったものの、またしてもジルソンに決められて、最終セット初めて2点差がつき、しかもサントリーマッチポイント。結局はこれで勝負あった。最後もジルソンが決めて、15-13、サントリーが熱戦を制した。
この対戦は奇しくも、Vリーグ準決勝と同じ顔合わせとなった。そして、サントリーがVリーグの雪辱を果たす形となった。

スタメンおよびサーブ順(特記なき限り第1セット)
東レ: 3 加藤 → 14 渡貫 → 7 斎藤 → 8 泉川 → 17 小林 → 0 ボール
サントリー: 1 朝日 → 16 ジルソン → 5 小坂 → 2 佐々木 → 4 清水 → 14 桑田

1999/5/4 11:00-
Osaka Prefectural Gym.

   Suntory - Toray
         3 - 2
1st     25 - 17        15 min.  8-6 16-11 21-14
2nd     17 - 25        17 min.  4-8 10-16 12-21
3rd     24 - 26        21 min.  7-8 16-14 19-21
4th     25 - 21        18 min.  8-5 16-13 21-19
5th     15 - 13        15 min.  5-4  9-10 11-12
Total  106 - 102  1 h. 26 min.

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NECレッドロケッツ対日立ベルフィーユ(女子準決勝第1試合)

女子の準決勝第1試合は、男子準決勝第1試合に続いて、Vリーグの準決勝の再現となった対戦。Vリーグでは、通常シーズン・決勝ラウンド合わせて3試合とも、この対戦はフルセットにもつれている。

第1セットは日立の反則でNECが2点リードし、さらに7-5の場面から日立にネットタッチ、さらにリューバがサーブレシーブを2度続けてミス。これがいずれも失点につながり、NECのリードが5点に広がる。この後も、アタックミス、サーブレシーブのミス、ネットタッチ、オーバーネットなど、日立にミスが続出、NECの一方的な展開となった。最後はゴディナのアタックで、NECが25-14と簡単にこのセットを奪った。

第2セットも開始早々ソコロワがアタックミス、サーブレシーブのミス、その後福田のバックアタックがブロックされ、NECが5-1とリードした。この後、珍しくNECにサーブレシーブのミスが2度続き、日立が1点差まで追い上げる場面もあった。しかし、その後は島崎にトスミス、ソコロワのアタックミス、さらにNECがアンダーで返したボールがネットに当たり非常に処理の難しいボールになるという不運もあり、NECが6点リード。この後もNECはピンチブロッカーとして起用した杉山がいきなり田中を止めるなど快調、日立には相変わらずミスが続出し、点差は広がる一方。最後は第1セットと同様、ゴディナのアタックがブロックをはじき25-17。

第3セットも、開始直後はゴディナのアタックとソコロワのアタックミスでNECが3点リードする。しかし、そこからは日立にブロックが出るようになり、さらにNECのミスもあり、競り合った展開になる。13-12日立リードで日立のサーブの場面で、ソコロワがフェイントで決め、さらに大貫にコンビミス。日立が3点リードした。しかし、島崎が何とも頼りない。崩されると対処できないため、結果としてアタックミスという形で、すぐに16-15と逆転されてしまう。この後日立はソコロワのアタックで再度先行する。しかし、20-20となったところで、NECもゴディナのアタックで先行。さらに、22-21NECリードから、リューバの移動攻撃をゴーシャがブロック。続けて高橋のサーブがリベロ池田を襲いサービスエース。日立は万事休した。このセットも最後はゴディナがしめた。

日立には、アタックのミス、サーブレシーブのミス、反則、ありとあらゆるミスがとにかく多かった。特に、ソコロワは最悪で、アタックだけではなくサーブレシーブでもミスを連発した。さらに島崎のトス回しが何ともお粗末で、ぶれまくり。日立の完全な自滅と言っていい試合だろう。
NECは、ミスは少なかったものの、アタックはほとんどがゴディナと大懸の両エースが決めたもの。大貫にもコンビや速い攻撃はそれほど見られなかった。

スタメンおよびサーブ順
NEC: 19 高橋 → 1 小林 → 8 ゴディナ → 3 大貫 → 12 美田 → 5 大懸
日立: 1 福田 → 4 多治見 → 8 島崎 → 7 ソコロワ → 2 江藤 → 10 田中

1999/5/4 13:05-
Osaka Prefectural Gym.

      NEC - Hitachi
        3 - 0
1st    25 - 14  15 min.  8-5 16-11 21-13
2nd    25 - 17  16 min.  8-5 16-11 21-14
3rd    25 - 22  20 min.  8-7 15-16 21-20
Total  75 - 53  51 min.

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東洋紡オーキス対オレンジアタッカーズ(女子準決勝第2試合)

男子・女子合わせて準決勝4試合中、ただ1試合Vリーグ準決勝と異なる対戦となったのがこの試合である。Vリーグ通常シーズンの2試合は1勝1敗だが、所要時間を見るといずれもかなりもつれた試合となっている。

この試合も、開始直後からサイドアウトの繰り返しとなった。10-9東洋紡リードで東洋紡のサーブの場面で、佐々木のアタックがアウト、アルのバックアタック、さらにアルのサービスが佐々木を襲いエース。東洋紡が4点リードした。この後14-10となったところで、オレンジはヨーコ→関井、満永→鶴田の2枚替えを敢行。これで流れが変わり、サイドアウトをはさみながらオレンジが1点ずつ差を縮めていく。斎藤のアタック、そして大村がアルを止める。アルのアタックミスで同点、そして東洋紡のサーブレシーブが乱れたチャンスに佐々木が決めて、20-19とついにオレンジが先行。オレンジに傾いた流れは止まらず、21-20オレンジリードから佐々木のバックアタックで2点差、その次のプレーは長いラリーが続いたが最後は吉原の速攻に持ち込み3点差。これでこのセットはほぼ決まり。最後は濱田のアタックミスでオレンジ25-21。

第2セットは東洋紡のサーブから始まったが、東洋紡がアルのアタックで先制。2-1東洋紡リードの場面でアルが満永を止め、サイドアウトが続いた後アルのアタックで10-7とした。ここでオレンジタイムアウト。直後にサイドアウト、さらに小田を止めてすぐにオレンジが1点差とする。この後は16-15までまたサイドアウトが続く。そして、満永のツーが決まりついに同点。しかしここで東洋紡サイドアウト、そしてまたもアルが満永を止め再度2点リード。サイドアウト2度の後、森山にもブロックが出る。22-19となったところで、森山のサーブがリベロ高橋を襲いエース。東洋紡が4点差とした。この後、森山にサーブレシーブのミスがありダイレクトで返ってしまいブロックされるものの、このセットは25-22で東洋紡がとった。
このセット、自チームのサーブで得点した場面は、上記で全てである。東洋紡が6度、オレンジ3度。(第1セットもオレンジが8回、東洋紡4回しかない)女子の試合としては極端にサイドアウトが多い展開となった。この対戦でなぜそうなるのかはわからないが、Vリーグレギュラーシーズンで長時間の試合となったのも納得はできる。

第3セットは開始すぐにオレンジが5-2とリード、この後アルが後衛に下がり、斎藤のアタック、佐々木のバックアタック、吉原のブロックなどで11-5とさらにオレンジが差を広げる。ここからは東洋紡が徐々に追い上げる展開となる。佐々木のアタックミス、アルのアタックですぐに3点差とした。この後はほとんどサイドアウトの繰り返しとなるけれども、20-17オレンジリードの場面で、斎藤、佐々木にアタックミスが続き、1点差となる。21-20の場面で、オレンジは第1セットと同じ、ヨーコ→関井、満永→鶴田の交代。これでまた流れが変わる。オレンジサイドアウトの後、佐々木が森山を止め、さらに佐々木のアタック、アルのバックアタックがアウトで、一気にこのセットをものにした。

第4セットの前半はこれまで3セットとはうって変わって、連続得点が多い展開になる。しかしながらどちらのチームも抜け出せず競り合った展開になる。12-12東洋紡サーブの場面で、佐々木がサーブレシーブをミス、結局斎藤のアタックミスで失点。さらに小田が大村を止めて東洋紡2点リード。ここでオレンジのタイムアウト。その後、オレンジがサイドアウトを奪うと、斎藤のアタック、アルのアタックミス、東洋紡タイムアウトの後も斎藤のアタックでオレンジが逆に2点リードした。サイドアウト2度の後佐々木のアタックで、オレンジがさらにリードを広げる。この後はオレンジにブロックも出て、一気にオレンジの流れとなった。最後も村田のライトからのアタックを斎藤が止めて25-19。

この日のオレンジは前日と違いミスは少なく、「なかなか崩れない」昨シーズン前半までの強さがいくらか戻ってきた、と感じられた。それに対し、東洋紡はアルがやはり今ひとつで、アルが後衛に下がったときに差を広げられることが多かった。

スタメンおよびサーブ順
東洋紡: 6 濱田 → 2 村田 → 7 小田 → 0 アルタモノワ → 1 永富 → 3 森山
オレンジ: 6 ゼッターランド → 2 斎藤 → 8 大村 → 11 満永 → 00 佐々木 → 1 吉原

1999/5/4 14:25-
Osaka Prefectural Gym.

   Toyobo - Orange
        1 - 3
1st    21 - 25       20 min.  8-7 16-13 20-21
2nd    25 - 22       19 min.  8-6 16-14 21-18
3rd    20 - 25       19 min.  4-8 13-16 19-21
4th    19 - 25       20 min.  6-8 14-16 17-21
Total  85 - 97  1 h. 18 min.

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松下電器パナソニックパンサーズ対NECブルーロケッツ(男子準決勝第2試合)

この対戦はVリーグの後半戦、および準決勝ではいずれもフルセットにもつれている。この試合でも接戦が期待された。

第1セットは試合開始直後、宮崎のアタックミスで2-0とNECリード。さらにオーリーのサービスエースでリードを3点に広げる。この後はこの差をだいたい保ったまま進むけれども、細川のアタックミス、竹内のサーブレシーブが乱れオーリーのバックアタックに持っていったところをブロック、これでいったんは松下が同点とした。しかし、宮崎のサーブミスでサイドアウトとなった直後、イェルツェンのアタックミス、イェルツェンのサーブレシーブのミスでボールが返らず、さらに紫和のトスミスと、松下にミスが続き、一気にNEC4点リードとなる。これでこのセットはほぼ決まり、最後は青木のアタックでNEC25-21。

第2セット、序盤は松下が竹内をブロックして先行する場面もあった。しかし、オーリーのフェイントでNEC先行、細川のノータッチエースで2点差、さらにイェルツェンのアタックミスで3点差。この後もNECがリードを広げていき、最後は宮崎を竹内が止めて25-19。

第3セットも青木のサービスエース、オーリーのバックアタック、竹内がまたも宮崎のバックアタックを止めるなどで、序盤でNECが3点リード。この後松下はイェルツェンのアタック、そしてオーリーを止めて、中盤には一時同点とした。しかし、NECは竹内のアタックで再度2点リードを奪い、さらに南部のアタックミスで3点差。21-18NECリードとなったところで紫和のトスが乱れ4点差。この後NECは竹内のアタックでさらにリードを広げ、5点差でマッチポイントを迎えた。ここから松下は竹内のアタックミス、さらに竹内を止めて24-22まで追い上げるものの、ここでNECタイムアウト。その後、竹内が三度目の正直で決めた。

とにかく松下は、歯車がかみ合わないという表現がぴたりと当てはまる。痛い場面でミスが相次ぎ、コンビが合わない場面も多かった。Vリーグファイナルラウンドの悪夢の続きを見ているような試合だった。一方、NECは本来のバレーができていたと思う。

スタメンおよびサーブ順
松下: 12 紫和 → 14 南部 → 4 白数 → 1 宮崎 → 5 イェルツェン → 20 米山
NEC: 12 奥田 → 6 竹内 → 10 青木 → 29 ファンダールミューレン → 2 細川 → 7 大竹

1999/5/4 16:20-
Osaka Prefectural Gym.

Matsushita - NEC
         0 - 3
1st     21 - 25  16 min.  6-8 14-16 19-21
2nd     19 - 25  16 min.  7-8 13-16 17-21
3rd     22 - 25  17 min.  5-8 14-16 18-21
Total   62 - 75  49 min.

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東洋紡オーキス対日立ベルフィーユ(女子3位決定戦)

この日の試合開始は10時。さすがに特急を使わないと、間に合うかどうかすら定かでない。よしんば間に合ったとしても、立ち見を余儀なくされる可能性もある。初戦が男子だったら遅刻覚悟で急行でいった可能性もあるけれども、初戦は最も大切な「リューバ対アル」の試合。これに遅れるわけにはいかない。ということで、この日だけは特急利用である。

しかし、結論から言えば、残念ながら、こんな試合は見たくはなかった。本当に見ていて悲痛な試合だった。Vリーグ決勝ラウンドでバーバラが砕け散ったのも思い出された。

第1セット序盤こそアルと小田のアタックで東洋紡が5-1とリード。しかし、アルのアタックはもはや力を失っており、日立のブロックに次々捕まった。日立があっという間に6-5と逆転、この後アルのアタックがアウトして日立が2点リード。さらに東洋紡にサーブレシーブのミスが続き4点差となった。そして衝撃の事態は第1セット13-10日立リードの時点で起こった。
東洋紡0番、アルタモノワ・エフゲーニャ選手に代わり、・・・」そう、アルがベンチに下げられたのだ。
「アルのいない東洋紡対リューバ付きの日立」では、勝負という意味は全くない。第1セットアルを下げた後、東洋紡は相手のサーブミスでの1点のみ。第2セット以降もアルはついに出場はなかった。

リューバも前日までと同様、本来の力はなかった。第2セット22-14の場面にいたり、ついにリューバもお役御免。そして「日立・谷口」の初お目見えとなった。しかし交代出場したはよかったものの、いきなり2度続けてブロックを食らう。三度目の正直でようやく決まった。
第3セット、リューバは先発したものの、アタックは一度も決められず半ローテで谷口と交代した。このセットは両チームとも日本人選手だけで戦ったわけだが、日本人選手だけの戦力なら日立のほうがアタック・ブロック・サーブの全てで格上。もちろん日立の一方的展開となった。

最終戦争を華々しく飾った二人の大エースが、府立のコートに散った。

アルのいない東洋紡は、ここまで弱かったのか。サーブレシーブのミスを連発、きっちりセッターに返ってもアタックのミスも多いし、日立のブロックに面白いようにかかるし、とにかくやることなすこと全部だめ。16-11から日立サイドアウトの後、多治見のサーブ順で日立8連続得点のときは、とにかくあきれるしかなかった。もちろん2ヶ月なり半年なりかけてチームを作れば状況は変わってくるだろうけれども、来シーズンこのチームは本当にどうするつもりなのだろうか。同じく長年外国人エースに頼ってきたもう一方のチームが、鎖国後のチームの形を明確に示したのとは、あまりにも対照的だった。
島崎は、前半はセンター線あるいはコンビも使い楽にサイドアウトを取っていたけれども、後半はいつものようにミスが目立った。小田急から移籍で期待される谷口もブロックを食らう場面が非常に多いなど、この試合を見る限り日立も不安材料は少なくない。

スタメンおよびサーブ順
東洋紡: 6 濱田 → 2 村田 → 7 小田 → 0 アルタモノワ → 1 永富 → 3 森山
日立: 1 福田 → 4 多治見 → 8 島崎 → 7 ソコロワ → 2 江藤 → 10 田中

1999/5/5 10:00-
Osaka Prefectural Gym.

    Toyobo - Hitachi
         0 - 3
1st     11 - 25  13 min. 6-8 10-16 11-21
2nd     21 - 25  16 min. 5-8 10-16 14-21
3rd     16 - 25  15 min. 6-8 10-16 11-21
Total   48 - 75  44 min.

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松下電器パナソニックパンサーズ対東レアローズ(男子3位決定戦)

この試合、驚いたことに、東レはボールが先発せず、新人の山口を先発セッターという大抜擢を行った。

しかし、第1セットは、序盤から東レリードで進む。14-12東レリードの場面でイェルツェンのバックアタックを渡貫がブロック、3点差となる。しかし、ここで松下サイドアウトの後、斎藤のフェイントを白数がブロック、さらに斎藤のアタックミスで同点。この後、宮崎のバックアタックで一時は松下が先行した。松下としてはこのままいきたいところなのだが、南部が加藤にブロックされすぐに東レが先行。25-24東レリードの場面で、松下にサーブレシーブのミス。この後泉川に決められて、26-24で東レがとった。

第2セットは中盤までは松下1〜2点のリードで展開した。しかし、15-14松下リードで東レサーブのところで、イェルツェンのフェイントがアウトして同点。両チーム1点ずつ得点した後、宮崎がブロックされ、さらに米山のアタックミスで、逆に東レが2点リード。松下は直後に相手のサーブレシーブのミスもあり同点に追いつく。しかし、19-19から、長いラリーが続いた途中で松下にネットタッチ。これで一気に流れが東レに向かってしまう。南部が小林に止められ、さらに泉川にノータッチエース、イェルツェンのバックアタックも加藤にブロックされた。23-19と東レが一気に4点リードし、このセットもほぼ決着した。最後は斎藤のバックアタックがレシーバーをはじき、東レ25-22。

第3セットも10-10から松下にネットタッチ、さらに宮崎のバックアタックを泉川が止めて東レ2点リード。この後松下のサーブレシーブのミスからイェルツェンのアタックがアウトし、差が3点に広がる。松下もイェルツェンのアタック、斎藤のアタックミスでいったん同点としながら、その直後にまたもネットタッチ、さらにコンビミスと、ミスですぐに2点リードを許す。Vリーグ決勝ラウンド以来の悪夢から醒めないままこの試合も終わってしまうのだろうか、という雰囲気になりかかったところだった。20-18東レリードの場面で、東レはセッターを山口からボールに交代。山口はこの試合がおそらく初出場ながら、セッターの役割を完璧に果たしていた。果たしてこの交代は完全に裏目に出た。松下の守備が東レの攻撃にタイミングが合うようになった。東レがサーブレシーブをミスしたボールを直接ブロックして同点、さらに22-22松下サーブの場面で、南部のアタックで2連続得点、逆に松下がセットポイントを迎えた。東レは加藤のアタックで1点返すものの、最後は宮崎がきっちり決め、終盤の逆転で松下がこのセットをものにした。

第4セット、東レはあわててセッターを山口に戻すものの、松下に行った流れは変わらなかった。南部のバックアタック、イェルツェン、宮崎のアタックでいきなり4-1とリード。そして圧巻は10-7松下リード、南部のサーブ順の場面。まず南部のバックアタック、その後渡貫、斎藤、加藤のアタックをことごとくブロック。再び南部のバックアタック、東レにネットタッチ、宮崎のライトからのアタックで17-7とした。この後も20-10から宮崎のサーブで崩し、さらに4点差を広げる。最後はイェルツェンが決めて、このセットは何と25-11。なるほどこれがVリーグ開幕から破竹の14連勝を続けたチームか、と思わせる怒濤の攻撃だった。

最終セット、序盤はイェルツェンと南部のアタックで松下が2点リードしたものの、その後松下にサーブレシーブのミスが出て同点、さらに南部を山口が止めて東レが先行。しかし東レも斎藤のアタックがミスし、松下に先行される。しかし、勝敗を最終的に分けたのは、8-8東レサーブの場面から、イェルツェンの2連続アタックライン踏み越しという信じがたいミスだった。そもそも、女子の場合はまともにバックアタックを打てる選手も少ない(前回Vではバーバラ、リューバ、レオくらい)ので、無理にバックアタックに持っていくとアタックライン踏み越しも多発するけれども、男子でアタックラインを踏み越すことなど滅多にない。ましてそれを2度続けるなど、信じられないような話である。とにかくそのミスの後、宮崎もアタックをミスしてしまい、東レ3点リード。さらに12-9から斎藤のアタックで東レがさらに差を広げる。これで勝負あり。最後は松下は東レのアタックを拾ったものの、イェルツェンのアタックに持っていったところを泉川にブロックされた。

松下は私の思うに、最も緻密なバレーのできるチームである。しかし、それが身上だけに、一つ歯車が狂うとなかなか修正がきかない。今大会も準決勝以降それにはまってしまったのだと思う。一方の東レは、山口がこれだけ使えたというのは大きな収穫だろう。山口は世界選手権以来スーパースターとなった加藤とは大学の同級に当たる。東レはこの先長きにわたって二本の大きな柱が立った。

2セットを落とした後2セットを取り返して最終セットに突入した場合、追い上げたチームのほうが勢いがあるから最終セットをとってしまうかと思われるけれども、意外とそうならない場合も多いようである。これほど圧倒的な勢いで第4セットをとりながら、最終セットに入って結局その勢いが止まってしまった。私が生で見た試合で、1,2セットを落として3,4セットを取り返すというパターンはかなりあるけれども、いずれも第1,2セットをとったチームのほうが試合をものにしている。もちろん、これは、私が見ていた試合が偶然そうなったという面はある。実際、前回Vリーグ女子では、エアリービーズが前期優勝を決めた試合をはじめとして、2セット先取されてから3セット連取して逆転というパターンも何度かあった。

スタメンおよびサーブ順
松下: 4 白数 → 1 宮崎 → 5 イェルツェン → 20 米山 → 12 紫和 → 14 南部
東レ: 3 加藤 → 14 渡貫 → 7 斎藤 → 8 泉川 → 17 小林 → 16 山口

1999/5/5 11:30-
Osaka Prefectural Gym.

Matsushita - Toray
         2 - 3
1st     24 - 26        19 min. 6-8 15-16 21-20
2nd     22 - 25        18 min. 8-7 16-15 19-21
3rd     25 - 23        18 min. 8-7 13-16 20-21
4th     25 - 11        15 min. 8-5 16- 7 21-10
5th     11 - 15        12 min. 5-3  8-10  9-12
Total  107 - 100  1 h. 22 min.

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サントリーサンバーズ対NECブルーロケッツ(男子決勝)

決勝は、人気・実力とも日本のトップにあるチームの対戦、最高の好カードとなった。

第1セットは、オーリーが小坂を止め、さらに奥田がジルソンをタイムアウトをはさんで2度連続で止めて、NECが4点のリードを奪う。この後サントリーは宮崎のサービスエース、ジルソンのアタックで一度は差を縮めるけれども、この後もアタックミス、サーブレシーブのミス、あるいはつなぎのミスもあり、差を詰めきれなかった。最後は大竹がきっちり決めて、25-21でNECがとる。

第2セットも序盤はサントリーにネットタッチが2度ありNECが2点リードするものの、その後はNECにアタックミスやサーブレシーブの乱れが出て、ジルソンのバックアタックでサントリーが逆に2点リードを奪う。12-10サントリーリードからは、21-19までえんえんとサイドアウトが続く。ここで、小坂のアタック、さらに小坂が竹内を止めてサントリーが4点差とし、このセットを決めた。最後も小坂のアタックで、このセットは25-21サントリー。

第3セットは接戦が続く。NECが2点リードを奪ったことは何度かあったけれども、そのたびにサントリーはすぐに追いついた。中盤、桑田が細川を止め、サントリーが先行する展開に。さらに、15-14サントリーリード、サントリーサーブの場面で、オーリーをジルソンが止め、さらに細川のバックアタックがミス。サントリーのリードが3点と広がった。この後は実に全てサイドアウトの繰り返しで、このセットはサントリーが25-22で取った。

第4セットは8-7NECリード、NECサーブの場面で、オーリーがジルソンをブロック、さらにサントリーのサーブレシーブがダイレクトでNECコートに返ってしまいこれがブロックされて、NECが3点リード。この後オーリーのアタックで差は4点となった。それからはNECにサーブレシーブミスやアタックミスがあり、サントリーが同点に追いついた。しかし追いつかれてすぐに、NECは竹内のアタックで再び2点リード、さらにジルソンのアタックミスで3点差とする。その後NECはリードを5点まで広げて最初のセットポイントを迎えた。サントリーは22-24まで追い上げたものの、三度目の正直でオーリーがバックアタックを決めて25-22NEC。フルセットに突入した。

男子の試合で最終セットとなると、まさしくサイドアウトの奪い合いとなる場合が多いけれども、この試合は互いにサーブレシーブのミス、ブロックも出て、2,3点の連続得点が多くなった。8-7NECリードの場面で、この試合何度かサービスエースを決めていた細川に再度サービスエース。9-8となった後のプレーで、朝日のブロックが決まったかと思われたが、NECはかろうじてつなぎ、そしてジルソンのアタックを逆に大竹がブロックして10-8。このプレーがこの決勝戦最大の山場だった。そしてその直後、竹内のアタックでNECがリードを3点と広げた。ここから後は、両チームとも選手交代が非常に多く、タイムアウトもあって非常に進行が遅くなり、決勝戦のしかも最終セットだけに異様な雰囲気に包まれた。しかし、結局はこの差をこのままに、最後は大竹が決めてNECブルーロケッツがVリーグとの二冠を達成した。

アタック、ブロック、サーブ、守備という要素を考えると、男子の上位チームでもNECが最もバランスがとれているように思われる。サントリーは攻めに入れば圧倒的に強い反面、守備にもろさが感じられる場面があり、またジルソン一人に頼りすぎて負けた試合もあった。東レは高さはあるが、ジルソン、オーリーのような絶対的なスーパーエースがいない。松下は組織力で勝っていく要素が他のチーム以上に大きく、そのため一カ所にほころびができるとなかなか立て直せない。

スタメンおよびサーブ順
サントリー: 1 朝日 → 16 ジルソン → 5 小坂 → 2 佐々木 → 4 清水 → 14 桑田
NEC: 12 奥田 → 6 竹内 → 10 青木 → 29 ファンダールミューレン → 2 細川 → 7 大竹

1999/5/5 13:30-
Osaka Prefectural Gym.

   Suntory - NEC
         2 - 3
1st     21 - 25        18 min. 4-8 12-16 15-21
2nd     25 - 21        19 min. 8-7 16-14 21-19
3rd     25 - 22        18 min. 7-8 16-14 21-19
4th     22 - 25        22 min. 7-8 15-16 17-21
5th     12 - 15        15 min. 3-5  8-10  9-12
Total  105 - 108  1 h. 32 min.

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NECレッドロケッツ対オレンジアタッカーズ(女子決勝)

前回Vリーグの優勝本命と目されていた両チームの対戦は、黒鷲の決勝で実現することとなった。

試合は序盤からやや予想外の展開となった。6-5NECリードの場面で、吉原のサービスエースの後、大村、佐々木、斎藤と次々アタックが決まり、オレンジが一気に10-6と逆転。この後15-10オレンジリードで満永のサーブの場面で、大懸がアタックミス、佐々木のフェイントが決まる。NECは2度目のタイムアウト。しかし、その後津雲がサーブレシーブのミス、しかも大懸もこのサーブを受けられずエース。さらにヨーコのツー、吉原が美田を止め、21-10オレンジリードとなる。唖然とするしかない状況。この後もオレンジがさらにリードを広げ、結局25-12と一方的にとる。

第2セットはゴディナのアタック、フェイントでNECが序盤先行したものの、オレンジは6-4からNECのサーブレシーブのミス、アタックミスもあり5連続得点、簡単に逆転する。この後はNECがブロックが出たことなどにより徐々に追い上げ、斎藤のアタックミスで一時は19-18と逆転する。しかし、その直後にオレンジは満永のアタックで再逆転。さらに22-21オレンジリード、オレンジサーブの場面で2得点、24-21としてセットポイントを握った。NECはゴディナのアタックでサイドアウトをとると、大懸の連続アタック得点でデュースに持ち込んだ。しかし、その直後、オレンジは吉原のアタックでサイドアウト、さらに吉原がNEC頼みの大懸を止めてこのセットもオレンジがとった。

第3セットは序盤、NECがゴディナのノータッチエースで7-6とリードし、さらにオレンジタイムアウトの後も斎藤のサーブレシーブミスを誘った。ところが、ダイレクトで返ったボールはそのままNECコートに落ちた。これで流れがまた変わり、直後に佐々木が大懸を止め、さらにNECのサーブレシーブミスもあり、10-7とオレンジが逆転。11-9オレンジリードの場面からは、高橋、大懸とアタックミスが続いた。この後もオレンジのリードが広がり、斎藤のサービスエースで一時は18-12となった。この後、NECはゴディナにボールを集めて反撃。19-18まで追い上げた。NECの13点目から18点目までは、全てがゴディナのアタック。しかし、オレンジがサイドアウトをとった後、佐々木のアタック、さらにそのゴディナを吉原が止めた。吉原がまたもNECの頼みの綱を切り、勝負あり。最後は斎藤のアタックで、あっけないまでにオレンジが簡単に優勝を決めてしまった。

オレンジはこの試合はほぼ完璧で、ミスらしいミスはほとんどなかったと言っていいだろう。この大会は、セッターがヨーコから満永に代わる途上ということもあり、ヨーコと満永のツーセッターの布陣をしいていた。そのツーセッターもこの試合では完全に機能し、NECの守備を完全に翻弄していた。もちろん、来シーズン以降のことも考えて、大貫は両エース(特にゴディナ)に上げる回数を意図的に減らしているふしがうかがえた。Vリーグの試合と同様、「苦しくなったらひたすらゴディナか大懸」という試合をされたら、これほど楽には勝てなかったかもしれない。しかし、この試合のオレンジは、第4回当時の圧倒的な強さを誇ったチームに極めて近づいていたことは間違いない。
一方のNECは、前日までとはうって変わってミスが極めて多い試合となってしまった。特に、サーブレシーブが乱れる場面が多く、意外なもろさを露呈した。

オレンジは、この試合が実はゼッターランド・ヨーコの引退試合であり、同時にアリー・セリンジャー監督の引退試合でもあった。二人の偉大な伝道師の最後の試合を、最高の形で飾ることができた。ヨーコ選手の試合後のインタビューをきいていると、何かこちらまで気持ちが熱くなるものがあった。しかし、ヨーコほどのセッターがこのまま引退とはもったいない。プロリーグに渡りもう一花咲かせることを期待しているファンは多いだろう。
オレンジというチーム自体、あるいはアリー・セリンジャー監督にしても、賛否両論あったし、私の気持ちとしては必ずしも「賛」ではない。しかしながら、純日本人チームで(国籍としてではなく、日本出身の選手という意味)これだけのチームを作れることを示した点では、やはり偉大な指揮官である。彼が示した功績をぜひとも生かしていくように願いたい。今後のオレンジのチーム作りという意味だけではなく、全日本のチームにも役立てることができればと思う。

スタメンおよびサーブ順
NEC: 5 大懸 → 19 高橋 → 1 小林 → 8 ゴディナ → 3 大貫 → 12 美田
オレンジ: 6 ゼッターランド → 2 斎藤 → 8 大村 → 11 満永 → 00 佐々木 → 1 吉原

1999/5/5 15:50-
Osaka Prefectural Gym.

      NEC - Orange
        0 - 3
1st    12 - 25  17 min. 6-8 10-16 10-21
2nd    24 - 26  21 min. 6-8 14-16 20-21
3rd    21 - 25  21 min. 7-8 11-16 18-21
Total  57 - 76  59 min.


表彰式が終わった後、私はとにかく難波駅から地下鉄で新大阪まで出て、とにかくその時点で最も早く出るひかり号に飛び込んだ。もちろん指定席など残っていないので、自由席の空きを探し列車内をうろうろすることになる。そのときに驚くべきことがあった。通路で女性と話している恐ろしく背の高い外国人、どこかで見たことがあるような気がするぞ?向こうから歩いてくる男性も何度も見た覚えが・・・
何と私の乗った列車に、NECブルーロケッツの選手のみなさんが乗っていたのである。


今大会全体としては、外国人抜きの来シーズンに向けて混迷の度合いを深めてきたという印象である。Vリーグ時点では来シーズンはユニチカとオレンジが一頭抜けるだろうと予想していたけれども、どうやらこれは考え直さざるを得ない。ユニチカも江越の抜けた穴はやはり大きく、ブロックは大きく落ちている。決勝はオレンジが圧倒的な強さで勝ったわけだけれども、アリー・セリンジャーという大きなカリスマを失い、それと同時に主力選手何人もの離脱が噂されており、この先どうなるかは全く見当がつかない。最も戦力がそろっているのはNECだが、やはりセッター大貫のトス回しに不安が残り、サーブレシーブが崩れたときに意外なもろさを見せた。この大会まで外国人選手を使った日立、東洋紡、ヨーカドーはいずれも不安材料を残したまま大会を終わっている。逆に、チームとして予想以上に仕上がっているという印象を受けたのは、シーガルズとデンソーである。特に、デンソーは、今大会のメンバーがそのまま次回Vリーグのメンバーであると考えられるため、今大会の戦いは大きな意義を持つ。考えてみれば、女子ベスト8のチームで、外国人選手を今大会全く使わなかった、すなわちメンバーの変動が全くなしですむチームは、実にエアリービーズだけである。これまで外国人エースに最も頼りきりと言われてきたチームが、その外国人エース依存からの脱却を最も早く果たし始めている。
戦力的に飛び抜けたチームがなくなったことで、ほとんどのチームに四強入りのチャンスが出てきた。それだけに、わずかなつまずきが順位を大きく左右することになりそうである。

もう一つ、すでに議論が消え入りそうな25点ラリーポイント制だが、個人的にはいまだに納得がいかない。というか、試合を見た!という気分がどうしてもしないのである。男子の場合は、サーブミスも多く、サーブカットがきっちり返れば速攻一発で終わる確率が非常に高いので、特にそうである。

これは余談になるけれども、灰色公衆電話はありそうで意外とないものである。代々一にないというのも驚きだったが、この大阪府立体育会館にないというのも驚いた。私が行った会場で灰色公衆電話の存在を確認したのは、駒沢体育館、マリンメッセ福岡、大阪市中央体育館だけである。(黒部市総合、滋賀県立、小豆沢にはなかった。越谷市立、東京体育館は、行ったことはあるけれども探していないので不明。まあ、V1の会場でそれを期待するのは無理だが。)速報のためには、やはり携帯電話かPHSが必要のようである。また、この黒鷲あるいはVリーグの場合は、試合と試合の間が短いので、レポートをまとめて公衆電話との間を往復して通信するのは時間的にも厳しい。

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おまけ

これは観戦の片手間にデジタルカメラで撮影したものなのでお粗末なものです。それでも見たいという人だけ見てください。
ゴーシャ(ゴディナ)の写真はありませんが、別に彼女が嫌いというわけではありません。ゴディナの撮影も何度も試みたのですが、全部失敗してしまったのです。

準々決勝の対ヨーカドー戦。誰を中心に撮ったかはいうまでもないよね(445×445, 74KByte)

準決勝、試合前の練習(388×589, 81KByte)

この日は写真撮影に絶好の席が取れ、サーブを打ちに下がってくるところを待っていればよかった(271×490, 49KByte)

3位決定戦、同じ要領でリューバも何とか見るに耐えるものが撮れた(256×582, 50KByte)

このときはまだアルもコートにいた(250×322, 36KByte)

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