第7回 夏の名残りの桃ビール
1.桃のビールをつくる

 先にブルーベリービールを作ったのだが、砂糖を入れすぎたせいか、今ひとつの出来に終わっている。なんとか、おいしいフルーツビールを作りたいものだ。材料は何にするか。桃にすることにした。ちょうど季節は夏の終わり。桃の季節も終わりである。それに前にも紹介した手造りビールと緑の森の贈り物で、高橋さんが桃のビールの作り方を解説していたのだが、これがまたうまそうで。よし、桃のビールにしよう。そしてうまくできたら、秋空を眺めながら味わい、過ぎた夏の名残を惜しもうではないか。

2.仕込みと第1次発酵

 近所の商店街の果物屋で、桃を買う。中ぐらいのが4個パックで600円。モルトエキスは、BLACKROCKのPILSNER、8リットル用(550グラム)。この他に、ザーツホップのエクストラクト少々をフィニッシングに使う。
 まず、モルトエキスを煮込む。今回は桃が入ることを考えて、家にあるいちばん大きい鍋を使った。
 今回は砂糖でも水あめでもなく、ちゃんとしたドライモルトを加えることにした。新宿の東急ハンズで買ったMUNTONSのLIGHT(465gで900円)である。今回の仕込量は、手持ちの瓶の数を考えて7Lにとどめることにした。桃から出る糖分が80gほどあると考えられるので、その分を考えてドライモルトは300gとした。モルトを煮込んでいる間に桃の皮をむき、1個を10片くらいに切る。切りながら少し試食したので、実際に使うのは3.5個というところ。目方でいうと700gほどである。これを2つに分けてガーゼで包むと、ちょうどうまい具合になってくれた。ガーゼの口は、糸をぐるぐる巻いて縛っておく。
 モルトを20分ほど煮込んだところで、桃を投入。さらに15分煮込む。これは主に殺菌のためである。終了間際にホップエクストラクトを少々。その後鍋ごと水につけてさまし、風呂より少し熱い程度にさめたところで、発酵容器に移す。さらに水を加えて分量にし、あらかじめぬるま湯に溶いておいた酵母を入れ、蓋をする。数時間後には泡が立ち始め、翌朝にはもう、液面全体が泡に覆われていた。(1998.9.11)

3.瓶詰めと第2次発酵

 3日目には泡がほとんど消えていた。しかし桃の香りを十分移すためには、もう少し時間があった方がいいかと思い、そのまま放置する。瓶詰めは5日目の朝。ドレンコックからグラスに少量とって試飲してみると、ピルスナーの苦みにほのかな桃の香り。オールモルトだけあって、コクも十分。これは結構いけそうである。ガーゼ包みの桃がドレンコックに吸い寄せられたりして、少々苦労したが、全部で14本取れた。二次発酵開始である。(1998.9.15)

4.試飲

 瓶詰めの1週間後、一回目の試飲をする。色はやや濃いめ。これは桃のせいだろうか。泡立ちはまあまあ。口に含むと桃の甘い香りと甘みが舌に拡がる。ホップは控えめだが、それがこのビールには似合う。今のところはかなり大成功に近いような気がする。(1998.9.24)

 味に大きな変化はない。あいかわらずおいしい。ただ、オールモルトのピルスナーを飲んだ直後だったせいか、ホップがもう少し効いていても良かったかな、という気がした。(1998.10.5)

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