'98-99 Serie A1 Women (Regular Season)

各チーム講評
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プレーオフ


各チーム講評

イタリアリーグにとんでもない地殻変動が起こった。世界選手権終了後、世界選手権で活躍した各チームの選手が次々とこのリーグのチームに合流。特に、圧倒的な強さで三大大会6連覇を達成したキューバのナショナルチームメンバーが、大挙してこのリーグにやってきたのは度肝を抜かれた。世界選手権の前と後では、全く別のチームと言っていいくらい戦力的に違うチームもいくつもある。

そうなるとかなり組み合わせの運不運が発生する。世界選手権前に強力な外国人選手を入れているチームと対戦して勝つことのできたチームは幸運、選手権の後に当たってしまったチームは不運というわけである。

そして来年になると、この世界でも最も熱い戦場の中に、今年は日本で活躍するであろうイエリッチ、アルタモノワ、ゴディナ、ソコロワ、サフローノワ、ペレスといったメンバーの何人かが参戦するかもしれない。そう思うと、今から心躍るものがある。私はもちろん現在でも鎖国には断固として反対だし、外国人選手締め出しはさらなるバレー人気の低下と全日本の弱体化を招くと確信している。しかし、それはそれでまた新たな楽しみも生まれる。

Medinex Reggio-Calabria
昨年のレギュラーシーズンは8位。しかし、今シーズンはシーズン当初からスザンヌ・ラーメ、Cristina Pirv、蘇立群と意欲的な増強を行い、首位争いの中心となっている。さらに、世界選手権終了後にキューバの若きエースルイザが加入。ルイザとPirvと強力な得点源がそろい、蘇はサイドアウトの切り札として決定率は抜群、ラーメは驚異的なブロック決定本数を誇る。この攻撃陣には一分の隙も見あたらない。

Foppapedretti Bergamo
昨シーズンのチャンピオンチーム。そのときの中心は、ラーメ、ウェールシンク、カッチャトーリといった豪華メンバーで、これなら優勝して当然といえるチームだった。今シーズンはこの3人全てを放出。昨シーズンに比べ小粒になった感は否めなかった。
しかしそれも世界選手権までのことだった。キューバのナショナルチームメンバー3人、それも最強の3人が加入。ルイスにフェルナンデスにコスタ、これで優勝できなければ嘘だと言えるほど。世界選手権前にこのチームと対戦し勝ったReggio-Calabria, Materaの両チームは非常に幸運である。特に、Materaは今後も苦戦が続くと予想されるチームで、はるかに格上の相手から拾った1勝(しかもストレート)の意義は極めて大きい。

Despar Perugia
昨年レギュラーシーズンは7位。昨年あるいは今年の世界選手権前は、9月の対抗戦で来日したポーランドのエース、レチコ・ドロタ・シュヴェニヴィチが引っ張るチームだった。今年に入ってはレチコが調子を崩しているにもかかわらずそのレチコ一人が頼り、苦戦が続いていた。
ところがこのチームも世界選手権後まるで変わってしまった。Bergamoがとった残り半分のキューバチームをそっくり増強したのがこのチーム。入ったメンバーはベル・トレス・アゲロと、これも度肝を抜かれた。世界選手権前と後で最も戦力が変わったチームである。

Omnitel Modena
昨年のレギュラーシーズンは降格ぎりぎりの10位に沈んだ。しかし、今シーズンは、長年にわたりリーグNo.1エースとして君臨するケーバ・フィップスを獲得、さらにゼトバ・ウズノバ・マリノバとブルガリア勢で大規模な増強を行った。(フィップスは、'91-92シーズン以降2チームで6シーズン連続Scudetto(イタリアチャンピオン)獲得、トーナメントのカップ戦Coppa Italiaは'92-93シーズン以降5シーズン連続優勝。ここまでくると、現役でありながら伝説にも近い存在かもしれない。)フィップスの決定力はこのリーグでも群を抜き得点能力がすばらしく、一方ゼトバは速い攻撃やブロックにも絡みサーブも強力である。フィップスをレフト、ゼトバをセッター対角に配置する陣容は、知名度こそないものの、キューバの選手を入れたチームにも見劣りしない。また、この両エースの力を引き出すセッターマリノバの存在も見逃せない。
この二枚看板の活躍で序盤強敵を次々下したけれども、世界選手権前にブルガリアのメンバーが離脱。フィップスが孤軍奮闘したけれども、この間の3試合は1勝2敗、首位争いからも後れをとってしまった。しかし、世界選手権が終わりブルガリア勢がチームに復帰した後は、優勝争いの中心的チームとなっている。

Inn Napoli
昨年の通常シーズン3位。昨年の大ポイントゲッターであるフィップスがチームを去った。しかし、それに代わりカッチャトーリ、レッジェーリ、ウェールシンク、ブリンクマンがチームに加入。戦力ダウンはなさそうである。このチームは、カッチャトーリ、レッジェーリ、ベルティーニと、イタリア代表選手が多く入っており、チームカラーも堅実なバレーを展開するイタリアチームに近いと思われる。ただし、セッター対角にはオランダの大エースウェールシンクを配するなど、攻撃力はイタリアチームに比べ増強がはかられている。
このチームも世界選手権前にイタリアナショナルチームのメンバーが離脱。正セッターカッチャトーリを欠いた時期、および合流直後の上位との対戦でことごとく敗れ、一時は首位戦線から大きく後退した。しかし後半に入り上位との対戦で連勝、捲土重来を予感させる。

Cosme Ceis Vicenza
今シーズン2部から昇格、しかも昇格チーム決定戦を経て昇格したチーム(2部リーグ1位のチームは自動昇格)である。チームの中心選手も、アダムス(アメリカ)、パハーレ(ドイツ)、コストゥルコバ(ブルガリア)など、他の上位チームに比べネームバリューでは劣る。しかしながら、上位チームを次々食い台風の目となっている。その最も大きな要因はブロックが炸裂したこと。ブロック決定数は断然のトップである。しかし、アタックでは、モニク・アダムスの大活躍はあるものの、他の上位チームに比べて見劣りすることは否めない。
このチームはある意味で非常にわかりやすいチームである。というのは、とにかくでかい。現在のスタメンの平均身長は190cm近くある。(セッターも入れて、というかセッターも187cm)ブロックも、特定の選手一人に多いわけではなくまんべんなく決めている。しかも、大型チームにありがちな守備の弱さは、数字を見る限りあまりうかがえない。
さて、興味深いことに、このチームと数字的には酷似した傾向を示すチームがVリーグに存在する。それは日立ベルフィーユである。日立も全体として高さがあるチームで、アタック力では他の四強にやや劣るのに対しブロックが断然強い。しかも、スパイクレシーブは堅いチームである。ただし、日立はメンバーのネームバリューではリーグ随一のチームだが。

Cermagica Reggio Emilia
昨シーズンは通常シーズン1位、最終結果も準優勝。このチームは昨シーズン、世界選手権の前と後と、ほとんど選手の入れ替わりがない。センター線がアタック・ブロックとも強力なチームだが、それほど世界的に名の通った選手がいるわけではない。
このチームの強さは、ミスが少ないことにある。アタックのミスもサーブのミスも少ない。守りも堅い。また、飛び抜けた部分はないものの、平均以下の項目も何一つなく、最もバランスのとれたチームである。
しかし、今シーズンは上位チームには歯が立っていない。昨シーズンと比較しても上位チームは高い攻撃力を持つ選手を数多く入れており、アタック力の差はいかんともしがたいものになっている。昨シーズンは高い決定率を残していたテオドラ・ベチェバ(ブルガリア)、Brigitte Soucy(カナダ)、Daniela Biamonteといったアタッカーも今シーズンそろって成績を落としている。

Big Power Ravenna
ここから下は上位7チームとは力の差があると思われる。昨レギュラーシーズンは6位。目立つアタッカーはおらず、ブロックで稼ぐチームである。このチームカラーは昨シーズン以来変わっていない。今シーズンはそのブロックがいまいちで、苦戦が続いている。下位チームとの3連戦の前は、4勝が全てフルセットでの勝ちで、しかもフルセットでの負けはなしという、曲芸的な勝ち方をした。しかしそれで喜んでいるわけにもいかない。というのは、今シーズンイタリアリーグは独自の勝ち点制度を採用している。ストレートあるいは3-1で勝てば勝点3だが、フルセットの勝ちは勝点2なのである。(逆に、ストレートあるいは1-3の負けは勝点0だが、フルセットで負けた場合は勝点1を獲得できる。)

Latte Lucano Matera
昨レギュラーシーズン9位。昨年および今年の世界選手権の前は、Carmen Marinela Turleaという選手(ルーマニアの選手)がエースとして孤軍奮闘するチームだった。念願かなって(?)世界選手権後にレフェリンクがチームに合流。しかし、上位チームの超大型増強に比べればなお見劣りすることは否めず、今後も苦戦が予想される。さらに第8節にPalermoとの試合を落とし、低迷は決定的となってしまった。

Cavagrande Roma
昨レギュラーシーズンは4位。しかしその割にブロックは少なく、アタックでは一人のエースに頼る割合が大きいチームだった。早い話が日本で言えば愛知の某チームに似たチームと思われた。そのエースがElena Elfimovaという選手で、昨シーズンの最多決定本数選手である。要するに、Elfimova一人でもっていたようなチームである。ところがそのElfimovaを放出した。しかもそれに代わる選手を全く入れなかった。
結果は目に見えていた。出口の見えない連敗。アタックは断然の最下位、ブロックは皆無同然、守備も悪く、何もかもだめという状態。サポーターが暴動を起こすのではないかと思われるほど。選手交代はほとんどなし、のみならずベンチ入り6人で戦っている試合もしばしば。ここまでくると、涙しか出ない。
世界選手権後、ようやく増強の動きがあった。その目玉はタチアナ・メンショーワ。上位チームに比べたらあまりにもささやか。しかしそれ以来、このチームは生まれ変わったように勝ち始めている。

Marsi' Parelmo
昨年2部リーグ1位で自動昇格してきたチームである。しかし1部リーグの壁は厚く黒星が続いた。世界選手権の後も、大規模な補強の動きは見えなかった。しかし、後半戦に入り、ついに逆転のA1残留に望みをかけるべく、今後の女子バレー界の台風の目と思われるドミニカの主力選手が加入。

Johnson Matthey Rubiera
昨年レギュラーシーズンは5位。エースに飛び抜けた力はないものの、センター線にコマのそろい、バランスの取れた布陣のチームだった。ところがこのチームも主力をほとんど全員放出。その代わりにElfimova一人を獲得した。
しかしElfimovaはスーパーエースで守備は基本的に免除である。守備陣形が完全に壊れた。しかも肝心のElfimovaは昨シーズンほどの勢いがない。さらに、泥沼に両足をつっこんだこのチームが、戦力になっていた選手をさらに次々放り出し、涙も出ないほどひどい状態がしばらく続いた。
いったい何を考えているのだろう、と思っていたところ、このチームはなんと「ロシアの片割れ」となってしまった。ロシアの選手で最も力のある選手はほとんど日本に来ているけれども、その残りをごっそり入れたという印象である。合流したのはティーシェンコ・モロゾワ・プロチニコワ。キューバ勢が大挙して押し掛けたとき以上に驚いた。
もちろんこれだけ負けが込んでは上位を狙うことは不可能だけれども、これで12チームの中でも最高に一発ムードの漂うチームとなった。このチームが大当たりした日には、どのような波乱を起こすかわからない。

通常シーズンが終わった後には長いプレーオフがあるけれども、プレーオフを有利に進めるためにはぜひとも通常シーズンでトップに立ちたいところである。プレーオフの1回戦は、通常シーズンの順位により、
1位対(8位対9位の勝者)
2位対(7位対10位の勝者)
3位対6位
4位対5位
という組み合わせになるけれども、現在の各チームの力関係からすると、通常シーズン8位または9位のチームとの対戦となると断然有利である。一方、6位以上のチームと当たると、次のラウンドに進めるかどうかすら全く分からない。

キューバ代表が入っているチームは正直なところ強いと思うけれども、そのチームが勝つのではやはり面白くない。私個人としては、ModenaとかVicenzaとかNapoliあたりにも頑張ってほしいと思っている。

要警戒のチームとして浮上してきたのはNapoliである。前半戦は上位との対戦ではほとんど負けてしまったけれども、これは世界選手権前に正セッターカッチャトーリをナショナルチームに取られていた時期、あるいは選手権直後に上位との対戦が続きこれをことごとく落としたためである。(世界選手権終了からリーグ再開までは10日しかなかった。)後半に入ってからは上位との対戦にも勝っている。
Vicenzaも依然最大の攪乱要因といえる。波の大きいチームという印象を受けたけれども、それだけに大当たりしたときにはどのチームが相手でもぶち破ってしまう。

ReggioEは前半戦の終盤上位との対戦で4連敗。星取表を見ると、下位への取りこぼしは全くないかわりに、上位チームには全く勝てない。これは、飛び抜けた攻撃力を持たないかわりにミスが少なく「堅い」チームカラーからも想像できる。キューバ勢を始め世界でも強力な攻撃力を持つ選手ばかり集めたチームと互角に戦うには、アタック力が足りないことを露呈してしまった。

下位5チームはどちらかといえばA1残留をかけた争いとなった(下位2チームが自動降格(昨シーズンは))。
Ravennaは第10節にRoma相手に痛い星を落とすということはあったけれども、前半に上位チームいくつかにフルセットで勝ったことが大きく(しかし、その対戦のとき、Perugiaはレチコしかいないチームだったし、Modenaもブルガリア勢が離脱しフィップス一人のチームだった)、後半戦は勝てる相手には確実に勝ってきたという印象で、最終的には上位7チームとも下位の4チームとも離れた一人旅のような位置におさまりそうである。
Materaは、下位チームの中ではアタック力は比較的高いほうである。しかし、アタックもサーブもミスが非常に多く、ブロックされる割合も非常に多い。さらに、ブロック力が極めて弱い。それだけに、Bergamo(もちろん、キューバ勢が合流する前)相手にあげた勝点3は途方もなく大きい。
Romaは世界選手権前は恐ろしく弱いチームだった。その後戦力を増強したといっても、相変わらず派手さは全くなく、6人に限りなく近い戦力で試合を続けている。それを考えれば、ここまで5勝というのはよくやっていると思う。

いずれにせよ、この後も本命なしの混戦が続くことは間違いない。さらに、今回の世界選手権で活躍した選手の多くがこのリーグに集まっており、これほど面白いリーグはない、といっても過言ではない。

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ハイライト

上位チームどうしの対戦を中心に各節のハイライトと思われる試合を紹介したい。

第1節: ReggioC - Modena
昨シーズンは下位に沈んだけれども今シーズン大規模な増強を行ったチームどうしの対戦となった。第1セットは中盤までは10-4, 12-7とReggioCがリードしながら、この後Modenaが逆転、15-12で取る。第2セットは競り合いが続きながら、15-13でReggioCが取り返す。第3セットの序盤まではどちらかわからない展開、しかしそれ以降はエースの決定力に勝るModenaが終始リードし、第3,4セットを連取。3-1で勝利した。
この試合の後ReggioCは8連勝、しかも全て勝点3の勝ちである。
Modena3 (15-12, 13-15, 15-7, 15-10) 1ReggioC

第2節: Vicenza - ReggioE
Vicenzaのブロックが第1セットから爆発、強豪ReggioEから第1セットを奪い取る。第2セットは二転三転、デュースにまでもつれながら、やはりVicenzaが取る。こうなると第3セットは一方的なVicenzaのペースとなり、Vicenzaがなんとストレート勝ち。この試合でVicenzaは一気に今リーグの台風の目となった。この日はモニク・アダムスがアタックにブロックに大活躍で実に17点を得点した。
Vicenza3 (15-11, 16-14, 15-6) 0ReggioE

第3節: Modena - Vicenza
前節で強豪を破り勢いに乗るVicenzaがModenaの二枚看板を止められるかどうかが焦点と思われた試合だが、ModenaのエースフィップスとスーパーエースゼトバはVicenzaのブロックを完全に打ち破り、ストレート勝ち。
Modena3 (15-12, 15-9, 15-5) 0Vicenza

第4節: Napoli - Vicenza
第1,2セットはVicenzaのブロックが炸裂しVicenzaが奪う。しかし、第3,4セットはそのブロックの当たりが止まり、Vicenzaにアタックなどのミスも続出し、Napoliが取る。最終セットで、Vicenzaのブロックが再度爆発。ラリーポイントのこのセットで実に6点をブロックで奪い、試合をものにした。
Vicenza3 (15-6, 15-10, 9-15, 4-15, 15-10) 2Napoli

第5節: ReggioC - Napoli
試合の山場は1セットずつを取り合って迎えた第3セット。終盤までReggioCのリードで展開していたけれども、Napoliがそこから粘りデュースに持ち込む。しかし、地力で勝るReggioCが再度突き放し、16-14でこのセットを取る。第4セットも中盤までは競り合いながら、そこからReggioCが抜け出し、結局3-1で勝利。Napoliは2試合続けて痛い星を落とした。
ReggioC3 (11-15, 15-6, 16-14, 15-9) 1Napoli

第6節: ReggioC - Bergamo
この試合は世界選手権前の試合で、Bergamoにはキューバ勢が合流しておらず小粒なチーム。戦力的にはReggioCの有利は明らかな対戦だった。しかし、試合は第1セットから激しい競り合いとなった。圧巻は第2セットで、10-0, 12-3と途中ReggioCが大きくリードしながら、Bergamoがしだいに追い上げ、ついに16-14と逆転でセットを取る。40分を要した実に長いセット、サイドアウト制の醍醐味とも言える展開となった。第3セットもこの勢いを持ち込み、Bergamoが12-9とリード。しかし、ここからReggioCが地力の差を見せる。このセットを15-13と逆転で取り返すと、第4セットは10-4と突き放した。Bergamoに第2セットの大逆転劇を再度演ずる力はもはやなかった。
ReggioC3 (15-13, 14-16, 15-13, 15-8) 1Bergamo

第7節: Bergamo - Modena
世界選手権が終わった後の最初の試合である。最強のキューバトリオが合流したBergamoと、ブルガリア勢が復帰したModena、キューバ対ブルガリアにも近い試合となった。となれば大筋で勝つのはキューバである。両チームが激しい打ち合いを展開したものの、キューバもといBergamoが終始リード、いずれのセットもブルガリアもといModenaの追い上げをかわしてストレートで勝利した。
Bergamo3 (15-13, 15-12, 15-13) 0Modena

第8節: Napoli - Modena, Vicenza - Bergamo, Perugia - ReggioE
これ以降は上位どうしの直接対決が多くなり、ハイライトも1試合ではすまなくなる。
まずNapoli対Modenaは、首位争いへの生き残りのかかった試合である。第2セットまではModenaにアタックのミスが続出し、Napoliがセットを連取した。第3セットも12-9とリードし、このままストレートで勝てるかという展開だった。しかし、このセットをModenaが逆転で取ると、流れは一気にModenaへ。第4セットは終始リードしModenaが取る。最終セットはこれまでの試合の流れとは逆に、序盤はModenaがリードしながら中盤でNapoliが逆転。12点まで2点差を保っていた。しかし、そこからまたしてもModenaが逆転、15-13で最終セットを取り、苦しい試合をものにした。Napoliは完全に勝てる試合を落としてしまった。
Bergamoの増強は「キューバの片割れ(Perugia)でないと勝てない」ほどと思われた。しかしこの試合、Bergamoは第1セットを簡単に取りながら、第2セットはその強力攻撃陣の当たりがぴたと止まってしまう。このセット以降、セッターをコスタとキリロワで交代させたり、ルイスとミフコバを交代させたりするものの、流れは変わらず。一方のVicenzaはモニク・アダムスが決定率55%の大爆発、ブロックもチーム全体として好調で、最大の大物食いを演じた。
昨シーズンは大物をそろえたチームを次々下したReggioEの力が「キューバの片割れ」Perugiaに通用するかどうか注目されたけれども、Perugiaの強力攻撃陣の前に完全に圧倒されてしまった。第3セット中盤にはReggioEがリードする場面もあったもののほぼ終始Perugiaのリード、試合時間はわずか1時間7分だった。
Modena3 (10-15, 9-15, 15-12, 15-10, 15-13) 2Napoli
Vicenza3 (8-15, 15-6, 15-11, 15-13) 1Bergamo
Perugia3 (15-8, 15-10, 15-12) 0ReggioE

第9節: Napoli - Bergamo, Modena - ReggioE, Vicenza - ReggioC
まずNapoli対Bergamo、第1セットはNapoliのリードで進む。しかし、攻撃力で勝るBergamoが終盤に追いつく。3度のデュースとなるけれども、17-16でBergamoが逆転で取る。第2セットは一方的にBergamoが取った。第3セットに入るとNapoliは再度食らいついたけれども、リードを奪うことはできず、結局Bergamoのストレート勝ちとなった。
Modena対ReggioEの試合は、第1セットは競り合いながらModenaが取り、第2セットはReggioEのブロックがよく決まりReggioEが取った。しかし、第3セット以降、ReggioEの守りの集中が切れてしまったか、Modenaのアタックが面白いように決まるようになった。第3,4セットは一方的な展開でModenaが取った。ReggioEは2試合続けて力で押しつぶされた形。ReggioEはこの後の対戦相手も難敵中の難敵で、苦しくなった。一方Modenaは第2グループでの折り返しが濃厚となった。
Vicenza対ReggioCは、この節最大の注目カードながら、結果は意外なほどあっけないReggioCのストレート勝ち。試合時間はなんと59分。これでReggioCは2位との差を勝点5に広げ、首位折り返しをほぼ確定した。
Bergamo3 (17-16, 15-2, 15-12) 0Napoli
Modena3 (15-13, 8-15, 15-4, 15-5) 1ReggioE
ReggioC3 (15-8, 15-5, 15-7) 0Vicenza

オールスターゲーム
オールスターゲームは欧州選抜対世界選抜、25点ラリーポイント制で行われた。
欧州選抜チームは、有名どころでは、ウェールシンク、レフェリンク、カッチャトーリ、ブラガリア、ラーメといったメンバー。小粒という印象は否めないけれども、アルタモノワ、イエリッチ、ソコロワ、ゴディナと大物は全部日本のチームが引っ張ってしまったのだから当然といえば当然である。
一方の世界選抜は、ほとんどキューバナショナルチームという状態。キューバナショナルの現在のスタメン全員が出場した。キューバ以外から出場したのは、アダムス、蘇立群、サイ咏梅(リベロ)、Brigitte Soucyあたりである。(なお、欧州選抜はリベロを使わなかった。)ケーバ・フィップス、ミレーヤ・ルイスも当然選出されていたけれども、出場はしなかった。
世界選抜3 (26-24, 25-21, 32-34, 25-20) 1欧州選抜

第10節: ReggioE - Bergamo, ReggioC - Perugia
ReggioE対Bergamoの試合は、首位戦線生き残りのためにはやはりどちらにとっても負けられない試合。第1セットは終盤までBergamoにリードを許しながらReggioEはよく追いつき、デュースに持ち込んだけれども、結局は17-16でBergamoが取る。第2セットは12-4までReggioEが大きくリードし、そのまま取った。しかしこのセットも15-10まで終盤に追いつかれた。第3セット以降は終始Bergamoがリード、2セットを連取し3-1で勝利をおさめた。なお、Bergamoは第9節以降キューバトリオをフル出場させていない。この試合では第1,2セットはキューバトリオは全員先発から外れており、第3,4セットではコスタをセッター対角のアタッカーとして使う体制をとった。これ以降、Bergamoはコスタとキリロワの両方を入れる体制に固定したようである。形の上ではツーセッターのように思えるけれども、アタックの打数あるいはサーブレシーブの受数などからして、実質的なセッターはキリロワ一人で、コスタは対角のアタッカーとして使われている。
ReggioCの連勝を止めるとすればキューバトリオのエンジン全開のPerugiaしかないと思われたが、ついにそのPerugiaがReggioCに待ったをかけた。しかし、この勝利も非常にきわどいものだった。第1セットはReggioCが取り、第2,3セットも12点めはReggioCが先だった。それをいずれも終盤に逆転してPerugiaが取った。第4セットは終始Perugiaリードで、ようやくReggioCに土をつけた。世界選手権、中国との決勝でキューバチームが見せたセット終盤の粘りが、そのままPerugiaにも生きているようである。
Bergamo3 (17-16, 10-15, 15-11, 15-4) 1ReggioE
Perugia3 (10-15, 15-13, 17-16, 15-7) 1ReggioC

第11節: Vicenza - Perugia
この対戦は、Vicenzaが第9節、第10節と失速気味だっただけに、Perugiaのほうがやや有利かと思われた。しかし、Vicenzaもこれまで何度も大物を食ってきたチームである。試合はフルセットにもつれ込んだ。第1,4セットは二転三転の展開、第3セットは途中10-3と大きくPerugiaがリードしながらそれをVicenzaが逆転。しかし最後はPerugiaが逃げ切った。Perugiaはキューバトリオの合流以降第10節まで全て勝点3の勝ちだったけれども、初めてフルセットまで追い込まれた。
しかしこの激戦にはオチがいくつかある。その一つは、この試合Perugiaはトレスを使わなかったこと(これもどうしたことか?)。もう一つは、VicenzaにElfimovaが移籍、この試合から参戦したことである。しばらく名前を見なかったのでどうしたのだろうと思っていたら、なんと引き抜かれていたとは。Vicenzaはセッター対角にこれといった選手がいないチームだったので、この増強は道理である。これまでずっと(少なくとも1シーズン半)「自分しかいない」というチームでやってきたElfimovaにとっては、全然違う環境だが、心機一転して頑張ってほしい。
Perugia3 (16-17, 15-10, 12-15, 16-14, 15-10) 2Vicenza

第12節: Modena - ReggioC
前半戦以来の強力布陣にルイザが加入しさらに大幅にパワーアップしたReggioCと、リーグ最強の二枚看板を擁するModenaの試合。壮絶な打ち合いが予想されたけれども、この日はルイザの当たりがいまいちで、決定率が低く、ミスやブロックされたものも多かった。それに対して、Modenaのフィップスとゼトバは勢いが止まらない。第2セット以降3セットをModenaが連取し、逆転勝ち。これでReggioCはついに首位陥落、上位4チームが勝点0差で並んだ。
Modena3 (10-15, 15-10, 15-8, 15-11) 1ReggioC

第13節
上位6チームは全て順当に勝ち、順位の変動は全くなかった。

第14節: Perugia - Napoli, Modena - Vicenza
キューバトリオの加入以来この前の試合までPerugiaは無敗。ここ何試合か出場させていなかったトレスを復帰させて臨んだこの試合、しかしキューバトリオはこれまでにない不発。Napoliにシャットを食らいまくり、ストレートで敗戦。連勝は7で止まった。
Vicenza - Modenaの試合は、お互いにブロックが大爆発し、そのため試合時間が極端に短くなった。しかし、アタック力はModenaのほうが一枚も二枚も上。この対戦、ブロックで互角ではVicenzaに勝ち目はない。
Napoli3 (15-10, 15-9, 15-8) 0Perugia
Modena3 (15-6, 7-15, 15-7, 15-1) 1Vicenza

第15節: Vicenza - Napoli
この試合、Vicenzaは前節に続きアタックは不振。Napoliにシャットを食らいまくった上、ミスも多かった。しかしながら、ブロックが多く出た第1,4セットはものにして、前半のこの対戦に続きフルセットに突入。最終セットは、途中Napoliが12-7と大きくリードしながら、Vicenzaがいったん追いつく。しかし最後はNapoliが逃げ切った。Napoliは2試合続けて非常に大きな勝ち星を挙げ、首位戦線に復活。逆にVicenzaは首位戦線からの脱落が濃厚となった。
Napoli3 (13-15, 15-10, 15-11, 12-15, 17-15) 2Vicenza

第16節: Perugia - Bergamo, Napoli - ReggioC
いよいよ注目の「キューバの片割れ」の直接対決である。ここ何試合か、Perugiaはいまいちと思われる試合が続いたけれども、この試合でもBergamoにブロックを食らいまくった。さらに、アタック・サーブともミスも多かった。(ただし、サーブ得点は7点あり)それに対し、Bergamoは堅実な試合内容で、内容的には完勝をおさめた。
ReggioC対Napoliの試合は、激しいブロックの応酬となった。後半に入ってから好調で上位チームも続けて下しているNapoliに対し、ReggioCは苦戦、第2,3セットは一方的に落とした。それでも第4セットを取り返し、試合はフルセットに。最終セットは序盤でReggioCが4点のリードを奪う。Napoliも追い上げたが及ばず、ReggioCが大きな勝利。Napoliはまた首位戦線が遠のいた。
Bergamo3 (15-6, 15-10, 14-16, 15-7) 1Perugia
ReggioC3 (15-11, 3-15, 6-15, 15-9, 15-13) 2Napoli

第17節: Modena - Perugia, Palermo - Rubiera, Roma - Vicenza, ReggioC - Bergamo
この日は現在トップグループのチームの直接対決もあり、また下位チームの試合でもトピックが多く、実に盛りだくさんの日だったといえる。
まずは首位争いの重要な試合であるPerugia対Modenaの対戦は、激しい打ち合い、ブロックの応酬となったけれども、第4セット6-12と大きくリードされてからPerugiaが逆転、Perugiaが3-1で勝利した。
さて、ロシア代表選手が一斉に加入し波乱を起こすかと思われたRubieraだが、急造チームということもあるのだろうけれども、守備の悪さも一級品で、16節まで勝ち星なし。しかしこの日は最下位から2番目のPalermo相手にロシアトリオが大爆発、あまりにも遅すぎた初勝利をものにした。
Rubieraには現役のロシア代表選手が加入、Palermoにも今後要注目のドミニカ勢が加わり(昨シーズンまで東北パイオニアにいたヌリスもいる)、Romaはまたしても12チーム中最も見栄えのしないチームに戻ってしまった。しかし、そのRomaが上位の一角であるVicenzaを大いに苦しめた。これまでブロック最下位のRomaが、ブロックでは断然トップをいくVicenzaに対し、なんとブロックで互角に渡り合った。最終セットは結局Vicenzaに逃げられたけれども、Romaは遙か格上の相手から勝点1をもぎ取った。前半戦は世界選手権のため選手が抜けたこともあり番狂わせも多かったけれども、後半戦では、下位6チームが主力選手のそろった上位6チームから勝点を奪ったのはこの試合が唯一である。そしてこれは、A1残留を確かなものにするという意味でも非常に大きな勝点1である。というのは、勝点3の差は1試合で逆転される可能性があるけれども、4差になると逆転するのに2試合が絶対必要だからである。
この日の最大の焦点、首位攻防の直接対決であるReggioC対Bergamoの試合は、壮絶な打ち合い、このシーズン最大の死闘となった。試合時間は実に2時間20分。最終セットも、途中Bergamoが3点リードしながら、その後ReggioCが一時逆転するという、実にめまぐるしい展開となった。しかしこの死闘を制したのは最強のキューバトリオを擁するBergamo。これでついにBergamoが単独の首位に立った。
Perugia3 (15-13, 12-15, 15-9, 16-14) 1Modena
Rubiera3 (15-10, 15-6, 15-12) 0Palermo
Vicenza3 (15-12, 11-15, 13-15, 15-2, 15-13) 2Roma
Bergamo3 (11-15, 15-11, 16-14, 2-15, 16-14) 2ReggioC

第18節: Modena - Bergamo
三強の直接対決最後となる対戦。しかし、Bergamoはミレーヤ・ルイス以外のサイドアタッカーがほとんど決まらなかった。一方、Modenaのフィップスとゼトバは両者とも決定率50%を超える大当たり。さらに、Modenaは比較的アタックミスの多いチームだが、この試合ではそのアタックミスも少なかった。第2セットはBergamoにブロックが相次ぎBergamoがとったものの、それ以外のセットは終始Modenaのリード、セットカウント3-1でModenaの勝ち。Bergamoの連勝は9で止まった。Bergamoは1週間で首位から転落、ReggioCが首位に復帰した。
Modena3 (15-5, 6-15, 15-9, 15-7) 1Bergamo

第19節: Modena - Napoli, Bergamo - Vicenza, Matera - Palermo
この試合、Modenaは大エースのフィップスを使わず、対角のゼトバに打数が集中する苦しい展開となった。これまでにも、フィップスを休ませた試合はあったけれども、Napoliはこれまで何度も書いてきたとおり上位6チームの中の一つで、フィップス抜きで勝つのは難しいと思われる相手である。第1セットは途中7-12とリードを奪われ、第4セットは逆に10-2と大きくリードしながら追いつかれ、いずれも苦しい展開となりながら、デュースの末ものにして、Modenaはセットカウント3-1で大きな勝利を上げた。ゼトバはアタック打数89決定数45の活躍でチームに勝利をもたらした。
Bergamoは前半の対戦ではVicenzaに苦杯をなめているけれども、この対戦では大エースのモニク・アダムスを欠いたVicenzaに対し問題なくストレートで勝利した。リーグ最強のチームの一つ、しかも前半戦では勝った相手との試合で、エースをわざと休ませることはまず考えられないので、これは故障だった可能性が高い。
この日の結果、ReggioCがなお暫定首位に立っているけれども、むしろ通常シーズン首位に最も近いと思われるのはModenaである。Modenaはこの試合で上位との対戦を全て終了、残る相手は順当に勝てると思われるからである。ReggioCはVicenza,Perugiaとの対戦をまだ残している。Vicenzaには、前半の対戦でストレートで勝っていることとVicenzaに一時ほどの勢いがないことからして、勝つ可能性が高いと思われるけれども、問題は前半の対戦で敗れているPerugia戦である。Bergamoは残る上位との対決がNapoli戦で、勝つ可能性は高いと思われるけれども、Modenaが取りこぼしをしなければいくら勝っても追いつかない。
A1残留をかけた争いの焦点のひとつ、PalermoとMateraの対戦は、フルセットにもつれ込んだ。最終セット、序盤は5-2とMateraがリードしていたけれども、Palermoが次第に差を詰めて、デュースに突入。26-26まで続くすさまじい試合となった。しかし、ついにPalermoが逆転し28-26。これでPalermoは大逆転のA1残留に望みをつないだ。
Modena3 (16-14, 4-15, 15-10, 17-15) 1Napoli
Bergamo3 (15-10, 15-10, 15-9) 0Vicenza
Palermo3 (13-15, 15-10, 15-8, 5-15, 28-26) 2Matera

第20節: Napoli - Bergamo, ReggioE - Modena, ReggioC - Vicenza, Palermo - Roma
この日の試合結果を見て、思わず頭を抱えてしまった。というのは、前節時点で予想したことがことごとく外れたからである。頭の中に?マークもとびまくった。
これまでNapoliというチームは真面目なチームだが爆発力にはやや欠けるという印象を持っていたけれども、この勝ち方からするとその認識は改めなくてはならないかもしれない。サブリナ・ベルティーニとMargarita Okrachkovaのエース対角で決定率が50%、スーパーエースのウェールシンクは実に59%。さらに、ルイスとフェルナンデスを中心とするBergamoのアタックをブロックで止めまくった。第3セットは中盤以降Bergamoが猛攻をかけてとったものの、それ以外のセットは終始Napoliリードで展開した。
Modenaの大エース、フィップスはどうやら故障の可能性が高い。この試合も出場なし、ゼトバに打数が集中する展開となり、これまで上位チームにほとんど歯が立っていなかったReggioEにまさかのストレート負けを喫した。通常シーズンの残る相手はMateraとPalermoで、ゼトバ1枚でも勝てる可能性は高いと思われるけれども、フィップスの故障が長引くようであれば上位進出の可能性はそれだけ低くなる。
ReggioCはVicenzaに対し、前半戦の同じ対戦ほど楽勝ではなかったもののストレートで勝利した。なお、前節出場のなかったVicenzaのエース、モニク・アダムスは、この試合はフル出場していた。
Palermoは前節のフルセット28-26の死闘を制したことで、一気に勢いづいたか、やはりV1残留をかけて争っているRomaをストレートで下した。一方のRomaはこの試合、メンショーワがいずれのセットも先発していない。地獄の底から息を吹き返した原動力となったのがメンショーワであることは間違いないだけに、もし故障が発生しているようだと残留は危うくなる。
この日の試合結果により、ReggioCは通常シーズン首位に向けて有利な状況になったことは間違いない。残り2試合で2位との差が勝点3に広がった。さらに、一時は首位戦線から後退していたPerugiaが暫定2位に浮上した。しかし、Perugiaは下位との対戦を全て終了しており、残るはReggioCとVicenzaと、いずれも容易ならざる相手である。ReggioCとPerugiaの対戦は、首位争い最後の山場となりそうである。Vicenzaも前半戦ほどの勢いはないとはいえ、高さがあるため大当たりすれば非常に怖いチームで、前半の同じ対戦でフルセットまでもつれていることからしても、油断はならない。
一時はほぼ決着を見たかと思われたA1残留をかけた争いもかなり微妙になってきた。後半戦に入り7試合で1セットさえとれなかったPalermoが、ドミニカ選手のパワーで(?)猛追撃をかけ、A1残留をかけるライバルであるMateraとRomaに連勝したからである。こうなると、Ravenna戦に勝つ可能性も出てくる。Romaも残す2試合のうち1試合はRavennaとの対戦で、前半戦のこの対戦では3-1で勝っている。Materaは残る2試合の相手がModenaとVicenzaで、Modenaがフィップスを欠いたとしても、勝点を獲得できる可能性は低い。PalermoがMateraとの勝点3差、あるいはRomaとの勝点2差を追いついた場合、Palermoのほうが勝ち数が多くなるため、Palermoが上位となる。RomaがMateraと勝点で並んだ場合(1差を追いつく)、Materaのほうがセット率で優位に立つため、Materaが上位となる。したがって、Matera,Roma,Palermoのいずれのチームも上位6チームとの対戦では勝点を獲得できないと仮定すれば、次のように場合分けを整理できる。 Napoli3 (15-12, 15-4, 11-15, 15-8) 1Bergamo
ReggioE3 (15-12, 15-12, 15-9) 0Modena
ReggioC3 (15-9, 15-13, 15-11) 0Vicenza
Palermo3 (15-9, 15-8, 16-14) 0Roma

第21節: ReggioC - Perugia, Ravenna - Roma
通常シーズン首位争い最後の山場、ReggioCとPerugiaの対戦は、ReggioCが3-1で勝利、前半戦の雪辱を果たした。そしてそれと同時に、ReggioCが通常シーズン首位を自力で確定した。数字的に見れば、ReggioCはルイザ以外のアタッカーはあまりよかったとは言えないけれども、Perugiaのミスに助けられた。もともとPerugiaはミスが多くなってもサーブもアタックも力一杯打ちまくる傾向がうかがえるけれども、この試合ではそのミスによる失点の多さが致命傷となった。(同じ「キューバの片割れ」でも、Bergamoのほうは、力一杯打つよりもミスを少なくすることにウェートがかかっていると感じられる。)
Romaのメンショーワはこの日のRavenna戦も欠場。しかし、相手のRavennaもセッター対角でアタッカーとしては稼ぎ頭のNatalia Bozhenovaが欠場。Romaは残る一枚のエース、Ana Paula de Tassisに鬼のごとくボールを集めた。そのde Tassisが実に打数125決定65、総得点25得権47の活躍*1で、フルセットの末チームのA1残留を確定する勝利をもたらした。Ana Paulaすごすぎ*2。それにしても、故障なのかそれ以外の理由があるのかわからないけれども、ここのところエースの欠場が著しく増えている。最終節にPalermoとの試合を残すRavennaがBozhenovaを欠くとなると、A1残留をかけた争いにも影を落としてくる。
*1 Vリーグではバーバラが得点と得権あわせて80を超えるような試合を何度かしているから、このくらいではそう驚かないかもしれない。しかし、それはあまりにも異常。一選手が1試合で得点得権あわせて40以上に達したのは、このリーグでは数回しかないし、国際大会でもあるチームを除き滅多にない。その中で合計72というのは、驚くべきことである。
*2 Ana Paulaといえば普通はブラジルチームのセンター、アナ・コネリーのこと。しかしこちらのほうが正真正銘のAna Paulaである。
ReggioC3 (15-10, 17-15, 4-15, 15-7) 1Perugia
Roma3 (10-15, 16-14, 15-13, 10-15, 15-9) 2Ravenna

第22節: Perugia - Vicenza, Modena - Matera
上位どうしの対戦で最後に残っていたPerugiaとVicenzaの対戦は、第1セットはVicenzaに得意のブロックが出てPerugiaにアタックミスが多かったこともありVicenzaがとったものの、第2セット以降はPerugiaがサーブでVicenzaを崩し、3セット連取して逆転勝ちした。第2セット以降だけでPerugiaのサービスエースは何と11発。
終盤にいたり大きくもつれたA1残留をかけた争いも、意外な形で決着を見た。Modenaはこの試合、フィップスはベンチ入りもせず、残る1枚のゼトバも決定率35%の不振。第1,3セットはアタックミスから自滅した形となった。第4,5セットはModenaが地力の差で連取したけれども、第3セット終了時点で、Materaは勝点1以上を獲得することが決まり、したがってA1残留をこの時点で自力で確定したのである。PalermoはBozhenovaを欠いたRavennaをストレートで蹴散らしたものの、一歩及ばなかった。それにしても、ケーバ・フィップスを欠いてModenaはプレーオフをどのように戦っていくつもりなのだろうか。また何かどんでん返しがあるのだろうか。
Perugia3 (8-15, 15-8, 15-12, 15-7) 1Vicenza
Modena3 (9-15, 15-3, 12-15, 15-10, 15-8) 2Matera

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非公式チーム集計

注意
この集計はこのページの作者が手元で計算したものであり、公式のものではありません。(このリーグのチーム別の集計はインターネット上では公開されていない)したがって、誤りがないことを保証するものではありません。
また、アタック打数の値が明らかに誤っていると思われる集計が3試合ほどあったため、表中で*印のついている値は「この程度と推定するのが妥当と思われる」という値です。

以下の表の各項目の意味するところについては、防御と失敗の集計を参照してほしい。


このリーグの場合、各チームの個性がチーム別集計の数字にも表れており非常に興味深い。


アタック

表1.アタックの集計
Team Hits Success Blocked Miss Succ. % Blo. % Miss % Efct. %
ReggioC 3475 1647 244 306 47.40 7.02 8.81 31.57
Napoli 3159 1451 242 252 45.93 7.66 7.98 30.29
Modena 3506 1635 248 340 46.63 7.07 9.70 29.86
Bergamo 3368 1508 237 301 44.77 7.04 8.94 28.80
Perugia 3592 1607 277 316 44.74 7.71 8.80 28.23
ReggioE 3180* 1270 237 242 40.0* 7.5* 7.6* 24.9*
Vicenza 3290* 1396 265 334 42.5* 8.1* 10.2* 24.2*
Ravenna 3564 1481 319 344 41.55 8.95 9.65 22.95
Matera 3668 1499 323 359 40.87 8.81 9.79 22.27
Palermo 3100* 1213 241 334 39.1* 7.8* 10.8* 20.6*
Roma 3360* 1285 295 338 38.3* 8.8* 10.1* 19.4*
Rubiera 2853 1064 259 265 37.29 9.08 9.25 18.93
Total Tournament 40110* 17056 3187 3731 42.53* 7.95* 9.30* 25.28*

表2.アタックに対する防御の効果率
Team Hits Success Blocked Miss Succ. % Blo. % Miss % Efct. %
Vicenza 3320* 1377 357 299 41.5* 10.7* 9.0* 21.7*
Napoli 3339 1412 317 349 42.29 9.49 10.45 22.34
Perugia 3444 1354 260 323 39.31 7.55 9.38 22.38
Bergamo 3321 1327 269 313 39.96 8.10 9.42 22.43
Modena 3647 1488 311 353 40.80 8.53 9.68 22.59
ReggioC 3618 1471 290 301 40.66 8.02 8.32 24.32
ReggioE 3330* 1433 262 323 43.0* 7.9* 9.7* 25.5*
Ravenna 3656 1578 299 343 43.16 8.18 9.38 25.60
Matera 3405 1487 231 324 43.67 6.78 9.52 27.37
Roma 3170* 1386 182 289 43.7* 5.7* 9.1* 28.9*
Palermo 3020* 1367 214 262 45.2* 7.1* 8.7* 29.5*
Rubiera 2838 1376 195 252 48.48 6.87 8.88 32.73
Total Tournament 40110* 17056 3187 3731 42.53* 7.95* 9.30* 25.28*

表3.攻撃の値と防御の値の差
Team Attack Won-Lost Won-Lost(Rank) Point Ratio
Napoli +7.95 15-7(5) 1.30
Modena +7.27 17-5(3) 1.27
ReggioC +7.25 18-4(1) 1.29
Bergamo +6.37 17-5(2) 1.27
Perugia +5.84 16-6(4) 1.23
Vicenza +2.5* 13-9(6) 1.08
ReggioE -0.5* 12-10(7) 1.08
Ravenna -2.65 8-14(8) 0.90
Matera -5.10 4-18(10) 0.79
Palermo -8.9* 5-17(11) 0.73
Roma -9.5* 5-17(9) 0.73
Rubiera -13.81 2-20(12) 0.60

まず、このリーグの全体的な傾向として、アタック決定率は比較的高い反面、ミスの割合もブロックされる割合も極めて高い。つまり、ラリーが非常に続きにくいと言える。効果率の平均としては中程度である。他のリーグをこのリーグと比べてみると、ブラジル・スーパーリーガは全体的に決定率の低さが目立つ。日本のVリーグは、ミスもブロックの割合も少ない。そのため、決定率はそれほど高くなくても効果率の全体平均はかなり高い。

アタックでは上位の5チームが完全に抜け出している。数字では幾分かの差が現れているけれども、上位5チームのうち、Perugia, Bergamoにキューバ勢が合流したのは世界選手権終了後の第7節以降である。Modenaも世界選手権前の3試合はゼトバ・マリノバのブルガリア勢を欠いての試合だった。Napoliも世界選手権前にカッチャトーリ・レッジェーリをナショナルチームに出している。ReggioCはルイザの合流は第7節だが、それ以外で主力の欠けた試合はほとんどない。このことを考えれば、上位5チームがベストメンバーで戦った場合にアタック力の差はないと考えてよいだろう。
ReggioC, Modena, Bergamoはブロックにも極めてかかりにくく、この点でもまさに横一線のトップグループである。Napoli, Perugiaはこの3チームに比べるとブロックされる割合は多い。一方、アタックミスはNapoliが少ない一方、上位5チームの中ではModenaが顕著に多いのが目立つ。

防御の効果率で最も良い値を出しているのはVicenzaだが、これはブロックが圧倒的に多いためである。それに続くNapoliもブロックが多いチームである。スパイクレシーブがもっとも堅いのは「キューバの片割れ」のPerugiaとBergamo。Modenaもブルガリアのマリノバ・ゼトバとアメリカのフィップスという構成ながら、スパイクレシーブでもよい値を出している。


ブロック

表4.シャット率によるブロックの集計
Team Nb. Set Opp. Attack Opp. Error Success Avg. by Set Shut %
Vicenza 80 3320* 299 357 4.46 11.8*
Napoli 82 3339 349 317 3.87 10.60
Modena 82 3647 353 311 3.79 9.44
Ravenna 86 3656 343 299 3.48 9.03
Bergamo 76 3321 313 269 3.54 8.94
ReggioC 78 3618 301 290 3.72 8.74
ReggioE 72 3330* 323 262 3.64 8.7*
Perugia 80 3444 323 260 3.25 8.33
Palermo 72 3020* 262 214 2.97 7.8*
Rubiera 71 2838 252 195 2.75 7.54
Matera 82 3405 324 231 2.82 7.50
Roma 77 3170* 289 182 2.36 6.3*
Total Tournament 469 40110* 3731 3187 3.40 8.76*

ブロックについては、本文中でも何度も触れたとおり、Vicenzaが断然強い。それに続いてNapoliもブロックが多く、この両チームが頭一つ以上抜け出している。Vicenzaは長身選手をそろえて壁を作りブロックポイントを量産するチームで、つまりこのチームのブロックはロシアのブロックである。それに対し、Napoliはイタリア代表色の濃いチームと思われる。イタリアは、昨年の世界選手権でロシアに次いで2番目にブロックの多いチームだったが、Napoliのブロックの多さもイタリアゆずりである。他のチームに比べ高いわけではないけれども、読みとタイミングで相手の攻撃をシャットしていくのである。Modenaもアタッカーに高さのあるチームで、ブロックは多い部類に入る。上位チームの中でブロックが少ないのはPerugiaである。Perugiaは世界選手権前はブロックは皆無に近いチームで、キューバ勢が合流した後もそれほど増えていない。Bergamo, ReggioCもブロックはそれほど多くない。キューバは到達点は恐ろしく高いけれどもブロックは必ずしも多い方ではない。身長がないとジャンプ力があってもその高さに届くまでに時間がかかるため、ブロックではやはり不利になってしまう。Perugia, Bergamo, ReggioCともキューバ選手が加わっているチームだが、その色が数字に表れている。


サーブ

表5.サーブの集計
Team Nb.
Set
Hits Successes Faults Avg.
by Set
Succ. % Fault %
Perugia 80 2710 139 341 1.74 5.13 12.58
Roma 77 2203 103 271 1.34 4.68 12.30
Napoli 82 2587 119 242 1.45 4.60 9.35
Vicenza 80 2505 109 261 1.36 4.35 10.42
ReggioC 78 2660 110 229 1.41 4.14 8.61
Matera 82 2513 102 374 1.24 4.06 14.88
Modena 82 2705 107 239 1.30 3.96 8.84
Palermo 72 2084 81 206 1.13 3.89 9.88
Ravenna 86 2601 101 257 1.17 3.88 9.88
Bergamo 76 2495 96 228 1.26 3.85 9.14
Rubiera 71 1888 63 191 0.89 3.34 10.12
ReggioE 72 2238 65 123 0.91 2.90 5.50
Total 469 29189 1195 2962 1.27 4.09 10.15

アタックでは「キューバの片割れ」PerugiaとBergamoの差はそれほど数字には表れなかったけれども、サーブではこの両チームの温度差が顕著に出た。Perugiaはエースが断然多い。特にアゲロの奇声を上げながらのジャンプサーブは恐るべき威力があり、わずか15試合55セットの出場でリーグ最多のエース30発とはやはり半端ではない。その一方でPerugiaはサーブミスも非常に多い。一方、Bergamoはエースもミスもそれほど多くない。Napoliはミスがそれほど多くないにもかかわらずエースが多く、掛け値なしにサーブ力が高いと言える。サーブに関してもっとも目立つのがReggioEで、エースも12チーム中もっとも少ない代わりミスは全体平均の半分強という少なさである。


サーブレシーブ

表6.サーブレシーブの集計
Team Nb.
Set
Opp.
Hits
Opp.
Successes
Opp.
Faults
Avg.
by Set
Rcp.
Fault %
Opp.
Fault %
Vicenza 80 2445 78 266 0.98 3.19 10.88
Ravenna 86 2710 87 259 1.01 3.21 9.56
Perugia 80 2506 81 285 1.01 3.23 11.37
Napoli 82 2345 91 263 1.11 3.88 11.21
Palermo 72 2346 98 204 1.36 4.18 8.70
ReggioC 78 2438 102 273 1.31 4.18 11.20
ReggioE 72 2170 94 244 1.31 4.33 11.24
Modena 82 2479 105 255 1.28 4.34 10.29
Matera 82 2712 118 254 1.44 4.35 9.37
Bergamo 76 2289 102 242 1.34 4.46 10.57
Roma 77 2470 111 224 1.44 4.49 9.07
Rubiera 71 2279 128 193 1.80 5.62 8.47
Total 469 29189 1195 2962 1.27 4.09 10.15

サーブレシーブの集計はあるけれども、受数と成功率しか記載されていないためそれをかけ算してその都度成功数を出さないとチーム別集計が出せない。しかも、成功率は1%の位までしか記載されていないため、受数が100を超えるときは単純にかけ算するだけではなく個人の成功数をかけ算で求めてそれを合計するという作業が必要になる場合がある。はっきり言えばとてつもなく面倒な作業で、とてもではないが今すぐにやる気は起きない。ここでは、これまで使ってきた防御の集計の考え方をサーブレシーブにも援用して、相手の打ったサーブのうちサービスエースにしてしまったものの割合とミスしたものの割合からサーブレシーブの巧拙を判断することにする。
この評価で最もよい値を出したのはVicenzaで、RavennaとPerugiaもほぼ並んでいる。少なくともこの3チームについては、有意にサーブレシーブはよいとみてよいだろう。Vicenzaは長身選手をそろえたチームだが、スパイクレシーブおよびサーブレシーブの数字からは大型チームにありがちな守備の弱さはうかがえない。この3チームに続くのがNapoliで、PalermoからRomaまでの7チームはそれほどの差はないと思われる。ただし、Bergamoがサービスエースを食らう率がやや高いのは意外といえば意外である。Bergamoは下位相手に意味不明にサービスエースを大量被弾した試合が何度かあり、それが全体平均にも影響している。下位相手だから勝負に影響するようなことはなかったけれども、上位との対戦でこれが出ると怖い。

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