発行日:’94年 5月 3日(火)
発行:守山リス研事務局

リス研通信 No.354

エゾリスの解剖調査実施 3/4

実施日時
94. 4. 9(土) 10:00-13:30
場所
パターゴルフ2F(Fさんご夫妻のご援助で借用)
実施者
Un獣医さん
Iさん、Uさん、Kmさん、Mちゃん、Nさん、Tさん、Kさん

解剖調査(続き)

調査項目調査結果特記
7) 生殖器系
(続き)
子宮長さ1.1cm左右の卵巣から細い管で合流した地点が子宮頸でちょっと細くなり、かなり丈夫(切るときジョリと硬い音がした)その下に子宮があり、膣へとつながり、最終は直腸へつながっていた。膀胱がその近くにあり直腸へ流れ込むようになっていた。
太さ0.4cm
卵巣から子宮への細い管に、斑点があると子供を生んだ印との事だが発見できず
8) 骨肋骨10対胸骨が細く、はり金の様だが心臓、肺を守っていた。
9) 筋肉直径1.85cm足の股筋で一番太い所を計測。
0.4cm顎から頭につながり噛むための筋肉。
1.6cm
重さ42gシッポを除いて
皮むき後重さ220g内臓と皮を取った後の筋肉と骨のみの重さ。
体重全体330g成獣は300-410gであり、ほぼ成獣と判断される。
内臓のみ68g
長さ0.94cm下顎の門歯を測定
オレンジ色っぽく着色。
太さ0.14cm

3.解剖時の観察(Unさんの所見)

交通事故で腹膜がやぶれたと思われ、おなかの皮を切ると

  1. 通常は、内臓が腹膜に覆われているが、今回はすぐ内臓が露出していた。また、腹膜が破れていたため、
  2. 腸が、後ろ足の所まで下がっていた。
  3. 胃が破れ、内容物が飛び出し、小腸から腎臓、そして足のもものあたりまでさがっていた。
  4. 左前肢(左腕)、右後肢(右足)骨折は複雑骨折ではなさそうであった。骨折部近辺には、出血が黒くかたまって毛皮の内側に内出血としてたまっていた。
  5. 上顎の左の門歯は、根本から折れていた。

今回のような解剖は極めて貴重な機会であり

  1. リスがなぜかたいクルミをかじれるのか?
  2. なぜ空を飛ぶように木から木へ移れるのか?
  3. 動物としては草食動物なのか?
  4. 木をさかさまに降りれるのは、なぜか?
  5. 両手でクルミをどうやって持つのか?
  6. 2本の足で立てる理由は?
  7. 冬でも寒さをしのげる理由は?
  8. 生まれる子供がかなり小さいのは?

などのいろいろな疑問や質問に対して、今回の解剖調査研究はいろいろな根拠を与えてくれたと思います。

貴重なサンプルとして、骨はきれいに処置を瀬戸口先生にお願いし、骨格標本の作製と、毛皮もなめして保存を検討する予定です。

[写真:下腹部] [写真:子宮と卵巣] [写真:解剖の様子] [写真:あごの筋肉] [写真:股の筋肉]

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