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情報、其之七 2000.6/24 [ハゼが教えてくれたこと ]会長 安田 進 ハゼサミット報告 NO.3 つり人8月号より 全文掲載 |
江戸っ子船長の手紙Part |
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天国と地獄 |
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貝やエビやカニを含めると、わずか1.2ヵ月の短期間で50種類以上の生物 と十六万坪で出会い、ここが命のゆりかごでなくて何なのかという思いを強 めました。 荒川河口でも、十六万坪に負けないくらいの魚を捕まえたのですが、十六 万坪とは大きく異なる点があります。最近、東京の川にいろいろな魚が戻っ てきているといわれています。確かに、荒川にもそうした魚がいっぱいいた わけです。そうすると行政側は「自然が戻ってきました」と言って自慢しま す。私も、自然が戻ってきたのかなとも思いましたが、そうではなく、本来 は海の干潟にいる魚たちが海に、干潟がなくなったために、下流の浅場に来 ざるを得なくなっているんじゃないかと思います。 というのも、5月16日に、外国特派員クラブの方々を十六万坪に招いて視 察会を行なったのですが、その前日、栃木、千葉、神奈川、埼玉、東京に大 雨が降ったんです。そして16日の朝、特派員の方々を乗せる船を出すために 荒川の桟橋に行ったら、ものすごい数のハゼやカレイが白い腹を見せて、下 げ潮に乗って川を逆流しているんです(※このようすは、安田さん自身がビ デオで映像に収め、会場でも放映され、客席からため息がもれた)。 このーヵ月半、毎日のようにハゼなどの稚魚と接してきました。たくさん の命があふれていること、そして魚たちが少しずつ成長していくようすに感 動していたわけです。ところが、たかだか1回の雨で酸欠になり、口を開けて 流されてしまうのかと、やり切れなくなりました。 |
その後、特派員の方々を乗せて十六万坪へ行きました。泥濁りで、魚が浮いていたら、特派員 |
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江戸っ子なんて、もともと気が小さい江奴ばかりなんです。もしも、阪神大震 災のような大地震が東京で起きても、江戸っ子なんてワーワー言っているだけ で何もできないです。そんな江戸っ子の誇りといえば粋だけだと思います。 しかし、水の町であった粋な光景がどんどん消え、人と魚の風物詩が消えて いき、もう、粋という言葉すら使えない。そんな東京に何の価値もないと思い ますね。 東京の人口は1200万人を超えると東京都が発表しました。そのためにも、都 心から5H圏内にある十六万坪はどうしても埋める必要があるんだと。しかし、 1200万人を超えたからこそ、自然がもっと必要なんじゃないかと思います。自 然なくして、どうやって自然の大切さを子どもたちに教えていくのか。 |
幼稚園の頃、兄貴と一緒に自転車に乗って、遠くまで、といっても、今なら車で1.2分のとこ |
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そのエドハゼたちは水槽に移され、 6月10日の『東京湾・ハゼサミット』の会場で 多くの来場者やマスコミの注目を集め、 "動く証拠"として大活躍した。 |
『東京湾・ハゼサミット』 の主役を務めたのは、安田 さんが持ち込んだ十六万坪 産のエドハゼたち。エドハ ゼと安田さんの出会いに、 何か運命的なものを感じず にはいられない。 |
そしてエドハゼたちは、 いまも晴海屋の水槽で元気に泳いでいる。 |
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