■ 鬼平犯科帳 (7) ■

 「雨乞い庄右衛門」


「私だって、人斬りのあなたと一緒に、この暑い、人気もない畑道を歩いて行こうというのですよ。」


 「隠居金七百両」


「世の中の人間の多くは、うわべだけで人の値うちをはかってしまうゆえ、な」


 「はさみ撃ち」


「なれど、これからも、おのれでおのれに気をつけいよ」
「は……?」
「お前の躰の底にねむっているなまぐさい女の血、にな」


 「桶掘のおけい」


(ともかく……いますこし、さぐりを入れようとしているうちに感づかれ、引きさらわれたのであろう。ばかなやつめ。なぜ……なぜ、おれに早くから知らせておかなかったのか……)


 「泥鰌の和助始末」


「すでに、長谷川平蔵様はおれたちのことを見通していなさる。覚悟してくれ。おれも腹を切るつもりだ」


 「寒月六間堀」


「あっ……て、てめえは彦……」
「いまは、長谷川平蔵さま御手の者だよ、安くあつかってもらうめえ」


 「盗賊婚礼」


「へい、この五郎蔵どんというのは、蓑火の親分にみっちりと仕込まれただけあって、そりゃもう、何から何まで、立派なもので……」


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