ワールドカップ観戦記(第4,5日, 11/6,7)

富山遠征

第4日(11/6)
韓国対アメリカ
ロシア対アルゼンチン
イタリア対日本
中国対ブラジル
ペルー対チュニジア
キューバ対クロアチア

第5日(11/7)
韓国対アルゼンチン
イタリア対アメリカ
ロシア対日本
ブラジル対チュニジア
キューバ対ペルー
中国対クロアチア


富山遠征

実は富山へ行くかどうかは、最後まで迷いがあった。というのは、チュニジア戦・ペルー戦と続けて、あまりにもひどい内容の試合を見せられたからだ。富山での対戦相手はキューバと中国。あの内容では、この2試合はおそらく1セットもとることはできないだろう、と思われた。しかし、結局は、今大会がバーバラを生で見られる最後の機会かもしれない、という思いをおさえることはできなかった。
振り返ってみれば、前年の世界選手権観戦ツアー、そして全国各地でのVリーグ観戦も、今度が最後だと思って決行したものだった。

最後まで迷っていたこともあり、今回の富山遠征も、「即席ラーメンより即席」な遠征になってしまった。列車の切符を買ったのが出発当日の夕方(出発は深夜)。その時点では、宿も決まっていなかったのだ。

今回の遠征は、春・夏・冬のシーズンには当たらないため、別に鈍行列車にこだわる必要はない。座席夜行「能登」を利用した。これだけ長い移動で、座れないことが万一あれば大変である。そのため、列車の始発である上野まで出た。到着は出発約30分前だったのだが、待っている人の数が少ない。各車両の入口に数人ずつちらほら程度か。拍子抜けしてしまった。ところが、出発寸前になると一気に乗客が増えて、立ち席も出るほどになった。どうなっているのか、と思いきや、東京から遠ざかるにつれて客がどんどん降りていく。この列車は、高崎線の最終普通列車より遅い時間に出発する。そこで、どうしてもその日のうちに帰らなくてはならない首都圏近郊の客から、急行料金を取る、というほうが主眼らしい(?)。高崎まで来ると、乗客の数は見たところ4座席に1人くらい。始発の頃に乗っていた客のうち、北陸まで行くのはだいたい5分の1だった、というわけである。大阪から東京に出てくるのに、同じ座席夜行の「ちくま」を愛用しているファンの方もおられるようで、座席夜行の急行列車というのは実は穴場なのかもしれない。
新潟県の柏崎〜柿崎間、そして新潟・富山の県境付近(後者は親不知として知られる)は、山が海に迫り、路線は海岸すぐのところを走る。しかし、この時期では夜が明けるのは富山到着の頃、帰りももちろん真夜中だから、海が見えるはずはない。見えるのは漁火くらいである。(この区間は前年の黒部遠征のときも通ったけれども、柏崎〜柿崎を通ったのはこのときも夜で、ここの海を見たことはまだない。)この区間も優等列車を高速で通すため、長いトンネルをいくつも掘っている。トンネルの中に駅があるくらいである。しかし、この区間にまず北越急行(ほくほく線)を通し、さらに、北陸新幹線も建設するという。二重三重の投資。特急を通すのなら北陸本線があれば十分の気がするのだが、いったいどうなっているのか。また、海の近くでトンネルを掘っているということは、北海道室蘭本線の崩落事故が起きたところと似たような場所で、考えてみれば、恐ろしいところを通ったものである。今度からは飛行機にするべきだろうか。おそらく、バレーボール観戦のため遠征することは、4年後までないと思うが。

富山会場は、私の行った多くの会場の中でも間違いなく最高のアクセスのよさを誇る。富山駅北口から歩いて10分もかからず、道に迷うこともない。ファンとしては簡単にいけるのはありがたいのだが、そのような場所に大きな体育館を作る感覚もまた理解しがたいものがある。もう一つ、この会場でありがたかったことは、再入場ができたことである。だから、一度入場して座席を確保してから、宿の予約や買い物に出ることができた。国際大会でもVリーグでも、再入場を許す会場はまずない。

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第4日

韓国対アメリカ

韓国はここまで、ロシアには敗れたものの、イタリア・日本相手に完勝。その試合内容からして、韓国がある程度楽に勝つだろうと思われた。
しかし、第1セットは予想外の展開になる。序盤、チャン・ソヨンとパク・ミキョンのスパイクミス、ウェストンのスパイクなどで、アメリカが5-1とリード。韓国は中盤にかけてほとんどブレークできず、ハーリーの速攻、ク・ミンジョンが2度シャットされるなどで、アメリカのリードが広がる。最後はスコットの速攻、ハーリーのノータッチエース、チャン・ユンヒのスパイクミスで、3連続ブレーク。アメリカが25-16と大差で第1セットを奪う。

第2セット、韓国はセッター対角に、パク・ミキョンに代えて2番のイ・ユンフイを入れる。この喝が効いたのか、このセットは一転、最初にアメリカのサーブレシーブの乱れをついてブレークしたところから韓国がペースをつかむ。開始から韓国が4連続得点(3ブレーク)、中盤も、サンスをブロック、ク・ミンジョンのスパイク、パク・スジョンのサービスエースで3連続ブレーク、終盤にかけても3連続ブレークなど、ほぼダブルスコアの展開。最後はスコットの連続スパイクミスで、韓国の25-13。

第3セットは、7-6韓国リードから、スコットのブロードがミス、パク・スジョンのサービスエース、その次もサーブレシーブが乱れウェストンのバックアタックがミス、韓国が3連続ブレーク。15-12韓国リードから、チャン・ユンヒのサーブ順で、アメリカのサーブレシーブがまた乱れてパク・スジョンがダイレクトスパイク、さらにパク・スジョンがスコットを止め、大きな2ブレーク。次のイ・ユンフイのサーブ順でもアメリカを崩し2ブレーク(エース1)、20-13まで韓国のリードが広がった。この後、アメリカが反撃する場面があったものの、最後はパク・スジョンがツーで決めて25-21韓国。

第2,3セットと韓国が楽に取ったが、第4セット、その韓国の前に立ちはだかったのはスコットだった。5-5から、パク・スジョンのフェイント、ク・ミンジョンを相次いで止めて2ブレーク。8-6からもク・ミンジョンを止める。このセットアメリカの6点目から10点目まで全てスコットの得点である。韓国もチャン・ユンヒのスパイク、イ・ユンフイの速攻でブレーク、追いつくものの、そこでミスが出て再びリードされる。15-15からはまたしてもスコットのブロック・スパイクで差を広げられる。19-17からはスコットにサービスエースまで出て、アメリカのリードは3点となった。しかし、韓国はク・ミンジョンのスパイクで切った後、アメリカのサーブレシーブの乱れもあり、チャン・ソヨンの速攻とブロードが3本続けて決まり、さらにチャン・ユンヒのスパイクで、4連続ブレーク、22-20と一気に逆転した。このまま24-22で韓国マッチポイント。勝負あったかと思われた。ところが、これをウェストンのスパイクでまず切った後、ハーリーのサーブがリベロのチェ・カンヒを襲い、さらに次のサーブもほとんど同じ軌跡を描きチェ・カンヒをはじいた。連続エース。さらに、ウェストンのスパイクがブロックをはじき、マッチポイントを握られてからよもやの3連続ブレークでアメリカが逆転。フルセットに突入した。

富山大会遠征中、同時進行で行われた札幌の試合は、ビデオで予約録画していた。210分テープと180分テープを用意し、2台のビデオデッキをフル稼働で録画。それぞれの対戦の力の差を考えて、テープに収まるように録画時間を割り振った。当然各試合の時間にはある程度余裕を見ているはずだった。ところが、この試合は1時間40分しか時間を用意していなかった。かくして、最終セットは当然落ちた。4-2韓国リードのところで、痛恨のタイムアップ(+_+)。韓国がアメリカにこれだけ苦戦するとは、読めなかった。正直、アメリカを甘く見ていた。各試合の時間配分は、大会の前に決めたものだった。やはり大会3試合を見て、配分を考え直すべきだった。
最終セットが落ちたもう一つの理由は、同じ日の日本戦が、フルセット、しかも日本の勝利だったことである。もしそれがなければ、翌日以降早く終わった試合の空き時間で、この試合の最終セットの補充があるはずである。とにかく最終セット18-16というのは、今大会最ももつれた試合なのだ。しかし日本がフルセットで勝ってしまったため、空き時間は全部日本戦の最終セットに。二重の意味で無念の「落ち」となった。

スタメンおよびサーブ順(特記なき限り第1セット)
韓国: 3 カン・ヘミ → 15 チャン・ソヨン → 4 チャン・ユンヒ → 7 パク・ミキョン → 10 パク・スジョン → 1 ク・ミンジョン
アメリカ: 1 サンス → 10 ハーリー → 16 ノリエガ → 18 ウェストン → 17 スコット → 8 タガロア

       KOR - USA
         3 - 2
1st     16 - 25        19 min. 4-8 11-16 14-21
2nd     25 - 13        19 min. 8-6 16- 7 21-10
3rd     25 - 21        23 min. 8-3 16-12 21-14
4th     24 - 26        25 min. 6-8 15-16 21-20
5th     18 - 16        18 min.  -    -     -
Total  108 - 101  1 h. 46 min.

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ロシア対アルゼンチン

第1セット、序盤こそ差はさほど開かなかったものの、10-7ロシアリードから、ティーシェンコの速攻、バシレフスカヤのネットインノータッチエースなどで、13-7とする。ここでアルゼンチンはタイムアウトをとるも、その後もミスが続き結局ロシアが5連続ブレーク。この後もゴディナのサーブでアルゼンチンを崩し3連続ブレーク(うちエース1)など、一方的にリードが広がる。最後はティーシェンコの移動攻撃で、このセットは結局ダブルスコアの25-12となる。

第2セット序盤は、ロシアにトスミスやサーブレシーブのミスも出て、やはり差が開かない。しかし、9-9の場面から、バシレフスカヤのエース、次のサーブ順ではゴディナのスパイクでブレーク。さらに、アルゼンチンにサーブレシーブの乱れがあり、チャンスボールをゴディナがバックアタックで決めたり、ベリコワが直接ブロックするなどで、ロシアが4ローテ連続で合計5ブレーク。17-11リードとした。この後は淡々とサイドアウトが続き、両チームともブレークは1本のみ。最後はアルタモノワのスパイクで25-19ロシア。

ロシア楽勝かと思われたが、第3セット、ゴディナに代えてガモワをテストしたところで、流れがやはり悪くなる。ガモワとアルタモノワのスパイク決定がほとんどなくなり、ソコロワに頼る展開が続く。アルゼンチンはコスタグランデのスパイクで連続ブレーク、8-6とリード。ロシアはガモワがバンソンの速攻を2度止めて先行。しかし、ここからはコスタグランデ・コンデの両エースが踏んばり点差が開かない。13-12アルゼンチンリードの場面でロシアはゴディナを戻したが、流れは変わらない。ソコロワの移動攻撃のミスとゴディナのスパイクで1ブレークずつして17-17の場面から、コスタグランデがソコロワを襲う2連続エース。さらにコンデのフェイントが決まり、アルゼンチンが3連続ブレーク。そのまま24-21でセットポイントを迎えた。しかし、サーブミスでロシアサイドアウトの後、アルタモノワにネットインノータッチエース、さらにアルタモノワ・ゴディナのスパイクが立て続けに決まり3連続ブレーク。25-24と逆にマッチポイントとし、試合の決着をつけるかと思われた。しかし、ここでコスタグランデが踏んばる。26-26から、ソコロワとアルが交錯、ボールを落とし、アルゼンチン先行。28-28の場面で、ベリコワがコンデを止め、再びロシア先行。しかし、その後ロシアにネットタッチ、さらにアルタモノワのスパイクミスと、ロシアにミスが続いてアルゼンチンが先行。そして32-31から、ソコロワのバックアタックがミス。ここまで大会最長のデュースの末、アルゼンチンが意地を見せて1セットを奪った。

さすがにこれで気を引き締めたか、第4セットは序盤からロシアがリード。6-4から相手のスパイクミス、サーブレシーブの乱れも絡みロシアが2ブレーク。9-5からアルタモノワのネットインエースなどで4連続ブレーク、14-6からも相手のミスで2ブレーク、16-6と一方的展開とした。セット終盤にはバシレフスカヤがツー攻撃を2本決めるという余裕も見せた。このセットは25-14ロシア、難なく試合を片づけた。

プレー自体にそれほどコメントは思い浮かばないが、ゴディナからガモワと一人メンバーを落としただけで(それもセットの半分にもならない間だけ)、アルゼンチンがセットを奪ってしまうのである。一軍半のロシアに勝ってロシア戦の連敗を三十いくつで止めたからといって、舞い上がっている場合ではない。

スタメンおよびサーブ順
ロシア: 10 バシレフスカヤ → 9 ティーシェンコ → 6 ゴディナ → 5 ソコロワ → 3 ベリコワ → 8 アルタモノワ
アルゼンチン: 6 ミューラー → 14 アンサルディ → 3 コンデ → 9 レ → 1 クルソーエ → 2 コスタグランデ

       RUS - ARG
         3 - 1
1st     25 - 12        17 min. 8-6 16- 9 21-10
2nd     25 - 19        19 min. 8-7 16-11 21-16
3rd     31 - 33        27 min. 6-8 16-15 18-21
4th     25 - 14        16 min. 8-4 16- 6 21-10
Total  106 - 78   1 h. 19 min.

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イタリア対日本

第1セットは、序盤こそ、イタリアのサーブレシーブミスからピッチニーニがスパイクミス、6-4日本リードという場面もあった。しかし、パッジのサービスエースを食らったところから流れが変わる。さらに、鈴木のブロードが2本続けてリニエーリにシャットされ、熊前・大懸もシャットされるなど、日本の攻撃がことごとくイタリアのブロックにかかる。4ローテ連続で合計8ブレーク、17-11とイタリアの大量リード。その後、鈴木・満永のサーブ順でイタリアのサーブレシーブを崩し、ダイレクトで決める場面もあり、日本が4ブレークを返す。しかし、サーブレシーブの乱れから大懸がシャットされ、流れは再びイタリアに。最後はまたも鈴木がリニエーリに止められて25-18イタリア。

第2セットは、序盤で両チームが2ブレークずつして5-4日本リード。この場面で、葛和監督は決定的な選手交代に踏み切る。目立った活躍の少ない満永に代えて大貫をライトアタッカーで起用。サーブ順での交代だったが、そのサーブ順で、リベロを襲うエース1本を含む3ブレーク。この後、12-9から熊前のサーブ順で、レッジェーリの速攻のミスに端を発し、トグットを鈴木が止め、さらにイタリアのサーブレシーブの乱れもあり、大懸がなんと4連続スパイクブレーク、合計6連続ブレーク。そのサーブ順が終わると、熊前に代えて櫻井を投入。そして、セット終盤、板橋が前衛に上がった場面で、板橋に代えて、故障のためスタメンを外れていた多治見を入れた。この状況では大貫がセッターということになる。試合自体は25-16と日本が圧倒。このセットは、全日本のこれ以降の戦いを決定づける、重要な選手起用が続いた。極めて重要な意味を持つ1セットだった。

振り返ってみるに、日本のターニングポイントはこの試合にあった。もっと細かくいえば、この試合の第2セットである。この試合の勝利によって、それまでの国際大会で見られなかった「勢い」というものが見られるようになった。また、戦術面においても、大貫のアタッカー・セッター両刀使いという、それまでにない起用が見られた。本来のアタッカーに戻したことで(セット終盤で板橋が前衛の場面のみ、大貫がセッターになる、ある意味では変則ツーセッターとも言えよう)、大貫も水を得た魚であった。

スタメンおよびサーブ順
イタリア: 2 リニエーリ → 4 レッジェーリ → 3 トグット → 12 ピッチニーニ → 9 ガラストリ → 7 カッチャトーリ
日本: 10 板橋 → 8 熊前 → 17 鈴木 → 11 満永 → 12 大懸 → 1 多治見

       ITA - JPN
         2 - 3
1st     25 - 18        21 min. 7-8 16-10 21-17
2nd     16 - 25        22 min. 4-8  9-16 14-21
3rd     23 - 25        27 min. 6-8 11-16 18-21
4th     25 - 21        22 min. 6-8 16-13 21-18
5th     11 - 15        14 min. 5-4  6-10  9-12
Total  100 - 104  1 h. 46 min.

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中国対ブラジル

富山会場はB会場(全日本の来ない会場)でありながら、注目のカードが多く組まれ、非常に内容の濃い2日間となった。その富山会場の初戦が、いきなり2日間のメインイベントである中国対ブラジルの一戦。五輪出場権がかかる3位以内の事実上の決定戦とも言え、その観点ではワールドカップ全体で最も重要な試合の一つである。

第1セットは、中国が先行するがそのたびにブラジルが追いつくという展開が続いた。王麗那・孫月のアタック、ブラジルのフェイントのミスで、中国が7-3とリード。ブラジルはディアスのアタックなどで3連続ブレーク、すぐに追いつく。中国はまたも両エースのアタックなどで15-11とリードするが、ブラジルもオリベイラのフェイント、ディアスのバックアタックなどで16-16の同点。王麗那のノータッチエースで1ブレークの後の19-18から、孫月のフェイントがミス、オリベイラのライト攻撃が決まり、ブラジルが2ブレーク、このセット初めてリード。しかし、21-20ブラジルリードから、ブラジルのサーブレシーブが乱れ、ディアスのスパイクがミス。中国先行。さらに、23-22からブラジルにネットタッチ。一気に中国のセットポイント。最後は呉咏梅のブロード攻撃が決まり、25-23で中国。

第2セットは、序盤にレイラ・バロスのサーブで中国が乱れ、ブラジルが2ブレーク、5-2とリード。中国も、呉咏梅の移動攻撃、バロスのバックアタックミス、モーゼを止めて3連続ブレーク、すぐに先行。しかしブラジルは、中国のミスで1ブレークの後、孫月を止め、コンセイソンのクイックで、3連続ブレーク。1ブレークずつの16-13ブラジルリードからは、呉咏梅の移動攻撃、孫月のオープンがいずれもシャット、時間差攻撃も決まらず、バロス、アナモーゼのバックからのフェイントをいずれも拾えず、ブラジルが4連続ブレークで一気に突き放す。この後、中国はお見合いしてボールを落とすミスも出る。最後も邱愛華の移動攻撃が止められ、結局25-16の大差でブラジル。このセットは、中盤以降、中国のブロード・時間差・オープンのいずれにもブラジルのブロックがついた。

第3セットは、王麗那を連続でシャット、バロスのアタック2本で、ブラジルが4-2とリード。この後、王麗那のアタックミス、このセットから入った桂超然の移動攻撃もミス、諸韻頴のツーもミス。中国に妙なミスが相次ぎ、11-6とブラジルリード。しかし、このセット後半からは中国のブロックがブラジルの攻撃に合うようになる。20-15からコンセイソンのクイックを2度連続、21-17からレイラのライトアタックもシャット。さらに、ディアスのバックからのフェイントもミスで、2点差となった。しかし、この苦しい場面でバロスが切った。この後は殷茵を止めるなどでブラジルがしのぎ、最後はディアスのアタックで3点差で逃げ切り。

第4セットは序盤7-7から、邱愛華のフェイントがミス、ソウザのサービスエースで、ブラジルが2ブレーク。このセット初めて2点差がつく。中盤、中国は呉咏梅の連続サービスエースで、15-14と一時先行する。ブラジルはコンセイソンのクイック、ディアスのアタックですぐに2ブレーク、逆転。しかし、中国は王麗那のスパイクとフェイント、コンセイソンを止めて、3連続ブレーク、20-18とこのセット初めて2点リードした。しかし、邱愛華のスパイクミスで、ブラジルはすぐに同点。さらに、21-21から、コンセイソンが孫月を襲うサービスエース。23-22のブラジルリードで、ブラジルに好レシーブが続き、ついに呉咏梅がフェイントをミス。中国が逆に粘り負け。24-23から、バロスがライトからアタックを決めて、決着をつけた。
MIPはレイラ・バロスが選ばれた。

試合の流れを見ると、中国としては、やはり孫月をフルに使えないのが苦しい。この日も、前衛に上がったときに殷茵との交代が何度かあった。スピードに慣れていない相手ならコンビで振り切れるけれども、四強の一角が相手ともなると、それもいつかは通用しなくなる。これで中国はキューバ・ブラジルに敗れ、3位以内は非常に難しくなった。日本は、この日のイタリアに対するフルセット勝ちにもかかわらず、厳しい現実に直面する可能性が非常に高くなった。

スタメンおよびサーブ順(特記なき限り第1セット)
中国: 11 孫月 → 6 李珊 → 12 邱愛華 → 15 王麗那 → 5 呉咏梅 → 4 諸韻頴
ブラジル: 7 ソウザ → 10 ディアス → 3 コンセイソン → 8 バロス → 2 モーゼ → 11 ロドリゲス

       CHN - BRA
         1 - 3
1st     25 - 23        22 min. 8-7 16-13 20-21
2nd     16 - 25        21 min. 7-8 13-16 14-21
3rd     22 - 25        22 min. 5-8 12-16 17-21
4th     23 - 25        24 min. 7-8 16-15 21-20
Total   86 - 98   1 h. 29 min.

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ペルー対チュニジア

第1セット、ラフラフィのノータッチエースでチュニジアが3-1とリード。この後、レベアイのサーブでもペルーを崩し2ブレーク、8-6リードで、大会初めてチュニジアがテクニカルタイムアウトをとった。ドリッドにもサービスエース、一時チュニジアが3点リード。第1セット中盤まで競り合ったのは、チュニジアのサーブが思ったより手元で伸びるため、ペルーにサーブレシーブのミスが多発、つないでもアタックミスで結局失点という場面が続いたためだった。
しかし、ペルーがチュニジアのサーブをきちんと返せるようになると、ペルーのレシーブとコンビの前に、チュニジアは対抗する手段がない。16-15ペルーリードから、チュワンのアタックとプッシュで3本、ブリックをシャット、チュニジアのアタックミスが2本で、ペルーが6連続ブレーク。このセットは終盤一気に差が開き、25-17でペルー。

第2セットに入ると、チュニジアにミスも続き、終盤にはモイのサーブで崩し6連続ブレーク。23-7までペルーのリードが広がる。この後スーダニのフェイントなどでチュニジアは2ブレーク返すものの、このセットは25-11ペルー。

第3セットも中盤に、マラガのサーブ順で、サーブで崩して得点、チュワンの速攻などで、8連続ブレーク。終盤にも交代出場15番モンテベルデのアタックなどで3連続ブレーク、21-8ペルーリードとなった。ここでチュニジアタイムアウト。これ以降、クロアチア応援団リーダーがリードして、会場一斉に、チュニジア、チャチャチャ!コールが起きる。ペルーもこのリードで気が抜けたか、この声援に押し出されるように、この後ペルーのアタックが相次いでミスとなる。このセット終了までにチュニジアは4ブレーク含む7点を返した。

なおMIPはマラガが選ばれたが、よい速攻を何度も決めたレイラ・チュワンという見方が場内大多数で、あれ、という感じだった。

スタメンおよびサーブ順
ペルー: 8 モイ → 7 サムディオ → 4 ソト → 12 マラガ → 5 チュワン → 3 ガルシア
チュニジア: 5 リハニ → 7 ラフラフィ → 13 スーダニ → 1 レベアイ → 10 ドリッド → 4 ブリック

       PER - TUN
         3 - 0
1st     25 - 17   18 min. 6-8 16-15 21-15
2nd     25 - 11   15 min. 8-3 16- 6 21- 7
3rd     25 - 15   19 min. 8-5 16- 5 21- 8
Total   75 - 43   52 min.

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キューバ対クロアチア

第1セットから、クロアチアの各選手はキューバのサーブをきちんと返し、そのため点差がなかなか開かない展開、バーバラのバックアタックなどで、最初のテクニカルタイムアウトはクロアチアが2点リードでとった。しかし、ベルのアタック、バーバラのスパイクミスでキューバが逆転。この後しばらくは、キューバが2点リードしても、クロアチアがすぐに追いつくという展開が続いた。しかし、20-18キューバリードから、コスタのライトからのスパイクが決まり、キューバが3点差に。23-20から、バーバラがスパイクミス、シャットされ、25-20キューバ。バーバラはエンジンのかかりが遅く、終盤でミスしたりシャットされたりして一気に差が開いた。

第2セット序盤は、どちらかがブレークしてリードしてももう一方がすぐに追いついた。しかし、9-9から、レトのスパイクミス、コスタのライト、アゲロのサービスエースで、3連続ブレーク。16-12キューバリードから、コスタのサーブでクロアチアを崩し、キューバが5連続ブレーク。この後、ようやくバーバラのスパイクやサーブで反撃したが、時すでに遅かった。最後はフェルナンデスの速攻が決まり、25-19でキューバ。

しかし、第3セットになるとバーバラが爆発。このセット、バーバラは実に16点を得点、2度ブロックされた以外は決定率100%に近かった。このセットはキューバとの激しい打ち合いになり終盤まで点差がほとんどつかなかったが、20-19クロアチアリードからフェルナンデスの速攻をシャット、さらにルイザがアタックミス。このセット初めてクロアチアが3点のリードを奪った。さらに、23-20からリビチッチのサービスエース。最後はキューバがレシーブしたボールを直接ブロックで沈めて、クロアチアが25-21でこのセットを奪った。

第4セットは、5-4クロアチアリードから、アゲロのネットインサービスエースから始まって、サービスエース3本、ベルのスパイクで4連続ブレーク。16-13で迎えた次のアゲロのサーブ順でも、レトがシャットされ、またしてもサービスエース。21-17から、クズマニッチの移動攻撃が止められブレーク、22-17。誰もがこのまま終わるものと思った。しかし、バーバラのスパイクで切った後、クロアチアがベルを相次いでシャット。さらに、キューバのスパイクが2連続でミス、何と5連続ブレークでクロアチアが先行、場内の盛り上がりも最高に達した。24-23から、クロアチアのブロックがルイザのスパイクに合うけれども、ブロックアウト。25-25から、このセット何度も痛い目に遭っているアゲロのサーブ、またエース。26-26から、ルイザのインナースパイクがレトの正面に。さわらなければアウトと思われたが避けられず。そしてその次のプレー、レトにトスが上がったが、先ほどのレシーブが尾を引いていたか、強打せずフェイント。これが拾われて、最後はコスタにライトから決められて試合終了。
MIPはキューバのフランシアとなった。

もちろん惜しいという気持ちはある。しかし、正直なところ、ペルー戦までの内容からすれば間違いなくストレート負け、全く勝負にならないと思っていたので、やればできる、との思いのほうが大きい。実は今回は、ぎりぎりまで行くか行かないか迷っていて、そのために掲示板での通知もできなかった(ごめんなさい)。富山まで見に行って本当によかったと言えるすばらしいゲームだった。

ペルー戦のときは、サーブレシーブができないとこれだけだめなのだ、と書いたが、この対戦が引き締まった好ゲームになった要因は、何と言ってもクロアチアのサーブレシーブに尽きる。バーバラも第3セット以降爆発していたが、とにかくサーブがきちんと返らないことには、バーバラが打つこともできない。
ただし、キューバのサーブはこの試合は心なしか弱かったような気がする。サーブミスは異常なほど少なかった。キューバは、もともと多少のミスは気にせず強いサーブをどんどん打ち込むチーム。(必然的にミスは増える)クロアチアとしてはそのほうが怖かったはずである。
むしろクロアチアのほうがサーブで攻めていて、ミスも多かったものの、第4セット終盤の連続ブレークも、クズマニッチのネットぎりぎりの好サーブがキューバの速攻を封じた結果生まれた。
それにしても、わずか2日でこれだけ試合内容が変わるものか。試合によって出来不出来の差が大きいというのは、五輪予選を考えると不安材料である。

前の試合とあまりにも書くことが違うと言われるのももっともだし、私自身、ことクロアチアチームになると感情的になりすぎてだめだと思う。しかし、サーブレシーブさえそこそこに返れば、現時点でもこれだけの試合ができるポテンシャルがあるのだ。れがわかっていたからこそ、ペルー戦のときはあれだけ怒ったのだと理解してほしい。初めから弱いと思っていれば、怒りも出てくるはずがない。

奇跡は決して奇跡的には起こらない、という。これは確か金大中韓国大統領の言葉だったと思うけれども、バレーボールでもそうだと思う。要は、それだけの力がなければ、奇跡は起こらない、ということ。クロアチアにはその力はまだない。しかし、若い選手がさらに成長して、もっとサーブをきちんと返して速攻やコンビをさらに有効に使えるようになれば、それが夢でなくなる日が来るかもしれない。

スタメンおよびサーブ順
キューバ: 2 コスタ → 8 ベル → 16 フランシア → 12 アゲロ → 1 ルイザ → 14 フェルナンデス
クロアチア: 1 レト → 10 リヒテンシュタイン → 7 クズマニッチ → 8 イエリッチ → 4 リビチッチ → 9 カステラン

       CUB - CRO
         3 - 1
1st     25 - 20        18 min. 6-8 16-14 21-18
2nd     25 - 19        18 min. 8-7 16-12 21-12
3rd     21 - 25        19 min. 8-6 15-16 19-21
4th     28 - 26        23 min. 8-4 16-13 21-17
Total   99 - 90   1 h. 18 min.

この日は好カード・好ゲームが重なり、裏会場にもかかわらず場内は大盛況。第1試合は特に、両チームの応援合戦が大いに盛り上がった。しかし、ブラジルが中高生(主体はバロスのファンだろう)も巻き込み応援団を編成していたのに対し、中国は留学生と在日の方が主体。こちらでもブラジルの勝ち。
第3試合も、おなじみの(?)リーダーの方がバーバラファンの中高生を組織し、クロアチア応援団を編成。キューバ応援の中高生もそれに刺激され、途中から選手名コールも入った。第3試合終盤など、ディスクジョッキーさえ入る余地なし。本当の盛り上がりというのはこういうものであり、アナウンサーの絶叫やアイドルで作られるものではない、という見本のような一日となった。
富山のファンのみなさん、本当に感謝します、そしてよかったね!

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第5日

韓国対アルゼンチン

結果は順当だが、この2日間の韓国の戦いぶりは、見事な集中だったイタリア・日本戦に比べると不安を感じさせるものだった。結果としては、アメリカ戦は最終セット16-16までもつれながらかろうじて勝利、この日のアルゼンチン戦もストレートと、力を抜きながら必要な結果は残すという最も理想的な形となったわけだが、韓国にして、一つ間違えば、という印象を残した。アメリカにしてもアルゼンチンにしても、このときは参加することに意義があるという大会である。五輪予選となれば、集中の度合いは当然違うはずである。

       KOR - ARG
         3 - 0
1st     25 - 19       20 min. 4-8 13-16 21-17
2nd     25 - 20       21 min. 8-4 16-13 21-17
3rd     25 - 21       23 min. 6-8 14-16 21-20
Total   75 - 60   1 h. 4 min.

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イタリア対アメリカ

なお、きわめて余談ながら、私が観戦した順序としては、この試合が大会最後である。富山遠征期間中の札幌会場での試合、放送順としては札幌会場での最後の試合になるため、この試合だけ最後まで観戦せずに残っていたからだ。

       ITA - USA
         3 - 0
1st     25 - 21       24 min. 8-7 16-13 21-20
2nd     25 - 21       20 min. 8-5 16-12 21-15
3rd     25 - 19       21 min. 8-5 14-16 21-18
Total   75 - 61   1 h. 5 min.

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ロシア対日本

       RUS - JPN
         3 - 1
1st     25 - 15        19 min. 4-8 16-11 21-12
2nd     25 - 22        23 min. 8-7 16-15 21-18
3rd     23 - 25        27 min. 8-5 16-11 16-21
4th     25 - 18        22 min. 8-4 16-12 21-13
Total   98 - 80   1 h. 31 min.

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ブラジル対チュニジア

第1セット序盤は、前日の試合同様、チュニジアにサービスエース2本、5-4という場面もあった。しかし、ブラジルがチュニジアのサーブを問題にしなくなると、点差は開く一方。最後はディアスのサーブで崩し、7連続ブレークで25-10でセットを終えた。

第1セットこそアナモーゼ以外のレギュラーが全員出場したブラジルだが、富山会場の二大スターの一人であるレイラ・バロスを含め、レギュラーはほとんど第1セットでお役御免。第2セット以降は、レギュラーのうち残したのはディアスとロドリゲスのみ、ほとんど控えメンバーで戦った。
この試合のMIPは、フル出場メンバーの中からディアスが選ばれた。

もともと、大陸選手権にケニアが不出場という事情の中で勝ったチュニジア。チームの中心で、85年ワールドカップ出場のベテランスーダニも膝のけがを抱えている。さらに、中国戦ではよいアタックを打っていた若手の大型アタッカーのブリックも練習中に肩を故障とのこと(出場は続けている)。さらに苦しい状況に追い込まれた。この2試合、道理でブリックに精細がないと思われた。この試合では7番のラフラフィだけがかろうじて決めていた。

スタメンおよびサーブ順
ブラジル: 7 ソウザ → 10 ディアス → 3 コンセイソン → 8 バロス → 16 コインブラ → 11 ロドリゲス
チュニジア: 5 リハニ → 7 ラフラフィ → 13 スーダニ → 1 レベアイ → 10 ドリッド → 4 ブリック

       BRA - TUN
         3 - 0
1st     25 - 10   15 min. 8-5 16- 7 21-10
2nd     25 - 14   17 min. 8-5 16- 8 21-11
3rd     25 - 16   16 min. 8-4 16- 9 21-11
Total   75 - 40   48 min.

前日の大熱戦もあり、この日は開場前から前日以上の長蛇の列となった。ブラジル応援団の数も、前日よりずっと増えている。君たち、チュニジアをそんなにいじめてどうする!
富山市総合体育館は、多目的のホールと隣接している。この日の午前中は結婚式が行われていた。新郎新婦の入場のときには、参列者だけでなく開場を待つバレーボールファンからも拍手が起こった。

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キューバ対ペルー

第1セット序盤、キューバにスパイクアウトが相次ぎ、ペルーがリードを奪う。場内も大いに盛り上がり、チュワンが速攻を決めて7-4ペルーリード、チュワンのサーブのときには、この日一番の(?)レイラ・コールが発生した。ところが、チュワンが後ろに下がると、サムディオの移動攻撃が続けてブロックされる。さらに、チュワンのバックアタック、マラガのスパイクもミス、ベルのスパイクで、4連続ブレーク、逆転される。しかし、この後も、キューバにサーブレシーブミスからの失点がいくつかあり、なかなか差が開かない。21-19から、ペルーにネットタッチ、さらにサムディオに代えて入った11番ホヤのクイックもミスで、23-19。キューバがやっと突き放す。この後ブレークが続き、最後はベルのスパイクで25-19。

第2セットも、ペルーの粘りとコンビバレーが存分に出て、キューバが先行はしても点数が離れず、すぐに追いつかれるという展開が続く。19-19から、チュワンのフェイントで、ペルーが先行。そして21-20から、エースのモイのスパイクが決まり、ついにペルーが2点リード。場内も騒然となった。しかしここでついにキューバが目を覚ます。22-21から、チュワンの速攻を止めて同点、ルイザのスパイクで逆転。ペルーはチュワンの速攻で切るが、流れは止まらず、24-23からサムディオの移動攻撃がブロックされ、25-23でキューバ。

第3セットは、序盤にペルーの移動攻撃、ソト、マラガのサイドアタッカーがブロックされ、アタックミスやサーブレシーブのミスもあって、8-3とキューバが大きくリード。この後ペルーのサーブレシーブのミス、ルイザのスパイクなどで、16-9までキューバのリードが広がる。この後、ペルーがサーブで崩して反撃する場面もあったけれども、結局はほぼこの差のまま、最後は交代で入った7番マルチネスのライトスパイクが決まり、25-18キューバ。
MIPはアナイビス・フェルナンデスとなった。

基本的には、ペルーの粘り強いバレーの前にキューバが苦戦を強いられた試合。しかし、ペルーは決め手にあまりにも欠ける。これはどの試合でもそうなのだが、拾ってつないでもその後無理をしてもったいない失点をする場面も多かった。また、ペルーは基本的にコンビバレーだが、その割にサーブレシーブが不安定で、得意のコンビに持ち込めない場面が多い。サーブレシーブのミスが少なくなれば、攻撃力はなくても相手にとっては非常に嫌らしいチームになる。

ただ、この2試合、キューバは少し力を抜いて戦っていたような気もする。キューバの日程は、第2,3日にブラジル、中国との連戦。当然ここにピークを持ってくることになる。ロシアとの対戦は最終日。その間は、100%でなくても6,7割の力で十分に戦えるということだろう。

スタメンおよびサーブ順
キューバ: 14 フェルナンデス → 2 コスタ → 8 ベル → 16 フランシア → 12 アゲロ → 1 ルイザ
ペルー: 8 モイ → 7 サムディオ → 4 ソト → 12 マラガ → 5 チュワン → 3 ガルシア

       CUB - PER
         3 - 0
1st     25 - 19   19 min. 8-7 16-13 21-18
2nd     25 - 23   19 min. 8-6 16-14 20-21
3rd     25 - 18   18 min. 8-3 16- 9 21-15
Total   75 - 60   56 min.
この試合、同じ南米大陸の国ということで、ブラジルの応援団が義援のような形でペルーの応援に回った。たびたび見事な速攻を決めてチーム最多の得点を上げているチュワンへの応援は大変なもので、鳴り物も入り、本家本元のレイラにも劣らないレイラコールがわき起こった。(なお、チュワンはLeylaで、バロスはLeila)

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中国対クロアチア

第1セットは序盤は、中国の速い攻撃が思うように決まらず、バーバラやレトのスパイクでクロアチアがリードを奪う。クロアチアは一時4点リードするけれども、13-10からレトのスパイクミス、呉咏梅のブロード、中国が2ブレーク返す。16-15クロアチアリードから、孫月のサーブがネットにさわり、結局陳静のクイックで同点。問題はその後である。サービスエース2本。さらに、次の陳静のサーブ順でもサービスエース。これで実質的に勝負あった。最後は孫月のスパイクで、25-22中国。

第2セットは、孫月のスパイクミス、諸韻頴のトスミス、中国のサーブレシーブのミスなど、ミスでクロアチアが前半リードする。第2セット22-18クロアチアリード、中国タイムアウトの後で、サーブが中国に移動した後王麗那のノータッチエース。ここからバーバラ、レトが相次いでシャットされ、同点。ここでやっとバーバラで切ったが、中国に行った流れは戻らず、最後は王麗那のアタックで27-25中国。

第3セットも第2セットのショックを引きずり、レトもバーバラもほとんど決まらず、クロアチアにミスも出て、9-4中国リードとなる。しかし、14-10からバーバラのサーブで崩し4連続ブレーク、これでそれまで2セット同様接戦となる。しかし、見ている側としては、ここまで崩さないと中国から点数を奪えないのか、という感想のほうが強かった。4本とも全くレシーブがセッターに返らない完全なミスだったからだ。15-14からバーバラが止められブレーク、しかしリビチッチのノータッチエース、中国のネットタッチでクロアチアが2ブレーク、17-16と逆転。しかし、バーバラがライン踏み越し、殷茵のフェイントで中国が2ブレーク、19-17と中国2点リード。直後にバーバラのバックアタックでクロアチアがブレーク、19-19の同点。さらに、殷茵を止めてクロアチアが21-20と先行。しかし、レトのバックアタックがブロックされ、22-21と中国リード。そして25-24から、王麗那の前を狙ったサーブがネットインしてコースが変わり、前に突っ込んできたリビチッチはレシーブできなかった。
このセット、クロアチアの18点目から24点目まで、ブロック1本を除き全てバーバラのスパイク。この間、クズマニッチの速攻を1本でいいから入れてほしかった。バーバラしかないと思っている相手に、ほかにもあるのでは、と思わせればそれで十分なのだ。バーバラに頼る限り、やはりいつか止められるかミスして終わる。それでは見ている側にもいかにも余裕がないことが伝わってくるし、おそらく中国もそう感じるだろう。つまり精神的に中国が優位に試合ができるのだ。結局それは、リヒテンシュタインの力になっていないということだろう。

なお、おそらく今大会初めて、敗戦チームからMIP選出(当然バーバラ)、バーバラは2つ目のバボちゃん人形を獲得した。

ストレートながら、お互いの持ち味が出て内容は非常に濃い試合だった。それだけにあまりにも悔しい。これが現時点での実力なのだ、という以外に言いようがない。肝心の所で完璧なバレーをした中国と、一つのミスから傷口を広げたクロアチア。1ポイントのブレークは仕方がない。その次で確実に切らなければならないのだ。技術的な観点から言えば、結局は中国をサーブで崩せなかったことであろう。得意のコンビバレーに持ち込まれる限りは、付け入る余地はほとんどない。

よい試合ができることと、実際に試合に勝てること、セットがとれることには、途方もない差がある。その当たり前のことが、改めて認識された2日間だった。競り負けているセットをものにするために必要なものは、列挙すればきりはない。まずサーブレシーブのさらなる改善。セッターの完璧なトス回し。時間差攻撃など、コンビネーションの強化。センター、ライトの強化。(レトの対角のレフトに守備的選手を入れて、バーバラを対角に回すという手もあるような気がするが。)この2試合、カステラン、リビチッチの打数はほとんどない。4人対6人の攻撃で、キューバや中国に張り合おうとは、土台無理な相談である。それで試合になっているだけでも、むしろ驚くべきことなのだ。
そしてもっとも大切なことは、選手が経験を積むこと、それも大舞台で競り合った試合の経験を積むことである。技術は普段の練習で身に付くものだが、国際大会で勝つための最後の勝負勘のようなものは、経験を通じてしか身に付かない。とすれば、この大会でこのような試合を2試合経験したことは、若いクロアチアチームにとって必ず大きな財産になるだろう。本当の勝負、五輪大陸予選あるいは最終予選の舞台でそれが生きてくることが、クロアチアにとってもっとも望ましいことであり、今大会を戦う意義もそこにあるのである。

もちろん、この2試合の内容自体は、この大会の後半、あるいはシドニー五輪予選に向けて十分手応えのあるものである。最初3試合、かなりおかしなチーム状態でスタートしたが、その立て直しはできていた。

スタメンおよびサーブ順
中国: 11 孫月 → 10 陳静 → 12 邱愛華 → 15 王麗那 → 5 呉咏梅 → 4 諸韻頴
クロアチア: 10 リヒテンシュタイン → 7 クズマニッチ → 8 イエリッチ → 4 リビチッチ → 9 カステラン → 1 レト

       CHN - CRO
         3 - 0
1st     25 - 22       19 min. 4-8 14-16 21-18
2nd     27 - 25       26 min. 7-8 13-16 18-21
3rd     26 - 24       20 min. 8-4 16-14 20-21
Total   78 - 71   1 h. 5 min.


試合が終わって駅の待合室に直行したら、日本対ロシア戦の放送中、1ポイントごとに歓声とため息が上がった。バレーボールはこれだけ盛り上がっているのだと、改めて認識させられる2日間だった。

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