丸帆亭 萬釣報 #24  2000.2/12 更新                   
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東京新聞 2/10  より


東京新聞  2000年(平成12年)2月10日(木曜日)11版[21]
ハゼの楽園今春限り?          
2000年2月10日(木)

江東・貯木場跡埋め立て着工へ

 江戸っ子以来のいきな行楽として親しまれてきた江戸前のハゼ釣りに、
二十一世紀はないかもしれない。東京港内に残った最後の「ハゼの楽園」江東区
貯木場跡の埋め立てを、東京都が今春から開始するからだ。
釣りファンや、環境保護関係者らは、当然ながら大反対。そして「この財政難の時代に、本当に必要な事業なのか」との根本的な疑問も。(野呂法夫、写真・野口英孝)

 埋め立てが計画されている貯木場跡は、同区有明一丁目地先に広がる約四十一
ヘクタールの水域。「江戸前のハゼ釣りはどんどんだめになり、お台場もかつては
釣れたが四、五年前から数が減ってきた。ここの貯木場はハゼ釣りの最後のとりで
なのに」と怒るのは釣り船業者が加盟する東京湾遊漁船業協同組合の大塚欣一組合長。

この貯木場跡は、平均水深が約三メートルと浅い泥場で、三番瀬の干潟のように
海水を浄化し、生物をはぐくんできた。カタクチイワシ、ボラ、スズキ、アサリなど
多数の魚介類が生息。特に今は「マハゼがわく場所」と釣り人の人気スポット。
九月から十一月のハゼ釣りシーズンの週末は、釣ったハゼを船上でてんぷらにして
味わう伝統のテンプラ船でにぎわう。
「ここも消えたら本当にハゼのピンチ。釣り人や自然保護団体は、
『貴重な憩いの場を残してほしい』と再三要望してきたんですが」(地元関係者)

 都は、ここの七割にあたる約三五・四ヘクタールを新年度から埋め立て、
将来は住居地域として開発する予定。さらに、埋め立て地から豊洲、晴海両地区とを
結ぶ幹線道路を三本整備。臨海新交通「ゆりかもめ」を営団地下鉄有楽町線豊洲駅
まで延伸させる整備事業などにも本格的に着手する。

 港湾局開発部は「平成五年に広域幹線道路を併せた区画整理事業を都市計画決定済み。
地元地権者も新しい街づくりを待ち望んでいる」ときっぱり。
 ハゼに関しては「どこかに移るでしょ」(昨年十二月議会で共産党政調委員長の
渡辺康信都議への石原知事の答弁)。
 だが、直接利害関係のない都民にも事業の採算性は気になる。
臨海開発は長引く不況で八千三百七十五億円の借金を抱えたまま。毎年の利払いは
三百億円にもなり、地代収入は百億円程度という大赤字だから特に、だ。
今回の有明北の埋め立て工事の費用は四百億円。それに水面権利者への補償費百三十億円、基盤整備費などを含め総額六百億円とも。新年度予算案に「ゆりかもめ」の
延伸工事など関連事業費を含め四百三十五億円が計上された。

東京湾全体の問題議論の時間が必要
採算は大丈夫かとの疑問に、港湾局は「一般財源も投入されるが、埋め立て分については
特別会計で起債を発行して資金を調達。将来は土地を売却して返済する独立採算制」と
強調。が臨海開発はそもそも独立採算のはずだった……。

公共事業に詳しい五十嵐敬喜法政大教授は「住宅進出のあてもなく、臨海は
空き地だらけ。都財政もパンク寸前で福祉の切り捨てが進む中、巨費を投じて
貯木場跡を埋め立てる理由も必要もない」。

新年度予算案を審議する二月議会は二十三日に開会するが、都議会でも関心が高まり、
民主党も事業の凍結を求める方向で検討中。
同党幹事長代理の和田宗春都議は「公共事業の錦の御旗で安易に川や海を埋め立てる
時代は終わった。三番瀬もそうだが、有明北も東京だけでなく、湾岸全体の問題として
考えるべき。きちんと議論する時間が必要だ」と話している。

 貯木場跡は、湾岸の市民にとって“もう一つの三番瀬問題”になるかも。


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