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ユリシーズの瞳     1996

 

 

Rating: 4.9

Genre: ドラマ

I watched : on TV or Video

Country: ギリシャ イタリア フランス

Cast:
ハーベイ・カイテル
マヤ・モルゲンステルン
エルランド・ヨセフソン

Directed by: テオ・アンゲロプロス

Music: エレニ・カラインドルー

Comment:
 現代のバルカン諸国を、映画監督Aが、伝説の映画監督マキナス兄弟の未現像のフィルム3本を求めて、旅する壮大な叙事詩。ホメロスの「オデュッセイア」を下敷きにしている。ギリシャからアルバニア、マケドニア、ルーマニア、新ユーゴ、ボスニアと東欧の国々を巡る中で、Aは4人の女に出会う・・・。
 ハーベイカイテルの演技が素晴らしい。今回の彼は、アンゲロプロスが言うように「スターから人間になった」。また、フィルムを現像するイヴォ・レヴィを演じるエルランド・ヨセフソンはベルイマン映画に数多く出演しているベテラン。彼は今回、この映画のクランクインの時に死んだジャン・マリア・ヴォロンテの、ピンチヒッターとして出演しているが、円熟した演技を見せている。
 この映画はまさにアンゲロプロスの集大成であるのは事実だ。見どころも多い。ただ、直線的に進むプロットと、息が詰まるほど長いカットを3時間も見ていると、かなりつらいものがあった。テーマも複雑で、アンゲロプロスの他の作品である「霧の中の風景」や「永遠と一日」ほどピュアな感動が抱けなかった。また、あくまで傍観者的立場で、ボスニアを見つめているため、「アンダーグラウンド」に比べ、やや弱かった。
しかし、この映画で全部出し切ったアンゲロプロスが、再びゼロからスタートして傑作「永遠と一日」を生み出したのはすごいと思う。

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