ワールドカップ観戦記(第9-11日, 11/14-16)

第9日(11/14)
ブラジル対イタリア
ロシア対中国
キューバ対日本
アメリカ対ペルー
アルゼンチン対チュニジア
韓国対クロアチア

第10日(11/15)
ロシア対ブラジル
キューバ対イタリア
中国対日本
クロアチア対アメリカ
アルゼンチン対ペルー
韓国対チュニジア

第11日(11/16)
キューバ対ロシア
中国対イタリア
ブラジル対日本
アメリカ対チュニジア
クロアチア対アルゼンチン
韓国対ペルー

各チーム講評
各賞講評
非公式チーム集計

4勝7敗の意味するもの(Special/Croatia)


第9日

ブラジル対イタリア

第1セットこそ、ブラジルの速攻を止めたりブラジルにミスがあったりしてそれほど点差が開かなかったものの、第2セット以降は全く一方的な展開。この試合、イタリアは、センターの速攻で切れた場面が極端に少なく、ほとんど両サイドの攻撃に頼っていた。バーバラやアルのような飛び抜けたアタッカーのいないイタリアが、センター線でサイドアウトがとれないと非常に苦しい試合になる。
それにしても、今のブラジルにはとてつもない勢いがある。

       BRA - ITA
         3 - 0
1st     25 - 22   22 min. 8-6 16-14 21-17
2nd     25 - 12   17 min. 8-2 16- 8 21-11
3rd     25 - 17   20 min. 8-2 16-11 21-16
Total   75 - 51   59 min.

女子の名古屋会場だけ、タイムアウトや選手交代を知らせるブザーの音が違う雰囲気である。最初に聞いたときは、字幕のニュース速報かと思った(^^)

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ロシア対中国

第1セット、17-13中国リードまでは中国バレーの神髄といった試合展開で、ロシアに1ブレークも許さなかった。しかし、ソコロワのジャンプサーブで崩され1ブレークを許し、突破口をこじ開けられる。アルのスパイク、呉咏梅が止められさらに呉咏梅のブロードがミス、ロシアが3連続ブレークで一気に逆転。中国も王麗那にノータッチエースが出るが、20-20から、呉咏梅がセンターから打ってミス、サーブレシーブが乱れ二段になったところ孫月が止められ、ついに2点差に。最後はソコロワのクイックで、ロシアが逃げ切り。

ミスが続いた呉咏梅は、第2セット前半、一時李珊と交代でベンチに下げられた。しかし、これで吹っ切れたか、第2セット後半に呉咏梅がサーブで崩し6連続ブレーク。

しかし第3セットは、いきなりアルのサービスエースで始まる。さらに次のバシレフスカヤのサーブでも崩され、コンビミスやつなぎのミスも出て、ロシアが大量リード。このセットは終始一方的な展開となってしまった。

第4セットも開始早々にアル、バシレフスカヤにサービスエース。しかしこの後、ロシアのミスで1点差まで中国が追い上げ、さらに同点にできるチャンスボールもあった。しかし、そのたびに高いブロックに阻まれ、追いつくことはできなかった。そうしているうちに中国にまたもコンビミス。その後、ゴディナ・ソコロワのサーブで崩し、ロシアが一気に突き放した。

残念ながら、現時点でのアジアバレーの限界を露呈した試合、と言える。キューバ・ロシアの攻撃力に対し、守って勝つというチームは、現時点ではあり得ない。1試合の間、崩されないで持ちこたえることは不可能である。崩されてもそれを小さい失点でくい止める、あるいは相手を逆に崩す、それだけの攻撃力がなければ結局対抗し得ない。

       RUS - CHN
         3 - 1
1st     25 - 23        20 min. 6-8 14-16 21-20
2nd     15 - 25        18 min. 7-8 12-16 14-21
3rd     25 - 13        17 min. 8-2 16- 8 21-10
4th     25 - 17        19 min. 8-5 16-13 21-14
Total   90 - 78   1 h. 14 min.

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キューバ対日本

第1セットこそ、惜しい、という印象は残る。しかしよしんばこのセットをうまくとれたとしても、第2セット以降の展開を見れば、それを続けていくことは不可能であったとはっきりわかる。第3セット序盤、何度もキューバをサーブで崩しながら、得点にはつながらない。逆にキューバにサービスエース、熊前・大懸がシャットされ、点差が開く。これが実力の差だろう。

この試合で、日本の攻撃がレフトオープンとセンターを使ったブロードばかり、という問題がまた浮かび上がってきた。しかし、それは昨シーズン以来何度も指摘されていたことだし、これまでイタリア、クロアチアあたりに勝った試合でも、複雑なコンビを多用したというよりは、このシンプルな攻撃で勝ったわけである。これまでやってこなかったことを、キューバ相手にいきなりやれ、といってもできるはずがない。

       CUB - JPN
         3 - 0
1st     25 - 23       24 min. 8-5 16-13 21-18
2nd     25 - 14       20 min. 8-7 16-10 21-12
3rd     25 - 17       23 min. 8-5 16-10 21-14
Total   75 - 54   1 h. 7 min.

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アメリカ対ペルー

チーム再建途上の両チーム、実力も互角と思われたが、予想以上の熱戦となった。

第1セットはペルーが持ち味のレシーブとコンビバレーを発揮し常時先行、何度かアメリカに追い上げられるがそのたびに突き放す。

第2セットは序盤はアメリカが先行、しかしアメリカにミスが出るなどで中盤はペルーが流れをつかむ。しかしテクニカルタイムアウトの後逆にペルーにサーブレシーブが乱れるなどで追い上げ、アメリカにブロックも出て逆転でアメリカ。

第3セットは接戦が続く。アメリカは突き放せそうで、ミスが出て突き放せない。それでもチュワンを止めて24-22でセットポイント。しかし、そこでウェストンがサーブミス、さらにサーブレシーブが乱れてチュワンの速攻で2連続ブレーク、ペルー先行。ここでペルーにもサーブミスなどで、セットポイントをものにできず。27-27から逆にペルーのサーブレシーブが乱れ、連続でブロックポイント、アメリカがこのセットを奪う。

第4セットは中盤以降ペルーのレシーブがよくなり、ペルーがモイ、マラガのサーブ順で一気に突き放す。

しかし最終セットは、ペルーの時間差攻撃をアメリカのブロックが読み切り、強打も炸裂してアメリカがリード、最後はウェストンが決めた。
MIPはアメリカのリベロであるシコラが選出された。

       USA - PER
         3 - 2
1st     22 - 25        21 min. 4-8 11-16 17-21
2nd     25 - 22        23 min. 8-5 12-16 21-20
3rd     29 - 27        27 min. 7-8 15-16 21-20
4th     17 - 25        20 min. 6-8 11-16 15-21
5th     15 - 12        13 min. 5-3 10- 7 12-10
Total  108 - 111  1 h. 44 min.

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アルゼンチン対チュニジア

第1セットはアルゼンチンの高いブロックと強打の前にチュニジアが沈黙。
また沈黙したまま終わってしまうのだろうか、という雰囲気になりかけた第2セット、アルゼンチンのクイックをブリックが止めたところから流れが変わる。ブリックの笑顔の前に、運命の女神も味方についた。ネットインエース2度、ネットインでないサービスエース2本、クイックを再び止めるなど、10-2とチュニジアリード。たまらずアルゼンチンタイムアウト。この後、チュニジアにミスも続き、12-12となった。しかしこのセットで勢いに乗ったブリックは止まらない。アルゼンチンの強打に負けず、サイドアウトを続ける。ブリックが引っ張って、年長のスーダニもすばらしいクイックを決める。23-22チュニジアリードまでは点差が離れない。ここでチュニジアに痛恨のサーブミス。アンサルディのスパイクでアルゼンチンセットポイント。そしてチュニジアのサーブレシーブが乱れ、チャンスボールをコスタグランデがバックから決めた。
第3セットは第1セット同様、序盤からアルゼンチンの強打とブロックが炸裂、初勝利に向かって驀進した。

アルゼンチン、初勝利おめでとう!チュニジア無念・・・

       ARG - TUN
         3 - 0
1st     25 -  9   15 min. 8-3 16- 5 21- 6
2nd     25 - 23   21 min. 1-8 15-16 21-20
3rd     25 - 11   17 min. 8-3 16- 8 21-11
Total   75 - 43   53 min.

アルゼンチンが大会初勝利という事情から、MIPにはアルゼンチンのコスタグランデが選出された。しかし、もしアルゼンチンがこの試合の前に一つでも勝っていれば、MIPはおそらくブリックだったと思う。それくらい第2セットのブリックには勢いが感じられた。
サウスポーで180cm以上のアタッカーは、世界的に見てもまだまだ数少ない。今大会では、キューバのベル、ブラジルのバロス(彼女は179cmだが)、韓国のパク・ミキョン、アメリカのノリエガくらいか。ブリックは、この先ミスを恐れずに思い切ったプレーを続けていけば、絶対に大物になれる選手だと思う。

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韓国対クロアチア

負傷のレトはこの試合も欠場(治療のため先に帰国してしまった。)。となれば、今のクロアチアは、はっきり言って、ジュニアチームの上にバーバラとクズマニッチがのっかっているだけのようなものだ。年齢的にはリヒテンシュタインもジュニアではないけれども、トス回しの稚拙さ、精度の低さはジュニア以下だ。このチームに韓国がセットを落とすことはあり得ないと思っていたし、落としたら恥、というところである。きちんとストレートで勝ったわけだが。しかし、この日の大阪3試合の中で最も見どころのない試合になったのは残念である。

バーバラはジャンプサーブをやめるほど疲労がたまっている。まして韓国の守備を考えれば、決まらないのは計算済み。それでも試合前半は、レトのポジションに代わりに入ったリビチッチ、あるいはクズマニッチのブロードがけっこう決まっていたけれども、韓国ともなればあの程度のアタックはすぐに拾えるようになる。

この大会まで、私はクロアチアチームに多くのことを要求してきた。サーブレシーブをきっちり返すこと、ミスを少なくすること、速い攻撃を増やすこと、相手を考えてプレーすること。いずれもバレーの基礎のはずだし、これらができるようにならなければ五輪出場はないと思っている。しかし、半分以上ジュニアの現段階のクロアチアチームにとっては、正直なところ無理な要求だと思う。東アジア諸国、あるいは世界四強レベルの国ならともかく、欧米のチームの大半は、高さとパワーはあってもジュニアのレベルでは技術的な水準は低いようである。細かい技術が付くのはナショナルチームに入ってから、ということである。ジュニアのチームだと思って見れば、ベストメンバーの韓国相手に、ずいぶんまともな試合内容である。リビチッチ、カステラン、シスコビッチと、若い選手もそれぞれによくやったほうだ。
間違いは、ワールドカップにジュニア同然のチームで出てきたこと自体にある。このチームを見るたびに感じるのは、キリロワ、チェブキナ、シドレンコといったベテラン選手が引退した後、いったいどうするつもりだったのだろうか、ということである。全く考えていない。考えていたとは全く思えない。この無計画、無責任さにはほとほと呆れるしかない。

MIPはチャン・ユンヒ。攻守に大車輪の活躍で、当然の選出であった。

       KOR - CRO
         3 - 0
1st     25 - 20   20 min. 8-6 16-12 21-18
2nd     25 - 20   19 min. 7-8 16-14 21-17
3rd     25 - 22   20 min. 6-8 16-15 21-19
Total   75 - 62   59 min.

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第10日

ロシア対ブラジル

第1セットは、中盤までロシアにスパイクミスが異常に多く、(解説の前田健氏によれば、単にスロースタートというのではなく、ミスしたりシャットされたりしながら調整しているらしい)それによる貯金がものをいってブラジルが逃げ切る。

しかし第2,3セットにわたって、ロシアが完璧なバレーを見せる。この間、サーブレシーブの乱れからの失点はほぼ皆無。これではブラジルに付け入る余地はない。逆にブラジルがサーブで崩され、ブロックで仕留められて、ロシアがセットを連取する。

しかし、第4セットに入り、ブラジルが長いサーブを使うようになったことが効を奏し、ロシアにわずかずつサーブレシーブのほころびが見えてくる。ブラジルにシャットも出る。ブラジルのスパイクがロシアのブロックを抜けるようになり、シャットされそうなボールもよくフォローした。気力を振り絞り、ブラジルがこのセットを奪う。

最終セット、序盤はディアスにボールを集めブラジルがリードする場面もあった。しかし、アルのバックアタック、コインブラのスパイクミスで、ロシアも追いつく。6-5からゴディナにサービスエース、流れは決定的にロシアへ。ディアスも力を使い果たし、9-6からついにブロックにつかまる。最後はコンセイソンの速攻をティーシェンコがシャットアウト、15-9ロシア。

この試合、アルタモノワの出来は極端に悪かった。スパイクミスもシャットされる場面も極めて多かった。解説によれば、いずれも助走が短くしかも斜め方向に走っていた。それでさえ、勢いのついてきたブラジルに勝てるのである。このチームが全員調子がそろったら、どれほど恐ろしいことになるか見当がつかない。

この試合、ブラジルはアナモーゼに代わりコインブラが出場した。強烈なジャンプサーブで崩した場面はあったものの、第4セットを除けば、ブラジルのブロックに対し素直に打ってしまいシャットされる場面が多かった。大ベテランのアナモーゼなら、うまくかわすプレーができるだろうに、と思ったことも何度もあった。また、コインブラにトスをなかなか回せないため、対角のディアスの負担が重くなってしまった。それでも交代がなかったことは、アナモーゼのひざの具合か疲労のために、出場が無理な状況になっているのだろう。

実にすごい試合で、これまでの試合とは全く別のバレーを見ているようだ。ほとんど男子バレーの世界である。この相手では、今の全日本にいくら勢いがあるといっても、格が違う、と言わざるを得ない。

       RUS - BRA
         3 - 2
1st     21 - 25        23 min. 4-8  7-16 19-21
2nd     25 - 20        21 min. 8-4 16- 8 21-17
3rd     25 - 17        18 min. 8-4 16-10 21-13
4th     22 - 25        21 min. 5-8 13-16 19-21
5th     15 -  9        12 min. 5-4 10- 6 12- 7
Total  108 - 96   1 h. 35 min.

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キューバ対イタリア

第1セットは、イタリアチームにやや元気がなく、序盤からキューバが強打、ブロックでリード。イタリアはセット序盤から2枚替えを行うが、結果にはつながらず。後半は、アゲロ・ベルのスパイクでキューバが突き放した。

第2セットは、アゲロのサーブ順でやはりキューバが一気にリード。直後にイタリアもピッチニーニのサーブで崩し差を縮める。しかし、中盤に、キューバがイタリアの速い攻撃をシャット、イタリアにミスも出るなどで、キューバが再び突き放す。終盤キューバに変なところでネットタッチが2度あったが、キューバが逃げ切り。

第3セットは中盤に、キューバにスパイクミスが続き、イタリアがリード。終盤には、ルイザ、ベル、コスタと、次々とイタリアにシャットされる。イタリア本来の勢いが出て、このセットは一気にイタリアが奪う。

これで目を覚ましたか、第4セットは序盤からキューバの強打が炸裂し、第2セット同様アゲロのサーブで崩し、それ以降も一気に差を広げた。

       CUB - ITA
         3 - 1
1st     25 - 17        18 min. 8-4 16-11 21-15
2nd     25 - 21        21 min. 8-5 16-12 21-15
3rd     17 - 25        19 min. 8-6 13-16 14-21
4th     25 - 17        18 min. 8-4 16- 9 21-11
Total   92 - 80   1 h. 16 min.

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中国対日本

CSの放送を見ていて、選手入場などでやたら時間を使っているので、この試合もきっとストレートで終わったのだな、と思った。実際ストレートで終わったわけだが、まさか・・・

正直なところ、これまでも中国を見ていて、強い、という印象は受けなかった。韓国戦はともかく、明らかに格下のクロアチア・アメリカ相手に、勝負所の強さでしのぐような試合をしていた。奇跡は奇跡的には起こらないと、前にも書いたけれども、振り返ってみると、やはりこのようなことが起こりうる兆しはあった。

中国は、最初のセットを落とした時点でおそらく切れたのだろう。ブラジルがロシアから2セットを奪ったことにより、中国は、ストレートで勝ち続けない限り3位があり得ない状況に追い込まれていた。
もちろん全日本は強かった。とにかくコートにボールが落ちない。誰か一人、何か一つではなく、全部がよかった、それ以外に言いようがない。一つだけ、いつも私が言っている(みなさんも多く指摘される)攻撃のバリエーションについて、明らかに一つ増えているのは、大懸がセンターに走り込んで時間差攻撃というパターン。また、同じブロードといっても、アンテナ近くの長いものからCクイックくらいの短いものまで、変化がある。
それにしても、中国はあまりにも集中力を欠いた試合で、サーブレシーブ、トスの精度の悪さはクロアチア並みだった。

しかしこれは、最大の快挙なのか、究極の自殺行為なのか?

       CHN - JPN
         0 - 3
1st     17 - 25        22 min. 6-8 10-16 16-21
2nd     22 - 25        26 min. 8-6 16-14 20-21
3rd     18 - 25        22 min. 6-8  9-16 16-21
Total   54 - 75   1 h. 10 min.

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クロアチア対アメリカ

バーバラは、長かった日本戦・イタリア戦を過ぎて、急激に力が落ちていた。この試合の前半は、前回Vリーグ決勝ラウンド連敗のときよりも悪い最悪の状態だった。

第1セット、フェイントによる得点はあっても、強打は一度も決まらなかった。ほかの選手に無理にトスを回しても、タイミングが合わない場面も多く、サーブレシーブのミスも出た。

第3セットも、1回目と2回目のTTOの間だけで3度もバーバラがシャットされている。アメリカのサーブレシーブは崩れず、コンビバレーを展開され、この試合もクロアチアのストレート負けが濃厚となっていた。このセット中盤から、バーバラ、シスコビッチのサービスエースが出て少しずつ流れが変わり、バーバラのスパイクも決まるようになった。それでもアメリカは、ミスがなければストレートで勝っただろう。第3セットは終盤、コンビミス、スパイクミス、反則など、明らかにアメリカがミスで相手に与えてしまったセットだった。

第4セットは前半から中盤にかけて、若いアタッカーが踏んばり、クロアチアリード。しかし、21-18から、バーバラにボールを回しても決まらず、逆にウェストンに決め返される。一度はウェストンを止めてしのいだのだが、ここでもセットを決めたのはアメリカのミス。コンビミス、サーブレシーブのミスから、2連続ブレーク、24-20となった。

第5セットは序盤からクロアチアが勢いに乗り、8-2と大きくリードしてコートチェンジ。バーバラが止められたところから、一度はアメリカに流れが行き、9-7となる。しかし、ここで途中カステランと交代で入った16歳のポリャックがサービスエース。これで再び流れが変わった。これまでだったら絶対に上がらないようなボールが上がるようになって、最後は3連続ブレークでクロアチア。このセットだけで、クロアチアのダイレクトレシーブボールによるポイントが2本。勢いの差はこのあたりにも出た。
MIPは、序盤点数は負けていてもボールをクズマニッチと若いスパイカーに散らし、最後にバーバラの爆発を引き出したリヒテンシュタインが選出。

アメリカから見れば、当然ストレートで勝てたはずの試合、これもまたラリーポイント制の怖さをまざまざと示す試合となった。

       CRO - USA
         3 - 2
1st     19 - 25        18 min. 6-8 12-16 13-21
2nd     19 - 25        20 min. 3-8  7-16 14-21
3rd     25 - 21        20 min. 6-8 12-16 21-20
4th     25 - 20        21 min. 7-8 16-11 21-17
5th     15 -  8        12 min. 5-2 10- 7 12- 8
Total  103 - 99   1 h. 31 min.

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ペルー対アルゼンチン

第1セットは中盤に入ってコスタグランデの強打、ブロックなどでアルゼンチンがリード。しかし、19-16からアルゼンチンのミスが続いてペルーが4連続ブレーク、逆転する。20-20となった場面で、アルゼンチンは5番のバンソンに代えて7番のビンセンテをピンチサーバーとして入れようとするが、タイミングが遅すぎて認められず。しかし試合はわからないもので、そのバンソンのサーブ順でアルゼンチンにブロック、ペルーのスパイクミスが出て、5連続ブレークで一気にこのセットをとった。

しかし第2セット以降、ガルシアはトス回しを修正、ペルーがサーブレシーブで崩される場面も少なくなる。そしてペルーがアルゼンチンのコスタグランデ、コンデの両エースを狙ってサーブを打つ作戦が効を奏する。アルゼンチンのサーブレシーブが乱れ、またセンターしか使えない状態にして拾って切り返す場面も増えた。第2セット以降3セット連取で、ペルーが南米選手権の雪辱を果たした。

この試合ではモイが難しいトスをたびたび決め、オープンだけでなくブロード攻撃をする場面もあった。チュワンの速攻も極めて決定率が高かった。
なお、MIPはセッターのガルシアが選出された。

       PER - ARG
         3 - 1
1st     20 - 25        21 min. 7-8 13-16 20-21
2nd     25 - 16        18 min. 8-7 16-11 21-13
3rd     25 - 18        20 min. 8-6 16-10 21-16
4th     25 - 20        23 min. 8-5 16-13 21-17
Total   95 - 79   1 h. 22 min.

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韓国対チュニジア

この試合韓国は、チャン・ユンヒ、ク・ミンジョンの両エースを休ませ(スコアをつけていた)、12番のオ・ヨンスン、2番のイ・ユンフイをエースのポジションに入れた。オ・ヨンスンはこの試合が初登場、イ・ユンフイはこれまで2枚替えでセッター対角に入る場面が多かった。

チュニジアにとって、韓国のようにミスが少ない相手は、点数は極めてとりにくい。それでも第1セットはやられる一方だったが、第2セット以降は韓国のスパイクに対して少しずつブロックがついていくようになり、ラリーの場面もかなり増えた。
第2セット序盤、恐ろしいコンビネーションが決まった場面があった。前衛でブリックがクイックの位置に入り、後衛のスーダニにトスを上げる。(ブラジルがよくやるコンビである)このようなことを決めてくる潜在能力はあるのだ。

       KOR - TUN
         3 - 0
1st     25 -  8   15 min. 8-1 16- 5 21- 7
2nd     25 - 14   18 min. 8-7 16-11 21-11
3rd     25 - 12   18 min. 8-4 16- 8 21-10
Total   75 - 34   51 min.

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第11日

キューバ対ロシア

期待通りの全勝決勝戦となったけれども、よもやというほどの一方的展開。ロシアはこれまで全般にスロースタート、早い時間の試合ではそれがさらにひどくなる傾向があったけれども、この試合もまさに、目が覚める前にやられてしまったという印象だった。特にアルタモノワは、前日に輪をかけた絶不調。何とスパイクが1本しか決まっていない。(スロースタート、早い時間が苦手というロシアチームの中でも、アルは極端だ。ひょっとしたら低血圧なのか?(笑))アルと心中のような状態になったトス回しも問題がある。バックアタックはよく決まっていたので、前衛のスパイクとバックアタックを絡めれば、突破口が開けたかもしれない。

キューバは、適当にやって勝てる相手なら強いのか弱いのかよくわからない試合をするけれども、本気でなければ勝てない相手に対しては、恐ろしく強い。今大会では、ロシア、ブラジルとの対戦がそうである。この試合も、前の2試合と比べたら、攻撃のスピードも全く違うし、10cmくらい高くジャンプしていた。

       CUB - RUS
         3 - 0
1st     25 - 19   20 min. 8-6 16-12 21-17
2nd     25 - 15   19 min. 8-3 16- 9 21-14
3rd     25 - 19   17 min. 6-8 16-13 21-14
Total   75 - 53   56 min.

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中国対イタリア

試合はどちらもかみ合っていないという印象でスタート。第1セットは、イタリアにミスが多く、中盤までに中国が大量リード。

第2セットも中盤に中国にサービスエース、イタリアにスパイクミスなどで、中国がリード。このセット後半からピッチニーニが大当たり、一気に追い上げて接戦になる。しかし最後は、トグットのスパイクミスで中国がとる。

第3セットもピッチニーニは好調を持続、トスを上げればほとんど決まる状態。さらにスパイクのみならず、中盤では2本立て続けに呉咏梅をシャット。ピッチニーニの活躍で第3セットはイタリアが奪う。

最終セットは一進一退、しかし17-17から孫月、邱愛華のスパイクやフェイントで中国が突き放した。
MIPにはこの試合を通じて最も当たっていた王麗那が選出。

放送順としては、この試合が女子大会最後となる。前半は両チームともミスが多かったものの、中盤以降は大会最後を飾るにふさわしい接戦となった。

       CHN - ITA
         3 - 1
1st     25 - 20        19 min. 8-3 16- 8 21-16
2nd     26 - 24        22 min. 8-4 16-11 21-20
3rd     18 - 25        20 min. 5-8 10-16 15-21
4th     25 - 21        21 min. 8-6 16-13 21-18
Total   94 - 90   1 h. 22 min.

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ブラジル対日本

この試合の日本は、センターからの速攻は第1セット前半に何本かあっただけで、それ以降はほぼ全てレフトオープンかブロード攻撃だった。せめてもう少しセンターからのクイック、時間差攻撃を入れてほしかった。それほど数は必要ではない。10本に1本でよい。
第1セット、序盤にリードを許してから追い上げたとき、あるいは第3セット序盤にリードしたときにしても、スパイク得点はほとんど大懸と熊前によるものである。したがって、その場は得点できていても、次第にブラジルのブロック、レシーブがあってくるようになり、第1セットは20点過ぎてから連続シャット、第3セットは中盤で連続得点を奪われた。第3セットのタイムアウトでも、レフトとブロードに偏りすぎのトス回しを修正する指示が出た気配はない。
しかしながら、現在の全日本は、基本的にシンプルなバレーである。その点、同じアジアのバレーでも、韓国や中国とは違う。特に、大懸、熊前の両エースに頼る割合は極めて大きい。要するに、一つの戦い方しかできないわけである。それでうまくいく限りは強いけれども、うまくいかなくなればこのような結果である。

ブラジルというチームは、ほとんど飛び込んでレシーブすることがない。だからといってレシーブが悪いのかといえば、全く逆である。ボールがどこに来るかわかっていて、その通りのところにきているから、飛び込む必要がない。ブラジルが、対戦した相手チームにアタックを決められた割合は約35%、これは12チーム中断然低い値である。個人技のレシーブが優れているということでなく、真の意味で守備のよいチームなのだ。

       BRA - JPN
         3 - 0
1st     25 - 22       24 min. 8-4 16-14 21-20
2nd     25 - 11       19 min. 8-4 16- 9 21- 9
3rd     25 - 20       26 min. 4-8 16-14 21-17
Total   75 - 53   1 h. 9 min.

ブラジルはこの試合、コインブラではなくあえてアナモーゼを先発、それもフル出場させた。この試合の時点では、この起用はどうにも理解に苦しむものだった。もともと私は、前日のロシア戦は当然モーゼ先発と踏んでいた。しかしそのロシア戦で、先発はコインブラだった。そのときは、モーゼはもはや出したくても出せない状態なのだろう、と思った。あるいは、ロシアに勝てなくても3位はほぼ確実だったから、ロシア戦は勝負はとれなくてもコインブラに経験を積ませたいと考えたのかもしれない。
しかし、この大会が終わってから何ヶ月も過ぎてから、ようやくこの真意がはっきりした。
アナモーゼ引退―つまり、これが引退試合だったのだ。

その知らせとちょうど同じ頃、90年代を通じて世界のエースに君臨した、鳥人ミレーヤ・ルイス引退という情報も伝わってきた。ミレニアムを迎え、女子バレーも一時代が終わろうとしている、という感を極めて強くする。
プレーヤーとして優れていただけでなく、チームの精神的な支えでもあり、女子バレー界の顔でもあった二人の引退で、キューバあるいはブラジルのチームはどうなるのだろうか。キューバは、ルイスがいないチームで一応の結果は出した。とはいえ、ルイスの影響力が失われてチームがどうなるかは、まだわからない。ブラジルにとっては、これからが試練の時だ。今後も世界のトップ争いを続けられるのか、それともフェルナンダ・アナモーゼという中心選手を失いそのまま力が衰えてしまうのか、今後2,3年くらいでそれが決まってくる。
そして、来世紀に女子バレー界の顔となり、歴史を刻む選手は、まだ見えてこない。その候補と言える選手は何人かいるのだが。


全日本は今大会を7勝4敗で終えた。順位としてはセット率の関係で6位になってしまったけれども、大方のファンの予想を上回る結果である。この成績自体は、素直に喜んでいいし、自信を持っていいと思う。

肝心なのはこの後である。全日本の技術的な課題については、単調な攻撃パターンについては私の観戦記でも何度も触れてきたし、そのほか、多くの方がいろいろ指摘されているので、ここで改めて繰り返すことはやめる。

大会終了後のプレスリリースで、五輪最終予選(兼アジア予選)は8カ国で行われ、アジア・ヨーロッパから3カ国ずつ、北中米・南米から1カ国ずつ出場、と発表されている。その後の各大陸予選の結果、出場国は次のように決まった。
アジア: 中国、韓国、日本
ヨーロッパ: イタリア、オランダ、クロアチア
北中米: カナダ
南米: アルゼンチン
期間は6月17-25日、2日の休みをはさみ、1回戦総当たり7試合である。ある意味、これはワールドカップ以上の過酷な大会である。真のサバイバルである。日本にとって、楽をして勝てる相手は1チームとしてない。最も勝てる可能性が高い相手をあえて上げればアルゼンチンだろうが、そのアルゼンチンも、まだまだ今回ワールドカップでは作りかけのチームだった(来日がなんと大会前日)。

ワールドカップの成績を抜きにして、最終予選の話をすれば、日本にとって考えられる限り最悪のシナリオできている。そのことは忘れてはならない。まずはアジアのチームが1チームも3位以内に入れなかったことである。さらに悪いことに、欧州大陸予選で勝ったのは大方の予想を外してドイツ。そのため、欧州のランク上位国であるイタリア・クロアチア・オランダが全て最終予選に回ることになってしまった。
対戦相手に関して、心に留めておかなくてはならないことは、イタリアもクロアチアも、今大会万全の態勢で勝ちにきたのではないことである。というのは、ワールドカップ期間中も、女子イタリアリーグは中断がない。そのため、イタリア代表チームが集まったのは、現地時間10月24日の試合に出た後、実質的な準備期間は1週間しかなかった。今回のワールドカップが、イタリアにとって、例えば上半分といった結果を出さなくてはならない大会だったら、期間中は絶対に中断しているはずである。(実際、前年の世界選手権期間中は、3週間中断があった。また、男子のイタリアリーグは、ワールドカップ期間中約1ヶ月の中断がある。)それをしなかったということは、今大会は、あくまでも五輪予選への途中段階ととらえていたことを意味する。クロアチアについても、事情は同様である。今大会で結果が絶対に必要なら、少なくとももう1週間早く招集をかけていたはずである。
全日本は今回、手の内を全部出してしまったように思われる。(それは、開催国として不可避なことでもある。開催国には多くの特権がある反面、持てるものを全て出さなくてはならないという義務が伴っている。)特に、最終予選では、大懸・熊前に的を絞られることが予想される。今大会ほど楽には決めさせてもらえないと思わなくてはならない。

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アメリカ対チュニジア

観戦58試合目にして、ついに痛恨の寝ブッチ、第1セットを見逃してしまった。第3セット序盤、チュニジアがアメリカのスパイクを拾い続け、最後にアメリカのミスを招く場面が何度かあり、チュニジアがテクニカルタイムアウトを先にとった。しかし、連続失点するとやはりチュニジアは元気がなくなってしまう。

       USA - TUN
         3 - 0
1st     25 - 13   17 min.  -  16- 8   -
2nd     25 - 11   16 min. 8-4 16-10 21-10
3rd     25 - 13   18 min. 6-8 16- 9 21-12
Total   75 - 37   54 min.

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クロアチア対アルゼンチン

大会最終日だけに、試合が終わった後にバーバラもコスタグランデもコンデもぶっ倒れるくらいの打ち合いを期待していたのだが、終始クロアチアが余裕を持って試合を展開、リヒテンシュタインもトスを散らしていた。そして若いアタッカーもスパイクをよく決めていた。MIPは終盤の勝負所で速攻を立て続けに決めたクズマニッチが選出。

ただし、アルゼンチンもやはり弱い。セット終盤でサーブミスやスパイクミスが多かった。それがなければ、勝負としてもわからなかった試合である。数字で見ると、アタック・ブロック・サーブによる自力得点の合計は、アルゼンチンのほうが多いのだ。相手のミスによる得点だけ、クロアチアが10点も多い。それで勝った試合だ。

それにしても、クロアチアの形がようやく見えたのが、大会の最終戦だったとは。

       CRO - ARG
         3 - 0
1st     25 - 22       19 min. 8-7 16-13 21-18
2nd     25 - 22       21 min. 8-5 16-13 21-17
3rd     25 - 22       20 min. 8-6 16-12 21-17
Total   75 - 66   1 h. 0 min.

大会3日目のペルー戦で、あまりの内容に愕然として、これではこの後全部負けるぞ、と思ったのだが、終わってみればそれに近い結果になった。結局のところ、あれがクロアチアの実力なのだ。

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韓国対ペルー

ペルーは日本・韓国式の守りのバレーを導入してきたため、チームカラーとしては両チームとも似ている。しかし現時点では、本家の韓国のほうが、攻撃のスピード、ミスの少なさ、守備のねばり強さ、いずれでも上回っている。
ただし、その関係が将来にわたって続くという保証はない。ペルーも大会を通して、チームとしてのまとまりもできてきたし、若手の成長も見られた。身体能力的には、日本や韓国を上回る選手がそろっていると思われる。特に、センターのチュワン、セッター対角のソトには、期待するところが大きい。また、前半ではチュワンの対角のサムディオがブロックされる場面が多かったのだが、後半ではサムディオがチュワン以上の活躍をする試合もあった。

       KOR - PER
         3 - 0
1st     25 - 18   19 min. 8-6 16-13 21-16
2nd     25 - 20   21 min. 8-6 16-13 21-19
3rd     25 - 15   18 min. 8-5 16-12 21-13
Total   75 - 53   58 min.

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各チーム講評

キューバ
ワールドグランプリでまさかの予選敗退、三大大会7連覇は不安視された。ミレーヤ・ルイスもナショナルチームからついに退き、トレスも深刻なけがでチームを外れた。実際、前年世界選手権までのような圧倒的強さの感じられる試合は少なかった。しかし、本気でなければ絶対に勝てない相手、すなわちロシア・ブラジル相手に、真の強さを見せつけた。絶対的なエースは不在でも、これまで以上にどこからでも打てるチームになっている。トレスの代わりにフランシアが入ったけれども、それでもチーム力が落ちることもなかった。これこそ、90年代を通じて世界一を守り続けてきた力と言える。

ロシア
パワーと高さのバレーを究極的な領域に高めつつある。それだけではなく、以前のような守備のもろさもなくなっている。しかし、パワーと高さに頼る攻撃では、キューバを倒すのは不可能である。世界一の座に着くためには、より速い攻撃、コンビ攻撃のバリエーションを増やしていかなければならない。従来からの課題が、改めて示された大会だったと言える。

ブラジル
最も完成されたチームの一つと言える。それは特に守備面で表れており、組織的な守備という観点では現在世界一のチームである。それにもかかわらず、キューバ・ロシアとの差は開きつつあるように感じられる。なぜなら、守備面の完成度以上に、攻撃面、特にアタッカーの決定力で差をつけられているからだ。主戦のディアス・バロスの決定率は42,3%、キューバ・ロシアのエースが軒並み50%を超えていることを考えれば、その差はあまりにも大きい。アナモーゼはもはやフル稼働は不可能。コインブラ、オリベイラといった若手も、ベテランに取って代わるにはまだ時間が必要である。格下相手なら通用するけれども、同等以上の相手では、アタッカー3枚でなく2枚半で戦っているのが現状である。
中国の低迷とあわせて、女子バレーは四強から二強の時代へ移行しつつあるように思われる。ブラジル・中国は、二枚替えが極めて多い。キューバ・ロシアが、ほぼ全試合全セットを6人(+リベロ)でまかなっているのに比べると、対照的である。どうしても、一人の選手の破壊力では劣るから、攻撃のオプションを増やすしかない、というように感じられるのだ。

韓国
ミスによる失点を極限まで少なくし、ラリーポイント制に最も適応したバレーをいち早く完成させたのは、男女とも韓国チームである。ロシア・キューバ・ブラジルの攻撃力の前には、本来のスタイルを崩されてしまうが、勝てる相手には確実に勝てる。韓国はもともと、アジアにはアジアのバレーがあると、それを徹底的に追求する考え方で、それで世界に勝つことは目指してもいないように思われる。日本と違い、世界一を争った歴史はないだけに、逆に割り切ったチーム作りができているように思われる。
日本はこの韓国との対戦で、今シーズンも、ワールドグランプリ、アジア選手権、この大会と、いずれも一方的に跳ね返された。ミスの少なさ、高速でしかも確実なコンビなど、見習うべきことはあまりにも多い。

中国
けが人があまりにも多すぎた。しかし、それを考慮しても、今大会は見るべきものが少なかった。バレースタイルもこれまでと特に変わったところはなく、それも強豪の攻撃力の前には崩される場面が多かった。サイドの決定力不足はブラジル以上に深刻。競り合ったセットをぎりぎりでものにして体面を保っていたものの、日本戦でついにブチ切れ、対日本5年ぶりの敗戦。総合成績でもアジアのトップを明け渡してしまった。

日本
7勝4敗は予想以上の健闘といえるだろう。直前に正セッター板橋への交代、大貫のアタッカー・セッターの両刀使いがいずれも成功。負傷の森山に代わり急遽スタメン出場となった鈴木も予想以上の活躍。そしてこの好成績を支えた最大の要因は、大懸・熊前の両エースの活躍にある。中国・韓国のまねをするだけでは、決してこの両チームに追いつくことはできない。意外と単純なバレーにこそ、21世紀の日本女子が生きる道があるのかもしれない。
しかし、この程度が本来全日本のあるべきレベルという指摘も、一理ある。現在のアメリカに負けるなど、今シーズンのBCV杯までは考えられなかったことである。ベテラン抜きオランダにも、昨年世界選手権までは「勝てるはず」という意識だった。勝てるはずの相手に勝てない、それが繰り返されていた。
今大会は、あまりにもうまくいった大会である。うまくいきすぎたと言ってもいいかもしれない。競り合った試合は全部勝っている。逆転勝ちはあっても、逆転負けはない。しかしいつもそれほどうまくいくとは限らない。接戦に負けたり逆転で負けたりと、後に尾を引くような負け方をしても、その次に立て直しができるかどうか。そのような経験は、今大会でもできていない。
今大会の結果を自信にすることはよいけれども、それが過信につながってはいけない。板橋のトス回しも各国に研究されるはずだ。あれだけ大懸・熊前に頼るとなれば、ある程度決めうちしてレフトを止めにかかるだろう。準備期間の極端に短いチーム、作り始めて間もないチームも少なくなかった。最終予選は、今回ほど簡単には勝てないと思わなければならない。

イタリア
今大会台風の目と目されたけれども、予想外の低迷。その原因は比較的はっきりしている。一つは、大会前1週間というチーム練習期間の短さである。もう一つは、センターガラストリが負傷、前半戦はほとんど出場できなかったこと。イタリアにとって、センター線は生命線と言ってもよい。そのセンター線が固定できず、セッターとあわない場面も続出した。

クロアチア
これまでも、イエリッチ、レトに続く若手の成長は全く見られなかった。とりあえず、シドニー五輪まではベテランに頼ってしのぐのだろうと思われた。しかし、五輪予選が迫ったこの大切な時期に、若手に一気に切り替えた。欧州選手権からして、実力で勝ったという印象は全くなく、漠然とした不安は大会前からあった。それでもチームになっていればよいのだが、全くチームになっていない。予想したよりもさらに悲惨な状況である。あれで世界に通用するとでも思っていたのだろうか。信じられない無謀さ、無計画である。
そもそも、アトランタ五輪にしても、実力的には当然出場できたはずである。今回もスタッフの責任は問われることなく終わるのか。これ以上無責任な体制が続けば、このチームの進歩はない。チームの再建は、アトランタ五輪不出場と今回の惨敗に厳然たる審判を下し、正しいバレーを教えられる人物を指導者に選ぶことから始まる。

アメリカ
アトランタ五輪後、国際経験のない大学生中心のチームに切り替えたけれども、今大会は、アトランタ五輪にも出場、ブラジルリーグで活躍するダニエル・スコットが復帰。そのスコットの活躍もあり、特に守備面でチームとしてのまとまりが次第に感じられるようになった。しかし、勝負所でミスから自滅する構図は相変わらずである。また、セッターのトスの精度が悪く、素質のあるアタッカーは少なくないのにその力を出しきれない結果になっている。

ペルー
ペルーの全盛時代を築いたパク・マンボ監督が復帰して3週間で大会に臨んだ。結果はまだ出ていないけれども、若手のチュワン、ソト、サムディオなどの活躍に光は見える。このチームの最大の課題はサーブレシーブ。高さの面では劣るだけに、レシーブが乱れるとやはり苦しい。サーブレシーブをきっちり返して、どれだけ得意のコンビに持ち込めるかどうか。

アルゼンチン
監督がイタリアセリエA男子チームの監督を歴任したこともあり、男子バレーに近い布陣を目指しており、志の非常に高いチームである。チーム自体としてはそれほど大型ではないけれども、身体能力の高い選手が多い。特に両エースのコスタグランデ、コンデは非常に優れた素質を持っている。各選手が自分の才能に気づいたとき、大化けする可能性を秘めている。
ただし、2人制サーブレシーブを成り立たせるには、少なくともセッター対角のポジションにもっと決定力のあるアタッカーが必要であろう。現在では、コスタグランデ・コンデの両エースに頼る割合が大きいため、このエースのどちらかを狙ってサーブを打てば、もう一方のエースかセンターに的を絞ることができてしまうからだ(さらに、サーブレシーブが乱れていれば、ほとんどもう一方のエースしかなくなる。)。

チュニジア
アフリカのバレー事情は厳しい。ほかに本業を持ち、それが終わってからバレーの練習に励むという、本来の意味でのアマチュアの選手が多い。世界のバレーに直に触れる機会も少ない。今大会の経験を今後に生かしてほしいと願うしかない。

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各賞講評

Best Scorer
このワールドカップは予選ラウンドなしの単純総当たりのため、出場国が決まった時点で、アクシデントさえなければ誰がとるか決まったようなもの。第1ラウンド3試合こそそれほど差がつかなかったけれども、第2ラウンドのキューバ・中国との激闘を経て、バーバラの完全独走となった。
なお、バーバラは、タイトルを獲得しながら表彰式で表彰を受けられないという、何とも間抜けな事態をただ一人食らってしまった。

Best Spiker
こちらは、前年世界選手権でこのタイトルを獲得したフェルナンデスと、ティーシェンコ、呉咏梅の3人の争いと予想していた。しかし、本命をおさえて初日からトップに立ったのは、強打にも速攻にも絡んだソコロワ。最終戦で率を落としたが、それまでの貯金で逃げ切り。ティーシェンコ、フェルナンデスとその対角のフランシアは順当に上位にきたが、呉咏梅は4割台によもやの低迷。中国本来のバレーができない試合が多かったことがここからもうかがえる。
キューバ・ロシアでは、レフトエースも軒並み50%以上の決定率で上位に入っている。この2チームで決定率上位がほぼ独占され(唯一その中に割り込んでいるのはバーバラ)、しかも、決定率45〜50%の間の選手は極端に少ない。この両チームのエースにバーバラを加えた「スーパースパイカー」と呼ぶべき選手と他のアタッカーの力の差は、これまでになく開いているように思われる。

Best Blocker
こちらは最後まで誰がとるかわからない混戦。最終戦のロシア戦で、速攻を止めまくったフランシアが、前日の5位から大逆転のタイトル獲得となった。

Best Server
本来なら本命アゲロ・対抗レフェリンクのはずだったところ、オランダが不出場のためアゲロの独走となった。
このタイトルはセットあたり成功数基準で決められるが、アゲロのエースの割合は約17%というとんでもない値を記録、イエリッチ、ソコロワまで10%を超えた。大会の全体平均自体は5%強で、前回ワールドカップよりやや低く、前年の世界選手権の上位8チーム平均ともほぼ同じである。しかし、前回ワールドカップでは、規定打数以上で得点率10%を超えた選手はいない。ネットインOKの新ルールによって、サーブ力の差が大きく開くようになったと言える。

Best Digger
大会の中盤までは、粘り強いレシーブの代名詞とも言える韓国の小さな大エース、チャン・ユンヒがタイトルをとることが濃厚と思われた。しかし、チャン・ユンヒがチュニジア戦を休んだことで形勢が変わり、日本の津雲が、前年の世界選手権に続くタイトル獲得となった。

Best Setter
果たしてこの表彰の意味はあるのだろうか?アタッカーの成功数をもとに、セット当たりで算出する現在の方式では、強いチームのセッターに有利になることは明らかである。しかも、キューバはツーセッターだからこのタイトルの対象からは完全に外れてしまう。つまり当然ロシアのバシレフスカヤにタイトルが来る。もっと爆笑なのは、クロアチアのリヒテンシュタインが3位に入っていること。これはデュースのセットが多いためだが、リヒテンシュタインの下手くそさ加減は12チームの中でも一、二を争うほどである。

Best Receiver
サーブレシーブの技術はトップレベルでは限界に近づきつつあるかもしれない。最近の受賞者は多士済々で、同一選手の連続受賞は見あたらない。今大会はソコロワが大差で受賞。それにしても、攻撃系と守備系の個人タイトルはまずはくっつきにくいものであり、その二冠を三大大会でやってのけるとは、ソコロワは大変な選手になったものである。

MVP
現在のキューバは飛び抜けた存在がいないチームになっており、キューバから誰を選ぶか、というのは難しいところがあると思う。しかし、そのチームの中でも、アゲロはやはり最も印象の強い選手の一人だ。アジアのチームのような複雑なコンビはやらないにしても、セッターとしての基本的な能力も高い。特に、コートの対角線でもアタッカーが打ちやすいボールを楽々と上げるパス力が目立つ。また、今のキューバでは、点数がほしいところでセッターどうしトスを回すことも多い。そして何より、アゲロの印象を強烈なものにしているのがジャンプサーブだ。エースの本数も抜群に多いが、エースとならなくても数限りないチャンスを派生させている。

なお、今大会は、前年世界選手権のような、「セクシーユニフォーム一番乗りにはご褒美、従わないチームには罰金」というのはなかった。前年世界選手権では、キューバとペルーはレオタードスタイルのユニフォームを着用、物議をかもしたが、今大会ではペルーは、選手に不評だったのか、シャツと短パンという古典的な(?)スタイルに戻っていた。キューバはレオタードスタイルではないが、相変わらず体への密着度は高い。だぶだぶだとプレーの邪魔になることもあるのでぴったりのほうがいい、というキューバ選手のインタビューもあったので、キューバのほうは当分ぴったり型でいくのだろう。
しかし、前年のやり方は、どう控えめに言っても「セクハラ」だと思うぞ。セクハラ会長辞任!ノック・アウト!!、という声が沸騰すれば、そのほうがよかったのかもしれないが。


女子大会の最終ラウンドは、名古屋と大阪に別れて行われた。表彰式は当然、上位チームと全日本が集中した名古屋で行われた。表彰式までの間に大阪から名古屋まで移動することなどできるはずはない。したがって、大阪会場から表彰者が出た場合、表彰を受けられず、会場の大型画面に映像が出るだけとなる。しかし、幸いにして(?)、dig部門は津雲が途中で逆転、混戦となった(スコット、クズマニッチも上位に絡んでいた)ブロック部門もキューバのフランシアが制し、表彰者不在は最低予想された一人だけ。何とか形にはなった。
なお、男子は、B会場から実に4部門(3人=イ・ホがBest Digger, Best Receiverの二冠達成)の個人表彰が出た。しかし、男子最終ラウンドは両会場とも東京で行われたため、B会場のチームの選手も表彰式に出席できた。

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非公式チーム集計

Caution!
この集計は私が手元で計算したものであり、公式に発表されたものではありません。計算誤りなどがある可能性もあります。あらかじめご了承ください。

Attack

攻撃の集計

Rank Team            Hits Succ. Blocked Succ. % Blo. %
  1  Cuba            1104  595     63    53.89   5.71
  2  Russia          1117  566     83    50.67   7.43
  3  Croatia         1115  539    100    48.34   8.97
  4  Italy           1217  564     87    46.34   7.15
  5  Brasil          1154  520     82    45.06   7.11
  6  China           1269  568     89    44.76   7.01
  7  Korea           1351  578     84    42.78   6.21
  8  Japan           1364  558    103    40.91   7.55
  9  Argentina       1054  431    104    40.89   9.87
 10  United States   1302  520     77    39.94   5.91
 11  Peru            1318  513    153    38.92  11.61
 12  Tunisia          866  217    101    25.06  11.66
Total Tournament    14231 6169   1126    43.35   7.91
防御の集計
(順位はアタックを決められた割合からシャットの割合を引いた値による)
                     Opp. Opp.         Opp.
Rank Team            Hits Succ. Block Succ. % Block %
  1  Brasil          1176  411   109   34.95    9.27
  2  Russia          1172  490   146   41.81   12.46
  3  Cuba            1098  454   110   41.35   10.02
  4  United States   1434  602   123   41.98    8.58
  5  Japan           1340  546    91   40.75    6.79
  6  Italy           1276  547   105   42.87    8.23
  7  China           1269  557    96   43.89    7.57
  8  Korea           1302  545    72   41.86    5.53
  9  Peru            1152  498    70   43.23    6.08
 10  Croatia         1161  539   105   46.43    9.04
 11  Argentina       1079  527    73   48.84    6.77
 12  Tunisia          772  453    26   58.68    3.37
Total Tournament    14231 6169  1126   43.35    7.91

今大会も、攻撃面ではキューバが断然のトップに立ち、それに続くのがロシアとなった。一方、防御ではブラジルが大差でトップ。現代の組織的な守備を最も完成させているのがブラジルであるという事実が、数字に明らかに示されている。しかしそのブラジルも、攻撃ではキューバ・ロシアに大差を付けられている。日本は、決定率自体は相変わらず低いけれども、最近の大会ではほとんど上位にランクされなかった防御面ではよい数値を出している。数字的に見ると、これまでなかった粘り強さが出てきた、と言える。クロアチアは攻撃面で3位でありながら防御では逆に下から3番目、アメリカはその逆で防御面では4位でありながら攻撃面で下から3番目(ブロックされた割合を考慮しても下から5番目)と、極端にバランスが悪い。このアンバランスさが下位に低迷した要因とわかる。しかし、このあたりのチームがきちんと組織されれば、日本にとって手の出ない相手になる可能性さえある。今大会の結果で安心することなく、気持ちを新たにして最終予選に臨まなくてはならないことは、数字にも示されている。

Block

                     Nb.  Opp.         Avg.
Rank Team            Set Attack Succ. by Set Shut %
  1  Russia           39  1172   146   3.74  12.46
  2  Brasil           37  1176   109   2.95   9.27
  3  Cuba             38  1098   110   2.89  10.02
  4  United States    43  1434   123   2.86   8.58
  5  Croatia          39  1161   105   2.69   9.04
  6  Italy            40  1276   105   2.63   8.23
  7  China            39  1269    96   2.46   7.57
  8  Japan            40  1340    91   2.28   6.79
  9  Argentina        37  1079    73   1.97   6.77
 10  Korea            38  1302    72   1.89   5.53
 11  Peru             39  1152    70   1.79   6.07
 12  Tunisia          33   772    28   0.79   3.37
Total Tournament     462 14231  1126   2.44   7.91

ロシアが断然のトップであることは、ここ何大会か変わりがない。キューバ、ブラジルも上位に入っている。当然の大会トップ3であることが、数字にも表れている。アメリカも大型チームで、ブロックの上位に食い込んでいる。防御の集計とあわせて、守備面ではかなりチームとしてのまとまりができていると言える。イタリアは順位自体は真ん中だが、ここ何大会かと比べれば明らかに低い数値、順位である。準備期間の不足あるいはセンターのガラストリの故障といった事情が数字にも表れており、低迷の原因もこのあたりにありそうである。

Serve

                     Nb.             Avg.
Rank Team            Set Hits Succ. by Set Succ. %
  1  Cuba             38  929   61   1.61   6.57
  2  Brasil           37  866   48   1.30   5.54
  3  China            39  899   50   1.28   5.56
  4  Japan            40  883   50   1.25   5.66
  5  Russia           39  919   46   1.18   5.01
  6  Croatia          39  875   43   1.10   4.91
  7  Peru             39  801   38   0.97   4.74
  8  United States    43  899   41   0.95   4.56
  9  Argentina        37  721   32   0.86   4.44
 10  Italy            40  882   34   0.85   3.85
 11  Korea            38  870   32   0.84   3.68
 12  Tunisia          33  419   26   0.79   6.21
Total Tournament     462 9963  501   1.08   5.03

サーブに関してもキューバが断然の1位。強いサーブでエースを奪い、あるいは相手を崩してチャンスを派生させるという、キューバ本来の強さがここでも戻っている。そもそも、ネットインOKの新ルールは、キューバのように強いサーブを打つ選手が多いほど有利になる。2位ブラジルから4位日本まではほとんど差がない。これまでサーブの弱さが日本の課題の一つとして繰り返し指摘されてきたが、サーブで崩す場面が多かったことも今大会の好成績の要因と言えよう。ロシアも強いジャンプサーブを打つ選手が多いが、その割にはエースの割合は中程度にとどまっている。イタリアは下から3番目(得点率では下から2番目)、これも低迷の一因かもしれない。チュニジアは現在の公式集計の方式(セット当たり成功数基準)ではサーブでも最下位になってしまうが、得点率を基準とした場合はキューバに次ぐ高率になることに注意すべきである。

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