第4回日本選手権奮闘記




連載第1回 天の巻


 晩秋の午後。
 ハバハバ大王が5人のたほいやん、万年宿酔,小梅谷風雅,123,有梨格也,そして乱玉忍太郎をハバハバ御殿に呼ぶ。
大王、咳ばらいをして5人に話しかける。
 「なんでも、たほいやの日本選手権があるそうじゃ。ここらで諸君の修業の成果を見せてほしい。誰かいってみんか。」
宿酔
 「いつあるんですか。」
大王、お知らせ(下記参照)を見ながら、
 「 11 月 24 日、日曜日じゃ・・・。第4回にもなるそうじゃのう。」
宿酔、つづいて123がまっさきに断る。
 「オレ、日曜日はほとんど死んでます。」
 「オレも1日中寝てます。」
小梅谷が天井を見上げていう。
 「日曜日は朝からあれをやって、これをやって・・・。結構いそがしんですよねぇ・・・。」
大王、忍太郎と有梨を見据える。2人は顔を見合わせる。
大王
  「2人だけとはちとさみしいが、お前たちにまかせてみよう。」
有梨、反抗的に。
  「いやぁ!オレも日曜日は、そう買い物とか・・・。」
あとが続かない。
123がいやみをいう。
  「有梨に何もあるわけねえよ。」
大王、有梨に、
  「まぁ買い物は土曜日にしてもらってだ。わしらの実力を世間に見せてやるために行ってくれんか。」
しばし沈黙。
忍太郎
  「大王、私行きます。有梨、行こうよ。」
有梨、言葉に詰まった様子。
大王
  「決まりじゃ!(力強く)忍太郎!(優しく)有梨。たほいや日本一になって来い!」
大王、忍太郎と有梨にお知らせを渡す。


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>>     第4回たほいや日本選手権大会のお知らせ
>>
>>    ゲームの会「ボードウォーク・コミュニティー」は毎年「たほいや」
>>  の大会を開催しておりますが、今年はその第4回の大会を開催いたしま
>>  す。選手権などと言っていますが、早い話は休日の午後、みんなで「た
>>  ほいや」をして遊ぼうという会です。大会ということですので、豪華賞
>>  品も用意しております。皆様お誘い合わせの上奮ってご参加下さい。な
>>  お調整の都合上、事前に参加のお申し込みをお願い致します。
>>
>> 期日:11月24日(日)、
>>     午後0時45分〜午後1時15分 受付
>>     午後1時15分〜午後7時   ゲーム
>> 場所:中央区立月島区民館3階4号室
>>      (地下鉄有楽町線月島駅下車。3番出口より地上に出て
>>       すぐ左に入り、一本目を右折して10m。駅から徒歩30秒)
>> 会費:¥2500(全員に賞品が有ります)

(地図省略/ Copy Right 1996 Boardwalk Community )

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 その日は来た。
 忍太郎も有梨も月島は初めてである。地下鉄を降りて大通りから外れて路地裏をしばらく行くと、住宅街のなかに公民館はあった。
 場所を確認した後、さて昼飯を食おうと辺りを見回しても何もない。大通りにもどってみても、あるのはもんじゃ焼き屋だけである。忍太郎は見も知らぬのにもんじゃ焼きが大嫌いであった。あんなドロドロしたものを好んで食う奴の気が知れぬ。
 有梨は食えれば何でもよかった。ホカ弁でもよかった。しかし忍太郎がホカ弁は侘びしいと言うので、黙ってついていった。有楽町で食えばよかったと思いつつ歩くと、かなり離れた所に中華料理店があった。
 彼らには1つの懸念があった。ローカル・ルールでは点を賭けない(私たちのたほいやルール)が、日本選手権では賭けるのである。当て場で自分が正解だと考えるアイテムの番号を表明するとき、1点〜3点を賭けなければならない。どれくらい確信があったときに2点賭ければよいのか?どれくらい確証があったときに3点賭ければよいのか?そんなこと考えたこともないのである。
 食べたのは2人とも肉てんぷら定食である。テレビでは「 NHK のど自慢」をやっていた。忍太郎が有梨に「よく人前で歌えるもんだよなあ。」と問い掛けた。有梨は軽くうなずいた。

 会場では、たほいやのルールとマナーについての解説文が配られた。知っている言葉を出題するのはルール違反になっており、小梅谷お得意の知ってるシリーズ(例:「こてんぱん」)は使えない。「〜に同じ。」とか矢印付きの答えも出題するのはマナーに反すると書いてあった。その他いくつかローカル・ルールとの相違があった。
 大会は、メンバーを入れ替えて全部で3ゲームを行い、合計点で総合順位を争う。1ゲーム5人はテレビと同じである。問題のたびに、すでに親をやった者を除いてくじを引き、先の赤いくじを引いた者が次の親となる。つまり親は1ゲームに1度ということになる。
 忍太郎はルールの全てを理解した。点の計算方法も身につけた。n点掛けたとき、当てれば親から n点もらえる。はずれれば、だまされた人にn点,親に1点を出さねばならない。
 忍太郎は気合いも入っていた。出題語は「みみ」シリーズから出すものと決めていた。また、擬答のなかに「馬」「鹿」「鷹」を入れることにしていた。縁起かつぎのつもりであった。
 有梨はといえば、解説文も読まず、点の計算法も理解しようとしなかった。ただ人数の多さに、やたら緊張していた。



第2回は公開未定です。




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