GREEN TEA TIME
イギリス万国樹木博覧会


ヌマスギ(ラクウショウ)
(沼杉/落羽松)

Swamp Cypress(Taxodium distichum)


以前メタセコイヤをご紹介した時に引き合いに出したヌマスギですが、
ケンブリッジ植物園でいい写真が撮れたので今回upしました。

ラクウショウ(落羽松)という別名のとおり、秋に葉が落ちる数少ない針葉樹のひとつです。
「落羽」とはよく言ったもので、葉っぱの感じがほんとうに鳥の羽のようなんです!
柔らかくてふわふわしていて繊細な葉っぱのテクスチャーを見事に言い表した
ネーミングのセンスを感じてしまいます。

落葉する針葉樹で良く似た木にメタセコイヤがありますが、
区別するポイントは、
その1:ヌマスギはおおむね葉っぱが互い違いについていて(互性)
メタセコイヤは同じポイントから葉っぱが2つ対照的についている(対性)。

そしてポイントその2は
ヌマスギは、ある効果を狙って、池のほとりとか、池の中島に植えられることが多いです。
その効果については、上の写真の根元のクローズアップ画像をどうぞ:

根元の手前に山脈みたいなものが見えますね。これは「気根」というもので、
ヌマスギのユニークな特徴のひとつなんです。
名前から想像できますが、ヌマスギの原産地はフロリダなどアメリカの東南部。
高温多雨の気候で、沼地っぽい水浸しの土地がヌマスギの故郷です。

でも、木って一般に水浸しの場所には生えませんよね。
地面にずーっと水がたまっていると、土が酸欠状態になってしまって、根が死んでしまうんですね。
そんな過酷な状況に対応するべく、ヌマスギは空気中に根を伸ばして
足りない酸素や二酸化炭素(光合成に必要)を取ろうとするそうです。

地上にあまねく木々のなかでも、気根をはる木はそうたくさんありませんから、
人々はヌマスギを池に植えて、気根がでてくるのを心待ちにするわけです。
ケンブリッジ植物園のこのヌマスギは、そんな人間の期待に見事に応えてくれました。
でも考えてみたら、沼地が故郷なんですから、水っぽいところに植えてもらって
とても幸せなのかもしれませんね。

(USA南東部原産)



(00/04/18)

Copyright(C) 2000 Mari Sato All rights reserved.