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永遠と一日
Eternity and a day
    1999

 

 

Rating: 5.0

Genre: ドラマ

I watched : in Theater

Country: ギリシア

Cast:
ブルーノ・ガンツ
イザベル・ルノー

Directed by: テオ・アンゲロプロス

Music: エレニ・カラインドルー

Comment:
 アレクサンドレは、不治の病を自覚した大作家。しかし、3年前に妻を失い、娘夫婦とうまく行かず、犬と一緒に孤独に暮らしていた。入院する前日に、旅に出ようと車を運転していると、突如、車のフロントガラスを拭いてくる少年がいた。彼はアルバニア系の難民の子供で、アレクサンドレは少年を国境まで連れていこうとする。しかし、少年は帰ろうとしない。アレクサンドレは、孤独な少年と自分を重ね合わせていく。また、妻の手紙から、妻の自分に対する激しい愛情を感じ、それを感じられなかった自分にがく然とする。彼は少年に勇気づけられ、永遠に続く一日をすごそうと決意する。
 カンヌ映画祭パルムドール賞をとったとはいえ、極めて地味で、真面目な映画。しかし、ブルーノ・ガンツの優しい表情と、「人生のバス」のシーンや、妻の回想シーンなど、涙を誘うものが多い。また、現実と幻想が融合した長回しのショットがすばらしい。カットの繋ぎ目の見えない流れるような映像は驚きである。テーマとも相まって、一種の壮大な詩になっていた。
(2/1追補)この映画がきっかけで、私はアンゲロプロスの映画にのめりこんでいくことになる。ちなみに、イザベル・ルノーは奥さんに似ていたからアンゲロプロスが起用したという。どおりでこの映画自体が過去の作品以上に個人的なわけだ。しかし、それだけ自分の内面に迫っているわけだから、かなりの冒険だったに違いない。それでいてこのような傑作を作り出してしまうアンゲロプロス監督のパワーには、ただただ息を飲むばかりだ。

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