第8回 オールモルトのピルスナー
1.いよいよ秋、醸造の季節

 自家醸造を始めて2ヶ月。ようやく涼しくなってきた。これまでは、ともかく作りたい!の一心で、気温の高いのも気にせずに作ってきた。その結果(かどうかは分からないが)、少々酸っぱいビールもできてしまった。しかし、もう秋である。醸造の季節である。これまでのビール作りは、どちらかといえば初心者の実験に近い部分が大きい。今回の目的は、市販品を越えるビールを、日常的な消費を十分満たす量だけ作ること。5ガロンの醸造容器をフルに使ったオールモルトのピルスナー作りに挑戦である。

2.仕込みと第1次発酵

 使うのはBLACKROCKのPILSNER、23リットル用(1700グラム)を2缶と、ザーツホップのペレット0.5オンスである。
 量が多いので、モルトエキスを煮込むのは大変だった。容量4リットルくらいの鍋しかないので、二回に分けて煮込むことにした。当然、それほど時間はかけていられない。10分ほどで終わりにする。煮込んだ麦汁をあらかじめ水を10リットルほど入れておいた発酵容器に注ぐことを、2回繰り返す。そのあと、同じ鍋にお湯を少々沸かし、ホップペレットを溶かし、1分ほど漬けて置いてから発酵容器に入れる。香りづけのホップである。最後にお湯に溶かしておいた酵母を投入。5グラムが2袋で10グラムだから、量としては充分である。仕込み終了の時点で、液温は32度、比重は1.04だった。
 仕込んで数時間後には、もう発酵が始まっていた。エアロックがポコポコいわないのでおかしいなと思っていたのだが、単に発酵容器の蓋の閉め方がゆるかっただけだった。最高気温は28度くらい、最低気温は20度近くまで下がったはずだが、液温はずっと28-30度くらいだった。

3.瓶詰めと第2次発酵

 3日目にはエアロックが動かなくなった。ところが比重を計ってみるとまだ1.019もある。そのあと半日ごとに比重を計ったが、結局1.017以下にはならないようで、5日目に瓶詰めにかかることにした。普通の注ぎ方でまず44本、さらに発酵容器を傾けて3本。最後の一本は、酵母たっぷりの濁りビール。これは試飲用である。酵母が多いので、二次発酵は速やかに進む。翌日には飲めるだろうという、いじましいたくらみである。案の定、瓶詰めの2時間後には、瓶のなかでさかんに発酵が進むのが確認できた。

4.試飲

 瓶詰めの翌日、例の濁りビールを冷やし、試飲する。華やかなホップの香りが広がり、次いで豊かなコクが口に拡がる。飲み込んでも、ホップの心地よい香りが口の中に漂う。これは、絶対に傑作ビールになるぞ、と確信した。(1998.9.25)

 瓶詰めから約2週間。泡立ちはかなり豊か。色に深みがある。口に含むと豊かなホップの香りがして、モルトの味と調和している。エールのような香りもある。先の試飲の際にはややバランスに欠ける部分があったが、今回は問題ない。ヱビスビールを越えたといっていいだろう。(1998.10.5)

自家醸造のページ

酒のページ