曲の章−84『ミッション授業3』
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見間違いだと信じたかった。
しかしライフルを持っていた男、ゼファーは薄く笑うとそのまま後ろの森に消えて行った。
「まてっ! 待ちやがれゼファーっ!!」
「…うっ」
ルシードはゼファーを追い掛けるべく走りだそうとしたが、
ピートの呻き声を耳に捕らえ、その場に踏みとどまる。
倒れたピートに声をかけた。
「ピート、おい! しっかりしろピート!!」
「ルシード? オレ、苦しいんだけど…やっぱりミッション授業じゃなかったのか?」
「…」
ルシードは唇を噛む。答えられなかった。
「…更紗泣いてたんだ。オレ謝らなきゃ…いけないんだ」
「…そうだな」
「謝らなきゃ……いけないのに…」
ポロポロと大粒の涙をこぼしながら、ピートはそれ以上何も…話す事はなかった。
永遠に。
悠久学園中等部3−D ピート・ロス 脱落