悠の章−2『悪夢の始まり』


 

…セリーヌ死亡10分前。

 

どれほどの時間が経ったのだろう?

ローラ・ニューフィールドはドームから外へ出されても1歩も動く気になれず、

ドームと外を繋ぐ巨大な鋼の門に寄りかかって座っていた。

 

気がついたらこの建物に連れ込まれていた。

ランディ先生が殺し合いをしろと言った。

マリアちゃんがランディ先生に殺された。

私はそれを見て気絶した。

目を覚ますと個室にいて、黒服の男にリュックを渡されてドームの外に出された。

これが全てだった。

 

殺し合い?

 

昨日まで同じ学校で同じミッション授業を受けた仲間達を殺せというの?

「…そんなこと、できるわけないじゃない」

目を瞑ると、殺されたマリアの顔が思い浮かぶ。

額に突き刺さった矢。

自分に何が起こったのかさえ理解できずに永遠に閉じる事の無くなった見開いたままの瞳。

「嫌! 怖い! 死にたくない! 2度と起きられない眠りなんて…絶対に嫌!!」

 もう眠り続けるのは嫌だった。やっと手に入れた光り輝く世界。

この世界で自分は燃えるような恋をし、

恐らく人よりも短いであろう人生を謳歌しなけらばならない。

 

「だったら…」

 

自分に支給された武器を見る。…包丁だった。

 

その時、林道?脇の森からガサガサと物音がした。

「あら? 真直ぐ歩いていた筈なのですが、ここは〜どこなのでしょう?」

「…セリーヌさん?」

「まあ〜、ローラさんじゃないですか、お元気でしたか?」

 

 

…そして悪夢は始まった。

 

 

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