マルメロの陽光

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スペイン現代絵画の巨匠、アントニオ・ロペスが庭のマルメロの木を描くドキュメンタリー。
渋谷でヴィクトル・エリセ・オールナイトで見てきた映画。「ミツバチのささやき」「エル・スール」に続けて見たので、体力的にも限界が来ており、一部眠ってしまった。
しかし、この映画を見終えて、つくづく映画はフォルムであると思った。たんたんとアントニオ・ロペスの作業過程が映し出され、やけに長いインタビューも挿入されている。きわめてぜいたくな時間の使い方である。ストーリーなどないのであるが、美しく素朴な映像に、熱いドラマが内包されている。この映画を見た後では「ミツバチのささやき」ですら、派手な映画であったように思える。
また、同じ芸術家の画家と行動を共にすることで、互いに影響されあい、ともに戦っているのが見て取れる。その意味で、これまでのヴィクトルエリセ監督作品とは一線を画す。
実際、この映画の息を飲むような美しい光のグラデーションは、アントニオ・ロペスが必死にキャンパスに描き起こそうとした「マルメロの陽光」を見事に再現しているのではないだろうか。