漢勝負の部屋ー猛き龍星ー


一時期のジャンプにはとんでもない漫画があった。その名は猛き龍星!

なんといっても、原作なしの原哲夫作品というのが重要な意味を持つ。
すなわち・・・原先生が自分の本能のおもむくままに作り上げた世界観が体験できるということだからだ!
なにせ、ただでさえジャンプの読者から暴走気味という印象が強いというのに、原作者という枷をはずしたらどうなることやら・・・。

作品紹介
登場人物紹介
漢な文化・風習
話の概略

作品紹介
時代的には、ほぼ現代と同時期と考えられる。舞台は日本(関東周辺)及び香港。
主人公である、花藤龍星は16歳にして関東周辺の暴走集団連合体の総括総長となったが、突如姿を消すことに。
そして二年後、龍星の後を継いだ八城は組織を金まみれの状態にして、組のものと関係を持つようになっていた・・・。
龍星は蝶栄会の鬼土との抗争の際、鬼土に見こまれて、現代の羅芳伯と呼ばれる香港の条河のもとへ連れられ、暴れまくったあげくに「人を引きつける魅力がある」と見込まれ、「二年で必ずあんたと勝負できる漢になってやる」と誓い日本へ戻ることに。で、何をしたのかというと、姉と族仲間にに別れを告げるだけで、後は国籍を捨て再び香港へ向かうことに。密航船で暴れる最中、怒ったクジラをなだめることに成功し、単なるツキとは違う「天祐」に恵まれていることが発覚。
で、香港に辿りついてまた暴れまわり、抗争相手となったリュウ・ゴウフェイと肩を組んで終わるという、見事な打ち切られ方で完結。
(と、いうより、自分から例の打ち切りですから・・・ともらしていた)
なお、当初は街の雰囲気やファッションなどが既成の物に引っ張られたそうですが、あっさりと原先生独自の世界に変貌したらしいです。

二巻の原先生のコメントによると、巨匠本宮ひろし先生の『男一匹ガキ大将』を自分なりにリメイクしたものであるそうだが、
途中で、龍星がなかなかガキ大将にならない、描いていくうちにかみ合わなくなっていくことに気づいたそうです。

登場人物紹介(そのネーミングセンスには脱帽です)

花藤龍星龍星
主人公。やることなすこと全部無茶ばかり。姉思いの面もあり、そのために高校をやめた模様。
ただ、姉に「ムチャをしないでくれよ」と言っている本人の方がムチャをやっていることに気づいていない。
知能指数は、蝶栄会に出した文書が誤字脱字だらけだということからも、低めと考えてよいだろう。
また、周囲のことを考えずに暴走して突っ走ることも多々ある。

花藤雪子:龍星の姉。生活費を稼ぐために働きに働き、入院することに。
しかし、普段から「漢」という言葉を連発するのはどうかと思う。

チャカチャカ
凄すぎる名前…。龍星がいなくなっても、龍星のことを慕い続けていた漢。龍星が姉と平穏に暮らせるように八城のヤクを燃やそうとしたところ、捕まってしまいエッグアイによって目に火傷を負う。龍星が香港に行っている間に治った模様。

八城剣次八城
龍星の後を継いで総長になったが、鬼土らによって部下共々金まみれになってヤクに手を出すようになる。
漢同士の決闘でも銃を持ち出すが、逆に漢勝負に持ちこまれ、龍星が投げたライターに気を取られあっさりボコられる。
で、部下達にはあっさり見捨てられ、龍星から逃亡資金をもらい雲隠れすることに。

シンジシンジ
鬼土に恩義を感じ、鬼土の部下として八城と鬼土とのパイプ役を勤める。が、龍星が八城をボコったことで、「だったらどっちが漢として本物か見極められねえんでぇい」と怒りを買い、八城もしくは龍星の殺害を命じられる。
が、龍星の度胸の前に殺すことができず、チャカ達と行動をともにすることに。

鬼土政重鬼土さん
三代目蝶栄会組長。最初はにこやかな顔をしながらゴルフクラブで金を奪おうとした男の歯を破壊していたが、龍星と会ってからはにこやかな顔は見られなくなった。また、龍星の行動を見てその漢ぶりを認めたのか、決闘では日本刀で龍星の身体を切るも、手加減をし、蝶栄会の上部団体「相州蝶蛇連合」の「族のガキになにをやっているんだ!」という追求には、落とし前で左腕一本を出してかわすという気に入り方をした。
そして、自分が夢を追うようなことができない立場であるため、自分の夢を代わりに達成してもらうよう条河のもとへ龍星を連れて行った
香港で漢の行く道筋を教える先生役と化し、龍星と共に日本へ帰国した後、龍星の密航を手助けした。

園宮園宮
鬼土に龍星の魅力を教えた刑事。鬼土の居合を見切るところからしてなかなか油断できない漢である。

羅芳伯胡散臭い人物
民明書房調の説明で紹介された伝説の人物。アメリカよりも十年早く世界で始めての共和国を作った漢で、
中国の田舎から、ゴールドラッシュに沸くボルネオに流れみんなが自由で好きなことができる国を作ろうとした。仲間を集めて次々に他の組織をシメて勢力を拡大し、支配者であるスルタンを追い出し自治政府を作ったとされる。

条河剣ジョーガエンタープライズは勘弁
現代の羅芳伯(もしくは、ジョーカー)と呼ばれる人物で、全世界に華僑ならぬ和僑とでもいうべき人々を作ることを目的としている。エリートだろうが、おちこぼれだろうが、3分の1は優秀な人物が出てくるという極端な思想を持っている。
共に命を賭けた仲間の名前をビルにつけることで、死んだ仲間に対する感謝の念を忘れない。
でも、組織の名前がジョーガエンタープライズというのはなんか変という気がする。
最終話では、命はあと一年ぐらいだと自己申告をしていた。

白吹朝希白吹
クイーンと呼ばれる、条河の右腕ともいうべき女性。ジョーガエンタープライズのNo2的存在である。
最初は龍星のことを認めていなかったが、次第にその行動が只者ではないことを悟る。
実は、条河とは腹違いの妹であることが発覚(最終話だったからであろうか?)。

鮫島鮫島
白吹のボディガード兼たんなる部下。当初は龍星が、ただの族上がりの男だと思って、思いっきり舐めまくった態度をとる。
しかし、龍星がサイモンをブン殴った時は思わず協力をしてしまい、次第に龍星に惹かれていく自分に気づく。

サイモン・フィリップフィリップ
香港有数の企業フィリップス・ブラザーズの社長で、条河とは対立関係にある。条河やリュウを暗殺しようと刺客を送ったりするのは当たり前である。パーティ会場では龍星にぶん殴られることに・・・。

ハンハン
密航船の中で龍星と出会う。最初は、バンソウコウを一万で売ったり缶詰・カンパンを10万で売るなどあまりにも足元を見すぎた商売で、龍星に睨まれる。香港では商売で生計を立てようとしていた模様。
が、龍星と組むことにしてからは、お金を稼ぐために龍星を賭けケンカの世界に引き入れたり、チョウキの部下達の力を活用できる道路工事の仕事を見つけたりと、龍星の行動のきっかけを作る役割を演じている。
また、舟から降りた時は、一万で売っていたバンソウコウをただで子供に貼ってあげるなど、実は良い奴という面も見せている。

密航船の船長船長
無能な部下によって、マッコウクジラに舟が破壊されそうになったり、石油で財をなそうと思ったら、霜が出てきて断念するなど、天祐に恵まれていないことを自覚している模様。龍星に話のキーワードである『天祐』を教えたり、油田の場所を記したメモを渡すなど、話が進んでいれば重要人物になりえた漢。

フォイ変なツラのフォイ
賭けケンカのチャンプであったが、貧しい子供達が食べているところに無理矢理割り込んできて食事中の龍星を怒らせたため、鼻にハシを突っ込まれ、拳を破壊されるハメに・・・。

チョウキ負けを宣言するチョウキ
フォイの甥っ子。元々は、フォイと同類の人間であったが、龍星との戦いで、漢の生き様に触れあっさりと敗北を認めることに。そして、龍星に惚れ込み部下300人とともに従うことになる。
リュウが龍星にトドメを刺そうとした時には身体を張って、リュウの攻撃を受けとめる剛毅な漢っぷりを見せた。

チョウ・ブォンチョウ・ブォン
リュウの別荘の管理人。見るからに悪党のツラをしている。完成した道路を爆破したために、チョウキの部下たちにボコられ、ひん剥かれてしまうことになった。

リュウ・ゴウフェイ足を上げたまま応対するゴウフェイ
全世界に根を張る客家の長。中国は中国人によって統治されるべきとの考えから、他国の人間を香港が中国に返還される前に締め出そうとした。そのため、フィリップの怒りを買い、刺客に命を狙われる身に。
最初は、龍星のことを徒党を組まなければいけないお山の大将と見下していて、自分は孤独ではないと主張していたが、
護衛のもの達が、フィリップが戦車を投入してきたことで逃亡し、孤独であったことを認める。
戦車の砲弾が飛んできたとき、龍星にかばわれ宿敵(とも)と呼ぶ関係になる。

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