キューブリック Stanley Kubrick 2000/9/16更新
私の敬愛するスタンリー・キューブリックについて、いろいろ書き並べてみた。 今更私が言うまでもないが、キューブリックは偉大だ。 1999年3月7日に彼は亡くなった。71回アカデミー賞でスピルバーグが言ったように怖い監督であった。 彼の影響で映画を志したものは数多い。 例えば:
- ゲーリー・オールドマンは彼の作品「時計仕掛けのオレンジ」
を見て、主役のマルコム・マクダウェルに憧れて、俳優を志したという。彼が怪優なのはそのためだろう。ちなみにレオンで、ゲーリー扮する悪徳警官スタンフィールドは、マチルダ一家を壊滅させる際に、ベートーベンをウォークマンで聞いていたが、それもマクダウェルの影響だろう。
- エイリアン4で巷で有名になった、ジャン・ピエール・ジュネ。(すでに、デリカテッセンやロストチルドレンで有名だったが・・・。)彼が監督を志したのはセルジオ・レオーネの「ウェスタン」と、やはり、キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」に感動したからだという。
- タイタニックを完成させたジェームズ・キャメロン監督。彼は「2001年宇宙の旅」をみて、映画監督を志した。
- 「スピード」だけが成功したカメラマン上りのヤン・デ・ポン監督、彼もキューブリックを尊敬しており、映画の中にはキューブリックの作品が見え隠れする。
私は小学校1,2年の時「2001年宇宙の旅」をみた。勿論理解できるはずもない。 高校二年になって、「フルメタル・ジャケット」 と「時計仕掛けのオレンジ」を見た。
「フルメタル・ジャケット」はスラングと卑猥な言葉の連続で、あのクライマックスには強烈なインパクトを受けた。 「時計仕掛けのオレンジ」は・・・。余りに激しい暴力シーンに、目を覆わんばかりになったが、最後にはアレックスに同情してしまっているのが不思議だ。 まもなく「博士の異常な愛情」を見るが、大笑いしたあとの、あのクライマックスには、体に悪寒が走った。 「バリー・リンドン」 は珍しく大河ドラマだが、富と名声にしがみつくリンドンの姿を3時間にわたる膨大なストーリーで描ききっていて、また驚かされた。
受験が終わって「2001年宇宙の旅」 をみた。私が見た中でもっとも衝撃を受けた。改めて巨匠の息吹を感じた。「シャイニング」
はキューブリックがヒットさせるために作った娯楽ホラー作品であるが、当然、その出来は素晴らしい。
「最後の巨匠」と呼ばれるにふさわしい監督である。昔カメラマンをしていただけあって、そのピシッとしまった映像。 クラシックを効果的に使ったり、シンセで第九を編曲したり、音楽センスも素晴らしい。監督自身、ドラムをやっていたそうだ。 どちらもクラシックを好んで使うが、 黒澤明は「こんな感じの曲」と言うふうに、作曲家に既成のクラシックを提示するが、 キューブリックは「2001年宇宙の旅」以降そのまま使っている。 ちなみに「映画音楽200CD」という本に、黒澤とキューブリックの比較がある。 すべての映画で脚本やプロデュースも手掛け、膨大な製作時間をかけるその完ぺき主義ぶりは余りにも有名。 しかし、わりと温厚な人であるらしい。あまり俳優に対して怒鳴ったりすることもなかったようだ。 キューブリック監督は、1999年3月7日に亡くなった。ちょうど受験前の朝のニュースで報道されたので、良く覚えている。 遺作は、7月31日に日本で公開された"Eyes wide shut"。 トム・クルーズとニコール・キッドマンの夫婦で共演だ 。
初めて映画館で見たキューブリック作品だったので、見た後に感動で涙が出てきた。 キューブリックの選ぶ1963年時点でのキューブリックの選ぶベストテン映画
1. 「青春群像」 フェデリコ・フェリーニ1959
2. 「野いちご」 イングマール・ベルイマン1957
3. 「市民ケーン」 オーソン・ウェルズ1941
4. 黄金 ジョン・ヒューストン1948
5. 街の灯 チャーリーチャップリン1931
6. ヘンリー五世 ローレンス・オリヴィエ1945
7. 夜 ミケランジェロ・アントニオーニ1961
8. バンク・ディック E・クライン1940
9. ロキシーハート W・ウェルマン1942
10. 地獄の天使 H・ヒューストン1930
(ダゲレオ出版「キューブリック」より)キューブリックが生前 「ひとつだけ重要な映画を挙げるとすれば、クシシェトフ・クェシロフスキーの「デカローグ」だ」 と語ったそうだ。
(新宿TSUTAYAの「デカローグ」の紹介で)
キューブリックについてもっと知りたい人は、株式会社ダゲレオ出版から出ている 「月刊イメージフォーラム4月増刊号 キューブリック」 と言う本がお勧めである。 他に、Kubrick Multimedia Film Guideというホームページがオススメ。
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